JP2013129153A - 透明複合基板および表示素子基板 - Google Patents

透明複合基板および表示素子基板 Download PDF

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Abstract

【課題】光学特性に優れた透明複合基板および前記透明複合基板を備えた信頼性の高い表示素子基板を提供すること。
【解決手段】本発明の透明複合基板1は、屈折率の最大値と最小値との差が0.01以下であるガラスクロス2とガラスクロス2に含浸した樹脂材料3とを有する複合層4と、複合層4上に設けられたガスバリア層5と、を有する。そして、JIS K 7129 Bに規定された方法に基づいて測定される水蒸気透過度が0.1[g/m/day/40℃、90%RH]以下である。また、ガスバリア層5を構成する材料は、SiOxNyで表され、xが1≦x≦2の関係を満足し、かつyが0≦y≦1の関係を満足するケイ素化合物を含むのが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、透明複合基板および表示素子基板に関するものである。
液晶表示素子や有機EL表示素子等の表示素子に用いられるカラーフィルター基板、アクティブマトリックス基板のような表示素子基板や、太陽電池用基板などには、ガラス板が広く用いられている。しかしながら、ガラス板は、割れ易い、曲げられない、軽量化に不向き等の理由から、近年、その代替材としてプラスチック素材からなる基板(プラスチック基板)が検討されている。
ここで、プラスチック基板としては、これまでプリント基板用のガラス繊維複合樹脂シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ガラス繊維複合樹脂シートは、ガラス繊維を含むガラス布帛に透明樹脂材料を含浸したものである。ガラス繊維を含むことにより、ガラス繊維複合樹脂シートは、特に機械的特性(曲げ強さ、低線膨張率等)を高めることができる。
近年、このガラス繊維複合樹脂シートを透明化して、ガラス板の代替材とすることが試みられている。
しかしながら、従来のガラス繊維複合樹脂シートは、プリント基板用途に特化して最適化されてきたため、上述したような用途に適した光学特性を備えていないという問題があった。
特開平5−147979号公報
本発明の目的は、光学特性に優れた透明複合基板および前記透明複合基板を備えた信頼性の高い表示素子基板を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
(1) ガラス繊維の集合体で構成され屈折率の最大値と最小値との差が0.01以下であるガラス布帛と、前記ガラス布帛に含浸した樹脂材料と、を有する複合層と、
前記複合層上に設けられたガスバリア層と、を有し、
JIS K 7129 Bに規定された方法に基づいて測定される水蒸気透過度が0.1[g/m/day/40℃、90%RH]以下であることを特徴とする透明複合基板。
(2) 前記ガラス布帛は、第1方向に配向する複数の前記ガラス繊維を束ねてなる第1ガラス繊維束と、前記第1ガラス繊維束に織り込まれる第2ガラス繊維束と、を有し、複数の前記第1ガラス繊維束と複数の前記第2ガラス繊維束とを織り込んでなるガラス織布であり、
単位幅当たりの前記第2ガラス繊維束中のガラス成分の断面積に対する前記単位幅当たりの前記第1ガラス繊維束中のガラス成分の断面積の比は、1.04以上1.40以下である上記(1)に記載の透明複合基板。
(3) 前記第1ガラス繊維束および前記第2ガラス繊維束は、ガラス成分の断面積が互いに実質的に等しいものであり、
単位幅当たりの前記第2ガラス繊維束の本数に対する前記単位幅当たりの前記第1ガラス繊維束の本数の比は、1.02以上1.18以下である上記(2)に記載の透明複合基板。
(4) 前記第1ガラス繊維束および前記第2ガラス繊維束の撚り数は、それぞれ0.2〜2.0/インチ以下である上記(2)または(3)に記載の透明複合基板。
(5) 当該透明複合基板は、30〜150℃の平均線膨張係数が20ppm以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の透明複合基板。
(6) 前記無機材料は、SiOxNyで表され、xおよびyが1≦x≦2および0≦y≦1の関係を満足するケイ素化合物を含む上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の透明複合基板。
(7) 前記ガスバリア層の平均厚さは、10〜500nmである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の透明複合基板。
(8) 前記樹脂材料は、脂環式エポキシ樹脂を主成分とするものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の透明複合基板。
(9) 前記複合層と前記ガスバリア層との間に設けられ、樹脂材料で構成された中間層を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の透明複合基板。
(10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の透明複合基板を備えることを特徴とする表示素子基板。
本発明によれば、ガラス布帛の屈折率を最適化するとともに、水蒸気透過度の最適な範囲を特定することにより、光学特性の経時的な低下を抑制することができるので、長期にわたって均一で優れた光学特性を維持し得る透明複合基板が得られる。
また、本発明によれば、上記のような透明複合基板を備えたことにより、信頼性の高い表示素子基板が得られる。
本発明の透明複合基板の実施形態に係るガラスクロスを示す平面図である。 本発明の透明複合基板の実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の透明複合基板および表示素子基板について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の透明複合基板は、ガラス繊維の集合体で構成され屈折率の最大値と最小値との差が0.01以下であるガラス布帛と、ガラス布帛に含浸した樹脂材料と、を有する複合層と、複合層上に設けられたガスバリア層と、を有するものである。そして、本発明の透明複合基板は、JIS K 7129 Bに規定された方法に基づいて測定される水蒸気透過度が0.1[g/m/day/40℃、90%RH]以下の規定を満たすものである。
本発明において透明とは、透光性を有する状態をいい、有彩色を呈していてもよいが、好ましくは無色とされる。
本発明の透明複合基板は、複合層中に含まれるガラス布帛の屈折率を最適化するとともに、水蒸気透過度の最適な範囲を特定したことにより、光学特性の経時的な低下を確実に抑制し得るものとなる。このため、本発明の透明複合基板は、長期にわたって均一で優れた光学特性を維持し得るものとなる。
<透明複合基板>
まず、本発明の透明複合基板の実施形態について説明する。
図1は、本発明の透明複合基板の実施形態に係るガラスクロスを示す平面図、図2は、本発明の透明複合基板の実施形態を示す断面図である。
図2に示す透明複合基板1は、ガラスクロス(ガラス布帛)2と樹脂材料(マトリックス樹脂)3とを含む複合層4と、複合層4上に設けられたガスバリア層5と、を有するものである。以下、各構成要素について説明する。
(ガラスクロス)
本発明に用いられるガラスクロス2としては、ガラス繊維を単に束ねたものの他、ガラス繊維を含む織布や不織布等の布帛が挙げられる。図1では、ガラスクロス2が織布である場合を例に図示している。図1に示すガラスクロス2は、縦方向ガラスヤーン(経糸)2aおよび横方向ガラスヤーン(緯糸)2bで構成されており、縦方向ガラスヤーン2aと横方向ガラスヤーン2bとは略直交している。ガラスクロス2の織組織としては、図1に示す平織りの他、ななこ織り、朱子織り、綾織り等が挙げられる。
