JP2013139022A - ハニカム構造体及び排ガス浄化装置 - Google Patents

ハニカム構造体及び排ガス浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 捕集したパティキュレートを確実に浄化することができ、さらに、高い再生率を有するハニカム構造体を提供する。
【解決手段】 複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材が接着材層を介して複数個結束されて構成された集合型ハニカム構造体であって、前記多孔質セラミック部材は、炭化珪素からなり、前記セル壁の厚みは、0.2〜0.4mmであり、前記セル壁の少なくとも一部に、CeOおよびZrOからなる酸化物触媒が担持され、前記酸化物触媒の前記ハニカム構造体の見掛け体積に対する担持量は、10〜50g/lであり、前記ハニカム構造体の見掛け密度は、0.55〜0.7g/cmであることを特徴とするハニカム構造体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中のパティキュレート等を捕集、除去するハニカム構造体及び排ガス浄化装置に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化するフィルタとして炭化珪素やコージェライト等を材料とする多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたものが種々提案されている。
また、ハニカム構造体中に捕集されたパティキュレートを、連続的又は断続的に燃焼除去し、ハニカム構造体を再生する(以下、単に「再生」ともいう)必要があり、このような処理には、例えば、ポストインジェクションと組み合わせて行う、燃料添加材方式、貴金属触媒を用いた方式、酸化物触媒を用いた方式等がある。
また、ヒータ等の加熱手段を用いてパティキュレートを燃焼除去することもできる。
例えば、特許文献1には、酸化物触媒を担持した排ガスフィルタが開示されている。
本文献には、排ガスフィルタに酸化物触媒を担持させることにより、パティキュレートの燃焼温度を低下させることができ、パティキュレートを効率良く燃焼させることができることが記載されている。
また、特許文献1には、酸化物触媒とともに、貴金属触媒を担持させることができることが記載されている。
特開2001−98925号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているような酸化物触媒を担持した排ガスフィルタでは、パティキュレートの燃焼温度を低下させることはできるものの、さらにパティキュレートを燃焼除去(再生)させるためのエネルギーを低下させるという点では、まだまだ改善の余地があった。
また、特許文献1のように、酸化物触媒とともに、貴金属触媒を担持させた場合、排ガス中のCOやHC等の有害ガス成分を浄化(酸化)させることができるものの、パティキュレートの燃焼という点では、貴金属触媒はそれほど有効に機能しないものと考えられる。
その理由は、排ガスフィルタに貴金属触媒を担持させる場合、通常、担持量が5g/l程度であり、また、貴金属触媒はAl等により高分散されているため、パティキュレートと貴金属触媒とはほとんど接触しないからであると考えられる。
本願発明者は、パティキュレートを燃焼除去させるためのエネルギーを低下させるとの観点から鋭意検討を行い、酸化物触媒を担持させても、再生処理を確実に行うことができない理由は、フィルタの温度が充分に上昇されていないことに原因があることを見出し、このような問題点を解決すべく本発明を完成させた。
即ち、本発明のハニカム構造体は、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材が接着材層を介して複数個結束されて構成された集合型ハニカム構造体であって、上記多孔質セラミック部材は、炭化珪素からなり、上記セル壁の厚みは、0.2〜0.4mmであり、上記セル壁の少なくとも一部に、CeOおよびZrOからなる酸化物触媒が担持され、上記酸化物触媒の前記ハニカム構造体の見掛け体積に対する担持量は、10〜50g/lであり、上記ハニカム構造体の見掛け密度は、0.55〜0.7g/cmであることを特徴とする。
上記ハニカム構造体において、気孔率が40〜60%であることが望ましい。
上記ハニカム構造体において、上記酸化物触媒は,少なくともCeOを含むものであることが望ましい。また、上記酸化物触媒は、CeO、ZrO、FeO、Fe、CuO、CuO、Mn、MnO、及び、組成式A1−nCO(式中、AはLa、Nd、Sm、Eu、Gd又はYであり、Bはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、CはMn、Co、Fe又はNi)で表される複合酸化物のうちの少なくとも一種であることも望ましい。
また、上記ハニカム構造体は、耐熱温度が1200℃以上であることが望ましい。
また、上記酸化物触媒の上記ハニカム構造体の見掛け体積に対する担持量は、10〜50g/lであることが望ましい。
また、上記ハニカム構造体は、セルが重なり合うように、上記長手方向に複数の積層部材が積層されてなるものであるか、又は、主に炭化珪素からなり、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材からなるものであることが望ましい。
本発明の排ガス浄化装置は、排ガス流路に本発明のハニカム構造体が設置され、上記ハニカム構造体の上流側に貴金属触媒が担持された触媒担体が設置されていることを特徴とする。
本発明のハニカム構造体では、酸化物触媒が担持されているため、触媒とパティキュレートとの接触が容易になり、パティキュレートの燃焼温度を下げることができるとともに、ハニカム構造体の熱容量(見掛け密度)が小さいため、再生処理の際に温度が上昇しやすく、確実にパティキュレートを燃焼させることができる。その結果、ハニカム構造体の再生率を向上させることができるか、又は、燃焼のためのエネルギーを小さくすることができる。
また、本発明のハニカム構造体は、従来のハニカムフィルタのように、高価で貴重な資源であるPt等の貴金属触媒が担持されていないため、大きくコストダウンすることができる。
なお、ハニカム構造体の再生率とは、パティキュレートが堆積することにより増大したハニカム構造体の重量が、再生処理によりどれだけ初期の重量に近づくかを示すものであり、再生処理によりハニカム構造体の重量が、初期のハニカム構造体の重量に近づけば近づくほど再生率は高いこととなる。
また、本発明の排ガス浄化装置では、ハニカム構造体の上流に、貴金属触媒が担持された触媒担体が設置されているため、この触媒担体で排ガスを浄化させた際に発生する熱をパティキュレートの燃焼に利用することができ、上記排ガス浄化装置では、効率よく、排ガスを浄化することができるとともに、ハニカム構造体の再生を行うことができる。
(a)は本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)はそのA−A線断面図である。 (a)は本発明のハニカム構造体を構成する積層部材を模式的に示した斜視図であり、(b)は(a)に示す積層部材を積層してハニカム構造体を製造する様子を示す斜視図である。 本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図である。 (a)は、本発明のハニカム構造体を構成する多孔質セラミック部材を模式的に示した斜視図であり、(b)は、そのB−B線断面図である。 (a)は、本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、そのC−C線断面図である。 本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。 実施例で組み立てた排ガス浄化装置の説明図である。
本発明のハニカム構造体は、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材が接着材層を介して複数個結束されて構成された集合型ハニカム構造体であって、上記多孔質セラミック部材は、炭化珪素からなり、上記セル壁の厚みは、0.2〜0.4mmであり、上記セル壁の少なくとも一部に、CeOおよびZrOからなる酸化物触媒が担持され、上記酸化物触媒の前記ハニカム構造体の見掛け体積に対する担持量は、10〜50g/lであり、上記ハニカム構造体の見掛け密度は、0.55〜0.7g/cmであることを特徴とする。
