JP2013137534A - 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】現像剤担持体上に形成された一成分現像剤の薄層に効率的に電荷注入を行うために電気抵抗が低い一成分現像剤を用いた場合であっても、画像濃度が安定し、かつ地肌部への一成分現像剤の付着の無い高品質な画像を得ることのできる現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】現像剤担持体5に接触して現像剤担持体5の表面移動方向と同方向に表面移動する潜像担持体2の表面移動速度をv[m/sec]、現像剤担持体5の表面移動速度をv'[m/sec]、現像剤担持体5と潜像担持体2との表面移動速度比v'/vをK、一成分現像剤の体積固有抵抗の値をR[logΩ・cm]、としたときに、(K−1)0.75v0.25<0.7×R−6.6の関係を満たす。
【選択図】図2

Description

本発明は、一成分現像剤を使用して潜像担持体上の潜像を現像する現像装置、並びに、これを備えた複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
従来、この種の画像形成装置では、感光体ドラムを一定電位に帯電した後、レーザーやLEDなどの露光により感光体ドラム表面に静電潜像を形成し、更に、一成分現像剤としてのトナーを担持した現像ローラを感光体ドラムに接触させ、感光体ドラム表面の静電潜像に対してトナーを付着させることで現像を行っている。
上記画像形成装置で一成分現像方式の現像装置を用いた場合、現像ローラ上のトナーは荷電薄層状態で保持されており、現像ローラの回転によって、感光体ドラムと現像ローラとが接触する現像ニップ部へと搬送される。現像ローラには現像バイアス電圧が印加されており、現像ニップ部では感光体ドラム表面の静電潜像電位と現像ローラとの電位差によって現像電界が形成される。この現像電界中の荷電トナーが静電気力により移動することによって現像が行われる。
上記一成分現像方式の現像装置を用いた画像形成装置において、高品位の画像を得るためには、現像ローラ上のトナー薄層が充分に荷電されていることが必要であり、トナー薄層への荷電付与方法については種々の方策が提案されている。例えば特許文献1には、現像ローラ上にゴムまたは金属などの弾性材料からなる薄層形成ブレードを当接させ、これらの隙間にトナーを通過させて規制することにより、現像ローラ上にトナー薄層を形成し、且つ薄層形成ブレードの当接部でトナーを摩擦荷電させる静電像現像装置が開示されている。
また、特許文献2には、摩擦帯電による電荷を保持し、適正な荷電量に調節するためにトナーの電気抵抗値を比較的高抵抗に設定した電子写真平版印刷版材料が開示されている。
ところが、通常のトナー薄層は2層以上のトナーが重なった状態であることや、トナーの粒径に分布があることから、すべてのトナーを均一に摩擦帯電させることは難しい。特に、現像によって感光体ドラムにトナーを付着させた後の現像ローラ上に新たに供給されるトナーは、未帯電トナーが多いために、薄層形成ブレード当接による摩擦帯電だけでは充分な荷電量に達することができない。この帯電量が不十分なトナーは、次に感光体ドラムとの対向部に送られた際に現像濃度の違いとして現れてしまうゴースト画像や、地肌部にトナーが付着してしまうカブリ現象といった画像ノイズの原因となることが多かった。
特許文献3には、薄層形成ブレードを導電材料で構成し、この薄層形成ブレードにバイアス電圧を印加してトナー薄層に電荷注入を行うことにより、摩擦荷電の不足分を補う一成分現像装置が開示されている。
上記特許文献3に開示されているようなトナー薄層へ電荷注入を行う一成分現像装置において、効率の良い電荷注入を行うために、トナーの電気抵抗値を通常よりもやや低めに設定することが考えられる。
しかしながら、電気抵抗値が低めのトナーを一成分現像装置で使用した場合、感光体ドラム表面の静電潜像電位が現像ローラの接触によって変化することによって、画像濃度が不安定となったり、地肌部に多量のトナーが付着したりするなどの画像品質が劣化してしまうという問題がある。
上記問題について本発明者が詳細に調査した結果、現像ローラに印加した現像バイアスによって、現像ローラからトナー薄層を介して感光体ドラム表面へと電荷が流れ込み、感光体ドラム表面が注入帯電されていることが明らかとなった。さらに、感光体ドラムの速度が遅いほど電荷注入の時間が長くなるために、画像品質が劣化する問題が発生しやすいことや、感光体ドラムと現像ローラとの速度比が大きいほどトナー薄層内での電荷伝播が促進されるために、画像品質が劣化する問題が発生しやすいことが判明した。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、現像剤担持体上に形成された一成分現像剤の薄層に効率的に電荷注入を行うために電気抵抗が低い一成分現像剤を用いた場合であっても、画像濃度が安定し、かつ地肌部への一成分現像剤の付着の無い高品質な画像を得ることのできる現像装置並びにこれを備える画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、一成分現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に当接して設けられ、該現像剤担持体上の一成分現像剤を帯電させる帯電付与部材と、前記帯電付与部材にバイアス電圧を供給するバイアス電源手段と、を備えた現像装置であって、前記現像剤担持体に接触して該現像剤担持体の表面移動方向と同方向に表面移動する潜像担持体の表面移動速度をv[m/sec]、前記現像剤担持体の表面移動速度をv'[m/sec]、前記現像剤担持体と前記潜像担持体との表面移動速度比v'/vをK、前記一成分現像剤の体積固有抵抗の値をR[logΩ・cm]、としたときに、(K−1)0.75/v0.25<0.7×R−6.6の関係を満たすことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記所定の関係式を満たすことにより、帯電付与部材から注入荷電しやすい電気抵抗の低い一成分現像剤を用いた場合でも、現像剤担持体から潜像担持体表面への電荷注入量を低減させ、現像剤担持体と潜像担持体との間に形成される現像ニップ部における静電潜像電位の変化を抑制することができる。これにより、画像濃度が安定し、かつ地肌部への一成分現像剤の付着の無い高品質な画像を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成図。 現像装置の全体構成の一例を示す概略構成図。 (a)は層規制部材、現像ローラ及び感光体ドラムへのバイアス印加を説明するための説明図。