JP2013124246A - 多剤式毛髪処理剤および毛髪処理方法 - Google Patents

多剤式毛髪処理剤および毛髪処理方法 Download PDF

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正人 吉岡
Takao Togano
隆雄 戸叶
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綾子 小柳
Yasuko Matsui
康子 松井
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Abstract

【課題】 化学的な損傷を受けた毛髪に対して、毛髪の損傷を回復させ、毛髪になめらかさや良好なすべり性などを付与し、しかもその感触を長時間持続させることができる多剤式毛髪処理剤およびその多剤式毛髪処理剤を用いた毛髪処理法を提供する。
【解決手段】 分子量2,000以下のカチオン化加水分解ペプチドおよびグリセリン誘導体からなる保湿剤を含有するA剤、分子量10,000以上の酸化型加水分解ケラチンを含有するB剤、(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマー、陽イオン性界面活性剤、メチルポリシロキサンおよびアミノ変性シリコーンを含有するC剤の3剤で毛髪処理剤を構成する。毛髪の処理は、A剤を毛髪に塗布し、続いてB剤を塗布した後、該毛髪にC剤を塗布して水洗するか、A剤を塗布し、続いてB剤を塗布した毛髪を水洗し、その後該毛髪にC剤を塗布して水洗することで行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は、多剤式の毛髪処理剤および該毛髪処理剤を用いた毛髪処理方法に関し、特に、ヘアカラー剤やパーマネントウェーブ剤などによって化学的な損傷を受けた毛髪に対して、毛髪の損傷を回復させ、良好な感触を付与し、しかもその良好な感触を長時間持続させることができる多剤式の毛髪処理剤と、該毛髪処理剤を用いた毛髪の処理方法に関するものである。
ヘアカラーやパーマネントウェーブなどの処理によって化学的な損傷を受けた毛髪に、しっとり感、なめらかさ、すべり性、しなやかさ、あるいは、ハリ、コシなどを付与する目的で、従来から、タンパク質加水分解物、カチオン性界面活性剤やカチオン性高分子、高分子物質、シリコーン類、油性物質、保湿剤などを主体とした毛髪処理剤組成物が使用されてきた。しかしながら、これらの組成物によるトリートメント効果は、毛髪の損傷状態によっては不十分な場合があり、また、その効果は一時的であって、シャンプー洗浄によってほとんど消失してしまうものであるか、仮にシャンプー後に残っているとしても逆に不快な残留感を示すだけのものであった。
そのため、2種類以上の剤型を組み合わせ、これらを逐次に毛髪に接触させることで毛髪の状態を変化させ、トリートメント効果を付与する多剤式の毛髪処理剤も用いられている。例えば、アニオン性高分子で処理した後にカチオン性物質で処理するもの(特許文献1)、タンパク質加水分解物に次いでタンパク変性剤として酸で処理するもの(特許文献2)、ポリウレタンとポリエーテル変性シリコーンで処理した後にカチオン性化合物で処理するもの(特許文献3)などである。しかしながら、これらの方法では、一時的にしっとり感、滑り性、しなやかさ等を与えることはできるものの持続性はなく、損傷毛髪の修復・回復の効果は余り期待できなかった。
また、シリコーン誘導体類を多用して毛髪になめらかさや良好な指通り性を付与することを目指した提案も数多くあるが(特許文献4、5など)、シリコーンは疎水性が強い毛髪には吸着しやすいが、損傷して親水性になった毛髪には吸着しにくく、洗浄で洗い流されてその効果が充分に発揮されないという問題があった。そのため、毛髪の損傷回復と疎水化を狙ったシリコーンとタンパク質加水分解物を組み合わせた毛髪処理剤が開発されてきているが(特許文献6、7など)、効果の持続性の面で満足できるものではなかった。
特開2001−48751号公報 特開2003−300843号公報 特開2008−019204号公報 特開2008−137995号公報 特開2009−184979号公報 特開2008−56579号公報 特開2008−201766号公報
従って、本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、ヘアカラー剤やパーマネントウェーブ剤などによって化学的な損傷を受けた毛髪に対して、毛髪の損傷を回復させて良好な感触を付与し、しかもその感触を長時間持続させることができる毛髪処理剤と、該毛髪処理剤を用いた毛髪の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドを0.3〜4.0質量%とグリセリン誘導体からなる保湿剤を0.1〜10質量%含有する水性液からなるA剤、分子量が10,000以上の酸化型加水分解ケラチンを1.0〜4.0質量%含有する水性液からなるB剤、(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーを0.2〜2.0質量%、陽イオン性界面活性剤を0.2〜3.0質量%、シロキサン重合度が5〜1,000のメチルポリシロキサンを0.2〜5.0質量%およびシロキサン重合度が5〜1,000のアミノ変性シリコーンを0.2〜5.0質量%含有する水性液からなるC剤、からなる多剤式の毛髪処理剤を用い、A剤、B剤、C剤の順に毛髪に塗布して毛髪を処理するときには、ヘアカラーやパーマネントウェーブ処理などで化学的な損傷を受けた毛髪に対して、毛髪の損傷を回復させて良好な感触を付与し、しかもその感触を長時間持続させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドを0.3〜4.0質量%とグリセリン誘導体からなる保湿剤を0.1〜10質量%含有する水性液からなるA剤、
(2)分子量が10,000以上の酸化型加水分解ケラチンを1.0〜4.0質量%含有する水性液からなるB剤、
(3)(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーを0.2〜2.0質量%、陽イオン性界面活性剤を0.2〜3.0質量%、シロキサン重合度が5〜1,000のメチルポリシロキサンを0.2〜5.0質量%およびシロキサン重合度が5〜1,000のアミノ変性シリコーンを0.2〜5.0質量%含有する水性液からなるC剤、
からなる多剤式の毛髪処理剤であって、これを請求項1に係わる発明とする。
ヘアカラー剤やパーマネントウェーブ剤などによって化学的な損傷を受けた毛髪は、システイン酸のスルホン酸アニオン(−SO - )が多くなり、毛髪がマイナスに帯電する。また、ブリーチ処理を繰り返した毛髪は、毛髪内部に存在する水分(「二次蒸散水」と定義されている)が減少する。これらの要因で、毛髪にパサツキや広がり、きしみが生じ、切れ毛や枝毛を生じるようになる。本発明は、このマイナスに帯電する現象や毛髪の二次蒸散水分量の減少に着目し、イオン性保湿剤、イオン性毛髪修復剤を複数用いて、毛髪の内外でイオンコンプレックスを作り、損傷毛髪を修復するものである。
