JP2013135801A - センチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置及びその作動方法 - Google Patents

センチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置及びその作動方法 Download PDF

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崇 永井
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Abstract

【課題】癌細胞の転移の有無の検査をすべきセンチネルリンパ節を、非侵襲的で安全に、長時間に渡って全体像と内部構造やリンパ流との内部の動きまで造影して明瞭に描出して、正確に、簡易かつ迅速に同定・診断するためセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置を提供する。
【課題を解決するための手段】センチネルリンパ節21内部を描出する画像診断装置1は、センチネルリンパ節描出剤が流入出しているリンパ系を画像表示するもので、リンパ系とその近傍との組織22に超音波又は電磁波を照射する照射器12と、リンパ系で超音波又は電磁波の共鳴波又は反射波を受信する受信器13と、受信した共鳴波及び前記反射波の信号を、画像処理回路17により画像データ化するデータ変換器15と、画像データを、ディスプレイ18に前記リンパ系の画像として表示する画像表示器18とを、有し、受信器13が、コントラスト強調モードで受信するプローブである。
【選択図】図1

Description

本発明は、癌原発巣からリンパ液が最初に流れ込むセンチネルリンパ節を造影しその位置のみならず内部構造やリンパ液流入出を撮像してそこへの癌細胞の転移の有無を検査する際に用いられる画像診断装置、及びその作動方法に関するものである。
癌原発巣から全身の様々な臓器・組織への癌細胞の転移は、主にリンパ行性によって生じる。癌患者を治療する際、癌原発巣と転移している恐れがあるリンパ節とを一挙に郭清する外科手術が、行われていた。癌原発巣と網目状のリンパ節の郭清は、術式が複雑となり、患者の身体的負担が大きなものである。郭清したとしても、転移していたリンパ系を完全に郭清できたか、また癌細胞のリンパ系への再転移の可能性が無いかを、術後に検査するために、リンパ節転移を指標とする広範なリンパ系での臨床検査を行なわなければならない。
最近、癌原発巣と郭清すべきリンパ節のみとを外科手術で摘出し、癌転移していないリンパ節を温存して患者の身体的・精神的負担を軽減しつつ、確実に治療することが求められている。そのために、その手術に先立ち、癌原発巣に色素や放射性同位体(RI)を注射し、癌原発巣から輸入リンパ管を経てリンパ流を最初に受ける局所リンパ節であるセンチネルリンパ節(SLN:Sentinel Lymph Node)、所謂みはりリンパ節を見つけ出し、生検をして癌細胞転移の有無を同定するという病理的臨床検査が、行われる。このような色素診断法や放射性同位体診断法、又はそれらの併用診断法により、癌患者の生体内深部にあるリンパ節のマッピングが行われる。これにより、癌患者の外科手術での摘出組織を適切に特定したり最適な治療方針を決めたりすることができる。このような検査は、乳癌患者や黒色腫患者で行われている。また、術後に同様に検査をして、予後に関わる転移の有無を適宜判定することもできる。
このようなセンチネルリンパ節での癌細胞転移の有無を治療の指標とするという医療概念は、臨床的に外科腫瘍学上、極めて有用であり、最近では、胃癌のような消化器系癌においても重要であることが分かってきた。
ところで、本発明者らは、癌原発巣が、前転移段階で癌組織の微小環境に影響しており、転移前のセンチネルリンパ節中の特定の分子例えばICAM−1が、癌細胞に由来するATPやCCL2を始めとする様々な原因物質に起因して発現され、癌細胞とリンパ管内皮細胞との付着に関わる微小転移し易い環境を誘発しているということを、見出している。センチネルリンパ節は、癌細胞のリンパ行性転移が起こり易くなる転移前段階の微小環境の変化や僅か数個のリンパ行性微小転移が最初に起こる部位である。このようなセンチネルリンパ節での微小変化乃至微小転移や癌転移の検査は、リンパ行性転移の可能性の有無を検知できるので、臨床的に重要であるということが、多くの乳癌患者や黒色腫患者で実証されている。
ところが、現実には、色素診断法や放射性同位体診断法で、センチネルリンパ節での微小変化乃至微小転移や癌転移を検査して、郭清すべきリンパ節とりわけセンチネルリンパ節を、迅速かつ正確に極短時間で特定するのは容易でない。
センチネルリンパ節を識別するための従来の色素診断法は、簡易かつ便利である。色素診断法として、粘膜や皮下組織に投与され輸入リンパ管を経て到達したセンチネルリンパ節を着色するエバンスブルーのような色素が汎用されている。しかしこのような色素は、センチネルリンパ節での滞留時間が短く、速やかに輸出リンパ管から流れ出てしまい、次々に下流のリンパ節へ拡散してしまう所為で、比較的短時間で標的のセンチネルリンパ節から消色してしまううえ、生体深部ほど目視で確認し難い所為で、医師に相当高度な技量が求められ、場合によっては切開しなければ検知し難く、転移しているリンパ節を見逃す恐れがあると、報告されている。しかも色素診断法では、色素に対するアナフィラキシー反応が稀に起こると報告されており、その診断中、十分な注意が必要である。
一方、センチネルリンパ節を識別するための放射性同位体診断法は、放射性同位体を機械的に検知するので、目視に頼る色素診断法よりも、感度・精度の点で優っている。例えば、特許文献1に、比較的長時間検知可能なマンノース受容体親和性化合物と放射性金属とを含む診断剤が開示されている。しかし概して、大がかりな放射線施設のある病院で面倒な放射線検出を行う必要があり汎用的でないうえ、患者・医療スタッフへの被曝の危険性という本質的な問題がある。しかも、放射性同位体診断法は、目視可能にリンパ管を画像化できない。さらに、放射性同位体診断法は、放射性同位体を含有するコロイド性薬剤を静脈注射後、センチネルリンパ節を検出するまでに、少なくとも数時間を要してしまう。また、それの静脈注射の初期段階における高放射性の所為で、診察中・手術中での近隣リンパ節の検出を妨害してしまう恐れがある。
このような色素診断法や放射性同位体診断法は何れも、センチネルリンパ節の内部組織自体に色素や放射性同位体が入り込み、センチネルリンパ節の位置や全体像を識別することができても、それの微細な内部組織の造影ができない。
近年、ペルフルブタンマイクロバブルを含有するソナゾイド(第一三共株式会社製;登録商標)のようなフッ素含有脂肪族化合物内包造影剤と組み合わせた超音波診断法が、肝腫瘤性病変に用いられている。しかし現在のところ、臨床を目的とするセンチネルリンパ節超音波造影剤やリンパ催行性の超音波造影剤のような画像診断用の描出剤の類いは、市販されていない。そのため、そのような描出剤を造影剤として用いて、胃癌や乳癌などの癌患者でのセンチネルリンパ節の位置や全体像のみならず、内部構造や内部リンパ流のようなセンチネルリンパ節内部の詳細まで造影できる画像診断装置が望まれていた。
特開2005−226021号公報
癌組織や各種臓器の一般的な超音波診断法には、組織自体や投与された造影剤を超音波で検出する診断法が用いられる。そのような診断法の一つに、コントラスト強調超音波(CEUS)診断法が知られている。しかし、ソナゾイドのようなフッ素含有脂肪族化合物内包描出剤と組み合わせたコントラスト強調超音波診断法については、そもそもセンチネルリンパ節内部が臨床的に有用な程度に確実に検出できるか、知られていない。
本発明者らは、フッ素含有脂肪族化合物内包描出剤と組み合わせたコントラスト強調超音波で造影する装置を用いることにより、実験的乃至臨床的に、胃癌や乳癌等の各種癌でのセンチネルリンパ節が内部まで造影できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、癌細胞の転移の有無の検査をすべきセンチネルリンパ節を、非侵襲的で安全に、さらに、長時間に渡って全体像のみならず内部構造やリンパ流のような内部の動きまで造影して明瞭に描出して、正確に、簡易かつ迅速に同定・診断するために用いられる、センチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置、及びそれの作動方法を提供することを、目的とする。