(b)はバイアス印加対象の電流経路の等価回路。 現像バイアスと現像ニップ通過後の感光体電位との関係を示すグラフ。 現像ニップ部における感光体ドラムと現像ローラとの表面移動速度差と、トナー薄層の電気抵抗との関係を示すグラフ。 式(3)の不等式の関係を示すグラフ。 体積固有抵抗の値が互いに異なる4種類のトナーについて、感光体ドラムの表面移動速度と、感光体ドラムと現像ローラとの表面移動速度比Kとの関係を示すグラフ。 ベタパッチを配置した画像が形成された用紙を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示した画像形成装置は、例えば、単色の電子写真複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ、フルカラーレーザプリンタに用いられるものであり、本発明の一実施形態に係る現像装置1を含んだ構成となっている。この画像形成装置は、現像装置1、潜像担持体としての感光体ドラム2、帯電手段としての帯電ローラ3、露光手段4、感光体クリーニング手段6、中間転写体としての中間転写ベルト7、一次転写手段としての一次転写ローラ8、二次転写手段としての二次転写ローラ9、及び定着手段としての定着装置11から主に構成されている。なお、これらの構成要素のうち少なくとも現像装置1と感光体ドラム2とを一体的に支持し、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジを設けてもよい。
本実施形態に係る現像装置1は、一成分現像剤を担持する現像剤担持体と、帯電付与部材と、バイアス電源手段と、を有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記現像剤担持体は、一成分現像剤を表面に担持して、回転駆動することによって表面上の一成分現像剤を搬送する円筒状の部材であり、例えば、現像ローラ5、などが挙げられる。現像ローラ5の大きさ、形状、構造、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、通常の現像装置1に用いられるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、現像ローラ5の材質としては、ステンレス鋼、アルミニウム、セラミックス等の非磁性材料、又はこれらに樹脂層をコーティングしたもの、などが挙げられる。また、現像ローラ5の形状、大きさ等についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常用いられる程度の形状及び大きさが好ましい。
前記帯電付与部材は、前記現像剤担持体に当接して設けられ、この現像剤担持体上の一成分現像剤を帯電させる部材であり、例えば、層規制部材105、などが挙げられる。層規制部材105は、金属板バネ材料などの自由端側を所定の押圧力で現像ローラ5の表面に当接させたものであり、その押圧力下を通過したトナーを薄層化するとともに摩擦帯電によって電荷を付与するという働きを持つ。ここで、「押圧力」とは、現像ローラ5の表面の移動方向と交差している幅方向すなわち現像ローラ5の表面における層規制部材105が当接している当接部の長手方向における単位当たりの力[N/m]である。
前記バイアス電源手段は、前記帯電付与部材にバイアス電圧を供給する手段であり、例えば、層規制バイアス電源107、などが挙げられる。層規制バイアス電源107により、摩擦帯電能力を補うことができる。
前記その他の部材としては、例えば、現像剤収納部材、現像剤供給部材、などが挙げられる。
前記現像剤収納部材としては、一成分現像剤を収納することができる部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トナー収容室101を形成する現像ケース、などが挙げられる。
前記現像剤供給部材としては、一成分現像剤を前記現像剤担持体表面に供給する部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、供給ローラ104、などが挙げられる。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、潜像担持体と、この潜像担持体と対向する現像領域に一成分現像剤を搬送して潜像担持体上の潜像に一成分現像剤を付着させて現像する現像装置とを一体的に支持し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。ここで、前記現像装置として、本実施形態に係る前記現像装置1が用いられる。また、前記その他の手段としては、例えば、帯電ローラ3などの帯電手段、露光手段4、転写手段、クリーニング手段、などが挙げられる。
前記潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置は、潜像担持体と、この潜像担持体と対向する現像領域に一成分現像剤を搬送して潜像担持体上の潜像に該一成分現像剤を付着させて現像する現像装置とを一体的に支持するプロセスカートリッジと、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段とを備え、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。この画像形成装置を構成するプロセスカートリッジとして、前述のプロセスカートリッジを用いることができる。また、前記その他の手段としては、例えば、クリーニング手段、除電手段、などが挙げられる。
現像装置1に近接して感光体ドラム2が配設されており、この感光体ドラム2は、矢印方向に回転している。帯電ローラ3は、感光体ドラム2の表面に圧接されており、感光体ドラム2の回転により従動回転している。帯電ローラ3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体ドラム2の表面を所定電位に一様に帯電する。その後、感光体ドラム2は露光手段4により与えられる露光に応答して、その表面に静電潜像パターンを形成する。
また、現像装置1には現像剤担持体としての現像ローラ5が感光体ドラム2の表面に圧接して備えられており、図示しない高圧電源により所定の現像バイアスが印加されている。現像ローラ5上に供給された一成分現像剤としてのトナーは、現像バイアスの印加によって付与される電位のもとで感光体ドラム2表面の静電潜像パターンに応じて付着し、トナー像を形成する。
