JP2013133486A - 鉄スクラップの溶解方法及びその溶解装置 - Google Patents

鉄スクラップの溶解方法及びその溶解装置 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄スクラップに含まれる銅を効率的に除去して、銅濃度(銅含有率)の低い溶融鉄を溶製する方法及び装置を提供する。
【解決手段】銅部品を有する鉄スクラップ6を、この銅部品中の固体の銅が溶解する温度まで加熱して、銅を溶解する第1工程と、第1工程の後及び/または第1工程中に、鉄スクラップ6に振動を加えて、溶解した銅を鉄スクラップ6から分離する第2工程と、熱源を用いて前記鉄スクラップ6を溶解する第3工程とを有する溶解方法であって、前記銅を溶解する予熱装置2と、前記予熱装置1と接続され、熱源を用いて前記鉄スクラップを加熱して溶解する溶解炉3と、前記鉄スクラップに振動を加えるための振動付与部材8を有する振動分離装置を備え、前記振動分離装置は予熱装置2に設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、低品位な鉄スクラップ、すなわち、銅部品を含有する鉄スクラップを溶解する前に、その銅部品の銅を鉄スクラップから分離する鉄スクラップの溶解方法及びその溶解装置に関する。
鉄鋼製品を製造する際に、大量に発生する鉄スクラップを有効利用することは、リサイクルの観点からだけでなく、鉄鉱石から鉄鋼製品を製造する場合と比較して酸化鉄を還元するエネルギーが不要な分、省エネルギー及びCO削減にも繋がる。このため、地球温暖化防止の面からも、鉄スクラップの有効利用が望まれている。
鉄スクラップは、鉄以外の金属部品、例えば、銅線などを含んだ車などの、鉄鋼を多く含む工業製品を破砕などすることで得られる。このため、これらの鉄スクラップには、銅線の銅成分に代表される、鉄鋼における不純物(トランプエレメントとも呼ぶ)が含まれている。鉄鋼製品の原料として鉄スクラップを再生利用する場合に、銅部品を有する鉄スクラップを溶解して溶融鉄を得ると、この溶融鉄中には、鉄スクラップの溶解過程で銅部品中の銅成分が不可避に混入してしまう。銅は酸素との親和力が小さいことや蒸気圧が鉄に比べてさほど大きくないことから、通常の製鋼精錬工程では銅を溶融鉄から除去することは困難である。
加えて、銅に代表されるトランプエレメントは鋼の性質や熱間加工性を損なう成分であるので、高級鋼を製造するためには、溶融鉄におけるトランプエレメントの濃度(含有率)を一定の水準以下にする必要がある。このため、従来、高級鋼を製造するための鉄源として、銅部品の含有量が多い低品位な鉄スクラップを使用することは困難であった。しかしながら、近年の鉄スクラップ発生量の増加及びCO発生量削減のために鉄スクラップを使用することに対する社会の要請を勘案すると、トランプエレメントの含有率が高い低品位な鉄スクラップであっても、その低品位な鉄スクラップの再生利用の量を高める必要がある。
そこで、溶融鉄から銅を除去する技術が検討され、幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、実用性が比較的に高い程度の減圧下(10torr以下)におかれた溶融鉄中に、酸素、二酸化炭素、水蒸気、酸化鉄、酸化マンガン及び酸化クロムから成る群から選ばれた少なくとも1種の酸化剤を投入添加して溶融鉄を脱炭することにより、溶融鉄中に含まれている銅を蒸発除去する方法が提案されている。この方法は、溶融鉄と溶融鉄中の銅との蒸気圧の差を利用して銅を蒸発除去する方法である。