ガラス繊維を構成する無機系ガラス材料としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Tガラス、Dガラス、NEガラス、クオーツ、低誘電率ガラス、高誘電率ガラス等が挙げられ、中でもアルカリ金属などのイオン性不純物が少なく入手の容易なEガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラスが好ましく用いられ、特に30℃から250℃における平均線膨張係数が5ppm以下であるSガラスまたはTガラスがより好ましく用いられる。
また、無機系ガラス材料の屈折率は、用いる樹脂材料の屈折率に応じて適宜設定されるものの、例えば、1.4〜1.6程度であるのが好ましく、1.5〜1.55程度であるのがより好ましい。これにより、広い波長領域において優れた光学特性を示す透明複合基板1が得られる。
ガラスクロス2に含まれるガラス繊維の平均径は2〜15μm程度であるのが好ましく、3〜12μm程度であるのがより好ましく、3〜10μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、機械的特性や光学的特性と表面の平滑性とを高度に両立し得る透明複合基板1が得られる。なお、ガラス繊維の平均径は、透明複合基板1の横断面を各種顕微鏡等で観察し、観察像から測定される100本分のガラス繊維の直径の平均値として求められる。
一方、ガラスクロス2の平均厚さは、10〜300μm程度であるのが好ましく、20〜120μm程度であるのがより好ましい。ガラスクロス2の平均厚さを前記範囲内にすることにより、透明複合基板1の薄型化を図り、かつ十分な可撓性および透光性を確保しつつ、機械的特性の低下を抑えることができる。
また、複数のガラス繊維からなる束(ガラスヤーン)を織って織布とした場合、ガラスヤーンにはガラス繊維の単糸が30〜300本程度含まれているのが好ましく、50〜250本程度含まれているのがより好ましい。これにより、機械的特性や光学的特性と表面の平滑性とを高度に両立し得る透明複合基板1が得られる。
このようなガラスクロス2には、あらかじめ開繊処理が施されているのが好ましい。開繊処理により、ガラスヤーンが拡幅され、その断面は扁平状に成形される。また、いわゆるバスケットホールも小さくなる。その結果、ガラスクロス2の平滑性が高くなり、透明複合基板1の表面の平滑性も高くなる。開繊処理としては、例えば、ウォータージェットを噴射する処理、エアージェットを噴射する処理、ニードルパンチングを施す処理等が挙げられる。
また、ガラス繊維の表面には、必要に応じてカップリング剤を付与するようにしてもよい。カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等が挙げられるが、シラン系カップリング剤が特に好ましく用いられる。シランカップリング剤には、官能基としてエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、アミド基等を含むものが好ましく用いられる。
このようなカップリング剤の含有率は、ガラスクロス100質量部に対して0.01〜5質量部程度であるのが好ましく、0.02〜1質量部程度であるのがより好ましく、0.02〜0.5質量部程度であるのがさらに好ましい。カップリング剤の含有率が前記範囲内であれば、光学特性を高めることができ、例えば表示素子基板として好適な透明複合基板1が得られる。
ここで、本発明に用いられるガラスクロス2について、本発明者は、透明複合基板1の光学特性を高めるにあたって、ガラスクロス2内における屈折率分布が強く関与しているという知見を得た。そして、ガラスクロス2として屈折率の最大値と最小値との差が0.01以下のものを用いることにより、透明複合基板1の光学特性を大きく高められることを見出し、本発明を完成するに至った。このような屈折率分布を有するガラスクロス2を用いることにより、屈折率差に伴う光の干渉等が抑えられ、透明複合基板1の光学特性を特に高めることができる。
また、ガラスクロス2における屈折率の最大値と最小値との差は、好ましくは0.008以下とされ、より好ましくは0.005以下とされる。
また、本発明に用いられるガラスクロス2が織布である場合、この織布において、単位幅当たりの横方向ガラスヤーン(第2ガラス繊維束)2b中のガラス成分の断面積を1としたとき、単位幅当たりの縦方向ガラスヤーン(第1ガラス繊維束)2a中のガラス成分の断面積の比は、1.04以上1.40以下であるのが好ましく、1.21以上1.39以下であるのがより好ましく、1.25以上1.35以下であるのがさらに好ましい。これにより、透明複合基板1において縦方向と横方向の線膨張率の均等性を図るとともに、光透過性のさらなる向上を図ることができる。
また、縦方向ガラスヤーン2aと横方向ガラスヤーン2bとが同一のガラスヤーンである場合、すなわちガラス成分の断面積が互いに実質的に等しい場合、単位幅当たりの横方向ガラスヤーン(第2ガラス繊維束)の本数を1としたとき、単位幅当たりの縦方向ガラスヤーン(第1ガラス繊維束)の本数の比は、1.02以上1.18以下であるのが好ましく、1.10以上1.18以下であるのがより好ましく、1.12以上1.16以下であるのがさらに好ましい。これにより、透明複合基板1において縦方向と横方向の線膨張率の均等性を図るとともに、光透過性のさらなる向上を図ることができる。
なお、ガラスクロス2が織布である場合、この織布を製造する際には、縦方向ガラスヤーン2aがMD方向(流れ方向)を向き、横方向ガラスヤーン2bがTD方向(垂直方向)を向くようにして製造装置にセットされる。ここで、縦方向ガラスヤーン2aと横方向ガラスヤーン2bとを織り込む場合には、双方に等しい力が加わるわけではなく、糸送りの方向によって変わる。したがって、本発明では、織り込む際に加わる力の差が最終的な透明複合基板1の光学特性に及ぼす影響を考慮し、光学特性を最適化するべく、上記のようなガラス成分の断面積やガラスヤーンの本数に異方性を持たせるようにすることが好ましい。
一方、上記のようにガラスクロス2に異方性がある場合、熱、湿度環境の変化等による寸法変化にも異方性が生じ、変形等を招く恐れがある。これに対して、本発明では、複合層4上にガスバリア層5を設けることにより、透明複合基板1の寸法変化を抑制することを可能にした。このような本発明によれば、寸法変化をもたらす内部応力の偏在を抑制し、透明複合基板1の光学特性の低下や反りや変形等を抑えることができる。すなわち、本発明によれば、ガラスクロス2が織布である場合に不可避であった問題を解消することができる。
なお、上記の「単位幅」とは、1インチ幅のことである。
また、前記第1ガラス繊維束および前記第2ガラス繊維束の撚り数は、それぞれ0.2〜2.0/インチであることが好ましく0.3〜1.6/インチであることがより好ましい。ガラス繊維束の撚り数がこの範囲であることで、ヘイズ値が小さい透明複合基板1を得ることができる。
(樹脂材料)
本発明に用いられる樹脂材料3には、例えば、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂、イソシアネート系樹脂、アクリレート系樹脂、オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ジアリルカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリイミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、シルセスキオキサン系化合物等が挙げられる。このうち、好ましくはエポキシ樹脂またはアクリル樹脂が用いられ、より好ましくは脂環式エポキシ樹脂または脂環式アクリル樹脂が用いられる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、またはこれらの水添化物、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート骨格を有するエポキシ樹脂、カルド骨格を有するエポキシ樹脂、ポリシロキサン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式多官能エポキシ樹脂、水添ビフェニル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA骨格を有する脂環式エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのエポキシ樹脂の1種または2種以上の混合物を用いることができる。
