JP2013127254A - 送風機及びその送風機を備えた空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、ケーシング拡大曲線を好適な範囲で特定することで、騒音の発生を抑えると共に送風性能を高めることができるようにした送風機を提供することを目的とする。
【解決手段】この発明に係る送風機は、筐体と、筐体に内包されたファンと、ファンに隣接して背面側に設けられたケーシングと、ファンに隣接して前面側に設けられ、循環渦を定在化するスタビライザと、で構成され、ケーシングの拡大風路がなす曲線とクロスフローファンの回転中心からケーシングの拡大風路の開始部とを結ぶ長さr0の線分とクロスフローファンの回転中心の中心角が線分から90度となる直線とで囲まれた面積である拡大風路面積を、半径をr0とし、中心角90度となる扇型の面積で割った比である拡大面積比が1.416≧τ≧1.466で規定される関係を有するように構成してなることを特徴とする。
【選択図】図9
【解決手段】この発明に係る送風機は、筐体と、筐体に内包されたファンと、ファンに隣接して背面側に設けられたケーシングと、ファンに隣接して前面側に設けられ、循環渦を定在化するスタビライザと、で構成され、ケーシングの拡大風路がなす曲線とクロスフローファンの回転中心からケーシングの拡大風路の開始部とを結ぶ長さr0の線分とクロスフローファンの回転中心の中心角が線分から90度となる直線とで囲まれた面積である拡大風路面積を、半径をr0とし、中心角90度となる扇型の面積で割った比である拡大面積比が1.416≧τ≧1.466で規定される関係を有するように構成してなることを特徴とする。
【選択図】図9
Description
本発明は、送風機及び該送風機を具備した空気調和機に関し、詳しくは筐体及び該筐体に内包されたクロスフローファン(貫流ファン、以下クロスフローファンとのみ記載)の翼(ブレード、以下ブレードと記載する場合もある)と、送風機に隣接して設けた気流を導くケーシングの形状に関するものである。
一般に貫流型送風機は空気調和機の送風機構としてよく用いられ、筐体と、筐体に内包されたクロスフローファンと、クロスフローファンに隣接して背面側に設けた気流を導くケーシングとクロスフローファンに隣接して前面側に設けた循環渦を定在化するスタビライザとで構成されている。
このような空気調和機の送風機構として用いられるときは、その筐体は略直方体であることが多く、筐体を支持するための複数の剛性面と、空気の吹出口(以下、排気口とも記載する)を設けた少なくとも一つの吹出面、空気の吸込口(以下、吸気口とも記載する)を設けた少なくとも一つの吸込面とで構成され、面数の合計が6となるよう各面を設定する。
この場合、筐体の剛性が高く荷重を安定して保持できることから、直方体の最大面積を有する面を剛性面とすることが多い。空気の吸込口は、吸気効率の面から出来る限り広い方が望ましい。このため、最大面積を有する剛体面に対向する面と、次に大きな面積を有する面の2つの面とを吸込面とすることが一般的である。また、通常は吸込口に格子状のグリルが設けられ、内部構造を隠すと共に、手先の侵入を防止する。
なお、2番目に大きな面積を有するもう一つの面に空気の吹出口を設け、最小面積を有する2つの面は剛性面とすることが一般的である。このような貫流型送風機では、筐体の上面及び前面の空気の吸込口からの空気がフィルタや熱交換器などの損失体を通過しクロスフローファンへと流れ込み、クロスフローファン内部で全圧上昇し、その空気がケーシング側へ吹き出される。高風量が得られない場合には、クロスフローファンの回転数を上昇させる必要があり、結果として騒音の上昇につながる。
