JP2013125677A - 放電ランプ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 前記始動補助光源は、前記始動用高電圧では発光するが、定常点灯用電圧では発光しないものであって、該始動補助光源には希ガスを含み、かつ、該始動補助光源における発光には、少なくとも一酸化炭素分子発光を含み、さらに水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上を含むことを特徴とする放電ランプ装置。
【選択図】 図1
Description
特開2009―117284号公報(特許文献1)には、上記始動補助光源を放電ランプの一部もしくは凹面反射鏡の一部に取り付ける構成が開示されている。
始動補助光源から放射された紫外光は、高圧放電ランプの放電空間に照射されることで、当該放電空間を絶縁破壊しやすい状況にするものであり、すなわち、高圧放電ランプの点灯始動を容易にする効果を有する。したがって、始動補助光源は、放電ランプの始動時のみ発光すればよい。始動補助光源の取り付け位置は、当該放電ランプの放電空間に向けて紫外光を放射することができる位置であることはもちろんであるが、かつ、当該放電ランプからの放射光を遮光しない位置でもあることが求められる。
また、従来の電源を備える放電ランプ装置にも適用可能な始動補助光源にするためには、1〜1.5kVの始動電圧を印加する場合だけでなく、従来の3kVの始動電圧が印加された場合でも性能が維持できることが求められる。
また、本願第2の発明は、本願第1の発明において、前記一酸化炭素分子発光をもたらす物質が、炭素化合物及び酸素化合物、または炭素と酸素の両方を含む化合物であることを特徴とする。
また、本願第3の発明は、本願第1の発明において、前記水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質が、水素及び/または水素化合物であることを特徴とする。
また、本願第4の発明は、本願第1または2の発明において、前記一酸化炭素分子発光をもたらす物質が二酸化炭素であることを特徴とする。
また、本願第5の発明は、本願第1または3の発明において、前記水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質が水素ガスであることを特徴とする。
また、本願第6の発明は、本願第1、3、5いずれかの発明において、前記始動補助光源には、0.013kPa(0.1Torr)以上の水素が封入されていることを特徴とする。
また、本願第7の発明は、本願第4または5の発明において、前記始動補助光源には、二酸化炭素及び水素が封入されており、水素の封入量は0.013kPa(0.1Torr)以上であり、かつ二酸化炭素と水素の合計封入量が1.3kPa(10Torr)以下であることを特徴とする。
放電ランプ1は、発光管の両端に封止部が形成されており、それぞれの封止部から電極に電気的に接続された外部リード11、12が伸び出していて、給電線7、8によって、前記第1給電端子5、第2給電端子6にそれぞれ接続されている。
放電ランプ1の発光管の内部には、発光物質としての水銀が、0.15mg/mm3以上であって、例えば0.25mg/mm3封入される他、電極の構成材料であるタングステン(W)が発光管の内壁に付着することをハロゲンサイクルにより防止するため、臭素(Br)などのハロゲンガスが、2.0×10−4μmol/mm3〜7.0×10−3μmol/mm3の範囲であり、例えば、3.0×10−3μmol/mm3封入され、さらにアルゴン(Ar)ガスが約13kPa(100Torr)封入されている。
また、放電ランプ1の発光管の最大外径が12.0mm、電極間距離が1.2mm、発光管の内容積が124mm3、管壁負荷が3.5W/mm2、定格電圧が85V、定格電力が330Wである。
放電容器40は、例えば、全長が約15mm、外径が約2.8mm、肉厚が約0.7mmである。第1外部電極41、第2外部電極42は、例えば、直径0.3mmの線材によって、全長(放電容器40の長手方向)が約4.5mm、外径が約3mmのコイル状に形成され、電極間距離が約6mmである。なお、第1外部電極41、第2外部電極42は、例えば、コイルピッチ約1.2mm、全長(放電容器40の長手方向)が約6.3mmの疎巻きコイル状でもかまわない。この場合は、電極間距離は例えば約2mmである。
放電容器40内には、例えば、二酸化炭素(CO2)0.067kPa(0.5Torr)と水素(H2)0.067kPa(0.5Torr)とアルゴン(Ar)ガス1.2kPa(9Torr)が封入されている。