A剤を構成するペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドとは、分子量が2,000以下のペプチドのアミノ基に四級アンモニウム基を導入したペプチドのN−四級化誘導体で、例えば、下記の一般式(I)で表される。
Figure 2013124246
(式中、R、R、Rはそれぞれ炭素数1〜20のアルキル基で、同一でも異なっていてもよいが、R、R、Rのうち少なくとも一つはメチル基である。Rはアミノ酸側鎖を示し、mは下付文字でアミノ酸の重合度を示し、2〜20である)
カチオン化ペプチドのペプチド部分の分子量が2,000以上では、毛髪表面での吸着が多く、マイナスに帯電した毛髪内部への吸着が少なくなり好ましくない。そして、A剤中でのペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドの含有量(配合量)としては0.3〜4.0質量%が好ましく、0.5〜3.0質量%がより好ましい。ペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドの含有量が0.3質量%以下では、マイナスに帯電した毛髪内部への吸着が少なく、従って毛髪修復効果が少なく、含有量が4.0質量%以上になると、毛髪への付着が多くなり、重さを感じ、質感を悪くするおそれがある。
ペプチド部分の起源のタンパク質としては、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、フィブロイン、セリシン、ミルクタンパク、パール(コンキオリン)、卵黄、卵白などの動物由来のものや、大豆、小麦、米、ゴマ、トウモロコシ、エンドウなどの植物由来タンパク、酵母タンパクやクロレラタンパクなどの微生物由来のものが挙げられるが、毛髪への吸着性や入手のしやすさなどからは、コラーゲン、ケラチン、フィブロイン、ミルクタンパク、コンキオリン、大豆タンパク、小麦タンパク、米タンパク、ゴマタンパク、エンドウタンパクが好ましい。
そこで、本発明においては、カチオン化ペプチドのペプチド部分が、コラーゲン、ケラチン、フィブロイン、ミルクタンパク、コンキオリン、大豆タンパク、小麦タンパク、米タンパク、ゴマタンパク、エンドウタンパクを加水分解することで得られるペプチドのものを請求項2に係わる発明とする。
A剤には第二の成分としてグリセリン誘導体からなる保湿剤を0.1〜10.0質量%含有するが、グリセリン誘導体からなる保湿剤としては、各種化合物にグリセリル基が付加したものが挙げられ、グリセリルアミノ酸やグリセリルアスコルビン酸などを例示できる。それらの中でも、アミノ酸のアミノ基にグリセリル基が結合したN−グリセリルアミノ酸がイオン性を有するため好適で、特に塩基性アミノ酸のアミノ基にグリセリル基が結合したものが保湿性やべたつきの少なさの面で優れ、N−グリセリルアルギニンが好適である。
そこで、A剤を構成するグリセリン誘導体からなる保湿剤が、N−グリセリルアルギニンであるものを請求項3に係わる発明とする。
A剤中でのグリセリン誘導体からなる保湿剤の含有量は0.1〜10.0質量%が好ましく、0.5〜8.0質量%がより好ましい。グリセリン誘導体からなる保湿剤の含有量が0.1質量%以下では保湿効果が得られないおそれがあり、含有量が10.0質量%以上になっても、含有量の増加に伴う効果の増大が見られないだけでなく、毛髪にべたつきを生じさせるおそれがある。
本発明の毛髪処理剤のB剤は、分子量が10,000以上の酸化型の加水分解ケラチンを1.0〜4.0質量%含有するが、酸化型の加水分解ケラチンとは、例えば、下記一般式(II)
Figure 2013124246
(式中、Rは中性アミノ酸の側鎖の残基を表し、Rは塩基性アミノ酸の側鎖の末端アミノ基を除いた残基を表し、Rは酸性アミノ酸の側鎖の末端カルボキシ基を除いた残基を表す。a、b、cおよびdは下付文字で各アミノ酸の数を表し、a+b+c+dはアミノ酸重合度を表し、100以上の数である。なお、a、b、cおよびdはアミノ酸の数を表すのみで、アミノ酸の配列順序を表すものではない)
で表されるように、加水分解ケラチン中のシスチン残基をシステイン酸型(−SOH型)に変化させたものである。
分子量が10,000以上の加水分解ケラチンが非酸化型(−S−S−型、−SH型)では、A剤の処理で毛髪に吸着したカチオン化ペプチドとコンプレックスを作り難いため、B剤中の加水分解ケラチンは酸化型である必要がある。また、ペプチドの分子量が10,000以下では毛髪表面での被膜形成が少なくなるため、このB剤で用いる酸化型加水分解ケラチンは分子量が10,000以上必要である。すなわち、上記一般式(II)において、a+b+c+dが100以上必要である。
そして、B剤での分子量が10,000以上の酸化型加水分解ケラチンの含有量(配合量)は1.0〜4.0質量%が好ましく、1.5〜3.0質量%がより好ましい。分子量が10,000以上の酸化型加水分解ケラチンの含有量が1.0質量%以下であると被膜形成効果が少なく、4.0質量%以上では付着感が多くなり、毛髪に硬さやゴワツキを感じ、質感を悪くするおそれがある。
本発明の毛髪処理剤のC剤は、(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーを0.2〜2.0質量%、陽イオン性界面活性剤を0.2〜3.0質量%、シロキサン重合度が5〜1,000のメチルポリシロキサンを0.2〜5.0質量%およびシロキサン重合度が5〜1,000のアミノ変性シリコーンを0.2〜5.0質量%含有するが、(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーとは化粧品表示名称で、ジメチルジエトキシシランとオクチルトリエトキシシランとN−〔2−ヒドロキシ−3−[3−(ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ]プロピル〕加水分解シルクの10〜20:10〜20:1モル比の共重合体であり、(株)成和化成からプロテシルLH(商品名)として販売されているものである。
そして、(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーのC剤中での含有量(配合量)は0.2〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.3質量%〜1.0質量%である。C剤中での(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーの含有量が0.2質量%以下であると、毛髪表面への付着が少ないため質感向上の効果が少なく、2.0質量%以上では付着感が多くなり、べたつきを感じ、毛髪の質感を悪くするおそれがある。
