JP2013138564A - バスバ及び電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】数十キロワット程度の導電容量に適したバスバと、そのようなバスバを用いた電力変換装置を提供する。
【解決手段】本明細書が開示するバスバ10は、角材状の細長金属部材の本体12の先端部分に突起13が取り付けられている。この突起13により、バスバ10は、本体12の長手方向の正面からみてL字状に形成されている。L字の外側面が相手の電極と溶接される面である。先端をL字状に構成することによって、L字の垂直面が電極との溶接面となる場合、L字の水平面を構成する部分が、溶接に際しての厚みを確保する部分となる。角材状の本体12は、L字の垂直面を構成する部分に連なっていればよい。上記のバスバは、先端部分に、溶接に必要な最小限の厚みを確保しているとともに、角材状の本体12は不必要に断面積を大きくせずに済む。
【選択図】図2

Description

本明細書が開示する技術は、電力を電子部品に供給する、あるいは、電子部品の出力を他の回路へ分配するのに用いられる細長金属製の導電部材であるバスバと、そのバスバを使った電力変換装置に関する。
電力を電子部品に供給する、あるいは、電子部品から出力を取り出すための導電部材には、ワイヤなどの細線を撚り集めたケーブルと、角材状あるいは丸棒状の細長金属部材がある。後者は、通電する電力が比較的に大きい場合に用いられ、バスバ(BUS BAR)と呼ばれる。バスバと接続される電子部品の電極も、同程度の大きさの電力が流れることから平板状であることが多い。バスバと電極は、溶接により接合することがあり、その場合には、溶接し易いようにバスバの先端形状も平板とされることが多い。バスバと電極の接合性を向上するとともにバスバの歩留まりを向上させる技術が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の技術は、バスバの平板状の先端を、所定の間隔を空けて設けられた凹部とその間に形成される山状残部で構成し、その山状端部を電極と溶接するというものである。
特開2010−115060号公報
電気自動車のモータに代表される、数十キロワット程度のモータ用の電力変換装置(インバータや電圧コンバータなど)でもバスバが用いられる。数十キロワット程度の電力を流すにはバスバにそれほど大きな断面積は必要とされない。他方、溶接(特にTIG溶接)する部材の少なくとも一方には、或る程度の厚みが必要とされる。即ち、数十kW程度の電力を流すためのバスバでは、電子部品の電極と溶接する先端部分において、角材状あるいは丸棒状の金属部材の途中における断面積よりも大きい断面積が必要とされる場合がある。先端部分に対する要求に合わせて角材あるいは丸棒の断面積を大きくするのは、材料の無駄であり、また、溶接時の熱が角材状あるいは丸棒状の金属部材へと拡散してしまい、溶接が難くなる虞がある。本明細書は、数十キロワット程度の導電容量に適したバスバと、そのようなバスバを用いた電力変換装置を提供する。
本明細書が開示する技術は、電子部品の平板状の電極に溶接されるバスバであり、角材状あるいは丸棒状の細長金属部材の先端部分が、細長金属部材の長手方向の正面からみてL字状(あるいは凸型状)に形成されている。このバスバは、L字の外側面(あるいは凸型の底面)が相手の電極と溶接される面である。なお、L字の外側面とは、L字の屈曲部において約270度の角度を構成する側の面を指す。
先端をL字状に構成することによって、L字の垂直面(あるいは水平面)が電極との溶接面となる場合、L字の水平面(あるいは垂直面)を構成する部分が、溶接に際しての厚みを確保する部分となる。角材状あるいは丸棒状の細長金属部材は、L字の垂直面(あるいは水平面)を構成する部分に連なっていればよい。先端を凸型状に構成する場合には、底面に対して突出する部分が、溶接に際しての厚みを確保する部分となる。上記のバスバは、先端部分に、溶接に必要な最小限の厚みを確保するとともに、角材状あるいは丸棒状の細長金属部材は不必要に断面積を大きくせずに済む。