本発明のハニカム構造体では、上記セル壁の少なくとも一部に酸化物触媒が担持されている。
上記酸化物触媒としては、パティキュレートの燃焼温度を低下させることができるものであれば特に限定されず、例えば、CeO、ZrO、FeO、Fe、CuO、CuO、Mn、MnO、組成式A1−nCO(式中、AはLa、Nd、Sm、Eu、Gd又はYであり、Bはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、CはMn、Co、Fe又はNi)で表される複合酸化物等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよいが、少なくともCeOを含むものであることが望ましい。
このような酸化物触媒を担持させることにより、パティキュレートの燃焼温度を低下させることができる。
上記酸化物触媒の上記ハニカム構造体の見掛け体積に対する担持量は、10〜50g/lが望ましい。
上記担持量が10g/l未満では、ハニカム触媒の壁面に対して酸化物触媒が担持されていない部分が多くなるため、パティキュレートと酸化物触媒とが接触しない部分が生じ、充分にパティキュレートの燃焼温度を低下することができない場合があり、一方、50g/lを超えてもパティキュレートと触媒との接触はさほど向上しないからである。
また、上記ハニカム構造体は、見掛け密度が、0.7g/cm以下である。
上記見掛け密度が0.7g/cmを超えると、ハニカム構造体の熱容量が大きくなりすぎ、ハニカム構造体が触媒活性温度まで到達しにくいため、ハニカム構造体の再生率が低くなるのに対し、0.7g/cm以下であると、ハニカム構造体の再生処理を充分に行うことができるからである。
また、上記見掛け密度の望ましい下限は、0.05g/cmである。
見掛け密度が約0.05g/cm以上であると、強度が充分になりやすく、破壊されにくくなる。
なお、本明細書において、見掛け密度とは、試料の質量(g)を試料の見掛け容積(cm)で除した値をいい、見掛け容積とは、試料の閉気孔と開気孔とを含んだ容積(閉気孔の気孔容積と試料の表面の開気孔を含む全開気孔の気孔容積とを含んだ容積)をいう。
また、上記ハニカム構造体は、耐熱温度が1200℃以上であることが望ましい。
上記耐熱温度が1200℃未満では、再生処理を行った際、特に、一度に多量のパティキュレート(例えば、5g/l以上)を燃焼させる再生処理を行った際に、ハニカム構造体に溶損等の破損が発生する場合があるからである。
従って、ハニカム構造体の耐熱温度が低い場合(耐熱温度が1200℃未満の場合)には、ハニカム構造体の溶損を避けるために頻繁に再生処理を行う必要があり、このような頻繁な再生処理は燃費の低下に繋がることとなる。
特に、本発明のハニカム構造体では、酸化物触媒が担持されており、ハニカム構造体の温度が上がり易い傾向にあるため、上記範囲の耐熱温度を有することが望ましいのである。
なお、内燃機関の燃費の低下を避けるため、ハニカム構造体の再生処理は、パティキュレートが5〜10g/l程度堆積した状態で行うことが望ましい。
上記ハニカム構造体の具体的な形態は、大きく下記の3つの形態に分けることができる。
即ち、1つ目は、セルが重なり合うように、上記長手方向に複数の積層部材が積層された形態(以下、このような形態のハニカム構造体を積層型ハニカム構造体ともいう)であり、2つ目は、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材からなるものであって、複数の多孔質セラミック部材がシール材層(接着材層)を介して複数個結束されて構成された形態(以下、このような形態のハニカム構造体を集合型ハニカム構造体ともいう)であり、3つ目は、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材からなるものであって、全体が一体として形成された多孔質セラミック部材から構成された形態(以下、このような形態のハニカム構造体を一体型ハニカム構造体ともいう)である。
本明細書において、単に「ハニカム構造体」と記載されている場合、当該ハニカム構造体は上記3形態のうちのいずれのハニカム構造体であってもよい。
また、本発明のハニカム構造体の見掛け密度とは、上記ハニカム構造体が積層型ハニカム構造体である場合には、積層部材を積層した状態の見掛け密度をいい、集合型ハニカム構造体の場合には、ハニカム構造体を構成する多孔質セラミック部材のみの見掛け密度(シール材層の見掛け密度は考慮しない)をいい、一体型ハニカム構造体の場合は、全体が一体として焼結形成された多孔質セラミック部材の見掛け密度をいう。
本発明のハニカム構造体は、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されている。
上記ハニカム構造体の形状は、後に図示する形状は円柱状であるが、円柱状に限定されるわけではなく、例えば、楕円柱状や角柱状等であってもよく、その他の任意形状であってもよい。
特に、エンジン直下にハニカム構造体が配置される場合には、スペースが非常に限られ、フィルタの形状も、複雑な形状にする必要が生じることがあるからである。
なお、複雑な形状のハニカム構造体を製造する場合には、上記積層型ハニカム構造体であることが望ましい。所望の構造、形状に加工するのに適しているからである。
また、上記積層型ハニカム構造体において、隣接するセル間の距離(セル壁の厚さ)は、0.2mm以上であることが望ましい。0.2mm未満では、強度が低下することがあるからである。
なお、本明細書において、セル壁は、隣接するセルを隔てるセル壁及び外周部分の両方を意味するものとする。
また、上記隣接するセル間の距離(セル壁の厚さ)の望ましい上限は、5.0mmである。
セル壁の厚さが5.0mmを超えると、開口率及び/又は濾過面積が小さくなりすぎ、圧力損失が上昇することがある。また、アッシュが抜けにくくなる。また、パティキュレートを深層濾過する範囲をスス捕集に対する壁の有効領域とすると有効領域の占める比率が低下することとなる。
また、上記隣接するセル間の距離(セル壁の厚さ)は、上記集合型ハニカム構造体や上記一体型ハニカム構造体では、望ましい下限が0.15mmであり、望ましい上限が0.5mmである。
0.15mm未満では、強度が低下する場合があり、0.5mmを超えると圧力損失が上昇することがあるからである。
また、上記積層型ハニカム構造体の平均気孔径は特に限定されないが、望ましい下限は1μmであり、望ましい上限は100μmである。1μm未満では、セル壁内部までパティキュレートが深層濾過されず、セル壁内部に担持した触媒と接触することができない場合がある。一方、100μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートを充分に捕集することができず、フィルタとして機能しないことがある。
また、上記平均気孔径は、上記集合型ハニカム構造体や上記一体型ハニカム構造体では、望ましい下限が5μmであり、望ましい上限が50μmである。
平均気孔径が5μm未満では、圧力損失が上昇することがあり、50μmを超えると、捕集効率が低下することがあるからである。
上記積層型ハニカム構造体の気孔率は、望ましい下限が70%で、望ましい上限が95%である。
上記気孔率が70%未満では、パティキュレートを燃焼した際に生じるアッシュが、セル壁を通過しづらく、セル壁の表面や内部に堆積しやすくなるため、アッシュの堆積による圧力損失の上昇を避けることができない。一方、気孔率が95%を超えると、パティキュレートの捕集効率を上げるために壁を厚くしなければならなくなり、それに伴い、開口率及び/又は濾過面積が小さくなるため、排ガスがハニカム構造体へ流入出、及び/又は、ハニカム構造体内を通過する際の圧力損失が高くなる。さらにハニカム構造体の強度が不充分となる。
また、上記気孔率は、上記集合型ハニカム構造体や上記一体型ハニカム構造体では、望ましい下限が40%であり、望ましい上限が60%である。
40%未満では、圧力損失が上昇することがあるとともに、見掛け密度が高くなりやすい傾向にあるため、見掛け密度を0.7g/cm以下としにくく、一方、60%を超えると、上記ハニカム構造体の強度が低下することがあるからである。
なお、上記気孔率とは、触媒担持後の気孔率を意味する。
なお、気孔率や平均気孔径は、例えば、水銀ポロシメータを用いた水銀圧入法による測定、重量法、アルキメデス法、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等、従来公知の方法により測定することができる。
