JP2013128198A - 光ファイバシステム、光ファイバ伝送システム及び光ファイバ伝送方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、光MIMO伝送において、モード間の群遅延差を補償し、多モード光ファイバの作製及び解析を容易にすることを目的とする。
【解決手段】本発明は、内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が正であるpDMDF3−1、3−3と、内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が負であるnDMDF3−2、3−4と、が混在することを特徴とする多モード光ファイバ3である。
【選択図】図2

Description

本発明は、伝送容量を拡大する光ファイバシステム、光ファイバ伝送システム及び光ファイバ伝送方法に関する。
光ファイバ通信システムでは、光ファイバ中で発生する非線形効果やファイバヒューズが問題となり、伝送の大容量化が制限されている。これらの制限を緩和するためには、光ファイバに導波する光の密度を低減する必要があり、非特許文献1、2に示すように大コア光ファイバが検討されている。
しかし、曲げ損失低減及び単一モード動作領域の拡大は実効断面積の拡大と互いにトレードオフの関係にあり、所定の条件下における実効断面積の拡大量には限界があるという課題があった。そこで、無線での大容量化技術であるMulti−input multi−output(MIMO)技術を光ファイバ伝送に適用する試みが行われている(例えば、非特許文献3、4)。光MIMO技術は伝送媒体として多モード光ファイバを用い、伝送容量を拡大できるとともに、先に述べた大コア光ファイバで制限要因であった単一モード動作条件が不要になるため、さらなる大コア化が可能であることも特徴である。
光MIMOを用いた光ファイバ伝送では、モード間の群遅延差が大きくなると、信号の復元に必要なデジタル処理が複雑になり、伝送距離が十数kmに制限されている。そこで、モード間の群遅延差を補償する光ファイバ伝送路が提案されている(例えば、非特許文献5)。
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しかしながら、非特許文献5ではグレーデッドインデックス型の屈折率分布を有する光ファイバを用いており、軸方向に屈折率を連続的に制御する必要があるため作製が困難であるという課題があった。また、光ファイバの特性を求めるための数値計算においても、連続的に屈折率が変化しているため、多層分割法や有限要素法を用いた解析においても計算量が増加するという課題があった。
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、光MIMO伝送において、モード間の群遅延差を補償し、多モード光ファイバの作製及び解析を容易にすることを目的とする。
内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有するようにした。そして、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が正である正群遅延差多モード光ファイバと、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が負である負群遅延差多モード光ファイバが、光ファイバシステムにおいて混在するようにした。
具体的には、本発明は、内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が正である正群遅延差多モード光ファイバと、内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が負である負群遅延差多モード光ファイバと、が混在することを特徴とする光ファイバシステムである。
また、本発明は、光信号を送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機と、前記N個の光送信機からの光信号を結合する伝搬モード比率が異なるように合波する合波器と、前記合波器からの光信号を伝搬し、複数の伝搬モードを有する上述の光ファイバシステムと、前記光ファイバシステムからの光信号をそれぞれ異なる分岐比で分波する分波器と、前記分波器からの光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、前記M個の光受信機からの光信号をN個に分離するFIR等化器と、を備える光ファイバ伝送システムである。
