JP2013133284A - ε−カプロラクタムの製造方法 - Google Patents

ε−カプロラクタムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物を含む粗ε−カプロラクタムから少ない消費エネルギーで不純物を低減させ、高品質のε−カプロラクタムを収率良く製造できるε−カプロラクタムの製造方法を提供する。
【解決手段】シクロヘキサノンオキシムをベックマン転位させて得られた粗ε−カプロラクタムを有機溶媒に溶解した溶液から、減圧下で前記有機溶媒を蒸発させε−カプロラクタムを晶析させた後、晶析したε−カプロラクタムを前記溶液から固液分離する第1工程と、固液分離して得られた液相からさらにε−カプロラクタムを晶析させ、晶析したε−カプロラクタムを前記液相から固液分離する第2工程と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ε−カプロラクタムの製造方法に関し、特に、シクロヘキサノンオキシムのベックマン転位で得られた不純物を含む粗ε−カプロラクタムを晶析して、高品質のε−カプロラクタムを収率良く製造する方法に関する。
ε−カプロラクタムは、ナイロン−6の製造中間体として重要な化合物であり、各種の製造方法が知られている。例えば、シクロヘキサノンオキシムを発煙硫酸等の酸性媒体存在下でベックマン転位させることにより、大量に製造される。しかしこの方法は、付加価値が少ない大量の硫安を副生するという問題を有している。
これを改良する方法として、固体触媒を用いた気相ベックマン転位反応によるε−カプロラクタムの製造方法が公知である。気相ベックマン転位反応に用いる固体触媒としては、ホウ酸系触媒、シリカ・アルミナ触媒、固体リン酸触媒、複合金属酸化物触媒、ゼオライト系触媒等が提案されている。しかしながら、この方法で得られるε−カプロラクタムは種々の不純物を含有しているため、通常、晶析、抽出、蒸留、水添等の種々の方法によって精製されている。
これらの精製方法の中で、晶析法は、蒸留法などに比べてエネルギー的に有利であり、比較的多くの不純物を一挙に除去できる方法として知られている。晶析法としては、分離対象の液を冷却して結晶を析出させる冷却晶析法、分離対象の液中の溶媒を蒸発除去して濃縮することで結晶を析出させる蒸発晶析法、分離対象液に貧溶媒を添加することで目的物の溶解度を下げて結晶を析出させる貧溶媒晶析法、種々の方法で結晶を析出させた後に結晶の温度を上昇させて不純物を除去する溶融晶析法などが工業的に頻繁に用いられている。
特許文献1には、溶融した粗ε−カプロラクタムと冷却した有機溶媒とを併注混合することにより、ε−カプロラクタムを晶析せしめ、これを固液分離して精製ε−カプロラクタムを製造する方法が開示されている。
特開2002−3472号公報
上述の晶析法を用いて精製ε−カプロラクタムを製造する場合には、有機溶媒を冷却するために大型の冷凍機を運転する必要があり、多大なエネルギーを消費する。そのため、製造時の省エネルギー化が重要な検討項目として挙がる近年では、高品位なε−カプロラクタムを少ない消費エネルギーで製造することができる製造方法が求められていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、不純物を含む粗ε−カプロラクタムから少ない消費エネルギーで不純物を低減させ、高品質のε−カプロラクタムを収率良く製造できるε−カプロラクタムの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、シクロヘキサノンオキシムをベックマン転位させて得られた粗ε−カプロラクタムを有機溶媒に溶解した溶液から、減圧下で前記有機溶媒を蒸発させε−カプロラクタムを晶析させた後、晶析したε−カプロラクタムを前記溶液から固液分離する第1工程と、固液分離して得られた液相からさらにε−カプロラクタムを晶析させ、晶析したε−カプロラクタムを前記液相から固液分離する第2工程と、を有するε−カプロラクタムの製造方法を提供する。
本発明では、粗ε−カプロラクタムの溶液から溶媒を蒸発させてε−カプロラクタムを晶析させ、これに続く固液分離によりε−カプロラクタムを得る。すなわち、晶析操作においては、ε−カプロラクタムの溶液の蒸発潜熱を利用して、減圧冷却晶析(蒸発晶析)することにより、冷凍機などを用いて晶析槽を冷却し溶液全体を冷却して晶析させる方式と比べ、必要とするエネルギー量を減らすことが可能となる。
また、晶析槽を冷却する方式では、晶析槽の伝熱面でスケーリングが生じることがあるが、蒸発晶析ではこのようなスケーリングが抑制される。この結果、安定的に高い品質のε−カプロラクタムを得る。