上記積層型ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面におけるセル密度は特に限定されないが、望ましい下限は、0.16個/cm(1.0個/in)、望ましい上限は、93個/cm(600個/in)、より望ましい下限は、0.62個/cm(4.0個/in)、より望ましい上限は、77.5個/cm(500個/in)である。
また、上記セル密度は、上記集合型ハニカム構造体や上記一体型ハニカム構造体では、望ましい下限が23.3個/cm(150/in)であり、望ましい上限が93個/cm(600個/in)である。
また、上記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面におけるセルの大きさは特に限定されないが、望ましい下限は0.8mm×0.8mm、望ましい上限は16mm×16mmである。
上記積層型ハニカム構造体の開口率の望ましい値は、下限が30%であり、上限が60%である。
上記開口率が30%未満では、排ガスがハニカム構造体に流入出する際の圧力損失が大きくなる場合があり、60%を超えると、セル壁を厚くしたときに、濾過面積を充分に確保することができず圧力損失が大きくなったり、また、ハニカム構造体の強度が低下したりする場合がある。
また、上記開口率は、上記集合型ハニカム構造体や上記一体型ハニカム構造体では、望ましい下限が50%であり、望ましい上限が80%である。50%未満では、圧力損失が上昇することがあり、80%を超えると強度が低下することがあるからである。
なお、ハニカム構造体の開口率とは、ハニカム構造体の中心の断面の開口率、すなわち、ハニカム構造体を長手方向の中点で、長手方向と垂直に切断した断面の開口率のことをいう。
次に、上記積層型ハニカム構造体について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、積層型ハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。
積層型ハニカム構造体10は、いずれか一端が目封じされた多数のセル11が壁部(セル壁)13を隔てて長手方向に並設された円柱形状のものである。
即ち、図1(b)に示したように、セル11は、排ガスの入口側又は出口側に相当する端部のいずれかが目封じされ、一のセル11に流入した排ガスは、必ずセル11を隔てるセル壁13を通過した後、他のセル11から流出し、セル壁13がフィルタとして機能するようになっている。
そして、積層型ハニカム構造体10は、厚さが0.1〜20mm程度の積層部材10a及び端部用積層部材10bを積層して形成した積層体であり、長手方向にセル11が重なり合うように、積層部材10aが積層されている。
ここで、セルが重なり合うように積層部材が積層されているとは、隣り合う積層部材に形成されたセル同士が連通するように積層されていることをいう。
また、上記積層体の両端には、端部用積層部材10bとして、セルが市松模様に形成された板状体が積層されている。
また、上記積層型ハニカム構造体には、酸化物触媒が担持されているが、ここで、酸化物触媒は、全ての積層部材に担持されていてもよいし、一部の積層部材にのみ担持されていてもよい。
また、上記積層型ハニカム構造体における見掛け密度は、望ましい下限が0.05g/cmであり、望ましい上限が0.5g/cmである。
0.05g/cm未満では、強度が不充分で破壊されることがある。
また、0.5g/cm以下では、ハニカム構造体が、より触媒活性温度になりやすく、連続的にパティキュレートを燃焼させるのにより適している。
各積層部材同士は、無機の接着材等により接着されていてもよいし、単に物理的に積層されているのみであってもよいが、単に物理的に積層されているのみであることが望ましい。単に物理的に積層されているのみであると、接着材等からなる接合部により排ガスの流れが阻害されて圧力損失が高くなってしまうことがないからである。なお、各積層部材同士が単に物理的に積層されているのみである場合、積層体とするには、後述する金属ケーシング内で積層し、圧力を加える。
積層型ハニカム構造体では、長手方向に積層部材が積層されてなる構造を有するので、再生処理等の際にフィルタ全体に大きな温度差が生じても、それぞれの積層部材に生じる温度差は小さく、それによる熱応力も小さいため、損傷が非常に発生しにくい。このため、積層型ハニカム構造体は、セル壁で深層濾過させることを目的として高気孔率にしやすい。また、積層型ハニカム構造体は、上述したように、パティキュレートの深層濾過を容易に達成することができるため、セル壁内部に担持された触媒とパティキュレートが接触し易くなり、よりパティキュレートが燃焼しやすくなる。
また、特にフィルタを複雑な形状とした場合には、フィルタは熱応力に対して非常に弱くなるが、積層型ハニカム構造体は、複雑な形状とした場合であっても、損傷が非常に発生しにくい。
積層型ハニカム構造体を構成する積層部材は、それぞれ主に無機繊維からなる積層部材(以下、無機繊維積層部材ともいう)か、又は、主に金属からなる積層部材(以下、金属積層部材ともいう)であることが望ましい。耐熱性に優れるとともに、高気孔率とした場合のハニカム構造体としての強度に優れるからである。
そして、各積層部材を積層する際には、無機繊維積層部材のみを積層してもよいし、金属積層部材のみを積層してもよい。
さらに、無機繊維積層部材と金属積層部材とを組み合わせて積層してもよい。両者を組み合わせて積層する場合、その積層順序は特に限定されない。
上記金属積層部材の材料としては特に限定されず、例えば、クロム系ステンレス、クロムニッケル系ステンレス等が挙げられる。
また、上記金属積層部材は、上述したような金属からなる金属繊維が3次元に入り組んで構成された構造体、上述したような金属からなり、造孔材によって貫通気孔が形成された構造体、上述したような金属からなる金属粉末を気孔が残るように焼結させた構造体等であることが望ましい。
また、上記無機繊維積層部材を構成する無機繊維の材質としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の酸化物セラミック、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物セラミック、炭化珪素等の炭化物セラミック、玄武岩等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記無機繊維の繊維長の望ましい下限は、0.1mm、望ましい上限は、100mm、より望ましい下限は、0.5mm、より望ましい上限は、50mmである。また、上記無機繊維の繊維径の望ましい下限は、0.3μm、望ましい上限は、30μm、より望ましい下限は、0.5μm、より望ましい上限は、15μmである。
上記無機繊維積層部材は、上記無機繊維のほかに、一定の形状を維持するためにこれらの無機繊維同士を結合するバインダを含んでもよい。
上記バインダとしては特に限定されず、例えば、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル等が挙げられる。
上記無機繊維積層部材は、無機粒子及び金属粒子を少量含んでいてもよい。
また、上記無機繊維積層部材では、無機繊維同士がシリカを含有する無機物等により固着されていてもよい。この場合、無機繊維同士の交差部近傍が固着されていることが望ましい。これにより、無機繊維積層部材の強度及び柔軟性が優れたものとなるからである。
上記シリカを含有する無機物としては、例えば、珪酸ガラス、珪酸アルカリガラス、硼珪酸ガラス等の無機ガラスが挙げられる。
また、積層された無機繊維積層部材や金属積層部材の両端には、さらに、セルが市松模様に形成された端部用積層部材が積層されていることが望ましい。
上記端部用積層部材を積層することにより、端部のセルを封止材で封止することを行わなくても、セルのいずれか一方の端部は、封止されることとなる。
上記端部用積層部材は、上記無機繊維積層部材や金属積層部材と同様の材質からなり、セルが市松模様に形成されたものであってもよいし、セルが市松模様に形成された緻密質の板状体であってもよい。
なお、本明細書において、緻密質とは、積層部材よりも気孔率が小さいものをいい、その具体的な材料としては、例えば、金属やセラミック等が挙げられる。
上記緻密質の板状体を用いた場合には、上記端部用積層部材を薄くすることができる。
また、上記端部用積層部材としては、緻密質の金属からなるものが望ましい。