トリガ回路16は、ランプ始動時に、例えば1〜3kVの高電圧を発生させる。この始動用高電圧は放電ランプ1の電極間に印加されるとともに、放電ランプ1と並列に接続されている始動補助光源4にも同様に印加される。始動補助光源4は、放電ランプ1に比べて絶縁破壊電圧が極めて低く、1〜3kVの始動用高電圧により点灯する。すなわち、トリガ回路16の駆動によって、まず、始動補助光源4から紫外光が放射される。
そして、始動補助光源4からの光が放電ランプ1の放電空間に入射し、放電ランプ1の放電空間で光電効果により光電子が増加する。これにより放電ランプ1の絶縁破壊電圧を下げることができ、始動用高電圧が1〜3kVと低くても、放電ランプ1が点灯する。
また、始動補助光源の放電容器の内壁に炭素(C)の膜が付着している場合が多かった。
なお、始動補助光源に印加する電圧が1〜1.5kVであれば、水素(H2)や水素化合物の有無にかかわらず、一酸化炭素分子(CO)による発光は持続されることも確認した。
二酸化炭素(CO2)を封入した始動補助光源に電圧を印加すると、二酸化炭素(CO2)は一酸化炭素(CO)と酸素(O)に解離し、一酸化炭素(CO2)発光が得られる(CO2→CO+O)。ところが、電圧印加による入力エネルギーがCO→C+Oにおける解離エネルギーを上回る場合は、一酸化炭素(CO)がさらに炭素(C)と酸素(O)に解離し、炭素(C)は放電容器の内壁に付着し、炭素(C)が酸素(O)と再結合して一酸化炭素(CO)に戻る反応が起こらず、一酸化炭素分子(CO)発光は減衰、消滅してしまう(CO2→CO+O→C+O2)。
始動用高電圧が1〜1.5kVの場合ではCO→C+Oの反応は起こりにくいが、始動用高電圧が3kVの場合ではCO→C+Oにおける解離エネルギーを上回ってしまったと思われる。
以下に記載する一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質の封入方法のいずれかと、水素(H2)の導入方法のいずれかを組み合わせることによって、一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質と水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質とを始動補助光源4の放電容器40に封入できる。
一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質の封入方法には、主に以下の(1)〜(4)に示す方法がある。
(1)始動補助光源に一酸化炭素(CO)を直接封入する方法。実際には、始動補助光源が発光しやすくするために、アルゴン(Ar)などの希ガスも封入する。一酸化炭素(CO)とアルゴン(Ar)ガスはそれぞれ個別のガスを排気装置に繋いで自分で混合しても、一酸化炭素(CO)とアルゴン(Ar)の混合ガスを用いても構わない。
(2)始動補助光源に二酸化炭素(CO2)を直接封入する方法。実際には、始動補助光源が発光しやすくするために、アルゴン(Ar)などの希ガスも封入する。二酸化炭素(CO2)とアルゴン(Ar)ガスはそれぞれ個別のガスを排気装置に繋いで自分で混合する場合でも、二酸化炭素(CO2)とアルゴン(Ar)の混合ガスを用いる場合でもよい。封入するのは一酸化炭素(CO)ではなく二酸化炭素(CO2)であるが、始動補助光源に電圧を印加すると、二酸化炭素(CO2)は一酸化炭素(CO)と酸素原子(O)に解離し、一酸化炭素分子(CO)発光が得られる。一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質を二酸化炭素(CO2)とすることによって、強い毒性を持つために作成にあたって充分な安全対策を行った設備が必要とされる一酸化炭素(CO)を用いなくても、一酸化炭素分子(CO)発光を得ることができる。
(3)加熱処理により、始動補助光源の放電容器を構成する石英ガラスに内在する炭素及び酸素、または、炭素化合物及び/または酸素化合物を放電空間に染み出させる方法。詳細は後述する。
(4)エタノール(C2H5OH)などの有機溶剤を封入する方法。詳細は後述する。
水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質である水素(H2)や水素化合物の導入方法には、主に以下の(1)〜(4)に示す方法がある。
(1)始動補助光源に水素(H2)ガスを直接封入する方法。実際には、上述の一酸化炭素(CO)または二酸化炭素(CO2)及び/またはアルゴン(Ar)ガスと同時に封入する。水素ガスを用いることによって、水素の封入量を容易に制御できる。詳細は後述する。
