JP2013138803A - X線ct撮影装置及びその画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 処理を複雑化することなく、CT装置から得られた画像を再構成する際に、ユーザの好む画像を得られるようにする。
【解決手段】 被検者にX線を照射するX線照射部と、入射するX線に応じたデジタル量の電気信号を一定のフレームレートで出力するX線検出部と、前記X線照射部と前記X線検出部の対を、被検者を挟んで互いに対向させた状態で被検者の周りを移動させる旋回手段と、前記旋回手段が前記X線照射部及び前記X線検出部を被検者の周りを移動させることに伴って前記検出部が出力する画像信号を投影画像データとして順次記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された投影画像データに基づいて画像再構成演算を得る画像処理手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記投影画像データを閾値が設けられたフィルタを用いて、閾値までの高周波数成分を強調し、その画像データを再構成演算する。
【選択図】 図9
【解決手段】 被検者にX線を照射するX線照射部と、入射するX線に応じたデジタル量の電気信号を一定のフレームレートで出力するX線検出部と、前記X線照射部と前記X線検出部の対を、被検者を挟んで互いに対向させた状態で被検者の周りを移動させる旋回手段と、前記旋回手段が前記X線照射部及び前記X線検出部を被検者の周りを移動させることに伴って前記検出部が出力する画像信号を投影画像データとして順次記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された投影画像データに基づいて画像再構成演算を得る画像処理手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記投影画像データを閾値が設けられたフィルタを用いて、閾値までの高周波数成分を強調し、その画像データを再構成演算する。
【選択図】 図9
Description
この発明は、X線CT(コンピュータ断層撮影)撮影装置に関し、ノイズによる画像のざらつき感を抑えた画像か、物体の輪郭のはっきりした鮮明な画像かの程度を複雑な処理を施すことなく提供するものである。
X線CTは、X線を用いて人体の360度方向からデータを得、そのデータをコンピュータ処理することにより、断層像を得るものである。近時では、CTで得られた画像を三次元画像に変換するソフトウェアが医療分野において実用化されている。
近年、診断に三次元化された画像を使用することが増えており、それに伴う患者への被曝線量増加の問題が起こってくる。しかし、照射線量を低減させると、量子モトルが増加して、画像が劣化する。これは、照射X線が受光系に不均一に到着するために空間的揺らぎが生じ、ノイズとして加わる。このノイズを除去するために、様々な手法が提案されている。
例えば、帯域ろ波または帯域減衰の周波数フィルタで通過周波数を制限し、不要な周波数の信号及びノイズを除去する方法が知られている。
パノラマ撮影やセファロ撮影では、被写体にX線を一様に照射して撮影した場合、被写体の部位ごとの厚みの変化や、障害陰影による画像濃度変化により、画像中の一部はX線不足、一部はX線過多であるような画像が撮影される場合が多い。画像の部分が白くなりすぎ、あるいは黒くなりすぎると診断に使用できなくなる。従って、計算処理により画像の特徴を強調し、見やすくすることが望ましい。そこで、特許文献1には、次のX線画像処理方法が記載されている。この処理方法は、X線画像処理において、パノラマ撮影またはセファロ撮影により得られたデジタルX線画像データを2次元フーリエ変換し、次に、得られたフーリエ変換データに対して、2次元周波数空間の縦方向と横方向で周波数特性の異なるマスクの値と乗算して、フーリエ変換データを変換させる。次に変化させた後のフーリエ変換データをフーリエ逆変換して、得られた画像を診断画像として出力するものである。