また、上述したエポキシ樹脂は、グリシジル基およびエーテル結合を含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジル基およびエステル結合を含むグリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジル基およびアミノ基を含むグリシジルアミン型エポキシ樹脂のようなグリシジル型エポキシ樹脂と、脂環式エポキシ基を有する脂環式エポキシ基に大別できるが、本発明では特に、分子内に2個以上のエポキシシクロヘキサン環を有する脂環式エポキシ樹脂が好ましく用いられる。具体的には、脂環式多官能エポキシ樹脂、水添ビフェニル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA骨格を有する脂環式エポキシ樹脂等の各種脂環式エポキシ樹脂を主成分とする樹脂材料が用いられる。
脂環式エポキシ樹脂として、より具体的には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、ジシクロペンタジエンジオキサイド、シクロオクテンジオキサイド、アセタールジエポキシサイド、ビニルシクロヘキサンジオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソーエキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロピル)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン)、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン、リノール酸二量体のジグリシジルエーテル、リモネンジオキシド、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1,2−ビス[5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダンキシル]エタン、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ε−カプロラクトンオリゴマーの両端にそれぞれ3,4−エポキシシクロヘキシルメタノールと3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸がエステル結合したもの、エポキシ化されたヘキサヒドロベンジルアルコール等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、本発明では特に分子内に2個以上のエポキシシクロヘキサン環を有する脂環式エポキシ樹脂が好ましく用いられる。このうち、下記化学式(1)、(2)、および(3)で示される脂環式エポキシ構造が特に好適に用いられる。
Figure 2013129153
Figure 2013129153
[上記式(2)中、−X−は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CH−、−CH(CH)−、または−C(CH−を表す。]
Figure 2013129153
一方、分子中にエポキシシクロヘキサン環を1個有する脂環式エポキシ樹脂としては、下記化学式(4)、(5)で示される脂環式エポキシ樹脂が特に好適に用いられる。
Figure 2013129153
Figure 2013129153
このような脂環式エポキシ樹脂は、低温での硬化性に優れることから、低温で硬化処理を行うことができる。これにより、硬化時に樹脂材料3を高温にする必要がなくなるため、その後硬化物を室温に戻しても、温度の変化量を抑えることができる。その結果、本発明の透明複合基板では、温度変化に伴う熱応力の発生を抑制することができ、光学特性に優れたものとなる。
また、上述したような脂環式エポキシ樹脂は、硬化後の線膨張係数が低いため、かかる脂環式エポキシ樹脂を含む樹脂材料を用いて得られた透明複合基板1では、ガラスクロス2と樹脂材料3との界面における界面応力が室温において特に小さくなる。このため、上記界面応力の小さい透明複合基板1を得ることができ、かかる透明複合基板1は、光学異方性の小さいものとなる。さらに、線膨張係数が低いため、透明複合基板1では、反りやうねり等の変形が防止される。
また、これらの脂環式エポキシ樹脂は、透明性および耐熱性に優れていることから、光透過性に優れ、かつ耐熱性の高い透明複合基板1の実現に寄与するものである。
なお、樹脂材料3は、脂環式エポキシ樹脂が主成分であるものが好ましい。本発明において主成分とは、樹脂材料3の50質量%超を占める成分のことをいい、樹脂材料3における脂環式エポキシ樹脂の含有率は70質量%以上であるのが好ましく、80質量%以上であるのがより好ましい。
また、樹脂材料3には、脂環式エポキシ樹脂とともにグリシジル型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。これらを併用することにより、透明複合基板1において光学特性の低下を抑えつつ、樹脂材料3の屈折率を容易に調整することができる。すなわち、脂環式エポキシ樹脂とグリシジル型エポキシ樹脂との混合比を適宜調整することによって、樹脂材料3の屈折率を所望の値にすることができる。その結果、光透過性の高い透明複合基板1が得られる。
この場合、グリシジル型エポキシ樹脂の添加量は、脂環式エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部程度であるのが好ましく、1〜5質量部程度であるのがより好ましい。
グリシジル型エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、用いるグリシジル型エポキシ樹脂の中でも、カルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。すなわち、脂環式エポキシ樹脂にカルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂を添加して用いることにより、ビスアリールフルオレン骨格に由来する多数の芳香環が含まれることになるため、透明複合基板1の光学特性および耐熱性をより高めることができる。
このようなカルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂としては、例えば、オンコートEXシリーズ(長瀬産業社製)、オグソール(大阪ガスケミカル社製)等が挙げられる。
また、樹脂材料3には、脂環式エポキシ樹脂とともにシルセスキオキサン系化合物も好ましく用いられ、このうち、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基のような光重合性基を有するシルセスキオキサン系化合物がより好ましく用いられる。これらが併用されることにより、透明複合基板1において光学特性の低下を抑えつつ、樹脂材料3の屈折率を容易に調整することができる。また、オキセタニル基を有するシルセスキオキサン系化合物は、脂環式エポキシ樹脂との相溶性に富んでいるため、均一な混合が可能になり、その結果、屈折率をより確実に調整しつつ、光学特性に優れた透明複合基板1が得られる。