(2)水素(H2)雰囲気中での熱処理により水素(H2)ガスを含浸させる方法。一酸化炭素(CO)または二酸化炭素(CO2)及びアルゴン(Ar)ガスを封入して放電容器の両端を封止したら、当該放電容器を水素(H2)雰囲気中において、例えば700℃で30分間加熱する。この加熱処理により、放電容器の壁面を通して放電空間に水素(H2)が供給される。
一方、放電容器にアルゴン(Ar)ガスしか封入されていない場合は、例えば1150℃で20分間加熱させれば良い。この場合、上述の「一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質の封入方法(3)」も兼ねるため、放電容器の壁面を通して放電空間に水素(H2)や水素化合物が供給されるだけでなく、放電容器を構成する石英ガラス自体からのガス放出により、一酸化炭素(CO)も生成される。
(3)加熱処理により、始動補助光源の放電容器を構成する石英ガラスに内在する水素(H2)や水素化合物を放電空間に染み出させる方法。すなわち、上述の「一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質の封入方法(3)」では、水素(H2)や水素化合物も同時に生成できる。詳細は後述する。
(4)エタノール(C2H5OH)などの有機溶剤を封入する方法。すなわち、上述の「一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質の封入方法(4)」では、水素(H2)や水素化合物も同時に生成できる。詳細は後述する。
ここでは、上述の「一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質の封入方法(2)」と「水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質の導入方法(1)」を組み合わせた場合についての作成方法を述べる。
放電容器の片端を封止し、該放電容器の内部に、例えばモリブデン(Mo)などの金属部材(棒状、筒状など)を挿入する。
次に、排気装置にて真空(例えば6.7×10−5kPa(5×10−4Torr))に排気し、その後、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)とアルゴン(Ar)の混合ガス(例えば二酸化炭素(CO2)5%、水素(H2)5%、アルゴン(Ar)バランス)を例えば1.3kPa(10Torr)封入し、放電容器の他端を封止する。
その後、放電容器の外表面に電極を装着する。
ここでは、上述の「一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質の封入方法(3)」と「水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質の導入方法(3)」を組み合わせた場合についての作成方法を述べる。
放電容器の片端を封止し、該放電容器の内部に、例えばモリブデン(Mo)などの金属部材(棒状、筒状など)を挿入する。
次に、排気装置にて真空(例えば6.7×10−5kPa(5×10−4Torr))に排気し、その後、アルゴン(Ar)ガスを例えば1.3kPa(10Torr)封入し、放電容器の他端を封止する。
放電容器の両端を封止したら、当該放電容器を大気中において、例えば1150℃で20分間加熱する。この加熱により、放電容器を構成する石英ガラスから不純ガスとしての炭素(C)、酸素(O2)、水素(H2)またはこれらの化合物が放電空間に染み出す。これにより、発光物質である一酸化炭素(CO)と水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質である水素(H2)や水素化合物が同時に生成される。
ここでは、上述の「一酸化炭素分子(CO)発光をもたらす物質の封入方法(4)」と「水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質の導入方法(4)」を組み合わせた場合についての作成方法を述べる。
放電容器の片端を封止し、該放電容器の内部に、例えばモリブデン(Mo)などの金属部材(棒状、筒状など)を挿入する。さらに、エタノール(C2H5OH)などの有機溶剤を微量(例えば5〜20μL程度)封入する。
次に、排気装置にて真空(例えば6.7×10−5kPa(5×10−4Torr))に排気し、その後、アルゴン(Ar)ガスを例えば1.3kPa(10Torr)封入し、放電容器の他端を封止する。排気の際にはエタノール(C2H5OH)も排気されるが、一部は放電容器の内壁に付着した状態で残る。このエタノール(C2H5OH)が放電で解離され、さらに反応することにより、一酸化炭素(CO)及び水素(H2)や水素化合物が生成される。
