JP2013126121A - 色補正方法、印刷方法、色補正装置、及びプログラム - Google Patents

色補正方法、印刷方法、色補正装置、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】色の特性に合わせた色補正テーブルを設定する。
【解決手段】本発明に係る色補正方法は、階調値を変化させた複数のパッチを印刷することと、前記パッチそれぞれを測色し、各階調値に対応する色彩値を求めることと、前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定することと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、色補正方法、印刷方法、色補正装置、及びプログラムに関する。
階調値を変化させた複数のパッチを印刷し、前記パッチそれぞれを測色して各階調値に対応する色彩値を求め、この色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差が最小となるように色補正テーブルを設定する色補正方法が知られている(たとえば、特許文献1)。
特開2005−178180号公報
この色補正方法においては、色彩値と目標色彩値との間の色差が最小となるように色補正テーブルを設定する際、色差を求める色差式の各要素への重みが考慮されていなかった。このため、色の特性に合わせた色補正テーブルが設定されなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、色の特性に合わせた色補正テーブルを設定することにある。
上記課題を解決するための主たる発明は、
階調値を変化させた複数のパッチを印刷することと、
前記パッチそれぞれを測色し、各階調値に対応する色彩値を求めることと、
前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定することと、
を有することを特徴とする色補正方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
システム100の構成例を説明するブロック図である。 システム100の動作を説明する図である。 キャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。 パッチ画像を説明する図である。 階調値とL*との関係を示した図である。 階調値とa*との関係を示した図である。 階調値とb*との関係を示した図である。 実測した測定色彩値と目標色彩値をa*b*平面に投影した投影図である。 目標色彩値(L*)の変化量を説明する図である。 目標色彩値(a*及びb*)の変化量を説明する図である。 図8において破線で囲った部分の拡大図である。 色補正テーブルの一例を示す図である。 キャリブレーション処理の他の例を説明する図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
即ち、階調値を変化させた複数のパッチを印刷することと、
前記パッチそれぞれを測色し、各階調値に対応する色彩値を求めることと、
前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定することと、
を有することを特徴とする色補正方法である。
このような色補正方法によれば、色差式の各要素に対する重みを変えることで、色の特性に合わせた色補正テーブルを設定することができる。
また、かかる色補正方法であって、
液体の色ごとに階調値を変化させて前記パッチを印刷する場合には、前記重み付けを前記液体の色ごとに変更することとしてもよい。
このような色補正方法によれば、液体の各色の特性に合わせた色補正テーブルを設定することができる。
また、かかる色補正方法であって、
前記重み付けは、目標色彩値の変化量の総和に基づいて決定されることとしてもよい。
このような色補正方法によれば、各階調値の重み付け色差に対して、階調全体の色特性を一律に反映させることができる。
また、かかる色補正方法であって、
前記重み付けは、直近の階調値の目標色彩値に対する変化量に基づいて決定されることとしてもよい。
このような色補正方法によれば、各階調値について重み付け色差を算出する際に、各階調値の重み付け色差に対し階調間の色特性を個別に反映させることができる。
また、階調値を変化させた複数のパッチを印刷することと、
前記パッチそれぞれを測色し、各階調値に対応する色彩値を求めることと、
前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定することと、
画素ごとに階調値が設定された印刷画像を印刷する際に、前記色補正テーブルを参照して補正後の階調値を用いて前記印刷画像を印刷することと、
を有することを特徴とする印刷方法である。
このような印刷方法によれば、色差式の各要素に対する重みを変えることで、色の特性に合わせた色補正テーブルを設定することができる。
また、階調値を変化させた複数のパッチを印刷するヘッドと、
前記パッチそれぞれを測色し、各階調値に対応する色彩値を求めるための測色部と、
前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定するコントローラーと、
を有することを特徴とする色補正装置である。
このような色補正装置によれば、色差式の各要素に対する重みを変えることで、色の特性に合わせた色補正テーブルを設定することができる。