このようなオキセタニル基を有するシルセスキオキサン系化合物としては、例えば、OX−SQ、OX−SQ−H、OX−SQ−F(いずれも東亞合成社製)等が挙げられる。
この場合、シルセスキオキサン系化合物の添加量は、脂環式エポキシ樹脂100質量部に対して、1〜20質量部程度であるのが好ましく、2〜15質量部程度であるのがより好ましい。
一方、脂環式アクリル樹脂としては、例えば、トリシクロデカニルジアクリレート、その水素添加物、ジシクロペンタニルジアクリレート、イソボルニルジアクリレート、水素化ビスフェノールAジアクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジアクリレート等が挙げられ、具体的には、日立化成工業社製オプトレッツシリーズ、ダイセル・サイテック社製アクリレートモノマー等が用いられる。
さらには、本発明に用いられる樹脂材料3は、ガラス転移温度が150℃以上であるのが好ましく、170℃以上であるのがより好ましく、180℃以上であるのがさらに好ましい。これにより、透明複合基板1の製造後、これを表示素子基板に加工する際において各種加熱処理を施したとしても、透明複合基板1に反りや変形等が発生するのを防止することができる。
また、樹脂材料3は、熱変形温度が200℃以上であるのが好ましく、熱膨張率は100ppm/K以下であるのが好ましい。
また、樹脂材料3の屈折率は、ガラスクロス2の平均屈折率にできるだけ近い方がよく、実質的に同一の屈折率であるのが好ましい。具体的には、両者の屈折率差は0.01以下であるのが好ましく、0.005以下であるのがより好ましい。これにより、光透過性の高い透明複合基板1が得られる。
(その他の成分)
本発明の透明複合基板は、樹脂材料3中において上記のもの以外にフィラー等を含んでいてもよい。
フィラーとしては、例えば無機系ガラス材料の繊維片または粒子等で構成されたガラスフィラーが挙げられる。ガラスフィラーが樹脂材料3中に分散することで、透明複合基板1の光透過性を阻害することなく機械的特性を高めることができる。
ガラスフィラーとしては、具体的には、ガラスチョップドストランド、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミルドガラス等が挙げられる。
無機系ガラス材料としては、前述したガラスクロスの構成材料と同様のものが用いられる。
フィラーの含有量は、ガラスクロス100質量部に対して1〜90質量部程度であるのが好ましく、3〜70質量部程度であるのがより好ましい。
なお、フィラーの直径は100nm以下であるのが好ましい。このようなフィラーは、界面での散乱が生じ難いので、透明複合基板1の透明性が比較的高くなる。
また、樹脂材料3中に前述したカップリング剤を添加するようにしてもよい。これにより、前述した応力集中をさらに緩和することができ、透明複合基板1の光学特性をより高めることができる。樹脂材料3中にカップリング剤を添加する場合、その添加量は樹脂材料100質量部に対して0.01〜5質量部程度であるのが好ましく、0.05〜2質量部程度であるのがより好ましい。
(ガスバリア層)
本発明の透明複合基板が備える複合層4上にはガスバリア層5を設けられている。ガスバリア層5を設けることにより、透明複合基板1の屈折率がより不均一になるのを防止し、より長期にわたって優れた光学特性を有する透明複合基板1が得られる。また、吸湿による寸法変化自体を抑制可能であるため、過酷な環境下でもガラスクロス2の光学特性の均一性を維持することができ、かつ、前述の寸法変化の異方性についてもさらに防止することができる。
ガスバリア層5の構成材料は、特に限定されないが、無機材料であるのが好ましい。具体的には、Si、Al、Ca、Na、B、Ti、Pb、Nb、Mg、P、Ba、Ge、Li、K、Zr等からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物または2種以上の混合物の酸化物、フッ化物、窒化物あるいは酸窒化物等が挙げられる。
上記無機材料は、これらの中でも複数種の酸化物を含むことが好ましく、特に複数種の酸化物を含むガラス材料で構成されているのがより好ましい。これにより、非晶質でかつ緻密なガラス材料からなる層によって、ガスバリア層5のガスバリア層を向上させることができる。
ここで無機材料が含む酸化物には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび酸化ホウ素が好ましく用いられるが、このうち酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。酸化ケイ素を含むことにより、ガスバリア性の顕著な向上を図ることができる。
また、無機材料は、酸化ケイ素とともに窒化ケイ素を含む(以下、双方を含むものを「酸窒化ケイ素」という。)ことが好ましい。酸窒化ケイ素を含むことにより、無機材料はガスバリア性とともに表面の硬度にも優れたものとなる。すなわち、ガスバリア層5は、ガスバリア性と保護性とを両立し得るものとなる。
ここで、ガスバリア層5を構成する無機材料の融点をTm[℃]とし、樹脂材料3の主成分の5%重量減少温度をTd[℃]としたとき、透明複合基板1は1200℃<(Tm−Td)<1400℃の関係を満足するよう構成されるのが好ましい。このような透明複合基板1は、無機材料と樹脂材料3との間の特性が最適化されることにより、ガスバリア性に富んだものとなり、合わせて表面保護性を有するものとなる。このため、透明複合基板1の吸湿や酸化、反りや変形等が抑制され、透明複合基板1の光学特性が長期にわたって均一に維持されるとともに、表面に傷等が付くのを確実に防止することができる。TmおよびTdが前記関係を満足することにより上記のような効果を奏する理由は明らかでないものの、融点や5%重量減少温度等の物性が、各物質の複雑な微小構造を総括的に反映する指標であり、透明複合基板1に生じる各種問題点がこの微小構造と密接に関係しているという点が理由の1つであると推察される。
なお、5%重量減少温度Tdは、例えば、熱重量分析(TGA)により、大気中での加熱に伴って5%の重量減少が生じたときの温度として測定することができる。一方、無機材料に融点が存在せず、熱分解してしまう場合には、その熱分解の開始温度を上記Tmとすることができる。
また、Tm−Tdの値は、好ましくは1250℃<(Tm−Td)<1400℃とされ、より好ましくは1300℃<(Tm−Td)<1400℃とされる。
また、上記酸窒化ケイ素は、SiOxNyで表されるが、このxおよびyが0.3<x/(x+y)≦1の関係を満足するのが好ましく、0.35<x/(x+y)≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.4<x/(x+y)≦0.9の関係を満足するのがさらに好ましい。このようなケイ素化合物で構成されたガスバリア層5は、ガスバリア性と表面保護性とを両立し得るものとなる。このため、複合層4の吸湿や酸化を抑制し、透明複合基板1の光学特性をより長期にわたって均一に維持することができるとともに、透明複合基板1の表面を傷等からより確実に保護することができる。その結果、耐摩耗性のさらなる向上が図られ、特に過酷な環境下での使用に耐え得る透明複合基板1が得られる。
また、このようなケイ素化合物で構成されたガスバリア層5を設けることにより、複合層4に対してガスバリア層5の線膨張係数が最適化されることになるため、ガスバリア性を付与しつつも透明複合基板1の反りや変形等を抑えることができる。その結果、透明複合基板1の光学特性をより均一化することができる。さらに、ガスバリア層5の屈折率が複合層4に対して近くなるため、透明複合基板1の光透過性の向上も図られる。
なお、x/(x+y)の値が前記下限値を下回ると、窒素原子に対して酸素原子の存在比が著しく低下することになるため、ガスバリア層5の光透過性が低下するとともに可撓性も低下するおそれがある。
