JP2013137272A - 表面プラズモン励起蛍光計測装置、およびその計測条件の設定方法 - Google Patents

表面プラズモン励起蛍光計測装置、およびその計測条件の設定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】SPFS法を利用する光学測定において、得られる信号のSN比を高め得る技術を提供する。
【解決手段】光透過性を有する誘電体媒体の光反射面に形成された導電体膜に当該誘電体媒体側から第1励起光を照射して測定を行う表面プラズモン励起蛍光計測装置は、誘電体媒体側から光反射面に入射させたS偏光の第2励起光の入射角を光反射面で全反射する入射角に保持しつつ、第2励起光を光反射面において走査する投光部と、当該走査の際に第2励起光から派生した派生光を受光して測定する測定部と、測定部が派生光を測定した測定結果に基づいて、導電体膜に照射される第1励起光の照射位置を決定する決定部とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面プラズモン励起蛍光分光法を用いた計測技術に関する。
誘電体媒体の中を進む励起光が金属膜と誘電体媒体との屈折率の異なる界面で全反射された場合は、界面からエバネッセント波がしみだし、金属膜の中のプラズモンとエバネッセント波とが干渉する。界面への励起光の入射角が共鳴角に設定されプラズモンとエバネッセント波とが共鳴する場合にエバネッセント波の電場は著しく増強される。表面プラズモン共鳴法(SPR法)又は表面プラズモン励起蛍光分光法(SPFS法)による計測においては、この増強された電場が用いられて、タンパク質やDNAの検出等が行なわれる。
具体的には、SPR法による計測においては、金、銀等からなる金属膜が形成された誘電体媒体に全反射条件を満たすように励起光が入射される。そして、その反射光の角度スペクトル中に現れる吸収ピークから、金属膜に接している被検出物質の屈折率あるいはその変化等の物性が測定される。該測定では、SPRが発現する入射角や、SPRが発現している入射角付近における反射光強度が、金属膜の表面上の付着物の厚さ、誘電率によって変化することが利用されている。また、金属膜の表面に付けられた捕捉物質によって被検出物質が金属膜表面付近に結合、または吸着された際に、励起光の入射角や反射率が変化する。SPR法では、この変化を検出することにより、被検出物質の結合量(膜厚あるいは質量)を得ることもできる。
一方、SPFS法による計測においては、誘電体媒体上に形成された金属膜の表面に被計測物質が捕捉され、捕捉された被計測物質に、蛍光標識された蛍光標識物質が結合させられ、増強された電場は該蛍光標識に作用する。この結果、試料中に含まれる被検出物質、または該被検出物質に付された蛍光標識と、エバネッセント波との吸収、発光等の光学的な相互作用によって、蛍光標識からは表面プラズモン励起蛍光が放射される。放射された表面プラズモン励起蛍光の光量が測定されることにより、被計測物質の有無、被計測物質の捕捉量等が特定される。
とりわけここ数年、CCD等センサーの発達など光検出器の高性能化と相まって、SPFS法は、バイオ研究には欠かせない手法となっている。一方、SPR法やSPFS法を利用する光学測定では、ユーザビリティー等の観点から血液等の被検出物質が少量であっても抗体を検出できることが求められている。このため、反応促進操作によって、捕捉物質が付着される反応流路の中央部分等の狭い抗体補足領域に、抗体が集積されて測定が行なわれる必要がある。このためには、該狭い抗体補足領域に励起光が正確に照射されて表面プラズモンによる電場増強が行なわれるように、個々のプリズムや反応場の状況に応じて励起光の入射角および位置が高精度に設定される必要がある。このため、例えば、反応流路の中央部に設けられた狭い抗体補足領域に励起光が照射されるように反応流路のサイズ等に応じて励起光の光路が設計的に求められる。そして、求められた光路に沿って励起光が照射される。
しかしながら、プリズム内部の全反射光は、反射角度が浅いため、僅かな寸法誤差、設置誤差によっても励起光の照射位置が大きくずれてしまう。このため、設計的に求められた光路に沿って励起光が照射されたとしても、反応流路の中央部の抗体補足領域に励起光を照射することは容易ではない。それどころか、励起光が反応流路の端部に当たってしまうことも珍しくない。そして、この結果、所望の表面プラズモンを発生させることができず、測定される信号のSN比が低下し、良好な測定を行なうことが困難となる。
そこで、所望の表面プラズモンを発生させ得る励起光の照射に関する設定条件の実現を目的として、例えば、特許文献1〜3にそれぞれ示された技術のように、種々の構成が検討されてきた。
特開2005−98788号公報 特表2001−511249号公報 特開2007−071615号公報
しかしながら、特許文献1の装置は、励起光の入射角度を走査するための可動機構を排除した構成を有するが、プリズムの光学的特性のばらつきを制御することによって抑制可能なずれの範囲よりも、励起光の入射位置のずれを抑制することは困難である。
また、特許文献2の装置は、金膜面から反射する反射光の位置と角度とを測定するためのSPR装置に特有の構成を有する。該構成をSPFS法に用いる場合には、反射光の位置を特定可能なセンサーおよび処理回路を新たに設ける必要がある。また、該装置が、金膜面に入射する励起光の位置がずれているのか角度がずれているかを正確に求めることは不可能である。
また、特許文献3の装置は、SPR法用に、光路が見えるようプリズムに工夫を施し、光線の反射角度をモニター可能にしている。該技術は、基本的にはSPFS法にも適応可能であるが、その場合、検査チップが複雑になるとともに、測定光と、途中の光路から入り込む光との切り分けが容易ではない。
従って、特許文献1〜3の技術を用いたとしても、SPFS法を利用する光学測定において、得られる信号のSN比を高めることは困難であるといった問題がある。
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、SPFS法を利用する光学測定において、得られる信号のSN比を高め得る技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、第1の態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置は、光透過性を有する誘電体媒体の光反射面に形成された導電体膜に当該誘電体媒体側から第1励起光を照射して表面プラズモン励起蛍光分光法により測定を行う表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、前記誘電体媒体側から前記光反射面に入射させたS偏光の第2励起光の入射角を前記光反射面で全反射する入射角に保持しつつ、当該第2励起光を当該光反射面において走査する投光部と、前記走査の際に前記第2励起光から派生した派生光を受光して測定する測定部と、前記測定部が前記派生光を測定した測定結果に基づいて、前記導電体膜に照射される前記第1励起光の照射位置を決定する決定部とを備えることを特徴とする。
第2の態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置は、第1の態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、前記決定部は、前記測定部が前記派生光を測定した光量の最小値に基づいて、前記照射位置を決定することを特徴とする。
第3の態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置は、第1または第2の態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、前記測定部は、前記派生光のうち蛍光波長成分のみを受光して測定することにより前記測定結果を取得することを特徴とする。
第4の態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置は、第1から第3の何れか1つの態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、前記投光部は、励起光の偏光方向を調整可能な偏光方向調整機構を備え、当該偏光方向調整機構を通過する励起光の偏光方向を調整することよって前記第1励起光と前記第2励起光とを選択的に投射することを特徴とする。
第5の態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置は、第1から第3の何れか1つの態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、前記投光部は、蛍光成分の波長を有する励起光を放射する光源を備え、当該光源からの励起光によりS偏光の前記第2励起光を生成することを特徴とする。
第6の態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置は、第3の態様に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、前記決定部は、前記測定部が前記派生光のうち蛍光波長成分のみを受光して測定することにより取得した前記測定結果に基づいて、前記第1励起光が前記誘電体媒体を通過するときに生ずる自家蛍光の光量を求めることを特徴とする。
第7の態様に係る計測条件の設定方法は、光透過性を有する誘電体媒体の光反射面に形成された導電体膜に当該誘電体媒体側から第1励起光を照射して表面プラズモン励起蛍光分光法により測定を行う表面プラズモン励起蛍光計測装置の計測条件の設定方法であって、前記誘電体媒体側から前記光反射面に入射させたS偏光の第2励起光の入射角を前記光反射面で全反射する入射角に保持しつつ、当該第2励起光を当該光反射面において走査する投光ステップと、前記走査の際に前記第2励起光から派生した派生光を受光して測定する測定ステップと、前記測定ステップにおいて前記派生光が測定された測定結果に基づいて、前記導電体膜に照射される前記第1励起光の照射位置を決定する決定ステップと、を備えることを特徴とする。
第1から第7の何れの態様に係る発明によっても、S偏光の第2励起光が、光反射面で全反射する入射角で光反射面において走査され、当該走査の際に第2励起光から派生した派生光の測定結果に基づいて第1励起光の照射位置が決定される。当該派生光の光量は導電体膜に対して誘電体媒体と反対側の構成物の影響をほとんど受けることがないため、当該照射位置は、測定領域の中心により近い位置に決定され得る。従って、決定された照射位置に第1励起光が照射されることにより発生する表面プラズモン励起蛍光の光量に係る信号のSN比が高められ得る。
実施形態に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置の構成の一例を示す模式図である。 レーザーダイオードユニットの構成例を示す模式図である。 第1整波器の構成例を示す模式図である。 偏光方向調整機構の構成例を示す模式図である。 入射角調整機構の構成例を示す模式図である。 測定光光学系の構成例を示す模式図である。 反応領域、測定領域及び照射領域の関係を示す平面図である。 検査チップの断面図の一例である。 検査チップの断面図の一例である。 励起光の入射角と散乱光の光量との関係の一例を表現したグラフを示す図である。 第1励起光が分析チップに照射される様子を説明する模式図である。 第2励起光が分析チップに照射される様子を説明する模式図である。 反射面に照射される励起光の断面形状を説明するための模式図である。 反射面に照射される励起光の断面形状を説明するための模式図である。 複屈折物質を通過する励起光の偏光状態の変化の一例を示す図である。 励起光の照射領域と、流路の端部との位置関係の一例を示す図である。 励起光の照射領域と、流路の端部との位置関係の一例を示す図である。 第2励起光の走査時に測定される自家蛍光の光量について説明するための図である。 第2励起光の走査時に測定される自家蛍光光量と第2励起光の照射位置との関係の一例を表現したグラフを示す図である。 計測装置の動作フローの一例を示す図である。 計測装置の動作フローの一例を示す図である。 計測装置の動作フローの一例を示す図である。 計測装置の動作フローの一例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。また、各図面は模式的に示されたものであり、例えば、各図面における表示物のサイズおよび位置関係等は必ずしも正確に図示されたものではない。
