JP2013138097A - 酸混合液の回収システム、酸混合液の回収方法、および、シリコン材料の洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコンエッチング槽より発生する排ガスから、システムの安定的運転の下で純度の高いフッ酸および硝酸を回収する技術の提供。
【解決手段】シリコンエッチング槽1での多結晶シリコン塊のエッチングにより、フッ酸と硝酸を含む排ガスが発生する。この排ガスはフード2により吸引され、排気ダクト3を通じてスクラバ4Aに送られる。スクラバ4Aは、下段が吸収剤槽7、中段が充填剤槽9となっており、吸収剤槽7に設けられたフッ酸・硝酸回収ライン13により、フッ酸および硝酸が第2洗浄槽14から回収される。排ガスは、吸収剤槽7内に収容されている吸収剤(水または過酸化水素水)で吸収される。水または過酸化水素水を吸収剤として用いると、フッ化ケイ素が加水分解後に高分子化合物となったとしても、この生成化合物は強い膨潤を起こさず、ゲル化することなく吸収剤槽7内に沈降し、スクラバの運転を不能とするようなことはない。
【選択図】図1
【解決手段】シリコンエッチング槽1での多結晶シリコン塊のエッチングにより、フッ酸と硝酸を含む排ガスが発生する。この排ガスはフード2により吸引され、排気ダクト3を通じてスクラバ4Aに送られる。スクラバ4Aは、下段が吸収剤槽7、中段が充填剤槽9となっており、吸収剤槽7に設けられたフッ酸・硝酸回収ライン13により、フッ酸および硝酸が第2洗浄槽14から回収される。排ガスは、吸収剤槽7内に収容されている吸収剤(水または過酸化水素水)で吸収される。水または過酸化水素水を吸収剤として用いると、フッ化ケイ素が加水分解後に高分子化合物となったとしても、この生成化合物は強い膨潤を起こさず、ゲル化することなく吸収剤槽7内に沈降し、スクラバの運転を不能とするようなことはない。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリコン材料のエッチング工程で発生した排ガスからフッ酸および硝酸を含む酸混合液を回収するための技術、及び、これを再生してシリコン材料のエッチング工程で再利用する技術に関する。
シリコンウエハや多結晶シリコン塊等のシリコン材料をエッチングする際には、一般に、フッ酸(HF)と硝酸(HNO3)を含む混合液が用いられる。この酸混合液中の各酸濃度は、洗浄対象となるシリコン材料に付着している汚染物の濃度や除去難度等に応じて選定される。また、エッチングで用いられた酸混合液が高い濃度でフッ酸ないし硝酸を含んでいる場合には、これを廃棄処理することなく回収し、再生して再利用される(例えば、特許文献1(特開平9−10557号公報)を参照)。
このような酸混合液をエッチャントとして用いる処理工程では、反応により生成したガスやエッチャントから気化したフッ酸ガスや硝酸ガスが発生するが、これらのガスは毒性が高い。このため、エッチング槽の近傍に局所排気用のフードを取り付けて排ガスを吸引し、これを中和液を循環させたスクラバ等のガス吸収装置に導いて有毒な成分を中和することにより無害化する。
ところで、シリコン材料をフッ酸と硝酸を含む酸混合液でエッチングすると、下記の化学反応が進行する。
1)Si+2HNO3→SiO2+NO↑+NO2↑+H2O
2)SiO2+4HF→SiF4↑+2H2O
SiO2+6HF→H2SiF6
3)H2SiF6→SiF4↑+2HF
H2SiF6+H2O→H2SiO3+6HF
2)SiO2+4HF→SiF4↑+2H2O
SiO2+6HF→H2SiF6
3)H2SiF6→SiF4↑+2HF
H2SiF6+H2O→H2SiO3+6HF