また、特許文献2には、0.05質量%以上の銅を含む溶鋼の酸素量を0.03質量%以上に調整した後、この溶鋼を2torr以下の真空雰囲気に維持して、溶鋼中の銅を除去する方法が提案されている。この方法は、溶鋼の酸素濃度が、0.03質量%以上の溶鋼では、高真空度の雰囲気(0.1torr以下)に曝さなくても、金属状態の銅(Cu)よりも蒸発速度の大きい亜酸化銅(CuO)を溶鋼から生成させて、この亜酸化銅を溶融鉄から蒸発させて溶融鉄中の銅を除去する方法である。
しかしながら、上記方法は、何れも、大量の鉄スクラップを更に効率良く利用するという観点からは、溶融鉄からの銅の除去速度が充分ではなく、工業的規模で鉄鋼を製造する設備に適応することは難しいのが現状である。
特開昭61−149414号公報 特開平7−216435号公報
近年、鉄鋼製品の品質特性に対する要求が更に厳しくなり、溶融鉄中のトランプエレメントの濃度(含有率)、特に銅の濃度(含有率)を低減する要求が高くなっているという状況がある。一方で、鉄スクラップの市場では、国内での鉄スクラップ備蓄量の増加に伴って、所謂「老廃屑」と呼ばれる鉄スクラップ中の銅を含むトランプエレメント含有率は高い水準を保っており、鉄スクラップを主たる鉄源とした鉄鋼製品の品質を確保するのが非常に厳しい状況にある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、銅含有率が高い鉄スクラップを鉄源に利用して溶融鉄を溶製する場合には、鉄スクラップに含まれる銅を効率的に除去して、銅濃度(含有率)の低い溶融鉄を溶製することができる鉄スクラップの溶解方法及び溶解装置を提供することを目的としている。
以下、本発明に至った経緯を説明する。本発明者らは、鉄スクラップを主たる鉄源とした溶融鉄中の銅の濃度(含有率)を低減する方法を検討した。まず、本発明者らは、鉄スクラップと一緒に銅部品を溶解した後に、鉄中に溶解している銅をその溶融鉄から除去する方法については、元々銅線などであった純銅が鉄で希釈されて低濃度(低含有率)になるため、この銅を溶融鉄から除去することが難しくなると考えた。そこで、本発明者らは、鉄中に溶解している銅を除去する方法が難しい点を踏まえて、鉄から銅を溶解して除去する方法を鋭意検討した結果、鉄スクラップを溶解する前に事前に銅を除去する方法が良いことを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)銅部品を有する鉄スクラップを、前記銅部品中の銅が溶解する温度まで加熱して、前記銅を溶解する第1工程と、前記第1工程の後及び/または前記第1工程中に、前記鉄スクラップに振動を加えて、溶解した前記銅を前記鉄スクラップから分離する第2工程と、熱源を用いて前記鉄スクラップを溶解する第3工程と、を有することを特徴とする鉄スクラップの溶解方法。
(2)前記第2工程において、貫通穴が形成されている振動付与部材を用いて前記鉄スクラップに振動を加え、前記貫通穴を通じて前記溶解した銅を回収することを特徴とする上記(1)に記載の鉄スクラップの溶解方法。
(3)前記第1工程で加熱されかつ前記第2工程で銅が分離された前記鉄スクラップを連続的に溶解炉に装入して、前記鉄スクラップを溶解することを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の鉄スクラップの溶解方法。
(4)銅部品を有する鉄スクラップを、前記銅部品中の銅が溶解する温度まで加熱して、前記銅を溶解する予熱装置と、前記予熱装置と接続されている溶解炉であって、熱源を用いて前記鉄スクラップを加熱して溶解する溶解炉と、前記鉄スクラップに振動を加えるための振動付与部材を有する振動分離装置であって、前記予熱装置に設けられている振動分離装置と、を備え、前記振動付与部材によって前記鉄スクラップに振動を加えて、前記予熱装置で加熱された前記鉄スクラップから、溶解した前記銅が分離されるように構成されていることを特徴とする鉄スクラップの溶解装置。
(5)前記振動付与部材には貫通穴が形成されており、前記貫通穴を通じて溶解した前記銅が回収されることを特徴とする上記(4)に記載の鉄スクラップの溶解装置。