<A.実施形態>
<A−1.表面プラズモン励起蛍光計測装置の構成>
(表面プラズモン励起蛍光計測装置の概略)
図1は、実施形態に係る表面プラズモン励起蛍光計測装置の構成の一例として計測装置1000を示す模式図である。計測装置1000は、投光部1910、分析チップ1006、測定部1912、送液機構1014、分析チップ搬送機構1022、制御演算部1026、およびディスプレイ1024を主に備えて構成されている。投光部1910は、レーザーダイオードユニット1002および励起光光学系1004を主に備えて構成され、測定部1912は、測定光光学系1008および光電子増倍管1010を主に備えて構成されている。
投光部1910は、第1励起光9001と第2励起光9002とを選択的に分析チップ1006へ照射する。第1励起光9001は、分析チップ1006のプリズム1204(図9)の反射面1206(図9)に形成された導電体膜1200(図9)に、プリズム1204の入射面1216(図9)から、すなわち、プリズム1204側から照射される。反射面1206は、プリズム1204と導電体膜1200との界面である。また、第1励起光9001は、反射面1206における測定光光学系1008の光軸上の照射位置Xに照射される。なお、第1励起光9001は、P偏光の偏光成分を主に有する励起光である。
分析チップ1006へ第1励起光9001が入射している間は、分析チップ1006から第1測定光9021と、第1励起光9001が反射面1206で反射された第1反射光9031とが出射される。第1測定光9021は、測定部1912において測定光光学系1008により光電子増倍管1010へ導かれる。第1反射光9031は、光吸収体1012に吸収される。なお、第1励起光9001が反射面1206で全反射する条件を満たす入射角(「共鳴角」)で反射面1206に照射されるときは、表面プラズモン共鳴が発生して表面プラズモンが励起され、第1反射光9031の光量は、ほぼゼロとなる。制御演算部1026は、投光部1910の入射角調整機構1034(図1、図5)によって第1励起光9001の入射角θが走査された際の第1測定光9021の測定結果に基づいて該共鳴角を決定する。
また、第1励起光9001が照射される照射位置Xの決定のために、投光部1910は、第2励起光9002を分析チップ1006に照射する。第2励起光9002は、入射面1216からプリズム1204に入射され、全反射する入射角で反射面1206に照射される。そして、投光部1910は、第2励起光9002の入射角を、当該全反射する入射角に保持しつつ、第2励起光9002を反射面1206において走査する。当該走査の際に、分析チップ1006からは、第2励起光9002から派生した第2測定光9022(「派生光」とも称される)と、第2励起光9002が反射面1206で反射された第2反射光9032とが出射される。第2測定光9022は、測定部1912において測定光光学系1008により光電子増倍管1010へ導かれる。そして、測定部1912は、第2測定光9022を受光してその光量を測定する。また、第2反射光9032は、光吸収体1012に吸収される。なお、全反射する入射角で反射面1206に入射した第2励起光9002は、そのほぼ全てが第2反射光9032として反射面1206から反射される。そして、制御演算部1026は、測定部1912が第2測定光9022を測定した測定結果に基づいて、導電体膜1200に照射される第1励起光9001の照射位置を決定する。
分析チップ1006には、送液機構1014により試料液1142及び蛍光標識液1146が順次に注入される。分析チップ1006は、測定が行われるときには、測定室1016に配置され、分析チップ保持機構1018に保持される。分析チップ1006は、試料液1142又は蛍光標識液1146が注入されるときには、前処理室1020に配置される。分析チップ1006は、分析チップ搬送機構1022により、前処理室1020から測定室1016へ移され、また、測定室1016から前処理室1020へ移される。分析チップ1006は、望ましくは、計測装置1000に対して着脱され、検体1148ごとに交換される。ただし、分析チップ1006が再利用されてもよい。
計測装置1000は、共鳴角および照射位置Xの決定のための上述した測定を、通常、分析チップ1006に設けられた抗体によって試料液1142の抗原が捕捉され、該抗原が分析チップ1006に注入された蛍光標識液1146によって蛍光標識された後に行う。しかし、該測定が、試料液1142が分析チップ1006に注入された後であって蛍光標識液1146が分析チップ1006に注入される前に行なわれたとしても、本発明の有用性を損なうものではない。測定部1912による測定結果および制御演算部1026による演算結果等は、ディスプレイ1024に表示される。また、計測装置1000の各構成物は制御演算部1026により制御され、制御演算部1026においては各種の演算が行われる。
(制御演算部)
制御演算部(「決定部」とも称される)1026は、半波長板回転機構1502、反射鏡位置調整機構1604、挿抜機構1708、分析チップ搬送機構1022、送液ポンプ1040及び送液ポンプ搬送機構1044を制御する。具体的には、制御演算部1026は、抗体反応と、蛍光物質を付けるための反応などの検出反応工程の制御、前処理室1020と測定室1016との間でのチップの移送制御、入射角調整機構1034の制御、フィルター切り替えなどの各調整器等の駆動部の制御、受光量の定量化等を一元的に行う。また、制御演算部1026は、光電子増倍管1010から各種光量の測定結果を取得し、計測条件である第1励起光9001の反射面1206への入射角である共鳴角および照射位置Xの決定などの各種の処理も行なう。制御演算部1026は、プログラムがインストールされたコンピューターであり、各種の測定結果等を記憶するメモリなどの不図示の記憶部を備えている。制御演算部1026の機能の全部又は一部がプログラムを伴わないハードウエアに担われてもよい。ハードウエアは、電子回路であってもよいし、リンク機構等の機械的機構であってもよい。
(分析チップ)
図8、図9の模式図は、分析チップ1006の断面を示す。図8、図9に示すように、分析チップ1006は、プリズム1204、導電体膜1200、抗原捕捉体1208、流路形成体1212、および蓋部材1214を主に備えて構成されている。導電体膜1200の下面は、プリズム1204の反射面1206に密着する。反射面1206は、プリズム1204と導電体膜1200との界面である。導電体膜1200の上面には、流路形成体1212の下面が接合され、流路形成体1212の上面に、蓋部材1214が接合されている。流路形成体1212に、導電体膜1200と蓋部材1214とが接合されることにより、流路形成体1212に設けられた貫通孔の側面、導電体膜1200の上面、および蓋部材1214の下面によって流路1220が形成されている。そして、流路1220を形成している導電体膜1200の上面には抗原捕捉体1208が定着させられる。
プリズム1204へ導かれた第1励起光9001(第2励起光9002)は、入射面1216へ入射し、入射面1216へ入射した各励起光は、照射領域1800に照射される。第1励起光9001(第2励起光9002)は、反射面1206の照射領域1800において全反射され、第1反射光9031(第2反射光9032)として出射面1218から出射する。
図11は、第1励起光9001が分析チップ1006に照射される様子を説明するための模式図であり、図12は、第2励起光9002が分析チップ1006に照射される様子を説明するための模式図である。なお、図11および図12においては、分析チップ1006のうちプリズム1204の反射面1206のみが表示され、導電体膜1200および抗原捕捉体1208などの分析チップ1006の各構成品の記載は、省略されている。
図11に示されるように、第1励起光9001の分析チップ1006への照射により、表面プラズモンの散乱光9051と表面プラズモン励起蛍光9061とが、導電体膜1200(図9)および抗原捕捉体1208(図9)から蓋部材1214(図9)側へ出射する。また、第1反射光9031は、光吸収体1012(図9)側へ射出する。自家蛍光9041は、第1励起光9001がプリズム1204の内部を進むときに格子欠陥等により発生する蛍光である。同様に、自家蛍光9042は、第1反射光9031がプリズム1204の内部を進むときに格子欠陥等により発生する蛍光である。第1測定光9021(図1)は、自家蛍光9041および9042、散乱光9051、および表面プラズモン励起蛍光9061を主に含んでいる。
反射面1206に第1励起光9001が全反射されたときに反射面1206からしみだすエバネッセント波と導電体膜1200の中のプラズモンとが共鳴する場合は、導電体膜1200によりエバネッセント波の電場が増強され、散乱光9051及びの表面プラズモン励起蛍光9061の光量が増加する。一方、第1反射光9031の光量は、ほぼゼロに減少し、これに伴って、自家蛍光9042の光量もほぼゼロに減少する。なお、プリズム1204と導電体膜1200との界面である反射面1206から生ずるエバネッセント波の届く範囲は、nmオーダーの範囲である。従って、該エバネッセント波は、測定部1912によって測定されない。
図12に示される第2励起光9002は、反射面1206によって全反射される入射角で分析チップ1006に照射されている。第2励起光9002は、S偏光の偏光状態であるため表面プラズモン共鳴を起こさず、プリズム1204と導電体膜1200との界面である反射面1206によって略100%反射されて第2反射光9032として光吸収体1012(図9)側へ射出する。自家蛍光9043は、第2励起光9002がプリズム1204の内部を進むときに格子欠陥等により発生する蛍光である。同様に、自家蛍光9044は、第2反射光9032がプリズム1204の内部を進むときに格子欠陥等により発生する蛍光である。第2励起光9002と第2反射光9032との光量は略等しいため、自家蛍光9043と自家蛍光9044との光量も略等しい。第2測定光9022(図1)は、自家蛍光9043および9044をおもに含んでいる。
また、図11を参照して既述したように、第1励起光9001が反射面1206で全反射する条件で照射されたときには、自家蛍光9042の光量は、ほぼゼロである。また、第1励起光9001と第2励起光9002とは、偏光方向が異なるものの、光量は互いに等しい。従って、自家蛍光9041が直接測定されない場合であっても、自家蛍光9041の光量V1は、自家蛍光9043および9044の合計光量V2が測定できれば、(1)式により求められる。
Figure 2013137272
そして、制御演算部1026は、測定部1912が第2測定光9022(派生光)のうち蛍光波長成分のみを受光して測定した測定結果に基づいて、第1励起光9001がプリズム1204を通過するときに生ずる自家蛍光の光量を(1)式によって求める。
分析チップ1006は、望ましくは、各片の長さが数mm〜数cmである構造物であるが、「チップ」の範疇に含まれないより小型の構造物又はより大型の構造物に置き換えられてもよい。
(プリズム)
プリズム1204は台形柱体であり、第1励起光9001(第2励起光9002)の入射面1216、反射面(「光反射面」とも称される)1206及び出射面1218を有する。該台形柱体の一方の傾斜側面が入射面1216であり、台形柱体の幅広の平行側面が反射面1206であり、台形柱体の他方の傾斜側面が出射面1218である。入射面1216、反射面1206及び出射面1218は、入射面1216から入射した励起光が反射面1206に反射され、出射面1218から出射するような相互関係で配置されている。また、出射面1218は、入射面1216と同様に励起光が素通りする光学面に形成されている。従って、励起光が出射面1218で散乱しプリズム1204の内部に溜まることは無い。入射面1216、反射面1206及び出射面1218が備えられる限り、プリズム1204の外形形状が台形柱体以外でもよく、プリズム1204が「プリズム」の範疇に含まれない形状物に置きかえられてもよい。例えば、プリズム1204の外形形状が円柱体であってもよい。
