JP2013124734A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両発進に際してシフトレバーのDレンジへの切換に応じてクラッチ装置2が切断操作されたとき(S1,2)、エンジン回転速度Neとクラッチ回転速度Ncとの回転差ΔNが0のままで張付き判定時間T1が経過するとクラッチ装置2の張付き判定を下す(S10がYes)。張付き判定時には、待機時間T2が経過する以前にブレーキ操作が行われたことを条件として(S18がYes)、クラッチ張付き解消のための強制ギヤ入れとして発進段への切換を実行する(S22)。
【選択図】図2
Description
例えば特許文献1に開示された技術はクラッチに機構的な対策を講じたものであり、クラッチ板とフライホイールとの貼付きを防止する張付き防止手段を設けてクラッチ張付き防止を図っている。
そして、何らかの要因でクラッチ張付き状態に陥ると、例えば手動変速機では、車両発進に際してクラッチペダルが切断操作されてもクラッチは接続状態のままとなる。このため、変速段がニュートラルから発進段に切り換えられると、エンジンが急激な負荷を受けて停止(エンスト)するか、或いはクラッチ張付きが急激なトルク伝達により解消される。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、製造コストの高騰を防止した上で、クラッチ張付きが発生したときに、いち早く状況を運転者に認識させることができ、もって運転者に違和感を与えることなくクラッチ張付きを解消するための制御を実行することができる自動変速機の制御装置を提供することにある。
請求項3の発明は、請求項1または2において、クラッチ張付き判定手段が、クラッチ張付き判定を下したときに、報知手段により運転者にクラッチ張付きを報知するものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至3において、強制ギヤ入れ実行手段が、許可判定が下されたとき、強制ギヤ入れとして発進段よりも高速ギヤ側の走行段への切換操作を実行するものである。
一方、例えば特許文献1の技術のようにクラッチ自体の構成を変更する必要がないため、製造コストを高騰させることなく容易に実現することができる。
請求項3の発明の自動変速機の制御装置によれば、請求項1または2に加えて、報知手段により運転者にクラッチ張付きを報知するようにした。従って、クラッチ張付きをより確実に運転者に認識させることができる。
請求項4の発明の自動変速機の制御装置によれば、請求項1乃至3に加えて、強制ギヤ入れとして発進段よりも高速ギヤ側の走行段への切換操作を実行するようにした。
高速段側の走行段では車両がより発進し難くなるため、強制ギヤ入れによるトルク伝達のショックを直接的にクラッチに作用させることができ、クラッチ張付きを解消できる可能性を高めることができる。
以下、本発明を具体化した自動変速機の制御装置の第1実施形態を説明する。
図1は本実施形態の自動変速機の制御装置が適用されたトラックの駆動系を示す全体構成図である。
車両には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1が搭載されている。エンジン1の出力軸1bにはクラッチ装置2を介して自動変速機(以下、単に変速機という)3の入力軸3aが接続され、クラッチ装置2の接続時にエンジン1の回転が変速機3に伝達されるようになっている。当該変速機3は、前進6段及び後退1段を備えた手動式変速機をベースとしたものであり、以下に述べるように、その変速操作及び変速に伴うクラッチ装置2の断接操作を自動化したものである。
電磁弁9の開弁時にはエアタンク11からエア通路10を介してエアシリンダ8(クラッチ駆動手段)に圧縮エアが供給され、エアシリンダ8が作動してアウタレバー7を介してクラッチ板5をフライホイール4から離間させ、これによりクラッチ装置2が接続状態から切断状態に切り換えられる。一方、電磁弁9が閉弁すると、圧縮エアの供給中止によりエアシリンダ8が作動しなくなることから、クラッチ板5はプレッシャスプリング6によりフライホイール4に圧接され、これによりクラッチ装置2は切断状態から接続状態に切り換えられる。このように電磁弁9の開閉に応じてエアシリンダ8が作動して、クラッチ装置2を自動的に断接操作可能になっている。
ECU21の入力側には、エンジン1の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ22、変速機3の入力軸3aの回転速度(クラッチ回転速度Nc)を検出するクラッチ回転速度センサ23、運転席に設けられたシフトレバー13の切換位置を検出するレバー位置センサ24、変速機3のギヤ位置を検出するギヤ位置センサ25、アクセルペダル26の操作量Accを検出するアクセルセンサ27、変速機3の出力軸3bに設けられて出力軸回転速度Vss(車速Vと相関する)を検出する車速センサ28、及びフットブレーキ29の操作を検出するブレーキスイッチ30、クラッチ装置2のクラッチストロークSTを検出するストロークセンサ31、車両のパーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキスイッチ32などのセンサ類が接続されている。
