JP2013133585A - ドーム状構造物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】三角形構造体40には、三角形構造体40の室外側に位置する面を覆う外側面状体80が形成されるとともに、三角形構造体40の室内側に位置する面を覆う内側面状体90が形成され、三角形構造体40の内部には、フレーム部材50と、外側面状体80と、内側面状体90とにより囲まれる内部空間100が形成され、フレーム部材50には、隣接する三角形構造体40の内部空間100同士を連通するフレーム部材通気孔60が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
ところで、一般住宅においては、将来、空調設備のさらなる充実及び性能向上に伴い、現状よりもさらに、高断熱性、高気密性のものが要求されてきている。
上記の問題点に鑑み、請求項1記載の発明は、三角形構造体の内部空間での結露の発生が抑えられて、耐久性、断熱性に優れたドーム状構造物を提供することを目的とする。
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の目的に加え、複数の三角形構造体が連続して設けられるドーム状構造物を提供することを目的とする。
請求項4記載の発明は、上記した請求項1から3までのいずれか1項に記載の発明の目的に加え、結露の元になる水蒸気が素早く効率的に屋外に排出され内部空間内の換気が促進されるドーム状構造物を提供することを目的とする。
請求項5記載の発明は、上記した請求項1から4までのいずれか1項に記載の発明の目的に加え、内部空間内の湿気のある空気が効率的に排出されるとともに断熱材の断熱性能が良好な状態に維持されるドーム状構造物を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明に係るドーム状構造物は、三角形の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられている3本のフレーム部材50からなる三角形構造体40が、複数個、隙間なく立体的に連設されることによりドーム状に形成されたドーム状構造物10であって、前記三角形構造体40には、前記三角形構造体40の室外側に位置する面を覆う外側面状体80が形成されるとともに、前記三角形構造体40の室内側に位置する面を覆う内側面状体90が形成され、前記三角形構造体40の内部には、前記フレーム部材50と、前記外側面状体80と、前記内側面状体90とにより囲まれる内部空間100が形成され、前記フレーム部材50には、隣接する前記三角形構造体40の前記内部空間100同士を連通して通気するためのフレーム部材通気孔60が形成されていることを特徴とする。
また、「フレーム部材」は、ドーム状構造物10の骨格となるものであって、ドーム状構造物10を構成する各三角形構造体40の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられているものである。
本発明では、三角形構造体40のフレーム部材50と外側面状体80と内側面状体90とに囲まれる内部空間100に水蒸気を多量に含んだ空気が進入しても、フレーム部材通気孔60を介して、その湿気を含んだ空気がこの三角形構造体40に隣接する他の三角形構造体40の内部空間100へ拡散して移動する。これにより、その湿気を含んだ空気が、特定の三角形構造体40の内部空間100に滞留することが防止される。したがって、三角形構造体40の内部空間100内での結露の発生が抑えられる。その結果として、三角形構造体40の内部空間100内は乾燥状態が維持され、内部空間100の環境が良好に維持される。これにより、耐久性のあるドーム状構造物10の提供が可能となる。また、内部空間100内に断熱材が使用されるような場合でも、内部空間100内での結露の発生が抑えられることで、断熱材に結露による水分の付着が抑えられ、断熱性能の低下が抑えられる。
請求項2記載の発明に係るドーム状構造物は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記三角形構造体40は、前記フレーム部材50の端部同士を連結するとともに、前記三角形の各頂点に相当する位置にそれぞれ設けられている固定手段70を備えていることを特徴とする。
ここで、「固定手段70」には、フレーム部材50の端部同士を連結するコネクタ71を用いることができる。
この固定手段70は、三角形構造体40の三角形の各辺に相当するフレーム部材50が三角形の頂点の位置で固定手段70で連結されることにより、三角形構造体40の三角形が形成される。同時に、隣接する他の三角形構造体40のフレーム部材50の端部も当該固定手段70で連結される。これにより、複数の三角形構造体40が連続して設けられる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記三角形構造体40と前記外側面状体80と前記内側面状体90とにより、平面視が三角形の三角形構造パネル160が形成され、この三角形構造パネル160が、複数個、隙間なく立体的に連結されることによりドーム状に形成されていることを特徴とする。
