JP2013132483A - 頭皮用美容キット、及び頭皮外用剤 - Google Patents

頭皮用美容キット、及び頭皮外用剤 Download PDF

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Abstract

【課題】頭皮のベタつきを低減して、頭皮を清潔かつ健やかに保つことができる。
【解決手段】特定の保湿剤を頭皮に適用して温熱を供給することにより、皮脂による頭皮のベタつきを低減できることを見出した。多価アルコールと水溶性ポリマーとを含有する頭皮用組成物と、頭皮用組成物が塗布された頭皮に適用するための温熱具1とを有する頭皮用美容キットである。
【選択図】図3

Description

本発明は、頭皮用美容キット、及び頭皮外用剤に関する。
近年、化粧料を適用した顔面に温熱水蒸気を供給する美容方法が知られている(特許文献1〜3)。
特許文献1には、温熱水蒸気供給源として、金属粉、塩類及び水を含有し、金属粉の酸化に伴って水蒸気を放出する水蒸気発生組成物を内蔵し、表面から50℃以下の水蒸気を放出する水蒸気発生体を使用する化粧料成分の浸透促進方法が記載されている。
特許文献2には、余剰水を有する非粘稠性発熱組成物を使用することで、発熱組成物成形物の形状維持性、薄型化での発熱特性、成形性が良好になる為、発熱特性が均一で安定した発熱体の加温効果と封じ込め効果の相乗作用によって血行促進による疲労回復、新陳代謝の活発化がもたらされ、毛穴拡張により肌の汚れや老廃物を除去し、所望部位を清涼にし、水及び/または化粧剤の浸透を早め、更に化粧剤を効率よく吸収させ、肌を健やかにし、潤いを保つ美顔発熱体が記載されている。加えて、特許文献2には、この美顔発熱体が、固着層に水分が含有されているとその水分が加温されることにより水及び/または化粧剤を所望部位に効率よく浸透させ、美肌効果を一層向上させ、簡便に使用でき、肌に対して適度の固着性や湿潤性を有し、製剤物質の安定性、肌に対する安全性が優れ、使用時の使用感が良好で、使用中の剥れめくれの少ないものであると記載されている。
特許文献3には、温熱体部分のキャリアシートを介して皮膚に貼付する顔面用温熱用具が記載されている。特許文献3では、このシートが柔軟性に富み、皮膚に付着し、長時間フィットすることにより、キャリアシートを通して長時間肌を温めることができるとともに、美容上または医学的に有効な補水・保湿作用および各種の薬効効果を効率よく発揮することができるとされている。
特許文献4は、皮膚に化粧料を適用する技術を開示するものではないが、加温用シートからなる内層キャップと、該内層キャップの外側において該内層キャップを覆って配された、透湿シートを用いてなる外層キャップとからなり、内層キャップ及び外層キャップは、両者の開口周縁部全辺を封止して固着されている加温具を開示する。特許文献4では、これにより、簡便に且つ安全に、加熱ムラなく、頭髪・頭皮の処理を行い、髪の柔軟化、くせ矯正、弾性付与、染色等の頭髪処理や毛・育毛処理等の頭皮処理が手軽に効率よく行えるとされている。
特開2001−104353号公報 特開2003−334212号公報 特開2006−198325号公報 特開2001−29120号公報
しかしながら、上述した技術においては、潤いを保ち、健やかにする技術の記載はあるが、頭皮が皮脂によって、ベタつく点において改善の余地があった。すなわち、皮脂による頭皮のべたつきを簡便に低減できる技術が求められている。
本発明者は、特定の保湿剤を頭皮に適用して温熱を供給することにより、皮脂による頭皮のベタつきを低減できることを見出した。
本発明によれば、
(A)多価アルコールと(B)水溶性ポリマーとを含有する頭皮用組成物と、
前記頭皮用組成物が塗布された前記頭皮に適用するための温熱具とを有する頭皮用美容キットが提供される。
また、本発明によれば、
(A)多価アルコールと(B)水溶性ポリマーとを含有する頭皮用組成物と、
前記頭皮用組成物を頭皮に塗布し、前記頭皮用組成物が塗布された前記頭皮を温熱することをユーザーに説明する取扱説明書とを備える、頭皮外用剤が提供される。
本発明によれば、頭皮のベタつきを低減して、頭皮を清潔かつ健やかに保つことができる。
実施の形態で用いられる温熱具を模式的に示した斜視図である。 図1におけるI−I線断面図である。 実施の形態に係る頭皮用美容キットの使用方法を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態に係る頭皮用美容キットは、(A)多価アルコールと(B)水溶性ポリマーとを含有する頭皮用組成物と、頭皮用組成物が塗布された頭皮に適用する温熱具とを有する、頭皮用美容キットである。以下、各構成について具体的に説明する。
[頭皮用組成物]
本実施形態において用いられる(A)成分の多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ソルビトール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリンなどの多価アルコール;マルチトール、キシリトールなどの糖アルコールが挙げられる。ポリエチレングリコールは、分子量200〜1000のものが、塗布時の使用感がべたつかない点で好ましい。
(A)成分の多価アルコールとしては、2価及び/又は3価のアルコールが好ましく、中でも、頭皮の皮脂によるベタつきを抑制する観点から、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、及び、ジプロピレングリコールがより好ましく、1,3−ブチレングリコール、グリセリンがさらに好ましく、よりさらにグリセリンが好ましい。(A)成分の多価アルコールは、1種又は2種以上用いることができる。
頭皮用組成物中の(A)成分の含有量は、下限を0.1質量%以上、特に0.3質量%以上とすることにより、頭皮の皮脂によるベタつきを抑制することができ、上限を10質量%以下、特に5質量%以下、さらに3質量%以下とすることにより、使用後又は乾燥後のベタつきを抑制できる。これらの観点から、(A)成分の含有量は、頭皮用組成物中、0.1〜10質量%の範囲とすることが好ましく、0.3〜5質量%がより好ましく、0.3〜3質量%の範囲とすることがさらに好ましい。