C剤の第二成分の陽イオン性界面活性剤としては、化粧品に使用されるものなら特に制限はない。そして、陽イオン性界面活性剤の含有量(配合量)は0.2〜3.0質量%が好ましく、1.0〜2.0質量%がより好ましい。陽イオン性界面活性剤の含有量が0.2質量%以下では毛髪への付着量が少ないため質感向上の効果が少なく、3.0質量%以上では付着量が多くなり、べたつきを感じ、毛髪の質感を悪くするおそれがある。
C剤の第三成分のシロキサン重合度が5〜1,000のメチルポリシロキサンは、化粧品表示名称でジメチコンと称され、シロキサン重合度がこの範囲のものなら特に制限はない。シロキサン重合度に範囲を設けているのは、重合度が5以下では揮発性が高く、毛髪への付着残量が少ないおそれがあり、シロキサン重合度が1,000以上では粘性が高く、製剤への応用に難があるためである。そして、C剤中でのシロキサン重合度が5〜1,000のメチルポリシロキサンの含有量(配合量)は0.2〜5.0質量%が好ましく、0.5〜3.0質量%がより好ましい。メチルポリシロキサンの含有量が0.2質量%以下であると、毛髪への付着が少ないため質感向上の効果が少なく、5.0質量%以上では付着感が多くなり、硬さを感じ、毛髪の質感を悪くするおそれがある。
C剤の第四の成分のシロキサン重合度が5〜1,000のアミノ変性シリコーンは、化粧品表示名称でアモジメチコン、アミノプロピルジメチコンと称され、シロキサン重合度がこの範囲のものなら特に制限はない。シロキサン重合度に範囲を設けているのは、重合度が5以下では揮発性が高く、毛髪への付着残量が少ないおそれがあり、シロキサン重合度が1,000以上では粘性が高く、製剤への応用に難があるためである。そして、C剤中でのシロキサン重合度が5〜1,000のアミノ変性シリコーンの含有量(配合量)は0.2〜5.0質量%が好ましく、0.5〜3.0質量%がより好ましい。アミノ変性シリコーンの含有量が0.2質量%以下であると、毛髪表面への付着が少ないため、質感向上の効果が少なく、5.0質量%以上では付着感が多くなり、べたつきや重さを感じ、毛髪の質感を悪くするおそれがある。
請求項4の発明は、前記A剤、B剤およびC剤を用いた毛髪処理方法であって、毛髪を処理するにあたり、A剤を毛髪に塗布し、続いてB剤を塗布した後、該毛髪にC剤を塗布するか、または、A剤を塗布し、続いてB剤を塗布した毛髪を水洗し、その後該毛髪にC剤を塗布することを特徴とする毛髪の処理方法である。
なお、本発明で用いているペプチド(タンパク質加水分解物)の分子量は、分子量2,000以下のものについては総窒素量とアミノ態窒素量から求めた数平均分子量であり、分子量10,000以上のものについてはサイズ排除クロマトグラフィーで求めた値である。
本発明の多剤式毛髪処理剤によれば、ヘアカラーやパーマネントウェーブ処理などによって化学的な損傷を受けた毛髪に対して、毛髪の損傷を修復し、毛髪になめらかさや良好なすべり性などを付与し、しかもその感触を長時間持続させることができる。
すなわち、本発明では、化学的に損傷を受けた毛髪を、A剤中のペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドとグリセリン誘導体からなる保湿剤が、損傷によって毛髪タンパク質の表面に顕れたマイナスに帯電した陰イオン性基に吸着することで損傷を修復すると共に保湿成分を毛髪に付与し、次に、B剤に含有される分子量が10,000以上の酸化型の加水分解ケラチンがカチオン化ペプチドとイオンコンプレックスを作ることで毛髪を修復すると共に毛髪表面に均一な被膜を形成して毛髪表面を被覆し、さらにC剤中に含有される(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマー、陽イオン性界面活性剤、メチルポリシロキサンおよびアミノ変性シリコーンが毛髪表面に吸着し、毛髪をコーティングすることで保湿成分を毛髪内部に閉じ込めると共に毛髪表面を良好な感触にする。これら一連の操作によって形成されたイオン性のコンプレックスは、数回の洗浄では落ちることなく高い持続性を有する。
本発明の毛髪処理剤はA剤、B剤、C剤の3剤で構成され、それぞれ水性液にされるが、この水性液とは、水溶液、ジェルまたはO/W型の乳化物を含む水懸濁液を意味し、その中にエタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i-ブタノールなどの低級アルコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソペンチルジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトールなどの多価アルコール類などの水可溶性有機溶剤を含んでいてもよい。
A剤は必須成分としてペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドを0.3〜4.0質量%とグリセリン誘導体からなる保湿剤を0.1〜10.0質量%含むが、ペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドとしては、化粧品に用いられるものなら特に制限はなく、トリメチルアンモニウム誘導体や高級アルキルジメチルアンモニウム誘導体などを用いることができる。カチオン化ペプチドのペプチド部分が、コラーゲン、ケラチン、フィブロイン、ミルクタンパク、コンキオリン、大豆タンパク、小麦タンパク、米タンパク、ゴマタンパクまたはエンドウタンパク由来のものが毛髪への吸着性が良く、かつ一般的に用いられていて入手しやすいため好適である。
カチオン化ペプチドのペプチド部分の分子量は2,000以下である必要があるが、これはペプチド部分の分子量が2,000以上では、毛髪表面での吸着が多く、マイナスに帯電した毛髪内部への吸着が少なくなり、好ましくないからである。ペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドの市販品の具体例としては、(株)成和化成製のプロモイス ミルクQ、シルク−1000Q、W−42Q、WS−HQ、WK−HQ、WK−Q、W−42CAQ、WK−HCAQ、S−CAQ、WS−HCAQ(いずれも商品名)などが挙げられる。
A剤には、ペプチド部分の分子量、ペプチドのタンパク源、四級アンモニウムに結合する官能基などが異なるペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドを2種以上含有させてもよく、その場合もA剤中の含有量は、2種以上の合計量で0.3〜4.0質量%である。