更に、積層体の両端に積層される端部用積層部材としては、上述の材質からなるもののうち、1種類のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記積層部材と上記端部用積層部材との組み合わせとしては、(1)上記積層部材として無機繊維積層部材を用い、上記端部用積層部材として、セルが市松模様に形成された無機繊維積層部材、金属積層部材又は緻密質の板状体を用いる組み合わせ、(2)上記積層部材として金属積層部材を用い、上記端部用積層部材として、セルが市松模様に形成された無機繊維積層部材、金属積層部材又は緻密質の板状体を用いる組み合わせが挙げられる。
また、上記積層部材として金属積層部材を用いた場合には、上記端部用積層部材として、セルが市松模様に形成された金属積層部材又は緻密質の板状体を用いることが望ましい。
また、上記端部用積層部材として、緻密質の板状体を用いた場合には、板状体を薄くしても、封止部からススが漏れることを防止することができる。
また、上記積層部材として、金属積層部材のみを用いた場合や、積層された無機繊維積層部材や金属積層部材の両端に、さらにセルが市松模様に形成された金属積層部材や緻密質の金属からなる板状体を積層した場合には、長時間使用しても風食されにくい。
また、金属ケーシングとの熱膨張差に起因して、高温時(使用時)に金属ケーシングとの隙間及び各積層部材間の隙間が生じることを防止することができ、その結果、排ガス中のパティキュレートが漏れ出して、パティキュレートの捕集効率が低下してしまうことを防止することができると考えられる。
また、上記積層型ハニカム構造体では、セルの寸法が異なる積層部材を作製し、これらを積層していけば、セルの内表面に凹凸が形成され、濾過面積が大きくなり、パティキュレートを捕集した際の圧力損失をさらに低くすることが可能となると考えられる。また、凹凸により排ガスの流れを乱流にすることができるため、フィルタ内の温度差を小さくし、熱応力による損傷を効果的に防止することができると考えられる。
上記セルの平面視形状については特に四角形に限定されず、例えば、三角形、六角形、八角形、十二角形、円形、楕円形等の任意の形状であってよい。
上記積層型ハニカム構造体は、通常、筒状の金属ケーシング内に収納されることとなる。
上記金属ケーシングの材質としては、例えば、ステンレス、鉄等が挙げられる。
また、上記金属ケーシングの形状は、分割不能な筒状体であってもよいし、2個又は複数個の分割片に分割可能な筒状体(例えば、クラムシェル型の金属ケーシング等)であってもよい。上記金属ケーシングが分割可能である場合、上記ハニカム構造体を容易に収納することが可能となる。
次に、積層型ハニカム構造体の製造方法について、図2を参照しながら説明する。
(1)金属積層部材の製造方法
まず、厚さが0.1〜20mm程度の主に金属からなる多孔質金属板をレーザー加工又は打ち抜き加工することで、ほぼ全面にセルを互いにほぼ等間隔で形成し、図2(a)に示すようなセルが高密度で形成された積層部材10aを製造する。
また、積層型ハニカム構造体の端面近傍に位置し、セルの封止部を構成する積層部材を製造する場合には、レーザー加工の際に、セルを市松模様に形成し、セルが低密度で形成された積層部材(端部用積層部材)10bを製造する。
そして、このセルが低密度で形成された積層部材を1枚〜数枚端部に用いれば、端部の所定のセルを塞ぐという工程を行うことなく、フィルタとして機能する積層型ハニカム構造体を得ることができる。
次に、金属積層部材に酸化物触媒を担持させる。
酸化物触媒を担持する方法としては、例えば、CZ(nCeO・mZrO)10g、エタノール1l(リットル)、クエン酸5g及びpH調整剤を適量含む溶液に、金属積層部材を5分間程度浸漬し、その後、500℃程度で焼成処理を施す方法等が挙げられる。
なお、この場合、上記した浸漬、焼成工程を繰り返すことにより、担持させる触媒量を調整することができる。
なお、上記触媒は、一部の金属積層部材にのみ担持させても良いし、全ての金属積層部材に担持させても良い。
(2)無機繊維積層部材の製造方法
まず、抄造用スラリーを調製する。具体的には、例えば、無機繊維と、無機ガラス等の無機物とを充分に混合し、さらに、必要に応じて、適量の水、有機バインダ、無機バインダ等を添加し、充分に攪拌することにより抄造用スラリーを調製する。
次に、上記抄造用スラリーを用いて、主に無機繊維からなる積層部材を抄造する。
具体的には、まず、上記抄造用スラリーをメッシュにより抄き、得られたものを100〜200℃程度の温度で乾燥し、さらに、打ち抜き加工によりほぼ全面にセルを等間隔で形成し、その後、900〜1050℃程度で加熱処理することにより、図2(a)に示すような、セルが高密度で形成された所定厚さの積層部材を得る。
また、積層型ハニカム構造体の端面近傍に位置し、セルの封止部を構成する積層部材を製造する場合には、例えば、上記抄造用スラリーをメッシュにより抄き、得られたものを100〜200℃程度の温度で乾燥し、さらに、打ち抜き加工により市松模様にセルを形成し、その後、900〜1050℃程度で加熱処理することにより、所定のセルが低密度で形成された積層部材(端部用積層部材)を製造する。
このような方法では、無機繊維同士が無機ガラス等の無機物で固着された無機繊維積層部材を作製することができる。
また、上述のように製造された積層部材には、この後、必要に応じて、酸処理や焼きしめ処理を行ってもよい。
その後、上記無機繊維積層部材に酸化物触媒を担持させる。
触媒を担持させる場合には、構成材料であるアルミナファイバ等の無機繊維に、予め酸化物触媒を担持させてもよい。成形前に無機繊維に触媒を担持させることにより、触媒をより均一に分散させた状態で付着させることができる。
上記無機繊維に酸化物触媒を担持させる方法としては、例えば、酸化物触媒を含むスラリーに無機繊維を浸漬した後、引き上げて加熱する方法等が挙げられる。
また、上記触媒は、一部の無機繊維積層部材にのみ担持させても良いし、全ての無機繊維積層部材に担持させてもよい。
なお、触媒は、抄造後に担持させてもよい。
(3)積層部材の積層工程
図2(b)に示すように、片側に抑え用の金具を有する円筒状の金属ケーシング23を用い、まず、金属ケーシング23内に、(1)〜(3)のようにして製造した端部用積層部材10bを1枚〜数枚積層した後、内部用の積層部材10aを所定枚数積層する。そして、最後に、端部用積層部材10bを1枚〜数枚積層し、さらにプレスを行い、その後、もう片方にも、抑え用の金具を設置、固定することにより、ハニカム構造体を製造することができる。もちろん、この工程では、セルが重なり合うように、各積層部材を積層する。
また、端部用積層部材として、金属製の緻密体の板状体を用いた場合には、これを溶接することで押え用金具とすることもできる。
また、無機繊維積層部材からなる積層型ハニカム構造体を用いる場合には、プレス時に積層部材が薄くなることに伴って、その気孔率が減少することとなるため、この減少分を考慮して積層部材を製造しておく必要がある。
次に、集合型ハニカム構造体について、図面を参照しながら説明する。
図3は、集合型ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図4(a)は、図3に示したハニカム構造体を構成する多孔質セラミック部材の斜視図であり、(b)は、(a)に示した多孔質セラミック部材のB−B線断面図である。
集合型ハニカム構造体40は、炭化珪素等からなる多孔質セラミック部材50が、シール材層(接着材層)41を介して複数個組み合わされて円柱状のセラミックブロック45を構成し、このセラミックブロック45の周囲にシール材層(コート層)42が形成されている。
多孔質セラミック部材50は、図4(a)、(b)に示したように、長手方向に多数のセル51が並設され、セル51同士を隔てるセル壁(壁部)53がフィルタとして機能するようになっている。即ち、多孔質セラミック部材50に形成されたセル51は、図4(b)に示したように、排ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが封止材52により目封じされ、一のセル51に流入した排ガスは、必ずセル51を隔てるセル壁53を通過した後、他のセル51から流出するようになっている。
そして、多孔質セラミック部材50には、酸化物触媒が担持されている。
また、上記集合型ハニカム構造体における見掛け密度は、望ましい下限が0.4g/cmであり、望ましい上限が0.7g/cmである。
0.4g/cm未満では、強度が不充分で破壊されることがあり、0.7g/cmを超えると、ハニカム構造体の熱容量が大きくなりすぎ、ハニカム構造体の温度が上がりにくい。