本実施形態において用いられる(B)成分の水溶性ポリマーとしては、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性されたカルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが挙げられる。中でも、肌に留まり、頭皮の皮脂によるベタつきを抑制する観点から、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性されたカルボキシビニルポリマーが好ましい。
カルボキシビニルポリマーとしては、アクリル酸又はメタアクリル酸を構成モノマーとして含有するポリマーが挙げられ、具体的には、カーボポール980、カーボポール981(以上、Lubrizol Advanced Materials社)等が挙げられる。
アルキル変性されたカルボキシビニルポリマーとしては、アクリル酸又はメタアクリル酸と、炭素数1〜35の脂肪酸とのエステル結合(アルキル変性)したアクリル酸又はメタアクリル酸エステルを構成モノマーとして含有するポリマーが挙げられる。中でもアルキル基の炭素数が10〜30であるアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー)として知られるものが、皮脂によるべたつきを抑制する観点から好ましい。具体的には、カーボポールETD2020、カーボポール1382、ペムレンTR−1、ペムレンTR−2(以上、Carbopolの商標名でB.F.グッドリッチ社)などが挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態においては、(B)成分のうち、カルボキシル基を有する水溶性ポリマーは、常温及び高温での安定性を良好にする為、中和して使用することが好ましく、その場合には、頭皮用組成物に塩基性物質を配合する。塩基性物質としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の有機アミン、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。中でも、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アミノメチルプロパノールがより好ましく、アミノメチルプロパノールがさらに好ましい。このような塩基性物質の含有量は、水溶性ポリマーのカルボキシル基を中和して使用する為、塩基性物質の種類に応じて適宜決定すればよいが、頭皮用組成物全体に対して、0.005〜0.5質量%が好ましく、中でも0.01〜0.3質量%がより好ましい。
なお、カルボキシル基を有する水溶性ポリマーと前記の塩基性物質との中和により、カルボキシル基を有する水溶性ポリマーの塩を得ることができる。
頭皮用組成物中の(B)成分の含有量は、下限を0.001質量%以上、特に0.01質量%以上、中でも0.05質量%以上とすれば、頭皮用組成物の粘度を適度に調整することで、剤の頭皮への残留性を向上させ、皮脂によるベタつきを改善することができる。また、上限を3質量%以下、特に2質量%以下、中でも1質量%以下とすることにより、使用後、乾燥後の毛髪のごわつきを抑制できる。これらの観点から、(B)成分の含有量は、頭皮用組成物中、0.001〜3質量%の範囲とすることが好ましく、0.01〜2質量%がより好ましく、0.05〜1質量%の範囲とすることがさらに好ましい。
本実施形態においては、(B)成分に対する(A)成分の含有量の質量比((A)/(B))は、ベタつきを改善するという点で、1〜1000の範囲が好ましく、特に2〜500、さらに3〜100の範囲が好ましい。
水、及びエタノールの含有量は、本発明の頭皮用組成物中10〜99.8質量%が好ましく、更には20〜99.5質量%、特に30〜99.5質量%が好ましい。
本実施形態で用いられる頭皮用組成物には、必要に応じて、さらに、抗菌剤、毛包賦活剤、保湿剤、角質溶解剤、局所刺激剤、抗男性ホルモン剤、カリウムチャンネルオープナー、及び抗酸化剤から選ばれる成分を1種又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
抗菌剤としては、例えばイソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックス、感光色素101、感光色素201、クロルヘキシジン、サリチル酸、ジンクピリチオン、ソルビン酸カリウム、ヒノキチオール、フェノール等が挙げられる。これらのうち、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックス、ジンクピリチオン、ヒノキチオール等がより好ましい。
抗菌剤は、頭皮用組成物中に、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%含有することができる。
毛包賦活剤としては、例えばトランス−3,4'−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、アデノシン、パントテニルエチルエーテル、サイトプリン、N−アセチル−L−メチオニン、タマサキツヅラフジ、セファランチン、アデノシン三リン酸ジナトリウム、アスパラギン酸カリウム、感光色素301、ペンタデカン酸グリセリド、パントテン酸エチル、チクセツニンジン、ビオチン、モノニトログアヤコールナトリウム、酵母エキス、ニンニク成分、真珠蛋白抽出液、タイソウエキス、プラセンタエキス、ローヤルゼリー、ソフォラ抽出ペースト(クジン)、6−ベンジルアミノプリン、ジアルキルモノアミン誘導体等が挙げられる。これらのうち、トランス−3,4'−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、タマサキツヅラフジ、セファランチン、アデノシン三リン酸ジナトリウム、ペンタデカン酸グリセリド、パントテン酸エチル、チクセツニンジン、ビオチン、モノニトログアヤコールナトリウム、プラセンタエキス、ローヤルゼリーが好ましく、トランス−3,4'−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンがより好ましい。