A剤に含有させる第2の必須成分であるグリセリン誘導体からなる保湿剤としては、N−グリセリルアミノ酸、グリセリルアスコルビン酸などが挙げられ、これらの中でもアミノ酸のα−アミノ基にグリセロールが付加したN−グリセリルアミノ酸が好適である。特に、塩基性アミノ酸であるアルギニンやリシンのα−アミノ基にグリセロール基が付加したαN−グリセリルアルギニンやαN−グリセリルリシンが毛髪への吸着性に優れ、αN−グリセリルアルギニンがさらに好適である。市販品のN−グリセリルアミノ酸としては、(株)成和化成社製のAmitose R(商品名)が挙げられ、これはαN−グリセリルアルギニンである。
このグリセリン誘導体からなる保湿剤も2種以上をA剤に含有させてもよいが、その場合もA剤中の含有量は、2種以上の合計量で0.1〜10.0質量%である。
A剤の形態については特に制限はないが、使用場面、塗布状況を考えると、液状のミストタイプが好ましい。A剤には、化粧料に通常使用される成分(例えば、後記の各種成分)を適宜使用して調製することができる。そして、A剤のpHとしては、毛髪へのダメージを考慮するとpH3.0〜8.0の範囲であることが好ましく、pH5.5〜6.5がより好ましい。
B剤は、分子量が10,000以上の酸化型の加水分解ケラチンを1.0〜4.0質量%含有するが、前記のように、A剤の処理で毛髪に吸着したカチオン化ペプチドとコンプレックスを形成させるために、B剤中の加水分解ケラチンは酸化型(−SOH型)の必要がある。また、酸化型の加水分解ケラチンの分子量が10,000以下では毛髪表面での被膜形成が少なくなり、本発明の効果が充分に発揮されなくなるおそれがあるため、このB剤で用いる酸化型加水分解ケラチンは分子量が10,000以上必要である。分子量が10,000以上の酸化型加水分解ケラチンとしては、例えば、(株)成和化成製のプロモイスKR−30、WK−GB(いずれも商品名)などが挙げられる。
B剤には、分子量が異なる分子量が10,000以上の酸化型の加水分解ケラチンを2種以上含有させてもよいが、含有量としては、2種以上の合計量で1.0〜4.0質量%である。
B剤の形態については特に制限はないが、使用場面、塗布状況を考えると、ジェル状タイプが好ましい。B剤には、化粧料に通常使用される成分(例えば、後記の各種成分)を適宜使用し、通常の方法で調製することができる。そして、B剤のpHとしては、毛髪へのダメージを考慮するとpH3.0〜8.0の範囲であることが好ましく、pH6.5〜7.5がより好ましい。
C剤は、(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーを0.2〜2.0質量%、陽イオン性界面活性剤を0.2〜3.0質量%、シロキサン重合度が5〜1,000のメチルポリシロキサンを0.2〜5.0質量%およびシロキサン重合度が5〜1,000のアミノ変性シリコーンを0.2〜5.0質量%含有するが、(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーは、ジメチルジエトキシシランとオクチルトリエトキシシランとN−〔2−ヒドロキシ−3−[3−(ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ]プロピル〕加水分解シルクの共重合体で、市販品の(株)成和化成製プロテシルLH(商品名)を用いることができる。
C剤の第二成分の陽イオン性界面活性剤の具体例としては、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ジアルキル(C12−18)ジモニウムクロリドなどが挙げられ、これらを単独または混合して使用することができるが、2種以上混合して用いる場合も、C剤中の含有量は0.2〜3.0質量%である。
C剤の第三成分のメチルポリシロキサンは、化粧品表示名称でジメチコンと称されシロキサン重合度が5〜1,000であるものなら特に制限はなく使用可能で、第四成分のアミノ変性シリコーンも、化粧品表示名称でアモジメチコン、アミノプロピルジメチコンと称され、シリコーンのシロキサン重合度が5〜1,000であるものならの制限なく使用できる。メチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンはそれぞれシロキサン重合度が異なるものを2種以上混合して用いてもよいが、C剤中での含有量は、それぞれ、2種以上の合計量で0.2〜5.0質量%である。
C剤の形態については特に制限はないが、使用場面、塗布状況を考えると、乳化タイプのクリーム状が好ましい。C剤には、化粧料に通常使用される成分(例えば、後記の各種成分)を適宜使用し、通常の方法で調製することができる。そして、C剤のpHは、毛髪へのダメージを考慮するとpH3.0〜8.0の範囲であることが好ましく、pH6.5〜7.5がより好ましい。
本発明の毛髪処理剤のA剤、B剤およびC剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記の必須成分以外に、通常の化粧料に使用される各種成分も適宜配合することができる。そのような配合可能な成分としては、例えば、界面活性剤、高分子化合物、アルコール類、油脂類、エステル油類、炭化水素類、脂肪酸、多価アルコール、タンパク質加水分解物、アミノ酸、シリコーン、増粘剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、外観調整剤、色素、香料などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、モノアルキル型4級アンモニウム塩(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなど)、ジアルキル型4級アンモニウム塩(塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウムなど)、ベンザルコニウム型4級アンモニウム(塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなど)などのカチオン性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、リン酸ジセチル、リン酸ジオレイル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、自己乳化型モノステアリン酸エチレングリコール、ポリオキシエチレン(20)ステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(3)ソルビット、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリ(2〜10)グリセリル、ショ糖脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどの両性界面活性剤、などが挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ローカストビーンガムなどが挙げられ、アルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコールなどの低級アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコールが挙げられる。