また、プリズム1204は、第1励起光9001(第2励起光9002)に対して透明な材質からなる誘電体媒体である。すなわち、プリズム1204は、光反射面である反射面1206を有し、第1励起光9001(第2励起光9002)に対して光透過性を有する誘電体媒体である。プリズム1204は、ガラス、樹脂等からなる。プリズム1204は、望ましくは、屈折率が1.4〜1.6であって複屈折が小さい樹脂からなる。これにより、プリズム1204が安価に製造される。プリズム1204が樹脂からなる場合は、望ましくは、射出成形によりプリズム1204が製造される。ただし、プリズム1204が他の方法により製造されてもよい。
(導電体膜)
導電体膜1200は、表面プラズモン共鳴を発生させる導電体からなる。導電体膜1200は、望ましくは、金からなる。ただし、導電体膜1200が、銀、銅、アルミニウム等の金属又はこれらの金属を含む合金からなってもよい。
導電体膜1200は、薄膜である。導電体膜1200の膜厚は、望ましくは、30〜70nmである。ただし、導電体膜1200の膜厚がこの範囲外であってもよい。
導電体膜1200は、スパッタリング、蒸着、メッキ等によりプリズム1204の反射面1206に形成される。ただし、導電体膜1200が他の方法により形成されてもよい。
(抗原捕捉体)
抗原捕捉体1208は、検出の対象の抗原と反応する抗体を含む非流動体からなる。したがって、試料液1142又は蛍光標識液1146が抗原捕捉体1208に接触しても、抗原捕捉体1208は移動しない。該抗体は、均一に分布する。検出の対象の抗原を含む試料液1142が抗原捕捉体1208に接触した場合は、試料液1142に含まれる検出の対象の抗原が抗原捕捉体1208に含まれる抗体と反応(「抗原抗体反応」とも称される)して結合し、抗原捕捉体1208に捕捉される。抗原捕捉体1208は、生化学反応の反応場を提供する。抗原捕捉体1208は、望ましくは、表面処理により導電体膜1200の上面に定着される。抗原捕捉体1208が抗体を含む場合は、抗原捕捉体1208はタンパク質を含む。この場合は、望ましくは、抗原捕捉体1208に保存用の試薬が塗布される。これにより、抗原捕捉体1208の捕捉性能が長時間にわたって維持される。保存用の試薬は、望ましくは、抗原捕捉体1208の捕捉性能に影響を与えない保湿剤である。例えば、保存用の試薬は、ショ糖水溶液を主成分とする液体である。分析チップ1006は、保存用の試薬が抗原捕捉体1208に塗布され乾燥させられた状態で保管される。このため、試料液1142が抗原捕捉体1208に接触させられる前には、抗原捕捉体1208が洗浄液1152で洗浄される。
(流路形成体)
流路形成体1212には流路1220が形成される。流路形成体1212は、望ましくは、散乱光9051(図11)及び表面プラズモン励起蛍光9061(図11)に対して透明な材質の粘着シートからなる。そして、流路形成体1212は、導電体膜1200と蓋部材1214とを接合する接合媒体を兼ねる。流路形成体1212には、細長の貫通孔が形成されており、該貫通孔と導電体膜1200の上面と蓋部材1214の下面とによって流路1220(「反応流路」)が形成されている。流路1220は、流路形成体1212に平行に延在する。ただし、流路形成体1212が粘着シート以外の弾性体からなることも許される。例えば、流路形成体1212が弾性シート、Oリング等からなることも許される。流路形成体1212が接合媒体でない場合は、導電体膜1200と蓋部材1214とのそれぞれは接着、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ圧着等により流路形成体1212とそれぞれ接合される。
また、導電体膜1200の上面のうち流路1220を形成する部分には、抗原捕捉体1208が定着され、抗原捕捉体1208は流路1220に露出する。ノズル挿入孔1222から試料液1142又は蛍光標識液1146が注入された場合は、それぞれ、試料液1142又は蛍光標識液1146で流路1220が満たされ、試料液1142又は蛍光標識液1146が抗原捕捉体1208に接触する。ノズル挿入孔1222は、蓋部材1214の上面に注入口1226を有し、注入口1226からノズル挿入孔1222に試料液1142及び蛍光標識液が注入される。流路形成体1212および蓋部材1214は、試料液1142又は蛍光標識液1146の飛散を防止し、抗原捕捉体1208に接触する試料液1142又は蛍光標識液1146の量を一定にすることに寄与する。しかし、流路形成体1212および蓋部材1214が省略され、抗原捕捉体1208の上に試料液1142又は蛍光標識液1146が直接的に滴下されてもよい。
(蓋部材)
蓋部材1214は、例えば、直方体形状を持ち、流路形成体1212に接合されている。蓋部材1214は、散乱光9051及び表面プラズモン励起蛍光9061に対して透明な材質からなる。蓋部材1214は、望ましくは、例えば、樹脂からなり、射出成形などにより製造される。蓋部材1214には、ノズル挿入孔1222と液溜め孔1224とが蓋部材1214を貫通して形成されている。
ノズル挿入孔1222の一端は、流路1220に開口を有し、他端は、分析チップ1006の上面に設けられた注入口1226である。ノズル挿入孔1222は、流路形成体1212の流路1220に対して垂直に延在する。ただし、流路1220とノズル挿入孔1222とは、異なる方向に延在すればよく、必ずしも相互に垂直に延在しなくてもよい。
液溜め孔1224の一端は、流路1220に開口を有し、他端は、分析チップ1006の上面に設けられた開口である。
蓋部材1214が、流路形成体1212に接合されることにより、ノズル挿入孔1222、流路1220、および液溜め孔1224には、検出の対象の抗原を含む試料液1142が流され得る状態となる。また、分析チップ1006は、望ましくは、流路1220が水平方向に延在し、ノズル挿入孔1222及び液溜め孔1224が鉛直方向に延在するように保持される。これにより、流路1220から液体がこぼれにくくなる。また、互いに別体である流路形成体1212と蓋部材1214とが接合されることにより、流路1220とノズル挿入孔1222とが形成された構造物の製造が容易になる。ただし、流路形成体1212及び蓋部材1214が流路1220とノズル挿入孔1222とが形成された一体の構造物へ置き換えられてもよい。
(レーザーダイオードユニット)
図2の模式図は、レーザーダイオードユニットの構成例を示す。図2に示すように、レーザーダイオードユニット1002においては、レーザーダイオード(「LD」とも称される)1300から放射されたビーム9010がビームスプリッタ1302により主ビーム9012と副ビーム9014とに分割される。主ビーム9012は、コリメータ1304によりコリメート化され、レーザーダイオードユニット1002から励起光9000として放射される。
図13および図14は、反射面1206に照射される第1励起光9001(第2励起光9002)の断面形状について説明するための模式図である。
励起光9000がコリメート化されても励起光9000のビームの断面形状92は扁平な楕円形である。また、該ビームの偏光方向は、概ね一方に偏っている。偏光方向が、該楕円の長辺に出るか短辺に出るかはレーザーダイオードの種類によって異なる。第1励起光9001(第2励起光9002)は、励起光9000の偏光方向が偏光方向調整機構1030によってそれぞれ調整された励起光である。そして、第1励起光9001(第2励起光9002)が全反射する条件で反射面1206に照射されるときの反射面1206における照射領域1800の平面形状94は、円形に近いことが望ましい。そこで、第1励起光9001(第2励起光9002)の断面形状92の楕円形の短軸が、反射面1206に照射される第1励起光9001(第2励起光9002)の光路を含み、かつ、反射面1206に垂直な面に含まれるようにレーザーダイオード1300の姿勢が調整される。なお、該短軸は、断面形状92の方向8020に沿った軸である。そして、姿勢が調整されたレーザーダイオード1300は、レーザーダイオード保持機構1306により保持される。
レーザーダイオード1300から放射されるレーザー光(励起光)の波長及び光量が温度に依存する場合は、望ましくは、レーザーダイオード1300が温度調整回路1308に制御される。温度調整回路1308においては、副ビーム9014の光量がフォトダイオード1310により測定され、副ビーム9014の光量の測定結果が一定に維持されるようにレーザーダイオード1300へ供給される電力が電力供給制御回路1312により回帰制御される。これにより、レーザーダイオード1300の温度が一定に維持され、第1励起光9001(第2励起光9002)の波長及び光量が一定に維持される。フォトダイオード1310がフォトトランジスタ、フォトレジスタ等の他の光量センサに置き換えられてもよい。第1励起光9001の波長は共鳴角及びエバネッセント波のしみだし量に影響するので、温度調整回路1308は抗原の検出の精度及び感度の向上に寄与する。
レーザーダイオード1300の温度が定常温度になるまでに長時間を要する場合は、計測装置1000の運転が開始されたときからレーザーダイオード1300へ電力が常時供給される。レーザーダイオード1300から放射される励起光の偏光方向は、概ね、特定の方向に偏在する。レーザーダイオード1300が発光ダイオード、水銀灯、レーザーダイオード以外のレーザー等の他の光源に置き換えられてもよい。光源から放射される光がビームでない場合は、レンズ、鏡、スリット等により光がビームに変換される。光源から放射される光が単色光でない場合は、回折格子等により光が単色光に変換される。光源から放射される光が直線偏光でない場合は、偏光子等により光が直線偏光に変換される。
(励起光光学系)
図1に示すように、励起光9000は、励起光光学系1004によりレーザーダイオードユニット1002から分析チップ1006へ導かれる間に、第1整波器1028、偏光方向調整機構1030、整形光学系1032及び入射角調整機構1034を順次に通過する。励起光9000が第1整波器1028を通過するときに励起光9000が整波される。励起光9000が偏光方向調整機構1030を通過するときに、主にP波の偏光方向を有する第1励起光9001と、主にS波の偏光方向を有する第2励起光9002とが選択的に反射面1206に照射されるように励起光9000の偏光方向が調整される。第1励起光9001(第2励起光9002)が整形光学系1032を通過するときに第1励起光9001(第2励起光9002)のビームの断面形状がスリット、ズーム光学系等により整形される。第1励起光9001(第2励起光9002)が入射角調整機構1034を通過するときに反射面1206へのこれらの励起光の入射角が調整される。
(第1整波器)
図3の模式図は、第1整波器の構成例を示す。図3に示すように、励起光9000は、第1整波器1028を通過するときに、第1バンドパスフィルタ1400、直線偏光フィルタ1402及び減光フィルタ1404を順次に通過する。第1整波器1028がこれら以外の光学フィルタを備えてもよい。第1整波器1028が光学フィルタ以外の光学素子を備えてもよい。
励起光9000が第1バンドパスフィルタ1400を透過するときに、励起光9000の波長の分布が狭められる。これにより、レーザーダイオードユニット1002から放射された励起光9000の波長の分布が広くても、波長の分布が狭い励起光9000が得られる。レーザーダイオードユニット1002から放射された励起光9000の波長の分布が十分に狭い場合は、第1バンドパスフィルタ1400が省略されてもよい。
励起光9000が直線偏光フィルタ1402を透過するときに、励起光9000の偏光方向の分布が狭められる。これにより、レーザーダイオードユニット1002から放射された励起光9000の偏光方向の分布が広くても、偏光方向の分布が狭い励起光9000が得られる。レーザーダイオードユニット1002から放射された励起光9000の偏光方向の分布が十分に狭い場合は、直線偏光フィルタ1402が省略されてもよい。