さらに、固液分離して得られる液相から、種々の方式によりε−カプロラクタムを晶析させε−カプロラクタムを回収することにより、回収率を高めることができる。
以上のことから、本発明のε−カプロラクタムの製造方法にあっては、不純物を含む粗ε−カプロラクタムから少ない消費エネルギーで不純物を低減させ、高品質のε−カプロラクタムを収率良く製造することが可能となる。
本発明においては、前記溶液から蒸発させた前記有機溶媒のうち少なくとも一部を、前記粗ε−カプロラクタムを溶解する有機溶媒として循環使用することが望ましい。
本発明においては、前記第2工程で固液分離されて得られるε−カプロラクタムを、前記第1工程の晶析用原料として循環使用することが望ましい。
本発明においては、前記第2工程で固液分離されて得られる液相から有機溶媒を回収し、回収した当該有機溶媒のうち少なくとも一部を、前記粗ε−カプロラクタムを溶解する有機溶媒として循環使用することが望ましい。
本発明においては、前記第1工程と前記第2工程との少なくともいずれか一方において、固液分離して得られたε−カプロラクタムを、有機溶媒で洗浄することが望ましい。
本発明においては、前記第1工程と前記第2工程との少なくともいずれか一方において、晶析および固液分離を連続的に実施することが望ましい。
本発明においては、前記粗ε−カプロラクタムを溶解させる有機溶媒が、脂肪族炭化水素溶媒、または脂肪族炭化水素と該脂肪族炭化水素より極性の高い少量の有機溶媒との混合溶媒であることが望ましい。
本発明においては、前記脂肪族炭化水素溶媒が、炭素数6〜12の、脂肪族直鎖炭化水素、脂肪族側鎖炭化水素、及び脂環式炭化水素の少なくとも1種であることが望ましい。
本発明においては、前記脂肪族炭化水素溶媒が、脂肪族直鎖炭化水素と脂環式炭化水素との混合溶媒であることが望ましい。
本発明においては、前記粗ε−カプロラクタムが、固体触媒の存在下でシクロヘキサノンオキシムを気相ベックマン転位させて得られたものであることが望ましい。
本発明においては、前記第1工程において、晶析処理後、固液分離して得られたε−カプロラクタムを、次いで水素添加触媒の存在下、水素と接触させることが望ましい。
本発明においては、粗ε−カプロラクタムに含有されるシクロヘキサノンオキシムの濃度が、ε−カプロラクタムに対して10ppm以上、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジンの濃度がε−カプロラクタムに対して10ppm以上、3−N−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾールの濃度がε−カプロラクタムに対して25ppm以上およびカプレノラクタム類の濃度がε−カプロラクタムに対して25ppm以上であることが望ましい。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法では、不純物を含む粗ε−カプロラクタムから少ない消費エネルギーで不純物を低減させ、高品質のε−カプロラクタムを収率良く製造することができる。
本発明に係るε−カプロラクタムの製造方法のプロセス工程を示す図である。
本実施形態のε−カプロラクタムの製造方法は、粗ε−カプロラクタムを有機溶媒に溶解した溶液から、減圧下で前記有機溶媒を蒸発させε−カプロラクタムを晶析させた後、晶析したε−カプロラクタムを前記溶液から固液分離する第1工程と、固液分離して得られた液相をさらに晶析し、晶析したε−カプロラクタムを前記液相から固液分離する第2工程と、を有する。
なお、本明細書において、「粗ε−カプロラクタム」とは、ε−カプロラクタムの製造工程にて得られる目的物であるε−カプロラクタムと、夾雑物(反応溶媒、未反応原料、副反応生成物など)と、を含む反応混合物である。以下の説明は、粗ε−カプロラクタム(以下、「粗ラクタム」と略記することがある)として、シリカ・アルミナ、メタロシリケート、シリカライト等のゼオライト系触媒を用いて気相ベックマン転位により得られた反応混合物を例示して行うが、本発明を適用し得る粗ラクタムとしてはこれに限定されるものではない。
図1は、本実施形態の製造方法を連続プロセスで実施する場合のフロー図である。
図で説明する工程には、粗ラクタムを有機溶媒に溶解する溶解槽1、粗ラクタムを溶解した溶液からε−カプロラクタムを晶析させる晶析槽2、晶析槽2において蒸発する有機溶媒を濃縮し液化させるコンデンサー3、晶析槽2で析出したε−カプロラクタムの結晶を溶液から分離する固液分離機4、分離したε−カプロラクタムの結晶を洗浄する結晶洗浄機5、固液分離機4および結晶洗浄機5で生じる液相からさらに晶析させる晶析槽6、晶析槽6で析出したε−カプロラクタムの結晶を溶液から分離する固液分離機7を含む。