また、階調値を変化させた複数のパッチを印刷するヘッドと、前記パッチそれぞれを測色し各階調値に対応する色彩値を求めるための測色部と、コントローラーと、を有する色補正装置に、
前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定する処理を実行させるためのプログラムである。
このようなプログラムによれば、色差式の各要素に対する重みを変えることで、色の特性に合わせた色補正テーブルを設定することができる。
===実施の形態===
<<<システム100の構成について>>>
図1は、システム100の構成例を説明する図である。本実施形態のシステム100は、プリンター1と、コンピューター110と、測色機150と、を有する。
コンピューター110は、コントローラー120を有しており、プリンター1に印刷させる画像(画像データ)を圧縮してプリンター1へ送信する。
コントローラー120は、プリンター1に印刷させる画像データに関する各種処理を実行する等、コンピューター110の制御を行うための制御ユニットであり、インターフェース111と、CPU112と、メモリー113を有する。インターフェース111は、プリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU112は、コンピューター110の全体的な制御を行うための演算処理装置であり、当該コンピューター110にインストールされた各種プログラムを実行する。メモリー113は、CPU112が使用する各種のコンピュータープログラムやデータを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM、磁気ディスク装置等によって構成される。このメモリー113に格納されるコンピュータープログラムとしては、アプリケーションプログラムやプリンタードライバーがある。
プリンター1は、印刷用紙やフィルムシート等の複数種の媒体にインクを噴射して、該媒体に画像を形成する印刷装置であり、本実施形態ではインクジェットプリンターである。このプリンター1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、コントローラー60、駆動信号生成回路70を有する。プリンター1は、コントローラー60によって各ユニットが制御される。プリンター1は、コンピューター110から送信された圧縮後の画像データを受信し、その画像データを伸長し、各ユニットを制御して、媒体にその画像を印刷する。
コントローラー60は、インターフェース61と、CPU62と、メモリー63とを有し、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。搬送ユニット20は、媒体を搬送機構により搬送方向に搬送させるためのものである。キャリッジユニット30は、ヘッドをモーター駆動により移動方向に往復移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。たとえば、このキャリッジユニット30は、シアンC、マゼンダM、イエローY、ブラックK、ライトシアンlc、ライトマゼンダlmなど、各インクのカートリッジを搭載する。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッドにより媒体にインクを吐出するためのものである。ヘッドが移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットラインが媒体に形成される。検出器群50は、プリンター1の各部の情報を検出してコントローラー60に送る様々な検出器をあらわす。駆動信号生成回路70は、ヘッドに含まれるピエゾ素子などの駆動素子に印加してインク滴を噴射させるための駆動信号を生成する。
測色機150は、分光反射率が既知の光源で媒体を照射し、反射した反射光を受光することにより媒体の分光反射率を検出し、その色彩値(例えば、L*a*b*値)を出力するものである。すなわち、測色機150は、測色する対象(例えば、媒体に印刷されたパッチ)に色検出部を向けることにより、CIE規格におけるL*a*b*表色系に基づく複数の色成分L*、a*、b*の色成分量を検出して検出量に対応する色彩値(測色結果)L*、a*、b*を生成する。そして、この測色機150は、生成した色彩値L*、a*、b*をコンピューター110に対して出力する。ここで、L*a*b*色空間(所定の色空間)は、複数の色成分L*、a*、b*を色成分量とするデバイスに依存しない均等色空間である。なお、L*は明度(明るさ)を表し、a*、b*は色相・彩度を表す色座標である。また、測色する色空間は、XYZ色空間、Luv色空間、RGB色空間、等であってもよい。
<<<システム100の動作について>>>
図2は、システム100の動作を説明する図である。本実施形態のシステム100においては、印刷処理と、キャリブレーション処理と、色補正テーブルの作成処理が行われる。
<印刷処理>
プリンター1がコンピューター110から印刷データを受信すると、コントローラー60は、まず、搬送ユニット20を作動させ、印刷すべき媒体を搬送方向に送る。媒体は一定速度で搬送され、ヘッドユニット40を通過する。この間に、ヘッドからインクを断続的に噴出させて媒体上にドットを形成することにより、媒体に画像が印刷される。以下、具体的に説明する。