一次転写ローラ8には図示しない高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体ドラム2表面のトナー像は中間転写ベルト7表面に転写される。中間転写ベルト7は、図示しない駆動モータによって図中の矢印方向に回転駆動されるようになっている。中間転写ベルト7表面に形成されたトナー像は、二次転写ローラ9に所定の二次転写バイアス電圧が印加されることにより転写材である用紙10に転写される。トナー像が転写された用紙10は、定着装置11にてトナー像が定着され、出力される。また、感光体クリーニング手段6は、感光体ドラム2表面の転写残トナーのクリーニングを行う。
図2は、現像装置1の全体構成の一例を示す概略構成図である。
図2に示すように現像装置1は、トナーを収容するトナー収容室101に、複数のトナー搬送部材102と、現像ローラ5と、現像ローラ5に当接して設けられた現像剤供給手段としての供給ローラ104と、帯電付与部材としての層規制部材105とが設けられている。現像ローラ5には、現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源108から現像バイアス電圧が印加され、感光体ドラム2表面との間に形成された電界パターンに従ってトナーを移動させることにより、感光体ドラム2表面にトナー像を形成するものである。
トナー収容室101内に設けられたトナー搬送部材102は、図中時計回りの方向に回転し、収容されたトナーを供給ローラ104の方向に送り出す。供給ローラ104は、例えば金属シャフトの外周に導電性発泡ゴム層を被覆した構成となっている。導電性発泡ゴム層には例えばポリウレタンゴムの発泡体が用いられ、発泡ゴム中に導電剤としてのカーボンブラックを分散することによって、体積固有抵抗が10[Ω・cm]程度に調整されている。導電性発泡ゴム層としてはポリウレタンの他にも、エピクロルヒドリンゴム、シリコンゴム、EPDM等を用いることができる。供給ローラ104は、図中反時計回りの方向に回転し、表面に付着保持したトナーを現像ローラ5との対向位置へと搬送する。また、供給ローラ104は、現像ローラ5への押込みによる発泡体の変形によって、保持していたトナーを現像ローラ5表面へと送り出し、塗布供給する。また、供給ローラ104には供給バイアス印加手段としての供給バイアス電源106から供給バイアスが印加され、現像ローラ5との間に供給電界が形成される。本実施形態では、現像ローラ5に対して−100[V]オフセットさせた値の直流電圧からなる供給バイアスを印加することにより、供給ローラ104から現像ローラ5表面へのトナー塗布供給を静電気力によって促進するという働きを与えている。
層規制部材105は、SUS301CSPの金属板バネ材料の自由端側を所定の押圧力(例えば、約20[N/m])で現像ローラ5の表面に当接させたものであり、その押圧力下を通過したトナーを薄層化するとともに摩擦帯電によって電荷を付与するという働きを持つ。金属板バネ材料としてはSUS301CSPの他にSUS304CSPやリン青銅等なども使用できる。また、層規制部材105としては、金属板バネ材料以外にも、現像ローラ5方向に付勢する手段を伴っていれば、樹脂やゴム材料をフィルム状またはブロック状に加工したものや、ローラ形状の部材でも用いることができる。押圧力は10[N/m]以上且つ80[N/m]以下の範囲が適正であるが、高めに設定すると摩擦帯電能力は高まるが、トナーに対するダメージが強いためにトナー劣化の進行を速めることになるので、やや低めの設定が好ましい。そこで、摩擦帯電能力を補う目的で、層規制部材105に対してバイアス印加手段としての層規制バイアス電源107から直流−100[V]の層規制バイアスを印加した。この層規制バイアスは、薄層化されたトナーに対する電荷注入によってトナーの荷電を引き上げ、トナー層全体の荷電状態を均質化するという働きを持つ。層規制バイアスには現像ローラ5に対してトナーの帯電極性と同方向にオフセットさせた値の直流電圧が用いられることが多いが、交流電圧を重畳することで効果を上げる場合もある。また、層規制部材105は複数設けてもよく、このとき、少なくとも一つの層規制部材に層規制バイアスが印加されていればよい。
上記金属板バネ材料などの層規制部材105による押圧力の測定方法としては、例えば、次の測定方法などが挙げられる。本実施形態では、現像ローラ5表面の軸方向3箇所に圧力センサーを取り付けたものを現像装置1にセットし、層規制部材105を圧力センサーの測定面に当接させたときの3箇所の測定値を平均して算出した。その算出値を押圧力の値とした。なお、圧力センサーを取り付ける箇所の現像ローラ5表面を凹状に加工することによって、圧力センサーの測定面が現像ローラ5外周と同水準になるようにしてもよい。
現像ローラ5は、図中反時計回りの方向に回転し、供給ローラ104によって塗布供給されたトナーを表面に保持したまま、層規制部材105および感光体ドラム2それぞれとの対向位置へと搬送する。必要量のトナーを表面に保持するためには、現像ローラ5の表面粗さRa(中心線平均粗さ)は0.2[μm]以上及び2.0[μm]以下の範囲内に設定されていることが望ましい。この現像ローラ5は、金属シャフトの外周に導電性ゴム層を設けた構成となっている。導電性ゴム層には、例えばウレタンゴムを用いることができるが、エピクロルヒドリンゴムやシリコンゴム、EPDM等を用いてもよい。また、本実施形態では、導電性ゴム層の厚さは3[mm]とし、現像ローラ5の表面弾性はJIS−A硬度で45度としたが、感光体ドラム2との接触状態を均一に保つためには、JIS−A硬度で50度以下であればよい。さらに層規制部材105でトナーを摩擦帯電するにあたり、現像ローラ5表面にはトナーと逆の極性に帯電し易い材料からなる表面層が選択される。
現像ローラ5の表面粗さRa(中心線平均粗さ)の測定方法としては、例えば、次の測定方法などが挙げられる。本実施形態では、株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定機(型番:SV−3000)を用い、以下の条件にて現像ローラ5の表面粗さRaを測定した。この表面粗さRaを、現像ローラ5の表面の軸方向3箇所×周方向3箇所の合計9箇所で測定し、それらの測定値の平均値を算出した。
〔表面粗さRa(中心線平均粗さ)の測定条件〕
1箇所当たりの測定距離:2.5[mm]
触針:半径2[μm]
触針移動方向:軸方向
触針移動速度:1.0[mm/sec]
カットオフ値:λc=2.5[mm]、λs=0.08[mm]
感光体ドラム2は、図中時計回りの方向に回転しており、現像ローラ5表面は感光体ドラム2との対向位置において感光体ドラム2の進行方向と同方向に移動する。現像ローラ5には現像バイアス電源108から現像バイアスが印加され、感光体ドラム2上の静電潜像パターンとの間に現像電界を形成する。帯電したトナーは、その現像電界に応じて感光体ドラム2表面に移動し、現像される。この現像バイアスを作用させるために、現像ローラ5には、弾性ゴム層と表面層を含めた電気抵抗値が、10〜10[Ω]の半導電性が必要となるが、本実施形態ではゴム中に導電剤としてのカーボンブラックを分散することによって体積固有抵抗を10[Ω・cm]程度に調整した。
