JP6222891B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Description
また、このハイブリッド車両のバッテリ充電量(これを、以下、バッテリSOCという)の制御装置として、充電予定地点への到達時に、バッテリSOCを予め設定されたSOC下限値まで使用するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、現在地点から充電予定地点までの距離が、SOC中央値からSOC下限値までのバッテリSOCにより走行可能な距離以下になったら、EV走行モードとし、充電予定地点に到達時にバッテリSOCをSOC下限値まで低下させる。このように、バッテリSOCがSOC下限値となるまで消費することにより、エンジン駆動頻度を抑えて燃費の向上および環境保護を図ることができる。
すなわち、SOC下限値に向けてEV走行モードで走行しているときに、渋滞や事故などの不確定要素によりバッテリSOCを消費した場合、充電予定地点到達前にSOC下限値まで使い切るおそれがある。
一方、SOC下限値に向けてEV走行モードで走行しているときに、走行経路中に、下り坂などが存在し、予想よりもバッテリSOCの使用量が減る場合もあり、この場合、バッテリSOCをSOC下限値まで使い切れない可能性がある。
エンジンの駆動による発電機の発電および走行用電動機の駆動に基づいてバッテリ充電量を制御し、かつ、予め設定された充電予定地点に到達した時に、バッテリ充電量が予め設定された充電量下限値に達するよう走行用電動機およびエンジンの駆動を制御する充電量下限値制御を実行する充電制御部と、
この充電制御部に含まれ、前記充電量下限値制御の実行時に、前記発電機による最大発電量である発電許容量を、前記充電予定地点に近付くほど高く設定する発電許容量設定部と、を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置とした。
さらに、発電許容量設定部により、発電許容量を可変とし、充電予定地点までの距離が遠いときには、発電許容量を低く設定して走行性能確保を優先でき、充電予定地点までの距離が近いときには、発電許容量を高く設定して充電量下限値への精度を優先できる。
まず、実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置の構成を説明する。
図1は、実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置を適用したハイブリッド車両Aの全体システムを示すシステム構成図である。
発電機5は、エンジン3の駆動力によって回転して発電する。つまり、主にエンジン3と発電機5から発電装置が構成される。また、発電機5は、モータとしての機能も併せて有し、エンジン始動時にクランキングさせることや、エンジン3を発電機5の駆動力を用いて力行回転させることで、電力を消費することができる。
バッテリ8は、発電機5と駆動モータ11それぞれの回生電力の充電、駆動電力の放電を行う。
駆動インバータ10は、バッテリ8と発電機インバータ6から供給される直流の電力を、駆動モータ11の交流電流に変換、あるいは、逆変換を行う。
なお、充電予定地点Ptとは、例えば、自宅や充電ステーションである。これらの充電予定地点Ptとしての設定は、運転者が予め手動入力により行ってもよいし、走行中にシステムコントローラ1が自動的に行ってもよい。
この充電量下限値制御は、現在の走行地点(現在地点Pn)から、これから向かう充電予定地点Ptまでの距離Lnが、予め設定された設定距離Lset以下となると実行される。また、現在地点Pnは、ナビゲーションシステム20のGPS機能により検出する他、路上に配置したビーコンなどから得られる情報を用いることもできる。また、設定距離Lsetは、EV走行のみにより充電予定地点Ptまで走行できる距離よりも長い距離に設定される。
また、他車の車速分散は、走行予定区間の交通状況を把握するためであり、エンジン発電許容量を決定するファクタの1つである。
ステップS8では、充電予定地点Ptに到達したか否か判定し、到達すれば目標バッテリSOC下限充電制御を終了し、到達前であればステップS9に進む。
ステップS9では、現在地点Pnから充電予定地点Ptまでの各区間目標バッテリSOCの更新を行った後、ステップS3に戻る。したがって、充電予定地点Ptに到達するまでS3〜S9の処理を繰り返す。
次に、ステップS7における、エンジン発電許容量(係数)の設定について説明を加える。
まず、本実施の形態1におけるエンジン発電許容量の設定規則a,b,cを説明する。