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置は、コロイド粒子にガス状のフッ素含有脂肪族化合物が内包されており生体の血管外組織へ投与されているセンチネルリンパ節描出剤が、流入出しているリンパ系を画像表示して、センチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置であって、
前記リンパ系とその近傍との組織に超音波又は電磁波を照射する照射器と、
前記リンパ系に流入出している前記センチネルリンパ節描出剤内の前記フッ素含有脂肪族化合物及び/又は前記組織が前記超音波又は電磁波により共鳴して発した共鳴波若しくは反射した反射波、及び前記組織で前記超音波又は電磁波により反射した反射波を受信する受信器と、
前記受信した前記共鳴波及び前記反射波の信号を、画像処理回路により画像データ化するデータ変換器と、
前記画像データを、ディスプレイに前記リンパ系の画像として表示し、前記センチネルリンパ節の内部構造及び/又はそれのリンパ流の流入出をセンチネルリンパ節内部画像として描出する画像表示器とを、有し、
前記受信器が、コントラスト強調モードで受信するプローブであることを特徴とする。
請求項2に記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置は、請求項1に記載されたもので、前記受信器が、照射した前記超音波又は電磁波の周波数に対する整数倍の周波数をハーモニック成分として受信することを特徴とする。
請求項3に記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置は、請求項1〜2の何れかに記載されたもので、前記受信器が、長方形で平坦なスキャン面を有するリニア型の前記プローブであることを特徴とする。
請求項4に記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置は、請求項1〜3の何れかに記載されたもので、前記コロイド粒子にガス状のフッ素含有脂肪族化合物が内包されたセンチネルリンパ節描出剤を破泡する音圧発生器を、有することを特徴とする。
請求項5に記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置は、請求項1〜4の何れかに記載されたもので、前記リンパ系を経内視的に撮像する内視鏡プローブの先端に、又は、前記リンパ系を体表又はその内部の臓器表面で経皮的に撮像するハンディプローブの先端に、前記照射器及び前記受信器を有することを特徴とする。
請求項6に記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置の作動方法は、コロイド粒子にガス状のフッ素含有脂肪族化合物が内包されており生体の血管外組織へ投与されているセンチネルリンパ節描出剤が、流入出しているリンパ系を画像表示して、センチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置の作動方法であって、
前記リンパ系とその近傍との組織に超音波又は電磁波を照射器で照射する照射工程と、
前記リンパ系に流入出している前記センチネルリンパ節描出剤内の前記フッ素含有脂肪族化合物及び/又は前記組織が前記超音波又は電磁波により共鳴して発した共鳴波若しくは反射した反射波、及び前記組織で前記超音波又は電磁波により反射した反射波を、コントラスト強調モードで受信するプローブである受信器で受信する受信工程と、
前記受信した前記共鳴波及び前記反射波の信号を、画像処理回路によるデータ変換器でデータ変換して画像データ化するデータ変換工程と、
前記画像データを、ディスプレイに前記リンパ系の画像として表示し、前記センチネルリンパ節の内部構造及び/又はそれのリンパ流の流入出をセンチネルリンパ節内部画像として画像表示器で描出する画像表示工程とを、
有することを特徴とする。
本発明の画像診断装置及びその作動方法によれば、人体に対して安全な超音波や電磁波を照射し所望のセンチネルリンパ節でのフッ素含有脂肪族化合物内包センチネルリンパ節描出剤を描出することにより、癌細胞の転移の有無の検査をすべき癌患者のセンチネルリンパ節内部を、癌患者の切開せずに非侵襲的に、明瞭な画像で表示して診断することができる。癌細胞が最初に到達するリンパ節であるセンチネルリンパ節の識別は、腋窩リンパ節の切除をすべきか否かの判断をするのに重要である。
この画像診断装置及びその作動方法によれば、センチネルリンパ節の部位の特定、全体像の造影のみならず、その内部の構造を静止画像で画像表示したり、輸入リンパ管からセンチネルリンパ節を経て輸出リンパ管及びそれに繋がる最も近隣のリンパ節へのリンパ液の流出入や、センチネルリンパ節内部でのリンパ液の流れや、センチネルリンパ節での癌細胞転移状況を、静止画像や動画で画像表示したりすることができる。
さらにこの画像診断装置及びその作動方法によれば、癌細胞の転移の有無の検査をすべき癌患者のセンチネルリンパ節を、経内視鏡的又は経皮的に識別してその部位を画像で示し、正確に描出して特定するものであるから、癌患者への身体的・精神的負担を軽くすることができる。
この画像診断装置及びその作動方法によれば、フッ素含有脂肪族化合物内包センチネルリンパ節描出剤の適量が、生体の腫瘍組織近傍の血管外組織、例えば皮下組織とりわけ粘膜内及び/又は粘膜下への投与によって、早くて2秒経過時に、遅くとも30秒間経過時に、リンパ系へ極めて速やかに流入して、輸入リンパ管を経て、腫瘍組織に近い検査すべきセンチネルリンパ節へ至るのを、正確に描出し始め、少なくとも2時間に渡って描出し続けて、画像表示することができる。そのため、投与後直ちに、描出された輸入リンパ管を追跡することにより、その検査すべき所望のセンチネルリンパ節を、腫瘍組織近傍からの流入の無いリンパ系やそれのセンチネルリンパ節と区別して、選択的に描出させて、特定することができる。従来のように汎用の色素でリンパ系を非選択的に着色させ網目状のリンパ系からセンチネルリンパ節のみを目視で選別するという高度な技量と経験とを必要とする診断方法よりも、遥かに簡便で正確に検知すべき所望のセンチネルリンパ節のみを描出して、正確に特定することができる。
しかも、この画像診断装置及びその作動方法によれば、このセンチネルリンパ節描出剤が、検知すべき所望のセンチネルリンパ節を描出して、診察中又は手術中に特定するのに十分な2時間程度も流入し続けるので、迅速かつ正確に、見逃すこと無く、そのセンチネルリンパ節を可視化でき、超音波等の画像診断により目視で確認して特定することができる。さらに、このセンチネルリンパ節描出剤をセンチネルリンパ節内で一時的に又は間欠的に音圧で破泡させても、新たなセンチネルリンパ節描出剤が流入してくるので、検知すべき所望のセンチネルリンパ節を確実に識別することができる。
この画像診断装置及びその作動方法によれば、このセンチネルリンパ節描出剤でセンチネルリンパ節の内部構造やリンパ流の流れの状態を表示できるので、癌細胞に由来するATPやCCL2を始めとする様々な原因物質に起因して発現した接着分子例えばICAM−1で影響を及ぼし微小環境変化したり微小癌転移したりしているかを、本格的転移前に、診断することができる。
さらに、臨床的に重要な接着分子例えばICAM−1の検出と併用することにより、センチネルリンパ節への癌転移のみならず、その前段階である微小環境変化、乃至は微小癌転移を検出して、センチネルリンパ節への癌転移性を広範に予測したり微小癌転移の有無を診断したりすることができる。
この画像診断装置及びその作動方法によれば、リンパ管発育不全などによる原発性リンパ浮腫や、子宮癌・乳癌での癌原発巣及びセンチネルリンパ節の郭清後に頻発する続発性リンパ浮腫に関して、リンパ系が閉塞して浮腫んだ時に、リンパ系の流れを確認するのに、従来のラジオアイソトープ描出剤に代えてこのセンチネルリンパ節描出剤を用いて、的確に診断することができる。