(6)加熱されかつ銅が分離された前記鉄スクラップが前記予熱装置から前記溶解炉へ連続的に装入されることを特徴とする上記(4)または上記(5)に記載の鉄スクラップの溶解装置。
本発明によれば、鉄スクラップを溶解する前に、鉄スクラップに含まれる銅部品を溶解し、この溶解後及び/または溶解中に、この鉄スクラップに振動を加えて、鉄スクラップから銅部品の銅を分離し、次いで、鉄スクラップを溶解する。このため、溶融鉄中に含まれる銅は、鉄スクラップ中に予め固溶していた銅が大部分となり、鉄スクラップを溶解して得られる溶融鉄の銅濃度(銅含有率)を低くすることができる。その結果、鉄スクラップを大量に利用することができるばかりでなく、更には高級鋼材用の鉄源として低コストで鉄スクラップを使用することが可能となる。
本発明を実施する鉄スクラップの溶解装置の概略縦断面図である。
鉄スクラップを原料として溶製される溶融鉄について、キュポラのような竪型炉で鉄スクラップを溶解する場合には、この溶融鉄は溶銑となる。一方で、アーク炉のような電気炉で鉄スクラップを溶解する場合には、この溶融鉄は溶鋼となる。溶銑からの銅の除去と溶鋼からの銅の除去とは、同一の原理と原則とで対処可能であるので、本発明においては、溶銑及び溶鋼をまとめて「溶融鉄」と定義する。本発明は、溶銑及び溶鋼のいずれの溶融鉄にも適用することができる。本明細書において、溶銑及び溶鋼を区別する必要のある場合は、特に「溶銑」或いは「溶鋼」と表示する。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明を実施する鉄スクラップの溶解装置の概略縦断面図である。この鉄スクラップの溶解装置の構造を説明する。鉄スクラップの溶解装置1は予熱装置2と溶解炉3とを有している。予熱装置2の第1端部4と溶解炉3との第1端部が接続されており、予熱装置2と溶解炉3とは互いに空間的に接続されている。
予熱装置2の第2端部5は溶解装置1の外側に開放されている。この第2端部5から、銅部品を有する鉄スクラップ6が予熱装置2に装入される。予熱装置2の内部で、銅部品中の銅が溶解する温度まで、装入された鉄スクラップ6を加熱して、銅を溶解する(第1工程)。
溶解炉3の内部では、第1工程で加熱された鉄スクラップ6を、後述する熱源を用いて更に加熱することによって鉄スクラップ6を溶解して、溶融鉄9を得る(第3工程)。溶融鉄9は、溶解炉3の底部に貯まる。溶解炉3の第1端部とは異なる第2端部には、溶融鉄9の出湯口10が設けられており、この出湯口10から取鍋などの保持容器(図示せず)に溶融鉄9が出湯される。
予熱装置2には、搬送コンベア7a,7bと振動付与部材8とバーナー11とが設けられている。搬送コンベア7a,7bは、予熱装置2の内部空間における底面に配置されている。搬送コンベア7aは、第2端部5から装入された鉄スクラップ6を振動付与部材8へ供給する。搬送コンベア7bは、振動付与部材8から受け取る鉄スクラップ6を、第1端部4の方向へ搬送して、この鉄スクラップ6を溶解炉3へ装入する。
振動付与部材8は、図示されていない振動分離装置の一部である。振動分離装置は、振動付与部材8と、この振動付与部材8を振動させるための駆動機構とを有しており、予熱装置2に設けられている。この振動付与部材8は、予熱装置2の内部空間の搬送コンベア7a,7bとの間に配置されている。駆動機構及びこの駆動機構を含む振動分離装置本体は予熱装置2の外部に配置されている。駆動機構は、図示しない駆動軸を介して振動付与部材8に接続されており、この駆動軸を駆動することによって振動付与部材8を振動させる。駆動機構によって振動付与部材8には、鉄スクラップ6に水平方向に振動が加えられる。具体的には、振動付与部材8上の鉄スクラップ6には、水平方向に沿った振動付与部材8の長さ方向における中心を、振動の中心とした振動が加えられる。鉄スクラップ6は、搬送コンベア7aから振動付与部材8へ供給され続けている。振動付与部材8上の鉄スクラップは、供給され続ける鉄スクラップ6に押されて、搬送コンベア7b上へ移動する。また、搬送コンベア7a,7bと振動付与部材8とを、搬送コンベア7bが搬送コンベア7aより下方となるように、水平面に対して傾斜させてもよい。これにより、鉄スクラップ6が、その自重により、振動付与部材8上から搬送コンベア7b上へ更に移動しやすくなる。