プリンタードライバーは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、プリンター1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンターに出力する。アプリケーションプログラムから画像データを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、画像データ取得処理、色変換処理、ハーフトーン処理、印刷データ生成処理を行う(図2参照)。
画像データ取得処理は、アプリケーションプログラムで印刷指示がなされた画像(例えば、パッチ画像)を示す画像データをメモリーから取得し、媒体に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。なお、処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間により表される各階調(例えば256階調)のRGBデータである。
色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間のデータに変換する処理である。CMYK色空間の画像データは、プリンター1が有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけた色変換テーブルに基づいて行われる。色変換処理後の画素データは、CMYK色空間により表される256階調の8ビットCMYKデータであり、各階調値が各画素、各色のインク量に対応している。例えば、単位面積当たりのインク記録率0〜100%が階調値0〜255に対して線形に対応するように階調値を規定するなど、予め階調値が意味するインク量を決めておき、後述するハーフトーン処理にて各階調値に対応したインク量になるように階調数の変換を行う。
上述のようにCMYKの各階調値が意味するインク量が決められているとしても、プリンター1ごとの製造誤差等により、常に階調値に対応したインク量を正確に出力できるとは限らない。そこで、本実施形態にかかるプリンター1はこの類の誤差を補償する仕組みを備えている。すなわち、各色の階調値を補正する色補正テーブルがメモリーに記録されており、色変換処理ではこの色補正テーブルを参照して色変換テーブルによる変換後のCMYK階調値を補正する。
プリンター1の出荷前にプリンター1の製造者によって作成された、所定の標準プリンターの出力色に合わせるための色補正テーブルがメモリーに記録されている。しかし、プリンター1の出荷後の各機構の経年変化により、プリンター1の出力色と標準プリンターの出力色とに色ずれが生じる場合がある。そこで、プリンター1のユーザーは、出荷時の色補正テーブルに設定された階調値に換えて、補正後の階調値を色補正テーブルに改めて設定するためのキャリブレーションを行うことが可能である。なお、キャリブレーション処理については、追って詳細する。
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンター1が形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや、4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などが利用される。ハーフトーン処理されたデータは、印刷解像度(例えば720×720dpi)と同等の解像度である。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごと1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドット形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。
印刷データ生成処理は、ハーフトーン処理後の画像データを受け取って、プリンター1で使用される順番に並べ替え、一回の主走査にて使用されるデータを単位にして逐次プリンター1に出力する処理である。すなわち、プリンター1においてはヘッドにノズル列が設けられており、当該ノズル列は複数のノズルを媒体の搬送方向に並べることにより構成されるため、搬送方向に数ドット分離れたデータが同時に使用される。そこで、搬送方向と交差する移動方向に並ぶデータのうち同時に使用されるべきものがプリンター1にて同時にバッファリングされるように順番に並べ替える。そして、並べ替え処理後のデータに画像の解像度などの所定の情報を付加して印刷データを作成し、プリンター1に出力する。プリンター1にて画像を形成するために必要なすべてのデータが転送されると、プリンター1にて媒体上に印刷画像が形成される。
<キャリブレーション処理>
図3は、キャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。コントローラー120は、ユーザーによるキャリブレーションの実行指示を受け付けたか否か判断し、この指示を受け取った場合には、キャリブレーション処理を行う(ステップS101)。
次いで、コントローラー120は、キャリブレーション処理の実行指示を受け付けると、パッチ画像データに基づくパッチシートSの印刷処理を実行する(ステップS102)。このパッチ画像データは、キャリブレーション処理を行う際に測色機150で測色するためのカラーパッチを示す画像データである。そして、このパッチ画像データは、各インク色(例えば、CMYKlclm)毎に全階調域に渡って値を所定幅で変化させて取得した階調値で構成され、階調値が大きいと使用されるインク量も多くなる。