励起光9000が減光フィルタ1404を透過するときに、励起光9000の光量が減少させられる。レーザーダイオードユニット1002から放射された励起光9000の光量が適切である場合は、減光フィルタ1404が省略されてもよい。
(偏光方向調整機構)
図4の模式図は、偏光方向調整機構の構成例を示す。図4に示すように、偏光方向調整機構1030においては、半波長板1500に垂直な回転軸の周りに半波長板1500が半波長板回転機構1502により回転させられる。半波長板回転機構1502は、ロータリーステッピングモータ等により半波長板1500を自転させる。半波長板1500を透過する励起光9000の偏光方向は、半波長板1500の回転角に応じて変更される。より詳細には、励起光9000の偏光方向が半波長板1500によって変更されることによって、反射面1206に照射される励起光の偏光方向は、P波(P偏光)の偏光状態からS波(S偏光)の偏光状態にまで自在に変更される。励起光9000を、主にP波の偏光方向を有する第1励起光9001と、主にS波の偏光方向を有する第2励起光9002とのそれぞれに変換するための半波長板1500の各回転角は、予め特定されて制御演算部1026に記憶されている。P偏光の偏光状態に対応した半波長板1500の回転角は、例えば、ロータリーステッピングモータを原点から1ステップずつ順次回転させたときの、各回転角における光電子増倍管1010の出力のうち最大値に対応した回転角によって設定される。また、S偏光の偏光状態に対応した半波長板1500の回転角は、P偏光に対応した回転角から45度ずれた回転角によって設定される。そして、偏光方向調整機構1030は、制御演算部1026の制御に従って、第1励起光9001と第2励起光9002とが選択的に反射面1206に照射されるように励起光9000の偏光方向を調整する。すなわち、投光部1910は、励起光9000の偏光方向を調整可能な偏光方向調整機構1030を備え、偏光方向調整機構1030を通過する励起光の偏光方向を調整することよって第1励起光9001と第2励起光9002とを選択的に投射することができる。
反射面1206に第1励起光9001が入射されると、反射面1206からのエバネッセント波のしみだしが最大になり、第2励起光9002が入射されると、反射面1206からのエバネッセント波のしみだしがなくなる。半波長板1500が用いられることにより、反射面1206上の励起光の照射領域1800の形状を変更することなく、偏光方向だけが変えられる。初期状態においては、例えば、反射面1206に第1励起光9001が照射されるように半波長板1500の回転角が設定される。なお、偏光方向調整機構1030が、例えば、光軸の周りにレーザーダイオードユニット1002又はレーザーダイオード1300を回転させる機構などに置き換えられてもよい。
また、互いに異なる光源から生成された第1励起光9001と第2励起光9002とが互いに同じ入射光路によって反射面1206に照射されるように投光部1910が構成されたとしても、本発明の有用性を損なうものではない。この場合は、具体的には、例えば、P偏光の励起光を出力するLDユニットと、S偏光の励起光を出力するLDユニットとが用いられる。そして、各LDユニットからそれぞれ出射された各励起光が、互いに異なる方向からダイクロイックプリズムにそれぞれ入射された後、同一の光路によってダイクロイックプリズムから出射される構成などが採用される。光源が互いに異なることにより第1励起光9001と第2励起光9002との分光強度分布などの光学的特性が異なったとしても、該特性の違いが予め把握されていれば、該特性の違いを補正することができる。各励起光の反射面1206における照射位置のばらつきの主な要因は、プリズム1204の取付状態(取り付き位置・角度)の誤差、部品状態の誤差(角度誤差・寸法誤差)などである。該光学的特性の差異が補正されきらなかったとしても、該補正の残差が該照射位置の決定処理に与える影響は、相対的に小さくなる。従って、上述したように、互いに異なる光源から第1励起光9001と第2励起光9002とがそれぞれ生成されたとしても、各励起光の特性の違いを補正することによって、該照射位置の調整が精度よく行われ得る。
なお、第1励起光9001と第2励起光9002とが互いに異なる光源から出射される場合には、第2励起光9002は、第1励起光9001と同じ励起光の波長である必要は無い。例えば、第2励起光9002用の光源として蛍光波長の励起光を放射するレーザーダイオードが採用された場合には、測定部1912によって測定される第2測定光9022の光量は、より大きくなる。従って、該測定光量の信号のSN比が向上し、励起光の照射位置の決定精度が高められ得る。従って、投光部1910が、蛍光成分の波長を有する励起光を放射する光源を備え、当該光源からの励起光によりS偏光の第2励起光9002を生成したとしても本発明の有用性を損なうものではない。
(整形光学系)
図1に示される整形光学系1032は、第1励起光9001(第2励起光9002)のビームサイズやその輪郭形状を照射面上の照射形状に合わせて整形する光学系である。整形光学系1032としては、例えば、ビームエキスパンダ、ビームエクスパンダにズーム機能がついたズーム・ビームエキスパンダなどが採用され得る。また、他にも、スリットなど各種の構成が採用され得る。
(入射角調整機構)
図5の模式図は、入射角調整機構の構成例として入射角調整機構1034を示す。図5に示すように、第1励起光9001(第2励起光9002)は、入射角調整機構1034を通過するときに反射鏡1600に反射される。そして、これらの励起光の進行方向は、第1方向8016から分析チップ1006へ向かう第2方向8018へ屈曲させられる。入射角調整機構1034は、反射鏡1600の姿勢および位置を調整することによって、第1励起光9001(第2励起光9002)の反射面1206に入射する入射角および反射面1206における照射位置を調整することができる。
入射角が調整される場合は、反射鏡角度調整機構1602により反射鏡1600の角度が調整される。そして、該調整の際に、入射角の変化によって反射面1206における励起光の照射位置の移動をキャンセルするように反射鏡位置調整機構1604により反射鏡位置が調整される。これにより、入射角のみが調整され、反射面1206における励起光の照射位置が維持される。
第1励起光9001の反射面1206に対する入射角の決定のために、入射角調整機構1034は、反射面1206に照射された第1励起光9001の照射位置を変えることなく入射角を走査する。
反射面1206における励起光の照射位置が調整される場合は、反射鏡1600の反射面1206への入射角が固定され、反射鏡位置調整機構1604により反射鏡1600の位置が調整される。この調整の際に、反射鏡1600は、レーザーダイオードユニット1002から入射角調整機構1034に至る励起光の進行方向である第1方向8016に沿って直線的に移動される。そして、この調整により、該照射位置のみが調整され、入射角は維持される。
なお、該照射位置の決定の際には、入射角調整機構1034は、プリズム1204側から反射面1206に入射させた第1励起光9001の入射角を反射面1206で全反射する入射角に保持しつつ、第2励起光9002を反射面1206において走査する。
第1励起光9001(第2励起光9002)が入射面1216へ導かれない遮断状態に入射角調整機構1034がされる場合は、反射鏡角度調整機構1602により反射鏡角度が調整され、反射鏡1600の光吸収面に励起光が当てられる。なお、反射鏡1600の背面は、無反射光吸収物質が張り付けられた光吸収面となっている。各励起光が入射面1216へ導かれる非遮断状態に入射角調整機構1034がされる場合は、反射鏡角度調整機構1602により反射鏡角度が調整され、反射鏡1600の鏡面に各励起光が当てられる。反射鏡角度調整機構1602以外の機構により遮断状態と非遮断状態とが切り替えられてもよい。例えば、励起光9000の光路に光吸収体が挿抜されてもよい。
反射鏡1600としては、例えば、多層膜反射鏡が採用されることが望ましい。多層膜反射鏡は、入射光が反射される際に位相角の変動等を起こしにくい反射鏡である。通常の金属反射鏡等は、反射される励起光の偏光角が回転していまい、P波成分のみを有する励起光が照射されたとしても、反射光にはS波成分も含まれる場合がある。しかし、多層膜反射鏡が採用されれば、偏光角の回転が防止され得る。多層膜反射鏡においては、多層膜反射鏡を構成する各層の層厚が薄くされることによって層数が増やされれば、より広い角度範囲で位相のずれが防止され得る。
上述したように、反射鏡1600の背面には無反射光吸収物質が張り付けられている。そして、反射鏡1600の姿勢が調整され、第1励起光9001(第2励起光9002)が該無反射光吸収物質に照射されれば、レーザーダイオードユニット1002の電源が遮断されない場合でも各励起光の外部への漏れが防止される。レーザーダイオードユニット1002の電源がON/OFFされると、照射される励起光の状態を安定させるための時間がどうしても必要となる。反射鏡1600の背面に設けられた無反射光吸収物質により励起光9000の吸収が可能であれば、レーザーダイオードユニット1002に常時電源が供給されつつ、必要に応じて、反射鏡1600からの励起光9000の照射が停止され得る。従って、ユーザビリティーの観点から、より望ましい構成となる。
反射鏡角度調整機構1602は、ロータリーステッピングモータ等により鏡面に平行な回転軸の周りに反射鏡1600を自転させ、反射鏡角度を調整する。反射鏡位置調整機構1604は、リニアステージ等の上においてリニアステッピングモータ等により励起光9000の光軸に沿った第1方向8016に沿って反射鏡角度調整機構1602とともに反射鏡1600を移動させ、反射鏡位置を調整する。
入射角調整機構1034には、励起光が反射面1206に照射される際の入射角及び照射位置を、簡単な機構によって調整できるという利点がある。ただし、レーザーダイオードユニット1002の位置及び姿勢を調整する機構により該入射角及び該照射位置が調整されてもよい。又は、分析チップ1006の位置及び姿勢を調整する機構により該入射角及び該照射位置が調整されてもよい。
(測定光光学系)
図6の模式図は、測定光光学系の構成例として測定光光学系1008を示す。図1に示されるように、分析チップ1006から光電子増倍管1010側へ出射する第1測定光9021(第2測定光9022)は、測定光光学系1008により光電子増倍管1010へ導かれる。そして、図6に示されるように、測定光光学系1008においては、各測定光は、集光レンズ1700により集光され平行光に変換されて第2整波器1702を通過し、結像レンズ1704により光電子増倍管1010に結像される。集光レンズ1700及び結像レンズ1704は共役光学系を構成する。これにより、迷光の影響が抑制される。
第2整波器1702においては、フィルタ1706が第2バンドパスフィルタ1710および減光フィルタ1712を備えている。挿抜機構1708は、各測定光の光路に対するフィルタ1706の位置を、方向8022に沿って変更する。これにより、第2バンドパスフィルタ1710と減光フィルタ1712とが各測定光の光路に選択的に挿入される。なお、挿抜機構1708は、フィルタ1706を移動させることにより、第2のバンドパスフィルタ1710と減光フィルタ1712との何れをも、各測定光の光路から退出させることもできる。
なお、第2のバンドパスフィルタ1710と減光フィルタ1712との測定光の光路からの挿抜を実現するフィルタ1706の移動方向は、直線だけに限られない。例えば、フィルタ1706が自転可能に構成され、フィルタ1706に設けられた第2のバンドパスフィルタ1710と減光フィルタ1712とがフィルタ1706の自転によって測定光の光路から挿抜される構成が採用されてもよい。
光電子増倍管1010により表面プラズモン励起蛍光の光量が測定される場合は、第1測定光9021の光路から減光フィルタ1712が抜去される。そして、第1測定光9021の光路へ第2バンドパスフィルタ1710が挿入され、第2バンドパスフィルタ1710により第1励起光9001と同じ波長の光が選択的に減衰させられる。これにより、表面プラズモン励起蛍光9061と散乱光9051とのうち散乱光9051が減衰され、主に表面プラズモン励起蛍光9061が光電子増倍管1010へ導かれる。その結果、抗原の検出の感度及び精度が向上する。