従って、フッ酸と硝酸を含む酸混合液をエッチャントとして用いる処理工程で発生する排ガス中には、主として、シリコン材料がエッチングされることにより発生するNO2ガス、NOガス、H2ガス、およびSiF4ガス、エッチャントの未反応成分としてのHNO3ガスおよびHFガス、雰囲気である空気成分としてN2ガス、O2ガス、およびCO2ガスが含まれる。
このような排ガスを無害化するために、一般に、スクラバ(気体洗浄機)を用いて薬液に吸収させて有害成分を分解ないし中和する処理が行われる。上述の排ガス成分のうち、HFガス、HNO3ガス、NO2ガスの吸収にはアルカリ水(通常は苛性ソーダ)をスプレーする方法等が用いられ、NOガスの吸収には次亜塩素酸ソーダ水によって接触酸化させて苛性ソーダに吸収させる方法等が用いられる。
また、特許文献2(特開昭64−72530号公報)には、エッチング液の再生処理工程を含むシリコン材料のエッチングシステムが提案されている。このシステムでは、エッチング液を貯留する貯留槽を設け、この貯留槽から供給されるエッチング液をエッチング対象であるシリコン材料に噴霧させることでエッチングを行い、エッチング液からフッ酸および硝酸の回収を行うクローズドシステムである。
従来、シリコン材料をエッチングする薬液槽から発生する排ガスは、特許文献1や2に開示されているような手順で無害化された後に外環境へと排出されているが、このようなシステムでは、排ガスの無害化のために用いられる薬液のコストがかかる上に、下記のような問題もある。
排ガス中に含まれるSiF4は、水と反応するとコロイド状(膠状)のケイ酸SiO2を生成する。この物質は、苛性ソーダと反応して一部は水溶性のケイ酸ナトリウムとなるが、水溶液が中性に近づくと、再度、凝結を起こしてヒドロゲルを形成する。そして、このゲルは、水溶液中に電解質が存在すると全体が寒天様に固まることがあり、配管の閉塞を起こしたり、循環槽内での薬液の混合攪拌を妨げるなど、スクラバの装置トラブルの原因となる。このため、排ガス処理槽に溜まったゲルを除去する作業を定期的に行う必要がある。
また、特許文献2が開示するようなクローズドシステムの場合、再利用されるエッチング液の組成ないし純度の管理を行うことは難しい。
本発明は上述したような従来技術が抱える問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、シリコンエッチング槽より発生する排ガスから、システムの安定的運転の下で純度の高いフッ酸および硝酸を回収する技術を提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明に係る酸混合液の回収システムは、シリコン材料をエッチングするためのフッ酸および硝酸を含有する酸混合液を貯める第1の薬液槽と、前記第1の薬液槽から発生するフッ酸および硝酸を含む排ガスを充填塔型ガス吸収装置に導く排気ラインと、前記充填塔型ガス吸収装置内に充填された吸収剤により回収されたフッ酸および硝酸を含有する酸混合液を第2の薬液槽に導く酸混合液回収ラインとを備え、前記吸収剤として水または過酸化水素水が用いられている、ことを特徴とする。
前記吸収剤としては、過酸化水素水が好ましい。
前記充填塔型ガス吸収装置内のフッ酸および硝酸に触れる表面の材質は、耐酸性の高分子化合物であることが好ましい。
また、本発明に係る酸混合液の回収方法は、フッ酸および硝酸を含有する酸混合液を用いたシリコン材料のエッチング工程で発生したフッ酸および硝酸を含む排ガスを充填塔型ガス吸収装置に導き、前記充填塔型ガス吸収装置内に充填された水または過酸化水素水に吸収させてフッ酸および硝酸を含有する酸混合液を回収する、ことを特徴とする。
本発明では、シリコンのエッチング処理の際に発生する排ガスを、水あるいは過酸化水素水を吸収剤(吸収液)として用いることでトラップする。このため、排ガス中に含まれるフッ化ケイ素が加水分解後に縮合して高分子化合物となったとしても、吸収剤は酸性を維持するため、生成した酸化ケイ素系高分子化合物は強い膨潤を起こさず、ゲル化することなく比較的高比重の小粒子となって吸収剤槽内に沈降し、スクラバの安定的な運転が可能となる。
