JP2013129299A - 電気自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行用の主たる駆動源に加えて、一時的に車両の駆動力を増すためのサブモータのインバータの温度上昇を抑制するのに適した技術を提供する。
【解決手段】電気自動車は、走行用の駆動力を出力する主駆動源と、主駆動源が出力する駆動力に加えて一時的に車両の駆動力を増すためのサブモータと、サブモータに交流電力を供給するインバータを備える。そして、インバータのコントローラは、車速が車速閾値よりも低く、かつ、アクセル開度が開度閾値よりも大きい場合に、インバータに所定の出力を出させる。インバータの発熱を抑制するために、コントローラは、インバータの温度が温度閾値を超え、かつ、インバータの温度低下勾配がゼロから低下勾配閾値の範囲内である場合に、インバータの出力上限値を、それまでの第1上限値よりも低い第2上限値に変更する。
【選択図】図2
【解決手段】電気自動車は、走行用の駆動力を出力する主駆動源と、主駆動源が出力する駆動力に加えて一時的に車両の駆動力を増すためのサブモータと、サブモータに交流電力を供給するインバータを備える。そして、インバータのコントローラは、車速が車速閾値よりも低く、かつ、アクセル開度が開度閾値よりも大きい場合に、インバータに所定の出力を出させる。インバータの発熱を抑制するために、コントローラは、インバータの温度が温度閾値を超え、かつ、インバータの温度低下勾配がゼロから低下勾配閾値の範囲内である場合に、インバータの出力上限値を、それまでの第1上限値よりも低い第2上限値に変更する。
【選択図】図2
Description
本発明は、走行用のモータを備える電気自動車に関する。本明細書における電気自動車には、モータとともにエンジンを備えるハイブリッド車も含む。
電気自動車は、走行用のモータ、モータの電力を蓄えるバッテリ、及び、バッテリの直流電力を交流に変換してモータに出力するインバータを備える。走行用には大きな出力が要求されるため、インバータは大電流を扱うものとなり、発熱対策が重要となる。例えば、特許文献1には、走行路の前方に所定傾斜以上の登坂路があることが検知され、さらにインバータの温度が所定の温度閾値を超えている場合に、登坂路走行に伴いインバータのさらなる温度上昇が見込まれるとしてインバータを省電力モードで駆動する電気自動車が開示されている。
特許文献1の技術は、走行路前方の登坂に備えて予めインバータを低発熱の省電力モードで駆動するという技術である。インバータの温度が上昇し易い状況は他にもある。本明細書は、インバータの温度が上昇し易い状況として、外気の状態を要因とするインバータの温度上昇を抑制するのに適した技術を提供する。本明細書は特に、走行用の主たる駆動源に加えて、一時的に車両の駆動力を増すためのサブモータのインバータの温度上昇を抑制するのに適した技術を提供する。
本明細書が対象とする電気自動車は、走行用の駆動力を出力する主駆動源と、主駆動源が出力する駆動力に加えて一時的に車両の駆動力を増すためのサブモータと、サブモータに交流電力を供給するインバータを備える。なお、主駆動源は、エンジンとメインモータの少なくとも一方を含むものである。そして、インバータのコントローラは、車速が予め定められた車速閾値よりも低く、かつ、アクセル開度が予め定められた開度閾値よりも大きい場合に、所定の電力を出力するようにインバータを制御する。上記の条件は、特に、車両の発進時と、急勾配を登る場合(あるいは段差を乗り越える場合)に、サブモータによって駆動力が一時的に増すことを意味する。なお、車速が予め定められた車速閾値よりも低く、かつ、アクセル開度が予め定められた開度閾値よりも大きい場合に、インバータ(即ちサブモータ)に所定の出力を出させることを、以下、駆動力アシストと表現することがある。