そこで、リアガイダによるリアギャップとフロントガイダによるフロントギャップの位置関係、およびクロスフローファンの回転中心とリアギャップを結んだ線と、水平線とのなす角度を特定すると共に、フロントガイダの舌部の位置を特定することにより、騒音の発生を抑えると共に送風性能を高めることができるようにした空気調和機の発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、両側の端板および中間部の支持板により、複数のブレードが保持された羽根車を複数個連結させてなるクロスフローファンにおいて、外周羽根角度Βo、内周羽根角度Βi、羽根枚数Z、節弦比Τとした時に、高風量・高圧力で、かつ、低騒音となるためのクロスフローファン外周羽根角度Βoと内側羽根角度Βiと羽根枚数Zと節弦比Τとの関係を示した発明が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、クロスフローファンと、このクロスフローファンの吸込側流路と吹出側流路を分離するスタビライザとを有する空気調和機において、スタビライザにクロスフローファンの回転方向に延びて形成され、クロスフローファンとの対向面がクロスフローファンの回転方向へ向け徐々にクロスフローファン外周円との隙間が小さくなるように形成された舌部と、クロスフローファン外周円と舌部の隙間が最小となる舌部先端部にクロスフローファン内部へ向け突出して形成され、クロスフローファンとの最小隙間部となるファン軸方向に直交する断面形状が略三角形の突起部とを備え、突起部の舌部のクロスフローファン対向面からの突出高さHsが、クロスフローファン外周円と舌部のクロスフローファン対向面との最小隙間寸法G1に対し25〜35%とし、突起部の頂角が50〜75゜となるようにしたものが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、上記従来の送風機はすべて、吸気口の面積をできる限り大きくとった場合についての発明であり、このような従来の送風機において、筐体上面及び前面に設けた空気の吸込口の幅をAとし、クロスフローファンの直径をDとし、クロスフローファンのサイズファクターδをδ=A/Dと定義した場合、筐体上面及び前面に設けた空気の吸込口の幅Aがクロスフローファン半径Dに対して十分大きく、通常クロスフローファンのサイズファクターδが3〜4程度となり、クロスフローファンへの空気の流入に際して、過大な負圧や偏流が空気の吸込口から生じることが無く安定した送風ができる。
ここで、筐体の前面は、美感において、需要者に与える影響が大きい。そのため、前面に吸気口を設けない構成が強く要望されている。また製品の小型化に対する要望も強く、クロスフローファンのサイズファクターδを小さくする必要がある。
このような場合、上記従来の送風機の構成のまま吸気口を狭くすると、クロスフローファンへの空気の流入の際に、過大な負圧や偏流が生じることで流れが変容し、クロスフローファンの翼と気流の方向とのなす角度が大きくなる結果、翼の流体への運動量の伝達効率が低下し送風性能が低下すると共に圧力変動が増加し騒音も増大する。また、吸込口の狭小化の結果、クロスフローファンの翼から押し出される空気が吸込口側へと偏流しクロスフローファンの断面内の流れが不安定化する結果、気流がケーシング面法線方向に衝突して損失が増大する。本発明は、このような問題点を解決し、空気の吸込口が狭小な場合でも、高風量及び高圧力で、かつ、低騒音のクロスフローファンを備えた送風機を提供するものである。
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ケーシング拡大曲線を好適な範囲で特定することで、騒音の発生を抑えると共に送風性能を高めることができるようにした送風機を提供することにある。
この発明に係る送風機は、吸気口及び排気口を有する筐体と、筐体内に配置されたクロスフローファンと、クロスフローファンに対し背面側に設けられ、排気口の一部を構成するケーシングと、クロスフローファンに対し前面側に設けられ、ケーシングと対向し、排気口の一部を構成するスタビライザとを備えた送風機において、ケーシングの拡大風路がなす曲線とクロスフローファンの回転中心からケーシングの拡大風路の開始部とを結ぶ長さr0の線分とクロスフローファンの回転中心の中心角が線分から90度となる直線とで囲まれた面積である拡大風路面積を、半径をr0とし、中心角90度となる扇型の面積で割った比である拡大面積比が1.416≧τ≧1.466で規定される関係を有するように構成してなることを特徴としている。
本発明によれば、騒音の発生を抑えると共に送風性能を高めることができるような送風機を構成することができる。
実施の形態1.