このような三角形構造パネル160は、あらかじめ一体となった状態で現場作業が可能となるので現場での作業が極めて単純化でき施工も短時間でできる。
(請求項4)
請求項4記載の発明は、上記した請求項1から3までのいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記三角形構造体40を隙間なく連設することにより環状に形成された層構造部Lを複数、積み重ねた階層構造により形成され、上層の前記層構造部Lに位置する前記三角形構造体40の前記外側面状体80には、前記内部空間100から屋外に開放された排気孔110が設けられ、最下層の前記層構造部Lに位置する前記三角形構造体40の下端には、前記内部空間100から屋外に開放された吸気孔120が設けられ、前記吸気孔120から、前記フレーム部材通気孔60を介して、前記排気孔110まで連通する通気層105が形成されていることを特徴とする。
本発明では、階層構造の最下層の層構造部Lに位置する三角形構造体40の下端の吸気孔120から、屋外の空気が入り込む。そして、この吸気孔120から入り込んだ空気は、屋外側の太陽光の照射を起因とする温度上昇や、室内暖房の熱等を起因とする温度上昇により、膨張し、内部空間100内を上昇する。この上昇した空気は、フレーム部材通気孔60を通って、より上層に位置する三角形構造体40の内部空間100へ移動する。最終的に、この移動した空気は、階層構造の上層の層構造部Lの三角形構造体40の内部空間100へ移動する。この移動した空気は、上層の三角形構造体40の内部空間100から外側面状体80の排気孔110を介して屋外へ排気される。すなわち、階層構造の最下層に位置する吸気孔120から三角形構造体40の内部空間100に入り込んだ空気は、上層に位置する排気孔110まで連通する通気層105を介して、ドーム状構造物10の三角形構造体40の内部空間100内を上昇する。このように、三角形構造体40の内部の通気層105に吸気孔120から排気孔110に向かって自然に上昇する空気の流れが形成される。これにより、フレーム部材50と外側面状体80と内側面状体90とに囲まれる内部空間100内に室内側から湿気のある空気が進入しても、通気層105内の上昇する空気の流れによって効率的に排気孔110から屋外に排出される。したがって、結露の元になる水蒸気が素早く屋外に排出される。このように、ドーム状構造物10の三角形構造体40の周囲全面の内部空間100に自然な空気の流れを発生させる通気層105が形成されることにより三角形構造体40の内部空間100内の換気が促進される。
請求項5記載の発明は、上記した請求項1から4までのいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記内側面状体90の室内側には、断熱材による断熱層130が形成されていることを特徴とする。
ここで、「断熱材」は、熱の伝導を抑えるための材料であって、たとえば素材としてグラスウールやロックウールやコルク等の繊維系断熱材やウレタンフォームやフェノールフォーム等の発泡系断熱材を利用することができ、また、形状としては、ボード状、フェルト状、ばら状、現場発泡等のものが利用できる。
通常、内部空間100内の一部に断熱層130を設けると、内部空間100は、断熱層130を設けていない一部の空間だけしか通気層105として利用できない。このような内部空間100の一部にだけ通気層105を設ける場合と比較して、本発明は内部空間100内に大量の空気の流れを発生させることができる。これにより、前記内部空間100内の湿気のある空気を効率的に排出させることができ、より一層、内部空間100の環境が良好となる。
(請求項6)
請求項6記載の発明は、上記した請求項1から5までのいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記内部空間100には、前記外側面状体80と前記内側面状体90との間に渡されて、前記外側面状体80及び前記内側面状体90を支持する補強部材140が形成され、前記補強部材140には、前記補強部材140により仕切られる前記内部空間同士を連通する補強部材用通気孔150が形成されていることを特徴とする。
そして、この補強部材140には、補強部材140により仕切られる内部空間100同士を連通する補強部材用通気孔150が形成されている。このため、補強部材140により仕切られる内部空間100同士の空気の移動が妨げられることがなく、空気が自由に移動できる。これにより、内部空間100内の通気層105における良好な空気の流れが維持される。