以下に、図面を参照して、本発明により、シリコン材料(以下では、多結晶シリコン塊とする)のエッチング工程で発生する排ガスから純度の高いフッ酸および硝酸を回収する手法について説明する。
図1は、本発明によりフッ酸と硝酸を含む酸混合液を回収するためのシステム構成を説明するためのブロック図である。符号1で示したものは多結晶シリコン塊のエッチングに用いられる薬液槽(シリコンエッチング槽)であり、このシリコンエッチング槽1でフッ酸と硝酸を含む酸混合液による多結晶シリコン塊のエッチングが行われる。このエッチング工程では気化したフッ酸と硝酸を含む排ガスが発生するが、この排ガスは、労働安全衛生法に規定されている基準に基づいてその数と配置が定められたフード2により吸引される。なお、排風機6が設けられた排気ダクト3(排気ライン)は、フード2の吸引口部での排ガスの線速度が適切な値となるように運転される。
フード2で吸引された排ガスは、排気ダクト3を通じて前段(第1塔)のスクラバ4Aに送られる。スクラバ4Aは、充填塔型ガス吸収装置であり、下段が吸収剤槽7、中段が充填剤槽9となっており、吸収剤槽7と充填剤槽9の間には、後述する吸収剤(吸収液)を循環させるための送液ポンプ8を有する送液ライン10が設けられている。なお、吸収剤槽7の下部には、液抜きのためのドレイン5が設けられている。また、吸収剤槽7の側部にはフッ酸・硝酸回収ライン13が設けられており、フッ酸・硝酸回収用ポンプ11および濾過器12を介して、フッ酸および硝酸が第2洗浄槽14へと送られて回収され、シリコン材料をエッチングする際の薬液等として再利用される。
スクラバ4Aに送られた排ガスは、吸収剤槽7の内部に収容されている吸収剤(水または過酸化水素水)により吸収される。シリコンエッチング槽1から発生する排ガスには、大気成分を除くと、NO2、NO、H2、SiF4、HNO3、HFが含まれる。これらの成分うち、NOは自然酸化されてNO2となり、NO2およびHNO3は吸収剤に吸収されてフッ酸と硝酸を含む酸混合液となる。また、SiF4は吸収剤により加水分解され縮合して酸化ケイ素系高分子化合物となり、HFはフッ酸と硝酸含む酸混合液のHF成分の一部となる。
上述したように、排ガス成分をアルカリ水溶液(中和液)により吸収した場合には、排ガスが含む酸成分によって中和液が中性付近のものとなり、この場合には、フッ化ケイ素が加水分解して生成するケイ酸ナトリウムが縮合して生成する酸化ケイ素系高分子化合物が膨潤したゲル状物となり、スクラバの運転が不能になるような場合もある。
しかし、排ガス成分を水あるいは過酸化水素水を吸収剤(吸収液)として用いると、フッ化ケイ素が加水分解後に縮合して高分子化合物となったとしても、吸収剤は酸性を維持するため、生成した酸化ケイ素系高分子化合物は強い膨潤を起こさず、ゲル化することなく比較的高比重の小粒子となって吸収剤槽7内に沈降し、スクラバの運転を不能とするようなことはない。
スクラバ4Aの形式等に特別な制限はないが、吸着剤が上方より散布されガスが下方より送られる向流式のスクラバは、吸収効率が高く好ましい。また、吸収剤槽7や、送液ポンプ8および送液ライン10などの吸収液が触れる部分は、その接触面(内面)が耐酸性樹脂であることが好ましい。さらに、充填剤槽9に充填される充填剤は吸収効率を向上させるためのものであり、このような充填剤としては、例えば、テラレット(月島環境エンジニアリング社)、トリパックス(協和エンジニアリング社)、ネットリング(大日本プラスチック社)、トリカルパッキン(タキロン社)等の耐酸性プラスチックを例示することができる。
図1ではスクラバ4Aは単一のものとしたが、複数設けるようにしてもよい。