毛包賦活剤は、頭皮用組成物中に、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%含有することができる。
保湿剤としては、例えばオトギリソウエキス、ユーカリエキス、黄杞エキス、ボタンピエキス、ハス花エキス、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物、カラスムギエキス、可溶性コラーゲン、コンドロイチン硫酸、チューベロースポリサッカライド、冬虫夏草エキス、延命草エキス、オオムギエキス、オレンジエキス、ブドウエキス、ジオウエキス、デュークエキス、マイカイ花エキス、ヨクイニンエキス、パナックスジンセンエキス、デルアミド、アルテア抽出液、クアチャララーテ抽出液、ヒレハリソウ抽出物、コリアンダー抽出液、サンショウ抽出物、アマチャ抽出液、ホップエキス等が挙げられる。これらのうち、ユーカリエキス、黄杞エキス、ボタンピエキスがより好ましい。
保湿剤は、頭皮用組成物中に、乾燥固形分として、0〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%含有することができる。
角質溶解剤としては、例えばアスピリン等が挙げられる。抗脂漏剤としては、例えばイオウ、レシチン、カシュウエキス、チオキソロン等が挙げられる。
局所刺激剤としては、例えばカンファー、トウガラシチンキ、l−メントール、ノニル酸ワニリルアミド、ショウキョウチンキ、オランダガラシ、カンタリスチンキ、サンショウエキス、ハッカ油、ワサビ大根エキス等が挙げられる。
抗男性ホルモン剤としては、例えばサイプロテロンアセテート、11α−ハイドロキシプロゲステロン、フルタマイド、3−デオキシアデノシン、酢酸クロルマジノン、エチニルエストラジオール、スピロノラクトン、エピテステロン、アロエ、サンショウ、オタネニンジン等が挙げられる。
カリウムチャンネルオープナーとしては、例えばミノキシジル、クロマカリウム、ジアゾキシド及びその誘導体、ピナシジル等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば紅茶エキス、茶エキス、チョウジエキス、エイジツエキス、黄杞エキス、ビタミンC及びその誘導体、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
本実施形態で用いられる頭皮用組成物には、さらに、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤を含有することができる。かかる界面活性剤としては、通常の化粧料等に用いられるものであれば特に制限されない。中でも、非イオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤の含有量は、頭皮用組成物中に、好ましくは10質量%以下、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは、0.02〜1質量%とすることができる。
本発明で用いられる頭皮用組成物は、通常の方法に従って製造することができ、例えば、前述の(A)成分、(B)成分及び水と、さらには、必要に応じて用いられる他の成分とを、常法に従って均一に混合することにより製造することができる。こうして得られる頭髪用組成物は、25℃における粘度が、好ましくは5〜8000mPa・sであり、皮脂によるベタつきを効果的に抑制する観点から、10〜6500mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは、20〜2500mPa・sとすることができる。なお、本明細書において、粘度とは、VISCOMETER(Model;TV−10)TOKI SANGYO.Co.,LTD装置で測定した25℃における粘度をいう。
本実施形態で用いられる頭皮用組成物は、含有する他の添加剤や剤形に応じて、化粧品、医薬品、医薬部外品等として使用することができる。ここで、剤形としては、頭皮に適用できる剤形であれば特に制限されず、例えばローション、トニック、クリーム、ジェル、フォーム、スプレー、エアゾールなどの剤形とすることができる。また、噴射剤を含有したエアゾール剤とする場合、噴射剤としては、例えば炭酸ガス、LPG、ジメチルエーテル、窒素ガス、イソペンタン、亜酸化窒素等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、使用感の点から、特に炭酸ガスが好ましい。
[温熱具]
本実施形態で用いられる温熱具は、頭皮用組成物を塗布した頭皮に対して、頭皮の表面温度が所望温度(例えば、38〜42℃)となるように、温熱を適用できるものであれば良い。水蒸気を伴わない乾熱であっても良いが、供給する温熱は、水蒸気を伴う湿熱であっても良い。中でも、水蒸気を伴う湿熱を供給することがより好ましく、化学エネルギーを利用した水蒸気発生部を備えた蒸気温熱具を用いることがさらに好ましい。以下、この温熱具を例に挙げて具体的に説明する。なお、本明細書において、頭皮の表面温度とは、接触型温度計、例えば熱電対によって測定された皮膚表面の温度をいう。
本実施形態で用いられる温熱具は、被酸化性金属の酸化反応により酸化熱を発生させてもよいし、酸とアルカリとの中和熱を発生させてもよいし、無機塩類(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ゼオライト等)の水和熱を発生させてもよい。これらのうち、乾式であり取り扱い性が良好であることや、発熱量が比較的大きいこと、携帯やコンパクト化が容易であることから、被酸化性金属の酸化反応により生じる酸化熱を発生させる発熱組成物を備えた温熱具を用いることが好ましい。この場合、温熱具は、被酸化性金属が酸素と接触することによる酸化反応で生じた熱を利用して、所定温度に加熱された水蒸気を発生することも可能である。