上記のとおり、サブモータは、発進時あるいは急勾配登坂時などに一時的に駆動力を付加するために備えられている。それゆえ、サブモータのインバータは、比較的に長いインターバルで間欠的に駆動される。そうすると、インバータの温度は一時的に上昇した後に低下するというサイクルを繰り返す。そこで、そのようなインバータの発熱を抑制するために、本明細書が開示する電気自動車のコントローラは、インバータ温度が予め定められた温度閾値を超え、かつ、インバータの温度低下勾配がゼロから予め定められた低下勾配閾値の範囲内にある場合に、インバータの出力上限値(即ちサブモータの出力上限値)を、それまでの第1上限値よりも低い第2上限値に変更する。なお、インバータの温度とは、より厳密には、インバータ内部の発熱量の大きいパワー素子の温度を意味する。
サブモータのインバータは、比較的に長いインターバルで間欠的に駆動されるため、インバータの温度は一時的に上昇した後に低下するというサイクルを繰り返す。そのようなサイクルを繰り返す場合は、インバータの温度は外気温に左右され易い。即ち、夏場のように外気温が高ければ、インバータの平均温度が高くなり、かつ、インバータが停止している間の温度の低下勾配が小さくなる(温度はゆっくりと低下する)。そのような状況の下では、次の発進時にインバータの温度が許容上限値を超える虞がある。一方、一時的に駆動力を付加するサブモータであれば、その出力上限値を低下させても、運転のし易さ(ドライバビリティ)に与える影響は小さい。本明細書が開示する技術は、発進時等に一時的に駆動力を増加させるためのサブモータのインバータの温度上昇を抑制するのに適している。特に、本明細書が開示する技術は、インバータの温度が外気温に左右されやすい空冷式のインバータに適している。
本明細書が開示する技術の好適な使用形態は、主駆動源が車両の前輪と後輪の一方に駆動力を与え、サブモータは前輪と後輪の他方に駆動力を与える形態である。ことに発進時や登坂時の駆動力アシストは、後輪に加えるのが効果的である。即ち、主駆動源は前輪に駆動力を与え、サブモータは後輪に駆動力を与える形態が好適である。そのような形態は、通常は二輪駆動であり、発進時や登坂時の駆動力アシストが働くと四輪駆動となることを意味する。四輪駆動による駆動力アシストは、スリップし易い環境、典型的には、雪や氷結が多い寒冷地方で特に有効である。このことは、上記の条件が成立する場合、即ち、インバータ温度が予め定められた温度閾値を超え、かつ、インバータの温度低下勾配がゼロから予め定められた低下勾配閾値の範囲内にある場合は典型的には夏場であり、雪や氷結などの可能性が極めて小さい状況であるといえる。すなわち、上記条件が成立する場合には、四輪駆動の駆動力アシストを必要とする状況が起こり難い。それゆえ、上記の条件が成立した場合にインバータの出力上限値を下げることは、ドライバビリティにそれほど影響を与えない。本明細書が開示する技術は、寒冷地仕様として駆動力アシスト機能を付す車両への適用が特に有用である。
また、駆動力アシストは、細かく駆動力を制御するよりも、一時的に一定の駆動力を追加する方が、運転者にとってその効果が体感し易い。そこで、上記のコントローラは、車速が車速閾値よりも低く、かつ、アクセル開度が開度閾値よりも大きい場合に、上記した上限値(第1上限値あるいは第2上限値)の一定出力を出すようにインバータを制御することが好ましい。そのような態様は、サブモータによる駆動力アシストの効果がドライバに伝わり易く、また、コントローラのプログラムも単純になり、好都合である。
なお、上記の電気自動車は、主駆動源がエンジンだけであれば、主としてエンジンで走行し駆動力が不足する状況において一時的にモータで駆動力を補うハイブリッド車となる。主駆動源がメインモータだけであれば、上記の電気自動車は、メインモータとサブモータを有する、いわゆるピュア電気自動車となる。上記の電気自動車は、エンジンとメインモータの双方を主駆動源に含むハイブリッド車であってもよい。
また、本明細書が開示する技術は、サブモータの利用を、上記した発進時と急勾配登坂時に限るものではないことに留意されたい。例えば、登坂勾配が所定の値よりも大きい場合、或いは、路面凍結などによって車輪がスリップしている場合の補助駆動力としてサブモータを利用してもよい。また、駆動力を出していない場合にサブモータを使って発電することも好適である。