また、この画像診断装置及びその作動方法によれば、このセンチネルリンパ節描出剤が、様々な臓器に生じた腫瘍組織の近傍のセンチネルリンパ節を描出し、とりわけ、色素診断法で複数のセンチネルリンパ節を含む着色領域(Basin)としてしか確認し難いと言われていた消化器系臓器、例えば食道から大腸、特に胃・小腸・直腸・大腸での腫瘍組織近傍のセンチネルリンパ節を、個々に、確実に識別して特定することができる。
この画像診断装置及びその作動方法によれば、放射性物質を含有せず低毒性で安全なセンチネルリンパ節描出剤を用いるので、副作用を発現せず、癌原発巣摘出の術前・術中・術後に、安心して繰返して診断することができる。しかも、少量の投与量のセンチネルリンパ節描出剤、例えば0.01〜0.3mL程度のソナゾイドでも、超音波や電磁波に対する感度が良いから、センチネルリンパ節を正確に描出して、内部構造を的確に診断できる。
センチネルリンパ節描出剤が、その物性を向上させる親水性化合物や、特定疾患指向性の薬剤を、包含していると、機能性が向上する。
本発明のセンチネルリンパ節を描出する画像診断装置の作動方法によれば、汎用の診断装置、とりわけ超音波診断装置により、簡易かつ正確に、検査すべきセンチネルリンパ節の存在部位を特定できる。そのため、癌原発巣摘出の術前にセンチネルリンパ節への癌細胞の転移の有無を確認して治療方針を的確に決定することができる。
さらに、術後に予後検診を行って、癌再発によるセンチネルリンパ節への癌細胞の転移の有無を簡便に確認することができる。しかも、非観血的手段で、確実かつ迅速に診療できるので、これら治療のみならず、健康診断、癌予防にも、資する。
本発明を適用する画像診断装置の概略を示すブロック図である。 本発明を適用する画像診断装置及びその作動方法を実施する際の被検体及び使用状態を示す概要図及び写真である。 本発明を適用する画像診断装置及びその作動方法により、コントラスト強調超音波診断法を行ったコントラストハーモニック画像を示す写真である。 本発明を適用する画像診断装置及びその作動方法により、別なコントラスト強調超音波診断法を行ったコントラストハーモニック画像を示す写真である。 本発明を適用する画像診断装置及びその作動方法により、別なコントラスト強調超音波診断法を行ったティッシュリニアハーモニック画像、及び色素診断法による写真である。 本発明を適用する画像診断装置及びその作動方法により、経皮的なコントラスト強調超音波診断法を行った使用状態を示す写真、及びそれのコントラストハーモニック画像である。 本発明を適用外の色素診断法による写真である。
以下、本発明の実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明のセンチネルリンパ節を描出する画像診断装置及びそれを用いた作動方法の好ましい一態様は、センチネルリンパ節描出剤を用いて、以下のようにして行われる。
本発明のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置1は、その概要を示すブロック図である図1を参照しながら説明すると、超音波画像診断装置であって、探触子11であるプローブ本体10とそれが繋がる画像診断装置本体19とからなる。プローブ本体10は、被検体の診断すべき組織22へ超音波を照射する発振素子からなる照射器12と被検体からの超音波を受信する振動素子からなる受信器13とを、先端側に内蔵し、根元側でケーブルにより画像診断装置本体19へ接続されている。画像診断装置本体19は、照射する超音波の波長・強度を調整して発振する発振回路へ繋がる制御パネル(不図示)と、受信する超音波をディジタルデータに変換し画像表示するための画像処理回路へ繋がる画像表示器18であるディスプレイとを備えている。
このような画像診断装置1は、被検体中の造影剤、即ちコロイド粒子にガス状のフッ素含有脂肪族化合物が内包されており生体の血管外組織例えば粘膜内及び/又は粘膜下へ投与されているセンチネルリンパ節描出剤の造影により、センチネルリンパ節へ流入出しているリンパ系を画像表示して、センチネルリンパ節の位置や全体像、内部構造、内部リンパ液の流れを、描出するものである。
照射器12は、リンパ系及びその近傍の組織に超音波を照射するものである。受信器13は、リンパ系に流入出しているセンチネルリンパ節描出剤内のフッ素含有脂肪族化合物や組織22が超音波又は電磁波により共鳴して発した共鳴波若しくは反射した反射波、及び/又は前記組織で超音波により反射した反射波を受信するものである。そのオリジナル信号を、共鳴波/反射波検出器14で検出し、必要に応じ、フィルタで所期の信号のみに選別し、所望のアナログ信号にするものである。アナログ/デジタルデータ変換器(A/D変換器)は、受信した共鳴波及び反射波に由来するアナログ信号をデジタル処理するものであり、メモリ16はそのデータを記録するのであり、画像処理回路17はそのデータを基に画像データ化し画像表示器18へ出力するものである。画像表示器18は、画像データを、ディスプレイに前記リンパ系の画像として表示し、センチネルリンパ節の内部構造及び/又はそれのリンパ流の流入出をセンチネルリンパ節内部画像として描出するものである。
プローブ本体10は、受信器13が、超音波の生体組織での伝搬に伴って超音波波形が歪むことに従い基本波成分だけでなく基本波の周波数の整数倍である高周波のハーモニック成分を受信して画像化するために用いられるものであってもよい。受信器13は、照射周波数帯域と同じ周波数帯域を受信してその反射信号の強度を輝度変調する所謂Bモード(Brightnessモード)法に用いられるプローブであってもよく、反射源の変化について反射信号を輝度変調して横軸に時間、縦軸に生体深度を表示し動きを画像化する所謂Mモード(Movementモード)法に用いられるプローブであってもよいが、コントラスト強調モード法に用いられるプローブであることが好ましい。
このような方法として、照射する超音波周波数に対して受信信号に含ませる2倍、3倍・・・のような整数倍の周波数成分の信号だけを、フィルタで分離したり、繰返して取得した受信信号から基本波成分除去して抽出したりした後、画像化する方法が挙げられる。より具体的には、超音波が組織を伝搬するときに組織自身から発生する高周波を映像化する所謂ティッシュハーモニック造影法や、コロイド粒子にガス状のフッ素含有脂肪族化合物が内包されたセンチネルリンパ節描出剤である超音波造影剤の微小気泡が共振、共鳴及び/又は崩壊するときに非線形特性に起因して発する2倍のような高周波信号をハーモニック成分として受信する所謂コントラストハーモニック造影法が挙げられる。ティッシュハーモニック造影法やコントラストハーモニック造影法では、照射周波数である基本波よりもビーム幅が細いため、方位方向・厚み方向での分解能が向上し、多重反射やノイズが軽減され、コントラスト分解能やS/N比が良い画像が得られる。
プローブの形状は特に限定されないが、例えば、垂直に超音波を照射・受信する平坦先端を有し近距離視野幅が大きく深部視野幅が比較的大きなリニア型プローブ、放射状に超音波を照射・受信する弧状先端を有し近距離視野幅が比較的大きく深部視野幅が大きなコンベックス型プローブ、放射状に超音波を照射・受信する平坦先端を有し近距離視野幅が小さく深部視野幅が大きなセクタ型プロープであってもよい。
このようなブローブとして、より具体的には、腹部等の領域に広く対応できるコンベックス形探触子、先端曲率半径が小さく助間からの走査が可能な小径コンベックス形探触子、穿刺可能なエンドファイヤー型の体腔内用探触子、術中用探触子、先端部が湾曲しているような腹腔鏡下手術用探触子、指先に装着可能な指先用探触子、内視画像及び/又は超音波画像を観察可能な超音波内視鏡、表在組織に用いられる表在用探触子、任意方向の画像を取得可能な経食道用探触子、例えば超音波診断装置用探触子EUPシリーズ(株式会社日立メディコ製;商品名)が挙げられる。
プローブ本体10は、走査形状が、照射窓を平坦な矩形とし照射方向を垂直とする周波数3〜13Hz程度のリニア型のものが好ましい。このようなリニア型のプローブは近距離視野幅が大きく、深部視野幅がやや大きなものであり、腹部などを超音波診断するのに適している。内視鏡型のものであってもよい。
本発明のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置1の作動方法は、音響放射面より超音波を送信し、生体からの反射超音波を受信し、超音波画像等を表示し診断する汎用超音波画像診断装置に信号を伝達し、画像を表示するというものである。