ところで、X線CT撮影装置で被写体を撮影した後、高周波数成分を強調しないまま逆投影した場合には、ぼやけた画像となる。図11は、CT撮影を想定したシミュレーションにより画像を作成したものであり、高周波数成分を強調しないままの画像である。図11に示すように、高周波数成分を強調しない場合には、ぼやけた画像Iが得られる。このため、高周波数成分の強調は必要不可欠な処理である。
高周波数成分を強調すると、物体の輪郭がくっきりした鮮明な画像が得られる。図11の画像Iは高周波数成分を強調しなかったため、著しくぼやけた画像が得られている。このため、本来は逆投影する前に高周波数成分を強調しなければならない。CT画像を得るためには、図12に示す処理が行われる。まず、X線CT撮影装置で撮影し、その投影画像データを入手する(ステップS1)。そして、RAMPフィルタ、Shepp‐Loganフィルタなどを用いて、投影画像データの高周波数成分を強調する(ステップS2)。高周波数成分を強調した投影画像データを逆投影して再構成画像データを得る(ステップS3)。得られた再構成画像データを表示装置に診断用画像として表示させる(ステップS4)。
このときによく利用されるフィルタとしては、上記のように、RAMPフィルタとShepp‐Loganフィルタがある。これらのフィルタ特性は、図13に示すような周波数とフィルタ値との関係を有している。
図13のグラフにおいて、横軸は周波数であり、縦軸はその周波数の強度を何倍するかを示している。図13のように、RAMPフィルタとShepp‐Loganフィルタは共に、高周波数であるほどその強度を強めていることが分かる。RAMPフィルタとShepp‐Loganフィルタは式で表すと次式(1)のようになる。次式において、周波数をx、フィルタ値をyとしている。また、xHは、デジタル画像が表現できる最大の周波数である。
高周波数成分を強調すると、必ずノイズ成分も強調される。この様子を図14に示す。図14はShepp‐Logan頭部ファントムモデルのシミュレーション画像において、Shepp‐Loganフィルタで高周波数成分を強調した時のシミュレーション画像を示す図である。図14に示すように、画像Iは、高周波数成分を強調すると輪郭はくっきりするが、ノイズ成分が強調され、画像全体がざらざらしていることが分かる。
画像のざらざら感を抑えるために、平滑化という処理が施される。平滑化処理を施すCTの画像処理方法を説明する。従来は、図15A、図15Bに示すように、X線CT撮影装置から得られた投影画像データ、または再構成画像データに対して平滑化を施すことがほとんどである。例えば、図15Aの処理は、投影画像データに対して平滑化処理を行うものである。すなわち、X線CT撮影装置で撮影し、投影画像データを入手する(ステップS1)。そして、投影画像データに対して平滑化処理を行う(ステップS11)。その後、RAMPフィルタやShepp‐Loganフィルタなどを用いて高周波数成分を強調し(ステップS2)、高周波数成分を強調した画像データを逆投影して再構成画像データを得る(ステップS3)。この再構成した画像データを診断用画像として表示装置に表示させる(ステップS4)。
また、図15Bの処理は、再構成した画像データに対して平滑化処理を行うものである。すなわち、X線CT撮影装置で撮影し、投影画像データを入手する(ステップS1)。そして、投影画像データに対してRAMPフィルタやShepp‐Loganフィルタなどを用いて高周波数成分を強調し(ステップS2)、高周波数成分を強調した投影画像データを逆投影して再構成画像データを得る(ステップS3)。この再構成した画像データを平滑化処理し(ステップS12)、平滑化処理した再構成画像データを診断用画像として表示装置に表示させる(ステップS4)。
なお、上記においては、平滑化処理は、X線CT撮影装置から得られた投影画像データ、または再構成画像データのどちらか一方に対して平滑化処理を行っているが、X線CT撮影装置から得られた投影画像データに平滑化処理を行い、更に、再構成画像データに対しても平滑化処理を行うように構成する場合もある。
この平滑化処理としては、例えば、周辺画素の平均がとられる。平均の取り方は様々の方法があり、注目画素の4近傍の単純平均化、注目画素の8近傍の単純平均化、注目画素の24近傍の単純平均化、重み付けをつけた4近傍又は8近傍の平均化などがある。