図において、溶解槽1、晶析槽2、コンデンサー3、固液分離機4、結晶洗浄機5を用いる工程が、本発明における「第1工程」に該当し、晶析槽6、固液分離機7を用いる工程が、本発明における「第2工程」に該当する。
以下、順に説明する。
(第1工程)
まず、溶解槽1にて、粗ラクタムを有機溶媒に溶解する。
粗ラクタムには、製法により一義的ではないが、溶媒として使用したメタノールや未反応のシクロヘキサノンオキシムの他、シクロヘキサノン、シクロヘキセノン、n−ヘキサニトリル、5−ヘキセニトリル、メチルラクタム、1,3,4,5−テトラヒドロアゼピン−2−オン、1,5,6,7−テトラヒドロアゼピン−2−オン、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジン(以下OHPと略称する)や3−N−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾール(以下MTHIと略称する)等のアミン類等種々の副生物が含まれている。
例えば、気相ベックマン転位法により得られた粗ラクタム中には、通常、ε−カプロラクタムに対してシクロヘキサノンオキシムの濃度が10ppm以上、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジンの濃度が10ppm以上、3−N−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾールの濃度が25ppm以上および1,3,4,5−テトラヒドロアゼピン−2−オン、1,5,6,7−テトラヒドロアゼピン−2−オン、及びこれらの構造異性体(以下、カプレノラクタム類と略称する)の濃度が25ppm以上で含有されているが、これらの不純物のうちカプレノラクタム類を除いては、本発明の晶析法を適用することによりワンパスで一挙に除去精製することが可能となる。
なお、ゼオライト系触媒を用いる気相ベックマン転位反応によって得られた粗ラクタムは、メタノール等の溶剤、各種の低沸点の副生物、および各種の高沸点の副生物を含有している。そこで、晶析効率を上げる目的で、溶解槽1における溶解前に、必要に応じてこれらの溶剤や副生物の一部または全部を除去する予備蒸留等を実施しておくことが好ましい。
溶解槽1で用いられる有機溶媒としては、晶析後の溶液に多量のラクタムが残存しないようにするため、極性の低い脂肪族炭化水素溶媒が推奨される。
このような脂肪族炭化水素溶媒としては、炭素数6〜12の脂肪族直鎖炭化水素、脂肪族側鎖炭化水素、及び脂環式炭化水素等が挙げられる。より具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族直鎖炭化水素、メチルヘキサン、イソオクタン、ネオヘキサン等の脂肪族側鎖炭化水素、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、及び石油ベンジン(JIS K 8594に規定。ヘキサンやイソヘキサンなどの混合物)のような脂肪族炭化水素の混合物が挙げられる。中でも、n−ヘプタン、イソオクタン、石油ベンジン等の、沸点がε−カプロラクタムの融点(69℃)以上且つε−カプロラクタムの沸点(267℃)未満の脂肪族炭化水素が好ましく、沸点がε−カプロラクタムの融点以上且つ約150℃以下の脂肪族炭化水素(例えば、シクロヘキサン等)がより好ましい。
これらは単独でもよいが、二種以上あるいはこれらと均一に混和することが可能な、より極性の高い有機溶媒を混合して用いてもよい。すなわち、本発明の目的である不純物を除去できる範囲において、上述の溶媒に、少量のベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、トリクレン等のハロゲン化炭化水素、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等を混合し、沸点がε−カプロラクタムの融点以上且つε−カプロラクタムの沸点未満、好ましくは沸点がε−カプロラクタムの融点以上且つ約150℃以下の混合溶媒として用いることもできる。
これらの溶媒の中では、極性が低く、且つ互いに沸点が近い溶媒の組み合わせが推奨される。この場合には、連続操業において、溶媒組成に変動があってもラクタムの溶解度の変化が少なく、晶析収率への影響が少ないことから、溶媒の濃度管理が容易になる。このような溶媒の組み合わせとしては脂肪族直鎖炭化水素と脂環式炭化水素が好ましく、なかでもn−ヘプタンとシクロヘキサンとの組み合わせが好ましい。