シリコンエッチング槽1から発生する排ガス中の主成分であるNO2、NO、H2、SiF4、HNO3、HFのうち、水あるいは過酸化水素水を吸収剤とするスクラバ4Aにより、H2ガス以外は略全てを吸収することができる。しかし、スクラバ4Aから排出されるガス中には、スクラバ4A内でNOが酸化されて生じたNO2ガスが含まれることがある。そのため、このような排出ガスをそのまま外部に放出することは好ましいことではない。
そこで、図1に示すように、スクラバ4Aと同様に水あるいは過酸化水素水を吸収剤とする後段(第2塔)のスクラバ4Bを設け、このスクラバ4Bにより毒性のガスを完全に除去した後に外部環境に放出することが好ましい。特に、過酸化水素水はNOを強く捕捉できるため、通過後の排ガスのNOおよびNO2濃度を容易に低減でき、吸収剤として好ましい。水あるいは過酸化水素水を吸収剤とするスクラバ4Bに送り込まれてくる排ガスは、既にスクラバ4Aによって殆どのフッ化ケイ素が除去されているため、長時間運転してもトラブルは発生しない。なお、スクラバ4Bの後方にさらに、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化ナトリウム溶液に次亜塩素酸ナトリウムを添加した処理液を中和液として用いる吸収塔(不図示)を設ける構成としてもよい。
このようなシステムによる排ガスの吸収によりフッ酸および硝酸を回収する際の効率を調べるため、循環吸収液を適宜抜き取って化学分析し各成分の濃度の変化量を測定して求めた。その結果、フッ酸および硝酸ともに5%質量程度の濃度のものまでを得ることができることが分かった。どの程度の濃度のフッ酸・硝酸溶液を回収すべきかはその用途によるが、利用目的に適合する濃度のフッ酸と硝酸の酸混合液が得られた段階で、吸収剤槽7の側部に設けたフッ酸・硝酸回収ライン13から酸混合液を一部抜き出し、第2洗浄槽14へと回収すればよい。なお、このような抜き出しによる吸収液の減少分を補うように、水あるいは過酸化水素水を外部から補充する。
スクラバ4Aを複数設けて吸気の切り替えが可能な構成とした場合には、少なくとも1つのスクラバを運転中とし、運転を停止したスクラバ内を循環している酸混合液の全量を抜き出して第2洗浄槽14へと回収することもできる。
一般に、半導体用ポリシリコン、単結晶用ウエハ、エピタキシャル膜ウエハ、太陽電池用ポリシリコン、酸化膜付きの単結晶用ウエハ、石英ガラス製のフォトマスク用基板等の洗浄には、不純物濃度が低くかつフッ酸および硝酸の濃度が2〜3質量%程度の溶液が用いられる。従って、酸混合液をこのような精密洗浄用途で用いる場合には、上述の方法で回収したフッ酸・硝酸溶液をそのまま洗浄液として再利用することができる。
これとは逆に、金属ケイ素の表面をエッチングする際のように、フッ酸および硝酸の濃度が5質量%を超える溶液を洗浄液として用いる場合には、上述の方法で回収したフッ酸・硝酸溶液に、適当濃度のフッ酸ないし硝酸を適量追加すればよい。
[排ガスの捕集]
50質量%のフッ酸4Lと70質量%の硝酸36Lを混合したフッ酸硝酸混液40Lをシリコンエッチング槽1に入れ、1バッチの処理量が多結晶シリコン塊12kgであるエッチング洗浄操作を30バッチ行った。このエッチング工程でシリコンエッチング槽1から発生する排ガスを、シリコンエッチング槽1の近傍に配置したフード2で吸引して捕集した。捕集した排ガスを、全系が塩ビおよびポリプロピレン製の配管である排気ダクト3によりスクラバ4A(およびスクラバ4B)に導いた。
50質量%のフッ酸4Lと70質量%の硝酸36Lを混合したフッ酸硝酸混液40Lをシリコンエッチング槽1に入れ、1バッチの処理量が多結晶シリコン塊12kgであるエッチング洗浄操作を30バッチ行った。このエッチング工程でシリコンエッチング槽1から発生する排ガスを、シリコンエッチング槽1の近傍に配置したフード2で吸引して捕集した。捕集した排ガスを、全系が塩ビおよびポリプロピレン製の配管である排気ダクト3によりスクラバ4A(およびスクラバ4B)に導いた。