上記したように、従来、画像のざらつき感を抑制しようとすると、図15A、図15Bに示すように、本来のCT再構成のプロセスとは別に、フィルタで高周波数成分を強調する前か、あるいは再構成画像データを得た後、もしくは両方に、平滑化のためのプロセスを別途設けなければならない。
従来、ノイズによる画像のざらつき感を抑えるためには、画像データに平滑化処理を施しているため、平滑化の調整の手間がかかるとともに、平滑化処理プロセスが必要になるという難点がある。
また、ざらつきは目立つが鮮明な画像とざらつきは目立たないがぼけている画像のどちらを好むかはユーザによって異なる。各ユーザが求める画像に合わせて平滑化の強さを調整するためには、処理の過程を余分に設ける必要があり、処理が複雑化するという難点がある。
この発明は、上記した従来の問題点を解消するためになされたものにして、処理を複雑化することなく、ノイズによる画像のざらつき感を抑制した画像が得られるようにすることを目的とする。
この発明のX線CT撮影装置は、被検者にX線を照射するX線照射部と、入射するX線に応じたデジタル量の電気信号を一定のフレームレートで出力するX線検出部と、前記X線照射部と前記X線検出部の対を、被検者を挟んで互いに対向させた状態で被検者の周りを移動させる旋回手段と、前記旋回手段が前記X線照射部及び前記X線検出部を被検者の周りを移動させることに伴って前記検出部が出力する画像信号を投影画像データとして順次記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された投影画像データに基づいて画像再構成演算を得る画像処理手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記投影画像データを閾値が設けられたフィルタを用いて、閾値までの高周波数成分を強調し、その画像データを再構成演算することを特徴とする。
この発明のX線CT撮影装置の画像処理方法は、X線CT撮影装置で撮影された投影画像データから再構成画像を得るX線CT撮影装置の画像処理方法であって、X線CT撮影装置で撮影されX線検出部から出力される投影画像データを順次記憶手段に記憶させ、前記記憶手段に格納された投影画像データを読み出し、前記投影画像データを閾値が設けられたフィルタを用いて、閾値までの高周波数成分を強調し、その画像データを再構成演算し、再構成画像データを得ることを特徴とする。
前記フィルタは、所定のフィルタ関数と矩形関数との積をとることにより、閾値以上の高周波数成分が遮断される。また、前記矩形関数のパラメータの変更により遮断周波数を変更するように構成できる。また、前記フィルタは、RAMPフィルタ又はShepp‐Loganフィルタを用いればよい。
この発明は、平滑化処理を複雑化することなく、高周波数成分の強調とノイズの抑制を行って、再構成画像データを得ることができる。
以下、歯科用X線CT撮影装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
医療分野では、1台で種々の撮影モードを実行することが可能なX線CT撮影装置が用いられている。例えば、歯科分野においては、湾曲した歯列弓を平面状に展開した像として撮影するパノラマ撮影モードと、生体器官の関心領域の断層面画像を取得するCT撮影モードとの両方を実行することが可能な兼用型のX線CT撮影装置が知られている。この兼用型のX線CT撮影装置としての例を図1及び図2を参照して説明する。図1は、座位タイプのX線CT撮影装置本体の正面図およびX線CT画像表示装置の斜視図、図2は、座位タイプのX線CT撮影装置本体の側面図である。
X線CT撮影装置は、X線CT撮影装置本体1と、X線CT画像表示装置2を備え、通信ケーブル等によってデータを送受信する構成になっている。X線CT撮影装置本体1は、被検者(患者)にX線を照射するX線照射部110と、被検者を透過したX線を検出するX線検出部120と、X線照射部110及びX線検出部120を対向して有する旋回アーム3とを備える。
X線CT撮影装置本体1は、被検者とされる顎顔面を保持する被検者保持手段(頭部固定部)4と、旋回アーム3を駆動する図示しない駆動ユニット部と撮影制御部を備えている。