被酸化性金属の酸化反応により生じる酸化熱を発生させる発熱組成物には、被酸化性金属及び水に加え、反応促進剤及び電解質を含有させることができる。以下、各成分について説明する。
被酸化性金属としては、酸化作用を受けて発熱する金属であれば特に制限はない。例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム等の粉末や繊維が挙げられる。これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コスト等の点から鉄が好ましく用いられる。被酸化性金属が粉末である場合その粒径は0.1〜300μmであることが好ましく、特に粒径が0.1〜150μmのものを全被酸化性金属のうち50質量%以上の割合で含有するものを用いることが好ましい。被酸化性金属は、発熱組成物中に好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%、特に好ましくは45〜65質量%の割合で含まれていると、十分な発熱量が確保され好適である。
反応促進剤としては、被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能を有するものが用いられる。中でも、水分保持剤として作用するものを用いることが好ましい。例えば活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ等が挙げられる。これらの中でも保水能、酸素供給能、触媒能を有する点から活性炭が好ましい。
反応促進剤の粒径は、被酸化性金属と効果的に接触し得る点から0.1〜500μmであることが好ましい。特に粒径が0.1〜200μmのものを全反応促進剤のうちの50質量%以上含有するものを用いることが好ましい。反応促進剤は、発熱組成物中に好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは3〜10質量%の割合で含まれているとその反応促進作用を発揮するにあたり好適である。
水としては、発熱組成物中に好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%、更に好ましくは20〜35質量%の割合で含まれていると被酸化性金属の酸化反応が良好に促進されるのみならず、十分な水蒸気が発生するため好ましい。
電解質としては、水に溶解して電解液となるものが用いられる。特に、被酸化性金属の酸化反応を更に促進するものであることが好ましく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コスト等の点から塩化ナトリウムが特に好ましい。電解質は、発熱組成物中に好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜14質量%、更に好ましくは1〜12質量%の割合で含まれる。この割合で含まれていると、電解質の存在下においても、発熱温度を良好に維持できるため好ましい。
発熱組成物は、例えばシートの形態を呈する発熱シート、又は、粉体の形態を呈する発熱粉体等とすることができる。発熱シートは、被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物を含有する成形シートに、電解質及び水を注入して構成されていることが好ましい。
ここで、繊維状物は、被酸化性金属を定着させることができるものであればよく、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維等の天然繊維のほか、合成繊維、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等を特に制限無く用いることができる。また、これら繊維の回収再利用品を用いてもよい。
天然繊維としては、コットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ等が挙げられる。合成繊維には、レーヨン、ビスコースレーヨン、キュプラ等の半合成繊維や、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等の合成高分子繊維も含まれる。繊維状物としては、これらの中でも、被酸化性金属や反応促進剤との定着性、発熱シートの柔軟性、酸素透過性、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットン、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維が好ましく用いられる。特に木材パルプ等の天然繊維と、ポリエチレン繊維やポリエステル繊維などの合成繊維(特に熱可塑性樹脂の繊維)を組み合わせて用いると、被酸化性金属の配合量を高くしても成形シートの機械的強度の低下を防止し得るので好ましい。この場合、天然繊維と合成繊維との配合比率は、天然繊維100質量部に対して合成繊維が0.1〜20質量部、特に0.5〜10質量部であることが好ましい。
これら繊維状物は、発熱シートの強度確保及び繊維状物の水分散性の点から、その平均繊維長が好ましくは0.1〜50mm、更に好ましくは0.2〜20mmである。