請求項1記載の発明によれば、三角形構造体の内部空間での結露の発生が抑えられて、耐久性、断熱性に優れたドーム状構造物を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、複数の三角形構造体が連続して設けられるドーム状構造物を提供することができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、現場での作業が極めて単純化でき施工も短時間でできるドーム状構造物を提供することができる。
請求項4記載の発明によれば、上記した請求項1から3までのいずれか1項に記載の発明の効果に加え、結露の元になる水蒸気が素早く、効率的に屋外に排出され、内部空間内の換気が促進されるドーム状構造物を提供することができる。
請求項6記載の発明によれば、請求項1から5までのいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、外側面状体及び内側面状体の剛性が高められてドーム状構造物全体としても剛性が高められるとともに、三角形構造体の内部空間における良好な空気の流れが形成されるドーム状構造物を提供することができる。
図1に示すように、第1の実施の形態に係るドーム状構造物10は、三角形の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられている3本のフレーム部材50からなる三角形構造体40が複数個、隙間なく立体的に連設されることによりドーム状に形成されているものである。
前記ドーム状構造物10は、三角形構造体40を隙間なく連設することにより環状に形成された層構造部Lを5層、積み重ねた階層構造により形成されている。
前記層構造部Lは、最上部に位置する構造部であって同一の球に内接する5個の三角形構造体40を隙間なく五角錐状に組み合わせた形状の第1構造部11を有している。そして、層構造部Lは、第1構造部11の下側に第1構造部11とは隙間なく連設されるものであって同一の球に内接する15個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第2構造部12を有している。そして、層構造部Lは、第2構造部12の下側に第2構造部12とは隙間なく連設されるものであって同一の球に内接する25個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第3構造部13を有している。そして、層構造部Lは第3構造部13の下側に第3構造部13とは隙間なく連設されるものであって同一の球に内接する30個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第4構造部14を有している。そして、層構造部Lは、第4構造部14の下側に第4構造部14とは隙間なく連設されるものであって30個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第5構造部15を有している。この第5構造部15はコンクリートからなる基礎30の上に固定されている。
前記ドーム状構造物10は、フレーム部材50の端部同士を連結するとともに三角形構造体40の三角形の各頂点に相当する位置にそれぞれ設けられている固定手段70としてのコネクタ71を備えている。
そして、各三角形構造体40の各辺に相当する位置にそれぞれ設けたフレーム部材50と各三角形構造体40の各頂点に相当する位置にそれぞれ設けた固定手段70としてのコネクタ71とから、図1に示すドーム状のトラス骨格が構築されている。そして、このドーム状のトラス骨格がドーム状構造物10の構造躯体となる。
前記第5構造部15の下端に設けられるコネクタ71をベースコネクタ72とする。このベースコネクタ72は、第5構造部15の下端の頂点に集まるフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。また、ベースコネクタ72は、4本のフレーム部材50の端部同士を連結するための部材として機能するとともに、トラス骨格を基礎に接合するための部材としても機能する。
前記第4構造部14と第5構造部15との境界線上に設けられるコネクタ71をビームコネクタ73とする。前記ビームコネクタ73は、第4構造部14と第5構造部15との境界線上の頂点に集まる6本のフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。
前記ベースコネクタ72及びビームコネクタ73以外のコネクタ71であって、6本のフレーム部材50の端部が集まる位置(6個の三角形構造体40の頂点が集まる位置)に設けられるコネクタ71を6アームコネクタ75とする。この6アームコネクタ75は、その位置に集まる6本のフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。
前記6アームコネクタ75は、円筒状のハブ76と、このハブ76の一方の開口を塞ぐように設けられた平板状の補強平板部78と、フレーム部材50を接合するためのものであって、ハブ76の外周面から外方へ向けて突出する平板状の6枚のアーム77とを有している。