図1に実施例の電気自動車100の駆動系のブロック図を示す。電気自動車100は、車輪を駆動するため1個のエンジン2と2個のモータ(メインモータ3及びサブモータ4)を有するハイブリッド車である。電気自動車100は、通常走行のための駆動源(主駆動源)としてエンジン2とメインモータ3を使い、発進時など、特に駆動力を増したい場合にサブモータ4を使う。メインモータ3は、例えば50[kW]程度の出力を出すことが可能であり、サブモータ4は、例えば5[kW]程度の出力である。サブモータ4は、あくまでも補助的・一時的に車両の駆動力を増すことを目的として備えられており、概していえば、サブモータ4の出力はメインモータ3の1/5〜1/10程度である。
エンジン2とメインモータ3のそれぞれの出力(駆動力)は動力分配機構21によって合成され、前輪へ伝達される。サブモータ4の駆動力は、ディファレンシャル22を介して後輪へ伝達される。即ち、サブモータ4を駆動すると、電気自動車100は四輪駆動となる。四輪駆動は、発進時にスリップを起こす可能性が小さく、また、登坂性能にも優れる。
なお、電気自動車100は、ほぼ一定の車速で走行している場合、動力分配機構21がエンジン2の駆動力の一部をメインモータ3に振り分け、メインモータ3で発電を行い、バッテリ23を充電する。また、運転者がブレーキペダルを踏んだとき、車両の減速エネルギを利用してメインモータ3とサブモータ4を回転させ、それによって発電する。
電気自動車100の電気系統を説明する。バッテリ23の出力は第1インバータ16と第2インバータ6に供給される。第1インバータ16はバッテリ23の直流電力を所定の電圧/周波数を有する交流電力に変換し、メインモータ3へ出力する。第1インバータ16を駆動するための駆動信号(PWM信号)は、コントローラ5が生成し与える。コントローラ5は、車速やアクセル開度、第1インバータの温度、あるいは、バッテリ23の残量(SOC:State Of Charge)などに基づいて、エンジン2が出すべき出力とメインモータ3が出すべき出力を決定する。コントローラ5は、決定された前述の出力をメインモータ3が出せるように、第1インバータ16へPWM指令を送る。なお、車速は車速センサ12によって計測し、アクセル開度(運転者が踏むアクセルペダルの踏み込み量)は、アクセルペダルに設けられたペダルセンサ13が計測する。第1インバータ16は液冷式であり、冷媒が循環する冷却器18を備える。冷却器18には冷媒の温度を計測する冷媒温度センサ17が備えられており、コントローラ5は、冷媒温度センサ17が計測する冷媒の温度を、第1インバータの温度の推定値として用いる。なお、「インバータの温度」とは、より正確には、インバータが備える発熱量の大きなスイッチング素子の温度のことである。
第2インバータ6はバッテリ23の直流電力を所定の電圧/周波数を有する交流電力に変換し、サブモータ4へ出力する。第2インバータ6を駆動するための駆動信号(PWM信号)も、コントローラ5が生成し与える。コントローラ5は、車速とアクセル開度に基づいて第2インバータ6が出すべき電力(即ち、サブモータ4の出力)を決定する。
第2インバータ6は空冷式であり、第2インバータ6に冷却用の空気を送るファン8を備えている。前述したように、サブモータ4は、一時的に駆動力を増加させる駆動力アシスト用であり、常時駆動しているわけではなく、そのため第2インバータ6も常時駆動しているのではないため、コスト効率を考慮すると第2インバータ6は空冷が適切である。第2インバータ6には、その温度を計測するための温度センサ7が備えられている。コントローラ5は、温度センサ7が計測する第2インバータ6の温度に応じて、第2インバータ6の出力(即ちサブモータ4の出力)を変更する。なお、「第2インバータの温度」は、正確には、第2インバータ6が備える発熱量の大きなスイッチング素子の温度のことである。
コントローラ5が実行する駆動力アシスト制御のフローチャートを図2に示す。図2のフローチャートにおいて、ステップS2〜S4は、第2インバータ6の出力(即ちサブモータ4の出力)の上限値を定める処理であり、ステップS5とS6が、第2インバータ6を駆動する処理である。