振動付与部材8を有する振動分離装置としては、公知の振動スクリーンを用いることができるが、振動スクリーンに限られず、振動スクリーンの機能を奏する装置であればよい。振動スクリーンとしては、例えば、電磁スクリーンなどが挙げられる。振動付与部材8は、その厚み方向に貫通している複数の貫通穴が形成されている平板状の板部材である。貫通穴の個数、形状や寸法などは特に限定されないが、貫通穴は、鉄スクラップ6がこの貫通穴を通過しないでかつ液状の物質が通過するような寸法や形状であればよく、鉄スクラップ6の種類、鉄スクラップ6の加熱温度などの影響を考慮して、最適な形状、個数を選定すればよい。このようにして、振動分離装置は、振動付与部材8によって鉄スクラップ6に振動を加えて、予熱装置2で加熱された鉄スクラップ6から、溶解した銅が分離されるように構成されている。
バーナー11は、予熱装置2の内部において振動付与部材8の上部の空間と、この振動付与部材8より鉄スクラップ6の搬送方向Aの上流に配置されている搬送コンベア7aの上部の空間とを跨るように、予熱装置2に挿入されている。このバーナー11は、鉄スクラップ6の固体状の鉄成分を溶解させることなく、鉄スクラップ6に含まれている銅部品の銅が溶解するように、振動付与部材8上及び/または搬送コンベア7a上の鉄スクラップ6に向けて火炎を噴射して、振動付与部材8上及び/または搬送コンベア7a上の鉄スクラップ6と予熱装置2の内部空間とを加熱する。銅の溶解する温度とは銅の融点を意味し、銅の融点は、大気圧下では1084℃である。一方、鉄の融点は、大気圧下では1538℃である。即ち、鉄スクラップ6は、銅の融点より高く鉄の融点より低い温度となるように、バーナー11によって加熱される。なお、バーナー11の配置は、図1の例示に限られず、振動付与部材8の上部に、または、搬送コンベア7aの上部に配置されていてもよい。
振動付与部材8の下側の予熱装置2の底面には、銅逃がし穴13が設けられている。振動付与部材8の下側に対応する予熱装置2の底面には、振動付与部材8の縁に対応する予熱装置2の底面の位置から銅逃がし穴13に向かって、水平面より傾斜するようにテーパー面が形成されている。この銅逃がし穴13は外部に通じている。銅回収ボックス12は、予熱装置2の外側であって、この銅逃がし穴13の直下に配置されている。
バーナー11による加熱後に振動付与部材8上にある鉄スクラップには、溶解した液体状の銅が付着している。搬送コンベア7a上でまたは振動付与部材8上で加熱されて固体の銅を溶解した後に(第1工程の後)、及び/または、振動付与部材8上で加熱して固体の銅を溶解しつつ(第1工程中)、振動付与部材8によって振動を鉄スクラップ6に加えて、その溶解後の液体状の銅が鉄スクラップ6から振動付与部材8上に落下する、これにより、溶解した銅が鉄スクラップ6から分離される(第2工程)。
本発明では、銅の融点が鉄の融点より低いことを利用して、鉄スクラップ6を加熱することで温度上昇に伴い鉄より先に銅が溶解して、さらに鉄スクラップ6に振動を加えることによって溶解した銅を鉄スクラップ6から分離している。この銅に振動を加える理由としては、溶融した銅の表面張力や温度不均一による再凝固等の影響により、加熱しただけの自重による落下のみでは、効率良く銅を分離できないことに基づいている。