油脂類としては、例えば、シア脂、小麦胚芽油、コメヌカ油、マカデミアナッツ油、メドウホーム油、卵黄油などが挙げられ、エステル類としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸イソステアリル、イソオクタン酸セチル、オレイン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸ヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、イソステアリン酸フィトステリル、イソノナン酸イソノニルなどが挙げられる。また、炭化水素類としては、例えば、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウ、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、セレシン、パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリンなどが挙げられる。
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、オクタン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸などが挙げられ、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソペンチルジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸などが挙げられ、酸化防止剤としては、例えば、dl−α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、エリソルビン酸、無水亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アルギニンなどのアルカリ剤が挙げられ、外観調整剤としては、例えば、ステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、(スチレン/ビニルピロリドン)コポリマー、ポリ酢酸ビニル、タルク、マイカ、雲母、貝殻末など挙げられる
本発明の多剤式毛髪処理剤を用いて毛髪を処理するにあたっては、先に毛髪にA剤を塗布し、続いてB剤を塗布し、さらにC剤を塗布するか、あるいは、A剤を塗布し、続いてB剤を塗布した後、毛髪を水洗してからC剤を塗布することで行われる。両方法とも、C剤での処理後、毛髪を水洗し、乾燥すればよい。
A剤、B剤およびC剤による処理に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、更に別工程として、他の剤による処理を追加してもよい。例えば、A剤、B剤およびC剤による毛髪処理を行なった後、他の剤としてリーブオントリートメント、ヘアクリーム、ヘアスプレーなどを用いて処理することで、さらにコンディショニング効果やスタイリング性を高めることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例や比較例における各成分の配合量はいずれも質量部によるものであり、配合量が固形分量でないものについては、成分名のあとに括弧書きで固形分濃度を示す。また、濃度を示す%は質量%である。以下の実施例や比較例においては、毛髪処理剤の調製を行う関係もあって、各成分に関して含有という表現をせず、配合という表現で説明する。
実施例1〜27および比較例1〜15
本発明のA剤、B剤、C剤からなる多剤式の毛髪処理剤において、必須成分の最適のペプチド分子量、配合濃度、シリコーン類のシロキサン重合度を確認するための試験を行った。表1に示す組成のA剤、B剤およびC剤を毛髪処理剤の基本とし、必須成分の配合量を変化させた試験や分子量の異なるタンパク質加水分解物を用いた試験などを行った。なお、後記の結果を示す表2〜表9では、成分名を全て記載するスペースがないため、A剤、B剤およびC剤の配合成分を、それぞれ、A剤成分1、B剤成分1、C剤成分1・・のように表す。また、配合量の比較が容易になるように、固形でない配合成分についても配合量は固形分量で記載する。
Figure 2013124246
表1中、*1は(株)成和化成製のプロモイスミルクQ(商品名)で加水分解カゼイン部分の分子量は600、*2は(株)成和化成製のAmitose R(商品名)でアルギニンのグリセリン誘導体であり、*3は(株)成和化成製のプロモイスKR−30(商品名)で、その分子量は30,000であり、*4は大日本住友製薬(株)製のエコーガムBT(商品名)である。また、*5は(株)成和化成製のPROTESIL LH(商品名)であり、*6は東邦化学工業(株)製のカチナールSTC−25W(商品名)で、*7は東邦化学工業(株)製のカチナールDC−80(商品名)で、*8は花王(株)製のコータミンD2345P(商品名)である。また、*9は信越化学工業(株)製のKF−96A−200cs(商品名)でシロキサン重合度が200、*10は信越化学工業(株)製のKF−8004でシロキサン重合度が800である。
試験では、下記の〔試験毛髪の前処理〕を施した長さ13cmで重さ2g毛束を用い、下記の〔毛髪の処理法1〕で毛束を処理し、〔毛髪の評価法1〕で処理毛髪を評価した後、1%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、〔効果の持続性の評価法1〕で効果の持続性を評価した。
〔試験毛髪の前処理(ブリーチ処理)〕
長さ13cmで重さ2gの毛束を作製し、2%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水道水流水ですすいだ後、室温で風乾する。次いでこの毛束を6%過酸化水素水と2%アンモニア水を1:1に調製したブリーチ剤に30分間浸漬した後、水道水流水中で洗浄する。洗浄後の毛束を1Mクエン酸と0.2Mリン酸水素二ナトリウムの緩衝液(pH3)に5分間浸漬した後、水道水流水中で洗い、室温で風乾する。この処理を3回繰り返した後、各試験に供する。
〔毛髪の処理法1〕
毛束に1gのA剤を塗布し、続いて1gのB剤を塗布した後、45℃の恒温槽で10分間加温し、水道水で流水で洗浄する。次いでC剤1gを塗布して十分に毛髪に馴染ませた後、水道水の流水で洗い流し、ヘアドライヤーで乾燥する。
〔処理毛髪の評価法1〕