感光体ドラム2上に現像されずに現像ローラ5上に残されたトナーが再びトナー収容室101側へと戻る部分には、入り口シール109が現像ローラ5に当接して設けられ、トナーは現像装置外部に漏れ出ないように封止される。
トナーは、層規制部材105からの電荷注入による荷電補助の効果を得るために、体積固有抵抗の値が10.9[logΩ・cm]以下となるように処方設計されたものが好ましい。ただし体積固有抵抗の値が低すぎると、トナーの電荷保持能力が低くなり、カラー画像形成時の転写工程において複数色のトナーを重ねることが困難となる等の不具合が発生するため、体積固有抵抗値は8.0[logΩ・cm]以上であることが望ましい。トナーの体積固有抵抗の値は、例えば、トナーに含有されるカーボンブラックの部数及び分散状態を変更することによって、目標の値に設定することができる。
なお、本実施形態においてトナーの体積固有抵抗の測定は以下の手順で行った。
(1)トナー粒子粉末3[g]を、前川テスティング(株)製の電動プレス機にて直径4[cm]の円柱状に6[t/cm]の加重を1分間かけることにより、厚さ約3[mm]の円盤状ペレットを作成する。
(2)次に、このペレットをTR−10C型誘電体損測定器(安藤電気(株)製)にセッティングし、体積固有抵抗を測定する。測定条件は、周波数=1kHz、RATIO=1×10−9とした。そして、測定値の対数をとり体積固有抵抗値の[logΩ・cm]とした。
次に、感光体ドラム2の表面移動速度と現像ローラ5の表面移動速度とトナーの体積固有抵抗値との関係について実験を行った結果について説明する。
本実施形態では、感光体ドラム2の表面移動速度vと現像ローラ5の表面移動速度v'とを、非接触式デジタルタコメータを用いて算出した。具体的には、感光体ドラム2の表面移動速度vを求める場合、まず感光体ドラム2の回転軸に回転の目印となる反射マークを貼り付ける。そして、感光体ドラム2を回転駆動させ、回転速度が安定したところで反射マークに向けて非接触式デジタルタコメータから光を当て、反射マークで反射して戻ってきた反射光の単位時間当たりの反射数を測定する。非接触式デジタルタコメータは反射数に基づいて演算処理を行い、表示部に回転軸の回転速度[rpm]をデジタル表示する。非接触式デジタルタコメータにより計測された回転軸の回転速度[rpm]と、感光体ドラム2の周長とから感光体ドラム2の表面移動速度vを算出する。また同様にして、現像ローラ5の表面移動速度v'を算出する。このようにして、感光体ドラム2や現像ローラ5に負荷をかけることなく、しかも安全に、これらの表面移動速度v,v'を求めることができる。
図3(a)は層規制部材105、現像ローラ5及び感光体ドラム2へのバイアス印加を説明するための説明図であり、図3(b)はバイアス印加対象の電流経路の等価回路である。
図3(a)において、一成分現像方式を用いた現像装置1の現像ニップ部では、現像ローラ5に印加した現像バイアスによって、現像ローラ5からトナー薄層を介して感光体ドラム2表面へと電荷が流れ込み、その電荷が感光体ドラム2表面に注入されることで、感光体ドラム2表面の潜像電位が変化する。このときの電流経路は、図3(b)に示すように、現像ニップ部における当接面内でのトナー薄層の電気抵抗をR、現像ニップ部における当接面内での感光体静電容量をCとすると、等価回路はRとCの直列回路で表現できる。
現像バイアスをVb、感光体ドラム2表面の誘電層にかかる電圧をVpとすると、Vpは時間経過とともにVbに近づくという特性を示し、次の式(1)で表される。
Vp=Vb(1−e−t/RC)・・・(1)
上記式(1)において、Vpは感光体ドラム2の表面電位を、また時間tは感光体ドラム2が現像ニップ部を通過するために要した時間を意味する。eは自然対数の底である。従って、上記式(1)から、感光体ドラム2の速度を遅くするほど、時間tが長くなり、結果的に感光体ドラム2の静電潜像電位は現像バイアスの値により近づいてしまうことが分かる。
図4は、現像バイアスと現像ニップ通過後の感光体電位との関係を示すグラフであり、感光体ドラム2の速度を異ならせた条件での実験データである。感光体ドラム2の表面電位がゼロの状態から、現像ニップ部の通過によって変化した後の感光体ドラム2の表面電位と、現像バイアスとの関係を表している。このグラフから、感光体ドラム2の速度を遅くするほど、感光体ドラム2の静電潜像電位は現像バイアスの値により近づいていることが分かる。
上記式(1)中の感光体静電容量Cの値については、感光体ドラム2の誘電層としての感光層の厚みによって操作することが可能である。感光層の厚みを薄くするほど感光体静電容量Cの値が大きくなるので、感光体ドラム2の静電潜像電位変化を抑えやすくなる。
また、上記式(1)中の抵抗Rの値については、感光体ドラム2と現像ローラ5との速度差や、トナーの体積固有抵抗によって操作することが可能である。
図5は、現像ニップ部における感光体ドラム2と現像ローラ5との表面移動速度差と、トナー薄層の電気抵抗との関係を示すグラフである。図5に示すように、感光体ドラム2と現像ローラ5との表面移動速度差を振った実験では、両者の表面移動速度を等しくした場合には、感光体ドラム2の静電潜像電位にまったく変化が見られなかったが、両者の表面移動速度差を広げていくとトナー薄層の電気抵抗Rの値が小さくなり、感光体ドラム2上の静電潜像の電位変化が大きくなるという結果が得られた。これは表面移動速度差によって、現像ニップ内でのトナー流動が活発になり、導電経路が増加することに起因するものである。また体積固有抵抗の値が低いトナーほど静電潜像の電位変化が大きくなるということも、実験により確認された。
上記実験結果から、感光体ドラム2の表面移動速度をv[m/sec]、現像ローラ5の表面移動速度をv'[m/sec]、トナーの体積固有抵抗値をR[logΩ・cm]とするとき、トナー薄層の抵抗Rとの関係は、次の式(2)のような関係がある。
R={(3.3×R−32.3)×10}/(v'−v)0.75・・・(2)
上記理論式(1)と上記実験式(2)とから、感光体ドラム2の静電潜像電位の変化量を、静電潜像電位と現像バイアスとの電位差の20[%]未満に抑えるための条件を導くと、感光体ドラム2と現像ローラ5との表面移動速度比v'/vをKとしたとき、次の式(3)が得られた。
(K−1)0.75/v0.25<0.7×R−6.6・・・(3)