X線照射部110は、X線を照射するX線管等からなるX線源111aと、X線ビームの広がりを規制するスリット等からなるコリメータ111とで構成されており、X線検出部120は、2次元的に広がったCCDセンサやX線間接変換方式(FPD:フラットパネルディテクタ)センサ等からなるX線検出器121を設けたカセット121bで構成されている。カセット121bはX線検出部120に対して着脱自在であるが、X線検出器121はカセット121bを介さずにX線検出部120に固定的に設けてもよい。X線源111aからのX線は、被検者を透過してX線検出器121のX線入力面121aに与えられる。このX線検出器121は、例えば、30fpsのフレームレート(1フレームは、例えば、512×512画素)で入射X線を、当該X線の量に応じたデジタル電気量の画像データとして収集することができる。
X線CT撮影装置本体1は、図示しない制御装置により、駆動ユニット部の駆動制御、X線照射部110の照射制御、X線検出部120の検出制御等を行う。撮影時には、X線照射部110及びX線検出部120の対は、被検者の頭頸部を挟んで互いに対峙するように位置し、その対毎一体に頭頸部の周りを回転するように駆動される。
X線CT画像表示装置2は、X線CT撮影装置本体1から得られたデータを処理して画像を生成する。このX線CT画像表示装置2は、例えば、コンピュータやワークステーションで構成されており、画像データ処理装置20には、例えば、液晶モニタ等のディスプレイ装置からなる表示装置26や、キーボード、マウス等で構成された操作手段25が接続されている。さらに、ハードディスクやNAS(network attached storage)などからなる記憶装置22が接続され、画像再構成したデータがDICOMなどの再構成画像データとして格納される。
X線CT撮影装置本体1は、X線CT画像表示装置2からの指令に従って、被検者(患者)の歯顎領域の歯科用パノラマ撮影装置又は頭頸部領域のCT撮影を実行する。また、各種指令や座標データ等をX線CT画像表示装置2から受け取る一方、撮影した画像データをX線CT画像表示装置2に送る。また、被撮影領域(撮影対象領域)の底辺は、X線照射部110から照射されるコーンビームの下縁の線が基準となる。
図1および図2に示すように、座位タイプのX線CT撮影装置本体1は、左右両側に支柱6が立設されている。支柱6は、床面に設置されたベース5に支持されている。支柱6の上部に、支持フレーム7が支持されており、支持フレーム7の中央部70内に回転駆動ユニットが設けられている。
旋回アーム3の両側にX線検出部120及びX線照射部110が設けられている。X線CT撮影本体1は、被検者を座位状態にするための椅子部40を備える。さらに、X線CT撮影装置本体1は、椅子部40を上下動するための電動式アクチュエータ40aが設けられている。電動式アクチュエータ40aの動作で椅子部40を上下動して、被検者の個体差に応じて撮影対象領域の高さに位置決めする。
X線CT撮影装置本体1は、椅子部40の下部に横方向に延びるフレーム40bが設けられ、このフレーム40bは、上下方向に伸縮自在な電動アクチュエータ40cが取り付けられている。X線CT撮影装置本体1は、電動アクチュエータ40cの上部に、頭部支持ユニット71を有する。頭部支持ユニット71は、被検者が椅子部40から出入りしやすいように、水平方向に旋回可能で、基準位置に位置決めロック可能となっている。頭部支持ユニット71は、被検者の頭部を固定するための頭部固定部4、被検者がグリップするための一対のハンドル71bを備える。
頭部固定部4は、撮影に際して被検者の頭部を安定的に固定するために、被検者の顎を乗せるためのチンレスト4aと、側頭部または外耳口を固定するための左右対称に開閉する側頭部押さえまたはイヤーロッド4bと、前頭部を支持するための前頭部押さえ(図示せず)とで、構成する3点固定方式を基本として、更に後頭部を前頭部に対してベルトを用いて固定するようになっている。
さらに、X線CT撮影装置本体1は、旋回アーム3の底面と頭部固定部4の上部とが干渉しないように干渉防止機構41を備える。干渉防止機構41は、頭部支持ユニット71に設けられた反射型のビームセンサー41aを備える。さらに、干渉防止機構41は、支柱6の所定の高さ位置に反射板41bを備える。反射板41bは、ビームセンサー41aに対向する位置に設けられており、ビームセンサー41aから照射されるビームが反射板41bで反射され、ビームセンサー41aが検知することで電動アクチュエータ40a、40cの上昇を停止するようになっている。これにより、被検者の頭部が旋回アーム3に干渉せず安全に構成されている。