次いで、その液体状の銅は、振動付与部材8に形成されている貫通穴を通じて、振動付与部材8の下側の予熱装置2のテーパー面に流れ落ちる。液体状の銅は、銅逃がし穴13を通じて、このテーパー面から銅回収ボックス12に流れ入り、回収されることが好ましい。回収された銅は、リサイクル銅として再利用することが可能であり、資源循環にも寄与することになる。
なお、振動付与部材8による水平方向への振動は、振幅が5〜8mmで周波数が600〜720Hzの振動波に基づくが、この例に限らず、鉄スクラップ6の種類、銅を分離する速度、加熱温度等の影響を考慮した適切な振動が鉄スクラップ6に加えられるように、振動付与部材8及び前述の振動機構を設定すればよい。また、振動付与部材8に形成される複数の貫通穴についても、鉄スクラップ6の種類、銅を分離する速度、加熱温度等の影響を考慮して、最適な形状、個数を選定すればよい。水平面に対するテーパー面の傾斜角度も、鉄スクラップ6に形成される複数の貫通穴と同様に、適切な値を選定すればよい。
搬送コンベア7bは、溶解した銅が振動によって分離された鉄スクラップ6を振動付与部材8から受け取りかつ搬送し、次いで、この鉄スクラップ6を溶解炉3へ装入する。溶解炉3の内部には、その上部から上部電極14が挿入されている。溶解炉3の底には、この上部電極14に対となる炉底電極15が設置されている。上部電極14と炉底電極15とには図示しない直流電源が連結している。直流電源から高電圧の電流がこの上部電極14に供給されて、上部電極14から炉底電極15に向かおうとする。この際に、上部電極14から炉底電極15に向けて、アークが発生する。発生したアークによるアーク熱(熱源)を用いて、溶解炉3に装入された鉄スクラップ6を溶解する(第3工程)。溶解された鉄スクラップ6は溶融鉄9となり、溶解炉3の底部に貯まる。溶融鉄9は、出湯口10を通じて溶解炉3から排出されて、この出湯口10から取鍋などの保持容器(図示せず)に溶融鉄9が出湯される。
溶解炉3は、電気に基づくアーク熱を熱源として用いて、鉄スクラップ6を溶解しているので、いわゆる電炉である。この実施形態に限られず、この溶解炉3は、熱源として、アークに代えて炭材を用いて、この炭材を燃焼させることによってこの鉄スクラップ6を溶解する竪型炉でもよい。また、溶解炉3に炭材を供給し、上部電極14に供給される電気と炭材とを熱源として併用してもよい。
本発明では、予熱装置2内での鉄スクラップ6を加熱(予熱)しているので、溶解炉3への装入直前に、鉄スクラップ6自身の温度が既に上昇している。このため、鉄スクラップ6を予熱しない場合に比べて、鉄スクラップ6を溶解するための熱源のエネルギーを抑えることが可能となる。
また、溶解炉3で加熱された気体の熱はその内部空間で伝達して、この溶解炉3に空間的に接続された予熱装置2の内部空間へ伝達する。このため、予熱装置2の内部空間の温度が上昇するので、予熱装置2の内部空間及び鉄スクラップ6を加熱するためのバーナー11の消費エネルギーをも抑えることができる。更には、この加熱された気体を、溶解炉3から予熱装置2の内部空間へ吸引することによって、強制的に移動するように、予熱装置2の第2端部5に接続するブロワー(気体吸引機)16を設けることが好ましい。ブロワー16により気体が吸引されることによって、溶解炉3での熱源で加熱された気体が予熱装置2の内部空間により効率的に移動するので、熱の対流現象によって、予熱装置2の内部空間の温度が上昇する。このようにして、予熱装置2の内部空間及び鉄スクラップ6を加熱するためのバーナー11の消費エネルギーをより効率的に抑えることが可能となる。