また、各アーム77は、その端部がハブ76の外周面と補強平板部78との双方に接合されている。これにより、1本のフレーム部材50を1枚のアーム77で支持するのに十分な強度を発揮する。
各三角形構造体40には、1つの三角形構造体40の室外側に位置する三角形の面を覆う外側面状体80が形成されている(図3参照)。さらに、各三角形構造体40には、1つの三角形構造体40の室内側に位置する三角形の面を覆う内側面状体90が形成されている(図3参照)。この外側面状体80及び内側面状体90は木質からなる三角形の平板である。そして、この三角形構造体40の内部には、3本のフレーム部材50と外側面状体80と内側面状体90とにより囲まれる内部空間100が形成されている(図3参照)。
具体的には、前記補強部材140は縦方向に配置された3枚の縦補強部材141と横方向に配置された1枚の横補強部材142とを備えている。これらの縦補強部材141及び横補強部材142により三角形構造体40の内部空間100は、5個の小空間143に分割されている。そして、各補強部材140には小空間143同士を連通する補強部材用通気孔150が形成されている。この補強部材用通気孔150は隣接する小空間143同士を連通するものである。この補強部材用通気孔150は補強部材140により仕切られた小空間143同士の内部の空気が互いに移動可能となるように形成されているものである。
交互層構造部20においては、逆三角形構造体41とこれに接する上層の順三角形構造体42との境界に位置するフレーム部材50のフレーム部材通気孔60を介して逆三角形構造体41の内部空間100からその上層に位置する順三角形構造体42の内部空間100へ連通する上層連通部370が形成されている。この上層連通部370を介して交互層構造部20において上位階層への通気が行われる。
前記三角形構造体40のフレーム部材50の両面には、室内側の部材を固定するための木質からなる受け材170が受け材締結具230により固定されている。
前記断熱層130の室内側には室内側シート材210が貼付されている。そして、この室内側シート材210の室内側には内装仕上げ材220が固定されている。
図4に示すように、第1構造部11の5個の三角形構造体40のうちの1つの三角形構造体40には、その内部空間100の空気を屋外に排出するための排気孔110が形成されている。この排気孔110には、この排気孔110の上部を覆って屋外からの風雨の進入を防ぐためのフード部材111が形成されている。このフード部材111は、金属板を折り曲げることで縦断面形状が略コ字状に形成されている。このフード部材111は、外表面材190と防水シート180との間に差し込まれる差し込み片117と、この差し込み片117の上端から折り曲げられるとともに排気孔110の上部を覆う折り曲げ片118とを備えている。そして、折り曲げ片118の下端縁と外表面材190との間には、排気孔110から排出された空気を外方に出すために開口する開口部116が形成されている。
また、上述した排気孔110の代わりに、あるいは、上述した排気孔110に加えて、第1構造部11より下方の層構造部L(たとえば第2構造部12)の三角形構造体40に同様の形状の排気孔110が形成されるようにしてもよい。
図5に示すように、コンクリートからなる基礎30の上にベースコネクタ72が固定されている。そして、このベースコネクタ72のアーム77に最下層である第5構造部15の三角形構造体40の順三角形構造体42が固定されている。そして、この第5構造部15の順三角形構造体42の下端には屋外に向かって開放された吸気孔120が設けられている。前記第5構造部15の順三角形構造体42の室外側では、外側面状体80と防水シート180と外表面材190とは、フレーム部材50よりも下方まで、具体的には、基礎30の上端面よりも下方まで延設されている。前記吸気孔120は、これらの外側面状体80、防水シート180及び外表面材190の下端と基礎30との間にあって、屋外からの空気が入り込み可能な隙間に形成されている。この吸気孔120から入り込んだ屋外の空気は、フレーム部材通気孔60を介して、通気層105内を上昇する。
(作用及び効果)
本実施の形態によれば、図1に示すように、三角形構造体40の三角形の各辺に相当するフレーム部材50が三角形の頂点の位置で固定手段70としてのコネクタ71で連結されることにより三角形構造体40の三角形が形成される。同時に、隣接する他の三角形構造体40のフレーム部材50の端部も当該固定手段70としてのコネクタ71で連結される。これにより、複数の三角形構造体40が連続して設けられる。
本実施の形態によれば、図2及び図3に示すように、三角形構造体40のフレーム部材50と外側面状体80と内側面状体90とに囲まれる内部空間100に水蒸気を多量に含んだ空気が進入しても、フレーム部材50のフレーム部材通気孔60を介して、その湿気を含んだ空気が三角形構造体40に隣接する他の三角形構造体40の内部空間100へ拡散して移動する。具体的には、順三角形構造体42の内部空間100に湿気を含んだ空気が入り込んだ場合、その湿気を含んだ空気は、同一階層で隣接する順三角形構造体42と逆三角形構造体41との境界に位置するフレーム部材50の隣接連通部360としてのフレーム部材通気孔60を介して、左右の逆三角形構造体41の内部空間100へ移動する。