すなわち、この方法では、発光物質である一酸化炭素(CO)と水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質である水素(H2)や水素化合物が同時に生成される。
水素(H2)の封入量を変化させて作成したそれぞれの始動補助光源において、3kVを高周波(80kHz)で連続的に印加させた場合に一酸化炭素分子(CO)発光が5分以上持続できるかどうかの評価を行った。
評価結果を表1に示す。点灯直後と点灯5分後に波長200nm付近の分光測定を行い、点灯5分後の一酸化炭素分子(CO)のスペクトルの強度が点灯直後の半分以上を保っていたものは○、スペクトルの強度が半分未満に減衰、または完全にスペクトルが消滅していたものは×とした。一方で、放電ランプの始動時に絶縁破壊のために高電圧が印加される時間は短い(例えば最長でも3秒)ため、たとえ一酸化炭素分子(CO)発光が持続できても、始動補助光源自体が瞬時に発光できなければ、始動補助光源としては適さない。そこで、始動補助光源自体の発光しやすさ(一酸化炭素分子発光の有無は問わない)についても観測を行い、1.5kVを印加した場合に瞬時発光したものは○、1〜3秒で発光したものは△、3秒以内に発光しなかったものは×とした。
なお、上記実験は水素(H2)を、上述の<始動補助光源の作成方法の具体例1>のような方法で、水素(H2)ガスとして直接放電容器内に封入しているが、<始動補助光源の作成方法の具体例2>や<始動補助光源の作成方法の具体例3>のような方法で水素(H2)ガスを得ても同様の結果が得られる。この場合の水素(H2)ガス封入量は、発生ガス分析(EGA)などにより測定できる。
評価結果を表2に示す。判定基準は表1の場合と同じとした。
したがって、瞬時に発光でき、かつ、一酸化炭素分子(CO)発光の持続にとって良好な封入量の条件は、水素(H2)封入量0.013kPa(0.1Torr)以上、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)の合計封入量1.3kPa(10Torr)以下を、同時に満たすことであるといえる。
2 凹面反射鏡
3 ベース
4 始動補助光源
5 第1給電端子
6 第2給電端子
7、8 給電線
11、12 外部リード
15 主点灯回路
16 トリガ回路
20 貫通口
21 首部
40 放電容器
41 第1外部電極
41a 第1補助光源給電線
42 第2外部電極
42a 第2補助光源給電線
Claims (7)
- 一対の主電極を放電空間内に有する高圧放電ランプと、この高圧放電ランプの点灯始動時のみ当該放電空間に向けて紫外光を放射する始動補助光源と、この高圧放電ランプおよび始動補助光源を点灯させるための給電装置とからなる放電ランプ装置において、
前記給電装置は、前記高圧放電ランプの点灯始動時に始動用高電圧を発生させて、その後に定常点灯用電圧に移行させるものであって、
前記始動補助光源は、前記始動用高電圧では発光するが、定常点灯用電圧では発光しないものであって、
該始動補助光源には希ガスを含み、かつ、該始動補助光源における発光には、少なくとも一酸化炭素分子発光を含み、さらに水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上を含むことを特徴とする放電ランプ装置。 - 前記一酸化炭素分子発光をもたらす物質が、炭素化合物及び酸素化合物、または炭素と酸素の両方を含む化合物であることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ装置。
- 前記水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質が、水素及び/または水素化合物であることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ装置。
- 前記一酸化炭素分子発光をもたらす物質が二酸化炭素であることを特徴とする請求項1または2に記載の放電ランプ装置。
- 前記水素原子発光、水素分子発光、水素化合物発光のいずれか1種以上の発光をもたらす物質が水素ガスであることを特徴とする請求項1または3に記載の放電ランプ装置。
- 前記始動補助光源には、0.013kPa以上の水素が封入されていることを特徴とする請求項1、3、5のいずれかに記載の放電ランプ装置。
- 前記始動補助光源には、二酸化炭素及び水素が封入されており、水素の封入量は0.013kPa以上であり、かつ二酸化炭素と水素の合計封入量が1.3kPa以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の放電ランプ装置。
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