正面から見て先端をL字状となすことには次の利点もある。溶接の際、溶接する部材の溶接面とは反対側の面に、冷やし金と呼ばれる金属棒をあてがうことがある。冷やし金は、溶接面とは反対側の面を冷却し、溶接する部材が過熱することを防止するツールである。L字形状の屈曲部は、冷やし金を係止するのに好都合である。即ち、L字の屈曲部に冷やし金を当てがうことで冷やし金を簡単に位置決めできる。さらには、L字の部材において溶接面となっていない平坦部は、冷やし金を挟持して固定する場所としても利用することができる。凸型状の場合も同様であり、凸型の屈曲部が上記L字状の屈曲部を同様の効果を奏する。
上記のバスバは、数十キロワット程度のモータの電力変換装置に適している。特に、パワー半導体(スイッチング素子)を内蔵した複数の平板型の半導体パッケージと複数の平板型の冷却器が交互に積層した半導体モジュールを備えた電力変換装置に適している。そのような電力変換装置では、平行に並んだ複数の半導体パッケージから、パワー半導体の平板状の電極が、その平板面を半導体パッケージの平板面と平行にして伸びている。複数の電極が平板面を対向させて並んでいるので、電極と接続するバスバは、半導体パッケージの積層方向と交差する方向からアプローチすることになる。そのようなレイアウトの場合、上記したバスバは、半導体パッケージの積層方向と交差する方向から電極へと伸びてくると、先端のL字型の外側面(あるいは凸型の底面)がちょうど電極の平板面と対向するようになる。先端がL字状(あるいは凸型状)のバスバを採用することで、半導体モジュールの電極とバスバとの溶接の作業性が良く、かつ接合性の良い電力変換装置を実現することができる。
実施例の電力変換装置の斜視図である。 バスバと電極の突起分の拡大図である。 図3(A)は、バスバの側面図を示しており、図3(B)はバスバの正面図を示している。 冷やし金を当てたバスバを示す図である。 変形例のバスバの斜視図である。 図6(A)は、第2変形例のバスバの側面図を示しており、図6(B)は第2変形例のバスバの正面図を示している。
図1に、インバータ100(電力変換装置)の斜視図(一部分解図)を示す。インバータ100は、電気自動車に搭載され、数十キロワット程度のモータに電力を供給するデバイスである。インバータ100は、バッテリの電力を昇圧する昇圧コンバータ回路と、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を含んでいる。
例えば、モータの出力を50キロワットとし、モータの定格入力電圧を500ボルトとすると、流れる電流は100アンペアとなる。昇圧コンバータ回路とインバータ回路のスイッチング素子には100アンペア程度の電流が流れることになる。スイッチング素子は、典型的にはIGBTに代表されるパワートランジスタと、パワートランジスタと逆平行に接続されるダイオードである。それらの素子にはトータルで100アンペアの電流が流れるので、発熱量が大きい。そのため、スイッチング素子は、その他の回路(スイッチング素子を駆動するPWM信号を生成する制御回路など)とは別に、半導体モジュール2に集積されている。
半導体モジュール2は、上記したスイッチング素子を内蔵した複数の平板型の半導体パッケージ3と、複数の平板型の冷却プレート4を交互に積層したユニットである。冷却プレート4の内部は、冷媒が流れる冷媒流路となっている。平板型の半導体パッケージ3はその両側から冷やされ、スイッチング素子の発熱が抑えられる。
スイッチング素子の入力電流や出力電流はスイッチング動作により脈動する。その脈動を抑えるため、インバータ100はコンデンサ7を備えている。スイッチング素子に流れる100アンペア程度の電流の脈動を抑制するため、コンデンサ7は大容量である。コンデンサ7は、ブラケット8に収められており、そのブラケット8から、コンデンサ7とスイッチング素子を電気的に接続するバスバ10a、10bが伸びている。ブラケット8に収められたコンデンサ7、及び、半導体モジュール2はインバータのケース6に収められる。なお、図1では、スイッチング回路の駆動信号を生成する回路は図示を省略している。