また、SiOxNyにおいてxは1≦x≦2の関係を満足し、かつyは0≦y≦1の関係を満足するのが好ましく、1.2≦x≦1.8および0.2≦y≦0.8の関係を満足するのがより好ましい。このようなSiOxNyは、ガスバリア性と保護性とを高度に両立し得るとともに、その屈折率が複合層4に対して特に最適化されることにより、透明複合基板1の光透過性の向上にも寄与する。
なお、xが前記下限値を下回ると、ガスバリア層5の光透過性および可撓性が低下し、xが前記上限値を上回ると、ガスバリア層5の表面保護性が低下するおそれがある。また、yが前記上限値を上回ると、ガスバリア層5の表面保護性が低下するおそれがある。
ガスバリア層5の平均厚さは、特に限定されないが、10〜500nm程度であるのが好ましい。この範囲内であれば、十分なガスバリア性および保護性を有するとともに、可撓性にも優れたガスバリア層5が得られる。
また、ガスバリア層5は、JIS K 7129 Bに規定の水蒸気透過度が0.1[g/m/day/40℃、90%RH]以下であるのが好ましい。水蒸気透過度が前記範囲内にあると、吸湿によるガラスクロス2や樹脂材料3の変質、劣化を抑制するとともにそれに伴う屈折率の変化を抑制し、長期にわたって優れた光学特性を有する透明複合基板1が得られる。
また、ガスバリア層5は、JIS K 7126 Bに規定の酸素透過度が0.1[cm/m/day/1atm/23℃]以下であるのが好ましい。酸素透過度が前記範囲内にあると、酸化による樹脂材料3の変質、劣化を抑制するとともにそれに伴う屈折率の変化を抑制し、長期にわたって優れた光学特性を有する透明複合基板1が得られる。
なお、複合層4とガスバリア層5との間には、必要に応じて中間層が介在していてもよい。中間層としては、後述する機能層等が挙げられるが、特にエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の樹脂材料で構成される層が好ましく用いられる。このような中間層を介在させることにより、透明複合基板1の表面の平坦性および平滑性を高め、光学特性を高めることができる。それとともに、複合層4とガスバリア層5との密着性を高め、ガスバリア層5の剥離を確実に防止することができる。その結果、透明複合基板1の耐久性が向上し、長期にわたって均一で優れた光学特性を維持し得る透明複合基板1が得られる。
中間層を構成する樹脂材料としては、複合層4に含まれる樹脂材料3と同様のものが用いられ、好ましくは樹脂材料3と同じ組成のものが用いられる。これにより、中間層が剥離し難くなり、複合層4とガスバリア層5との密着性をより高めることができる。
(透明複合基板の特性)
表示素子基板の波長400nmにおける全光線透過率は、70%以上であるのが好ましく、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは78%以上である。波長400nmにおける全光線透過率が下限値未満であると表示素子における表示性能が十分でないおそれがある。
また、透明複合基板の平均厚さは、特に限定されないが、40〜200μm程度であるのが好ましく、50〜100μm程度であるのがより好ましい。
また、本発明の透明複合基板は、30℃〜150℃における平均線膨張係数が20ppm以下の規定を満たすものであるのが好ましく、15ppm以下の規定を満たすものであるのがより好ましい。このような平均線膨張係数の透明複合基板は、温度変化に伴う寸法変化が十分に小さいので、寸法変化に伴う光学特性の低下を抑制することができる。寸法変化に伴う光学特性の低下とは、例えば、ガラスクロス2と樹脂材料3との剥離等であり、剥離によってヘイズの上昇等を招くことがある。したがって、本発明の透明複合基板は、広い温度範囲で均一で優れた光学特性を長期にわたって維持し得るものとなる。さらに、このような平均線膨張係数の透明複合基板は、例えばアクティブマトリックス表示素子用基板に用いられたときに、反りや配線の断線といった諸問題が発生し難いものとなる。
また、本発明の透明複合基板は、JIS K 7129 Bに規定の水蒸気透過度が0.1[g/m/day/40℃、90%RH]以下である。水蒸気透過度が前記範囲内であれば、透明複合基板の内部を透過する水蒸気量が抑えられ、ガラスクロス2や樹脂材料3の吸湿が抑制される。前述したように、ガラスクロス2は屈折率の最大値と最小値との差が0.01以下と小さく、微小構造が均一であるためさらに吸湿による屈折率変動も均一となり、透明複合基板1は均一で優れた光学特性を長期にわたって維持し得るものとなる。また、水蒸気透過度が前記範囲内であれば、吸湿に伴う透明複合基板1の線膨張係数の変動も抑制される。このため、寸法変化に伴う光学特性の低下も確実に抑制することができる。さらに、水蒸気透過度が前記範囲内にあると、本発明の透明複合基板を表示素子基板として用いた場合に、吸湿による表示素子の劣化を抑制し、表示素子の信頼性を長期にわたって高めることができる。
以上のことから、本発明によれば、均一で優れた光学特性を長期にわたって維持し得る透明複合基板が得られる。
また、本発明の透明複合基板は、JIS K 7126 Bに規定の酸素透過度が0.1[cm/m/day/1atm/23℃]以下であるのが好ましい。酸素透過度が前記範囲内にあると、本発明の透明複合基板を表示素子基板として用いた場合、酸化による表示素子の劣化を抑制し、表示素子の信頼性を長期にわたって高めることができる。
<表示素子基板>
本発明の透明複合基板は、例えば、液晶表示素子用基板、有機EL素子用基板、カラーフィルター用基板、TFT用基板、電子ペーパー用基板、タッチパネル用基板のような各種表示素子基板(本発明の表示素子基板)の他、太陽電池用基板等にも適用される。
本発明の表示素子基板は、本発明の透明複合基板を備えるものであり、必要に応じて透明複合基板の表面に成膜された機能層を有する。
かかる機能層としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、スズ−インジウム合金の酸化物等で構成される透明導電層、金、銀、パラジウムまたはこれらの合金等で構成される金属導電層、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等で構成される平滑層、ゴム状またはゲル状のシリコーン硬化物、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン等で構成される衝撃緩衝層等が挙げられる。
このうち、平滑層は、耐熱性、透明性、耐薬品性を有していることが好ましく、その構成材料としては例えば複合層中に含まれる樹脂材料と同じ組成のものが好ましく用いられる。平滑層の平均厚さは、0.1〜30μm程度であるのが好ましく、0.5〜30μm程度であるのがより好ましい。
また、層構成としては、透明複合基板の少なくとも片側に平滑層を設け、さらにその上に衝撃緩衝層を設ける構成、または、透明複合基板の少なくとも片側に衝撃緩衝層を設け、さらにその上に平滑層を設ける構成等が挙げられる。
また、本発明の表示素子基板は、元々ガラス基板よりも落球試験による耐衝撃性が優れているが、上記のような衝撃緩衝層を設けることにより、さらに耐衝撃性が向上する。
前述したように、本発明の透明複合基板は、異物の発生、付着の少ないものとなるため、これらに起因する光学特性の低下を抑制することができる。このため、高品質で信頼性の高い表示素子を実現可能な表示素子基板が得られる。
<透明複合基板の製造方法>
本発明の透明複合基板は、前述したようにガラスクロスに未硬化の樹脂材料を含浸させ、この状態で板状に成形された後、硬化させてなるものである。
具体的には、本発明の透明複合基板は、ガラスクロスに樹脂ワニスを含浸させた後、成形しつつ樹脂ワニスを硬化させ、複合層を得る工程と、複合層上にガスバリア層を成膜する工程と、を経て製造される。以下、製造工程について詳述する。
[1]まず、ガラスクロスにカップリング剤を付与して表面処理を行う。この工程は必要に応じて行えばよく、省略することもできる。カップリング剤の付与は、例えば、カップリング剤を含む液体中にガラスクロスを浸漬する方法、ガラスクロスに前記液体を塗布する方法、ガラスクロスに前記液体を噴霧する方法等により行われる。