本実施の形態によれば、図2に示すように、外側面状体80と内側面状体90とが、補強部材140により支持されているため、外側面状体80と内側面状体90との変形がそれぞれ抑えられ、剛性が高められる。その結果として、ドーム状構造物10全体としても剛性が高められる。
本実施の形態によれば、図5に示すように、屋外の空気が第5構造部15の吸気孔120から通気層105内に入り込む。そして、この吸気孔120から通気層105内に入り込んだ空気は、屋外側の太陽光の照射を起因とする温度上昇や室内暖房の熱等を起因とする温度上昇により、膨張して通気層105としての内部空間100内を上昇する。この上昇した空気は、フレーム部材50のフレーム部材通気孔60や補強部材140の補強部材用通気孔150を通って、さらに隣接連通部360や上層連通部370を介して(図2参照)上層に位置する三角形構造体40の内部空間100へ移動する。最終的に、この移動した空気は最上層の第1構造部11の三角形構造体40の内部空間100へ移動する。そこで、移動してきた空気は、図4に示すように、第1構造部11の三角形構造体40の内部空間100から排気孔110を通ってフード部材111内部に排出される。そして、その排出された空気はフード部材111の開口部116を通って屋外へ排気される。すなわち、階層構造の最下層に位置する吸気孔120から三角形構造体40の内部空間100に入り込んだ空気は、上層に位置する排気孔110まで連通する通気層105を介して、ドーム状構造物10の三角形構造体40の内部空間100内を上昇する。このように、三角形構造体40の内部の通気層105に吸気孔120から排気孔110に向かって自然に上昇する空気の流れが形成される。これにより、フレーム部材50と外側面状体80と内側面状体90とに囲まれる内部空間100内に室内側から湿気のある空気が進入しても、通気層105内の上昇する空気の流れによって、効率的に排気孔110から屋外に排出される。したがって、結露の元になる水蒸気が素早く屋外に排出される。このように、ドーム状構造物10の三角形構造体40の周囲全面の内部空間100に自然な空気の流れを発生させる通気層105が形成されることにより三角形構造体40の内部空間100内の換気が促進される。
通常、内部空間100内の一部に断熱層130を設けると、内部空間100は断熱層130を設けていない一部の空間だけしか通気層105として利用できない。このような内部空間100の一部にだけ通気層105を設ける場合と比較して、本発明は内部空間100内に大量の空気の流れを発生させることができる。これにより、前記内部空間100内の湿気のある空気を効率的に排出させることができ、より一層、内部空間100の環境が良好となる。
(第2の実施の形態)
図6に示すように、第2の実施の形態に係る三角形構造体40は、3本のフレーム部材50を三角形の各辺に相当する位置に固定したものである。そして、この三角形構造体40の室外側に位置する面には外側面状体80が形成され、この三角形構造体40の室内側に位置する面には、内側面状体90が形成されている。そして、この三角形構造体40と外側面状体80と内側面状体90とにより平面視が三角形の三角形構造パネル160が形成されている。
本実施の形態に係るドーム状構造物10は平面視が三角形の三角形構造パネル160をあらかじめ工場等により形成しておくことが可能である。したがって、このような三角形構造パネル160は、あらかじめ一体となった状態のものを現場作業で連結して組み立てることが可能となる。これにより、現場での作業が極めて単純化でき施工も短時間でできる。
なお、ここで、前記三角形構造パネル160の3つのフレーム部材50の端部同士は特に図示していないが釘又はネジ等の締結部材により固定されている。なお、接着剤によりフレーム部材50の端部同士を接合してもよい。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、三角形構造パネル160の室外側に位置する面には、外側面状体80が形成され、三角形構造パネル160の室内側に位置する面には、内側面状体90が形成されている。そして、三角形構造パネル160の内部にはフレーム部材50と外側面状体80と内側面状体90とにより囲まれる内部空間100が形成されている。