パネリスト5人に、毛髪のしっとり感、すべり感、試料の付着感、好みの項目について各人の基準で、良いと感じる場合3点、ごく普通(市販品と同程度)2点、市販品より劣ると感じる場合1点とした3段階評価をさせ、その合計点で毛髪処理剤の総合評価点とする。すなわち、評価の4項目全てが3点の場合の評価値は12点になる。5人のパネリストの評価値を合計し、60点を最高点として下記の基準で毛髪処理剤を総合評価する。
毛髪処理剤の総合評価基準
51〜60点 :非常に優れている ( ◎ )
41〜50点 :優れている ( ○ )
31〜40点 :劣る ( △ )
20〜30点 :非常に劣る ( × )
なお、毛髪処理剤の評価を示す表中では括弧内に記した記号を使用する。
〔効果の持続性の評価法1〕
毛髪処理剤で処理した毛束を評価した後、毛束を1%のポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水道水の流水中ですすぎ、ヘアドライヤーで乾燥する。このシャンプー処理を3回繰り返した後、上記〔処理毛髪の評価1〕と同じ評価を行う。毛髪処理直後と3回のシャンプー洗浄後の各人の総合評価値の差を求め、5人のパネリストの総合評価値の差の合計で、下記の持続性の評価基準をもとに毛髪処理剤の持続性を評価する。すなわち、総合評価値の差が小さい程、効果の持続性が大きいことを意味する。
効果の持続性の分類基準
0〜10点 :持続性に非常に優れている ( ◎ )
11〜20点 :持続性に優れている ( ○ )
21〜30点 :持続性に劣る ( △ )
31〜40点 :持続性なし ( × )
なお、下記の持続性の結果を表示する表中では、評価は括弧内に記した記号を使用する。
試験結果1:A剤のカチオン化ペプチドの濃度
表2にA剤成分1(ペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチド)の配合量を0.09%から6.0%まで変化させた処理剤で毛髪を処理した時の結果を示す。毛髪の処理に際しては、B剤およびC剤は表1に示した組成のものを用いている。なお、使用したA剤成分1およびA剤成分2は表1に記してあるようにそれぞれ30%水溶液であるが、表2では有効成分の固形分量で表示してある。また、精製水量はA剤の全量を質量部で100にする量であり、残余と記してある。これら表の記載方法については、次の表3でも同じである。
Figure 2013124246
表2に示したように、毛髪処理後の総合評価では、ペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチド(A剤成分1)配合量が比較例1のように0.1%では効果がなく、比較例2のように6.0質量%ではべたつきが出、配合濃度範囲としては0.3%〜4.0%の範囲で効果が確認できた。また、持続性の評価でも、同様に0.3%〜4.0%の範囲で効果が持続することが確認できた。
試験結果2:A剤のカチオン化ペプチドの分子量
表3にA剤成分1のペプチド部分の分子量(MW)が2,000以下のカチオン化ペプチドに代えてペプチド部分の分子量が異なるカチオン化ペプチドを使用した時の結果を示す。なお、毛髪の処理に際しては、B剤およびC剤は表1に示した組成のものを用いている。
Figure 2013124246
表3中、*11はプロモイスシルク−1000Q(商品名)、*12はプロモイスW−52Q(商品名)で、*13はペプチド分子量4,000の加水分解ケラチンにトリメチルアンモニウム基を付加した塩化N−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕加水分解ケラチンである。
表3に示したように、ペプチド部分の分子量が2,000を超えると、毛髪処理後の評価も効果の持続性の評価も下がることが明らかであった。
試験結果3:B剤の酸化型加水分解ケラチンの濃度
表4にB剤成分1(分子量が10,000以上の酸化型加水分解ケラチン)の配合量を0.5%から5.0%まで変化させたB剤で毛髪を処理した結果を示す。毛髪の処理に際しては、A剤およびC剤は表1に示した組成のものを用いている。なお、使用したB剤成分1は、表1に記してあるように10%水溶液であるが、表4では有効成分の固形分量で表示する。また、精製水量はB剤の全量を質量部で100にする量であり、残余と記してある。これら表の記載方法については、次の表5でも同じである。
Figure 2013124246
表4から明らかなように、加水分解ケラチンの配合量が5.0質量%では処理後の毛髪にゴワツキ感が出て好ましくなく、配合量が0.5%では効果が確認できないという結果であった。
試験結果4:B剤の酸化型加水分解ケラチンの分子量
表5に分子量の異なる酸化型加水分解ケラチンを配合したB剤を用いた場合の処理毛髪の評価と処理の持続性の評価を示す。なお、A剤およびC剤は、表1の組成のものを用いた。
Figure 2013124246
表5中、*14は成和化成社製プロモイスWK−GB、*15はプロモイスWK−Lで、*16はプロモイスWK−H(いずれも商品名)である。
表5から明らかなように、加水分解ケラチンの分子量が4,000以下では処理効果が見られず、また効果の持続性もない。加水分解ケラチンの分子量が大きいほど毛髪への付着感があり、すべりが付与されるとの意見が多かった。
試験結果5:C剤の(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーの濃度
表6にC剤成分1〔(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマー〕の配合量(固形分量)を0.15%から2.5%まで変化させた処理剤で毛髪を処理した結果を示す。毛髪の処理に際しては、A剤およびB剤は表1に示した組成のものを用いている。なお、使用したC剤成分1〜4は表1に記してあるように水溶液であるが、表6では有効成分の固形分量で表示する。また、精製水の量はC剤の全量を質量部で100にする量であり、残余と記してある。これら表の記載方法については、以下の表7、表8、表9でも同じである。
Figure 2013124246
C剤成分1の(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーの配合量が比較例9のように0.15%では毛髪へのすべりの付与効果がなく、比較例10のように2.5%では付着が強く重い感じとなるとの結果で、配合濃度範囲としては0.2%〜4.0%の範囲で効果が確認できた。効果の持続性に関しては、配合量が多くなるほど持続性が良くなる傾向が見られたが、比較例10のように配合量が2.5%では重い感じが残っているのみであった。
試験結果6:C剤のメチルポリシロキサンの濃度
表7にC剤成分5(メチルポリシロキサン)の配合量を0.1%から6.0%まで変化させた処理剤で毛髪を処理した結果を示す。なお、毛髪の処理に際しては、A剤およびB剤は表1に示した組成のものを用いている。
Figure 2013124246