[2]次に、樹脂ワニスを調製する。樹脂ワニスは、上述した未硬化の樹脂材料、フィラー等のその他の成分、有機溶剤等を含む他、必要に応じて、硬化剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を含むものである。
(硬化剤)
かかる硬化剤としては、酸無水物、脂肪族アミン等の架橋剤、カチオン系硬化剤、アニオン系硬化剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が用いられる。
これらの中でも特にカチオン系硬化剤が好ましく用いられる。カチオン系硬化剤によれば、樹脂材料を比較的低温で硬化させることができるので、硬化時に樹脂ワニスを高温にする必要がなく、温度変化に伴う熱応力の発生を抑制することができる。その結果、光学異方性の低い透明複合基板が得られる。
また、カチオン系硬化剤を用いることにより、耐熱性(例えばガラス転移温度)の高い透明複合基板が得られる。これは、カチオン系硬化剤を用いることにより、エポキシ樹脂の硬化物の架橋密度が高くなるためであると考えられる。
前記カチオン系硬化剤としては、加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出するもの、例えばオニウム塩系カチオン硬化剤、またはアルミニウムキレート系カチオン硬化剤や、活性エネルギー線によってカチオン重合を開始させる物質を放出させるもの、例えばオニウム塩系カチオン系硬化剤等が挙げられる。これらの中でも、光カチオン系硬化剤が好ましい。これにより、光の照射領域を選択することのみで、硬化の有無を容易に選択することができる。
光カチオン系硬化剤としては、多官能カチオン重合性化合物および単官能カチオン重合性化合物を光カチオン重合反応させ得るものであればよく、例えば、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。具体的には、四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩等が挙げられる。
また、樹脂モノマーの種類によっては、イルガキュアシリーズ(チバ・ジャパン社製)のような光ラジカル硬化剤も用いられる。
一方、熱カチオン系硬化剤としては、例えば芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
このようなカチオン系硬化剤の含有量は、特に限定されないが、脂環式エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部程度であるのが好ましく、特に0.5〜3重量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化性が低下する場合があり、前記上限値を超えると透明複合基板が脆くなる場合がある。
光硬化させる場合は、必要に応じて硬化反応を促進させるため増感剤、酸増殖剤等も併せて用いることができる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が用いられるが、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、BHT、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、樹脂ワニスの0.01質量%以上5質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下程度であるのがより好ましい。酸化防止剤の含有量を前記範囲内にすることにより、光学異方性の低い透明複合基板が得られ、かつ、信頼性試験においても光学異方性の悪化の小さい透明複合基板が得られる。
また、酸化防止剤の重量平均分子量は、200〜2000であるのが好ましく、500〜1500であるのがより好ましく、1000〜1400であるのがさらに好ましい。酸化防止剤の重量平均分子量が上記範囲内であれば、酸化防止剤の揮発性が抑制されるとともに、脂環式エポキシ樹脂に対する相溶性が確保される。このような酸化防止剤は、湿熱処理のような信頼性試験を経ても残存し続けることができ、これにより光学異方性の悪化を抑制し得る透明複合基板を実現することができる。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、水酸基を挟むように位置する置換基の一方がメチル基等に置換されているセミヒンダード型のフェノール系酸化防止剤や、水酸基を挟む2つの置換基の双方がメチル基等に置換されているレスヒンダード型のフェノール系酸化防止剤が挙げられる。これらは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤より少ない添加量で添加される。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト等が挙げられる。
なお、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用することにより、それらの相乗効果が発揮され、脂環式エポキシ樹脂の酸化防止、および透明複合基板の光学異方性の抑制がより顕著になる。これは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とで、酸化防止のメカニズムが異なるため、両者が独立して働き、さらには相乗的な効果が生じているからであると考えられる。
このようなヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤(特にリン系酸化防止剤)の添加量は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤100質量部に対して、好ましくは30〜300質量部程度とされ、より好ましくは50〜200質量部程度とされる。これにより、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とそれ以外の酸化防止剤とが、それぞれの効果を埋没させることなく発揮し、相乗効果をもたらすことができる。
なお、樹脂ワニスは、その特性を損なわない範囲で必要に応じて、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のオリゴマーやモノマー剤等を含んでいてもよい。なお、これらのオリゴマーやモノマーを使用する場合は、全体の屈折率がガラスクロスの屈折率に合うように組成比が適宜設定される。
樹脂ワニスは、以上のような成分を混合して得られる。
[3]その後、得られた樹脂ワニスをガラスクロスに含浸させる。樹脂ワニスをガラスクロスに含浸させる際には、例えば、樹脂ワニス中にガラスクロスを浸漬する方法、ガラスクロスに樹脂ワニスを塗布する方法等が用いられる。また、樹脂ワニスをガラスクロスに含浸させた後、樹脂ワニスが未硬化の状態または硬化させた後に、その上からさらに樹脂ワニスを塗布するようにしてもよい。
その後、必要に応じて樹脂ワニスに脱泡処理を施す。さらには、必要に応じて樹脂ワニスを乾燥させる。
[4]次いで、樹脂ワニスを含浸させたガラスクロスを板状に成形しつつ加熱する。これにより、樹脂材料を硬化させ、透明複合基板を得る。
加熱条件としては、好ましくは加熱温度が50〜300℃程度、加熱時間が0.5〜10時間程度とされ、より好ましくは加熱温度が170〜270℃程度、加熱時間が1〜5時間程度とされる。
また、加熱温度は途中で変更するようにしてもよい。例えば、当初は50〜100℃程度で0.5〜3時間程度加熱し、その後、200〜300℃程度で0.5〜3時間程度加熱するようにしてもよい。
また、樹脂ワニスの成形には、例えばポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられる。そして、樹脂ワニスを含浸させたガラスクロスを挟むように両側からフィルムを押し当てることにより、樹脂ワニスの表面を平滑化、平坦化することができる。