本実施の形態に係るフレーム部材50には、第1の実施の形態のフレーム部材50と同様のフレーム部材通気孔60が形成されている。本実施の形態では、隣接する三角形構造パネル160のフレーム部材50同士が接触した状態で固定された際、各フレーム部材通気孔60同士が整合するように、隣接する三角形構造パネル160のフレーム部材50のフレーム部材通気孔60の位置が形成されている。この三角形構造パネル160には、第1の実施の形態と同様の隣接連通部360及び上層連通部370が形成されている。三角形構造パネル160の内部空間100の内部には、第1の実施の形態と同様の補強部材用通気孔150を有する補強部材140が形成されている。これらのフレーム部材通気孔60や補強部材用通気孔150により、また、隣接連通部360や上層連通部370により、第1の実施の形態と同様に三角形構造パネル160の内部空間100同士を連通する通気層105が形成されているものである(図3参照)。また、第1の実施の形態と同様な排気孔110及び吸気孔120が形成されている(図4及び図5参照)。そして、吸気孔120からフレーム部材通気孔60及び補強部材用通気孔150を介してさらに隣接連通部360や上層連通部370を介して排気孔110まで連通する通気層105により自然な空気の上昇流が発生し、良好な換気性能を有する点は、第1の実施の形態と同様のものである。
11 第1構造部 12 第2構造部
13 第3構造部 14 第4構造部
15 第5構造部 20 交互層構造部
30 基礎 40 三角形構造体
41 逆三角形構造体 42 順三角形構造体
50 フレーム部材 60 フレーム部材通気孔
70 固定手段 71 コネクタ
72 ベースコネクタ 73 ビームコネクタ
74 5アームコネクタ 75 6アームコネクタ
76 ハブ 77 アーム
78 補強平板部 80 外側面状体
90 内側面状体 100 内部空間
105 通気層 110 排気孔
111 フード部材 112 外側面状体排気孔
113 防水シート排気孔 114 フード部材排気孔
115 外表面材排気孔 116 開口部
117 差し込み片 118 折り曲げ片
120 吸気孔 121 吸気取り込み口
130 断熱層 140 補強部材
141 縦補強部材 142 横補強部材
143 小空間 150 補強部材用通気孔
160 三角形構造パネル 170 受け材
180 防水シート 190 外表面材
200 ウレタンフォーム 210 室内側シート材
220 内装仕上げ材 230 受け材締結具
240 室内側締結具 360 隣接連通部
370 上層連通部
Claims (6)
- 三角形の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられている3本のフレーム部材からなる三角形構造体が、複数個、隙間なく立体的に連設されることによりドーム状に形成されたドーム状構造物であって、
前記三角形構造体には、
前記三角形構造体の室外側に位置する面を覆う外側面状体が形成されるとともに、前記三角形構造体の室内側に位置する面を覆う内側面状体が形成され、
前記三角形構造体の内部には、前記フレーム部材と、前記外側面状体と、前記内側面状体とにより囲まれる内部空間が形成され、
前記フレーム部材には、隣接する前記三角形構造体の前記内部空間同士を連通して通気するためのフレーム部材通気孔が形成されていることを特徴とするドーム状構造物。 - 前記三角形構造体は、
前記フレーム部材の端部同士を連結するとともに、前記三角形の各頂点に相当する位置にそれぞれ設けられている固定手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のドーム状構造物。 - 前記三角形構造体と、前記外側面状体と、前記内側面状体とにより、平面視が三角形の三角形構造パネルが形成され、
この三角形構造パネルが、複数個、隙間なく立体的に連結されることによりドーム状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のドーム状構造物。 - 前記三角形構造体を隙間なく連設することにより環状に形成された層構造部を複数、積み重ねた階層構造により形成され、
上層の前記層構造部に位置する前記三角形構造体の前記外側面状体には、前記内部空間から屋外に開放された排気孔が設けられ、
最下層の前記層構造部に位置する前記三角形構造体の下端には、前記内部空間から屋外に開放された吸気孔が設けられ、
前記吸気孔から、前記フレーム部材通気孔を介して、前記排気孔まで連通する通気層が形成されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のドーム状構造物。 - 前記内側面状体の室内側には、断熱材による断熱層が形成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のドーム状構造物。
- 前記内部空間には、前記外側面状体と前記内側面状体との間に渡されて、前記外側面状体及び前記内側面状体を支持する補強部材が形成され、
前記補強部材には、前記補強部材により仕切られる前記内部空間同士を連通する補強部材用通気孔が形成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のドーム状構造物。
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