画像診断装置1の作動方法の第一工程は、リンパ系及びその近傍の組織22に、照射器12で超音波を照射する照射工程である。先ず、超音波画像診断装置1のプローブ本体10の先端を、被検体の体表へ押し付ける。超音波画像診断装置1の制御パネルで発振すべき超音波の波長・強度が調整されており、その超音波に対応する電気パルス信号の発振回路から電気パルス信号が、プローブ内の発振素子である圧電素子からなる照射器12へ送られ、機械振動に変換される結果、被検体の組織22へ、所期の波長・強度の超音波が走査しながら照射される。照射される超音波は、2.5〜13MHzであることが好ましい。
画像診断装置1の作動方法の第二工程は、被検体の組織22やセンチネルリンパ節描出剤からの超音波を受信器13で受信する受信工程である。皮下投与された乳癌原発巣近傍の血管外組織からリンパ系に流入しているセンチネルリンパ節描出剤内のフッ素含有脂肪族化合物が前記のようにして照射した超音波により共鳴して発した共鳴波、若しくはセンチネルリンパ節描出剤のマイクロバブル表面で反射した反射波、及び被検体でのセンチネルリンパ節やその近傍の他の組織で前記超音波により反射した反射波が、プローブ内の振動素子である圧電素子からなる受信器13で走査しながら受信された後、A/D変換器15でその機械振動が電気信号であるエコー信号に変換される。
画像診断装置1の作動方法の第三工程は、受信した共鳴波及び反射波によるエコー信号を、ディジタルスキャンコンバータのような画像処理回路に17より、画像データ化してビデオ信号に変換し、さらに必要に応じ増幅したり明るさ・コントラスト・フォーカス調整されたりするデータ変換工程である。
画像診断装置1の作動方法の第四工程は、画像データであるビデオ信号を基に、画像診断装置1の画像表示器18ディスプレイパネルにリンパ系の画像として表示し、センチネルリンパ節を、リアルタイムに描出する画像表示工程である。この結果、リンパ系の輸入リンパ管・センチネルリンパ節等のリンパ節・輸出リンパ管の内部を移動するセンチネルリンパ節描出剤が、ディスプレイに描出され、その形態・位置・大きさなどから、センチネルリンパ節の全体若しくは内部、及びリンパ液の流れ若しくは微小変化乃至微小転移によるリンパ液の異常な流れなどが、特定される。
画像表示は、横軸に被検体の深度、縦軸に受信した超音波の強度を受信波形で示すアンプリチュードモード(Aモード)であってもよいが、通常汎用表示されているもので、音響インピーダンスの異なる被検体組織間の境界で起こる反射波を、受信超音波として、その受信超音波による信号強度を輝度変調し、断層像として表示した通常のブライトネスモード(Bモード)や、センチネルリンパ節描出剤へ照射した超音波の整数倍に共鳴させた組織反射波であるハーモニック成分を発生させてセンチネルリンパ節描出剤由来の信号を選択的にBモード表示したティッシュハーモニックモードや、センチネルリンパ節描出剤の強い散乱特性により特に受信超音波が増強されることを利用してBモードよりも輝度増強を強調したコントラストモードであってもよい。
センチネルリンパ節描出剤は、超音波で検出するものであるから、被検体を非侵襲的に体表にプローブを当接させて画像診断装置1を作動させてもよく、被検体の体腔に非侵襲的に内視鏡プローブを挿入しつつその体腔を映し出すように画像診断装置1を作動させてもよく、開腹又は開胸してその切開部位に非接触的にプローブを近接させつつ画像診断装置1を作動させてもよい。乳癌のみならず、消化器系癌を始め各種の癌原発巣の郭清の際に利用されてもよい。超音波画像診断装置の例を示したが、近赤外光画像診断、コンピュータ化X線体軸断層撮影診断(CTスキャン)、陽電子放射断層撮影診断(PETスキャン)のような様々な電磁波による非観血的手段による装置を、同様に作動させるものであってもよい。作動方法に乗じて、それら電磁波による治療を行ってもよい。
本発明のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置1の別な態様は、超音波に代えて電磁波で診断する画像診断装置であって、プローブ本体とそれが繋がる画像診断装置本体とからなっていてもよい。
乳癌原発巣を切除する外科手術すべき乳癌・胃癌等の癌患者のような被検体に対して、画像診断装置として市販の汎用超音波画像診断装置、例えば超音波診断装置EUB−7500(株式会社日立メディコ製;商品名)を使用し、この作動方法が施される例について、説明する。
乳癌・胃癌等の癌原発巣に最も近い腋窩のセンチネルリンパ節が、癌細胞のリンパ行性転移しているか否かについて確認するため、外科手術に先立ち、そのセンチネルリンパ節を含むリンパ系の超音波画像診断をするのに、センチネルリンパ節描出剤、例えばソナゾイドを、用いる。
検査すべきセンチネルリンパ節のリンパ系上流の乳癌・胃癌等の癌原発巣近傍の血管外組織、好ましくは皮下、粘膜内及び/又は粘膜下へ、センチネルリンパ節描出剤の適量を、シリンジで注射して投与しておく。センチネルリンパ節描出剤は、その血管外組織のリンパ間隙から速やかに数秒乃至数10秒でリンパ管へ流入し始める。このように皮下、粘膜内及び/又は粘膜下投与されたら、超音波画像診断装置の作動を開始する。センチネルリンパ節描出剤のリンパ管への流入は、緩々と約30分間〜2時間程度、持続している。
センチネルリンパ節描出剤の好ましい一形態は、ホスファチジルセリン類で形成されたリポソームであるコロイド粒子の内腔に、ガス状のフッ素含有脂肪族化合物の微小気泡例えばn−パーフルオロブタン微小気泡(ペルフルブタンマイクロバブル)として、内包されており、懸濁して水中で分散しているものである。このセンチネルリンパ節描出剤は、生体の血管外組織、例えば描出すべきセンチネルリンパ節を含むリンパ系の上流に存する癌原発巣の近傍の粘膜下又は皮下組織下への投与によってリンパ系に流入するように用いられるものである。
このようなホスファチジルセリン類で形成されn−パーフルオロブタンを内包したコロイド粒子からなるセンチネルリンパ節描出剤として、例えば、ソナゾイド(第一三共株式会社の製品;登録商標)が挙げられる。このようなソナゾイドは、2.4〜2.5μmのパーフルオロブタン微小気泡を脂質で安定化させた懸濁液であり、当初から超音波造影剤として開発されたものである。ソナゾイドは、本来、静脈注射されて、肝腫瘤性病変の超音波検査における造影を行うもので、投与後5〜10分以降に、肝臓内で細網内皮系であるクッパー細胞に取り込まれて、超音波照射したときに、細網内皮系を有しない腫瘍と正常組織とのコントラストを増強し、腫瘍の存在診断を可能とするものである。しかしソナゾイドをセンチネルリンパ節描出剤として用いた場合、血管外組織へ投与されてから僅か数秒で輸入リンパ管へ流入してセンチネルリンパ節に至り、超音波照射したときに、センチネルリンパ節描出剤の表面で反射散乱したり共振・共鳴して別な波長で発したりする結果、造影して描出できるようになったものであり、しかもその描出が約30分間乃至2時間程度維持可能なものであるから、静脈即ち血管に注射して肝腫瘤性病変を造影するのとは、造影の作用機序を全く異にするものである。ソナゾイドの静脈内投与は、患者の肝臓及び心臓のイメージングの用途に、安全であると評価されている。
このソナゾイドをリンパ系の診断に用いる場合、ソナゾイドがリンパ管とセンチネルリンパ節とを通過するため超音波で鮮明に視覚化されるが、その下流で最も近隣のリンパ節にまで到達できない。
このコロイド粒子は、ホスファチジルセリン類、具体的にはホスファチジルセリン塩、より具体的には主成分の水素添加卵黄ホスファチジルセリンナトリウムで形成されているリポソームであることが好ましい。コロイド粒子は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)のようなリン脂質で形成されたリポソームであってもよい。このコロイド粒子は、その他レシチンのようなリン脂質で形成されたリポソーム、生体分解性樹脂ミセル粒子や合成樹脂ミセル粒子であってもよい。中でもリポソームであることが特に好ましい。