繊維状物は、そのCSF(カナダ標準濾水試験方法 JISP8121)が、600ml以下であることが好ましく、450ml以下であることがより好ましい。これによって、繊維状物と被酸化性金属との定着性が良好になり、発熱シートの発熱性を良好にすることができる。また、後述する裂断長を後述する範囲内に調整することが容易となり、その結果、発熱シートからの被酸化性金属の脱落や、発熱シートの機械的強度を適度に維持することができる。繊維状物のCSFは低い程好ましい。通常のパルプ繊維のみを繊維状物として用い、繊維状物以外の成分比率が高い条件下で抄造を行う場合には、CSFを100ml以上とすることで濾水性が良好になり、また脱水が良好になって均一な厚みの発熱シートが得られやすい。さらに、成形不良、例えば乾燥時のブリスター破れが起こりにくくなる。発熱シートにおいては、繊維状物以外の成分比率が比較的高いことから、濾水性が良好で均一な厚みの発熱シートを得ることができる。また、CSFが低い程フィブリルが多くなるため、繊維状物と該繊維状物以外の成分との定着性が良好となり、高いシート強度を得ることができる。繊維状物のCSFの調整は、叩解処理などによって行うことができる。CSFの低い繊維と高い繊維とを混ぜ合わせ、CSFの調整を行っても良い。
発熱シートとしては、湿式抄造により得られたシート状物や、発熱粉体を紙等で挟持してなる積層体等が挙げられる。そのような発熱シートは、例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法や、ダイコーターを用いたエクストルージョン法を用いて製造することができる。
一方、発熱粉体は、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含んで構成されていることが好ましい。温熱具が貼付して使用されるものである場合には、発熱シート及び発熱粉体のうち、どのような姿勢においても水蒸気を均一に適用し得る点から、発熱シートを用いることが好ましい。また、発熱シートは、発熱粉体に比較して、発熱の温度分布を均一化することが容易であり、頭部を均一に加熱することで、頭皮の皮脂によるベタつきを効果的に抑制することができる。
発熱組成物には、発熱シートや発熱粉体等の形態や温熱具の用途等、必要に応じて、界面活性剤、薬剤、凝集剤、着色剤、紙力増強剤、増粘剤、pHコントロール剤、嵩高剤等を含むこともできる。
本発明で用いられる温熱具の一例として、図1、2で示す蒸気温熱具が挙げられる。図1には、この蒸気温熱具の斜視図が示されている。図2は、図1におけるI−I線断面図である。図1に示す温熱具1は、水蒸気発生部としての発熱体2と、該発熱体2を収容する通気袋3と、通気袋3を収容する袋体4を備えている。
発熱体2は、空気との接触により発熱可能なものであり、発熱体2は被酸化性金属、反応促進剤、繊維状物、電解質及び水を含む発熱シートである。発熱体2は、1枚でもよく、複数枚を積層させた多層状態で収容してもよい。発熱体2が空気と接触すると、通気袋3に含まれている被酸化性金属の酸化反応が起こり、熱が発生する。この熱によって発熱体2に含まれている水が加熱されて所定温度の水蒸気となり、袋体4を通じて外部へ放出される。水蒸気は、袋体4のうち通気性部位から外部へ放出される。
通気袋3は少なくともその一部が透湿性を有する通気性部位を有するものである。通気袋3は、第1の被覆シート3aと第2の被覆シート3bとから構成していてもよい。第1の被覆シート3aと第2の被覆シート3bとは、発熱体2の周縁から外方に延出する延出域をそれぞれ有し、各延出域において接合されていることが好ましい。この接合は周縁の連続した気密の接合であることが好ましい。第1の被覆シート3aと第2の被覆シート3bとの接合によって形成された通気袋3は、その内部に発熱体2を収容するための空間を有しており、この空間内に発熱体2が収容されている。発熱体2は、通気袋3に対して固定された状態であってもよいし、非固定状態であってもよい。
第1の被覆シート3aは、その一部又は全部が通気性を有している。第1の被覆シートの通気度(JIS P8117)は、100〜50,000秒/100mlが好ましく、1,000〜10,000秒/100mlがより好ましく、2,000〜5,000秒/100mlが特に好ましい。このような通気度を有する第1の被覆シート3aとしては、例えば透湿性は有するが透水性を有さない合成樹脂製の多孔性シートを用いることが好適である。具体的には、ポリエチレンに炭酸カルシウム等を含有させ延伸したフィルムを用いることができる。かかる多孔性シートを用いる場合には、発熱具の外面側にある多孔性シートの面にニードルパンチ不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布等の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートして、第1の被覆シート3aの風合いを高めてもよい。
第2の被覆シート3bは、通気性を有する通気性シートであってもよいし、通気性を有しない非通気性シートであってもよいが、第1の被覆シート3aよりも通気性の低いシートであることが好ましい。
第2の被覆シート3bを非通気性シートとする場合、一層又は多層の合成樹脂製のフィルムや、発熱具の外面側にあるフィルムの面にニードル不織布やエアスルー不織布等の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートした複合シートを用いることができる。例えば、ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムからなる2層フィルム、ポリエチレンフィルムと不織布とからなるラミネートフィルム、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムなどが用いられるが、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムが特に好ましい。
第2の被覆シート3bが通気性シートである場合には、第1の被覆シート3aと同様のものを用いることができる。この場合、第2の被覆シート3bの通気性は、第1の被覆シート3aの通気性よりも低いことを条件として、6,000〜150,000秒/100mlが好ましく、8,000〜100,000秒/100mlがより好ましい。第1の被覆シート3aの通気性を6000〜13,000秒/100mlとし、第2の被覆シート3bの通気性が8,000〜20,000秒/100mlとすると、特に好ましい。