また、ECU21は、レバー位置センサ24によりシフトレバー13のDレンジへの切換が検出されているときには自動変速モードを実行し、アクセル操作量Acc及び車速センサ28により検出された車速Vに基づき、図示しないシフトマップから目標変速段を算出する。そして、クラッチ装置2の電磁弁9を開閉してエアシリンダ8によりクラッチ装置2を断接操作させながら、ギヤシフトユニット14の所定の電磁弁を開閉してエアシリンダにより対応するシフトフォークを切換操作して変速段を目標変速段に切り換え、これにより常に適切な変速段をもって車両を走行させる。
まず、ステップS2でシフトレバー13の位置がNレンジからDレンジに切り換えられたか否かを判定し、判定がNo(否定)のときには一旦ルーチンを終了する。ステップS2の判定がYes(肯定)になるとステップS4に移行し、電磁弁9を開閉制御してエアシリンダ8によりクラッチ装置2を切断側に操作する。続くステップS6では、ギヤ段表示部33に発進段である2速を示す「2」を点滅させ、ステップS8でエンジン回転速度Neとクラッチ回転速度Ncとの回転差ΔNが0であるか否かを判定する。なお、ステップS6のギヤ段表示部33の点滅は、発進段への切換を試行中であることを意味する。
ステップS8の判定がYesのときはステップS10に移行して、クラッチ装置2を切断側に操作し始めてから予め設定された張付き判定時間T1が経過したか否かを判定する。張付き判定時間T1が経過する以前にステップS8でNoの判定を下したときには、クラッチ装置2が正常であると見なし(クラッチ張付き判定手段)、ステップS12に移行して通常ギヤ入れとして発進段への切換を行う。その後、ステップS12で発進段への切換完了を示すべく、ギヤ段表示部33に表示中の「2」を点滅から点灯に切り換えてルーチンを終了する。従って、その後は別の制御ルーチンによりクラッチ装置2が接続操作されて、アクセル操作に応じて車両が発進する。
なお、本実施形態では、クラッチ装置2を切断側に操作し始めた時点で張付き判定時間T1のカウントを開始したが、これに限ることはない。例えば、切断側への操作によりクラッチストロークSTが切断側に到達したか否かを判定し、この到達判定を下した時点で判定時間T1のカウントを開始するようにしてもよい。
続くステップS18ではパーキングブレーキスイッチ32がオフからオンに切り換えられたか否かを判定する。予め運転者は車両のサービスマニュアルにより、クラッチ張付きの発生時にはパーキングブレーキの作動を条件として、張付き解消のための強制ギヤ入れが自動的に実行されることを理解しており、通常であれば当該パーキングブレーキ操作が実行される。なお、ステップS18の判定はパーキングブレーキに限ることはなく、例えばフットブレーキの操作状態を判定するようにしてもよい。
従って、変速機3の変速段はニュートラルから発進段に切り換えられ、エンジン1が急激な負荷を受けて停止するか、或いはクラッチ張付きが急激なトルク伝達により解消される。図3ではクラッチ張付きが解消された場合を示し、発進段への切換に伴ってクラッチ回転速度Ncが次第に低下して0となっている。
また、ステップS24の判定がNoのときにはクラッチ張付きが解消されたと見なし、ステップS26でギヤ段表示部33に表示中の「2」を点滅から点灯に切り換えてルーチンを終了する。即ち、この場合には通常ギヤ入れと同様の表示となるため、この表示に基づき運転者はクラッチ張付きが解消されたことを認識し、通常通りに車両を発進させる。
一方、ステップS18の判定がNoのままで待機時間T2が経過して、ステップS20の判定がNoになると強制ギヤ入れを禁止し(強制ギヤ入れ可否判定手段)、そのままルーチンを終了する。この場合、運転者はパーキングブレーキ操作により強制ギヤ入れを実行可能なことを認識していないか、或いは何らかの理由で意図的に強制ギヤ入れしない意向と考えられる。このような状況での強制ギヤ入れは運転者に違和感を与える要因になることを鑑みて、発進段への切換を禁止すべくルーチンを終了しているのである。
従って、クラッチ張付きが発生しているときには、Dレンジへの切換操作にも拘わらず張付き判定時間T1が経過しても車両が発進しない。このため、運転者は自ずと車両の異常をいち早く察知できるし、さらにギヤ段表示部33の「N」点滅によって異常がクラッチ張付きにあることを認識できる。
また、強制ギヤ入れの実行条件としてパーキングブレーキ操作が設定されているため、車両に制動力を作用させた状態で発進段への切換が実行される。この要因は、車両の発進による運転者の違和感を防止できるだけでなく、クラッチ張付き解消の確率を向上できるという効果がある。即ち、発進段への切換によるトルク伝達の瞬間に車両が僅かでも発進すると、その分だけクラッチ装置2へのショックが弱まる。これに対して制動力で車両発進を規制していれば、トルク伝達のショックが直接的にクラッチ装置2に作用するため、クラッチ張付きを解消できる可能性を高めることができる。