図6は、上記式(3)の不等式の関係を示すグラフである。図6中の直線の下側の範囲が式(3)の不等式を満たす領域である。
図7は、体積固有抵抗の値Rが互いに異なる4種類のトナーについて、感光体ドラム2の表面移動速度vと、感光体ドラム2と現像ローラ5との表面移動速度比Kとの関係を示すグラフである。図7中の各曲線の下側の範囲が上記式(3)の不等式を満たす領域である。なお、体積固有抵抗の値Rが互いに異なる4種類のトナーの商品名等は、次の表1のとおりである。また、表1中のサンプルAの製造方法について以下に詳細に説明する。
Figure 2013137534
〔サンプルAの製造方法〕
<ポリエステル1の合成>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物235部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物525部、テレフタル酸205部、アジピン酸47部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230[℃]で8時間反応し、さらに10〜15[mmHg]の減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸46部を入れ、180[℃]、常圧で2時間反応し、[ポリエステル1]を得た。[ポリエステル1]は、数平均分子量2600、重量平均分子量6900、Tg44[℃]、酸価26であった。
<プレポリマー1の合成>
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230[℃]で8時間反応し、さらに10〜15[mmHg]の減圧で5時間反応し[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55[℃]、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100[℃]で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート質量%は、1.53[質量%]であった。
<マスターバッチ1の作成>
カーボンブラック(キャボット社製 リーガル400R):30部、結着樹脂:ポリエステル樹脂(三洋化成RS−801 酸価10、Mw20000、Tg64[℃]):70部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130[℃]に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、パルベライザーで1[mm]の大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
<顔料・WAX分散液1(油相)の作製>
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]545部、パラフィンワックス 181部、酢酸エチル1450部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま5時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル100部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1500部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5[mm]ジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[ポリエステル1]の66%酢酸エチル溶液655部とを加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130[℃]、30分)が50[%]となるように酢酸エチルを加えて調整した。
<水相作成工程>
イオン交換水970部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25[質量%]水性分散液40、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)140部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
<乳化工程>
[顔料・WAX分散液1]975部、アミン類としてイソホロンジアミン2.6部、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000[rpm]にて1分間混合した後、[プレポリマー1]88部を加えTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000[rpm]にて1分間混合した後、[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8,000〜13,000[rpm]で調整しながら20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
<脱溶剤工程>
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30[℃]で8時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。
<洗浄・乾燥工程>
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000[rpm]で10分間)した後濾過した。このときのろ液は、乳白色であった。
(2):上記(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000[rpm]で30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10[μC/cm]以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):上記(2)のリスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(4):上記(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000[rpm]で10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10[μC/cm]以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて42[℃]で48時間乾燥し、目開き75[μm]メッシュで篩い、[トナー母体101]を得た。平均円形度は0.974、また、体積平均粒径(Dv)は6.3[μm]、個数平均粒径(Dp)は5.3[μm]で、Dv/Dpは1.19の粒度分布を有するトナー母体が得られた。ついで、この母体トナー100部に疎水性シリカ1.8部をヘンシェルミキサーにて混合して、[サンプルA]を得た。