なお、溶解槽1を用いることなく、例えば、粗ラクタムと溶媒とを配管内で混合し、後述の晶析槽2に供給することとしてもよく、また、粗ラクタムと溶媒とを晶析槽2に供給する前に混合することなく、晶析槽2にそれぞれ直接供給することとしてもよい。
溶解槽1で調整された溶液は、晶析槽2に供給される。晶析槽2では、減圧下で溶液中の有機溶媒を蒸発させてε−カプロラクタムを晶析させ(蒸発晶析)、ε−カプロラクタムが分散したスラリーが得られる。蒸発晶析では、有機溶媒の蒸発潜熱を利用して、減圧冷却晶析することにより、晶析槽2内の溶液に接する壁面等を冷却して晶析させる方式で見られるような晶析槽2の伝熱面でのスケーリングが抑制され、安定的に高い品質のε−カプロラクタムを得ることができる。晶析温度は、20℃〜60℃程度が好ましい。
蒸発晶析の操作においては、結晶化に必要な時間を確保することにより(すなわち熟成時間を持つことより)スラリー濃度を安定化させることが出来る。このための時間としては5分以上が好ましい。晶析槽2の平均滞留時間を延ばすためには晶析槽2の容量を大きくする必要があり、結晶品質、経済性の観点から適当な時間が選択される。結晶化に必要な時間は、5分以上60分以下で十分であり、好ましくは20分以上40分以下である。
晶析槽2における蒸発晶析は、連続式で行うこととしてもよく、バッチ式(回分式)で行うこととしてもよい。生産効率を高めることができるため、連続式で行うことが好ましい。
晶析槽2で蒸発させた有機溶媒は、コンデンサー3に供給される。コンデンサー3では、晶析槽2で蒸発させた有機溶媒を液化させる。得られた有機溶媒(以下、循環溶媒と称することがある)は、少なくとも一部を溶解槽1において粗ラクタムを溶解させる有機溶媒として用いることができる。
なお、晶析槽2では、溶解槽1で粗ラクタムを溶解させるために加えた有機溶媒の他に、粗ラクタムに含まれる低沸点成分(揮発性の高い不純物)も蒸発することが想定される。コンデンサー3では、そのような低沸点成分も液化されるが、得られる循環溶媒には高沸点成分が含まれない。そのため、循環溶媒を粗ラクタムの溶解に再利用しても、得られるε−カプロラクタムに循環溶媒に起因する不純物(低沸点成分)が残存しにくく、好適に循環利用可能である。また、循環溶媒に含まれる低沸点成分の濃度が、ε−カプロラクタムの純度に影響を与えない程度に充分に低い場合、後述の結晶洗浄機5における洗浄用の有機溶媒として使用することも可能である。
結晶が析出し、所定のスラリー濃度に到達したスラリー液は、固液分離機4に導入される。固液分離機4では、固液分離することにより、導入されたスラリーを、ε−カプロラクタム結晶を含む固相と、不純物を含有する液相とに分離する事が出来る。晶析槽2における晶析と固液分離機4における固液分離とは連続的に実施することが好ましい。
固液分離は、減圧濾過、加圧濾過等、通常の晶析に用いられる濾過器を使用して行うことが出来るが、連続的に濾過するためには、遠心濾過器、連続掻き取り式遠心濾過器、遠心分離型デカンター等を用いるとよい。特に連続掻き取り式遠心濾過器や遠心分離型デカンター等では、連続的に結晶をリンスすることが可能で、結晶に付着した不純物を含有する液相を洗浄し、結晶の品位をより向上させることが出来るので、好ましい。
固液分離機4で分離したε−カプロラクタムの結晶(固相)は、当該固相を洗浄する結晶洗浄機5に供給され、有機溶媒を用いて洗浄される。これにより、結晶表面に付着した不純物を除去することができ、洗浄しないものに比較し、より純度の高いε−カプロラクタム(精製ラクタム)を得ることができる。
洗浄に用いられる有機溶媒は、ε−カプロラクタムの溶解度が低いものが好ましく、上述の極性の低い炭化水素系溶媒を用いることができる。
なお、本実施形態では、固液分離機4と結晶洗浄機5とが別体の装置であることとして記載しているが、同じ装置が固液分離機4と結晶洗浄機5との機能を有する(固液分離機が結晶洗浄部を有する)こととしてもよい。
固液分離機4で分離された有機溶媒を含有する液相、結晶洗浄機5より排出される有機溶媒を含有する液相は、溶解槽1で使用する有機溶媒として一部使用してもよい。
この場合、各液相に含まれる不純物の濃度に閾値を設定し、各液相の不純物濃度が当該閾値を超えない範囲であれば、溶解槽1で使用する有機溶媒として使用可能であることとすると、晶析で除去した不純物を無用に前段の処理に循環させないため好ましい。
通常、固液分離機4で生じる液相よりも、下流側の結晶洗浄機5で生じる液相の方が、含有する不純物の濃度が低い。そのため、定常運転時において、結晶洗浄機5で生じる液相の不純物濃度が常に上記閾値未満であることが予め分かっているような場合には、結晶洗浄機5で生じる液相の一部を溶解槽1で使用する有機溶媒として使用し、固液分離機4で生じる液相はすべて後段の晶析槽6へ供給する、というような運転条件とするとよい。