夫々の半導体パッケージ3の上面から2本の電極9a及び9bが伸びている。昇圧コンバータ回路とインバータ回路では、パワートランジスタとダイオードのセットが一つの半導体パッケージ3に収められている。電極9aは直列接続の正極(P極)用電極であり、電極9bは直列接続の負極(N極)用の電極である。なお、半導体パッケージ3の下面からは、パワートランジスタのゲートに信号を供給する電極が出ているが、その電極は図示を省略している。ゲートに加える信号は小電力であるため、電極9aや9bなどに用いるバスバと同じ太さのバスバを用いる必要はない。
前述したように、スイッチング素子には100アンペア程度の電流が流れるため、電極9a、9bは平板状であり、電極9a、9bに電力を供給する導電部品にも平板状のバスバ10a、10bが用いられる。以下では、バスバ10a、10bを区別しない場合には「バスバ10」と称し、電極9a、9bを区別しない場合には「電極9」と称する。図1に示されているように、電極9は、積層された半導体パッケージ3の夫々から平行に伸びている。そのため、積層方向に隣接する電極間の間隔は狭い。
図2に電極9とバスバ10の接合部付近の拡大図を示す。図2では図を理解し易いように、手前側の2枚の半導体パッケージ3とそれらを挟む3枚の冷却プレート4だけを描いてあり、それ以降の半導体パッケージは図示を省略した。バスバ10についても同様であり、手前側の2枚の半導体パッケージに対応するバスバだけを描いてある。電極9は積層方向に並んでおり、電極間の幅が狭い。そのため、バスバ10は、半導体パッケージ3の積層方向に交差する方向から電極9へ伸びるように配置される。別言すれば、スイッチング素子(パワー素子)の平板状の電極9は、その平板面を半導体パッケージ3の平板面と平行にして上方に伸びている。バスバ10は、半導体パッケージ3の積層方向と交差する方向から電極9に向かって伸びている。電極9とバスバ10の先端はTIG溶接により接合される。
バスバ10の側面図を図3(A)に示し、正面図を図3(B)に示す。バスバ10は、細長金属製の角材状の本体12と、先端に設けられた突起13から構成される。なお、本体12と突起13は独立した部品ではなく、1本の金属棒材からプレス加工により作られる。突起13は、角材状の本体12の先端において、角材の短辺の上に位置している。バスバの正面とは、角材状の本体12の長手方向に沿ったその先端を意味する。図3(B)がよく示しているように、バスバ10は、長手方向の正面から見て、L字型(逆L字型)である。L字型の外側面Aが、平板状の電極9と接合する面である。外側面Aの反対側の内側面B及び内側面Bと直交する内側面Cには、後述するように、溶接の際に冷やし金が当てられる。
バスバの各寸法の関係ついて述べる。本体12の板厚をt1、本体12の板幅をt3とすると、概ね、t3=t1×3である。突起13の高さをt4、幅をt2とすると、概ね、t4=t1×2であり、t2=t1×4である。なお、この寸法関係は一例であり、他の寸法関係も取り得ることに留意されたい。
バスバ10と電極9はTIG溶接にて接合される。TIG溶接は、タングステンを電極に用い、不活性ガスの中で母材にアークを発生させ、母材を溶かして接合する溶接方法である。ある程度のボリュームを有する突起13があるため、溶接時にバスバ10の先端が溶融して崩れることがなく、その形状を維持できる。しかしながら、アークを発生させ続けると、突起13もその全体が過熱する。そこで、溶接時に、バスバ10の先端の内側面BとCに冷やし金と呼ばれる金属棒を当てがう。図4に、冷やし金20を仮想線で描いた斜視図を示す。冷し金20も、金属棒である。溶接のアークにより突起13と本体12の先端に生じた熱は、冷やし金20を通じて拡散する。冷やし金20は、溶接面Aとは反対の面に当てられているので、溶接面Aは溶接に十分な温度を保ち、しかし反対側の面B及び、その直交面Cは冷却される。
図4に示すように、冷やし金20は、L字型のバスバ10の先端において、L字の内側屈曲部にちょうど当接するので、位置が確保し易い。なお、図4において、突起13と冷やし金20をクリップで上下から挟み込み、冷やし金20を固定してもよい。
正面から見たときにL字形状をなしているバスバ10の利点を述べる。バスバはL字形状をなしており、L字の外側面が平板状の電極9と溶接される。溶接の際、厚みのある突起13が熱容量を確保するので、バスバ10の先端が溶融し過ぎることがない。ある程度の容積がある突起13を備えているので、本体12の断面を大きくする必要がない。本体12の断面を大きくせずに済むことは、本体12を通じて拡散する熱量が多くはないことを意味する。それゆえ、本体12が過度には高温にならないので、例えば本体12の周囲を樹脂で囲ったりすることができる。