次に、図面を用いて、この発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
次に、図面を用いて、この発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
図1は、この発明の実施の形態1に係る送風機を備えた空気調和機の断面図である。また、図2は、この発明の実施の形態1に係る送風機を備えた空気調和機の斜視図である。図において、筐体1は、筐体の前部に位置し、筐体を支持する複数の剛性面の一つである前面パネル1aと、前面パネル1aと対向する位置に設けられた他の剛性面の一つである後面パネル1bと、筐体の上部に位置し、空気の吸込口4を設けた吸込面である上面パネル1cと、上面パネル1cと対向する位置に設けられ、空気の吹出口8を設けた吹出面である下面パネル1dと、筐体の側部に位置し、筐体を支持する複数の剛性面の一つである左右の側面パネル1e及び1fとから構成される。
ファン回転方向へ向いた複数の翼(ブレード)を有するクロスフローファン2は、筐体1に内包して配置され、クロスフローファン2の吸込気流側にハ字状に配置した熱交換器3が設けられ、空気の吸込口4に設けられた吸い込みグリル5の隙間からフィルタ6を通して、外部から吸い込まれた空気の温度を制御する。ケーシング7は、下面パネル1d側に向かうに従い拡大しながら、クロスフローファン2の略後面下流側に位置し熱交換器3で熱交換された空気を室内へ送風するための吹出口8へ向けた吹出側流路を構成する。スタビライザ9は、クロスフローファン2の略前面下部に近接対向して位置し、クロスフローファン2の吸込側流路と吹出側流路を分離する。なお、Aは吸気口4のクロスフローファン2の回転軸と略直角をなす方向の最大吸気幅、Dはファン径を示す。
上記のように構成されたクロスフローファンを備えた送風機において、図1及び図2に示すように、前面パネル1aはフィルタ6を取り外し可能とするために脱着可能に設置するが送風時においては図で示す位置に固定した状態である。送風機を運転する場合、クロスフローファン2は時計周りに回転し、クロスフローファン2が回転すると、空気の吸込口4に設けられた吸い込みグリル5の隙間から室内の空気を吸い込み、空気中の大きなホコリをフィルタ6で除去した後、熱交換器3を前面側と後面側とに分かれて通過する。熱交換器3を通過した空気は冷却または加熱され、その後クロスフローファン2に吸い込まれる。そしてクロスフローファン2からケーシング7の面に吹き出され空気は、筐体1の斜め下方に向いた吹出口8へ向け送られ室内に放出される。
図3は、この発明の実施の形態1の送風機に係るクロスフローファン周辺の拡大断面図である。また、図4は、この発明の実施の形態1の送風機に係るクロスフローファンの1枚の翼を示した断面図である。図3において、クロスフローファン2は複数枚、ここでは35枚の翼10によって構成され、翼10の各々の間隔は、均等でも不均等でもランダムでもかまわないが、送風効率が良い構成とする必要がある。
図4において、Bの矢印は回転方向、Cの点線は翼外周側の軌跡、Eの点線は翼内周側の軌跡を示す。翼10は、略円弧状の翼外側面10aと、略円弧状の翼内側面10bとで構成され、その回転方向に翼内側面10bが向くように配置する。このとき翼10の先端側の軌跡である翼外周側の軌跡の翼10の先端部における接線と、翼外側面10aがなす円弧の先端の点における接線とがなす角度を外周羽根流入角βとする。
図5は、この発明の実施の形態1の送風機において、吸気口4のクロスフローファン2の回転軸と略直角をなす方向の最大吸気幅をA、クロスフローファン2の直径をDとしたときに、外周羽根流入角βが、β=(A/D)×γ(ラジアン)、ただしA/D≦2、とした場合の送風効率を増大させるγを実験計画法に基づく直交実験によって探索し、実施の形態の中でもっとも効率が高かった値に対する百分率で比較した結果を示した図である。図において、縦軸は性能比(%)、横軸はγの値を示す。ここで、Fは、この発明の実施の形態1の送風機における好適なγの範囲を示す。