もちろん、固液分離機4で生じる液相に含まれる不純物濃度が、予め設定した閾値未満であれば、固液分離機4で生じる液相を溶解槽1に循環させることとしてもかまわない。また、結晶洗浄機5で得られる液相の不純物濃度が、上記閾値以上となる場合には、溶解槽1に循環させることなく、すべて後段の晶析槽6へ供給することとするとよい。
第1工程での粗ラクタムの処理の程度は、シクロヘキサノンオキシムやMTHI、OHP等の塩基性化合物を晶析段階で特定濃度以下となるよう、より具体的には処理後のε−カプロラクタム(精製ラクタム)に含有されるシクロヘキサノンオキシムの濃度がε−カプロラクタムに対して10ppm未満、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジンの濃度が10ppm未満、3−N−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾールの濃度が25ppm未満となるよう、分析、管理することが好ましい。
第1工程での粗ラクタムの処理の程度は、上記の不純物含量指標によりコントロールされる。晶析処理による不純物の除去程度は、使用する溶媒の種類、溶媒の量、晶析温度等の晶析条件により調整し得るので予備実験により確認すればよい。晶析処理は、通常1回でよいが、複数回行ってもよく、特に不純物の多い粗ラクタムに対しては複数回の晶析処理が推奨される。また、晶析方法においては除去し難いカプレノラクタム類については、晶析処理後、固液分離して得られたε−カプロラクタムを、水素添加触媒の存在下、水素と接触させ除去することが可能である。かかる処理により通常カプレノラクタム類を25ppm未満とすることができる。
(第2工程)
固液分離機4および結晶洗浄機5から排出される液相のうち、溶解槽1で使用しない液相は、蒸留、抽出、化学処理、活性炭処理等、公知方法を組み合わせて精製を実施しても良いが、液相を再晶析することにより結晶を回収することで容易に収率をあげることができる。回収した結晶は、第1工程へリサイクルする方法を採用することで効率よく粗ラクタムから精製結晶を回収することが出来る。
より具体的には、溶解槽1で使用しない液相は晶析槽6に導入される。晶析槽6における晶析法は、種々の方法を用いることができる。例えば、第1工程と同様に蒸発晶析を行うこととしてもよい。また、残部の液相に対し、低温に管理された脂肪族炭化水素溶媒、または、脂肪族炭化水素溶媒と脂肪族炭化水素溶媒より極性の高い少量の有機溶媒との混合溶媒であって低温に管理したものを混合し、ラクタムを結晶化させながら、発生する結晶化熱を冷溶媒の顕熱で相殺して一定温度で晶析してスラリー混合物とし、必要に応じて所定時間熟成して結晶成長させることとして晶析を行ってもよい。
晶析槽6において蒸発晶析を行う場合には、上記晶析槽2にコンデンサー3が併設されていることと同様にして、晶析槽6に不図示のコンデンサーを併設することにより、蒸発する有機溶媒を回収し、溶解槽1で粗ラクタムを溶解させる溶媒、結晶洗浄機5における洗浄用の有機溶媒として循環使用することができる。
なお、蒸発晶析の前に、多重効用缶等を用いて溶媒をある程度留去しておくことは、省エネルギー的観点より特に有効である。
晶析処理後のスラリーは固液分離機7に導入され、固相としてのε−カプロラクタムの結晶(回収ラクタム)と、不純物が濃縮された液相に分離される。晶析槽6における晶析と固液分離機7における固液分離とは連続的に実施することが好ましい。また、第1工程における晶析と固液分離、および第2工程における晶析と固液分離とを、いずれも連続的に実施することがより好ましい。固液分離機7より排出された回収ラクタムは溶解槽1に導入され、第1工程の原料(晶析用原料)として利用される。
他方、固液分離機7より排出される液相は、図示しない溶媒回収工程で蒸留処理し、有機溶媒を回収すると共に不純物は残渣として分離される。これにより、濃縮された不純物は系外に排出され、系内への不純物の蓄積を回避し、本製造プロセスの長期連続運転を可能とする。
なお、沸点の異なる混合溶媒を使用すると、回収した溶媒の組成が異なってくるが、溶媒回収工程を含め、回収した溶媒を混合し、濃度を調整後再使用することが好ましい。
回収溶媒は晶析槽2等に使用する溶媒として循環使用すればよく、本プロセスからの排出物は溶媒回収工程における残渣のみであり、極めて廃棄物の少ない製造プロセスとなる。
本実施形態のε−カプロラクタムの製造方法は、以上のようにして行う。