図4は、プリンター1においてパッチ画像データに基づき印刷されるパッチシートSを示している。パッチシートSには、各インク色(例えば、CMYKlclm)毎に、階調値を所定の幅(例えば、7階調幅)毎に変化させて所定の面積のパッチを印刷するようにしている。同図においては、パッチシートSの上辺に階調値、左辺にインク色の別を示している。インクの階調値が大きくなると単位面積当たりのインク記録率が上がるので、パッチシートSにおいては、左から右にいくに連れて明るいパッチ画像から暗いパッチ画像へと推移していく。本実施形態では、パッチを印刷する階調値は一定の7階調値幅としたが、階調値の幅は一定でなくともよい。
次に、ステップS103において、コントローラー120は、パッチシートS上の各カラーパッチの色彩値を取得する。すなわち、ユーザーがパッチシートSを所定の測色順序に従って測色機150で測色すると、その測色結果としての色彩値が測色機150を介してコントローラー120により取得される。
このように各パッチ画像を測色して色彩値を取得したら、次に、取得した色彩値を参照して所定の高次多項式を決定し、この高次多項式に基づいて全階調値(256階調)に対応する色彩値を補間する(ステップS104)。つまり、ある階調値に対して色彩値(L*値、a*値、b*値)が判明しているとき、階調値を変数とした高次多項式を想定すれば、各色彩値から関数の係数を算出することができる。このようにして高次多項式を決定した結果、図5乃至図7に示すような補間曲線を得ることができる。図5乃至図7は、シアンインク(Cインク)を例に、階調値とL*値との関係、階調値とa*値との関係、階調値とb*値との関係を示している。これらの図では、横軸は階調値、縦軸はそれぞれL*値、a*値、b*値であり、各図中の黒丸は、測色機150の測色によって取得された各色彩値を表している。各高次多項式は、プロットされた各色彩値(黒丸)からの距離の二乗の総和が最小となるような曲線を描く近似式として求められる。かかる高次多項式を決定すれば、任意の階調値に対応する色彩値(測定色彩値)を一義的に算出することができる。
次に、全階調値に対応する色彩値を補間して取得したら、取得した測定色彩値とメモリー113に予め記録した目標色彩値とを対比して各階調値の補正量を算出することで、色ずれを解消することが可能な色補正テーブルを作成する(ステップS105)。ここで、目標色彩値とは、所定の標準プリンターで各インク色(例えば、CMYKlclm)につき全階調値にわたって印刷したカラーパッチ(標準印刷結果)を、測色機150で測定して取得した色彩値のことであり、目標となる色を示す基準値である。なお、色補正テーブルを作成する処理については、追って詳述する。
そして、ステップS105で作成された色補正テーブルを新たな色補正テーブルとして設定する。つまり、メモリー113上で色補正テーブルの情報が書き換えられる(ステップS106)。
<色補正テーブル作成処理>
図8は、シアンインク(Cインク)を例に、実測した色彩値から全階調値に対応する色彩値を補間して求めた補間曲線(実測曲線)と、全階調値に対応する目標色彩値を結んだ目標曲線とを、同一a*b*平面上に表している図である。すなわち、3次元空間であるL*a*b*色空間におけるL*a*b*値をa*b*平面に投影した図である。なお、目標色彩値は白丸でプロットしているが、全ての階調値に対応する目標色彩値を示すことは省略し、一部の値のみ白丸で示している。
標準プリンターとプリンター1との印刷結果に色ずれが生じていない場合には、同一の階調値で印刷を行ったとき、得られる印刷結果(この場合、シアン単色)を測色すると、標準プリンターによる目標色彩値とプリンター1による測定色彩値とが同一の数値となるはずである。しかし、標準プリンターとプリンター1との印刷結果に色ずれが生じている場合には、同図に示すように、実測曲線と目標曲線とがa*b*平面上でずれることになる。
従来では、このように実測曲線と目標曲線との間にずれが生じた場合、測定色彩値と目標色彩値の間の色差ΔEが最小となるときの目標色彩値を求め、その最小となる目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として選択し、色補正テーブルを作成していた。この色差ΔEは、L*a*b*表色系の色空間における或る2色間の距離に相当し、以下の色差式によって求めることができる。
Figure 2013126121
ΔL、Δa、Δbは、実測した測定色彩値(L*値、a*値、b*値)と目標色彩値(L*値、a*値、b*値)との差である。
このようにして色補正テーブルを作成すれば、色差ΔEが最小値となるときには目標基準となる色に最も近づくことになるため、色ずれを高い精度で補正することができる。
しかしながら、インク色によって発色特性が異なるにも関わらず、この色差式の各要素(L*値、a*値、b*値)に対する重みが考慮されていなかった。すなわち、色ずれに対し、インク色の発色特性に適した色補正がなされていなかった。たとえば、ブラックインクの場合には、各要素のうちのL*値(明度)の変化が大きい発色特性を有しているが、上記の色差式では各要素(L*値、a*値、b*値)が均等に扱われてしまう。このため、L*値の変化を重視して補正すれば良いところ、a*値やb*値の変化のバラつきにも左右されてしまい、ブラックインクに適した色補正がなされない場合があった。また、シアンインクの場合には、L*値(明るさ)の変化は小さいがa*値、b*値(色相・彩度)の変化が大きい発色特性を有しているが、a*値、b*値(色相・彩度)の変化が重視されず、シアンインクに適した色補正がなされない場合があった。