集合型ハニカム構造体40は、主として多孔質セラミックからなり、その材料としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化硼素等の窒化物セラミック、炭化珪素、炭化ジルコニウム等の炭化物セラミック、アルミナ、シリカ、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。また、集合型ハニカム構造体40は、シリコンと炭化珪素との複合体といった2種類以上の材料から形成されているものであってもよい。シリコンと炭化珪素との複合体を用いる場合には、シリコンを全体の5〜45重量%となるように添加することが望ましい。
上記多孔質セラミックの材料としては、炭化珪素質セラミックが望ましい。特に耐熱性に優れるため、再生処理時に溶損することがなく、さらに、機械的特性に優れ、かつ、熱伝導率も高いからである。
なお、炭化珪素質セラミックとは、炭化珪素が60重量%以上のものをいうものとする。
多孔質セラミック部材50を構成する封止材52とセル壁53とは、同じ多孔質セラミックからなることがより望ましい。これにより、両者の密着強度を高くすることができるとともに、封止材52の気孔率をセル壁53と同様に調整することで、セル壁53の熱膨張率と封止材52の熱膨張率との整合を図ることができ、製造時や使用時の熱応力によって封止材52とセル壁53との間に隙間が生じたり、封止材52や封止材52に接触する部分のセル壁53にクラックが発生したりすることを防止することができる。なお、セル壁は、セル51同士を隔てるセル壁及び外周部分の両方を意味するものとする。
封止材52の厚さは特に限定されないが、例えば、封止材52が多孔質炭化珪素からなる場合には、1〜20mmであることが望ましく、2〜10mmであることがより望ましい。
集合型ハニカム構造体40において、シール材層(接着材層)41は、多孔質セラミック部材50間に形成され、複数個の多孔質セラミック部材50同士を結束する接着材としても機能するものであり、一方、シール材層(コート層)42は、セラミックブロック45の外周面に形成され、集合型ハニカム構造体40を内燃機関の排気通路に設置した際、セラミックブロック45の外周面からセルを通過する排ガスが漏れ出すことを防止するための封止材、形状を整える補強材としても機能するものである。
なお、多孔質セラミック部材50において、接着材層41とコート層42とは、同じ材料からなるものであってもよく、異なる材料からなるものであってもよい。さらに、接着材層41及びコート層42が同じ材料からなるものである場合、その材料の配合比は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、緻密質でも、多孔質でもよい。
接着材層41及びコート層42を構成する材料としては特に限定されず、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるもの等が挙げられる。
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
上記有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、シリカ−アルミナファイバーが望ましい。
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素等からなる無機粉末等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化珪素が望ましい。
さらに、シール材層を形成するために用いるペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
次に、上記集合型ハニカム構造体の製造方法について説明する。
まず、上述したようなセラミックを主成分とする原料ペーストを用いて押出成形を行い、四角柱形状のセラミック成形体を作製する。
具体的には、セラミック粉末、バインダ及び分散媒液を、アトライター等で混合し、ニーダー等で充分に混練した後、押出成形して作製する。
上記セラミック粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが好ましく、例えば、0.3〜70μm程度の平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μm程度の平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
焼成温度やセラミック粉末の粒径を調節することで、多孔質セラミック部材の気孔径等を調節することができる。
また、上記セラミック粉末は予め酸化処理が施されたものであってもよい。
上記バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記バインダの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜15重量部程度が望ましい。
上記分散媒液としては特に限定されず、例えば、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール、水等が挙げられる。
上記分散媒液は、上記原料ペーストの粘度が一定範囲内となるように適量配合される。
また、上記原料ペーストには、必要に応じて成形助剤を添加してもよい。
上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
さらに、上記原料ペーストには、所望の気孔率を考慮して、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
次に、上記セラミック成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させ、セラミック乾燥体とする。次いで、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
上記封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て製造される封止材の気孔率が60〜95%となるものが望ましく、例えば、上記原料ペーストと同様のものを用いることができる。
次に、上記封止材ペーストが充填されたセラミック乾燥体に対して、所定の条件で脱脂(例えば、200〜500℃)、焼成(例えば、1400〜2300℃)を行うことにより、多孔質セラミックからなり、その全体が一の焼結体から構成された多孔質セラミック部材50を製造することができる。
上記セラミック乾燥体の脱脂及び焼成の条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
次に、多孔質セラミック部材50の側面に、接着材層41となる接着剤ペーストを均一な厚さで塗布して接着剤ペースト層を形成し、この接着剤ペースト層の上に、順次他の多孔質セラミック部材50を積層する工程を繰り返し、所定の大きさの多孔質セラミック部材集合体を作製する。
なお、上記接着剤ペーストを構成する材料としては、既に説明しているのでここではその説明を省略する。
次に、この多孔質セラミック部材集合体を加熱して接着剤ペースト層を乾燥、固化させて接着材層41とする。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、多孔質セラミック部材50が接着材層41を介して複数個接着された多孔質セラミック部材集合体に切削加工を施し、円柱形状のセラミックブロック45を作製する。
そして、セラミックブロック45の外周に上記シール材ペーストを用いてシール材層42を形成することで、多孔質セラミック部材50が接着材層41を介して複数個接着された円柱形状のセラミックブロック45の外周部にシール材層42が設けられた集合型ハニカム構造体40を製造することができる。
その後、ハニカム構造体に酸化物触媒を担持させ、集合型ハニカム構造体を製造する。上記触媒の担持は集合体を作製する前の多孔質セラミック部材に行ってもよい。
上記酸化物触媒を担持させる方法としては、上述した積層型ハニカム構造体の製造方法において、金属積層部材に触媒を担持させる方法と同様の方法を用いることができる。
次に、一体型ハニカム構造体について説明する。
図5(a)は、一体型ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、そのC−C線断面図である。
図5に示したように、一体型ハニカム構造体60は、多数のセル61がセル壁(壁部)63を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材(円柱状のセラミックブロック65)から構成されている。