次に、トナーの体積固有抵抗の値R、感光体ドラム2の表面移動速度v及び現像ローラ5の表面移動速度v'について具体的な数値を設定した実施例について説明する。
〔実施例1〕
第1の実施例(実施例1)では、トナー収容室101には体積固有抵抗の値が10.51[logΩ・cm]であるトナーを充填した。このトナーは、上記表1中のサンプルBに相当するトナーである。また、感光体ドラム2には外径が30[mm]の金属基体の表面に厚み27[μm]の感光層を設けたものを用い、感光体ドラム2の表面移動速度vを0.15[m/sec]に設定した。この感光体ドラム2として、株式会社リコー社製IPSiO−SP−C320用の感光体ドラムを用いた。現像ローラ5の直径は12[mm]とし、その表面移動速度が感光体ドラム2の速度の1.3倍となるように、現像ローラ5の表面移動速度v'を0.195[m/sec]に設定した。感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像パターンの電位は、画像部で−70[V]、地肌部で−500[V]となるように設定した。これらの設定条件は、次のとおり上記式(3)の関係を満たすものである。
(K−1)0.75/v0.25(≒0.651)<0.7×R−6.6(=0.757)
本実施例1の現像装置を備えた画像形成装置で、図8に示すようなA4縦用紙10の9箇所に2[cm]×2[cm]のベタ画像からなるパッチ画像(以下「ベタパッチ」という。)10aを配置した画像を印刷し、ベタパッチ10aの反射濃度の平均値が1.4となるよう、現像バイアス電圧の値を−250[V]に設定した。その結果、9箇所のベタパッチ10aの反射濃度について、最大値と最小値の差が0.05に抑えられていることが確認された。また、ベタパッチ部を現像した直後の感光体ドラム2の表面について、トナーを除去して表面電位を測定すると、現像前には−70[V]であった電位が−93[V]に変化しており、その変化量、すなわち静電潜像の電位の変化量は−23[V]にすぎなかった。このように現像ローラ5から感光体ドラム2表面への電荷注入量を低減させ、現像ローラ5と感光体ドラム2との間に形成される現像ニップ部における静電潜像の電位の変化を抑制することができる。これにより、画像濃度が安定し、かつ地肌部へのトナー付着の無い高品質な画像を得ることができる。ここで、反射濃度の測定には、X−Rite製の透過・反射濃度計(型番310)を用い、表面電位の測定には、TREK製のMODEL344を用いた。
〔実施例2〕
第2の実施例(実施例2)では、トナー収容室101には体積固有抵抗の値が10.90[logΩ・cm]であるトナーを充填した。このトナーは、上記表1中のサンプルAに相当するトナーである。また、感光体ドラム2には外径が30[mm]の金属基体の表面に厚み22[μm]の感光層を設けたものを用い、感光体ドラム2の表面移動速度を0.10[m/sec]に設定した。この感光体ドラム2として、リコー製IPSiO−SP−C320用の感光体ドラムを用いた。また、現像ローラ5の直径は12[mm]とし、その表面移動速度が感光体ドラム2の表面移動速度の1.45倍となるよう、現像ローラ5の表面移動速度v'を0.145[m/sec]に設定した。感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像パターンの電位は、画像部で−70[V]、地肌部で−500[V]となるように設定した。これらの設定条件は、次のとおり上記式(3)の関係を満たすものである。
(K−1)0.75/v0.25(≒0.977)<0.7×R−6.6(=1.03)
本実施例2の現像装置を備えた画像形成装置で、上記実施例1と同様に、図8に示すようなA4縦用紙10の9箇所に2[cm]×2[cm]のベタパッチ10aを配置した画像を印刷し、ベタパッチ10aの反射濃度の平均値が1.4となるよう、現像バイアス電圧の値を調節すると−200[V]となった。その結果、9箇所のベタパッチ10aの反射濃度について、最大値と最小値の差が0.03に抑えられていることが確認された。また、ベタパッチ部を現像した直後の感光体ドラム2表面について、トナーを除去して表面電位を測定すると、現像前には−70[V]であった電位が−85[V]であり、静電潜像の電位は−15[V]の変化にとどまっていた。これにより、画像濃度が安定し、かつ地肌部へのトナー付着の無い高品質な画像を得ることができる。ここで、反射濃度の測定には、X−Rite製の透過・反射濃度計(型番310)を用い、表面電位の測定には、TREK製のMODEL344を用いた。
ここで、感光体ドラム2には、上述したように金属基体の表面に厚み22[μm]の感光層が設けられている。本発明者が行った実験の結果によれば、この感光層の厚みは27[μm]以下、より好ましくは25[μm]以下である。感光層の厚みを薄くするほど、現像ニップ部における静電容量が大きくなるので、電荷注入の時定数が大きくなる。その結果、感光体ドラム2の表面が現像ニップ通過に要する時間内での電荷注入量が減り、静電潜像電位変化を抑えやすくなる。ここで、感光体ドラム2の誘電層である感光層の厚みは、例えば次の方法で測定することができる。本実施形態では、感光層(誘電層)の一部を溶剤にて剥離し、剥離部と未剥離部との高さの差を株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定機(型番:SV−3000)によって測定した。そして、感光体ドラム2の軸方向の3箇所の厚みを測定し、それらの平均値を算出して感光層(誘電層)の厚みを得た。
〔比較例1〕
次に、比較例について説明する。
トナー収容室101には体積固有抵抗の値が10.51[logΩ・cm]であるトナーを充填した。このトナーは、上記表1中のサンプルBに相当するトナーである。また、感光体ドラム2には外径が30[mm]の金属基体の表面に厚み27[μm]の感光層を設けたものを用い、感光体ドラム2の表面移動速度を0.15[m/sec]に設定した。この感光体ドラム2として、リコー製IPSiO−SP−C320用の感光体ドラムを用いた。現像ローラ5の表面移動速度は、感光体ドラム2の表面移動速度の1.45倍となるよう、0.218[m/sec]に設定した。これらの設定条件は、次のとおり上記式(3)の関係を満たさないものである。