光電子増倍管1010により散乱光9051の光量が測定される場合は、第1測定光9021の光路から第2バンドパスフィルタ1710が抜去され、第1測定光9021の光路に挿抜機構1708により減光フィルタ1712が挿入される。
これにより、光電子増倍管1010へ導かれる表面プラズモン励起蛍光9061及び散乱光9051の光量の差が小さくなり、光量の測定が容易になる。表面プラズモン励起蛍光9061の光量が相対的に高感度の光電子増倍管1010により測定され、散乱光9051の光量が相対的に低感度のフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタ等により測定されてもよい。
なお、散乱光9051の光量が光電子増倍管1010の測定可能な光量の範囲内である場合は、フィルタ1706が第2バンドパスフィルタ1710と減光フィルタ1712とのうち第2バンドパスフィルタ1710のみを備えて構成されてもよい。この場合において、表面プラズモン励起蛍光9061の光量が測定される場合は、挿抜機構1708により第1測定光9021の光路に第2バンドパスフィルタ1710が挿入される。また、散乱光9051の光量が測定される場合は、第1測定光9021の光路から第2バンドパスフィルタ1710が抜去される。ところで、散乱光9051の方が、表面プラズモン励起蛍光9061よりも、通常、100倍〜数千倍程度、絶対的な光量が多い。従って、散乱光9051の光量が測定される場合に、表面プラズモン励起蛍光9061も測定されたとしても、その光量は無視できるので、この構成が採用されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
(光電子増倍管)
第1励起光9001(第2励起光9002)の光量は光電子増倍管1010により測定される。光電子増倍管1010には感度及び信号対雑音比が良好であるという利点がある。ただし、光電子増倍管1010が冷却電荷結合素子(CCD)カメラ等の他の光量センサに置き換えられてもよい。
(送液機構)
図1に示すように、送液機構1014により流路1220へ試料液1142が注入されるときは、分析チップ1006及び試薬チップ1036が前処理室1020に配置される。また、送液ポンプ1040により試薬チップ1036の希釈容器1042から試料液1142が吸引され、送液ポンプ1040が送液ポンプ搬送機構1044により搬送され、送液ポンプ1040により注入口1226へ試料液1142が吐出される。
送液機構1014により流路1220へ蛍光標識液1146が注入されるときも、分析チップ1006及び試薬チップ1036が前処理室1020に配置される。また、送液ポンプ1040により試薬チップ1036の蛍光標識液容器1046から蛍光標識液1146が吸引され、送液ポンプ1040が送液ポンプ搬送機構1044により搬送され、送液ポンプ1040により注入口1226へ蛍光標識液1146が吐出される。
分析チップ1006を前処理室1020へ退避させてから試料液1142又は蛍光標識液1146を分析チップ1006へ注入することは、光学測定を阻害する構成物を測定室1016から排除し測定室1016の汚染を抑制することに寄与する。ただし、前処理室1020への退避が省略されてもよい。
検体1148が希釈されるときには、試薬チップ1036が前処理室1020に配置される。そして、送液機構1014により、検体容器1048から希釈容器1042へ検体1148が送液され、希釈液容器1050から希釈容器1042へ希釈液1150が送液され、試料液1142が調製される。送液ポンプ1040は、必要に応じて、洗浄液容器1052に収容された洗浄液1152で洗浄される。検体1148が希釈されずに検体1148がそのまま試料液1142になる場合もある。また、希釈に加えて又は希釈に代えて、血球分離、試薬の混合等の他の前処理が行われてもよい。
検体1148は、典型的には、血液等の人間からの採取物であるが、人間以外の生物からの採取物であってもよく、非生物からの採取物であってもよい。蛍光標識液1146は、検出対象の抗原と結合し蛍光標識された蛍光標識抗体を含む。流路1220へ注入される注入物は典型的には液体であるが気体又は流動性を有する固体であってもよい。送液ポンプ1040を送液元から送液先へ搬送する送液機構1014に代えて、チューブにより試料液1142及び蛍光標識液1146を送液する機構が設けられてもよい。
(反応領域、測定領域及び照射領域の関係)
図7の模式図は、反射面1206における照射領域、測定領域及び反応領域の望ましい関係を示す平面図である。照射領域1800は、第1励起光9001(第2励起光9002)が照射される領域である。測定領域1802は、第1測定光9021(第2測定光9022)の光量が光電子増倍管1010により測定される領域である。反応領域1804は、抗原捕捉体1208が設けられ、抗原捕捉体1208に含まれる抗体と抗原とが結合する領域である。照射領域1800及び測定領域1802の平面形状は、望ましくは、円形である。
照射領域1800と測定領域1802とは、望ましくは照射領域1800が測定領域1802に内包され、さらに望ましくは照射領域1800が測定領域1802の中央に配置される。また、測定領域1802と反応領域1804とは、望ましくは測定領域1802が反応領域1804に内包され、さらに望ましくは測定領域1802が反応領域1804の中央に配置される。これらの関係により、第1測定光9021(第2測定光9022)の光が全て測定される。
<A−2.表面プラズモン励起蛍光測定装置の動作>
図20〜図23は、計測装置1000の動作フローの一例をそれぞれ示す図である。図20は、抗原の検出処理の概略の動作フローS1を示し、図21は、共鳴角の決定に関する図20のステップS20の動作フローを示す。また、図22は、照射位置の決定に関する図20のステップS30の動作フローを示し、図23は、表面プラズモン励起蛍光の測定に関する図20のステップS40の動作フローを示す。以下に、計測装置1000の動作について、図20〜図23の動作フローに沿って説明する。
(抗原の検出処理の概略)
以下に、図20を参照しつつ、計測装置1000による抗原の検出処理の概略を説明する。抗原の検出処理の動作フローS1が開始されると、計測装置1000は、予め抗原抗体反応が行なわれ、さらに、蛍光標識の付与処理がされた分析チップ1006を前処理室1020から測定室1016に移してセットする(ステップS10)。分析チップ1006が測定室1016にセットされると、計測装置1000は、第1励起光9001の反射面1206への入射角を、所定の角度範囲において走査しつつ第1測定光9021を測定する。そして、計測装置1000は、該測定結果に基づいて、表面プラズモンが励起される共鳴角を決定する(ステップS20)。共鳴角が決定されると、計測装置1000は、決定された共鳴角に第2励起光9002の入射角を保持しつつ、反射面1206において第2励起光9002を走査し、第2測定光9022を測定する。そして計測装置1000は、該測定結果に基づいて、第1励起光9001の照射位置を決定する(ステップS30)。次に、計測装置1000は、第1励起光9001を決定された照射位置に共鳴角で照射し、第1測定光9021を測定し、該測定結果に基づいた演算により表面プラズモン励起蛍光9061を測定する(ステップS40)。該測定が終了すると、計測装置1000は測定結果を検体番号とともにメモリ等に記憶するとともに、ディスプレイ1024に表示し(ステップS50)、計測装置1000は、反射鏡1600等の各可動部を初期位置に移動させて動作フローS1を終了する(ステップS60)。
(共鳴角の決定処理の詳細)
以下に、図21のステップS20の動作フローを参照しつつ、計測装置1000が行う共鳴角の決定処理を詳しく説明する。第1励起光9001が、反射面1206により全反射される場合、すなわち、共鳴角で反射面1206に照射される場合の第1励起光9001と反射面1206とがなす角度は浅い。また、第1励起光9001は、分析チップ1006に対して相対的に遠くの反射鏡1600からプリズム1204に照射される。一方、検体の量を減らすというユーザビリティーの観点からは抗体と抗原との反応領域である抗原捕捉体1208は小さいことが通常である。このため、共鳴角の決定には、秒オーダーの精度が必要となる。
既述したように、第1励起光9001が反射面1206に投射される際の共鳴角は、プリズム1204の光学的特性の他に、導電体膜1200の厚みおよび密度、反応物質の物理量および屈折率nなどによっても変動する。表面プラズモン励起蛍光9061(図11)は光量が小さく、測定される信号のSN比が悪い。また、抗原捕捉体1208に捕捉された物質の差異により表面プラズモン励起蛍光9061の光量自体にもばらつきがある。従って、表面プラズモン励起蛍光9061の測定によって十分な精度で共鳴角を求めることは容易ではない。
一方、表面プラズモンが励起されると、第1反射光9031(図11)は基本的に無くなる。そして、第1励起光9001の入射角が、共鳴角を中心とする一定の角度範囲で走査された場合には、第1反射光9031の反射面1206における反射率は、入射角の走査に応じて0%〜100%までダイナミックに変動する。そこで、従来は、第1反射光9031の反射率が0%になる角度を基準として所定の角度が加算されることにより共鳴角が求められていた。しかし、第1反射光9031の反射率が0%になる角度と実際の共鳴角との間には角度差があり、該角度差にもばらつきがあるため、第1反射光9031を測定して共鳴角を決定したとしても、共鳴角を精度良く求めることは容易ではない。
図10は、第1励起光9001の入射角と、表面プラズモンの散乱光9051(図11)の光量との関係の一例を表現したグラフ81を示す図である。第1励起光9001は、反射面1206における照射位置を維持されたままで、反射面1206への入射角が変更されている。そして、各入射角に対する散乱光9051の各測定値がグラフ81として示されている。散乱光9051は、第1励起光9001と同じ波長のラマン散乱光であり、局所プラズモンにより増強される。第1励起光9001の波長は、例えば、630nm〜640nmである。また、第2バンドパスフィルタ1710が通過させる光の波長域は、例えば、散乱光9051の波長域+25nm〜当該波長域+35nm程度に設定される。図10に示されるように、散乱光9051の光量は、共鳴角θrにおいて、最大値を示す。なお、散乱光9051の光量は、表面プラズモン励起蛍光9061に比べて、例えば、100倍〜数千倍程度光量が大きい。従って、散乱光9051の光量は、共鳴角を精度良く決定するために十分な光量となっている。従って、散乱光9051を測定することにより精度よく共鳴角が決定され得る。
そこで、計測装置1000においては、表面プラズモンの散乱光9051が用いられて、散乱光9051の反射面1206への入射角が逐次に増加または減少されることにより、すなわち、該入射角が走査されることによって共鳴角が決定される。
なお、第1励起光9001が分析チップ1006に照射されると、より厳密には、表面プラズモンの散乱光以外に、表面プラズモンの表面拡散光も分析チップ1006から出射される。該散乱光と該表面拡散光とのそれぞれの波長は、励起波長である。該散乱光は表面プラズモンが励起される条件でのみ金属薄膜の表面の細かな凸凹や欠陥によって増強され散乱を発生させる。一方、該表面拡散光は、該散乱光を生ずる欠陥よりも少し荒いレベルの表面欠陥により常時発生する。散乱光と表面拡散光とは、同時に測定されるが、測定結果から両者の光量を切り分けることは、一般的に困難である。しかし、表面拡散光の光量は第1励起光9001の入射角に関わらず一定であるため、両者が測定されたとしても、散乱光9051の光量の変動を測定することができる。