一体型ハニカム構造体60では、セラミックブロック65は、図5(b)に示したように、セル61の端部のいずれかが封止材62により封止されている。
即ち、一体型ハニカム構造体60のセラミックブロック65では、一方の端部で所定のセル61が封止材62により封止され、セラミックブロック65の他方の端部では、封止材62により封止されていないセル61が封止材62により封止されている。
この場合、一のセル61に流入した排ガスは、必ずセル61を隔てるセル壁63を通過した後、他のセル61から流出されるようになっており、これらのセル61同士を隔てるセル壁63を粒子捕集用フィルタとして機能させることができる。
そして、セラミックブロック65には、酸化物触媒が担持されている。
また、図5には示していないが、セラミックブロック65の周囲には、図3に示した集合型ハニカム構造体45と同様に、シール材層(コート層)が形成されていてもよい。
上記一体型ハニカム構造体を構成する多孔質セラミックとしては、例えば、上述した集合型ハニカム構造体を構成する多孔質セラミックと同様のものが挙げられる。
そして、それらのなかでは、コージェライト等の酸化物セラミックが好ましい。安価に製造することができるとともに、比較的熱膨張係数が小さく、使用している途中に破壊されることがないからである。
また、一体型ハニカム構造体の望ましい見掛け密度は、上記集合型ハニカム構造体の望ましい見掛け密度と同様であり、その理由も同様である。
また、一体型ハニカム構造体において、封止材の材料、セル壁の厚さ、シール材層の材料、等に関しては、上述した集合型ハニカム構造体と同様であるので、ここでは、詳しい説明を省略する。
次に、一体型ハニカム構造体の製造方法の一例について説明する。
まず、上記のセラミックを主成分とする原料ペーストを用いて押出成形を行い、セラミックブロックとなる円柱形状のセラミック成形体を作製する。この際、成形体の形状が円柱で、寸法が多孔質セラミック部材と比べて大きい他は、集合型ハニカム構造体と同様のバインダ、分散媒等を用い、同様の方法で成形体を製造するので、ここでは、その詳しい説明を省略する。
次に、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、上記セラミック成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させ、セラミック乾燥体とする。次いで、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
その後、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、脱脂、焼成を行うことによりセラミックブロックを製造し、さらに、上述した方法で酸化物触媒を担持させ、その後、必要に応じて、セラミックブロックの外周にシール材層の形成を行うことにより、一体型ハニカム構造体を製造することができる。
本発明のハニカム構造体の用途は特に限定されないが、例えば、車両の排ガス浄化装置に用いることができる。
次に、上記ハニカム構造体を用いた本発明の排ガス浄化装置について説明する。
本発明の排ガス浄化装置は、排ガス流路に本発明のハニカム構造体が設置され、上記ハニカム構造体の上流側に貴金属触媒が担持された触媒担体が設置されていることを特徴とする。
以下、本発明の排ガス浄化装置について図面を参照しながら説明する。
図6は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図6に示したように、排ガス浄化装置200では、本発明のハニカム構造体20及び触媒担体80が、ハニカム構造体20の上流側に触媒担体80が位置するように、排ガスの流路となる金属ケーシング23内に設置されている。そして、排ガスが導入される側の端部には、エンジン等の内燃機関に連結された導入管24が接続されており、金属ケーシング23の他端部には、外部に連結された排出管25が接続されている。なお、図6中、矢印は排ガスの流れを示している。
なお、触媒担体や、集合型ハニカム構造体、一体型ハニカム構造体は、その外周部に保持シール部材が巻かれた状態で金属ケーシング内に設置されることが望ましい。また、積層型ハニカム構造体は、金属ケーシング内に設置されるに際して、その外周部に保持シール部材が巻かれていてもよいし、巻かれていなくてもよい。
触媒担体80には、貴金属触媒が担持されている。
上記貴金属触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。
上記貴金属触媒の担持量は、望ましい下限が2g/lで、望ましい上限が10g/lである。
上記担持量が2g/l以下であると、排ガス中のCO、HCを充分に浄化できないことがあり、一方、10g/lを超えても、浄化性能はほとんど向上しないからである。
また、上記触媒担体には、上記貴金属触媒のほかに、アルカリ金属(元素周期表1族)、アルカリ土類金属(元素周期表2族)、希土類元素(元素周期表3族)、遷移金属元素等を含むものが担持されていてもよい。
また、上記ハニカム構造体に上記触媒を付着させる際には、予めその表面をアルミナ等の触媒担持層で被覆した後に、上記触媒を付着させてもよい。上記触媒担持層としては、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ等の酸化物セラミックが挙げられる。
また、上記触媒担体の基体は、貴金属触媒を担持することができるものであれば特に限定されず、例えば、多孔質セラミック、金属等が挙げられる。
このような構成からなる排ガス浄化装置200では、エンジン等の内燃機関から排出された排ガス(有害ガス成分及びパティキュレートを含む)は、導入管24を通って金属ケーシング23内に導入され、まず、触媒担体80内を通過する。
そして、この触媒担体80では、排ガス中のCO、HC及びNOx等の有害なガス成分が浄化される。
次に、有害ガス成分が浄化された排ガスは、酸化触媒を担持した本発明のハニカム構造体内に導入され、このハニカム構造体では、セル内やセル壁でパティキュレートが捕集浄化(ろ過)され、排出管25を通って排出される。
従って、本発明の排ガス浄化装置では、触媒担体で有害ガス成分が浄化され、ハニカム構造体では、パティキュレートが浄化(ろ過)されることとなる。
このような構成からなる排ガス浄化装置では、有害ガス成分を浄化することを主目的として貴金属触媒が担持された触媒担体と、パティキュレートの浄化(ろ過)を主目的として酸化物触媒が担持されたハニカム構造体とが別々に設置されているため、効率良く、有害ガス成分の浄化とパティキュレートの浄化(ろ過)とを行うことができる。
次に、触媒担体の作製方法の一例について、簡単に説明しておく。
上記触媒担体の作製方法としては、例えば、上述した多孔質セラミック等からなる基体を準備し、その後、上記基体の表面にアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜に触媒を担持させる方法等が挙げられる。
上記アルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液を基体に含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液を基体に含浸させて加熱する方法等が挙げられる。
また、上記アルミナ膜に触媒を担持させる方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸([Pt(NH(NO]HNO)溶液等を金属積層部材に含浸させて加熱する方法等が挙げられる。
また、Pt等の貴金属からなる触媒を担持したアルミナスラリーに、上記基体を含浸した後、引き上げ、加熱することにより基体に触媒を担持させてもよい。
以下に実施例を掲げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(集合型ハニカム構造体Aの作製)
平均粒径22μmのα型炭化珪素の粗粉末7000重量部と、平均粒径0.5μmのα型炭化珪素の微粉末3000重量部とを湿式混合し、得られた混合物10000重量部に対して、有機バインダ(メチルセルロース)を550重量部、可塑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)を330重量部、潤滑剤としてグリセリンを150重量部、及び、水を2000重量部加えて混練して混合組成物を得た後、押出成形を行い、図4に示した角柱形状の生成形体を作製した。