a.エンジン発電許容量は、図4に示すように、残距離Lzが短くなるほど大きく設定する。すなわち、残距離Lzが短くなると、交通状況の変化など不確定要素が少なくなり、目標バッテリSOCの予測精度が高くなるため、このようにエンジン発電許容量を大きく設定する。
b.エンジン発電許容量は、各区間における目標バッテリSOCと現在のバッテリSOCとの差ΔSOCが大きい程、エンジン発電許容量を大きく設定する。すなわち、目標バッテリSOCよりもバッテリSOCを使用し過ぎると駆動力不足の可能性が高くなるため、エンジン発電許容量を大きくする。
c.エンジン発電許容量は、他車の車速分散が小さいほどエンジン発電許容量を大きくする。すなわち、車速分散が小さい場合、車速の信頼度が高いため、目標バッテリSOCの予測精度が高くなる。加えて、車速分散が小さい場合というのは、事故や渋滞発生の可能性がある。このため、補機消費などにより予想よりも出力が必要になる可能性が高くなるため、エンジン発電許容量を大きくする。
次に、実施の形態1の作用を、その動作例に基づいて説明する。
(比較例)
実施の形態1の作用を説明するのにあたり、まず、実施の形態1が解決しようとする課題について説明する。
図6において、点線は、比較例によるバッテリSOCの変化を示している。
この比較例は、上述の特許文献1に記載されたように、通常の走行時は、バッテリSOCがバッテリSOC中央値(SOCM)となるように、EV走行モードとHEVモードとを繰り返している。そして、充電予定地点Ptまでの走行距離が設定距離[この設定距離は、EV走行モードによりバッテリSOC中央値からSOC下限値(図6のSOCLh)となるまでに走行できる距離である]となった地点である開始地点P0sからEV走行モードにより走行している。
すなわち、走行途中で渋滞や事故などがあった場合、予想よりもバッテリSOCの消費量が増え、図においてCom1に示すように、充電予定地点Ptへの到達前にSOC下限値まで使い切るおそれがある。この場合、エンジン駆動による発電が必要になり、駆動力不足を招くおそれがあるとともに、燃料消費量が増加する。
さらに、このように従来は、SOC下限値まで低下させる精度が低いため、バッテリSOCが低くなり過ぎて駆動力不足となり難くするために、そのリスク回避のためのマージン分を、SOC下限値に含んで高めに設定することになる。
まず、実施の形態1によるエンジン発電許容量の設定例を具体的に説明する。
ここで、充電量下限値制御の開始時点でのエンジン発電許容量Kytを0(kW)、充電予定地点Ptに到達時のエンジン発電許容量をKy4(kW)とすると、まず、図4に示すように、残距離Lzに対して0からKy4まで、一次比例でエンジン発電許容量が大きくなるように設定する。
前述したように、エンジン発電許容量Kytは、まず、現在地点Pn(図5のL0)から充電予定地点Pt(図5のL25)に向けて、エンジン発電許容量Kytとして、0からKy4に向けて一次比例のエンジン発電許容量を設定している(図4参照)。
このように、分散が小さい場合というのは、多くの車両が同じ速度で走行していることを示しており、事故や渋滞の可能性があり、補機消費が増加する可能性が高くなるため、エンジン発電許容量Kytを高める。
Kyn=(Ky4−Ky(n−1))
×[0.5×(1/σ)/Σ(1/σ)+(ΔSOC/ΣΔSOC)]+Ky(n−1)
・・・(1)
なお、上記式において、Ky(n−1)は、前区間のエンジン発電許容量、σは車速分散である。
図6は、上記のような制御を行って、現在地点Pnから充電予定地点Ptへ走行した場合のバッテリSOCの変化を実線により示している。
この図において、距離がL0以前の区間は、通常のバッテリSOC制御を行っている。この場合、比較例と同様に、バッテリSOCをバッテリSOC中央値(SOCM)に制御している。
図6において、距離L0の地点で充電量下限値制御を開始している。図に示すように、本実施の形態1の制御開始地点P0は、比較例の開始地点P0sよりも手前となっている。すなわち、本実施の形態1では、充電予定地点Ptに向けてEV走行モードのみの走行ではないため、設定距離Lsetは、比較例よりも長くなる。
また、この時点でSOC下限値(図6のSOCL)を設定するが(S1)、前述のように、SOC下限値は、比較例のSOC下限値(SOCLh)よりも低い値に設定する。
また、充電量下限値制御の開始時点では制御終了時点と比較して、エンジン発電許容量が相対的に小さく設定される。このため、図示の例では、制御開始直後は、バッテリSOCの低下勾配が一定ではなく、上下に変化が生じている。