このコロイド粒子に内包されて封入されているガス状のフッ素含有脂肪族化合物として、n−パーフルオロブタンの例を挙げたが、n−パーフルオロプロパンであってもよい。とりわけn−パーフルオロブタンは、市販のソナゾイドの有効成分であり、吸収・分布・代謝・排泄のような薬物動態、薬効、一般薬理、毒性などの観点から、ヒトでの安全性が十分に確認されているから、特に好ましい。このようなフッ素含有脂肪族化合物は、センチネルリンパ節描出剤の有効成分であるが、コロイド粒子とりわけ単層のリポソームの内空でマイクロバブル即ち微小気泡となって薬効を示すものである。
このコロイド粒子の平均粒子径は、所謂ナノ粒子である5〜1000nm程度であってもよく、1〜10μm程度であってもよいが、好ましくは0.3〜3μmである。このようなコロイド粒子の径や流動特性が、リンパ系への特異的な流入を惹き起している。
このコロイド粒子の表面が、親水性化合物や抗体や疾患指向性ペプチドや別な診断薬や抗癌薬のような薬物で化学修飾されたりそれら薬物を包含したりしていてもよい。とりわけリポソームの表面の分子に親水性化合物であるポリエチレングリコール(PEG)の片末端が結合したものであることが好ましい。そのポリエチレングリコールの他末端に、これらの内の別な薬物が結合していてもよい。特にセンチネルリンパ節の微小環境変化や微小癌転移によって発現している分子マーカーを検出するような薬物が結合されていてもよい。最近広く研究されているような1〜数個しか転移していないセンチネルリンパ節内の癌細胞上の分子マーカーを検出する方法よりも、このセンチネルリンパ節描出剤を用いて検出する方法によって、センチネルリンパ節の微小環境変化、乃至は微小癌転移によりそこに発現した分子マーカーを検出する方が、遥かに感度が良い。しかも術前・術中にでも簡易かつ迅速に検知できる。
このセンチネルリンパ節描出剤が、リンパ系に流入するように、粘膜下又は皮下組織下へ投与されように用いられる例を挙げたが、乳癌や、胃癌のような消化器癌などの癌原発巣近傍に投与されてもよく、癌検診すべきセンチネルリンパ節の上流の血管外組織へ投与されるように用いられてもよい。
このセンチネルリンパ節描出剤の投与量は、ガス状のフッ素含有脂肪族化合物の体積換算で、0.002〜1μL/kg、好ましくは健康成人に0.12μL/kgとなるように用いられる。
このセンチネルリンパ節描出剤、例えばリポソーム原料であるホスファチジルセリン類で形成されたリポソームであるコロイド粒子がその内腔にガス状のn−パーフルオロブタンを内包しているものは、常圧下乃至加圧下で、フッ素含有脂肪族化合物とホスファチジルセリン類とを、水中で、常温下乃至加熱下で、高速で撹拌して、クリーム状にしたリポソームが分散した懸濁液として調製される。必要に応じ得られたリポソームをPEGでエステル化するなどの手法により化学修飾してもよい。また所望の他の薬効成分と共存させつつリポソームの懸濁液を調製してもよく、予め化学修飾されたホスファチジルセリン類でリポソームの懸濁液を調製してもよい。必要に応じそのリポソームの懸濁液を凍結乾燥しておき用時に水で希釈し再懸濁させて用いてもよい。
以下、本発明の実施例として、癌患者の代わりに非ヒト動物を用いて有効性を検討し、その結果について詳細に説明する。
センチネルリンパ節描出剤であるソナゾイドと組み合わせたコントラスト強調超音波診断(CEUS)法が、胃癌患者でのセンチネルリンパ節検出法として有用であることを示すため、実施例及び比較例での検討を行った。(i) 先ず、ブタを用いた動物モデルで、胃のリンパ節とセンチネルリンパ節との画像化のために、粘膜内及び/又は粘膜下に注入したソナゾイドと組み合わせてコントラスト強調超音波診断法の有用性を評価した後、(ii)センチネルリンパ節検出率と精度とについて、同様な動物モデルでの従来のエバンスブルー色素診断法(比較例)での画像と、定量的に比較し、有効性について検討評価した。
動物として、2〜3月齢で17〜30kg(23.0±0.8kg,n=28)の交配種([ヨークシャー種×ランドレース種]×デュロック種)のブタ(オス11頭、メス17頭)を、使用した。なおこの動物試験は、信州大学内における動物実験実施委員会で承認されたものである。動物愛護に関する倫理規定に基づいて、試験後、ブタを処分した。
(実施例1)
(試験動物の麻酔及びモニタリング)
ブタ(n=23)を、一晩絶食させ、0.1〜0.2mg/kgのメデトミジン塩酸塩(オリオン・ファーマ社製;商品名)及び0.7〜1.2mg/kgのミダゾラム(アステラス製薬株式会社製;商品名)を筋肉内に麻酔前投与した。気管内に挿管後、1分間あたり10〜15呼吸となるように、2.0〜3.0%イソフルレン(大日本住友製薬株式会社製;商品名)/Oを10〜15mL/kg/分間で吸入させて、麻酔状態を維持させつつ、十分に換気を行った。心電図及び心拍数を、心電計FCP−140(フクダ電子株式会社製;商品名)でモニターした。実験中、一時間あたり10mL/kgの生理食塩水(大塚製薬株式会社製)を投与した。
(画像診断装置の調整)
コントラスト強調超音波診断法の撮像に先立ち、音響作動周波数3.5MHzのコンベックス形探触子EUP C715(株式会社日立メディコ製;商品名;性能(ペネトレーション深度140mm以上、距離分解能1.6mm以下、方位分解能2.4mm以下、音響作動周波数3.0MHz±30%、最大音響出力:減衰空間ピーク時間平均強度がIzpta=720mW/cm以下でメカニカルインデックスMIが1.9以下)、又は音響作動周波数13MHzリニア形探触子EUP L74M(株式会社日立メディコ製;商品名;性能(ペネトレーション深度65mm以上、距離分解能1.0mm以下、方位分解能2.0mm以下、音響作動周波数7.5MHz±30%、最大音響出力:減衰空間ピーク時間平均強度がIzpta=720mW/cm以下でメカニカルインデックスMIが1.9以下))を超音波プローブとして用いて、グレースケール超音波診断装置EUB−7500(株式会社日立メディコ製;商品名、東京、日本)で、先ず測定領域や深度等の撮像パラメーターを最適となるよう調整した。
(組織学的予備検討)
ブタの胃壁でのソナゾイド又はエバンスブルー色素の注入部位を組織学的に識別するため、その色素診断法を行うに先立ち、0.01mLのエバンスブルー色素を予注入した胃壁を組織学的に分析した。光学顕微鏡検査による観察では、墨を含有する試料をホルマリン溶液に24時間固定した。試料は段階的にエタノールにより水分を取り除き、所定の方法でパラフィンに固定した。3〜4μmの切片を、ヘマトキシリン・エオジン染色処理した。切片は、光学顕微鏡AG(ライカカメラ社製;商品名)を用いて観察し、撮影した。なお、その結果を図2(D)に示してある。
(センチネルリンパ節描出剤の注入)
これらのブタを手術台に仰臥位に載置し固定した。各ブタの体温を温熱パッドで36.5〜37.5度に維持させた。図2(A)は、このブタモデルの胃を切開する位置、及びソナゾイド又はエバンスブルーを注入する位置を示す概要図である。ブタの正中線に沿って腹部を切開し、胃をゆっくりと取り出し、胃の幽門から大弯までを実施例に供した。図2(A)に示すように、小弯と大弯との間の無血管部を真っすぐに5cm長だけ切開し、以下のようにして、センチネルリンパ節描出剤を注入して、胃内でのリンパ管及びセンチネルリンパ節のコントラスト強調超音波診断法による撮像を行った。
これらブタの胃の切開部から超音波プローブの先端を胃内部へ挿入した。その後、センチネルリンパ節描出剤である0.01〜0.3mLのソナゾイド(第一三共株式会社製;商品名)を、幽門の上約9cm、大弯から約2cm離れた部位の胃の粘膜内層及び粘膜下層に注入し(図2(A)参照)、リンパ管へのソナゾイドの流入を促進するため、注入部位を10秒間穏やかに揉んだ。
(コントラスト強調超音波診断の手順)
リンパ管を通って胃のセンチネルリンパ節に到達したソナゾイドを確認し、胃内でのリンパ管とセンチネルリンパ節とを観測するため、ソナゾイド注入後に、コントラスト強調超音波診断法によるリンパ管超音波検査を行った。具体的には、このブタ(n=23)を用いて、ソナゾイド注入後、コントラスト強調超音波診断法のコントラストハーモニック造影法によりグレースケールコントラストハーモニック画像又はティッシュハーモニック造影法によりティッシュリニアハーモニック画像を得た。これらの方法を用いると、精度、立体的分解能がともに良く、リンパ管内を流れるソナゾイドのようなセンチネルリンパ節描出剤を造影剤として鮮明に視覚化することが可能となる。例えば、ティッシュリニアハーモニック造影によれば、リンパ管を流れるセンチネルリンパ節描出剤を鮮明に観察することができる。