(K−1)0.75/v0.25(≒0.883)>0.7×R−6.6(=0.757)
また、上記実施例1及び2と同様に、図8に示すようなA4縦用紙10の9箇所に2[cm]×2[cm]のベタパッチ10aを配置した画像を印刷し、ベタパッチ10aの反射濃度の平均値が1.4となるよう、現像バイアス電圧の値を調節すると−290[V]となった。その結果、9箇所のベタパッチ10aの反射濃度について、最大値と最小値の差は0.11であり、上記実施例1及び2と比べて非常に大きくなった。また、ベタパッチ部を現像した直後の感光体ドラム2表面について、トナーを除去して表面電位を測定すると、現像前には−70[V]であった電位が現像直後には−138[V]に変化しており、その変化量、すなわち静電潜像の電位の変化量は−68[V]もあった。ここで、反射濃度の測定には、X−Rite製の透過・反射濃度計、型310を用い、表面電位の測定には、TREK製のMODEL344を用いた。
本比較例1では、現像ローラ5から感光体ドラム2表面への電荷注入量が多く、現像ローラ5と感光体ドラム2との間に形成される現像ニップ部における静電潜像の電位の変化を抑制することができない。このため、画像濃度が安定せず、地肌部へのトナー付着のある画像になってしまうおそれがある。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
トナーなどの一成分現像剤を担持する現像ローラ5などの現像剤担持体と、現像剤担持体に当接して設けられ、現像剤担持体上の一成分現像剤を帯電させる層規制部材105などの帯電付与部材と、帯電付与部材にバイアス電圧を供給する層規制バイアス電源107などのバイアス電源手段と、を備た現像装置であって、現像剤担持体に接触して現像剤担持体の表面移動方向と同方向に表面移動する感光体ドラム2などの潜像担持体の表面移動速度をv[m/sec]、現像剤担持体の表面移動速度をv'[m/sec]、現像剤担持体と潜像担持体との表面移動速度比v'/vをK、一成分現像剤の体積固有抵抗の値をR[logΩ・cm]、としたときに、(K−1)0.75/v0.25<0.7×R−6.6の関係を満たす。これによれば、上記実施形態について説明したように、上記所定の関係式を満たすことにより、帯電付与部材から注入荷電しやすい電気抵抗の低い一成分現像剤つまり体積固有抵抗の値が8.0[logΩ・cm]以上及び10.9[logΩ・cm]以下の範囲内にある一成分現像剤を用いた場合でも、現像剤担持体から潜像担持体表面への電荷注入量を低減させ、現像剤担持体と潜像担持体との間に形成される現像ニップ部における静電潜像電位の変化を抑制することができる。これにより、画像濃度が安定し、かつ地肌部への一成分現像剤の付着の無い高品質な画像を得ることができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、前記一成分現像剤の体積固有抵抗が、10.1[logΩ・cm]以上及び10.9[logΩ・cm]以下の範囲内にある。これによれば、上記実施形態について説明したように、現像剤担持体に担持された一成分現像剤の層に対して効率の良い電荷注入を行うことができる。
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、前記潜像担持体の表面移動速度vが、0.1[m/sec]以上及び0.15[m/sec]以下の範囲内にある。これによれば、上記実施形態について説明したように、潜像担持体の表面移動速度vと前記現像剤担持体の表面移動速度v'との間で適切な速度比を設定でき、より画像濃度が安定し、かつ地肌部への一成分現像剤の付着の無い高品質な画像を得ることができる。
(態様D)
上記態様A乃至Cのいずれかにおいて、前記現像剤担持体の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が、0.2[μm]以上及び2.0[μm]以下の範囲内にある。これによれば、上記実施形態について説明したように、現像剤担持体の表面粗さRaが0.2[μm]より小さいと現像剤担持体の表面で現像剤の保持量が不足する。一方、表面粗さRaが2.0[μm]より大きいと現像剤の保持量が過多になる。本態様Dでは、現像剤担持体の表面粗さRaが、0.2[μm]以上及び2.0[μm]以下の範囲内にあるので、適切な必要量の現像剤を表面に保持することができる。
(態様E)
上記態様A乃至Dのいずれかにおいて、前記帯電付与部材が層規制部材105であり、層規制部材105が金属バネ材料からなる。これによれば、上記実施形態について説明したように、金属バネ材料からなる層規制部材105が弾性変形して適度に撓みながら一成分現像剤を薄層化するとともに、一成分現像剤に電圧を印加しつつ摩擦帯電によって電荷を付与することができる。
(態様F)
上記態様Eにおいて、前記現像剤担持体に前記層規制部材105の自由端側を当接させたときの押圧力が、10[N/m]以上及び80[N/m]以下の範囲内にある。現像剤担持体に層規制部材105の自由端側を当接させたときの押圧力が、10[N/m]より小さいと一成分現像剤に対する摩擦帯電能力が不足する。一方、押圧力が、80[N/m]より大きいと摩擦帯電能力は高まるものの、一成分現像剤に対するダメージが強いために劣化の進行を速めてしまう。本態様Fでは、上記実施形態について説明したように、現像剤担持体に層規制部材105の自由端側を当接させたときの押圧力が10[N/m]以上及び80[N/m]以下の範囲内にあることにより、一成分現像剤の劣化の進行を防ぎつつ、十分な摩擦帯電能力を維持することができる。
(態様G)
潜像担持体と、潜像担持体と対向する現像領域に一成分現像剤を搬送して潜像担持体上の潜像に一成分現像剤を付着させて現像する現像装置とを一体的に支持するプロセスカートリッジであって、前記現像装置は、トナーなどの一成分現像剤を担持する現像ローラ5などの現像剤担持体と、現像剤担持体に当接して設けられ、現像剤担持体上の一成分現像剤を帯電させる層規制部材105などの帯電付与部材と、帯電付与部材にバイアス電圧を供給する層規制バイアス電源107などのバイアス電源手段と、を備え、一成分現像剤の体積固有抵抗が8.0[logΩ・cm]以下及び10.9[logΩ・cm]以下の範囲内である現像装置であって、現像剤担持体に接触して現像剤担持体の表面移動方向と同方向に表面移動する感光体ドラム2などの潜像担持体の表面移動速度をv[m/sec]、現像剤担持体の表面移動速度をv'[m/sec]、現像剤担持体と潜像担持体との表面移動速度比v'/vをK、一成分現像剤の体積固有抵抗の値をR[logΩ・cm]、としたときに、(K−1)0.75/v0.25<0.7×R−6.6の関係を満たす。また、潜像担持体表面の感光層などの誘電層の厚みが25[μm]以下である。これによれば、上記実施形態の実施例2について説明したように、潜像担持体表面の誘電層は25[μm]以下まで薄くすることにより、現像剤担持体と潜像担持体とが互いに対向する現像ニップ部における静電容量が大きくなるので、電荷注入の時定数が大きくなる。その結果、潜像担持体の表面が現像ニップ通過に要する時間内での電荷注入量が減り、現像ニップ部を通過する前後で、静電潜像の電位変化を抑えやすくなる。ここで、誘電層の厚みの測定方法としては、誘電層の一部を溶剤にて剥離し、剥離部と未剥離部の高さの差を株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定機、型SV−3000によって測定する。そして、軸方向の3箇所の厚みを測定し、平均値を算出して誘電層の厚みを得る。