また、本発明は、N種(Nは2以上の整数)の光信号を送信し、送信された光信号を伝搬モードが異なるように合波し、内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が正である正群遅延差多モード光ファイバ、及び内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が負である負群遅延差多モード光ファイバが混在する光ファイバシステムを利用して、結合する伝搬モード比率が異なるように合波された光信号を伝搬した後、伝搬された光信号をそれぞれ異なる分岐比でM種(MはN以上の整数)の光信号に分波し、分波された光信号を受信し、受信された光信号をN種の光信号に分離する光ファイバ伝送方法である。
この構成によれば、光MIMO伝送において、モード間の群遅延差を低減し、多モード光ファイバの作製及び解析を容易にすることができる。
また、本発明は、前記正群遅延差多モード光ファイバにおける正の群遅延差及び前記負群遅延差多モード光ファイバにおける負の群遅延差が打ち消し合い、全体における群遅延差が補償されることを特徴とする光ファイバシステムである。
また、本発明は、前記正群遅延差多モード光ファイバにおける正の群遅延差及び前記負群遅延差多モード光ファイバにおける負の群遅延差が打ち消し合い、全体における群遅延差が補償されることを特徴とする光ファイバ伝送方法である。
この構成によれば、光MIMO伝送において、モード間の群遅延差を補償し、多モード光ファイバの作製及び解析を容易にすることができる。
本発明は、光MIMO伝送において、モード間の群遅延差を補償し、多モード光ファイバの作製及び解析を容易にすることができる。
本実施形態に係る光ファイバ伝送システムの一例を示す。 本実施形態に係る多モード光ファイバの構成例を示す。 本実施形態に係る多モード光ファイバの屈折率分布を示す。 本実施形態に係る多モード光ファイバのΔに対する群遅延差の特性を示す。 作製した多モード光ファイバの構造パラメータ及び光学特性を示す。 pDMDF及びnDMDFのインパルス応答、及びこれらを接続した時のインパルス応答を示す。 作製した多モード光ファイバの群遅延差の波長依存性を示す。 本実施形態に係る光ファイバ伝送システムを用いたMIMO伝送実験系を示す。 MIMO伝送実験系における復元信号のコンスタレーションを示す。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
図1は、提案する光ファイバ伝送システムの概略図である。N個(Nは2以上の整数)の送信機1−1、1−2、・・・、1−Nから発せられるN種の信号は合波器2において結合する伝搬モード比率が異なるように合波される。合波された信号光は多モード光ファイバ3中に入射され、出射側に設置された分波器4においてそれぞれ異なる分岐比でMポート(MはN以上の整数)に分波される。分波されたM種の信号はM個の受信機5−1、5−2、・・・、5−Mで受信され、後段に設置されたFIR等化器6において多モード光ファイバ3で受けた信号劣化を補償する構成となる。本構成はN入力M出力のMIMO伝送であり、N種の信号の並列伝送が可能である。
なお、FIR等化器6では、モード分散、波長分散、偏波分散の補償も可能である。また、受信信号の電界振幅・位相情報を取得するためには、局発光源、90°ハイブリッド、バランスレシーバ、アナログデジタルコンバータ、計算器で構成される受信機5−1、5−2、・・・、5−Mを用いればよい(例えば、非特許文献6)。
FIR等化器6は、多モード光ファイバ3中で発生する線形歪を補償することができ、タップの遅延量・係数を適切に設定することで、多モード光ファイバ3中で発生する他送信機1からの混信、モード分散、波長分散、偏波分散による信号劣化を補償することができる。ただし、モード分散による信号劣化を補償する場合、基本モード及び高次モードの群遅延差が大きくなると、補償に必要な計算量が膨大になるため、基本モード及び高次モードの群遅延差を小さくする必要がある。
そこで、図2に示す多モード光ファイバ3を用いる。群遅延差(DMD:differential mode delay)は、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算したものである。多モード光ファイバ3は、群遅延差が正であるpositive differential mode delay fiber(pDMDF) 3−1、3−3と、群遅延差が負であるnegative differential mode delay fiber(nDMDF) 3−2、3−4と、から構成される。pDMDF3−1、3−3では、光信号の伝搬に従い群遅延差は大きくなり、nDMDF3−2、3−4では、光信号の伝搬に従い群遅延差は小さくなる。多モード光ファイバ3全体で、受信機5−1、5−2、・・・、5−Mでの群遅延差を補償することができる。