図2のフローチャートの処理は、車両駆動系のメインスイッチ(一般にイグニッションスイッチと呼ばれる)がONの間、常に繰り返される。コントローラ5は、まず、第2インバータ6の温度TIが、予め定められた温度閾値TIthを超えており、かつ、第2インバータ6の温度の低下勾配dTIが、ゼロから、予め定められた低下勾配閾値dTIthの範囲内であるか否かをチェックする。ここで、「温度の低下勾配」は、温度の時間変化に相当し、温度が低下する方向を正値とし、また、低下が急激であるほど大きな値となる。従って、第2インバータ6の温度の低下勾配がゼロから低下勾配閾値dTIthの間であるということは、第2インバータ6の温度がゆっくりと低下していることを意味する。第2インバータ6の温度は温度センサ7によって計測される。また、第2インバータ6の温度の低下勾配は、温度センサ7が計測した温度の履歴を使って時間差分で得られる。
第2インバータ6の温度TIが温度閾値TIthを超えており、かつ、第2インバータ6の温度の低下勾配dTIが、ゼロから低下勾配閾値dTIthの範囲内である場合(S2:YES)、コントローラ5は、第2インバータ6の出力上限値Woutに第2上限値W2を設定し、そうでない場合(S2:NO)、コントローラ5は、第2インバータ6の出力上限値Woutに第2上限値W2よりも大きい第1上限値W1を設定する。別言すれば、コントローラ5は、第2インバータ6の温度TIが温度閾値TIthを超え、かつ、第2インバータ6の温度低下勾配dTIがゼロから低下勾配閾値dTIthの範囲内である場合に、第2インバータ6の出力上限値を、それまでの第1上限値W1よりも低い第2上限値W2に変更する
コントローラ5は、車速Spが予め定められた車速閾値Spthよりも低く、かつ、アクセル開度Axlが予め定められた開度閾値Axlthよりも大きい場合(S5:YES)、第2インバータ6が、ステップS3又はS4で設定された上限値Woutを出力するように第2インバータ6にPWM信号を与える。そうすると、サブモータ4が電力Woutに相当する駆動力を出力する。図2のフローチャートの処理は制御周期毎に繰り返し実行され、コントローラ5は、ステップS5の上限が成立しなくなったら、第2インバータ6を停止する。なお、上記の処理から明らかな通り、ステップS5が成立した場合、サブモータ4は、出力Woutを一定で出力する。
ステップS5における車速閾値Spthは、いわゆる微速に相当する速度であり、例えば5[km/h]に設定される。また、開度閾値Axlthは、例えば50%に設定される。この値は、一般に、「強く踏み込む」といわれる大きさである。ステップS5の条件が成立するのは、典型的には、発進時にアクセルペダルが強く踏み込まれたときと、登坂時あるいは段差乗り越え時にアクセルペダルが強く踏み込まれたときである。電気自動車100は、そのような場合に、第2インバータ6(即ちサブモータ4)に一定の出力(上限値出力Wout)を出させ、駆動力を一時的に増加する。
実施例の電気自動車100の利点を説明する。電気自動車100は、第2インバータ6の温度と温度低下勾配が所定の条件(ステップS2の条件)を満たしたら、第2インバータ6の出力上限値を低下させる。また、コントローラ5は、ステップS5の条件が成立したときに第2インバータ6を駆動し、ステップS5の条件が不成立となったときに第2インバータ6を停止する。ステップS5の条件が成立するのは前述したように発進時と登坂時(段差乗り越え時)である。そのような状況は、長く続くものではなく、特に発進は、信号で停止した後に起こり得る事象であるので、ステップS5の条件は、比較的に長いインターバルをおいて成立する。第2インバータ6が駆動している間は、第2インバータ6の温度は上昇するが、インターバルに入ると第2インバータ6の温度は徐々に低下する。コントローラ5は、第2インバータ6の温度が高く、温度低下勾配が小さい場合に、第2インバータ6の出力(即ちサブモータ4の出力)を第1上限値W1からそれよりも低い第2上限値に下げる。そのような処理により、第2インバータ6とサブモータ4の温度上昇を抑制する。なお、サブモータ4は、駆動力アシストとして特定条件下でのみ一時的に駆動力を出力するものであるから、その出力を制限しても、運転者に与える影響は小さい。