以上のようなε−カプロラクタムの製造方法によれば、晶析槽2において蒸発晶析を採用することで、晶析時に晶析槽2を冷却する冷凍機等を運転するためのエネルギーが不要となるため、少ない消費エネルギーで不純物を低減させ、高品質のε−カプロラクタムを収率良く製造することが可能となる。
1…溶解槽、2…晶析槽、3…コンデンサー、4…固液分離機、5…結晶洗浄機、6…晶析槽、7…固液分離機

Claims (12)

  1. シクロヘキサノンオキシムをベックマン転位させて得られた粗ε−カプロラクタムを有機溶媒に溶解した溶液から、減圧下で前記有機溶媒を蒸発させε−カプロラクタムを晶析させた後、晶析したε−カプロラクタムを前記溶液から固液分離する第1工程と、
    固液分離して得られた液相からさらにε−カプロラクタムを晶析させ、晶析したε−カプロラクタムを前記液相から固液分離する第2工程と、を有するε−カプロラクタムの製造方法。
  2. 前記溶液から蒸発させた前記有機溶媒のうち少なくとも一部を、前記粗ε−カプロラクタムを溶解する有機溶媒として循環使用する請求項1に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  3. 前記第2工程で固液分離されて得られるε−カプロラクタムを、前記第1工程の晶析用原料として循環使用する請求項1または2に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  4. 前記第2工程で固液分離されて得られる液相から有機溶媒を回収し、回収した当該有機溶媒のうち少なくとも一部を、前記粗ε−カプロラクタムを溶解する有機溶媒として循環使用する請求項1から3のいずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  5. 前記第1工程と前記第2工程との少なくともいずれか一方において、固液分離して得られたε−カプロラクタムを、有機溶媒で洗浄する請求項1から4のいずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  6. 前記第1工程と前記第2工程との少なくともいずれか一方において、晶析および固液分離を連続的に実施する請求項1から5のいずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  7. 前記粗ε−カプロラクタムを溶解させる有機溶媒が、脂肪族炭化水素溶媒、または脂肪族炭化水素と該脂肪族炭化水素より極性の高い少量の有機溶媒との混合溶媒であること請求項1から6のいずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  8. 前記脂肪族炭化水素溶媒が、炭素数6〜12の、脂肪族直鎖炭化水素、脂肪族側鎖炭化水素、及び脂環式炭化水素の少なくとも1種である請求項7に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  9. 前記脂肪族炭化水素溶媒が、脂肪族直鎖炭化水素と脂環式炭化水素との混合溶媒である請求項7または8のいずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  10. 前記粗ε−カプロラクタムが、固体触媒の存在下でシクロヘキサノンオキシムを気相ベックマン転位させて得られたものである請求項1から9のいずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  11. 前記第1工程において、晶析処理後、固液分離して得られたε−カプロラクタムを、次いで水素添加触媒の存在下、水素と接触させる請求項1から10のいずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  12. 粗ε−カプロラクタムに含有されるシクロヘキサノンオキシムの濃度が、ε−カプロラクタムに対して10ppm以上、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジンの濃度がε−カプロラクタムに対して10ppm以上、3−N−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾールの濃度がε−カプロラクタムに対して25ppm以上およびカプレノラクタム類の濃度がε−カプロラクタムに対して25ppm以上である請求項1から11のいずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
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