[排ガスの吸収]
スクラバ4Aおよび4Bの吸収剤槽7に充填する吸収剤として、約80Lの水を用いた場合と約80Lの3質量%過酸化水素水を用いた場合のそれぞれについて、フッ酸および硝酸の回収を試みた。これら吸収剤は、送液ライン10により循環させ、60L/分で充填剤槽9の上部方向から散水した。充填剤槽9内には排ガス吸収効率を高めるためにポリプロピレン製テラレット(月島環境エンジニアリング社)を充填した。なお、スクラバ4A内の排ガス吸収空間は、縦1500mmで直径1200mmである。
スクラバ4Aおよび4Bの吸収剤槽7に充填する吸収剤として、約80Lの水を用いた場合と約80Lの3質量%過酸化水素水を用いた場合のそれぞれについて、フッ酸および硝酸の回収を試みた。これら吸収剤は、送液ライン10により循環させ、60L/分で充填剤槽9の上部方向から散水した。充填剤槽9内には排ガス吸収効率を高めるためにポリプロピレン製テラレット(月島環境エンジニアリング社)を充填した。なお、スクラバ4A内の排ガス吸収空間は、縦1500mmで直径1200mmである。
[吸収剤の分析]
上述した30バッチの処理の後に、吸収剤として用いた水および過酸化水素水のそれぞれについて、イオンクロマトグラフィによる分析を行った。
上述した30バッチの処理の後に、吸収剤として用いた水および過酸化水素水のそれぞれについて、イオンクロマトグラフィによる分析を行った。
吸収剤として水を用いた場合には、スクラバ4Aの吸収剤からは、F-イオンが3.3質量%、NO3 -イオンが1.7質量%、NO2 -イオンが0.2質量%検出された、また、スクラバ4Bの吸収材からは、F-イオンは0.01質量%未満、NO3 -イオンが0.3質量%、NO2 -イオンが0.2質量%検出された。この結果より、SiF4は第1塔であるスクラバ4Aで略完全に除去されており、第2塔であるスクラバ4Bには水酸化ナトリウム溶液や、次亜塩素酸ソーダを加えた水酸化ナトリウム溶液を用いてもゲル化の問題が生じないことが推測される。
一方、吸収剤として3質量%過酸化水素水を用いた場合には、スクラバ4Aの吸収剤からは、F-イオンが3.5質量%、NO3 -イオンが2.2質量%、NO2 -イオンが0.5質量%検出された。また、スクラバ4Bの吸収材からは、F-イオンは0.01質量%未満、NO3 -イオンが0.1質量%、NO2 -イオンが0.1質量%検出された。
[回収酸混合液]
吸収剤槽7の側部からフッ酸・硝酸回収ライン13を通して第2洗浄槽14に回収されたフッ酸・硝酸溶液約40Lを調べたところ、沈降性が高い酸化ケイ素重合体(シリカ)を含有してはいたが、このシリカはテフロン(登録商標)製フィルタを用いて濾過することで容易に除去することができた。
吸収剤槽7の側部からフッ酸・硝酸回収ライン13を通して第2洗浄槽14に回収されたフッ酸・硝酸溶液約40Lを調べたところ、沈降性が高い酸化ケイ素重合体(シリカ)を含有してはいたが、このシリカはテフロン(登録商標)製フィルタを用いて濾過することで容易に除去することができた。
[シリコン材料の洗浄]
吸収剤として水を用いることで得られたフッ酸・硝酸溶液40Lを、多結晶シリコン塊360kgの洗浄液として用い、その洗浄効果を確認した。超純水により洗浄した場合との比較を表1に示す(表面金属不純物量:pptw)。
吸収剤として水を用いることで得られたフッ酸・硝酸溶液40Lを、多結晶シリコン塊360kgの洗浄液として用い、その洗浄効果を確認した。超純水により洗浄した場合との比較を表1に示す(表面金属不純物量:pptw)。