表7から明らかなように、比較例11のように配合量が0.1%ではシリコーンのすべり性を付与する効果が見られず、濃度が高くなるとすべり性などの付与効果は上がるが、付着感が強くなって重たさを感じるようになる。配合濃度は0.2〜5.0%の範囲で効果の確認ができた。効果の持続性に関しては、配合濃度が高くなるとは持続性はよくなるが、濃度が高すぎると付着感のみを感じるようになるとの意見が多かった。
試験結果7:C剤のメチルポリシロキサンの重合度
表8にシロキサン重合度150のメチルポリシロキサン(C剤成分5)に代えてシロキサン重合度の異なるメチルポリシロキサンを配合したC剤を用いた場合の処理毛髪の評価を示す。なお、毛髪の処理に際しては、A剤およびB剤は表1に示した組成のものを用いている。
Figure 2013124246
表8中、*17は信越化学工業社製KF−96A−1000cs(商品名)でシロキサン重合度が約350、*18は信越化学工業社製KF−96A−5000cs(商品名)でシロキサン重合度が約650、*19は信越化学工業社製KF−96H−3万cs(商品名)でシロキサン重合度が約1,200である。
メチルポリシロキサンのシロキサン重合度が高くなると毛髪処理剤の塗布時に毛髪へのなじみが悪くなる傾向が見られ、シロキサン重合度1,200のメチルポリシロキサンを配合した比較例13では、毛髪へのなじみが非常に悪いとの意見が多かった。
試験結果8:C剤のアミノ変性シリコーンの濃度
表9にC剤成分6(アミノ変性シリコーン)の配合量を0.1%から6.0%まで変化させた処理剤で毛髪を処理した結果を示す。毛髪の処理に際しては、A剤およびB剤は表1に示した組成のものを用いている。
Figure 2013124246
アミノ変性シリコーンの配合量が0.1%以下では効果がなく、5.0%付近からややべたつきを感じ、6.0質量%では付着感が強くべたつきを感じるとの結果であった。効果の持続性に関しては、配合量が多いと持続性がよくなる傾向が見られた。
実施例28および比較例16
表10〜表12に示す組成のA剤、B剤およびC剤の3剤からなる多剤式毛髪処理剤(システムトリートメント)を用いて下記の要領で毛髪を処理し、同表に示す組成の市販品のシリコーンを主体とした比較例16の多剤式毛髪処理剤で処理した毛髪と、処理後のしっとり感、すべり感、試料の付着感、好みについて官能評価し、ハーフヘッド法によるモニター試験も行って両者を比較した。
実施例28ではA剤にペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドとしてペプチド部分の分子量が600である塩化N−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕加水分解カゼインと、グリセリン誘導体からなる保湿剤としてジヒドロキシプロピルアルギニン塩酸塩を用い、B剤には分子量10,000以上の酸化型加水分解ケラチンとして分子量30,000の酸化型加水分解ケラチンを、C剤には、(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーと、カチオン性界面活性剤として塩化ステアリルトリメチルアンモニウムと塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムと塩化ジアルキル(C12-18)ジメチルアンモニウムを、メチルポリシロキサンとしてシロキサン重合度が約200のジメチルポリシロキサンを、アミノ変性シリコーンとしてシロキサン重合度が約800のアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体を用いている。
Figure 2013124246
Figure 2013124246
Figure 2013124246
実施例28と比較例16の多剤式毛髪処理剤の比較評価として、前記〔試験毛髪の前処理(ブリーチ処理)〕の方法で処理した毛束を、下記の〔毛髪の処理法2(システムトリートメント処理)〕で処理し、後述する〔官能評価〕を実施した。
〔毛髪の処理法2(システムトリートメント処理)〕
ブリーチ処理を行なった毛束を表13に示す組成のシャンプーで洗浄した後、毛髪処理剤のA剤0.3gを毛束に均一に塗布して毛髪に馴染ませる。次いで、B剤0.3gを均一に毛束に塗布して毛髪に馴染ませた後、ラップフィルムで包んで40℃の恒温槽に10分間放置する。その後、水道水流水中で軽くすすぎ、C剤0.45gを毛束に均一に塗布して毛髪に馴染ませた後、水道水流水中で洗い流し、室温で風乾する。
Figure 2013124246
Figure 2013124246
〔官能評価〕
実施例28および比較例16の多剤式毛髪処理剤をそれぞれ用いて上記のシステムトリートメント処理を行ったそれぞれの毛束について、しっとり感、すべり感、試料の付着感、好み、の4項目について10人のパネリストにブラインド評価(盲検)させ、両毛髪処理剤を比較した。評価基準は、良い方を2点、悪い方を0点とし、同等であればそれぞれ1点とし、評価項目ごとの合計点を評価値とした。
官能評価後、実施例28および比較例16それぞれの毛髪処理剤で処理した毛束は、下記の〔毛髪の洗浄〕の方法での洗浄を6回繰り返し、再度上記〔官能評価〕と同じ評価項目、評価基準で評価した。それらの官能評価の結果を表15に示す。
〔毛髪の洗浄〕
システムトリートメント処理を行なった毛束を官能評価した後、表13に示す組成のシャンプーで洗浄し、表14に示す組成のヘアコンディショナー1gを均一に塗布して毛束に馴染ませた後、ラップフィルムで包んで40℃の恒温槽に10分間放置し、水道水流水中で軽くすすぐ。
Figure 2013124246
表15に示したように、いずれの評価項目においても実施例28は比較例16よりも優れていて、実施例28の多剤式毛髪処理剤は毛髪に良好な感触を付与する効果が高いことが明らかであった。また、システムトリートメント処理後に洗浄を6回繰り返した後でも優れた官能特性を有していて、実施例28では特にすべり感や試料の付着感の評価が高く、付与された良好な感触が持続していることが明らかであった。
〔モニター試験〕
10名のパネリストに、普段使用しているシャンプーで洗髪後、上記表10〜表12に示した実施例28の多剤式毛髪処理剤と普段使用しているヘアコンディショナー(毛髪処理剤)をハーフヘッドで処理し、処理後の毛髪のやわらかさ、さらさら感、しっとり感、すべり感、まとまり、試料の付着感、つやの7項目について普段使用しているコンディショナーと比較して、実施例28の多剤式毛髪処理剤で処理した方が満足の場合は2点、やや満足の場合は1点、普段と変わらない場合は0点、やや不満の場合は−1点、不満の場合は−2点として評価させた。評価項目ごとの10人の評価点の合計を毛髪処理剤の評価値とした。その結果を表16に示す。
Figure 2013124246