また、支持フレーム7には、動作表示手段42d及びポジションビーム手段42cが設けられている。動作表示手段42dは、稼働中の装置がどのような操作を行っているか表示する。ポジションビーム手段42cは、選択されたモードの撮影対象領域(画像再構成範囲)がどの範囲かを被検者に弱いレーザービームを照射し、その範囲内に被検者を位置決めするように電動アクチュエータ40a、40cを操作できるようになっている。
さらに、支持フレーム7は、被検者の正中位置を確認するための正中用レーザービーム42aを備える。また、旋回アーム3の両側に位置付け用レーザービーム42b、42b’が設けられている。位置付け用レーザービーム42bは、旋回アーム3のX線検出部120側に設けられ、位置付け用レーザービーム42b’は旋回アーム3のX線照射部110側に設けられている。位置付け用レーザービーム42b、42b’は、X線源111aと予め設定されたX線検出器121の入力面121aの基準位置とを結ぶ直線上を一本の線状に指向するようになっている。さらに、X線源111aとX線検出器121の入力面121aに予め設定された基準位置121bとを結ぶ水平な直線に対して直交し、且つ、旋回軸3cの中心を通る垂直の軸線を指向するようになっている。これにより、位置付け用レーザービーム42b、42b’は、被検者の対象撮影領域(画像再構成範囲)の中心位置を指示し、設定を容易にできるようになっている。
撮影時には、チンレストで支持される被検者が、X線検出部120及びX線照射部110との間に固定される。X線照射部110内部に備えられたX線源111aの前に設けたコリメータ111で所定のX線束を発生し、旋回アーム3を旋回させて被検者を順次走査するとともに、これに同期してX線検出部120からの投影画像データが取得される。X線CT画像表示装置2は、X線検出部120からの投影画像データを処理して、再構成画像データを得る。そして、表示装置26に診断用画像が表示される。
図1においては、記憶手段22は、外部の記憶装置を記載しているが、画像データ処理装置20内にも記憶装置を備えている。この発明では、内部の記憶装置と外部の記憶装置で記憶手段22を構成しているが、これに限らず、上記した各種データを格納できるものであればよい。図1、図2は、座位の場合を例示したが、図示しないが立位の装置の場合も当然有り得ることは勿論である。
図3は、X線CT画像表示装置2の画像データ処理装置20の内部構成と接続機器を示すブロック図である。画像データ処理装置20は、全体を制御するCPU200と、それにバス210を介して接続されるメモリ(ROM、RAM)202を備える。CPU200には、さらにキーボード25、マウス206、表示装置26、プログラムとファイルを記憶するハードディスク装置(HDD)208、各種光ディスクとアクセスするドライブ装置209および外部との通信を行う通信装置207が接続される。ハードディスク208、メモリ202には、後で説明するX線画像処理プログラムやそれに用いるフィルタ特性値などが記憶されている。また、ハードディスク208、メモリ202には、各種撮影データや画像データが格納される。
CPU200は、X線画像処理プログラムを実行するが、その内容は後で説明する。
ここに、CPU200、メモリ202、ハードディスク208は、画像処理手段を形成する。CPU200は、メモリ202、ハードディスク208に格納されたプログラムにより、各種動作を制御し、フィルタ処理、画像再構成等の機能を果たすように動作する。
さらに、CPU200は、メモリ202、ハードディスク208に予め格納されている制御及び処理の全体を担うプログラムに沿って、装置の構成要素の全体の動作を制御する。かかるプログラムは、操作者からそれぞれに制御項目についてインターラクティブに操作情報を受け付けるように設定されている。CPU200は、フレームデータの収集(スキャン)などを実行可能に構成されている。