これに対し、本実施形態においては、実測した測定色彩値と目標色彩値との間の色差ΔEを求める色差式の各要素(L*値、a*値、b*値)に重み付けした重み付け色差ΔE´を算出するようにした。この重み付け色差ΔE´は、以下の式によって求めることができる。
Figure 2013126121
ここで、wlは、色差ΔEを求める色差式の要素(L*)に対する重み係数であり、目標色彩値(L*値)の変化量に相当する。waは、要素(a*)に対する重み係数であり、目標色彩値(a*値)の変化量に相当する。wbは、要素(b*)に対する重み係数であり、目標色彩値(b*値)の変化量に相当する。そして、各重み係数は、たとえば、以下の式によりで求めることができる。
Figure 2013126121
ただし、図9に示すように、dLiは、i番目とi+1番目の階調間における目標色彩値(L*値)の差の絶対値である。ΣdLiは、目標色彩値(L*値)の差の絶対値の総和である。また、図10に示すように、dai、dbiは、i番目とi+1番目の階調間における目標色彩値(a*値、b*値)の差の絶対値である。Σdai、Σdbiは、目標色彩値(a*値、b*値)の差の絶対値の総和である。本実施形態では、256個の階調値が設定されるため、iは0から255までの整数となる。このように、目標色彩値の変化量の総和に基づき重み付けすることで、各階調値の重み付け色差ΔE´に対し全体的な色特性を一律に反映させることができる。
なお、各重み係数を、上述したように、各階調間における目標色彩値(L*値、a*値、b*値)の差の絶対値の総和(ΣdL、Σda、Σdb)を用いて求めるのではなく、直近の階調間(隣り合う階調間)における目標色彩値(L*値、a*値、b*値)の差の絶対値(dL、da、db)を用いて、各階調間で個別に設定してもよい。この場合の各重み係数は、以下の式により求めることができる。
Figure 2013126121
この重み係数を用いることで、目標色彩値の変化量が各階調間でそれぞれ異なることになるため、各階調値の重み付け色差ΔE´に対し各階調間の色特性を個別に反映させることができる。
そして、これらの式から算出した重み付け色差ΔE´が最小値となるときの目標色彩値(「最小目標色彩値」とよぶ)を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定するようにした。
このようにして、色差ΔEを求める色差式の各要素(L*、a*、b*)に対する重みを変えることで、インク色の発色特性に適合させた色補正テーブルを設定することができるようになる。
ここでは、図11及び図12を用いて、シアンインクを例に、実測曲線上の200番目の階調値について色補正を行う場合の具体例を説明する。図11は、図8において破線で囲った部分を拡大した図である。この図は、各曲線の一部を省略して図示した概略図となっている。図12は、色補正テーブルの一例を示す図である。
従来では、色差ΔEが最小となるときの階調値、つまり、最も距離が近い位置にある階調値を補正後の階調値として選択し、色補正テーブルに設定していた。例えば、図11に示すように、シアンインク(Cインク)では、実測曲線上の200番目の階調値に対して目標曲線上において最も近い位置にある198番目の階調値を補正後の階調値として選択していた。したがって、実測した色彩値のすべて(L*値、a*値、b*値)が200番目の階調値に対応する目標色彩値のすべて(L*値、a*値、b*値)に近づくように全体的な変換が行われるが、シアンインクにおいては特に変化の大きいa*値やb*値を重視するような個別的な変換は行われない。このため、インク色の発色特性に適した色補正がなされないことになる。
これに対して、本実施形態では、色差ΔEではなく、重み付け色差ΔE´が最小となるときの階調値を補正後の階調値として選択し、色補正テーブルに設定するようにした。すなわち、図11に示すように、シアンインク(Cインク)では、実測曲線上の200番目の階調値に対して目標曲線上の210番目の階調値を補正後の階調値として選択することになる。したがって、実測した色彩値のすべて(L*値、a*値、b*値)が200番目の階調値に対応する目標色彩値のすべて(L*値、a*値、b*値)に近づくように全体的な変換が行われるのではなく、シアンインクにおいては特に変化の大きいa*値やb*値がより理想的な色彩値に近づくように個別的な変換が行われるようになる。つまり、目標曲線上の198番目の階調値ではなく、目標曲線上の210番目の階調値を補正後の階調値として選択することにより、色相角がαからα´へ狭められて、補正後の色味が良くなり、人間が目視したときの感度が高くなるように作用するようになる。よって、インク色の発色特性に適した色補正がなされることになる。
このようにして、図12に示すように、シアンインクの200番目の階調値に対して、210番目の階調値が補正後の階調値として色補正テーブルに設定される。
ここで、以下では、上述した200番目の階調値の色補正を行う場合について、さらに具体的に説明する。
先ず、重み付け色差ΔE´を算出するべく、重み係数wl、wa、wbをそれぞれ求める。ここでは、各重み係数を以下の式を用いて求めるものとする。
Figure 2013126121
この重み係数wl、wa、wbを求めるためには、階調間における目標色彩値(L*値、a*値、b*値)の差の絶対値(dL、da、db)を、各階調間それぞれについて求めることが必要になる。