なお、樹脂ワニスが光硬化性を有する場合には、波長200〜400nm程度の紫外線等を照射することにより樹脂ワニスを硬化させる。
付与される光エネルギー量(積算光量)は、5mJ/cm以上3000mJ/cm以下であるのが好ましく、10mJ/cm以上2000mJ/cm以下であるのがより好ましい。積算光量が前記範囲内であれば、ムラなく均一に、かつ確実に硬化させることができる。
[5]その後、複合層の表面にガスバリア層を成膜する。
ガスバリア層の成膜には、例えば、ゾル・ゲル法のような各種液相成膜法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法のような各種気相成膜法等が用いられる。このうち、気相成膜法が好ましく用いられ、スパッタリング法またはCVD法がより好ましく用いられる。また、例えば酸窒化ケイ素を含むガスバリア層の成膜には、ケイ素の酸化物と窒化物を原材料とするRFスパッタリング法や、ケイ素を含むターゲットを用いプロセス中に酸素や窒素等の反応性ガスを導入するDCスパッタリング法等が用いられる。
以上のようにして透明複合基板1が得られる。
以上、本発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば透明複合基板および表示素子基板には、任意の構成物が付加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.透明複合基板の製造
(実施例1)
(1)ガラスクロスの用意
まず、100mm四方のNEガラス系ガラスクロス(平均厚さ95μm、平均線径9μm、屈折率1.510)を用意した。そして、これをベンジルアルコール(屈折率1.54)に浸漬した後、そのベンジルアルコールにアセトキシエトキシエタン(屈折率1.406)を少量ずつ添加し、ベンジルアルコールの屈折率を変化させる度に、ガラスクロスを蛍光灯にかざし、ガラスクロスが実質的に透明になったか否かを確認した。そして、最初に実質的に透明になった部分が現れた際の混合液の屈折率と、最後に実質的に透明になった部分が現れた際の混合液の屈折率を測定し、その測定値をガラスクロスの屈折率差とした。また、最も透明部分の面積が大きい時の混合液の屈折率を平均屈折率とした。結果を表1に示す。
また、このガラスクロスは、MD方向の1インチ幅当たりの縦方向ガラスヤーンの本数は58本であり、TD方向の1インチ幅当たりの横方向ガラスヤーンの本数は50本であった。すなわち、TD方向の1インチ幅当たりの横方向ガラスヤーンの本数を1としたとき、MD方向の1インチ幅当たりの縦方向ガラスヤーンの本数の比は1.16であった。
また、このガラスクロスは、TD方向の1インチ幅当たりのガラスヤーン中のガラス成分の断面積を1としたとき、MD方向の1インチ幅当たりのガラスヤーン中のガラス成分の断面積の比は1.35であった。
また、ガラスクロスのガラス繊維束の撚り数は、MD方向1インチ長さ当たり1.0、TD方向1インチ長さ当たり1.0であった。
(2)樹脂ワニスの調製
次に、上記化学式(2)の構造を有し、式中の「−X−」が「−C(CH−」である脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製、E−DOA、Tg:>250℃)と、シルセスキオキサン(東亞合成株式会社製、OX−SQ−H)と、光カチオン重合開始剤(株式会社ADEKA製、SP−170)と、溶剤(メチルイソブチルケトン)と、を表1に示す割合で混合し、樹脂ワニスを調製した。E−DOAの架橋後の屈折率は1.513であり、架橋後の屈折率が1.47である。
(3)樹脂ワニスの含浸・硬化
次いで、得られた樹脂ワニスをガラスクロスに含浸させ、その後、脱泡処理を施し、さらに樹脂ワニスを乾燥させた。
続いて、このように樹脂ワニスを含浸させたガラスクロスを、離型処理を施した2枚のガラス板に挟み込み、高圧水銀灯にて1100mJ/cmの紫外線を照射した。さらに、250℃で2時間加熱することにより、平均厚さ97μm(ガラスクロス含有量65質量%)の複合層を得た。
(4)平滑層(中間層)の成膜
上記化学式(2)の構造を有し、式中の「−X−」が「−C(CH−」である脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製、E−DOA、Tg:>250℃)100質量部と、光カチオン重合開始剤(株式会社ADEKA製、SP−170)1質量部と、を混合し、被覆材料を調製した。次いで、バーコーターにより複合層の両面に塗布した後、高圧水銀灯にて1100mJ/cmの紫外線を照射した。さらに、250℃で2時間加熱することにより平均厚さ5μmの平滑層を成膜した。
(5)ガスバリア層の成膜
次いで、平滑層を成膜した複合層をRFスパッタリング装置のチャンバー内に載置した。そして、チャンバー内を減圧した後、Arガスを0.5Pa、Oガスを0.005Paの分圧で導入した。続いて、チャンバー内に載置されたSiターゲットと複合層との間に0.3kWのRF電力を印加して放電させた。そして、放電が安定したところでターゲットと複合層との間に設けていたシャッターを開き、SiOxNyで構成されたガスバリア層の成膜を開始した。その後、ガスバリア層の平均厚さが100nmになったところでシャッターを閉じ、成膜を終了した。そして、チャンバーを大気開放して、製造された透明複合基板を得た。
なお、樹脂材料の主成分である脂環式エポキシ樹脂の5%重量減少温度をTdとし、ガスバリア層を構成する無機材料の融点をTmとしたとき、Tm−Tdを算出し、表1に示す。
(実施例2〜9および比較例1〜8)
製造条件を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして透明複合基板を得た。基板の平均厚さは表1に示す。
また、実施例2、3、4および比較例2、3、7において用いた水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製、E−BP、Tg:>250℃)は、上記化学式(1)の構造を有するものである。なお、E−BPの架橋後の屈折率は1.522である。
また、実施例1、2、4、6、7、8、9および比較例1、2、6、8、9において用いたシルセスキオキサン(東亞合成株式会社製、OX−SQ−H)は、架橋後の屈折率が1.47である。
また、実施例3および比較例3、7において用いたTガラス系ガラスクロスは、平均厚さ95μm、平均線径9μm、屈折率1.522である。
なお、各実施例に用いたガラスクロスの、平均屈折率、屈折率差、TD方向の1インチ幅当たりのガラスヤーン中のガラス成分の断面積を1としたときのMD方向の1インチ幅当たりのガラスヤーン中のガラス成分の断面積の比、並びにガラス繊維束の撚り数については表1に示すとおりである。
また、実施例5および比較例4、5において用いたSガラス系ガラスクロスは、平均厚さ95μm、平均線径9μm、屈折率1.510である。
また、実施例5および比較例4、5において用いた脂環式アクリル樹脂(ダイセル・サイテック株式会社製、IRR−214K)は、架橋後の屈折率が1.529である。なお、樹脂ワニスを硬化させる際には、樹脂ワニスを含浸させたガラスクロスに対して波長365nmの紫外線を照射した。
また、実施例5および比較例4、5において用いた光ラジカル重合開始剤には、チバ・ジャパン株式会社製、イルガキュア184を用いた。
また、実施例3、7および比較例3、6、7において用いた熱カチオン重合開始剤には、三新化学工業株式会社製、SI−100Lを用いた。そして、樹脂ワニスを含浸させたガラスクロスを、離型処理を施した2枚のガラス板に挟み込み、80℃で2時間加熱後、250℃でさらに2時間加熱することにより複合層を得た。
また、実施例2におけるガスバリア層の平均厚さは50nm、実施例8におけるガスバリア層の平均厚さは250nmである。
(比較例9)