被検者は、図1および図2に示すように、座位の姿勢でチンレスト4aの位置に顎を置いて、ヘッドレストに額を押し当てる。これにより、患者の頭頸部(顎部)の位置が旋回アーム3の回転空間のほぼ中央部で固定される。この状態で、旋回アーム3が被検者の頭頸部の周りをXY面に沿って回転する。
この回転の間に、X線照射部110からX線が曝射される。このX線は、撮影位置に位置する被検者の顎部(歯列部分)を透過してX線検出部120に入射する。X線検出部120は、前述したように、高速のフレームレート(例えば、30fps)で入射X線を検出し、対応する電気量の2次元のデジタルデータ(例えば、512×512画素)をフレーム単位で順次出力する。このフレームデータ(投影画像データ)は、通信ラインを介して、X線CT画像表示装置2の画像データ処理装置20のバス210からメモリ202に格納される。
CPU200は、メモリ202に格納されたフレームデータ(投影画像データ)を用いて、フィルタ処理、画像再構成処理して再構成画像データを作成する。
上記したように、撮影した投影画像データにフィルタを用いて高周波数成分を強調する演算を行う必要がある。高周波数成分を強調すると、ノイズ成分が強調される。ノイズ成分が強調される原因は、RAMPフィルタやShepp‐Loganフィルタなどによる高周波数成分の強調にある。本発明者等は、ある閾値の高周波数成分までを強調し、閾値以上の高周波数成分は全て0に遮断することで、平滑化と同じ効果を得ながら高周波数成分の強調が可能であることを見出した。
そのプロセスを図4に従い説明する。まず、X線CT撮影装置本体1で撮影し、その投影画像データを入手し、メモリ202に格納する(ステップS21)。そして、この発明の特徴であるRAMPフィルタ又はShepp‐Loganフィルタなどを用いて閾値までの高周波数成分を強調し、フィルタ処理を行った投影画像データをメモリ202に格納する(ステップS22)。そして、所定の閾値まで高周波数成分を強調した投影画像データを逆投影して再構成画像データを得る(ステップS23)。このようにして得られた再構成画像データにより、診断用画像を表示装置26に表示させる(ステップS24)。この手法を用いれば、図15A、図15Bのように平滑化のためのプロセスを別途設ける必要がなくなり、より簡単な方法で高周波数成分の強調と平滑化処理が同時に行える。
閾値以上の高周波数成分を全て0に遮断するためには、上記した式(1)に下記に示す式(2)の矩形関数との積をとれば良い。
図5に、式(2)に示す矩形関数を示す。式(3)に示すように、式(1)と式(2)との積をとると、ある閾値までの高周波数成分を強調し、閾値以上の高周波数成分は全て0に遮断するように拡張したRAMPフィルタとShepp‐Loganフィルタが得られる。そして、式(3)に示すように、遮断する閾値の周波数をbとすると、Shepp‐LoganフィルタのxHがbに置き換えられる。これは、図13のShepp‐Loganフィルタのグラフにおいて、周波数が高くなった際にフィルタ値が下がってくるタイミングを調節するためである。このRAMPフィルタとShepp‐Loganフィルタのグラフをそれぞれ図6および図7に示す。図6がRAMPフィルタであり、図7がShepp‐Loganフィルタである。
図7に示すような閾値を与えたShepp‐Loganフィルタを適用した場合のシミュレーション画像を図8に示す。図8に示すように、シミュレーションによる再構成画像Iは、高周波数成分の強調により輪郭がはっきりしている。そして、閾値を超えた部分は0に遮断されているので、ノイズが強調されずざらつき感が抑制されることが分かる。
このように、ある閾値までの高周波数成分を強調し、閾値以上の高周波数成分は遮断するように拡張したフィルタを用いることで、平滑化の調整を別途行うことなくノイズのざらつきを抑制し、輪郭を強調した画像が得られる。また、平滑化処理を別途行わないので、処理ステップも簡略化できる。
次に、図6又は図7に示すように、高周波数成分を閾値が超えると遮断するフィルタを適用して、X線CT投影画像データから再構成画像データを得る動作につき、図9及び図10に示す。図9は、周波数領域でフィルタ補正する場合の処理を示し、図10は空間領域でフィルタ補正する場合の処理を示している。まず、図9に従い、周波数領域でフィルタ補正する場合の処理動作につき説明する。