この際、はじめに、目標曲線上の0番目の階調値と1番目の階調値との間におけるdL、da、dbを算出する。つぎに、目標曲線上の1番目の階調値と2番目の階調値との間におけるdL、da、dbを算出する。これを順番に算出して行き、最後に、目標曲線上の254番目の階調値と255番目の階調値との間おけるdL、da、dbを算出する。そして、その結果を用いることにより、各階調間のdL、da、dbの総和を求めることができる(ΣdL、Σda、Σdb)。その後、各総和(ΣdL、Σda、Σdb)を全総和(ΣdL+Σda+Σdb)で除算し、全体に対する変化量を求めることで、重み係数wl、wa、wbを算出することができる。なお、この重み係数wl、wa、wbは、各階調間の差分の総和(ΣdL、Σda、Σdb)に基づき算出されるため、各階調の重み付け色差ΔE´を求める際、実測曲線上のどの階調値でも同じ値を用いることになる。すなわち、インク色ごとに重み係数wl、wa、wbの値が決まることになる。
次いで、このようにして求めた重み係数wl、wa、wbを用いて、重み付け色差ΔE´を算出する。すなわち、実測曲線上の200番目の階調値と、目標曲線上の0番目の階調値から目標曲線上の255番目の階調値までのそれぞれの階調値と、を対比して、全階調値に対するΔE´を算出する。
具体的には、はじめに、実測曲線上の200番目の階調値に対応する測定色彩値(L*値、a*値、b*値)と、目標曲線上の0番目の階調値に対応する目標色彩値(L*値、a*値、b*値)とを用いて、0番目の階調値の重み付け色差ΔE´を算出する。次に、実測曲線上の200番目の階調値に対応する測定色彩値(L*値、a*値、b*値)と、目標曲線上の1番目の階調値に対応する目標色彩値(L*値、a*値、b*値)とを用いて、1番目の階調値の重み付け色差ΔE´を算出する。これを順番に算出して行き、最後に、実測曲線上の200番目の階調値に対応する測定色彩値(L*値、a*値、b*値)と、目標曲線上の255番目の階調値に対応する目標色彩値(L*値、a*値、b*値)とを用いて、255番目の階調値の重み付け色差ΔE´を算出する。つまり、実測曲線上の200番目の階調値に対して256個の重み付け色差ΔE´を算出することになる。
次いで、このようにして算出した256個の重み付け色差ΔE´の中から、その大きさが最小となる重み付け色差ΔE´を特定する。そして、重み付け色差ΔE´が最小となるときの目標色彩値、つまり、最小目標色彩値(L*値、a*値、b*値)を求め、この最小目標色彩値に対応する階調値を特定する。本実施形態においては、算出結果により、最小目標色彩値に対応する階調値として210番目の階調値が特定される(図11参照)。
次いで、このようにして特定した最小目標色彩値に対応する階調値を、200番目の階調値に対する補正後の階調値として色補正テーブルに設定する。本実施形態においては、200番目の階調値に対する補正後の階調値として210番目の階調値が色補正テーブルに設定される(図12参照)。
なお、本実施形態では、このような200番目の階調値に対する処理と同じ処理を、全階調値に対して行うことになる。また、このようなシアンインクに対する処理と同じ処理を、インク色毎に行うことになる。
<<<本実施の形態に係るシステム100の有効性について>>>
上述したとおり、本実施形態に係るシステム100における色補正方法では、階調値を変化させた複数のパッチを印刷することと、前記パッチそれぞれを測色し、各階調値に対応する色彩値を求めることと、前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定することと、を有する。すなわち、本実施形態では、実測曲線上の全階調値(0〜255)と目標曲線上の全階調値(0〜255)とを対比することによって、全階調値に対するΔE´(重み付け色差)を算出する。つまり、階調値ごとに256個のΔE´を求める。そして、各階調値それぞれについて、256個のΔE´中からその値が最小となるΔE´を特定する。ΔE´が最小値であるときの目標色彩値が最小目標色彩値となる。そして、最小目標色彩値が決まると、この最小目標色彩値に対応する階調値が特定できるため、これを補正後の階調値として選択する。このようにして、階調値それぞれについて選択した補正後の階調値を補正前の階調値と置き換えて、色ずれを修正可能な色補正テーブルを作成する。このように、色差式の各要素に対する重みを変えることで、色の特性に合わせた色補正テーブルを設定することが可能となる。
また、インクの色ごとに階調値を変化させて前記パッチを印刷する場合には、前記重み付けをインクの色ごとに変更することとした。このようにすることで、インクの色ごとに実測曲線の形状が異なることになるため、各インク色の発色特性に合わせた色補正テーブルを設定することができる。
また、前記重み付けを、目標色彩値の変化量の総和(ΣdLi、Σdai、Σdbi)に基づいて決定することとした。このようにすることで、各階調値について重み付け色差を算出する際に、階調間において目標色彩値の変化量が大きいところがあったり、小さいところがあったりしても、目標色彩値の変化量の総和に基づき重み付けすることで、各階調値の重み付け色差に対し全体的な色特性を一律に反映させることができる。
また、前記重み付けを、直近の階調値の目標色彩値に対する変化量に基づいて決定することとした。このようにすることで、各階調値について重み付け色差を算出する際に、各階調値の重み付け色差に対し階調間の色特性を個別に反映させることができる。
===その他の実施の形態===
本実施形態は、主としてシステム100(色補正装置)について記載されているが、色補正方法等の開示も含まれる。また、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<プリンター1について>