計測装置1000では、後述するステップS30における照射位置の決定処理に先立って、第1励起光9001の照射により表面プラズモン共鳴を発生させる共鳴角の決定処理が行なわれる。共鳴角の決定処理の際は、第1励起光9001の反射面1206における照射位置は、計測装置1000の設計値に基づいて求められる初期位置に設定される。該初期位置は、通常、計測装置1000の構成品が設計通りに製作されている場合における測定部1912の測定領域1802(図7)の中心に設定される。第1励起光9001が該初期位置に投射された場合には、プリズム1204の光学的特性の設計値からのずれなどによって、第1励起光9001の照射位置が、実際の測定領域1802の中心から多少外れる場合もある。しかし、第1励起光9001が全く見当外れの場所に照射されることはない。一方、第1励起光9001の入射角が、共鳴角を中心とする一定の角度範囲で走査された場合には、図10に示されるように、散乱光9051の光量は、著しく変動する。該変動の態様は、第1励起光9001の照射位置が実際の測定領域1802の中心から若干ずれたとしても影響を受けない。従って、該初期位置が採用されたとしても、共鳴角の決定処理が精度良く行われ得るので、共鳴角の決定処理は、照射位置の決定処理に先立って行なわれることが望ましい。また、ステップS30における照射位置の決定処理の際に、励起光の入射角が定まっていない場合には、照射位置の決定処理に膨大な時間を要する。当該理由によっても、照射位置の決定処理に先立って、共鳴角の決定処理が行なわれることが望ましい。
図20のステップS20において、共鳴角の決定処理が開始されると、図21の動作フローに示されるように、計測装置1000は、先ず、第2整波器1702を駆動させ、挿抜機構1708(図6)が、第2のバンドパスフィルタ1710(図6)を各測定光の光路から退出させる(ステップS210)。そして、挿抜機構1708は、減光フィルタ1712(図6)を測定光の光路に挿入する。なお、第1測定光9021が減光フィルタ1712によって減光されない場合の光量が、光電子増倍管1010が測定可能な光量の範囲に収まる場合には、減光フィルタ1712は測定光の光路に挿入されなくてもよい。
次に、投光部1910は、反射面1206に対する第1励起光9001の入射角が、所定の初期角度となるように、反射鏡角度調整機構1602(図5)によって反射鏡1600の角度を設定する。なお、第1励起光9001が分析チップ1006に照射されるように、半波長板1500(図4)の回転角度は、予め、半波長板回転機構1502(図4)により調整されている。
ところで、プリズム1204の材質についての標準的な屈折率、プリズム1204の設計形状、流路1220に充填される流路充填液の標準的な屈折率等により、共鳴角の設計数値的な角度が特定される。一方、抗原捕捉体1208に補足された分子の材質や量、プリズム1204の設置誤差等により、表面プラズモンが励起される共鳴条件に若干のゆらぎが発生する。具体的には、プリズム1204等の光学的特性に起因した共鳴角のずれは、通常、±1〜2度であり、成形条件のばらつきによるプリズム1204の形状のばらつきに起因したずれは、通常、±1度弱の範囲である。また、抗原捕捉体1208に補足された分子の材質や量による共鳴角のずれは、プリズム1204に起因したずれに比べて小さい。従って、設計数値的な共鳴角に対する実際の共鳴角のずれの範囲は、通常、±3度程度となる。従って、散乱光9051の光量の変動に基づいて共鳴角を検出するために必要な入射角の走査代を考慮したとしても、共鳴角の決定に要する入射角の走査範囲は、±5度〜±10度程度で十分である。計測装置1000は、共鳴角の決定処理において、設計数値的な共鳴角を中心とする、例えば、±10度以内の角度範囲において、第1励起光9001の入射角を念入りに走査する。そして、反射面1206に対する第1励起光9001の入射角の初期角度としては、例えば、当該角度範囲の上端、または、下端などが採用される。
反射面1206に対する第1励起光9001の入射角が当該初期角度になるように、投光部1910が反射鏡1600の角度を調整すると、第1励起光9001が反射鏡1600の鏡面から分析チップ1006に照射される。そして、測定部1912は、測定光光学系1008を通過する際に減光フィルタ1712によって減光された第1測定光9021を光電子増倍管1010で受光して光量を測定する。制御演算部1026は、該測定結果を取得し、入射角と対応づけてメモリ等に記憶する(ステップS220)。なお、第1測定光9021には、図11に示されるように、散乱光9051の他に、表面プラズモン励起蛍光9061、自家蛍光9041および9042などが含まれるが、第1測定光9021のうち散乱光9051以外の成分の光量は十分に小さい。従って、減光フィルタ1712を通過した第1測定光9021の光量の変動を測定することにより、図10に例示された散乱光9051の光量変動を測定することができる。
測定結果が記憶されると、反射鏡位置調整機構1604(図5)は、反射鏡角度調整機構1602によって、反射鏡1600を所定のステップ角度回転させる(ステップS230)。さらに、反射鏡位置調整機構1604は、反射面1206(導電体膜1200の下面)における第1励起光9001の照射位置が、該ステップ角度の回転によってずれないように、反射鏡1600の鏡面を該ステップ角度に応じて平行移動させる(ステップS240)。そして、測定部1912が第1測定光9021を受光して、その光量を測定し、当該測定結果は、制御演算部1026により取得され、入射角と対応づけられて記憶される(ステップS250)。
ステップ250での測定結果が記憶されると、制御演算部1026は、第1励起光9001の入射角が走査対象の角度範囲(走査角度範囲)の端に達したか否かを判定する(ステップS260)。
ステップS260での判定の結果、第1励起光9001の入射角が、走査角度範囲の端に達していなければ、計測装置1000は、ステップS230以降の処理を再び行なう。ステップS260での判定の結果、第1励起光9001の入射角が、走査角度範囲の端に達していれば、制御演算部1026は、これまでの入射角の走査によって、記憶された第1測定光9021の光量の最大値と、最小値とを求めて記憶する(ステップS270)。そして、制御演算部1026は、第1測定光9021の光量の最大値に対応する入射角を取得し、反射鏡位置調整機構1604は、反射鏡1600の回転角度を当該入射角、すなわち、共鳴角に対応した回転角度に設定する(ステップS280)。なお、測定された第1測定光9021の光量が記憶される際には第1励起光9001の入射角に代えて該入射角に対応した反射鏡1600の回転角度が、該光量と対応づけられて記憶されてもよい。
(照射位置の決定処理の詳細)
第1励起光9001が共鳴角で反射面1206に照射される場合であっても、測定光光学系1008の測定領域1802に照射されなければ、表面プラズモン励起蛍光は観測されない。また、レンズの周辺部における光量の低下などに起因して、照射領域1800が測定領域1802に内包される場合であっても、照射領域1800が、測定領域1802の中心寄りであればあるほど、表面プラズモン励起蛍光9061の測定される光量が大きくなる。そして、表面プラズモン励起蛍光9061の測定信号のSN比が高められる。このため、反射面1206における第1励起光9001の照射位置を測定領域1802の中心位置にできるだけ近づける制御が必要となる。
プリズム1204の内部を進行する第1励起光9001は該内部で自家蛍光9041および9042(図11)を発生させる。この蛍光は第1励起光9001に比べて微弱であり、その光量は検出限界近くの光量である。しかしながら、抗原捕捉体1208に捕捉された特定物質の濃度が低い場合には、自家蛍光の光量は、表面プラズモン励起蛍光9061の光量と同等レベルの光量である。表面プラズモン共鳴が発生する条件においては、第1反射光9031(図11)はほとんど無くなり、自家蛍光9042(図11)もほとんど無くなる。このため、表面プラズモン励起蛍光9061の測定においては、自家蛍光9041が問題となる。自家蛍光9041は、プリズム1204の内部における第1励起光9001の光路上の各点から出射される。このため、測定される自家蛍光9041の光量は、第1励起光9001が、測定部1912の視野空間に入ってから反射面1206に達するまでの光路長(入射側光路長)の長さに応じて増加する。表面プラズモン励起蛍光9061の光量を求める際に、予め求められた自家蛍光9041の光量を用いた補正が行なわれる。該補正に用いられる自家蛍光9041の光量を安定させるためには、第1励起光9001の照射位置を安定させることが重要となる。従って、表面プラズモン励起蛍光9061の測定信号のSN比と安定性とを向上させるためには、第1励起光9001の照射位置を、測定領域1802のできる限り中心において安定させることが重要となる。
図16および図17は、反射面1206において走査される第1励起光9001の照射領域と、流路1220の端面1230および1232との位置関係の一例を示す図である。第1励起光9001は、方向8022(図17)に沿って走査されている。図16に示される例では、第1励起光9001の照射領域1800aおよび1800cが、位置11および12にそれぞれ位置している。測定領域1802の形状は、直径D1の円形である。照射領域1800a上に、端面1230が存在し、照射領域1800c上には、端面1232が存在している。図17に示される例では、第1励起光9001の照射領域1800bは、測定領域1802の中心C1に位置しており、流路1220の何れの端面も、照射領域1800b上には無い。
表面プラズモンが発生すると、既述したように、格子欠陥等により散乱光9051が発生する。流路1220の端面1230および1232が存在しなければ、散乱光9051の光量は、第1励起光9001の照射位置が測定領域1802の中心であるときに最も大きく、中心から外れれば外れるほど散乱光9051の光量は小さくなる。
しかしながら、図16に示されるように、第1励起光9001が、反射面1206のうち流路1220の端面の下の部分に当たる場合は、散乱光9051が流路の端面に当たり、散乱光9051の光量が著しく増加することが確かめられた。また、該端面が、照射領域1800上にあるが、測定領域1802に含まれない場合でも、該端面における散乱光9051の増加の影響は、測定領域1802にも及び、測定される散乱光9051の光量が増加することが確かめられた。そして、この場合には、測定される散乱光9051の光量は、第1励起光9001の照射位置が測定領域1802の中心にあるときよりも、流路1220の端面部分にあるときの方が大きくなることも確かめられた。従って、第1励起光9001が共鳴角を維持されたまま反射面1206において流路の端面を含む所定の範囲で走査され、散乱光9051の強度が測定されたとしても、該照射位置が測定領域1802の中心に位置しているか否かを正しく判定することは容易ではない。すなわち、流路の端面からの影響により、表面プラズモンの散乱光9051の測定光量によって第1励起光9001の照射位置が測定領域1802の中心に正しく位置しているか否かを判定することは、容易ではない。
そこで、計測装置1000では、第1励起光9001の照射位置を測定領域1802の中心部に設定するために、S偏光の第2励起光9002を反射面1206に対して共鳴角の入射角で照射する。そして、計測装置1000は、当該入射角を維持しつつ第2励起光9002を反射面1206において走査し、走査の際の第2測定光9022の光量を測定することにより、第1励起光9001の照射位置を決定する。
共鳴角で照射されたS偏光の第2励起光9002は表面プラズモン共鳴を起こさず、プリズム1204と導電体膜1200との界面である反射面1206(導電体膜1200の下面)で略100%反射される。そして、導電体膜1200から測定部1912側に出射する光は、基本的には、無くなる。しかし、プリズム1204の中を第2励起光9002が通るときに、媒体中の格子欠陥等のために自家蛍光9043(図12)が第2励起光9002の光路上の各点から出射される。同様に、第2励起光9002が反射された第2反射光9032の光路上の各点からも同様に自家蛍光9044が出射される。一部の例外を除き、略全ての物質において、自家蛍光が発生する。特に、一般的なプラスチックプリズムにおいては、発生する自家蛍光の光量はかなり多くなる。自家蛍光9043(9044)は、プリズム1204の内部で発生する散乱光である。このため、自家蛍光9043(9044)の光量は、導電体膜1200の上部にある流路端面等の構造物の影響を受けない。すなわち、第1励起光9001の照射により発せられる表面プラズモンの散乱光9051と異なり、自家蛍光9043(9044)の光量は、S偏光の第2励起光9002が反射面1206のうち流路の端面の下部分に当たったとしとも変動することはない。