本伝送路に用いる多モード光ファイバ3は、図3に示す階段型の屈折率分布を有する。ここで、内側コア33及び外側コア32について、半径をそれぞれa、a(a<a)とし、クラッド31に対する比屈折率差をそれぞれΔ、Δ(Δ>Δ)とする。屈折率分布を階段型分布とすることで、グレーデッド型分布とする場合と比較し、多モード光ファイバ3のより簡易な製造が可能である利点、及び多層分割法を用いる際により少ない計算時間で多モード光ファイバ3の特性を解析することができる利点を有する。ここで、多層分割法とは、非特許文献7に示されているように、多モード光ファイバ3を多層に分割し、各層内では屈折率分布が一定であるという前提で計算する手法である。
グレーデッドインデックス型光ファイバを解析する場合は、各層内では屈折率分布が一定であるとみなしても計算に大きな誤差が生じないように、ある程度多くの領域(層)に分割する必要がある。しかしながら、分割数が多くなれば解析に必要な計算量が増加してしまう。これに対し、階段型光ファイバを解析する場合は、図3に示す屈折率分布においては、3層に分割すればよいので、非常に少ない分割数で光ファイバを解析することができる。
また、グレーデッドインデックス型光ファイバの場合は屈折率分布を軸方向に連続的に変化させなければならないが、階段型光ファイバの場合は各領域(層)で屈折率を一定にすればよいことから、安定して光ファイバを作製することができる利点も有する。
本形態では、コアの段数を2段としているが、変形例として、コアの段数を3段以上としてもよい。しかし、多モード光ファイバ3の作製及び解析を容易にするためには、コアの段数を少なくすることが望ましく2段にすることが望ましい。
図4は、Δ−ΔであるΔに対する、基本モード及び第一高次モードの群遅延差の変化を計算したものである。計算結果を実線で示している。なお、a=4μm、a/a=2.25、Δ=0.4%、λ=1550nmとしている。Δを大きくすると、群遅延差が正から負になることがわかる。つまり、Δを適宜調整することで、pDMDF3−1、3−3及びnDMDF3−2、3−4を設計することができることがわかる。
また、その時の基本モード及び第一高次モードの実効屈折率差であるΔneffを図中に破線で示す。Δneffは、モード間クロストークの量に関係しており、Δneffの値が大きいとモード間クロストークが低減できる。図4からわかるとおり、DMDの変化に伴い、Δneffの急激な変化は見られず、DMDの制御がモード間クロストークの量に与える影響は少ない。
図5は、製造したpDMDF3−1、3−3及びnDMDF3−2、3−4の構造パラメータ及び光学特性を示している。全ての光ファイバにおいて、第二高次モードであるLP21モードの遮断波長は1270nm以下であり、また第一高次モードであるLP11モードの遮断波長は1600nm以上であることから、全ての光ファイバが少なくとも波長1270〜1600nmの範囲で、基本モード及び第一高次モードの2つの伝搬モードを有しており、Δを変化させることで群遅延差を正又は負に制御している。測定した曲げ損失αBLは、G.656の規定である曲げ半径30mmにおいて0.5dB/100turn以下を満たしている。
図6は、pDMDF3−1及びnDMDF3−2のインパルス応答であり、それぞれ、波形(a)及び波形(b)で示す。入射したパルスは100ps幅である。測定した波形には、基本モードとして伝搬したパルス及び高次モードとして伝搬したパルスの2つが観測された。pDMDF3−1及びnDMDF3−2を融着し、インパルス応答を測定すると、波形(c)に観測されるように、正しく群遅延差が補償されパルスが1つになっていることがわかる。つまり、本発明の光ファイバ伝送システムが階段型屈折率分布を有する多モード光ファイバ3を用いて実現可能であることがわかった。
図7は、群遅延差の波長依存性を示したものである。pDMDF3−1、nDMDF3−2、pDMDF3−3、nDMDF3−4の4種のファイバ(長さ:5.1km)について測定した結果、及び4種の光ファイバを全て接続した光ファイバ(延べ長さ:20.4km)について得られた結果(波形All)を示している。波長1530〜1625nmにおいて、5.1kmの長さの4種の光ファイバを接続した延べ20.4kmの光ファイバを伝搬した後であっても、最大でも111psの群遅延差に抑えることができる。