比較例9ではガラスクロスを使用しない以外は、実施例1と同様の材料を使用し、樹脂フィルムを作製した。なお、製造方法は、調整した樹脂ワニスを、離型処理されたガラス板に塗布してその樹脂組成物の液膜を形成した後、同じく離型処理されたガラス板をその液膜の上に乗せ、液膜をガラス板で挟み込んだ。なお、この際、ガラス板の間には、四辺に厚み100μmのスペーサ−を配置した。そして、この液膜に高圧水銀灯にて1100mJ/cmの紫外線を照射した。さらに、250℃で2時間加熱することにより、平均厚さ105μmの樹脂フィルムを得た。
2.透明複合基板の評価
2.1 湿度による寸法変化率の評価
各実施例および各比較例で得られた透明複合基板から100mm×100mmの試験片を切り出し、非接触画像測定機 S−QVH606(株式会社ミツトヨ製)にて25℃/50%の環境下でサンプルの四辺の寸法を測定した。次いで、25℃/90%/24時間の条件でサンプルを処理後、同じく四辺の寸法を測定し、吸湿処理に伴う試験片の寸法変化率を測定した。なお、寸法変化率の測定は、ガラスクロスの織組織にならい、MD方向とTD方向のそれぞれについて行った。測定結果を表1に示す。
2.2 ヘイズの評価
各実施例および各比較例で得られた透明複合基板について、100mmx100mmの試験片を切り出し、25℃/50%の環境下で均一に分散した9点を選択し、均一に分散した9点を選択し、各点についてそれぞれ濁度計(日本電色工業株式会社製、NDH2000)を用いJIS K 7136に準拠した条件でヘイズを測定した。そして、測定値の平均値をヘイズとした。
2.3 ヘイズ変化量の評価
次いで、25℃/90%/24時間の条件でサンプルを処理後、2.2に記載された測定部と同じ部分のヘイズを2.2記載の方法で測定し、2.2で測定したヘイズとの差を求めた。
2.4 ガスバリア性の評価
各実施例および各比較例で得られた透明複合基板について、JIS K 7129 Bに規定の水蒸気透過度およびJIS K 7126 Bに規定の酸素透過度を測定した。なお、測定条件は、表1に示す通りである。
2.5 耐摩耗性の評価
各実施例および各比較例で得られた透明複合基板について、JIS K 5600−5−4に規定の塗膜の機械的性質の試験方法(引っかき硬度(鉛筆法))に準拠して耐摩耗性を評価した。なお、耐摩耗性の評価は、測定した以下の評価基準にしたがって行った。
<耐摩耗性の評価基準>
A:引っかき硬度が2Hより硬い
B:引っかき硬度がFまたはHである
C:引っかき硬度がBより軟らかい
2.6 線膨張係数(CTE)の測定
各実施例および各比較例で得られた透明複合基板(比較例9については樹脂フィルム)から試験片を切り出し、その試験片をセイコー電子株式会社製のTMA/SS120C型熱応力歪測定装置にセットした。次に、窒素雰囲気下、無荷重で雰囲気温度を30℃から150℃まで5℃/分の昇温速度で上昇させた後、一旦0℃まで冷却した。そして、試験片に5gの荷重をかけて試験片を引っ張りながら、雰囲気温度を30℃から150℃まで5℃/分の昇温速度で上昇させ、平均線膨張係数の測定を行った。なお、ここではMD方向の線膨張係数を測定した。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2013129153
表1から明らかなように、各実施例で得られた透明複合基板は、ヘイズが小さく、また湿気処理を施してもヘイズ変化率は小さかった。また、各実施例で得られた透明複合基板は、織り方向によるCHE差(寸法変化の異方性)が小さかった。さらには、ガスバリア性も比較的良好であった。また、ガスバリア層を構成するケイ素化合物中の酸素原子および窒素原子の存在比を最適化することにより、耐摩耗性を高め得ることが認められた。
したがって、各実施例で得られた透明複合基板は、擦れ等に強く、表面の耐摩耗性に優れていることも明らかとなった。
一方、各比較例で得られた透明複合基板には、ヘイズが大きいものが含まれていた。また、湿気処理に伴ってヘイズが大きく変化するものも含まれていた。さらに、各比較例で得られた透明複合基板は、製造直後にヘイズが小さくても、湿気処理のような加速試験を行うことで急速に悪化することが明らかとなった。この理由としては、ガラスクロスの屈折率差が大きい場合、湿気に対する劣化速度が著しく速いため、ヘイズの変化を引き起こすということが挙げられる。また、ガスバリア層としてケイ素化合物以外のものを用いた場合、摩耗試験に伴って光学特性が著しく悪化することが認められた。さらに、各比較例で得られた透明複合基板には、織り方向による寸法変化の差が大きいものが含まれており、かつ、ガスバリア性および表面の耐摩耗性が低いものも含まれていた。
以上のことから、複合層中のガラスクロスの屈折率差が0.01以下であり、かつ、透明複合基板のJIS K 7129 Bに規定された方法に基づいて測定される水蒸気透過度が0.1[g/m/day/40℃、90%RH]以下であることにより、過酷な環境下であっても光学特性を長期にわたって良好に維持し得ることが明らかとなった。
1 透明複合基板
2 ガラスクロス
2a 縦方向ガラスヤーン(第1ガラス繊維束)
2b 横方向ガラスヤーン(第2ガラス繊維束)
3 樹脂材料
4 複合層
5 ガスバリア層

Claims (10)

  1. ガラス繊維の集合体で構成され屈折率の最大値と最小値との差が0.01以下であるガラス布帛と、前記ガラス布帛に含浸した樹脂材料と、を有する複合層と、
    前記複合層上に設けられたガスバリア層と、を有し、
    JIS K 7129 Bに規定された方法に基づいて測定される水蒸気透過度が0.1[g/m/day/40℃、90%RH]以下であることを特徴とする透明複合基板。
  2. 前記ガラス布帛は、第1方向に配向する複数の前記ガラス繊維を束ねてなる第1ガラス繊維束と、前記第1ガラス繊維束に織り込まれる第2ガラス繊維束と、を有し、複数の前記第1ガラス繊維束と複数の前記第2ガラス繊維束とを織り込んでなるガラス織布であり、
    単位幅当たりの前記第2ガラス繊維束中のガラス成分の断面積に対する前記単位幅当たりの前記第1ガラス繊維束中のガラス成分の断面積の比は、1.04以上1.40以下である請求項1に記載の透明複合基板。
  3. 前記第1ガラス繊維束および前記第2ガラス繊維束は、ガラス成分の断面積が互いに実質的に等しいものであり、
    単位幅当たりの前記第2ガラス繊維束の本数に対する前記単位幅当たりの前記第1ガラス繊維束の本数の比は、1.02以上1.18以下である請求項2に記載の透明複合基板。
  4. 前記第1ガラス繊維束および前記第2ガラス繊維束の撚り数は、それぞれ0.2〜2.0/インチ以下である請求項2または3に記載の透明複合基板。
  5. 当該透明複合基板は、30〜150℃の平均線膨張係数が20ppm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の透明複合基板。
  6. 前記無機材料は、SiOxNyで表され、xおよびyが1≦x≦2および0≦y≦1の関係を満足するケイ素化合物を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の透明複合基板。
  7. 前記ガスバリア層の平均厚さは、10〜500nmである請求項1ないし6のいずれかに記載の透明複合基板。
  8. 前記樹脂材料は、脂環式エポキシ樹脂を主成分とするものである請求項1ないし7のいずれかに記載の透明複合基板。
  9. 前記複合層と前記ガスバリア層との間に設けられ、樹脂材料で構成された中間層を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の透明複合基板。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の透明複合基板を備えることを特徴とする表示素子基板。
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