なお、多結晶シリコン塊の表面金属不純物量の測定方法は以下のとおりである。まず、多結晶シリコン塊150gを500mlの清浄なテフロン(登録商標)ビーカに移し、表面金属抽出液200mlを加え、10分間、加熱抽出を行った。表面金属抽出液200mlの組成は、HF50%が100ml、水が99ml、30%過酸化水素が1mlである。表面金属の抽出後、抽出液1mlを清浄なテフロン(登録商標)容器に分取し、加熱蒸発乾固後に、1%HNO3の1mlを加え、溶解後にICP−MS(Agilent社製、7500CS)により各金属元素を定量した。
上記結果から、回収して再利用したフッ酸・硝酸溶液による、多結晶シリコン塊の表面金属不純物の除去効果が確認できる。
本発明では、シリコンのエッチング処理の際に発生する排ガスを、水あるいは過酸化水素水を吸収剤(吸収液)として用いることでトラップする。このため、排ガス中に含まれるフッ化ケイ素が加水分解後に縮合して高分子化合物となったとしても、吸収剤は酸性を維持するため、生成した酸化ケイ素系高分子化合物は強い膨潤を起こさず、ゲル化することなく比較的高比重の小粒子となって吸収剤槽内に沈降し、スクラバの安定的な運転が可能となる。
また、フッ化ケイ素から生成した高分子化合物は、濾過により、回収されるフッ酸・硝酸溶液から容易に除去することができる。
さらに、再利用されるフッ酸・硝酸溶液は、酸液が一旦気化した排ガスから回収されているため、金属汚染等の不純物が少なく純度が高い。このため、半導体デバイス用や太陽電池用などのシリコン材料の表面洗浄に安心して再利用することができる。
以上説明したように、本発明は、シリコンエッチング槽より発生する排ガスから、システムの安定的運転の下で純度の高いフッ酸および硝酸を回収する技術を提供する。
1 シリコンエッチング槽
2 フード
3 排気ダクト
4A スクラバ(第1塔)
4B スクラバ(第2塔)
5 ドレイン
6 排風機
7 吸収剤槽
8 送液ポンプ
9 充填剤槽
10 送液ライン
11 フッ酸・硝酸回収用ポンプ
12 濾過器
13 フッ酸・硝酸回収ライン
14 第2洗浄槽
2 フード
3 排気ダクト
4A スクラバ(第1塔)
4B スクラバ(第2塔)
5 ドレイン
6 排風機
7 吸収剤槽
8 送液ポンプ
9 充填剤槽
10 送液ライン
11 フッ酸・硝酸回収用ポンプ
12 濾過器
13 フッ酸・硝酸回収ライン
14 第2洗浄槽
Claims (5)
- シリコン材料をエッチングするためのフッ酸および硝酸を含有する酸混合液を貯める第1の薬液槽と、
前記第1の薬液槽から発生するフッ酸および硝酸を含む排ガスを充填塔型ガス吸収装置に導く排気ラインと、
前記充填塔型ガス吸収装置内に充填された吸収剤により回収されたフッ酸および硝酸を含有する酸混合液を第2の薬液槽に導く酸混合液回収ラインとを備え、
前記吸収剤として水または過酸化水素水が用いられている、酸混合液の回収システム。 - 前記吸収剤は過酸化水素水である請求項1に記載の酸混合液の回収システム。
- 前記充填塔型ガス吸収装置内のフッ酸および硝酸に触れる表面の材質は、耐酸性の高分子化合物である、請求項1または2に記載の酸混合液の回収システム。
- フッ酸および硝酸を含有する酸混合液を用いたシリコン材料のエッチング工程で発生したフッ酸および硝酸を含む排ガスを充填塔型ガス吸収装置に導き、前記充填塔型ガス吸収装置内に充填された水または過酸化水素水に吸収させてフッ酸および硝酸を含有する酸混合液を回収する、酸混合液の回収方法。
- 請求項4に記載の方法により回収された酸混合液を用いてシリコン材料をエッチングする、シリコン材料の洗浄方法。
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JP2015100723A (ja) * | 2013-11-21 | 2015-06-04 | 信越化学工業株式会社 | エッチング反応ガスの除害方法およびスクラバ装置 |
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