1 現像装置
2 感光体ドラム
3 帯電ローラ
4 露光手段
5 現像ローラ
6 感光体クリーニング手段
7 中間転写ベルト
8 一次転写ローラ
9 二次転写ローラ
10 用紙
10a ベタパッチ
11 定着装置
105 層規制部材
106 供給バイアス電源
107 層規制バイアス電源
108 現像バイアス電源
特開昭54−43038号公報 特開平04−240659号公報 特開平10−228173号公報

Claims (9)

  1. 一成分現像剤を担持する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に当接して設けられ、該現像剤担持体上の一成分現像剤を帯電させる帯電付与部材と、
    前記帯電付与部材にバイアス電圧を供給するバイアス電源手段と、を備えた現像装置であって、
    前記現像剤担持体に接触して該現像剤担持体の表面移動方向と同方向に表面移動する潜像担持体の表面移動速度をv[m/sec]、
    前記現像剤担持体の表面移動速度をv'[m/sec]、
    前記現像剤担持体と前記潜像担持体との表面移動速度比v'/vをK、
    前記一成分現像剤の体積固有抵抗の値をR[logΩ・cm]、としたときに、
    (K−1)0.75/v0.25<0.7×R−6.6
    の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1の現像装置において、
    前記一成分現像剤の体積固有抵抗が、10.1[logΩ・cm]以上及び10.9[logΩ・cm]以下の範囲内にあることを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1又は2の現像装置において、
    前記潜像担持体の表面移動速度vが、0.1[m/sec]以上及び0.15[m/sec]以下の範囲内にあることを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの現像装置において、
    前記現像剤担持体の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が、0.2[μm]以上及び2.0[μm]以下の範囲内にあることを特徴とする現像装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの現像装置において、
    前記帯電付与部材が層規制部材であり、該層規制部材が金属バネ材料からなることを特徴とする現像装置。
  6. 請求項5の現像装置において、
    前記現像剤担持体に前記層規制部材の自由端側を当接させたときの押圧力が、10[N/m]以上及び80[N/m]以下の範囲内にあることを特徴とする現像装置。
  7. 潜像担持体と、該潜像担持体と対向する現像領域に一成分現像剤を搬送して該潜像担持体上の潜像に該一成分現像剤を付着させて現像する現像装置とを一体的に支持するプロセスカートリッジであって、
    前記現像装置は、
    一成分現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に当接して設けられ、該現像剤担持体上の一成分現像剤を帯電させる帯電付与部材と、前記帯電付与部材にバイアス電圧を供給するバイアス電源手段と、を備え、
    8.0[logΩ・cm]以上及び10.9[logΩ・cm]以下の範囲内の体積固有抵抗を有する一成分現像剤が用いられ、
    前記現像剤担持体に接触して該現像剤担持体の表面移動方向と同方向に表面移動する潜像担持体の表面移動速度をv[m/sec]、前記現像剤担持体の表面移動速度をv'[m/sec]、前記現像剤担持体と前記潜像担持体との表面移動速度比v'/vをK、前記一成分現像剤の体積固有抵抗の値をR[logΩ・cm]、としたときに、
    (K−1)0.75/v0.25<0.7×R−6.6
    の関係を満たすことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 請求項7のプロセスカートリッジにおいて、
    前記潜像担持体表面の誘電層の厚みが25[μm]以下であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  9. 潜像担持体と、該潜像担持体と対向する現像領域に一成分現像剤を搬送して該潜像担持体上の潜像に該一成分現像剤を付着させて現像する現像装置とを一体的に支持するプロセスカートリッジと、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段と、を備えた画像形成装置であって、
    前記現像装置は、
    一成分現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に当接して設けられ、該現像剤担持体上の一成分現像剤を帯電させる帯電付与部材と、前記帯電付与部材にバイアス電圧を供給するバイアス電源手段と、を備え、
    8.0[logΩ・cm]以上及び10.9[logΩ・cm]以下の範囲内の体積固有抵抗を有する一成分現像剤が用いられ、
    前記現像剤担持体に接触して該現像剤担持体の表面移動方向と同方向に表面移動する潜像担持体の表面移動速度をv[m/sec]、前記現像剤担持体の表面移動速度をv'[m/sec]、前記現像剤担持体と前記潜像担持体との表面移動速度比v'/vをK、前記一成分現像剤の体積固有抵抗の値をR[logΩ・cm]、としたときに、
    (K−1)0.75/v0.25<0.7×R−6.6の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
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