被検者の頭頸部(顎部)の位置が旋回アーム3の回転空間のほぼ中央部で固定される。この状態で、旋回アーム3が被検者の頭部の周りをXY面に沿って回転する。
この回転の間に、X線照射部110からX線が曝射される。このX線は、撮影位置に位置する被検者の顎部(歯列部分)を透過してX線検出部120に入射する。X線検出部120は、前述したように、高速のフレームレート(例えば、30fps)で入射X線を検出し、対応する電気量の2次元のデジタルデータ(例えば、512×512画素)をフレーム単位で順次出力する。このフレームデータ(投影画像データ)は、通信ラインを介して、X線CT画像表示装置2の画像データ処理装置20のバス210からメモリ202に格納される(ステップS31)。
メモリ202には、矩形関数との積を取り、高周波数成分を遮断するよう構成したフィルタが格納され、遮断周波数を表すパラメータbが格納されている。CPU200は、事前に設定したパラメータbに従って矩形関数を生成する(ステップS32)。
続いて、CPU200は、生成した矩形関数とフィルタ特性に対応した所定の関数との積をとり、フィルタ特性を決定する(ステップS33)。
CPU200は、メモリ202から投影画像データを読み出し、投影画像データをフーリエ変換し、投影画像データのスペクトルデータを作成する(ステップS34)。そして、投影画像データのスペクトルデータと閾値を超えると遮断を与えるフィルタとの積を取り、高周波数成分の強調と平滑化を合わせたフィルタ処理を行う(ステップS35)。続いて、フィルタが適用された投影画像データのスペクトルデータをフーリエ逆変換して、フィルタ補正された投影画像データを得る(ステップS36)。そして、フィルタ補正された投影画像データを逆投影して再構成画像データを得る。その再構成画像データをメモリ202に格納する(ステップS37)。そして、メモリ202から再構成画像データを読み出し、診断用画像として表示装置26に表示する(ステップS38)。
次に、図10に従い、空間領域でフィルタ補正する場合の処理動作につき説明する。
前述と同様に、旋回アーム3が被検者の頭頸部の周りをXY面に沿って回転し、X線照射部110からX線が曝射される。このX線は、撮影位置に位置する被検者の顎部(歯列部分)を透過してX線検出部120に入射する。X線検出部120は、前述したように、非常に高速のフレームレート(例えば、30fps)で入射X線を検出し、対応する電気量の2次元のデジタルデータ(例えば、512×512画素)をフレーム単位で順次出力する。このフレームデータ(投影画像データ)は、通信ラインを介して、X線CT画像表示装置2の画像データ処理装置20のバス210からメモリ202に格納される(ステップS31)。
メモリ202には、矩形関数との積を取り、高周波数成分を遮断するよう構成したフィルタが格納され、遮断周波数を表すパラメータbが格納されている。CPU200は、事前に設定したパラメータbに従って矩形関数を生成する(ステップS32)。
続いて、CPU200は、生成した矩形関数とフィルタの特性に対応した所定の関数との積をとり、フィルタ特性を決定する(ステップS33)。
CPU200は、遮断を与えるフィルタをフーリエ逆変換し、遮断を与える空間領域のフィルタを作成する(ステップS41)。続いて、メモリ202から投影画像データを読み出し、投影画像データと遮断を与える空間領域のフィルタとの畳み込み積分を施す(ステップ42)。
そして、畳み込み積分が施された投影画像データを逆投影することにより再構成画像データを得て、メモリ202に格納する(ステップS43)。その再構成画像データをメモリ202から読み出し、診断用画像として表示装置26に表示する(ステップS44)。
この発明は、所定の閾値を超えると遮断するフィルタを用いることで、別途平滑化処理を行わなくても平滑化と同様の効果が得られる。よって、処理を複雑化することなく、ユーザが好む画像を容易に得ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 X線撮影装置本体
2 X線CT画像表示装置
3 旋回アーム
110 X線照射部
120 X線検出部
20 画像データ処理装置
200 CPU
210 バス
202 メモリ
22 記憶手段