導電体膜1200の厚みが厚ければ、自家蛍光9043(9044)は、導電体膜1200の上面にまで達しない。しかしながら、表面プラズモン共鳴を発生させるために、導電体膜1200の膜厚は、例えば、30nm〜数十nmなど、一般的なレンズのコーティング膜と同レベルの非常に薄い膜厚に設定される。従って、導電体膜1200は、自家蛍光9043(9044)に対して、ある程度の透過率を持つ。該透過率は、数%程度であるが、プリズム1204内部で発生したS偏光の第2励起光9002からの自家蛍光9043および9044は、導電体膜1200に対してプリズム1204の反対側まで導電体膜1200を透過する。そして、光電子増倍管1010による自家蛍光9043(9041)の測定が可能となる。なお、第1励起光9001が照射された際に発せられる自家蛍光9041も同様に測定され得る。
図18は、第2励起光9002の走査時に観測される自家蛍光9043および9044(図12)、すなわち、第2測定光9022(図1)の光量について説明するための図である。また、図19は、第2励起光9002の走査時に観測される自家蛍光9043および9044の光量と、測定領域1802の中心C1(図18)から第2励起光9002の照射位置までの距離との関係の一例を表現したグラフ83を示す図である。
図18においては、測定室1016(図1)にセットされた分析チップ1006と、集光レンズ1700とが、測定光光学系1008の光軸と、第2励起光9002a(9002b)の光路とを含む平面によって切断された模式的な断面図が示されている。第2励起光9002aと第2励起光9002bとは、投光部1910(図1)から照射されて反射面1206において走査された第2励起光9002の一例である。第2励起光9002aおよび9002bは、図20のステップS20の処理において決定された共鳴角で反射面1206に照射されている。第2励起光9002aは、反射面1206のうち流路形成体1212の下部分の点P1に照射されて、点P1に対して導電体膜1200の反対側に反射されている。第2励起光9002bは、反射面1206における測定部1912(図1)の測定領域1802の中心C1に照射されて、中心C1に対して導電体膜1200の反対側に反射されている。点21および22は、測定領域1802の両端部の点であり、点21と点22との距離は、測定領域1802の直径D1である。それぞれ実線で示された直線71および72は、点21から拡散される光のうち、集光レンズ1700の入射瞳に入射して測定部1912により測定される光束の両端をそれぞれ示している。それぞれ一点鎖線で示された直線73および74は、点22から拡散される光のうち集光レンズ1700の入射瞳に入射して測定部1912により測定される光束の両端をそれぞれ示している。直線71および72の太線部分は、測定部1912の立体的な視野空間1820の一端を示し、直線73および74の太線部分は、視野空間1820の他端を示している。光路長La1は、点P1に照射されて点P1から反射された第2励起光9002aの光路のうち視野空間1820に含まれた直線状の光路Wa1の光路長を表現している。また、光路長Lb1は、中心C1に照射されて中心C1から反射された第2励起光9002bの光路のうち視野空間1820に含まれた折れ線状の光路Wb1の光路長を表現している。
測定部1912は、視野空間1820における各点から集光レンズ1700の入射瞳に入射する光を、フィルタ1706(図6)を介して測定可能である。測定光光学系1008の焦点は、導電体膜1200上に合わされており、測定光光学系1008の測定領域1802は、反応領域1804(図7)に内包され、反応領域1804よりも若干狭い領域となっている。また、測定光光学系1008の視野角度は、一定である。このため、視野空間1820のうち測定光光学系1008の光軸に垂直な平面における測定部1912の測定領域が、測定光光学系1008の光軸方向に沿って測定領域1802から離れれば離れるほど該測定部1912の測定領域は、広くなる。視野角度は、通常、全反射角度(共鳴角)より小さい、例えば、開口数(N.A.)0.6の場合、視野角度は約45度であるのに対して、励起光の全反射角度は、約70度である。従って、第2励起光9002の照射位置に関わらず、第2励起光9002の光路は、測定光光学系1008の視野空間1820と2点で交差し、視野空間1820を横切ることとなる。幾何学的な関係から、視野空間1820を横切る第2励起光9002の光路長は、反射面1206における第2励起光9002の照射位置が測定光光学系1008の焦点面の中心(中心C1)にあるときに最短となる。そして、該光路長は、該照射位置が測定光光学系1008の光軸に直交する方向に沿って焦点面の中心から離れれば離れるほど徐々に増加する。図18の例では、光路長Lb1が、最短の光路長であり、光路長Lb1は、光路長La1よりも若干長くなっている。自家蛍光9043および9044(図12)、すなわち、第2測定光9022(図1)は、プリズム1204の内部における第2測定光9022の光路上の各点から発せられる。従って、図19のグラフ83に示されるように、測定部1912によって測定される自家蛍光9043および9044の光量は、第2測定光9022が測定領域1802の中心C1に照射されたときに、最小となる。そして、中心C1と第2測定光9022の照射位置との距離に応じて該光量は、徐々に増加する。該光量の変動の程度は、僅かである。しかし、該光量の変動は、導電体膜1200の上部にある流路端面等の構造物の影響を受けることがなく、中心C1に対する第2励起光9002の照射位置の距離が確実に反映される。そして、測定部1912によって、該光量の変動を問題無く検出することができ、該光量の最小値を取得できることが確かめられた。
そこで、計測装置1000は、該最小値を検出し、該最小値が検出されたときの反射鏡1600の位置を記憶する。そして、計測装置1000は、表面プラズモン励起蛍光9061を測定するときには、反射鏡1600を記憶した位置に位置決めして、その角度をステップS280(図21)で求めた角度に設定し、第1励起光9001を分析チップ1006に照射する。これにより、第1励起光9001の照射位置は、測定領域1802の中心部に合わせられる。
なお、第2励起光9002が第1励起光9001とは別の光源から生成される場合には、蛍光波長を有するS偏光の第2励起光9002が採用され得る。この場合には、視野空間1820を横切る第2励起光9002の光路から測定される蛍光の光量がより増加するので、第1励起光9001の照射位置がより精度良く決定され得る。
ここで、S偏光の第2測定光9022の光路に第2バンドパスフィルタ1710が挿入されない場合には、第2測定光9022自体がプリズム1204の内部の光路で拡散した光路拡散光も測定され得る。しかしながら、該光路拡散光は、プリズム1204内部で発生するため導電体膜1200上の構成物の影響を受け無い。また、第2測定光9022は、反射面1206で全反射されるので、該光路拡散光以外の励起光成分は測定されない。そして、該光路拡散光の光量は、第2励起光9002が測定領域1802の中心C1に照射されたときに最小となる。従って、該光路拡散光の測定により、第1励起光9001の照射位置を決定するための測定が可能となるので、第2測定光9022の測定時に第2バンドパスフィルタ1710が光路に挿入されないとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
図15は、複屈折物質102を矢印Y1方向に通過する励起光の偏光状態の変化の一例を示す図である。直線901と楕円902とは、該通過の前後における該励起光の偏光状態を示している。該励起光は、複屈折物質102に入射する前には、S偏光のみ直線偏光を示す励起光である。しかし、該励起光が複屈折物質102を通過するときに位相ずれが生じ、複屈折物質102からの出射後には、P偏光の成分が混じった楕円偏光の偏光状態となっている。出射後の励起光におけるS偏光成分とP偏光成分とのそれぞれの割合は長さaと長さbとにそれぞれ対応しており、長さaは、長さbよりも長い。なお、図15においては、S偏光の軸は、視認性を高める観点から紙面に水平な方向に記載されている。
図15に示された例のように、純粋なS偏光の第2励起光9002がプリズム1204に照射されたとしても、第2励起光9002が反射面1206に到達したときには、第2励起光9002にP偏光の偏光成分が僅かに混じる場合がある。第2励起光9002の入射角は共鳴角に設定されているため、P偏光成分が第2励起光9002に僅かに混じると、表面プラズモンの散乱光9051が第2測定光9022に僅かに混じってくる。
そこで、計測装置1000は、第2測定光9022を測定する際に、第2バンドパスフィルタ1710が第2測定光9022の光路に挿入されるようにフィルタ1706の位置を設定する。これにより、第2測定光9022に表面プラズモンの散乱光が含まれていたとしても、自家蛍光9043および9044と、該散乱光とのうち自家蛍光のみの光量が測定され得る。従って、第1励起光9001の照射位置は、測定領域1802の中心により高精度に決定され得るので、決定された照射位置に第1励起光9001が照射されることにより発生する表面プラズモン励起蛍光の光量に関する信号のSN比が高められ得る。なお、該P偏光成分により表面プラズモン励起蛍光9061も発生し得るが、S偏光成分に比べてP偏光成分は僅かであるため、自家蛍光9043および9044の測定結果に影響するものではない。
また、なお、第2励起光9002に混じったP偏光の励起光の割合が高く、例えば、半分程度P偏光成分が混じっている場合には、散乱光9051は第2バンドパスフィルタ1710によって除去されるものの、表面プラズモン励起蛍光9061の影響が出てくる。この場合であっても、抗原抗体反応が行なわれた後であって、蛍光標識の付着処理が行なわれる前の分析チップ1006を対象として、該照射位置の決定処理が行なわれれば、表面プラズモン励起蛍光9061が生じないため該照射位置の決定精度は悪化しない。
さらに、第2励起光9002にP偏光成分の励起光が混じることにより第2測定光9022に散乱光9051が含まれる場合において、第2バンドパスフィルタ1710が第2測定光9022の光路に挿入されない場合には、散乱光9051の光量も測定される。そして、測定される散乱光9051の光量は、流路1220の端面1230(1232)の影響により、第2測定光9022の照射位置が中心C1から離れれば離れるほど増大する。この増大の態様は、図19に例示された自家蛍光成分の測定光量の変動の態様と同様の態様である。また、S偏光の第2励起光9002が分析チップ1006に照射された場合には、第2励起光9002に混じり得るP偏光の励起光の割合は、僅かである。従って、第2測定光9022の測定時に、第2バンドパスフィルタ1710が第2測定光9022の光路に挿入されないとしても本発明の有用性を損なうものではない。
以下に、図22のステップS30の動作フローを参照しつつ、計測装置1000が行う照射位置の決定処理を詳しく説明する。
図20のステップS30において、照射位置の決定処理が開始されると、図22の動作フローに示されるように、計測装置1000は、先ず、測定光光学系1008(図6)の第2整波器1702を駆動させ、挿抜機構1708が、第2のバンドパスフィルタ1710を第2測定光9022の光路に挿入する(ステップS310)。
第2バンドパスフィルタ1710が挿入されると、偏光方向調整機構1030の半波長板回転機構1502が、分析チップ1006にS偏光の第2励起光9002が照射される位置に半波長板1500を回転させる(ステップS320)。半波長板1500の回転駆動が完了すると、反射鏡位置調整機構1604(図5)は、反射鏡1600を移動させて、反射鏡1600の鏡面を所定の走査範囲の上端に平行移動させる(ステップS330)。該鏡面の該走査範囲としては、例えば、測定領域1802(図7)の中心C1を通り端面1230および1232と直交する反射面1206上の2〜5mm程度の長さの線分を、第2励起光9002の照射位置がトレースする場合における反射鏡1600の移動範囲などが採用される。当該線分の長さは、流路1220の幅、すなわち端面1230と端面1232との距離に相当する。