袋体4は、少なくともその一部が透湿性を有する通気性部位を有するものである。袋体4は、第1の外装シート4aと第2の外装シート4bとから構成されていてもよい。
袋体4もまた通気袋3と同様に、第1の外装シート4aと第2の外装シート4bとは、発熱体2の周縁から外方に延出する延出域をそれぞれ有し、各延出域において接合されていることによって形成されていることが好ましい。袋体4の内部には、通気袋3で包囲された発熱体2を収容するための空間が形成され、この空間内に発熱体2が収容されている。通気袋3は、袋体4に対して固定された状態であってもよいし、非固定状態であってもよい。
第1、第2の外装シート4a、4bは、不織布を始めとする各種の繊維シートであれば限定されないが、例えば、ニードルパンチ不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布等を用いることができる。
発熱体2の製造方法に特に制限はないが、例えば、まず被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物を含む成形シートを形成し、この成形シートに電解質水溶液を添加することで発熱シートを得ることができる。成形シートの製造には例えば、特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法や、ダイコーターを用いたエクストルージョン法を用いることができる。特に、製造コストや生産性の点から湿式抄造法を用いることが好ましい。湿式抄造法を行う場合には、円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを用いることができる。抄造に用いられるスラリーは、被酸化性金属、反応促進剤、繊維状物及び水を含むものであり、その濃度は、0.05〜10質量%、特に0.1〜2質量% であることが好ましい。
抄造によって得られた成形シートは、抄造後における形態を保つ点や、機械的強度を維持する点から、含水率(質量含水率、以下同じ。)が70質量%以下、特に60質量%以下となるまで脱水させることが好ましい。抄造後の成形シートの脱水方法は、例えば吸引による脱水のほか、加圧空気を吹き付けて脱水する方法、加圧ロールや加圧板で加圧して脱水する方法等が挙げられる。
脱水後の成形シートは加熱乾燥によって乾燥されることが好ましい。加熱乾燥温度は、60〜300℃、特に80〜250℃であることが好ましい。乾燥後における成形シートの含水率は、20%以下、特に10%以下であることがより好ましい。成形シートの脱水及び/又は乾燥は、被酸化性金属の酸化抑制の観点から不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。尤も成形シートは酸化助剤となる電解質を含有していないので、必要に応じて通常の空気雰囲気下で成形を行うこともできる。このことは製造設備を簡略化し得る点から有利である。乾燥後の成形シートは被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物を含むものであり、被酸化性金属を好ましくは60〜85質量%、更に好ましくは70〜80質量%含み、反応促進剤を好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは8〜15質量%含み、繊維状物を5〜35質量%、更に好ましくは10〜20質量%含む。
このようにして得られた成形シート(つまり含水前の状態の発熱シート)はその1枚の厚みが0.1〜2mm、特に0.15〜1.5mmであることが、成形シートの機械的強度を維持しつつ成形シートが柔軟になり、温熱具1が頭皮へフィットしやすくなる点から好ましい。同様の理由により成形シートは、その坪量が10〜1000g/m2であることが好ましく、50〜600g/m2であることがより好ましく、100〜500g/m2であることが更に好ましい。
成形シートは、そのままの状態で複数枚を重ねて使用してもよく、或いは1枚のシートを折りたたみ、折り畳まれた複数枚の成形シートを重ねて使用してもよい。蒸気温熱シート1の面積に対する成形シートの重量比は、所望の温度持続が達成でき、フィット性が良好で、また製造上の問題が起こりにくい点から、好ましくは0.03〜0.17g/cm2であり、更に好ましくは0.06〜0.14g/cm2である。同様の理由により、被酸化性金属の単位面積あたりの質量の比は好ましくは0.02〜0.14g/cm2であり、更に好ましくは0.04〜0.12g/cm2である。
また成形シートはその裂断長(JIS P8113、以下裂断長というときにはこの方法により測定された値をいう)が200〜4000m、特に200〜3000mであることが、蒸気温熱シート1の使用時における成形シートからの被酸化性金属の脱落の防止や、成形シートの柔軟性の維持の点から好ましい。このような裂断長を有する成形シートは、先に述べたCSFを有する繊維状物を用いることで容易に得ることができる。
このようにして得られた成形シートに電解質水溶液を含有させて、発熱シートからなる発熱体2を得る。この工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。電解質水溶液を含有させるには例えば、スプレー塗工法、刷毛等で塗工する方法、電解質水溶液に浸漬する方法、グラビアコート法、リバースコート法、ドクターブレード法等が挙げられる。電解質水溶液における電解質の濃度及び電解質の水溶液の付与量は、得られる発熱シート2における電解質の量及び水の含有量が、先に述べた範囲となるように調整される。