第2インバータ6は空冷式であり、外気の温度の影響を受け易いから、ステップS2の上限が成立するのは、典型的には夏場である。実施例の電気自動車100は、夏場における空冷式インバータは温度が上昇し易いことを、ステップS2の条件を設定することにより、判定している。実施例の電気自動車100は、主駆動源(エンジン2とメインモータ3)は、前輪を駆動し、サブモータ4は後輪を駆動する。即ち、電磁自動車100は、通常は前輪駆動(二輪駆動)であり、サブモータ4が駆動力を出力すると四輪駆動となる。雪道や氷結道路では、スリップを抑制するのに四輪駆動が非常に優れていることはよく知られている。実施例のようなサブモータを備える電気自動車100は、雪や氷結の多い寒冷地方に向いている。それゆえ、第2インバータ6は空冷式でもよいのである。ただし、寒冷地仕様の電気自動車であっても寒冷地以外で使われることが想定される。あるいは、寒冷地であっても稀に暑い日もある。寒冷地仕様として第2インバータ6とサブモータ4を備えた電気自動車100が高い外気温の下で使用されると、第2インバータ6とサブモータ4の使用環境としては厳しい。その上、外気温が高い状況では、路面に雪が残っていたり氷結が発生している可能性は小さいから、大きな駆動力アシストの必要性も小さい。しかしながら、外気温が高い場合に第2インバータ6とサブモータ4を全く使用しないのはもったいない。本実施例の第2インバータ6の出力制限は、寒冷地仕様の電気自動車が気温の高い環境で使われる際に、特にその効果を発揮する。
電気自動車100は、サブモータ4を発進時だけでなく、その他の状況で使ってもよい。典型的には、車輪がスリップを起こしている場合や、急勾配の登坂路を走行している場合である。複数の車輪の回転数が異なる場合にスリップの発生を検知できる。それゆえ、コントローラ5は、複数の車輪の回転数が異なる場合に、第2インバータ6に所定の出力を出せるようにプログラムされていることも好適である。登坂傾斜は、一つには、傾斜センサで計測することができる。あるいは、カーナビゲーションによる現在位置と知図データの照合結果から得ることもできる。コントローラ5は、傾斜センサあるいはカーナビゲーションからのデータに基づいて登坂傾斜を取得し、登坂傾斜が所定の大きさを超えている場合に、第2インバータ6に所定の出力を出せるようにプログラムされていることも好適である。さらには、登坂傾斜は、主駆動源の出力と車速の関係から推定することもできる。主駆動源の出力が同じであっても、登坂傾斜が大きいほど車速が低下する。その関係から、コントローラ5は、車速が、主駆動源の出力に対して対応付けられている車速閾値よりも低い場合に第2インバータ6に所定の出力を出させるようにプログラムされていてもよい。コントローラ5は、上記したスリップ制御あるいは登坂制御とは別に、先に説明した発進時制御を実行することが好ましい。
実施例の技術に関する留意点を述べる。実施例の電気自動車100では、コントローラ5は、第2インバータ6(及びサブモータ4)に上限値Woutを出力させるか、あるいは停止させるか、動作を2者択一するようにプログラムされている。第2インバータ6(サブモータ4)の動作は2者択一に限られるものではない。例えば、図2のステップS5において、アクセル開度Axlが、(Axlth/2)< Axl < Axlthの場合に、第2インバータ6の出力を(Wout/2)とすることも好適である。即ち、コントローラ5は、アクセル開度が比較的に小さい範囲では、第2インバータ6に上限値の半分の出力を出させ、アクセル開度が比較的に大きい範囲では第2インバータ6に上限値の出力を出させるようにプログラムされていてもよい。
実施例の電気自動車100は、図2のステップS5の条件が成立した場合に第2インバータ6を駆動し、ステップS5の条件が不成立となったら第2インバータ6を停止した。電気自動車100は、ステップS5の条件以外に、第2インバータ6(即ちサブモータ4)を駆動する条件を有していてもよい。例えば、コントローラ5は、ステップS5の条件とは独立に、車輪がスリップした場合に第2インバータ6(サブモータ4)を駆動するようにプログラムされていてもよい。
実施例の電気自動車100では、サブモータ4は駆動力を後輪に与えた。本明細書が開示する技術は、前輪に駆動力を与えるサブモータを有する電気自動車に適用することも可能である。また、主駆動源とサブモータが同じ車輪を駆動するものであってもよいし、主駆動源とサブモータの一方が前輪を駆動し他方が後輪を駆動する態様であってもよい。