ソナゾイドのコントラストハーモニック造影又はティッシュハーモニック造影の際に用いられる音圧のメカニカルインデックス(MI)値は、微小気泡破泡を軽減するため、0.2〜0.3とした。なおメカニカルインデックスとは、超音波場から発生する音圧の単位であり、負の音圧を周波数の平方根で割ったもので、キャビテーションによる超音波生体作用の指標となるものである。
その後、微小気泡破泡によるドップラー信号の消滅を惹き起すソナゾイドの存在を確認するため、より高い音圧のメカニカルインデックス値(MI:>1.0)を使用して、スキャンボリューム内の実質に充満した気泡を高音圧で消失させた後に低音圧のハーモニックで気泡の再灌流をリアルタイムに観察するフラッシュリプリニシュメント造影(FRI)を行った。また、胃のリンパ管とセンチネルリンパ節を流れるソナゾイドの再灌流を確認するため、再灌流の気泡からの信号を最大限に維持しつつ気泡の流れをトレースすることにより、微細なリンパ管やセンチネルリンパ節内部を造影するマイクロフロー造影(MFI)を行った。投与前撮像及び投与後撮像は、同じ者が担当した。
胃内でのリンパ管及びセンチネルリンパ節のコントラスト強調超音波診断法による撮像を行った後、腹壁を縫合して腹部を閉じ、次いで、ソナゾイドと組み合わせた経皮的コントラスト強調超音波診断法により同ブタでの胃のリンパ管及びセンチネルリンパ節について、再度、コントラストハーモニック造影を行って、評価した。
なお、超音波画像診断記録には、超音波診断装置EUB−7500(株式会社日立メディコ製;商品名)を用い、10コマ/1秒間の解像度で120秒間、ビデオとして録画した。全ての画像を、一コマずつ解析した。
その結果を、図2(B)〜(E)、図3〜図5に示す。
(ソナゾイド又はエバンスブルー色素の注入結果)
図2(B)は、ソナゾイド注入部位を肉眼観察した時の撮影写真(低倍率:×1倍)である。同図(C)は、ソナゾイド注入部位を顕微鏡観察した時の撮影写真(低倍率:×3倍)である。同図(D)は、ソナゾイドを注入した胃壁の組織学的顕微鏡写真(スケールバー:100μm)であり、矢印で示すように、注入されたエバンスブルーが、胃の粘膜内層及び粘膜下層で鮮明に観察されたことを示している。なお、同図(F)は、コントラストハーモニックプローブを用いた胃内でのコントラスト強調超音波診断法による胃のリンパ管及びセンチネルリンパ節の識別途中を示す全体の概要を示す写真である。
(胃のリンパ管及びセンチネルリンパ節のコントラストハーモニック造影におけるソナゾイドの注入用量毎の効果の結果)
ブタの胃内でのセンチネルリンパ節中のリンパ流を詳細に調べるためにコンベックス形探触子EUP C715,3.5MHzの(株式会社日立メディコ製;商品名)を用い、ブタモデルにおけるソナゾイドの用量0.01mL(同図(A))、0.03mL(同図(B))、及び0.1mL(同図(C))の注入による胃のリンパ管とセンチネルリンパ節とのコントラストハーモニック造影での結果を示す描出画像を、図3に示す。この図3は、0.01〜0.1mLの範囲のソナゾイド注入用量での動態効果を示している。実線矢印はセンチネルリンパ節、点線矢印は輸入リンパ管、IVCは下大静脈、PVは門脈を示している。
図3(B)及び(C)に示すように、0.03mL以上のソナゾイドを粘膜内及び/又は粘膜下へ注入すると、全検体(n=23)で、胃内のセンチネルリンパ節の輸入リンパ管が、30秒間以内に明瞭に識別できた。その全検体で、胃内のセンチネルリンパ節も、ソナゾイド注入後30秒間以内に、コントラストハーモニックイメージングにより識別できた。それに対し、図3(A)に示すように、0.01mLのソナゾイドの注入では、それの注入後1分間以内に、胃のリンパ管もセンチネルリンパ節もコントラストイメージングは得られなかったが、それの注入後約5分間後に、胃でセンチネルリンパ節が小さくかすかに認められた。
(胃内のリンパ管及びセンチネルリンパ節のコントラストハーモニック造影におけるソナゾイドの注入後経過時間毎の効果の結果)
図4に、ソナゾイドのコントラストハーモニック造影の後、より高い音圧のメカニカルインデックス値(MI:>1.0)により胃内での輸入リンパ管及びセンチネルリンパ節中のソナゾイドを破泡させ引き続きコントラストハーモニック造影するフラッシュリプリニシュメント造影(FRI)及びマイクロフロー造影(MFI)の描出画像を、示す。実線矢印はセンチネルリンパ節、点線矢印は輸入リンパ管、IVCは下大静脈、PVは門脈を示している。
図4(A)は、0.3mLのソナゾイドの粘膜内及び/又は粘膜下への注入と組み合わせた胃内でのコントラスト強調超音波診断法を用いて、ソナゾイド注入後20〜50秒間経過時まで10秒間隔で順次得られた胃内での輸入リンパ管とセンチネルリンパ節とのコントラストハーモニック造影の描出画像である。
図4(A)から明らかな通り、粘膜内及び/又は粘膜下への0.3mL用量のソナゾイドの注入により、胃での輸入リンパ管及びセンチネルリンパ節の鮮明なコントラストハーモニック画像を、速やかに、得ることができた。0.3mLのソナゾイドの注入後、直ちに(20秒間以内に)、胃の輸入リンパ管を、明瞭に特定することができた。そのとき胃の輸入リンパ管とセンチネルリンパ節とのコントラスト画像は、経時的に益々鮮明になってきた。このような知見は、全例(n=23)で認められた。
図4(B)は、胃内でのリンパ管やセンチネルリンパ節を通過するソナゾイドの流れを確かめるため、同じブタに、ソナゾイド注入後110秒経過直後に、胃内でのリンパ管やセンチネルリンパ節へ、高音圧(MI=1.2)でフラッシュリプリニシュメント(FRI)刺激してソナゾイドのパーフルオロブタンの微小気泡を破泡させ、その後、2、10、20秒間経過時に、経時的に得られたFRI刺激後のコントラストハーモニック造影した描出画像である。図4(B)最左写真は、ソナゾイド注入後110秒経過時の胃での輸入リンパ管及びセンチネルリンパ節を十分に鮮明化したコントラストハーモニック画像である。この直後にFRI刺激を行っているが、図4(B)から明らかな通り、FRI刺激後2秒間経過時に、胃内でのリンパ管及びセンチネルリンパ節は、コントラストハーモニック画像で観察されていない。しかし、FRI刺激後10秒間経過時に、胃内での輸入リンパ管がコントラストハーモニック画像で観察され始め、FRI刺激後10秒間経過時に、胃での輸入リンパ管とセンチネルリンパ節がその画像で観察された。
図4(C)は、0.3mLのソナゾイドを粘膜内及び/又は粘膜下へ注入した後、10,20,40,60,90及び120分間経過時に、コントラスト強調超音波診断法を用いて得た胃内でのセンチネルリンパ節のコントラストハーモニック造影による描出画像である。図4(C)から明らかなように、0.3mLのソナゾイドの粘膜内及び/又は粘膜下への注入後、10〜30分間おきに2時間までの長時間に渡って、胃でのリンパ管とセンチネルリンパ節とのコントラストハーモニック画像中での経時的変化を検討し、各画像における変化を評価した。図4(C)上段最左写真のように、胃でのセンチネルリンパ節は、0.3mLのソナゾイドの粘膜内及び/又は粘膜下への注入後10分間経過時に、明瞭に識別された。図4(C)の上下段写真のように、0.3mLのソナゾイドの注入後20、40、60、90及び120分間後にも、ほぼ同様にリンパ管とセンチネルリンパ節とのコントラストハーモニック画像が、得られた。図4(C)の何れの写真からも明らかなように、センチネルリンパ節描出剤であるソナゾイドは、標的のセンチネルリンパ節の下流にある最も近隣する最初のリンパ節を、通過しなかったことから、センチネルリンパ節描出剤として特異的であることが分かった。
(胃内でのリンパ管及びセンチネルリンパ節のティッシュリニアハーモニック造影におけるソナゾイドの経時的な効果の結果)
ブタの胃内でのセンチネルリンパ節中のリンパ流を詳細に調べるために、リニア型探触子EUP L74M,13MHz型(株式会社日立メディコ社製;商品名)を用い、0.3mLのソナゾイドの粘膜内及び/又は粘膜下への注入後、500、510、520、530及び540秒間経過時において、胃での輸入リンパ管とセンチネルリンパ節とのティッシュリニアハーモニック造影した描出画像を、図5(A)に、示す。実線矢印・SLNはセンチネルリンパ節、点線矢印は輸入リンパ管、PVは門脈を示している。