実験計画法に基づく直交実験では、総当り実験に相当する実験を、複数因子を均等変化させて実験することで、効果の大きな因子のみを抽出する直交表による実験方法を実施する。直交実験によって得られる最適値の信頼性は、分散分析によって確認し、F検定を実施することでその危険率から統計的に裏付けられる。この発明の実施の形態1では、風路と翼の効率に寄与する形状の因子を、L18直交表と呼ばれる8つの因子の分析を18個の実験から実施し、4374通りの推定を行った。この方法によりγの最適値が0.4≧γ≧0.3の範囲になるように構成すればよいことを確認した。F検定から危険率を検証すると1%以下であり、99%統計的に信頼しうることを確認した。
従来技術では、気流の流れに対しファンのブレードと流れが急角度をなし流体への運動量の伝達効率が低下することを防止する観点から、通常γ=0.28以下である。すなわち、(A/D)が最小の1近傍を取ったとき、γ=0.28以下となるβは0.28以下である。βは16.1度以下である。外周羽根流入角βが20未満となると、翼が流体への運動量の伝達が著しく低減し回転数を増加させなければならないため通常γ=0.28以下の送風機は構成しない。
また、γ=0.43以上である場合は、βが非常に大きな値をとるか、(A/D)が非常に小さな値をとる場合であるが、仮に(A/D)が最大値の2を取ったとき、γ=0.43以上となるβは0.86ラジアン以上となり、外周羽根流入角βは49.3度以上である。この場合、気流に対し、ファンのブレードとの角度が急角度をなし流体への運動量の伝達効率が低下する。
一方、(A/D)が最小値を取るとき、仮に(A/D)=1であれば、吸気口の幅Aとファン径Dが同一となる。一般に流体機械の風路幅は、縮流や拡大流による損失を避けるため一定であることが望ましく、このような観点から見ると吸気口の幅Aはファン径Dの円周の長さの半分程度が望ましく、その値はA=π(円周率≒3.14)×D、すなわち(A/D)=πである。縮流や拡大流による損失は流速の2乗で増加するため、(A/D)=1とした場合には風路幅が一定である場合と比べπの2乗の損失(9.87倍)となり機械として成立が困難である。従って、通常γ=0.43以上となるような送風機は存在しない。
図6は、この発明の実施の形態1の送風機において、例えば、δ=A/D=1.7とし、β=δ×γ=1.675×0.3=0.55(ラジアン)とした場合の気流全圧分布図を示す。図において、点線Gで囲まれた部分が送風の阻害された部位を示す。従来の送風機では、送風を阻害する定在渦がスタビライザ9とクロスフローファン2の中心軸を結ぶ領域から著しくケーシング7側に存在することで性能が低下していたが、本実施の形態では定在渦がスタビライザ9とクロスフローファン2の中心軸を結ぶ領域におよそ位置するよう変化し送風が阻害されない流れ場を形成できる。
図7はクロスフローファンの軸動力と流体エネルギーの関係を示し、傾きが大きいほど送風効率が高いことを示すものである。図において、縦軸は流体エネルギー(W)、横軸は軸動力(W)を示す。ここで、この発明の実施の形態1の送風機では、従来の送風機に比べ傾きが大きいことを示す。図6の流れ場の改善効果を実験によって確認した結果、従来技術に対して大きな送風効率を得ることが確認できる。ここで、同じ送風量を得る場合には回転数を低くすることができ、結果として騒音の改善にもつながることが確認できる。
この発明の実施の形態1に示すδ=A/Dが2以下であるような空気の吸込口4が狭小な送風機の構成において、クロスフローファン2の翼10の外周羽根流入角βを好適な範囲で設定することで、クロスフローファン2の翼10と気流の進行方向のなす角度を最適化し、結果、翼10の流体への運動量の伝達効率及び送風性能が向上し、また、その結果入力エネルギーを押さえることが出来るため騒音や振動が低減する。この発明の実施の形態1では、空気調和機について説明したが、他の機器で熱交換器やフィルタを有しない送風機構を有するものであっても同等の効果が得られる。
実施の形態2.
前記実施の形態1では、空気の吸込口が狭小な場合に、騒音の発生を抑えると共に送風性能を高めることができるような送風機の構成を、外周羽根流入角βの範囲について規定することにより開示したが、この発明の実施の形態2では、上記送風機の構成をケーシングの拡大風路の曲線の開始部からの角度をθとしたとき、クロスフローファンの回転中心からの距離と角度とを基準とし定まる関数r(θ)により規定する。
実施の形態2.