第1工程で加熱されかつ第2工程で銅が分離された鉄スクラップ6を連続的に溶解炉3に装入して、鉄スクラップ6を溶解することが好ましい。なぜならば、加熱した鉄スクラップ6を連続的に溶解炉へ装入して溶解することにより、溶解炉3内で鉄スクラップ6を溶解するために必要なエネルギーのうち、加熱された鉄スクラップ6の顕熱分のエネルギーを低減することができ、よって、溶解炉3での電力、燃料等の熱源のエネルギー原単位を大幅に低減することができるからである。省エネルギーの観点から、加熱した鉄スクラップ6を連続的に溶解炉へ挿入して溶解することの実用上の意義は極めて大きい。
なお、鉄スクラップ6のサイズは、概ね、横0.1〜0.3m、縦0.1〜0.3m、厚さ0.01〜0.2mである。予熱装置2の搬送コンベア7a,7bと振動付与部材8とバーナー11と、予熱装置2と溶解炉3とは、鉄スクラップ6の寸法に適合するように、前述した各々の固有の機能を実現するために十分な寸法を有していればよい。例えば、振動付与部材8に形成される複数の貫通穴の各々は、上記の鉄スクラップ6を落下させずに、溶解した液体の銅が通過し得るサイズを有していればよい。
予熱装置2の搬送コンベア7a,7bと振動付与部材8とバーナー11と、予熱装置2と溶解炉3との各々の材質は、前述した各々の固有の機能を実現するために十分な耐熱性を有していれば、特に限定されない。
また、上記の実施形態では、予熱装置において、バーナー11によるガス加熱で鉄スクラップ6を加熱したが、誘導加熱、アーク加熱等の電気加熱を用いても問題なく、効果を損なうものではない。
図1に示す鉄スクラップの溶解装置を用いて、本発明を実施した。銅を含有する複数の鉄スクラップ6から銅を分離して、次いで、アーク加熱で、鉄スクラップ6を溶解して、溶鋼を得た(本発明例1)。
本発明例1では、溶解炉3の炉容積は150トン/チャージとした。電極用電源のアークのトランス容量は100MVAであり、50分で全量溶解し、1580℃の溶鋼で出鋼することとした。バーナー11はプロパン酸素バーナーを用いて、鉄スクラップ6の温度が1100℃前後となるように燃焼熱を制御した。鉄スクラップ6のサイズは、概ね、横0.1〜0.3m、縦0.1〜0.3m、厚さ0.01〜0.2mであった。予熱装置2における鉄スクラップ6の搬送速度は3トン/分とした。
予熱装置2及び溶解炉3は耐熱鋼や耐火物からなり、振動付与部材8は、耐熱鋼からなる。
予熱装置2の内部における、搬送コンベア7aと振動付与部材8と搬送コンベア7bとの合計の長さは略10mとした。搬送コンベア7aの長さは5mであり、振動付与部材8の長さは略3mであり、搬送コンベア7bは2mである。搬送コンベア7bの幅は5mであり、搬送コンベア7aと振動付与部材8との幅は、搬送コンベア7bに準ずる。搬送コンベア7aと振動付与部材8と搬送コンベア7bとが配置されている予熱装置2の内部空間の高さは、2mとした。
振動付与部材8は、厚さ20mmの平板であり、30mmのピッチで格子状に20mmの径を有する円形状の貫通穴が形成されている。振動付与部材8には、水平方向に沿った振動付与部材8の長さ方向における中心を、振動の中心として、振幅が5〜8mmで周波数が600〜720Hzである振動を加えた。
本発明例1とは、銅の含有率がそれぞれ異なる2種類の鉄スクラップ6を溶解して溶鋼を得た(本発明例2及び本発明例3)。本発明例2及び本発明例3のその他の条件は本発明例1と同様である。
上記の本発明例1〜3と比較するために、図1に示す鉄スクラップの溶解装置を用いたが、予熱及び振動を全く行わずに、本発明例1の溶解炉3と同様の条件で鉄スクラップ6を溶解した(比較例1)。また、図1に示す鉄スクラップの溶解装置を用いたが、鉄スクラップ6に振動を与えずに予熱のみを行った、それ以外の条件は本発明例1と同様にして鉄スクラップ6を溶解した(比較例2)。本発明例1〜3及び比較例1〜2の条件及び結果を表1に示す。
Figure 2013133486
<実施例の評価及び結果の検討>
表1中の「銅含有率(質量%)鉄スクラップ中」は、次のように決定した。