次に、マイクロ波乾燥機等を用いて上記生成形体を乾燥させ、セラミック乾燥体とした後、上記生成形体と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填した。
次いで、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行うことにより、気孔率が40%、平均気孔径が12.5μm、その大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セル51の数(セル密度)が46.5個/cm、セル壁23の厚さが0.20mmの炭化珪素焼結体からなる多孔質セラミック部材50を製造した。
平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性の接着剤ペーストを用いて多孔質セラミック部材50を多数接着させ、さらに、120℃で乾燥させ、続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、接着材層の厚さ1mmの円柱状のセラミックブロック45を作製した。
次に、無機繊維としてシリカ−アルミナファイバ(平均繊維長100μm、平均繊維径10μm)23.3重量%、無機粒子として平均粒径0.3μmの炭化珪素粉末30.2重量%、無機バインダとしてシリカゾル(ゾル中のSiOの含有率:30重量%)7重量%、有機バインダとしてカルボキシメチルセルロース0.5重量%及び水39重量%を混合、混練してシール材ペーストを調製した。
次に、上記シール材ペーストを用いて、セラミックブロック45の外周部に厚さ0.2mmのシール材ペースト層を形成した。そして、このシール材ペースト層を120℃で乾燥して、直径143.8mm×長さ150mm(容積2.44リットル)の円柱状の集合型ハニカム構造体Aを作製した。
なお、集合型ハニカム構造体Aを構成する多孔質セラミック部材の見掛け密度は、0.49g/cmである。
(集合型ハニカム構造体B、Fの作製)
平均粒径22μmのα型炭化珪素の粗粉末7000重量部と、平均粒径0.5μmのα型炭化珪素の微粉末3000重量部とを湿式混合し、得られた混合物10000重量部に対して、有機バインダ(メチルセルロース)を1100重量部、可塑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)を330重量部、潤滑剤としてグリセリンを150重量部、及び、水を2000重量部加えて混練することにより調製した混合組成物を用いた以外は、集合型ハニカム構造体Aの作製と同様にして、セル壁の厚さ、セル密度、気孔率、気孔径及び見掛け密度が表1に示した値の集合型ハニカム構造体B、Fを作製した。
なお、集合型ハニカム構造体B、Fを構成する多孔質セラミック部材の見掛け密度は、それぞれ0.55g/cm、0.73g/cmである。
(集合型ハニカム構造体Cの作製)
平均粒径22μmのα型炭化珪素の粗粉末7000重量部と、平均粒径0.5μmのα型炭化珪素の微粉末3000重量部とを湿式混合し、得られた混合物10000重量部に対して、有機バインダ(メチルセルロース)を770重量部、可塑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)を330重量部、潤滑剤としてグリセリンを150重量部、及び、水を2000重量部加えて混練することにより調製した混合組成物を用いた以外は、集合型ハニカム構造体Aの作製と同様にして、セル壁の厚さ、セル密度、気孔率、気孔径及び見掛け密度が表1に示した値の集合型ハニカム構造体Cを作製した。
なお、集合型ハニカム構造体Cを構成する多孔質セラミック部材の見掛け密度は、0.68g/cmである。
(一体型ハニカム構造体Dの作製)
平均粒径10μmのタルク粉末40重量部と、平均粒径9μmのカオリン粉末10重量部と、平均粒径9.5μmのアルミナ粉末17重量部と、平均粒径5μmの水酸化アルミニウム粉末16重量部と、平均粒径10μmのシリカ粉末15重量部とを湿式混合し、得られた混合物98重量部に対して、平均粒子径が40μmのアクリル粒子を10重量部、有機バインダ(カルボキシメチルセルロース)を5重量部、分散剤(日本油脂社製 ユニルーブ)を4重量部、溶媒(ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、協和発酵ケミカル社製、キョーワノールOX20)を11重量部、他の分散剤を2重量部加えて混練した後、押出成形を行い、図5(a)に示した円柱形状の生成形体を作製した。なお、上記アクリル粒子は、気孔を形成するための造孔剤として添加している。
次に、マイクロ波乾燥機等を用いて上記生成形体を乾燥させ、セラミック乾燥体とした後、上記生成形体と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填した。
次いで、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧の大気雰囲気下1400℃、3時間焼成を行うことにより、平均気孔径が12.5μm、気孔率45%、セル61の数が46.5個/cm、実質的に全ての壁部63の厚さが0.25mmからなる直径143.8mm×長さ150mmのコーディエライト製の円柱状のハニカム構造体60を製造した。なお、ハニカム構造体60中のセラミック粒子の粒子径をSEMで観察したところ、10μmであった。
また、一体型ハニカム構造体Dを構成する多孔質セラミック部材の見掛け密度は、0.43g/cmである。
(積層型ハニカム構造体Eの作製)
(1)抄造用スラリーの調製工程
まず、アルミナファイバ50重量部、ガラスファイバ(平均繊維径:9μm、平均繊維長:3mm)50重量部及び有機バインダ(ポリビニルアルコール系繊維)10重量部を、充分量の水に分散させ、充分撹拌することにより抄造用スラリーを調製した。
(2)抄造工程及びセル形成工程
(1)で得られたスラリーを、直径143.8mmのメッシュにより抄き、得られたものを135℃で乾燥することにより、直径143.8mm、厚さ4mmのシート状無機複合体を得た。
次に、打ち抜き加工により、セル密度が3.72個/cm、セル壁の厚さが2mmとなるようにシート状無機複合体の略全面にセルを形成した。
(3)加熱処理工程
(2)で得られたシート状無機複合体を加圧しながら950℃で1時間加熱処理し、無機繊維積層部材を得た。なお、この工程では、アルミナファイバ同士がガラスにより固着されることとなる。
(4)酸処理及び焼きしめ処理工程
(3)で得られた無機繊維積層部材を90℃、4mol/lのHCl溶液に1時間浸漬することにより酸処理を施し、さらに、1050℃で5時間の条件で焼きしめ処理を行った。
これにより、気孔率が92%で、厚さが1mmの部材を作成した。
(5)端部用積層部材(緻密質の金属板状体)の作製
Ni−Cr合金製金属板(緻密質の金属板)を、直径132mm×厚さ1mmの円盤状に加工した後、レーザー加工することで、セル密度約1.8〜1.9個/cm、セル壁の厚さが4mmとなるようにしてセルが市松模様に形成された端部用積層部材を製造した。
なお、端部用積層部材では、セルが市松模様に形成されており、セル密度が積層部材の略半分となっている。
(6)積層工程
まず、別途、片側に抑え用の金具が取り付けられた金属ケーシングを、金具が取り付けられた側が下になるように立てた。そして、上記(5)の工程で得た端部用積層部材を1枚積層した後、上記(4)の工程で得た無機繊維積層部材を93枚積層し、最後に端部用積層部材1枚を積層し、さらにプレスを行い、その後、もう片方にも、抑え用の金具を設置、固定することにより、その長さが150mmの積層型ハニカム構造体Eを作製した。なお、プレス工程を経て作製したハニカム構造体の気孔率は90%、平均気孔径は35μmである。また、この工程ではセルが重なり合うように、各シートを積層した。
なお、積層型ハニカム構造体Eは、見掛け密度が0.18g/cmである。
Figure 2013139022
(実施例1〜10、比較例1〜6、試験例1、2)
上述した方法で作製したハニカム構造体A〜Fのそれぞれに、酸化物触媒及び白金触媒のいずれかを担持させ、その後、これらの触媒を担持したハニカム構造体を設置した排ガス浄化装置を組み上げ、ハニカム構造体の初期捕集効率及び再生率を評価した。結果を表2に示した。なお、比較例5では、ハニカム構造体に触媒を担持させなかった。