前記実施の形態1では、空気の吸込口が狭小な場合に、騒音の発生を抑えると共に送風性能を高めることができるような送風機の構成を、外周羽根流入角βの範囲について規定することにより開示したが、この発明の実施の形態2では、上記送風機の構成をケーシングの拡大風路の曲線の開始部からの角度をθとしたとき、クロスフローファンの回転中心からの距離と角度とを基準とし定まる関数r(θ)により規定する。
図8は、この発明の実施の形態2の送風機に係るクロスフローファン周辺の拡大断面図である。なお、この発明の実施の形態2の送風機を備えた空気調和機の構成及び動作については、前記実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
図8において、ケーシング7は、筐体1の後面パネル1bと一体、または、後面パネル1bに取り付けられる形で形成され、クロスフローファン2の気流吹出し部側に沿って気流を導風するように略曲線状に設けられている。ケーシング7の形状(風路を構成する曲線)を特定する場合、クロスフローファン2の回転中心からケーシング7の拡大風路の曲線の開始部までの距離をr0、クロスフローファン2の開始部からの中心角をθとしたとき、クロスフローファン2の回転中心からの距離と角度を基準として、関数r(θ)=r0×exp(θ×ι)、ただしιは拡大面積比τに係る定数、により規定することができる。
図9は、拡大面積比τを示すためのこの発明の実施の形態2の送風機に係るクロスフローファン周辺の拡大断面図である。図において、拡大面積比τは、ケーシング7の拡大風路がなす曲線とクロスフローファン2の回転中心から開始部(ここで、開始部とは、ケーシング7の拡大風路の開始点を指し、クロスフローファン2の回転中心から空気の吸込口4方向に垂直な方向となす角度θ1が0≦θ1≦90の任意の角度で規定され、クロスフローファン2の回転中心からの距離がr0となる部分である)とを結ぶ線分とクロスフローファン2の回転中心を基準としてクロスフローファン2の回転中心から開始部とを結ぶ線分となす角度が90度となる直線が拡大風路曲線と交差する点とで囲まれた面積である拡大風路面積(A1+A2)を、クロスフローファン2の回転中心から半径r0とし、中心角90度となる扇型の面積(A2)で割った比率である。
すなわち、拡大面積比τは、拡大風路開始角度θ1、開始部からの角度がθとなるクロスフローファンの回転中心から空気の吸込口方向に垂直な方向となす角度θ2である領域における関数r(θ)と円における扇形部分の積分値の比として求まり、一般的には、拡大面積比τ=(exp(2×ι×θ2)−exp(2×ι×θ1))/(2×ι×(θ2−θ1))で示される。特にθ=90度とした場合には、拡大面積比τ=(exp(2×ι×π/2)−exp(2×ι×0))/(2×ι×π/2)で示される。
ここで、流体機械の技術分野において、関数r(θ)は対数らせんと呼ばれる一般的な風路形状を決定する関数である。関数r(θ)は非圧縮で損失なしの流れを仮定した連続の式と、角運動量保存則を解くときの拡大風路における流れ角一定の性質から導出した流線の式により導かれる関数である。
ケーシング7の気流の導風と動圧の静圧への変換を好適なものへ調整するためには、ιの値によって曲線の拡大度を変化する必要がある。しかし、前述したとおり非圧縮で損失なしの流れをもとに解いた式から導出した曲線では、現実的に損失がある流体機械の流れにおいては流線が完全には一致せず、一部に直線を設けることもある。従って、この発明の実施の形態2の送風機では、ケーシング7の形状をr(θ)では規定せず、拡大風路の性質として第一義的に重要である風路の拡大面積比として規定する。
図10は、この発明の実施の形態2の送風機において、クロスフローファン2との最接近部分を開始部とし、クロスフローファン2の回転中心から開始部までの距離をr0、クロスフローファン2の開始部からの回転中心角をθとしたとき、クロスフローファン2の回転中心からの距離と角度を基準として、関数r(θ)=r0×exp(θ×ι)、ただしιは拡大面積比τに係る定数とした場合の送風効率を増大させるτを実験計画法に基づく直交実験によって探索し、実施の形態の中でもっとも効率が高かった値に対する百分率で比較した結果を示した図である。図において、図において、縦軸は性能比(%)、横軸はτの値を示す。ここで、Hは、この発明の実施の形態2の送風機における好適なτの範囲を示す。
実験計画法に基づく直交実験では、総当り実験に相当する実験を、複数因子を均等変化させて実験することで、効果の大きな因子のみを抽出する直交表による実験方法を実施する。直交実験によって得られる最適値の信頼性は、分散分析によって確認し、F検定を実施することでその危険率から統計的に裏付けられる。この発明の実施の形態2では、風路とケーシングの効率に寄与する形状の因子を、L18直交表と呼ばれる8つの因子の分析を18個の実験から実施し、4374通りの推定を行った。この方法により、τを導くためのιの最適値を確認したところ、0.21≧ι≧0.23の範囲になるように構成すればよいことが確認された。F検定から危険率を検証すると1%以下であり、99%統計的に信頼しうることを確認した。