すなわち、制御開始直後は、エンジン発電許容量が相対的に小さいことから、発電量が抑えられる。このため、例えば、図5に示す距離L5の近傍の区間のように、区間目標バッテリSOCに対する差ΔSOCが大きくなり易く、このため、バッテリSOCの低下勾配に変化が生じやすい。しかし、この時期は、バッテリSOCの回復に必要な走行距離が確保されているため、エンジン発電許容量を抑えて、走行性能を確保できる。
したがって、図6に示すように、充電予定地点Ptの近くでは、バッテリSOCの勾配は一定となり変化が殆ど生じていない。
よって、比較例のSOC下限値(図6のSOCLh)と比べ、図においてHで示す幅だけSOC下限値(図6のSOCL)をより低く設定することが可能となる。
以下に、実施の形態1の効果を列挙する。
1)実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
発電機5と、
この発電機5を駆動するエンジン3と、
発電機5により充電されるバッテリ8と、
このバッテリ8により駆動される走行用電動機としての駆動モータ11と、
車両の走行地点に関する情報を取得する位置情報取得部としてのナビゲーションシステム20と、
エンジン3の駆動による発電機5の発電および駆動モータ11の駆動に基づいてバッテリSOCを制御し、かつ、予め設定された充電予定地点Ptに到達した時に、バッテリSOCが予め設定されたSOC下限値に達するよう駆動モータ11およびエンジン3の駆動を制御する充電量下限値制御を実行する充電制御部(図2のフローチャートを実行する部分)としてのシステムコントローラ1と、
システムコントローラ1に含まれ、充電量下限値制御の実行時に、発電機5による最大発電量であるエンジン発電許容量を、充電予定地点Ptに近付くほど高く設定する発電許容量設定部(ステップS6)と、
を備えていることを特徴とする。
充電予定地点Ptまでの距離が長いときには、交通状況の変化など不確定要素が多いためにエンジン3を駆動させての発電機5による発電頻度が高くなるが、バッテリSOCとSOC下限値との差が大きいため、時間あたりの発電量はさほど必要がない。
このような場合は、発電許容量を抑えることにより、走行性能を悪化させることなく発電することができる。
一方、充電予定地点Ptまでの距離が短いときには、バッテリSOCとSOC下限値との差も小さくなっている。
このような場合は、発電許容量を大きくし、短時間に必要な発電量を得ることにより、短時間に目的とするバッテリSOCに到達し、発電許容量の増大による走行性能が悪化する時間を短くできる。
加えて、発電許容量を大きくすることにより、バッテリSOCとSOC下限値とが乖離するのを抑えて高い精度でSOC下限値に制御可能である。このため、バッテリSOCが低下し過ぎて、駆動不足となるリスクマージンを抑えることが可能となり、SOC下限値をより低い値に設定可能となる。これにより、バッテリSOCによる走行距離を長くし、エンジン3の駆動量を低減させることができ、環境保護に寄与することができる。
充電制御部としてのシステムコントローラ1は、充電量下限値制御の実行時に、現在地点Pnから充電予定地点Ptとの間を複数区間に分割し、区間毎にSOC下限値に向けて徐々に低くなるように目標バッテリSOCを設定し(ステップS2)、各区間の走行時に、バッテリSOCが目標バッテリSOCとなるように、バッテリ8の放電および発電機5による充電を制御する(ステップS7)
ことを特徴とする。
走行区間を複数区間に分割し、区間毎に設定した目標バッテリSOCと実際のバッテリSOCとの差に基づいて充電および放電を行うようにしたため、EV走行による放電のみでSOC下限値に制御するものと比較して、SOC下限値への制御精度を向上できる。
これにより、上記1)のように、SOC下限値をより低い値に設定してバッテリSOCによる走行距離を長くでき、エンジン3の駆動量の低減による環境保護への寄与が可能となる。
発電許容量設定部(ステップS6)は、現在の走行区間における目標バッテリSOCと実際のバッテリSOCとの差に応じ、この差が大きいほど発電許容量を大きく設定することを特徴とする。
走行区間の目標バッテリSOCと実際のバッテリSOCとの差が大きい場合、電力の使用し過ぎにより駆動力不足になる可能性がある。したがって、この場合には、発電許容量を大きくして最大発電量を大きくすることにより、駆動力不足になるようなバッテリSOCの低下を防止できる。
発電許容量設定部(ステップS6)は、充電予定地点Ptへの走行経路上の交通状況に関する道路情報を入力し、この道路情報が持つ目標バッテリSOCへの信頼性に応じ、この信頼性が高いほど発電許容量を大きく設定することを特徴とする。