加えて、クラッチ張付きの発生時には、その状況をギヤ段表示部33の「N」点滅により運転者に報知している。このときの運転者はDレンジへの切換操作にも拘わらず車両が発進しないことで異常を察知しているが、その原因がクラッチ張付きにあることを突き止めるには多少の時間を要する。しかし、このようにギヤ段表示部33に表示がされると、クラッチ張付きをより確実に運転者に認識させることができる。
次に本発明を具体化した自動変速機3の制御装置の第2実施形態を説明する。本実施形態の自動変速機3の制御装置の全体的な構成は、図1に示した第1実施形態のものと同様であり、上記のように相違点はECU21によるクラッチ張付き解消ルーチンの制御内容にある。そこで、共通する構成箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
図4はECU21により実行されるクラッチ張付き解消ルーチンを示すフローチャートである。図2に示す第1実施形態のものとの相違点は、ステップS18とステップS20との間に、ステップS32の処理を加えたことにある。
従って、図5のタイムチャートに示すように、パーキングブレーキ操作が行われただけでは強制ギヤ入れは実行されず、その後に待機時間T2が経過する以前に上記した一連のシフトレバー操作が行われたことを条件に、強制ギヤ入れが実行されることになる。このように条件としてパーキングブレーキ操作のみならずシフトレバー操作も加えたため、より確実に強制ギヤ入れの可否を判定することができる。
また、上記実施形態では、強制ギヤ入れとして発進段への切換を行ったが、これに限るものではない。通常の車両発進であれば発進段を用いることが最適であるが、クラッチ張付き解消を目的とした強制ギヤ入れでは、寧ろ車両を発進させない方がクラッチ装置2へのショックの観点から望ましい。そこで強制ギヤ入れとして、あえて車両の発進が困難になる高速ギヤ側の変速段(例えば4速や5速)への切換を実行するようにしてもよい(強制ギヤ入れ実行手段)。このように構成すれば、強制ギヤ入れ時に車両がより発進し難くなるため、トルク伝達のショックを直接的にクラッチ装置2に作用させてクラッチ張付きを一層確実に解消することができる。
2 クラッチ装置(クラッチ)
3 自動変速機
8 エアシリンダ(クラッチ駆動手段)
13 シフトレバー
14 ギヤシフトユニット(シフト駆動手段)
21 ECU
(クラッチ張付き判定手段、強制ギヤ入れ可否判定手段、強制ギヤ入れ実行手段)
33 ギヤ段表示部(報知手段)
Claims (4)
- エンジンの駆動力をクラッチの断接状態に応じて変速機に伝達可能に構成され、シフトレバーの走行位置への切換に基づく車両の発進時に、クラッチ駆動手段によりクラッチを接続状態から切断状態へ切換操作した上で、シフト駆動手段により変速機をニュートラルから走行段に切り換え、その後に上記クラッチ駆動手段によりクラッチを接続操作して車両を発進させる自動変速機の制御装置において、
上記クラッチを接続状態から切断状態へ切換操作したにも拘わらず、上記エンジンと上記クラッチとの回転差が略0のままで予め設定された張付き判定時間が経過したときにクラッチ張付き判定を下すクラッチ張付き判定手段と、
上記クラッチ張付き判定手段によりクラッチ張付き判定が下された場合、運転者によりブレーキ操作が行われないときには上記変速機の走行段への切換を禁止し、クラッチ張付き判定が下されてから予め設定された待機時間が経過する以前に上記運転者によりブレーキ操作が行われたときには、クラッチ張付き解消のための強制ギヤ入れとして上記走行段への切換を許可する強制ギヤ入れ可否判定手段と、
上記強制ギヤ入れ可否判定手段により上記許可判定が下されたとき、上記シフト駆動手段により上記変速機を走行段に切換操作する強制ギヤ入れ実行手段と
を備えたことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 上記強制ギヤ入れ可否判定手段は、上記待機時間が経過する以前に、上記運転者によりブレーキ操作が行われ、且つ上記シフトレバーが上記走行位置から他のシフト位置を経て再び走行位置に切り換えられたときに、上記強制ギヤ入れとして走行段への切換を許可することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御装置。
- 上記クラッチ張付き判定手段は、上記クラッチ張付き判定を下したときに、報知手段により運転者にクラッチ張付きを報知することを特徴する請求項1または2記載の自動変速機の制御装置。
- 上記強制ギヤ入れ実行手段は、上記許可判定が下されたとき、上記強制ギヤ入れとして発進段よりも高速ギヤ側の走行段への切換操作を実行することを特徴とする請求項1乃至3の何れか記載の自動変速機の制御装置。
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