反射鏡1600の移動が完了すると、測定部1912は、第2バンドパスフィルタ1710により第2測定光9022のうち蛍光波長成分のみを受光して測定する。そして、制御演算部1026は、測定された光量を反射鏡1600の位置に対応づけて記憶し(ステップS340)、反射鏡1600が走査範囲の下端に達したか否かを判定する(ステップS350)。
ステップS350での判定の結果、反射鏡1600が走査範囲の下端に達していなければ、反射鏡位置調整機構1604は、反射鏡1600の鏡面を所定量だけ下方に平行移動させ(ステップS360)、計測装置1000は、ステップS340、S350の処理を繰り返す。ステップS350での判定の結果、反射鏡1600が走査範囲の下端に達していれば、制御演算部1026は、記憶した測定結果に基づいて、測定部1912が第2測定光9022を測定した光量の最小値を取得する。制御演算部1026は、該最小値を、(1)式における自家蛍光9043および9044の合計の光量である光量V2として記憶する。そして、制御演算部1026は、該光量の最小値に対応した反射鏡1600の位置を決定する(ステップS370)。該位置の決定により第1励起光9001の反射面1206における照射位置が決定される。すなわち、制御演算部1026は、測定部1912が第2測定光9022を測定した光量の最小値に基づいて、第1励起光9001の照射位置を決定する。
該光量の最小値に対応した反射鏡1600の位置が決定されると、反射鏡位置調整機構1604は、反射鏡1600を決定された位置に移動させて(ステップS380)、計測装置1000は、ステップS30の処理を終了する。
(表面プラズモン励起蛍光の測定処理の詳細)
以下に、図23のステップS40の動作フローを参照しつつ、計測装置1000が行う抗原の検出処理を詳しく説明する。
図20のステップS40において、表面プラズモン励起蛍光9061(図11)の測定処理が開始されると、図23の動作フローに示されるように、先ず、偏光方向調整機構1030の半波長板回転機構1502が、分析チップ1006にP偏光の第1励起光9001が照射される位置に半波長板1500を回転させる(ステップS410)。半波長板1500の回転駆動が完了すると、測定部1912は、第1測定光9021の光量G1を測定し、制御演算部1026がメモリに記憶する(ステップS420)。
測定された光量G1は、自家蛍光9041(図11)の光量V1と表面プラズモン励起蛍光9061の光量H1との合計である。そこで、制御演算部1026は、予め取得した自家蛍光9043および自家蛍光9044(図12)の光量V2から(1)式により自家蛍光9041の光量V1を演算して算出する。すなわち、制御演算部1026は、光量V2に基づいて第1励起光9001がプリズム1204を通過するときに生ずる自家蛍光9041の光量V1を演算により求める。また、光量V2は、測定部1912が第2測定光9022のうち蛍光波長成分のみを受光して測定することにより取得した測定結果である。
光量V1が第1測定光9021の実測により求められる場合には、第1測定光9021に表面プラズモン励起蛍光9061が含まれないことが必要となる。このためには、例えば、抗原抗体反応が行なわれた後であって、蛍光標識の付着処理が行なわれる前の分析チップ1006を対象として、図20のステップS20の共鳴角の決定処理が行なわれる必要がある。この場合には、光量V1が実測された後、ステップS40の励起蛍光の測定処理が開始されるまでに、抗原捕捉体1208に捕捉された抗原に、蛍光標識を付する処理が必要となる。このために、例えば、分析チップ1006が、一旦、測定室1016から前処理室1020に搬送されて、蛍光標識を付する処理が施された後に、再度、測定室1016に搬送されて測定位置にセットされる必要がある。このため、表面プラズモン励起蛍光9061の測定処理の所要時間が長期化するとともに、分析チップ1006の位置決め精度が悪化し、表面プラズモン励起蛍光9061の測定精度が低下する恐れがある。
しかしながら、自家蛍光9043および自家蛍光9044(図12)の光量V2に基づいて、自家蛍光9041の光量V1が求められれば、抗原抗体反応および蛍光標識の付与処理が施された分析チップ1006を対象として、図20の動作フローS1を行なうことができる。従って、表面プラズモン励起蛍光9061の測定処理の所要時間をより短縮できるとともに、表面プラズモン励起蛍光9061の測定精度がより向上され得る。
光量V1が算出されると、制御演算部1026は、算出した光量V1と、測定した光量G1とを用いて(2)式の演算により表面プラズモン励起蛍光9061の光量H1を取得し(ステップS430)、計測装置1000は、ステップS40の処理を終了する。
Figure 2013137272
以上のように構成された本実施形態に係る計測装置によれば、S偏光の第2励起光9002が、反射面1206で全反射する入射角で反射面1206において走査される。そして、当該走査の際に第2励起光9002から派生した第2測定光9022の測定結果に基づいて第1励起光9001の照射位置が決定される。第2測定光9022の光量は導電体膜1200に対してプリズム1204と反対側の構成物の影響をほとんど受けることがないため、当該照射位置は、測定領域1802の中心C1により近い位置に決定され得る。従って、決定された照射位置に第1励起光9001が照射されることにより発生する表面プラズモン励起蛍光9061の光量に係る信号のSN比が高められ得る。
また、以上のように構成された本実施形態に係る計測装置によれば、測定部1912は、蛍光波長成分のみを受光して測定することにより第2測定光9022の測定結果を取得する。従って、複屈折の影響等によってS偏光の第2励起光9002にP偏光の励起光が混じった場合であっても、該P偏光の励起光の照射により生じた表面プラズモンの散乱光の光量は該測定結果から除かれるので、第1励起光9001の照射位置がより高精度に決定され得る。
また、以上のように構成された本実施形態に係る計測装置によれば、投光部1910は、励起光の偏光方向を調整可能な偏光方向調整機構1030を備える。そして、当該偏光方向調整機構を通過する励起光9000の偏光方向が調整されることよって第1励起光9001と第2励起光9002とが選択的に照射される。従って、共通の光源から第1励起光9001と第2励起光9002とが生成され得るので計測装置がより小型化され得る。
また、以上のように構成された本実施形態に係る計測装置によれば、投光部1910は、蛍光成分の波長を有する励起光を放射する光源を備え、当該光源からの励起光によりS偏光の第2励起光9002を生成することができる。従って、第2励起光9002の光路から測定される蛍光の光量がより増加するので、測定される第2測定光9022の光量が増大し、第1励起光9001の照射位置がより精度良く決定され得る。
また、以上のように構成された本実施形態に係る計測装置によれば、測定部1912が第2測定光9022のうち蛍光波長成分、すなわち、自家蛍光9043(9044)のみを受光して測定する。そして、制御演算部1026は、該測定結果に基づいて、第1励起光9001がプリズム1204を通過するときに生ずる自家蛍光9041の光量を求める。従って、共鳴角の決定、照射位置の決定、および励起蛍光の測定に係る一連の処理を、抗原抗体反応および蛍光標識の付与処理が施された分析チップ1006を対象として該チップの搬送処理等を途中に介在させることなく行なうことができる。従って、表面プラズモン励起蛍光9061の測定処理の所要時間がより短縮され得るとともに、表面プラズモン励起蛍光9061の測定精度がより向上され得る。
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1000 計測装置
1002 レーザーダイオードユニット
1004 励起光光学系
1006 分析チップ
1008 測定光光学系
1010 光電子増倍管
1012 光吸収体
1014 送液機構
1016 測定室
1018 分析チップ保持機構
1020 前処理室
1022 分析チップ搬送機構
1024 ディスプレイ
1026 制御演算部(決定部)
1028 第1整波器
1030 偏光方向調整機構
1032 整形光学系
1034 入射角調整機構
1204 プリズム(誘電体媒体)
1206 反射面(光反射面)
1910 投光部
1912 測定部
9001 第1励起光
9002 第2励起光
9021 第1測定光
9022 第2測定光(派生光)

Claims (7)

  1. 光透過性を有する誘電体媒体の光反射面に形成された導電体膜に当該誘電体媒体側から第1励起光を照射して表面プラズモン励起蛍光分光法により測定を行う表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、
    前記誘電体媒体側から前記光反射面に入射させたS偏光の第2励起光の入射角を前記光反射面で全反射する入射角に保持しつつ、当該第2励起光を当該光反射面において走査する投光部と、
    前記走査の際に前記第2励起光から派生した派生光を受光して測定する測定部と、
    前記測定部が前記派生光を測定した測定結果に基づいて、前記導電体膜に照射される前記第1励起光の照射位置を決定する決定部と、
    を備えることを特徴とする表面プラズモン励起蛍光計測装置。
  2. 請求項1に記載の表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、
    前記決定部は、
    前記測定部が前記派生光を測定した光量の最小値に基づいて、前記照射位置を決定することを特徴とする表面プラズモン励起蛍光計測装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、
    前記測定部は、
    前記派生光のうち蛍光波長成分のみを受光して測定することにより前記測定結果を取得することを特徴とする表面プラズモン励起蛍光計測装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、
    前記投光部は、
    励起光の偏光方向を調整可能な偏光方向調整機構を備え、当該偏光方向調整機構を通過する励起光の偏光方向を調整することよって前記第1励起光と前記第2励起光とを選択的に投射することを特徴とする表面プラズモン励起蛍光計測装置。
  5. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、
    前記投光部は、
    蛍光成分の波長を有する励起光を放射する光源を備え、
    当該光源からの励起光によりS偏光の前記第2励起光を生成することを特徴とする表面プラズモン励起蛍光計測装置。
  6. 請求項3に記載の表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、
    前記決定部は、
    前記測定部が前記派生光のうち蛍光波長成分のみを受光して測定することにより取得した前記測定結果に基づいて、前記第1励起光が前記誘電体媒体を通過するときに生ずる自家蛍光の光量を求めることを特徴とする表面プラズモン励起蛍光計測装置。
  7. 光透過性を有する誘電体媒体の光反射面に形成された導電体膜に当該誘電体媒体側から第1励起光を照射して表面プラズモン励起蛍光分光法により測定を行う表面プラズモン励起蛍光計測装置の計測条件の設定方法であって、
    前記誘電体媒体側から前記光反射面に入射させたS偏光の第2励起光の入射角を前記光反射面で全反射する入射角に保持しつつ、当該第2励起光を当該光反射面において走査する投光ステップと、
    前記走査の際に前記第2励起光から派生した派生光を受光して測定する測定ステップと、
    前記測定ステップにおいて前記派生光が測定された測定結果に基づいて、前記導電体膜に照射される前記第1励起光の照射位置を決定する決定ステップと、
    を備えることを特徴とする計測条件の設定方法。
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