1.複数の鉄スクラップ6のうちから5つの鉄スクラップ6を無作為に抽出した。
2.その5つの鉄スクラップ6の各々を事前に溶解して得られた5点の溶鋼に対して発光分光分析を行い、各溶鋼中における5点の銅の含有率(質量%)を測定した。
3.その測定した5点の銅の含有率(質量%)の平均値を算出した。
4.この算出した平均値を「銅含有率(質量%)鉄スクラップ中」とした。
表1中の「銅含有率(質量%)溶解後」は、溶解炉3のアーク加熱の後で得られた溶鋼中の銅の質量%を、発光分光分析で測定したものである。表1中の「銅除去率」は、「100×(鉄スクラップ中の銅含有率(質量%)−溶解後の銅含有率(質量%))/鉄スクラップ中の銅含有率(質量%)」で表した値である。表1中の「電力原単位」は、1トンの溶鋼を得るのに要した電力(kWh)を表した値である。
本発明例1〜3では、比較例1〜2と比べると、溶解後の銅含有率が鉄スクラップ中の銅含有率より大幅に減少していることがわかる。高銅含有率な低品位鉄スクラップから、銅濃度(銅含有率)が低い溶鋼が効率的に得られることを確認することができた。また、本発明例1〜3では、比較例1と比べると、電力原単位も大幅に低減していることがわかる。このことから、鉄スクラップが予熱されていることで、鉄スクラップを溶解するために必要となるエネルギーを低減できたことも確認された。
1 溶解装置
2 予熱装置
3 溶解炉
4 第1端部
5 第2端部
6 鉄スクラップ
7a,7b 搬送コンベア
8 振動付与部材
9 溶融鉄
10 出湯口
11 バーナー
12 銅回収ボックス
13 銅逃がし穴
14 上部電極
15 炉底電極
16 ブロワー

Claims (6)

  1. 銅部品を有する鉄スクラップを、前記銅部品中の銅が溶解する温度まで加熱して、前記銅を溶解する第1工程と、
    前記第1工程の後及び/または前記第1工程中に、前記鉄スクラップに振動を加えて、溶解した前記銅を前記鉄スクラップから分離する第2工程と、
    熱源を用いて前記鉄スクラップを溶解する第3工程と、を有することを特徴とする鉄スクラップの溶解方法。
  2. 前記第2工程において、貫通穴が形成されている振動付与部材を用いて前記鉄スクラップに振動を加え、前記貫通穴を通じて前記溶解した銅を回収することを特徴とする請求項1に記載の鉄スクラップの溶解方法。
  3. 前記第1工程で加熱されかつ前記第2工程で銅が分離された前記鉄スクラップを、連続的に溶解炉に装入して、前記鉄スクラップを溶解することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉄スクラップの溶解方法。
  4. 銅部品を有する鉄スクラップを、前記銅部品中の銅が溶解する温度まで加熱して、前記銅を溶解する予熱装置と、
    前記予熱装置と接続されている溶解炉であって、熱源を用いて前記鉄スクラップを加熱して溶解する溶解炉と、
    前記鉄スクラップに振動を加えるための振動付与部材を有する振動分離装置であって、前記予熱装置に設けられている振動分離装置と、を備え、
    前記振動付与部材によって前記鉄スクラップに振動を加えて、前記予熱装置で加熱された前記鉄スクラップから、溶解した前記銅が分離されるように構成されることを特徴とする鉄スクラップの溶解装置。
  5. 前記振動付与部材には貫通穴が形成されており、前記貫通穴を通じて溶解した前記銅が回収されることを特徴とする請求項4に記載の鉄スクラップの溶解装置。
  6. 加熱されかつ銅が分離された前記鉄スクラップが前記予熱装置から前記溶解炉へ連続的に装入されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の鉄スクラップの溶解装置。
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