交通情報により目標バッテリSOCの信頼性が高い場合、この信頼性が低い場合よりも目標バッテリSOCの演算精度が高まり、実際のバッテリSOCと目標バッテリSOCとの差を小さくできる。このため、発電許容量を大きくして短時間に必要な発電量を得ることにより、短時間に目標バッテリSOCに到達し、発電許容量の増大による走行性能が悪化する時間を短くできるとともに、燃料消費を抑えることができる。
発電許容量設定部(ステップS6)は、道路情報として、他車の車速分散を入力し、この分散が低いほど前記目標バッテリ充電量への信頼性が高いとして前記発電許容量を大きく設定することを特徴とする。
ある区間における他車の車速分散が小さければ、車速信頼度が高いため、その区間での目標バッテリSOC演算精度も高まる。よって、上記4)のように、発電許容量を大きくして短時間に必要な発電量を得ることにより、短時間に目標バッテリSOCに到達し、発電許容量の増大による走行性能が悪化する時間を短くできるとともに、燃料消費を抑えることができる。
充電制御部としてのシステムコントローラ1は、充電予定地点Ptまでの距離が、予め設定された設定距離Lset以下になったら、充電量下限値制御を実行することを特徴とする。
したがって、充電予定地点Ptまで設定距離Lsetを走行する間に、エンジン3を駆動させての発電機5によるバッテリ8への充電と、駆動モータ11の駆動によるバッテリ8の放電とを適宜制御して、バッテリSOCをSOC下限値まで低下させることができる。
3 エンジン
5 発電機
8 バッテリ
11 駆動モータ(走行用電動機)
20 ナビゲーションシステム(位置情報取得部)
A ハイブリッド車両
Pn 現在地点
Pt 充電予定地点
ΔSOC 差
Claims (6)
- 発電機と、
この発電機を駆動するエンジンと、
前記発電機により充電されるバッテリと、
このバッテリにより駆動される走行用電動機と、
車両の走行地点に関する情報を取得する位置情報取得部と、
前記エンジンの駆動による前記発電機の発電および前記走行用電動機の駆動に基づいて前記バッテリ充電量を制御し、かつ、予め設定された充電予定地点に到達した時に、前記バッテリ充電量が予め設定された充電量下限値に達するよう前記走行用電動機の駆動による放電および前記エンジンの駆動による前記発電機からの充電を制御する充電量下限値制御を実行する充電制御部と、
この充電制御部に含まれ、前記充電量下限値制御の実行時に、前記発電機による最大発電量である発電許容量を、前記充電予定地点に近付くほど高く設定する発電許容量設定部と、
を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記充電制御部は、前記充電量下限値制御の実行時に、現在地点から充電予定地点との間を複数区間に分割し、区間毎に前記充電量下限値に向けて徐々に低くなるように目標バッテリ充電量を設定し、各区間の走行時に、前記バッテリ充電量が前記目標バッテリ充電量となるように、前記バッテリの放電および前記発電機の発電を制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記発電許容量設定部は、現在の走行区間における前記目標バッテリ充電量と実際のバッテリ充電量との差に応じ、この差が大きいほど前記発電許容量を大きく設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記発電許容量設定部は、前記充電予定地点への走行経路上の交通状況に関する道路情報を入力し、この道路情報が持つ前記目標バッテリ充電量への信頼性に応じ、この信頼性が高いほど前記発電許容量を大きく設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項4記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記発電許容量設定部は、前記道路情報として、他車の車速分散を入力し、この分散が低いほど前記目標バッテリ充電量への信頼性が高いとして前記発電許容量を大きく設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記充電制御部は、前記充電予定地点までの距離が、予め設定された設定距離以下になったら、前記充電量下限値制御を実行することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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