上記の実施形態においては、印刷装置(プリンター1)としてインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、インク以外の他の液体を吐出する印刷装置であってもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の印刷装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記印刷装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、印刷装置が吐出させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。印刷装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する印刷装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する印刷装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する印刷装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する印刷装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する印刷装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する印刷装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の印刷装置に本発明を適用することができる。
<キャリブレーション処理について>
上記の実施形態においては、キャリブレーション処理の一例として、重み付け色差ΔE´の最小値を求めることにより色補正テーブルを作成する場合を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、プリンター1で印刷したパッチ画像を測色することによって求めた実測曲線が目標曲線に対して大きく色ずれしている場合には、重み付け色差ΔE´の最小値を求めることなく、以下のようなキャリブレーションを行って、色補正テーブルを作成しても良い。これは、純正のインクとは異なるインクを用いてプリンター1で印刷を行った場合など、実測した測定色彩値が目標色彩値から大きく離れることがある。そして、あまりにも大きな色ずれが生じた場合には、この測定色彩値を目標色彩値に近づけるように(L*値、a*値、b*値を一致させるように)色補正して色味を合わせるよりも、階調間の特性(色の濃度の変化具合)を合わせるように色補正した方が効果的であるためである。以下、このキャリブレーション処理について具体的に説明する。
図13は、シアンインク(Cインク)を例に、実測した色彩値から全階調値に対応する色彩値を補間して求めた実測曲線と、全階調値に対応する目標色彩値を結んだ目標曲線とを、同一a*b*平面上に表している図である。この図では、実測曲線が目標曲線から大きく離れている、つまり、実測曲線が目標曲線に対して大きく色ずれしていることを示している。
まず、全階調間について、実測曲線上の測定色彩値と目標曲線上の目標色彩値との色差ΔEをそれぞれ算出する。そして、その算出した色差ΔEの総和(ΣΔE)をさらに算出し、そのΣΔEの値が予め設定した閾値以上であるか否かを比較する。
次いで、ΣΔEの値がその閾値を越えている場合には、上述した実施形態のように重み付け色差ΔE´の最小値を求めることなく、次のようなキャリブレーション処理へ切り替えるようにする。
まず、目標曲線について隣り合う階調間の色差Δeをそれぞれ算出して、目標曲線の特性を分析する。すなわち、はじめに、目標曲線上の0番目の階調値と1番目の階調値とのそれぞれに対応する目標色彩値(L*値、a*値、b*値)とを用いて色差Δe1を算出する。次に、目標曲線上の1番目の階調値と2番目の階調値とのそれぞれに対応する目標色彩値(L*値、a*値、b*値)とを用いて色差Δe2を算出する。これを順番に算出して行き、最後に、目標曲線上の254番目の階調値と255番目の階調値とのそれぞれに対応する目標色彩値(L*値、a*値、b*値)とを用いて色差Δe255を算出する。なお、目標曲線上の隣り合う階調間の色差Δeは、以下の色差式により算出することできる。
Figure 2013126121
ただし、ΔL、Δa、Δbは、階調間における目標色彩値(L*値、a*値、b*値)の差分である。
次いで、このようにして求めた算出結果を用いて、目標曲線上の隣り合う階調間の色差Δeを合算した色差の総和ΣΔeを求める(ΣΔe=Δe1+Δe2+…+Δe255)。そして、各階調間の色差Δeを色差の総和ΣΔeで除算し、目標色彩値の変化量の割合を求めることにより、目標曲線の特性を得ることができる。
引き続き、実測曲線について隣り合う階調間の色差Δfをそれぞれ算出して、実測曲線の特性を分析する。すなわち、はじめに、実測曲線上の0番目の階調値と1番目の階調値とのそれぞれに対応する測定色彩値(L*値、a*値、b*値)とを用いて色差Δf1を算出する。次に、実測曲線上の1番目の階調値と2番目の階調値とのそれぞれに対応する測定色彩値(L*値、a*値、b*値)とを用いて色差Δf2を算出する。これを順番に算出して行き、最後に、目標曲線上の254番目の階調値と255番目の階調値とのそれぞれに対応する測定色彩値(L*値、a*値、b*値)とを用いて色差Δf255を算出する。なお、実測曲線上の隣り合う階調間の色差Δfは、以下の色差式により算出することできる。