25 操作手段
26 表示装置
2 X線CT画像表示装置
3 旋回アーム
110 X線照射部
120 X線検出部
20 画像データ処理装置
200 CPU
210 バス
202 メモリ
22 記憶手段
25 操作手段
26 表示装置
Claims (8)
- 被検者にX線を照射するX線照射部と、
入射するX線に応じたデジタル量の電気信号を一定のフレームレートで出力するX線検出部と、
前記X線照射部と前記X線検出部の対を、被検者を挟んで互いに対向させた状態で被検者の周りを移動させる旋回手段と、
前記旋回手段が前記X線照射部及び前記X線検出部を被検者の周りを移動させることに伴って前記検出部が出力する画像信号を投影画像データとして順次記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された投影画像データに基づいて画像再構成演算を得る画像処理手段と、を備え、
前記画像処理手段は、前記投影画像データを閾値が設けられたフィルタを用いて、閾値までの高周波数成分を強調し、その画像データを再構成演算することを特徴とするX線CT撮影装置。 - 前記フィルタは、所定のフィルタ関数と矩形関数との積をとることにより、閾値以上の高周波数成分が遮断されることを特徴とする請求項1に記載のX線CT撮影装置。
- 前記矩形関数のパラメータの変更により遮断周波数を変更する、請求項2に記載のX線CT撮影装置。
- 前記フィルタは、RAMPフィルタ又はShepp‐Loganフィルタであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のX線CT撮影装置。
- X線CT撮影装置で撮影された投影画像データから再構成画像データを得るX線CT撮影装置の画像処理方法であって、
X線CT撮影装置で撮影されX線検出部から出力される投影画像データを順次記憶手段に記憶させ、前記記憶手段に格納された投影画像データを読み出し、前記投影画像データを閾値が設けられたフィルタを用いて、閾値までの高周波数成分を強調し、その画像データを再構成演算し、再構成画像データを得ることを特徴とするX線CT撮影装置の画像処理方法。 - 前記フィルタは、所定のフィルタ関数と矩形関数との積をとることにより、閾値以上の高周波数成分を遮断することを特徴とする請求項5に記載のX線CT撮影装置の画像処理方法。
- 投影画像データをフーリエ変換し、投影画像データのスペクトルデータと前記設定したフィルタ特性との積をとり、フィルタが適用された投影画像データのスペクトルデータをフーリエ逆変換して再構成画像データを得ることを特徴とする請求項6に記載のX線CT撮影装置の画像処理方法。
- 前記設定したフィルタ特性をフーリエ逆変換し空間領域のフィルタを生成し、投影画像データと空間領域のフィルタとの畳み込み積分を施し再構成画像データを得ることを特徴とする請求項6に記載のX線CT撮影装置の画像処理方法。
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---|---|---|---|
JP2012001013A JP2013138803A (ja) | 2012-01-06 | 2012-01-06 | X線ct撮影装置及びその画像処理方法 |
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61154646A (ja) * | 1984-12-28 | 1986-07-14 | 株式会社東芝 | 放射線断層測定装置 |
JPS61185256A (ja) * | 1985-02-13 | 1986-08-18 | 株式会社日立メデイコ | X線ct画像処理装置 |
JPS63183045A (ja) * | 1987-01-26 | 1988-07-28 | 株式会社 日立メデイコ | 断層像再構成方法及びその装置 |
-
2012
- 2012-01-06 JP JP2012001013A patent/JP2013138803A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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