上記ιの結果を元に送風効率を増大させる拡大面積比τの範囲について実験計画法に基づく直交実験を根拠とし、効率を百分率で比較した結果、従来技術では、ι=0.2あるいは0.3程度であるため、τは、1.39又は1.66であり、この発明の実施の形態2の送風機の60%程度の効率しか得られない。一方、この発明の実施の形態2の送風機では、拡大面積比τを1.416≧τ≧1.466の範囲とすることで、従来技術に対して大きな送風効率を得ることができ、同じ送風量を得る場合には回転数を低くすることで、結果として騒音の改善にもつながることができる。
図11は、この発明の実施の形態2の送風機において、δ=A/D=1.7とし、ι=0.21とした場合の気流全圧分布比較図を示す。図において、(a)がこの発明の実施の形態2の送風機の気流全圧分布を示し、(b)が従来技術の送風機の気流全圧分布を示す。従来技術では、クロスフローファン2から吹出した気流がケーシング7に沿うように流れが生じ、壁面での粘性損失によって大きく効率が低下するが、この発明の実施の形態2の送風機の構成では、気流がケーシング7とスタビライザ9との回転中心に最速部を持った損失の少ないポワズイユ流れに近い速度分布となり送風効率が改善する。
図12はクロスフローファン2の軸動力と流体エネルギーの関係を示し、傾きが大きいほど送風効率が高いことを示すものである。図において、縦軸は流体エネルギー(W)、横軸は軸動力(W)を示す。ここで、この発明の実施の形態2の送風機では、従来の送風機に比べ傾きが大きいことを示す。図11の流れ場の改善効果を実験によって確認した結果、従来技術に対して大きな送風効率を得ることが確認できる。ここで、同じ送風量を得る場合には回転数を低くすることができ、結果として騒音の改善にもつながることが確認できる。
上記実施の形態では、ケーシング7の曲線を対数螺旋とすることを中心に説明したが、本質的には風路の拡大率が重要であり、曲線は対数螺旋に限らず、直線区間を有するものであってもよい。風路の拡大開始部から90度をなす範囲においてクロスフローファン2の直径Dに対する拡大面積比τの好適な範囲を分析する。
この発明の実施の形態2に示す送風機の構成により、ケーシング拡大曲線を好適な範囲で設定することができ、クロスフローファン翼から吐き出された気流がケーシングへ衝突して損失となることが避けられ、クロスフローファンによって伝達された流体の運動量が損なわれず送風性能が向上し、また、その結果入力エネルギーを押さえることが出来るため騒音や振動が低減する。この発明の実施の形態2では送風機を備えた空気調和機について説明したが、熱交換器やフィルタを有しない送風機であっても同等の効果を有する。
1 筐体、1a 前面パネル、1b 後面パネル、1c 上面パネル、1d 下面パネル、1e 左側面パネル、1f 右側面パネル、2 クロスフローファン、3 熱交換器、4 吸込口、5 グリル、6 フィルタ、7 ケーシング、8 吹出口、9 スタビライザ、10 翼、10a 翼外側面、10b 翼内側面。
Claims (2)
- 吸気口及び排気口を有する筐体と、該筐体内に配置されたクロスフローファンと、該クロスフローファンに対し背面側に設けられ、上記排気口の一部を構成するケーシングと、上記クロスフローファンに対し前面側に設けられ、上記ケーシングと対向し、上記排気口の一部を構成するスタビライザとを備えた送風機において、上記ケーシングの拡大風路がなす曲線と上記クロスフローファンの回転中心から上記ケーシングの拡大風路の開始部とを結ぶ長さr0の線分と上記クロスフローファンの回転中心の中心角が上記線分から90度となる直線とで囲まれた面積である拡大風路面積を、半径をr0とし、中心角90度となる扇型の面積で割った比である拡大面積比が1.416≧τ≧1.466で規定される関係を有することを特徴とする送風機。
- 請求項1に記載の送風機を備えたことを特徴とする空気調和機。
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JP (1) | JP2013127254A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021088364A1 (zh) * | 2019-11-04 | 2021-05-14 | 珠海格力电器股份有限公司 | 室内机及具有其的空调器 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS60233392A (ja) * | 1984-05-07 | 1985-11-20 | Mitsubishi Electric Corp | 貫流形送風機 |
JPH11201081A (ja) * | 1998-01-19 | 1999-07-27 | Mitsubishi Electric Corp | 貫流送風機 |
JP2000220592A (ja) * | 1999-01-28 | 2000-08-08 | Pacific Ind Co Ltd | クロスフローファンのケーシング |
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2013
- 2013-01-28 JP JP2013012975A patent/JP2013127254A/ja active Pending
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