得られた発熱体2を通気袋3内に収納し、これをさらに袋体4に収容して温熱具1となす。温熱具1は酸素バリア性の材料からなる包装袋内に密封されることが好ましい。温熱具1の使用に際しては、包装袋から該温熱具1を取り出すことで、該温熱具1に含まれる被酸化性金属が空気中の酸素と反応し、発熱が始まると共に水蒸気が発生する。酸素バリア性の材料としては、例えばその酸素透過係数(ASTM D3985)が10cm・mm/(m・d・MPa)以下、特に2cm・mm/(m・d・MPa)以下であるようなものが好ましい。具体的にはエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアクリロニトリル等が挙げられる。
温熱具1の水蒸気発生能に影響する他の大きな要因として、通気袋3の透湿度(JISZ0208、40℃、90%RH、以下透湿度というときにはこの方法で測定された値をいう)が挙げられる。発熱体2として前述の各成分を前述の配合量で含有した発熱組成物を用い、かつ通気袋3として以下に述べる透湿度を有するものを用いることで、温熱具1の水蒸気発生能を所望のものとすることができる。詳細には、通気袋3のうち、通気性を有する部分の透湿度を好ましくは300〜2000g/m・24hr、さらに好ましくは600〜1000g/m・24hrとすることが、所望とする蒸気放出量を達成し得る点、及び所望とする温度の持続時間を達成し得る点から好ましい。
水蒸気の適切な温度制御及び所望とする温度での水蒸気の発生持続時間を得る観点から、通気袋3はその通気度(JIS P8117、以下通気度というときにはこの方法で測定された値をいう)が8000〜15000s/100cmであることが好ましく、9000〜12000s/100cmであることが更に好ましい。同様の理由により、蒸気温熱シートの水蒸気放出面積は、0.001〜0.25m、特に0.0025〜0.04mであることが好ましい。
本実施形態で用いられる温熱具は、これを頭皮に当接させた状態下で、皮膚表面温度が38℃以上に達してから、10分〜5時間の使用が好ましく、20分〜2時間の使用がより好ましい。また、皮膚表面温度を38〜49℃であることが好ましく、38〜43℃であることがより好ましい。また、水蒸気を発生する場合は、積算放出量が0.5〜12mg/3hr・cmが好ましく、4〜9mg/3hr・cmとなる水蒸気の発生能を有することがより好ましい。
なお、本明細書において、水蒸気の積算放出量とは、蒸気温熱具の水蒸気発生部に化学反応を生じさせてから3時間経過するまでに放出された水蒸気の総量をいう。水蒸気の積算放出量は次の方法で測定される。温度20℃、湿度40%RHとした容積54000cm3(縦30cm×横50cm×奥行き36cm)の密閉系内に、その内部に水蒸気が蒸散可能なように蒸気温熱具を静置して化学反応を生じさせる。そして、この密閉系内の空気の湿度を湿度計で測定し、化学反応開始後に発生する水蒸気量を求め、3時間経過するまでの積算値を積算放出量とする。
温熱具が、前記の水蒸気発生能を有する場合、該温熱具は化学エネルギーによる発熱に起因する最高到達温度が38℃以上であることが好ましい。また、低温やけど等を防止する観点から最高到達温度が60℃以下であることが好ましい。最高到達温度は、JIS S4100に準拠した装置を作り、得られた各温熱具の発熱面(発熱体を覆う通気袋)の外側に温度センサーを設置し測定され、最高点に到達した温度の値を言う。
温熱具の水蒸気発生能のコントロールは、化学エネルギーの種類に応じて適宜定められる。例えば、水蒸気発生部で反応させる反応物の量、反応物が粒体である場合にはその粒径、反応物の供給量等を適宜変えることにより反応速度を調整し、これらにより水蒸気発生能をコントロールする。また、水蒸気発生部と体表との間に透湿性シートを介在させて、水蒸気発生部から放出された水蒸気の透過量を調整することにより水蒸気発生能をコントロールしてもよい。
[使用方法]
本実施形態の美容キットは、例えば以下のように使用することができる。上記頭皮用組成物を頭皮に塗布した後、上記温熱具を頭皮に10分〜30分適用する。好ましくは、この操作を1日1回毎日繰り返し、5日以上同様な使用をすることがより好ましく、10日以上使用を繰り返すとさらに好ましい。また、図3で示すように、温熱具として図1、2で示す蒸気温熱シート1を頭皮に適用し、保持具5(サポータ)で固定してもよい。保持具4は頭部に適用できる一般的なものを使用すればよい。
このように、本実施形態の美容キットによれば、保湿剤として多価アルコールを温熱具による温熱とともに頭皮に適用できるため、多価アルコールを頭皮に浸透させて、皮脂による頭皮や毛髪のべたつきを抑制することができる。この理由は、皮膚刺激性が少ない多価アルコールが皮脂線に供給され、温熱具により頭皮を加温する作用が加わることで、角層、毛穴、皮脂腺の働きを正常に保ち、過剰に分泌されていた皮脂が正常化されるため、皮脂による頭皮・毛髪のべたつきを抑制するものと推察される。また、頭皮用組成物が水溶性ポリマーを含むことで、皮脂腺に多価アルコールがとどまりやすくなり、よりいっそうの皮脂の抑制効果を高めることができる。
(第2の実施形態)
本発明に係る頭皮用外用剤は、頭皮用組成物と、上記頭皮用組成が塗布された頭皮を温熱することをユーザーに指示する取扱説明書を含むものである。頭皮用組成物は、第1の実施形態で説明したものと同じものを用いることができる。本実施形態では、第1の実施形態と異なる点のみを説明し、同様な説明は省略する。
取扱説明書は、上記頭皮用組成物の包装体に表示されていてもよいし、例えば、紙や布等に表示させて、上記頭皮用組成物とともに、上記頭皮用組成物の包装体に梱包されていてもよい。取扱説明書には、頭皮の表面温度が38〜42℃になるように温熱が供給されることが指示されていると好ましく、この温熱が10分〜5時間頭皮に供給されることが指示されているとより好ましい。温熱の供給は、温風又は蒸気の供給が指示されていてもよいし、発熱体を直接あるいは間接的に頭皮に接触させることにより、熱を供給することが指示されていてもよい。好ましくは、第1の実施形態で説明した温熱具により温熱を供給することが指示されているとよい。