上記の20.4kmの光ファイバを用いて、MIMO伝送実験を行った。実験系を図8に示す。レーザー11から発せられた光は2つに分岐され、それぞれ別のBPSK変調器12−1、12−2において、別の信号系列NRZ PRBS Signal1、2によって、10Gb/s BPSK信号に変調される。その後、偏波コントローラ13を経て合波器2において合波され、20.4kmの多モード光ファイバ3に入射される。なお、多モード光ファイバ3はpDMDF3−1、nDMDF3−2、pDMDF3−3、nDMDF3−4の順で接続されている。伝搬後の信号は、分波器4及び偏波コントローラ52を経て、局発光源51及び受信機53−1、53−2によるデジタルコヒーレント受信により電界の振幅と位相情報を取得される。オシロスコープ61でデータを蓄積したのちにPC等のプロセッサ62にデータを転送する。その後、プロセッサ62でデジタル処理が行われる。信号の復元(二つの信号への分離)には、非特許文献8のFig.1に記載のDecision feed−back equalizer(DFE)を用いた。
復元された信号のコンスタレーションマップを図9に示している。波長1530nm、1570nm、1600nmの信号について、2つの系列の信号がそれぞれ全て正しく復元されている。用いたDFEのタップ数は、5個である。つまり、数十kmの伝送に対して数タップのDFEで復元できることから、多モード光ファイバ3を用いることで受信後のデジタル処理の負荷が軽減できる。
本発明に係る光ファイバシステム、光ファイバ伝送システム及び光ファイバ伝送方法は、光ファイバ中の非線形現象の抑圧、及びモードの利用による大容量・長距離通信を実現するうえで、光ファイバの作製及び解析を容易にすることができる。
1:送信機
2:合波器
3:多モード光ファイバ
4:分波器
5:受信機
6:FIR等化器
11:レーザー
12:BPSK変調器
13:偏波コントローラ
31:クラッド
32:外側コア
33:内側コア
51:局発光源
52:偏波コントローラ
53:受信機
61:オシロスコープ
62:プロセッサ

Claims (5)

  1. 内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が正である正群遅延差多モード光ファイバと、
    内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が負である負群遅延差多モード光ファイバと、
    が混在することを特徴とする光ファイバシステム。
  2. 前記正群遅延差多モード光ファイバにおける正の群遅延差及び前記負群遅延差多モード光ファイバにおける負の群遅延差が打ち消し合い、全体における群遅延差が補償されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバシステム。
  3. 光信号を送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機と、
    前記N個の光送信機からの光信号を結合する伝搬モード比率が異なるように合波する合波器と、
    前記合波器からの光信号を伝搬し、複数の伝搬モードを有する請求項1又は2に記載の光ファイバシステムと、
    前記光ファイバシステムからの光信号をそれぞれ異なる分岐比で分波する分波器と、
    前記分波器からの光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、
    前記M個の光受信機からの光信号をN個に分離するFIR等化器と、
    を備える光ファイバ伝送システム。
  4. N種(Nは2以上の整数)の光信号を送信し、
    送信された光信号を伝搬モードが異なるように合波し、
    内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が正である正群遅延差多モード光ファイバ、及び内側コア及び外側コアが階段型の屈折率分布を有し、内側コアの比屈折率差は外側コアの比屈折率差より大きく、高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を減算した群遅延差が負である負群遅延差多モード光ファイバが混在する光ファイバシステムを利用して、結合する伝搬モード比率が異なるように合波された光信号を伝搬した後、
    伝搬された光信号をそれぞれ異なる分岐比でM種(MはN以上の整数)の光信号に分波し、
    分波された光信号を受信し、
    受信された光信号をN種の光信号に分離する光ファイバ伝送方法。
  5. 前記正群遅延差多モード光ファイバにおける正の群遅延差及び前記負群遅延差多モード光ファイバにおける負の群遅延差が打ち消し合い、全体における群遅延差が補償されることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ伝送方法。
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