バスバ10は、数十キロワットを流す導電部材に適している。数十キロワット程度では、バスバ本体12に要求される断面積も大きくはない。即ち、電気容量の観点からは、バスバ本体12の断面積はそれほど大きくなくともよい。他方、バスバの先端は、溶接に耐え得るためにある程度の容積が必要とされる。溶接に必要な容積は、突起13によって確保される。それゆえ、本体12を無駄に太くする必要がない。
バスバ10は、半導体パッケージと冷却プレートが交互に積層した半導体モジュールの平板電極と接合するのに適している。積層体の半導体モジュールでは、平板状の電極の間が狭い。そこで、積層体の側方からバスバを伸ばし、電極と接合することになる。正面から見てL字状のバスバ10は、積層体の側方から伸びるように配置すると、先端のL字形状の外側面が、ちょうど電極の平板と対向するので、都合がよい。
バスバ10の先端のL字の屈曲部の内側は、冷やし金20を当てがうのに好適である。屈曲部の内側に冷やし金20を押し当てればよいので、冷やし金20の位置決めが容易である。また、冷やし金20を当てがう一方の面は、突起13である。突起13は、冷やし金20をクリップ等で固定するにも役立つ。
バスバの変形例を説明する。図5は、変形例のバスバ110の斜視図である。このバスバ110は、本体112が丸棒形状である。バスバ110は、丸棒状の本体112の先端が平板部112bとなっている。平板部112bの付け根112aでは、本体の丸棒が徐々に楕円になり平板部112bに連なっている。突起13は先に説明したバスバ10の突起と同じである。このバスバ110もプレス加工によって成形される。プレス加工により、付け根112aの変形、平板部112b、及び、突起13が一度に作られる。バスバ110も、先に説明したバスバ10と同様の効果を奏する。
バスバの別の変形例を説明する。図6に、第2の変形例のバスバ210を示す。図6(A)は、バスバ210の側面図であり、図6(B)は、バスバ210の正面図である。バスバ210は、細長金属製の角材状の本体212と、先端にて本体212の側面に設けられた突起213で構成される。図6(B)によく示されているように、バスバ210を正面から見ると、凸型形状である。凸型形状の底面Aが、電極と接合する面である。凸型の屈曲部Dが、前述したバスバ10のL字形状の屈曲部と同様に、冷やし金を位置決めする役割を果たす。バスバ210も、先に説明したバスバ10と同様の効果を奏する。
実施例のバスバに関する留意点を述べる。「L字状」とは、2つの平板がそれぞれの端部で直交するように配置された形状を指す。「L字」の向きはいずれの向きでもよい。バスバの先端が、正面から見てほぼ直角に屈曲していればよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:半導体モジュール
3:半導体パッケージ
4:冷却プレート
6:ケース
7:コンデンサ
8:ブラケット
9、9a、9b:電極
10、10a、10b、110、210:バスバ
12、112、212:バスバ本体
13、213:突起
100:インバータ

Claims (2)

  1. 電子部品の平板状の電極に溶接されるバスバであり、
    角材状あるいは丸棒状の細長金属部材の先端部分が、長手方向の正面からみてL字状又は凸型状に形成されており、L字の外側面又は凸型の底面が前記電極と溶接されることを特徴とするバスバ。
  2. パワー半導体を内蔵した複数の平板型の半導体パッケージと複数の平板型の冷却器が交互に積層した半導体モジュールを備えた電力変換装置であり、
    パワー半導体の平板状の電極が、その平板面を半導体パッケージの平板面と平行にして伸びており、
    半導体パッケージの積層方向と交差する方向から伸びている請求項1のバスバが前記電極と溶接されていることを特徴とする電力変換装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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