Figure 2013126121
ただし、ΔL、Δa、Δbは、階調間における測定色彩値(L*値、a*値、b*値)の差分である。
次に、このようにして求めた算出結果を用いて、実測曲線上の隣り合う階調間の色差Δfを合算した色差の総和ΣΔfを求める(ΣΔf=Δf1+Δf2+…+Δf255)。そして、各階調間の色差Δfを色差の総和ΣΔfで除算し、測定色彩値の変化量の割合を求めることにより、実測曲線の特性を得ることができる。
次いで、目標色彩値の変化量の割合と測定色彩値の変化量の割合とを比較することにより、実測曲線における階調間の特性(色の濃度の変化具合)を目標曲線における階調間の特性に近づけるように、補正前の階調値それぞれに対する補正後の階調値を選択し、色補正テーブルを設定する。
具体的には、まず、目標曲線上の0番目の階調値と1番目の階調値との間における変化量の割合に合わせるように、実測曲線における変化量の割合を補正する。そこで、目標色彩値の変化量と測定色彩値の変化量との差分の2乗を計算する。そして、その値が最小となるときの階調値を特定する。たとえば、計算の結果として、以下の値が最小になったとする。
Figure 2013126121
この場合、目標曲線上の0番目と1番目の階調値との間における変化量の割合と、実測曲線上の0番目から4番目までの階調値との間における変化量の割合とが、最も近くなることになる。したがって、1番目の階調値については補正後の階調値として4番目の階調値を色補正テーブルに設定するようにする。これにより、実測曲線の濃度変化が目標曲線の濃度変化に近づくことになる。次に、目標曲線上の1番目の階調値と2番目の階調値との間における変化量の割合に合わせるように、実測曲線における変化量の割合を補正する。同様に、上記の計算を行った結果、たとえば、以下の値が最小になったとする。
Figure 2013126121
この場合、目標曲線上の1番目と2番目の階調値との間における変化量の割合と、実測曲線上の4番目から7番目までの階調値との間における変化量の割合とが、最も近くなることになる。したがって、2番目の階調値については補正後の階調値として7番目の階調値を色補正テーブルに設定するようにする。
このようにして、256番目の階調値まで順番に計算して行き、各階調値について補正前の階調値に対する補正後の階調値を求め、色補正テーブルを作成する。これにより、実測曲線における濃度の変化具合を、目標曲線における濃度の変化具合に近づけることができる。すなわち、このような色補正を行った結果、色味は目標となる色に近づかないとしても、色の濃さが急に濃くなったり薄くなったりすることなく、目標となる濃度変化に沿った滑らかな濃度変化を実現することが可能となる。
1 プリンター、
20 搬送ユニット、
30 キャリッジユニット、
40 ヘッドユニット、
50 検出器群、
60 コントローラー、
70 駆動信号生成回路、
100 システム、
110 コンピューター、
113 メモリー、
120 コントローラー、
150 測色機

Claims (7)

  1. 階調値を変化させた複数のパッチを印刷することと、
    前記パッチそれぞれを測色し、各階調値に対応する色彩値を求めることと、
    前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定することと、
    を有することを特徴とする色補正方法。
  2. 請求項1に記載の色補正方法であって、
    液体の色ごとに階調値を変化させて前記パッチを印刷する場合には、前記重み付けを前記液体の色ごとに変更することを特徴とする色補正方法。
  3. 請求項1又は2に記載の色補正方法であって、
    前記重み付けは、目標色彩値の変化量の総和に基づいて決定されることを特徴とする色補正方法。
  4. 請求項1又は2に記載の色補正方法であって、
    前記重み付けは、直近の階調値の目標色彩値に対する変化量に基づいて決定されることを特徴とする色補正方法。
  5. 階調値を変化させた複数のパッチを印刷することと、
    前記パッチそれぞれを測色し、各階調値に対応する色彩値を求めることと、
    前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定することと、
    画素ごとに階調値が設定された印刷画像を印刷する際に、前記色補正テーブルを参照して補正後の階調値を用いて前記印刷画像を印刷することと、
    を有することを特徴とする印刷方法。
  6. 階調値を変化させた複数のパッチを印刷するヘッドと、
    前記パッチそれぞれを測色し、各階調値に対応する色彩値を求めるための測色部と、
    前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定するコントローラーと、
    を有することを特徴とする色補正装置。
  7. 階調値を変化させた複数のパッチを印刷するヘッドと、前記パッチそれぞれを測色し各階調値に対応する色彩値を求めるための測色部と、コントローラーと、を有する色補正装置に、
    前記色彩値と各階調値に対して設定された目標色彩値との間の色差を求める色差式の各要素に重み付けして重み付け色差を算出し、その重み付け色差が最小となるときの最小目標色彩値を求め、その最小目標色彩値に対応する階調値を補正後の階調値として色補正テーブルに設定する処理を実行させるためのプログラム。
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