本明細書において、いくつかの閾値を設定した。そして、閾値と計測値とを比較する処理、例えば、「アクセル開度が予め定められた開度閾値よりも大きい場合」などを定義した。そのような定義において、計測値(例えばアクセル開度)が閾値(例えば開度閾値)と等しい場合をどのようにするかは重要ではなく、閾値を設けたこと自体が重要であることに留意されたい。例えば、前述の「アクセル開度が予め定められた開度閾値よりも大きい場合」との定義は、「アクセル開度が予め定められた開度閾値以上の場合」と置き換えてもよい。他の閾値についても同様である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:エンジン
3:メインモータ
4:サブモータ
5:コントローラ
6:第2インバータ
7:温度センサ
8:冷却用ファン
12:車速センサ
13:ペダルセンサ
16:第1インバータ
17:冷媒温度センサ
18:冷却器
21:動力分配機構
22:ディファレンシャル
23:バッテリ
100:電気自動車
3:メインモータ
4:サブモータ
5:コントローラ
6:第2インバータ
7:温度センサ
8:冷却用ファン
12:車速センサ
13:ペダルセンサ
16:第1インバータ
17:冷媒温度センサ
18:冷却器
21:動力分配機構
22:ディファレンシャル
23:バッテリ
100:電気自動車
Claims (5)
- エンジンとメインモータの少なくとも一方を含み、走行用の駆動力を出力する主駆動源と、
主駆動源が出力する駆動力に加えて一時的に車両の駆動力を増すためのサブモータと、
サブモータに交流電力を供給するインバータと、
車速が予め定められた車速閾値よりも低く、かつ、アクセル開度が予め定められた開度閾値よりも大きい場合に、所定の電力を出力するようにインバータを制御し、車速が前記車速閾値を超えるか或いはアクセル開度が前記開度閾値を下回った場合にインバータの出力を停止させるコントローラと、
を備えており、
コントローラは、インバータの温度が予め定められた温度閾値を超え、かつ、インバータの温度低下勾配がゼロから予め定められた低下勾配閾値の範囲内である場合に、インバータの出力上限値を、それまでの第1上限値よりも低い第2上限値に変更する、
ことを特徴とする電気自動車。 - 主駆動源は車両の前輪と後輪の一方に駆動力を与え、サブモータは前輪と後輪の他方に駆動力を与える、ことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車。
- 前記コントローラは、車速が前記車速閾値よりも低く、かつ、アクセル開度が前記開度閾値よりも大きい場合に、前記出力上限値の一定出力を出すようにインバータを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気自動車。
- 前記コントローラは、路面の登坂勾配に応じて、インバータを駆動することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気自動車。
- 前記コントローラは、車輪がスリップした場合に、インバータを駆動することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気自動車。
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JP2017135907A (ja) * | 2016-01-29 | 2017-08-03 | スズキ株式会社 | 車両用制御装置 |
US10793009B2 (en) | 2018-01-31 | 2020-10-06 | Subaru Corporation | Vehicle driving force control apparatus |
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- 2011-12-21 JP JP2011279815A patent/JP2013129299A/ja active Pending
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