また、取扱説明書には、上記の操作を1日1回毎日繰り返すことが指示されることが好ましく、より好ましくは5日以上、さらに好ましくは10日以上繰り返すことが指示されているとよい。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、頭皮のべたつきを低減して、頭皮を清潔かつ健やかに保つことができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
実施例及び比較例で用いた頭皮用組成物の組成、及び、評価結果を表1に示す。表中、%は、質量%である。
実施例1−5、比較例3
表1で示す頭皮用組成物を調製し、これを3g頭皮に塗布した後、温熱具(商品名:めぐリズム(登録商標) 蒸気の温熱シート、花王株式会社製)を塗布部位の上から適用し、図3で示すように、保持具5で温熱具1を固定して、30分放置した後、温熱具1を頭皮から除去した。この操作を1日1回10日間繰り返した。
比較例1
実施例1において、蒸気温熱シートを適用しなかった以外は同様にした。
比較例2
実施例1において、頭皮用組成物を適用しなかった以外は同様にした。
なお、実施例及び比較例で用いた水溶性ポリマー及びアミノメチルプロパノールの製品名及び製造元はそれぞれ下記の通りである。
・アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体
(製品名)ペムレンTR−2、(製造元)グッドリッチ株式会社
・カルボキシビニルポリマー
(製品名)カーボポール981、(製造元)グッドリッチ株式会社
・アミノメチルプロパノール(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)
(製品名)AMP−100、(製造元)アンガス・ケミカル・カンパニー
[評価]
1.粘度の測定
サンプルを25℃にし、VISCOMETER(Model;TV−10)TOKI SANGYO.Co.,LTDにて粘度を測定した。
2.皮脂量の測定
油分計 セブメーター Sebumeter(登録商標) SM815(CK社製)を用いて測定した。
3.頭皮の状態
実験開始前、及び終了時(10日後)の頭皮のべたつき、頭皮の肌荒れを専門評価者2名が目視により以下の5段階で評価し、平均値をとる。
評価結果は、実験終了時(10日後)の評価の値と実験開始前の評価の値との差分とした。
3−1 頭皮のべたつきのなさ
1.べたつきを感じない
2.ほとんどべたつきを感じない
3.あまりべたつきを感じない
4.ややべたつきを感じる
5.べたつきを感じる
3−2 頭皮の肌荒れ
1.紅斑がない
2.ほとんど紅斑がない
3.あまり紅斑がない
4.やや紅斑がある
5.紅斑がある
Figure 2013132483
(実施例6)
頭皮用組成物として、以下に示す育毛ローションを、常法により調製し、実施例1と同様な方法で、頭皮に適用した後、温熱を供給した。
トランス−3,4'−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン 0.2質量%
黄杞エキス(丸善製薬) 0.2質量%
ユーカリ抽出液(丸善製薬) 0.5質量%
ニコチン酸アミド(DSMビュートリションジャパン) 0.1質量%
グリチルリチン酸ジカリウム(日本製紙ケミカル) 0.1質量%
ボタンピエキス(一丸ファルコス) 0.2質量%
ピロクトンオラミン(クラリアントジャパン) 0.1質量%
酢酸dl−α−トコフェロール(DSMビュートリションジャパン) 0.05質量%
トリメチルグリシン 0.03質量%
ロースウォーター(一丸ファルコス) 0.2質量%
l−メントール(高砂香料工業) 0.1質量%
ポリオキシエチレン(40EO)硬化ヒマシ油(花王) 0.4質量%
グリセリン 0.2質量%
PEMULEN TR−2 0.1質量%
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(ダウケミカル) 0.8質量%
エタノール 35.0質量%
精製水 残量
実施例6の育毛ローションを頭皮に適用した後、温熱を供給することで、頭皮への残留性を向上させ、皮脂によるベタつきを抑制することができる。
1 温熱具
2 発熱体
3 通気袋
3a 第1の被覆シート
3b 第2の被覆シート
4 袋体
4a 第1の外装シート
4b 第2の外装シート
5 保持具

Claims (9)

  1. (A)多価アルコールと(B)水溶性ポリマーとを含有する頭皮用組成物と、
    前記頭皮用組成物が塗布された前記頭皮に適用するための温熱具とを有する頭皮用美容キット。
  2. 前記頭皮用組成物の25℃における粘度が5〜8000mPa・sである、請求項1に記載の頭皮用美容キット。
  3. 前記(A)成分が、2価アルコール及び/又は3価アルコールである、請求項1又は2に記載の頭皮用美容キット。
  4. 前記頭皮用組成物中、前記(A)成分を0.1〜10質量%含有する、請求項1乃至3いずれか1項に記載の頭皮用美容キット。
  5. 前記(B)成分が、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性されたカルボキシビニルポリマーのいずれかから選択される、請求項1乃至4いずれか1項に記載の頭皮用美容キット。
  6. 前記頭皮用組成物中、前記(B)成分を0.001〜3質量%含有する、請求項1乃至5いずれか1項に記載の頭皮用美容キット。
  7. 前記成分(B)に対する前記成分(A)の質量比(A)/(B)が、1〜1000である請求項1乃至6いずれか1項に記載の頭皮用美容キット。
  8. 前記温熱具は、前記頭皮に所定温度の水蒸気を供給するものである、請求項1乃至7いずれか1項に記載の頭皮用美容キット。
  9. (A)多価アルコールと(B)水溶性ポリマーとを含有する頭皮用組成物と、
    前記頭皮用組成物を頭皮に塗布し、前記頭皮用組成物が塗布された前記頭皮を温熱することをユーザーに説明する取扱説明書とを備える頭皮外用剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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