集合型ハニカム構造体及び一体型ハニカム構造体に、酸化物触媒としてCeOとZrOを担持させる場合には、CZ(nCeO・mZrO)10g、水40ml及びpH調整剤を適量含む溶液に、ハニカム構造体を5分間浸漬し、その後、500℃で焼成処理を施す方法を用いた。
集合型ハニカム構造体に、酸化物触媒としてCeOとCuOを担持させる場合には、nCeO・mCuO10g、水40ml及びpH調整剤を適量含む溶液に、ハニカム構造体を5分間浸漬し、その後、500℃で焼成処理を施す方法を用いた。
集合型ハニカム構造体に、酸化物触媒としてCeOとFeOを担持させる場合には、nCeO・mFeO10g、水40ml及びpH調整剤を適量含む溶液に、ハニカム構造体を5分間浸漬し、その後、500℃で焼成処理を施す方法を用いた。
集合型ハニカム構造体に、酸化物触媒としてLaCoOを担持させる場合には、0.01molのLa(NO・6HO、0.01molのCo(OCOCH・4HO、0.024molのC・HO(クエン酸)を20mlの割合で、エタノール溶媒中で混合攪拌し、LaCoO前駆体ゾルを調製した。このゾルにハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分なゾルを吸引によって取り除き、100℃で乾燥させ、600℃で1時間焼成処理を施す方法を用いた。
なお、X線回折測定により、LaCoOのペロブスカイト構造が確認された。
無機繊維積層部材及び金属積層部材からなる積層型ハニカム構造体に、酸化物触媒として、CeOとZrOを担持させる場合には、各積層部材をCZ(nCeO・mZrO)10g、水40ml及びpH調整剤を適量含む溶液に5分間浸漬し、その後、500℃で焼成処理を施す方法を用いた。
集合型ハニカム構造体及び一体型ハニカム構造体に白金触媒をコートする方法としては、Ptを担持したアルミナスラリー(Pt濃度:5重量%)に2分間含浸した後、500℃で加熱することにより、触媒が担持させた。なお、Ptの担持量は5g/l、アルミナ担持量は 50g/lである。
無機繊維積層部材及び金属積層部材からなる積層型ハニカム構造体に白金触媒をコートする方法としては、Ptを担持したアルミナスラリー(Pt濃度:5重量%)に2分間含浸した後、500℃で加熱することにより、触媒を担持させた。Ptの担持量は5g/l、アルミナ担持量は50g/lである。
また、初期捕集効率等を測定するための排ガス浄化装置は下記の方法で組み立てた。
図7に示したような排ガス浄化装置を組み立てた。図7は、排ガス浄化装置の説明図である。
この圧力損失測定用の排ガス浄化装置270は、2Lのコモンレール式ディーゼルエンジン276と、エンジン276からの排ガスを流通する排ガス管277と、排ガス管277に接続され、ハニカム構造体20及び触媒担体201を収納した金属ケーシング271と、ハニカム構造体20を流通する前の排ガスをサンプリングするサンプラー278と、ハニカム構造体20を流通した後の排ガスをサンプリングするサンプラー279と、サンプラー278、279によりサンプリングされた排ガスを希釈する希釈器280と、希釈された排ガスに含まれるパティキュレートの量を測定するPMカウンタ281(TSI社製、凝集粒子カウンタ3022A−S)とを備えた走査型モビリティ粒径分析装置(Scanning Mobility Particle Sizer SMPS)として構成されている。
なお、ハニカム構造体20と触媒担体201とは10mmの間隔を設けて設置した。
また、触媒担体としては、セル構造(セル壁の厚さ0.175mm、セル密度62個/cm)が異なる以外は、ハニカム構造体Dと同様の方法で作製したハニカム構造体に、5g/lの白金触媒、アルミナ150g/lを担持させたものを使用した。なお、白金触媒を担持させる方法は、集合型ハニカム構造体等に白金触媒を担持させる方法と同様である。また、触媒担体のサイズは、φ143.8×75mmである。
また、排ガス浄化装置を組み立てる際に、触媒担体、集合型ハニカム構造体及び一体型ハニカム構造体は、その外周部に保持シール部材が巻かれた状態で金属ケーシング内に設置し、積層型ハニカム構造体は、その外周部に保持シール部材が巻かれていない状態で設置した。
次に、測定手順を説明する。
(1)初期捕集効率の測定
エンジン276を回転数が2000min−1、トルクが47Nmとなるようにエンジン276を運転し、エンジン276からの排ガスをハニカム構造体20に流通させた。このとき、ハニカム構造体20を流通する前のPM量Pと、ハニカム構造体20を通過した後の排ガス量PとをPMカウンタ281を用いて、計数されたPM粒子数から把握した。そして、下記計算式(1)を用いて初期捕集効率を算出した。
初期捕集効率(%)=(P−P)/P×100・・・(1)
結果を表2に示した。
本明細書で、初期捕集効率の初期とは、PMが1g/L堆積するまでの時期をいうものとする。
(2)再生率の測定
まず、パティキュレートを未堆積の状態でハニカム構造体の重量を測定しておいた。
次に、回転数が2000min−1、トルクが40Nmでエンジン276を所定時間運転し、表2に示した量のパティキュレートをハニカム構造体に堆積させた。ここで、一旦、ハニカム構造体を取りだし、その重量を測定した。
その後、ポストインジェクション方式で、エンジンを10分間運転することにより、ハニカム構造体20に再生処理を施し、再生処理後のハニカム構造体の重量を測定した。
そして、減少したパティキュレート(PM)重量から下記計算式(2)を用いて再生率(%)を算出した。
再生率(%)=(再生前PM重量−再生後PM重量)/再生前PM重量・・・(2)
結果を表2に示した。
Figure 2013139022
表2に示した結果から明らかなように、実施例に係るハニカム構造体では、初期捕集効率が100%であり、80%を超える高い再生率を確保することができていた。
また、実施例3〜6、10の再生率の比較より、高い再生率を確保することができるという点で、CeOを含む触媒が望ましいことが明らかとなった。
一方、試験例1に係るハニカム構造体では、再生処理において、溶損が発生していた。これは、ハニカム構造体を構成するコーディエライトの耐熱温度が1200℃未満であるため、多量のパティキュレート(6g/l)を燃焼した際に、温度が上昇し、溶損したものと考えられる。このことから、ハニカム構造体の耐熱温度は1200℃以上であることが望ましいことが明らかとなった。
また、試験例2に係るハニカム構造体では、比較例3と比較すれば、大きい再生率を示していたものの、その再生率は76%であり、実施例3〜6、10に比べると再生率に劣るものであった。
この理由は、担持した酸化物触媒の量が少ないためであると考えられる。
また、比較例に係るハニカム構造体は、総じて再生率に劣るものであった。これは、比較例1〜5では酸化物触媒を担持していないためであり、比較例6では見掛け密度が0.73g/cmと大きすぎるためと考えられる。
10、20、40、60 ハニカム構造体
45、65 セラミックブロック
50 多孔質セラミック部材
11、51、61 セル
52、62 封止材
13、53、63 セル壁
200、270 排ガス浄化装置
80、201 触媒担体
23、271 金属ケーシング

Claims (4)

  1. 複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材が接着材層を介して複数個結束されて構成された集合型ハニカム構造体であって、
    前記多孔質セラミック部材は、炭化珪素からなり、
    前記セル壁の厚みは、0.2〜0.4mmであり、
    前記セル壁の少なくとも一部に、CeOおよびZrOからなる酸化物触媒が担持され、
    前記酸化物触媒の前記ハニカム構造体の見掛け体積に対する担持量は、10〜50g/lであり、
    前記ハニカム構造体の見掛け密度は、0.55〜0.7g/cmであることを特徴とするハニカム構造体。
  2. 気孔率が40〜60%である請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 耐熱温度が1200℃以上である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  4. 排ガス流路に請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体が設置され、前記ハニカム構造体の上流側に貴金属触媒が担持された触媒担体が設置されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
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