図5(A)から明らかな通り、胃内でのリンパ管及びセンチネルリンパ節のティッシュリニアハーモニック画像により、胃内でのセンチネルリンパ節中のソナゾイドの分布及びその流れが、リンパ液の流れとして、確認できた。また、このソナゾイドの微小気泡により、胃でのセンチネルリンパ節中の辺縁洞及び梁柱洞を、明確に表示して確認できた。このようなティッシュリニアハーモニック画像は、胃でのセンチネルリンパ節中でのソナゾイドの流れをビデオ録画して動画として可視化することも可能であった。
なお、コントラスト強調超音波診断法で、センチネルリンパ節が確認されたら、それを示す消え難いマーカーを、腹部表皮に付しておいた。
このように図2〜図5(A)から明らかな通り、ブタの全検体(n=23)で、センチネルリンパ節描出剤であるソナゾイドは、輸入リンパ管を通り過ぎ胃のセンチネルリンパ節へ流入しながら、簡易に識別された。このようにして、ソナゾイドと組み合わせたコントラスト強調超音波診断法によって診断した胃でのセンチネルリンパ節の検出率は、100%(n=23)であった。胃でのリンパ管やセンチネルリンパ節の所在は、全検体で、フラッシュリプリニシュメント造影(FRI)やマクロフロー造影(MFI)を用いて確認することができた。
(コントラスト強調超音波診断法とエバンスブルー色素診断法とを用いた胃でのセンチネルリンパ節の識別)
これらのブタ(n=23)で超音波画像診断記録を行った後、エバンスブルー色素の存在下で、センチネルリンパ節やリンパ系領域を識別するため、腹部を切り開いた。2%のウシ血清アルブミン(BSA:シグマ・アルドリッチ社製)を含有する1%のエバンスブルー色素(シグマ・アルドリッチ社製)0.1mLを、ソナゾイド注入部位と同じ粘膜内層と粘膜下層に注入して、胃のリンパ管とセンチネルリンパ節の生物学的形態を、目視できるようにした。
ソナゾイドを用いたコントラスト強調超音波診断法における胃でのセンチネルリンパ節と、エバンスブルー色素診断法における胃でのセンチネルリンパ節とが、一致していることを確かめるために、ソナゾイド注入後にコントラスト強調超音波診断法で撮影した場合の描出画像と、エバンスブルー色素注入後に色素診断法で撮影した場合の撮影写真とを、比較した。それぞれを図5(B)に示す。実線矢印・破線範囲・SLNは胃のセンチネルリンパ節を示している。
図5(B)に示すように、コントラスト強調超音波診断法では、コントラストハーモニック画像(図5(B)-1)とティッシュリニアハーモニック画像(図5(B)-2)とで、胃でのセンチネルリンパ節のほぼ同じ箇所が、識別できた。また、エバンスブルー色素診断法(図5(B)-3)でも、ソナゾイドの場合と同じ部位にエバンスブルー色素を注入することによって、これらコントラスト強調超音波診断法でのセンチネルリンパ節とほぼ同じ箇所が、識別できた。
(実施例2)
(胃でのセンチネルリンパ節の経皮的コントラスト強調超音波診断)
実施例1で用いたブタ(n=23)を用い、次いで、実施例1での胃内コントラスト強調超音波診断法と、経皮的コントラスト強調超音波診断法とにより夫々得られた各画像での胃のセンチネルリンパ節の同一性を検討するために、実施例1のような胃内コントラスト強調超音波診断法を用いた胃でのセンチネルリンパ節を識別してから腹壁を縫合した後、実施例1と同様な超音波診断装置及びプローブを用いて、経皮的コントラスト強調超音波診断法を用いた胃でのセンチネルリンパ節を調べた。その結果を図6に示す。
図6は、胃内及び経皮的コントラスト強調超音波診断法での撮像による描出画像(同図(A)及び(C))と、術後のブタの経皮的コントラスト強調超音波診断の途中の概要写真(同図(B))である。図6(A)に示す通り、0.3mLのソナゾイドの粘膜内及び/又は粘膜下への注入後に得られた胃内でのセンチネルリンパ節のコントラストハーモニック画像は、鮮明であった。同じブタで、図6(B)に示すように腹壁が縫合され、その後、経皮的コントラスト強調超音波診断法を用いてコントラストハーモニック画像を得たところ、図6(C)に示すように、胃内でのセンチネルリンパ節と同じ箇所に、経皮的であっても胃でのセンチネルリンパ節が存することが、確認できた。さらに、経皮的コントラスト強調超音波診断法の場合、高音圧(MI=1.2)でフラッシュリプリニシュメント(FRI)刺激を行い、胃でのセンチネルリンパ節のコントラスト造影を追加して行った。図6(C)に示すように、ソナゾイド注入後、170秒経過直後に超音波のFRI刺激したところ、FRIによるFRI刺激後2秒経過時に、胃のセンチネルリンパ節の画像は、完全に消滅した。しかし、FRI刺激後20秒経過時に、胃のセンチネルリンパ節の画像が、再出現した。
(比較例1)
(従来の色素診断法を用いた胃でのリンパ管及びセンチネルリンパ節の画像化)
コントラスト強調超音波診断法と従来の色素診断法との動物実験でセンチネルリンパ節検出率と精度とを、以下のようにして比較した。ブタ(n=5)の胃のリンパ管とセンチネルリンパ節を色素診断するため、BSAを2%含有する1%のエバンスブルー色素0.1mLを、実施例1でのソナゾイドの胃への注入部位と同じく、粘膜内及び/又は粘膜下で、胃の大弯から約2cmのところに注入した。注入部位を10秒間穏やかに揉んだ後、エバンスブルー色素のリンパ管、センチネルリンパ節及びそれに直結した最も近隣やその先のリンパ節内へのフローパターンが、腹部内で、観察された。エバンスブルー色素のフローパターンは、デジタルカメラCX4(株式会社リコー製;商品名)を用いて色素注入後、1分毎に、30分間経過時まで、撮影した。その結果の概要を、図7(A)に示す。
図7(A)は、エバンスブルー色素診断法による色素注入後3〜15分間経過時まで撮影された胃での輸入リンパ管、標的とするセンチネルリンパ節、輸出リンパ管、最も近隣のリンパ節とその輸出リンパ管を描出した顕微鏡写真である。標的センチネルリンパ節、最も近隣のリンパ節、及びそれらの輸出リンパ管は、エバンスブルー色素の注入後3分間経過時に明瞭に確認された。さらに、胃でのセンチネルリンパ節中のエバンスブルー色素は、不均一に色付いており、その後、経時的に、消失した。エバンスブルー注入後15分間経過時に、センチネルリンパ節中の色素は、最も近接するリンパ節へ徐々に移動して凝集し始めた。
このように、エバンスブルー色素が標的センチネルリンパ節を通り過ぎて最も近接するリンパ節へ溢れ出してしまう現象は、標的センチネルリンパ節をリンパ節転移陰性であると高頻度で見誤らせる原因となる。そのため、色素の注入後、僅か3分間以内に、センチネルリンパ節での染色を確認しなければならない。エバンスブルーの注入後3分経過時に色素診断法により胃でのセンチネルリンパ節の検出率を評価したところ、n=5で、100%であったが、それにも関わらずエバンスブルー色素診断法ではセンチネルリンパ節からの溢れ出しの所為で、高頻度にリンパ節転移陰性と誤らせてしまうため、エバンスブルー色素診断法での精度は、コントラスト強調超音波診断法に比べると、極めて低いことが確認された。
同じブタ(n=5)を用い、注入部位に応じたセンチネルリンパ節の変化を検討するため、胃の幽門上部から約9cmで小弯から約2cm離れた部位に、さらに、1%エバンスブルー色素溶液の0.1mLを粘膜内及び/又は粘膜下注入することによる胃でのセンチネルリンパ節の識別試験を行い、先と同様に撮影した。その結果を図7(B)に示す。
図7(B)は、胃の小弯でのエバンスブルー色素を追加注入後、8分間経過時と15分間経過時との標的センチネルリンパ節のエバンスブルー染色の顕微鏡写真を示す。図7(B)から明らかな通り、胃の小弯でのエバンスブルー色素の追加注入を行ったところ、胃での大弯での注入の際に出現したセンチネルリンパ節に起因する像が再び出現すると共に、小弯での注入で新たに別なセンチネルリンパ節に起因する像が出現した。このように、胃でのセンチネルリンパ節は、胃での大弯でのエバンスブルー色素の注入によって識別される胃でのセンチネルリンパ節とは、明らかに相違していた。
実施例1〜2及び比較例で示した通り、本発明の画像診断装置及びその作動方法によれば、ソナゾイドのようなセンチネルリンパ節描出剤を用いてコントラスト強調超音波診断法により、従来の色素診断法よりも遥かに高感度で胃のセンチネルリンパ節の全体像や微細な内部構造まで識別することが可能である。
例えば、初期の胃癌は、消化器系癌の中でも最もセンチネルリンパ節マッピングに適した対象疾患である。そのセンチネルリンパ節生検結果に基づいて、患者毎に最小限の侵襲的手術を行うことが可能となる。しかし、胃癌の場合、センチネルリンパ節の5〜10%は癌原発巣からの異常ドレナージ経路に拠ると思われる二次コンパートメントへの転移が認められるが、二次コンパートメント内でのリンパ管網やセンチネルリンパ節の識別のために適切な手法は、今まで無かった。
ところが、本発明の画像診断装置及びその作動方法によれば、ソナゾイドのようなセンチネルリンパ節描出剤と組み合わせたコントラスト強調超音波診断法を用いたブタのモデルで胃のリンパ節とセンチネルリンパ節とのリアルタイム撮像の結果から、明らかなように、センチネルリンパ節検出率と精度との観点から、従来の色素診断法を比較して、コントラスト強調超音波診断法が極めて臨床的に有用であることが、実証された。例えば、粘膜内及び/又は粘膜下へのソナゾイド0.05〜0.3mLの注入を組み合わせたコントラスト強調超音波診断法を用いその注入後約20秒間経過時から輸入リンパ管やセンチネルリンパ節の鮮明なコントラストハーモニック画像を得ることができた。リンパ管やセンチネルリンパ節の画像は、ソナゾイド0.3mLを注入後、120分間経過時まで、持続した。さらに、胃周辺部位でのセンチネルリンパ節マッピングは、経皮的コントラスト強調超音波診断法を用いてさらに微細な内部構造にまで行うことができた。
このように、粘膜内及び/又は粘膜下へのソナゾイドの注入と組み合わせたコントラスト強調超音波診断法を用いることにより、胃でのリンパ管やセンチネルリンパ節のリアルタイム画像を得ることができるようになり、また二次コンパートメントに存するセンチネルリンパ節までも評価することができるようになった。
この画像診断装置及びその作動方法によれば、ソナゾイドと組み合わせたリアルタイムコントラスト強調超音波診断法を用いれば、色素診断法で染色されるリンパ流域全体でなく、郭清すべきセンチネルリンパ節を検出するというコンセプトに適用することができる。
さらに、センチネルリンパ節検出率は、コントラスト強調超音波診断法と色素診断法とで有意差が認められなかった。しかも、胃でのセンチネルリンパ節の検出の精度の観点からすると、ソナゾイドと組み合わせたコントラスト強調超音波診断法は、色素診断法よりも、遥かに優れていた。そのため、このようなセンチネルリンパ節は、初期胃癌における微小癌転移の危険性があるリンパ節を選択的に切除する対象となる。
特に、胃でのセンチネルリンパ節内でのティッシュリニアハーモニック造影からなる動画で鮮明に、ソナゾイドの節内の流れを検知し得ることは、この画像診断装置及びその作動方法の更なる重要な利点である。このように、ソナゾイドと組み合わせたコントラスト強調超音波診断法は、胃でのセンチネルリンパ節中での節内構造とリアルタイムなソナゾイドの流れとを可視化することができるものである。
この画像診断装置及びその作動方法によれば、転移前段階又は微小転移しているセンチネルリンパ節での微小変化が、ICAM−1のような分子マーカーに関わるソナゾイドを用いた胃でのセンチネルリンパ節内のティッシュリニアハーモニック造影で識別できる可能性がある。このような造影剤としてセンチネルリンパ節描出剤を用いて診断すれば、センチネルリンパ節内でのソナゾイドの流れのパターンやICAM−1の分布に応じた節内構造の変化が、臨床的に識別できるようになる。また、センチネルリンパ節内でのこれら変化と悪性腫瘍細胞の微小転移との相関関係を調べ、癌の早期発見・早期治療に資することができる。
本発明の画像診断装置及びその作動方法は、外科手術による癌治療の際、その外科手術前や最中に、癌原発巣と共に郭清すべきセンチネルリンパ節を描出して、特定し、病理学的検査を行うのに用いられる。また、その外科手術後に癌が再発してリンパ行性転移が起こっていないかの病理学的検査を行うのに用いられる。さらに、治療の他、人間ドックのような検診、予防医学にも利用できる。
1はセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置、10はプローブ本体、11は探探子、12は照射器、13は受信器、14は共鳴波/反射波検出器、15はA/D変換器、16はメモリ、17は画像処理回路、18は画像表示器、19は画像診断装置本体、21はセンチネルリンパ節、22は組織である。

Claims (6)

  1. コロイド粒子にガス状のフッ素含有脂肪族化合物が内包されており生体の血管外組織へ投与されているセンチネルリンパ節描出剤が、流入出しているリンパ系を画像表示して、センチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置であって、
    前記リンパ系とその近傍との組織に超音波又は電磁波を照射する照射器と、
    前記リンパ系に流入出している前記センチネルリンパ節描出剤内の前記フッ素含有脂肪族化合物及び/又は前記組織が前記超音波又は電磁波により共鳴して発した共鳴波若しくは反射した反射波、及び前記組織で前記超音波又は電磁波により反射した反射波を受信する受信器と、
    前記受信した前記共鳴波及び前記反射波の信号を、画像処理回路により画像データ化するデータ変換器と、
    前記画像データを、ディスプレイに前記リンパ系の画像として表示し、前記センチネルリンパ節の内部構造及び/又はそれのリンパ流の流入出をセンチネルリンパ節内部画像として描出する画像表示器とを、有し、
    前記受信器が、コントラスト強調モードで受信するプローブであることを特徴とするセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置。
  2. 前記受信器が、照射した前記超音波又は電磁波の周波数に対する整数倍の周波数をハーモニック成分として受信することを特徴とする請求項1に記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置。
  3. 前記受信器が、長方形で平坦なスキャン面を有するリニア型の前記プローブであることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置。
  4. 前記コロイド粒子にガス状のフッ素含有脂肪族化合物が内包されたセンチネルリンパ節描出剤を破泡する音圧発生器を、有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置。
  5. 前記リンパ系を経内視的に撮像する内視鏡プローブの先端に、又は、前記リンパ系を体表又はその内部の臓器表面で経皮的に撮像するハンディプローブの先端に、前記照射器及び前記受信器を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置。
  6. コロイド粒子にガス状のフッ素含有脂肪族化合物が内包されており生体の血管外組織へ投与されているセンチネルリンパ節描出剤が、流入出しているリンパ系を画像表示して、センチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置の作動方法であって、
    前記リンパ系とその近傍との組織に超音波又は電磁波を照射器で照射する照射工程と、
    前記リンパ系に流入出している前記センチネルリンパ節描出剤内の前記フッ素含有脂肪族化合物及び/又は前記組織が前記超音波又は電磁波により共鳴して発した共鳴波若しくは反射した反射波、及び前記組織で前記超音波又は電磁波により反射した反射波を、コントラスト強調モードで受信するプローブである受信器で受信する受信工程と、
    前記受信した前記共鳴波及び前記反射波の信号を、画像処理回路によるデータ変換器でデータ変換して画像データ化するデータ変換工程と、
    前記画像データを、ディスプレイに前記リンパ系の画像として表示し、前記センチネルリンパ節の内部構造及び/又はそれのリンパ流の流入出をセンチネルリンパ節内部画像として画像表示器で描出する画像表示工程とを、
    有することを特徴とするセンチネルリンパ節内部を描出する画像診断装置の作動方法。
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