表16に示したように、実施例28の多剤式毛髪処理剤で処理後の評価値は、各評価項目とも7以上であり、各パネリストが普段使用しているヘアコンディショナーでの処理後に比べて、実施例28の多剤式毛髪処理剤は、毛髪にやわらかさ、さらさら感、しっとり感、すべり感、まとまり性、試料の付着感およびつやを付与する効果に優れているのが明らかであった。
また、施術6日後にも上記と同様の評価を実施し、施術直後と施術6日後の点数差を下記の分類基準に従って分類し、実施例28の多剤式毛髪処理剤の持続性を評価した。その結果を表17に示す。
持続性の分類基準
0点〜 4点 :持続性あり
5点〜 9点 :やや持続性あり
10点〜14点 :持続性なし
Figure 2013124246
表17に示したように、施術直後と6日後の評価値の差はいずれの評価項目でも9点以下であり、”やや持続性あり”以上の分類に該当し、実施例28の多剤式毛髪処理剤は、その効果の持続性が高いことが明らかであった。
実施例29および比較例17
表18〜表20に示す組成のA剤、B剤およびC剤の3剤からなる実施例29の多剤式毛髪処理剤と市販品の3剤式毛髪処理剤の処方をベースにした比較例17の多剤式毛髪処理剤を調製して毛髪を処理し、処理後の毛髪を官能評価した。
実施例29では、A剤にカチオン化ペプチドとしてペプチド部分の分子量が1,000である塩化N−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕加水分解シルク(フィブロイン)とグリセリン誘導体からなる保湿剤としてジヒドロキシプロピルアルギニン塩酸塩を用い、B剤には分子量10,000以上の酸化型加水分解ケラチンとして分子量10,000の酸化型加水分解ケラチンを、C剤には(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーと、カチオン性界面活性剤として塩化ステアリルトリメチルアンモニウムと塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムと塩化ジアルキル(C12-18)ジメチルアンモニウムを、メチルポリシロキサンとしてシロキサン重合度が約200のジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンとしてシロキサン重合度が約800のアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体を用いている。
Figure 2013124246
Figure 2013124246
Figure 2013124246
実施例29と比較例17の多剤式毛髪処理剤の比較評価として、実施例28と同様に〔試験毛髪の前処理(ブリーチ処理)〕を行った後の毛束を、〔毛髪の処理法2(システムトリートメント処理)〕を1回行い、処理後の毛髪のやわらかさ、さらさら感、しっとり感、すべり感および試料の付着感について10人のパネリストに良い方を2点、悪い方を0点とし、同等であればそれぞれ1点として評価させ、評価項目ごとの合計点を毛髪処理剤の評価値とした。また、評価後の毛束について前記表13に示す組成のシャンプーで洗浄し、水道水流水中で軽くすすぎ、ヘアドライアーで乾燥する工程を3回繰り返し、上記と同様の官能評価を行った。それらの結果を表21に示す。
Figure 2013124246
表21に示したように、毛髪の処理直後はいずれの評価項目においても実施例29の毛髪処理剤は比較例17の毛髪処理剤よりも優れているとの結果で、実施例29の毛髪処理剤は毛髪に良好な感触を付与する効果が高いことが明らかであった。また、実施例29の毛髪処理剤で処理した毛髪は、シャンプー洗浄3回後も優れた官能特性を有していて、良好な感触が持続していることが明らかであった。
〔毛髪処理剤吸着量の測定〕
実施例28〜29および比較例16〜17の多剤式毛髪処理剤をそれぞれ用いて前記の毛髪の処理(システムトリートメント処理)を1回行った毛束の毛髪表面に吸着したケイ素原子量を、日本電子(株)製のエネルギー分散型X線分析装置を用いて測定した。この装置では、電子顕微鏡で観察している毛髪表面部位の一定範囲から検出される全元素を質量%で表すことができる。そのため、毛髪処理剤中に含まれるシリコーン由来のケイ素原子に着目し、毛髪処理剤で処理後およびシャンプー洗浄後の毛髪表面から検出されるケイ素原子量を比較することで、毛髪表面に残存する毛髪処理剤の量を推測した。測定は、各毛髪処理剤での処理後、表13に示すシャンプーで洗浄を3回行った後に1試料につき毛髪10本ずつ測定して平均値を算出し、毛髪処理剤処理後のケイ素原子量を100として洗浄後のケイ素原子量を%で表し、毛髪処理剤効果の持続性の指標とした。その結果を表22に示す。
Figure 2013124246
表22に示すように、実施例28および29の毛髪処理剤で処理した毛髪は、3回のシャンプー洗浄後もケイ素原子が50%以上残存していたが、比較例16および17の毛髪処理剤で処理した毛髪では、シャンプー洗浄3回後にはケイ素原子は毛髪処理剤処理直後の3割前後まで減少していて、実施例28や実施例29の多剤式毛髪処理剤はシャンプー洗浄しても毛髪上に残存し、持続性が高いことが明らかであった。
〔毛髪の二次蒸散水分率の測定〕
実施例28および29の毛髪処理剤をそれぞれ用いて前記の〔毛髪の処理(システムトリートメント処理)〕を1回行った毛束と、比較例16および17の毛髪処理剤をそれぞれ用いて毛髪の処理を行った毛束の水分量を電子水分計によって測定し、毛髪処理剤の保湿効果を評価した。
まず毛髪の水分量を以下のように定義した。すなわち、毛髪の水分はヘアドライヤーの温度で蒸発すると想定し、65℃で40分間加熱した際の毛髪水分の減量分を一次蒸散水とし、さらに、毛髪内部に含まれる全水分が蒸散するとされる180℃で30分間加熱した際の減量分を二次蒸散水と呼ぶことにし、二次蒸散水分率を次に示す式で求めた。
Figure 2013124246
二次蒸散水分率の値が大きいほど毛髪内部に含まれる水分が多いことを意味し、保湿効果が高いことを示す。
処理毛髪の水分量測定は、島津製作所製電子式水分計EB−340MOCを用いて行ない、測定方法は、湿度82%、温度25℃の恒湿箱に20時間保存した長さ約1cmの処理毛髪約300mgを電子水分計にセットし、ヘアドライヤーによる乾燥を想定した65℃で40分間加熱し、その間の相対重量変化を30秒ごとに記録した。次いで毛髪内部に吸着している水分が完全に蒸散する温度を想定した180℃にして30分間加熱し、同様に相対重量変化を記録した。記録した相対重量変化の30分から40分の値の平均値を一次蒸散水とし、60分から70分の値の平均値を二次蒸散水として、上記式から二次蒸散水分率(%乾量基準)を求めた。試験では1試料につき5回測定し、その平均値を測定値とした。実施例28〜29および比較例16〜17の多剤式毛髪処理剤それぞれで処理した毛髪の二次蒸散水分率(平均値)を表23に示す。
Figure 2013124246
表23に示したように、実施例28および29の毛髪処理剤で処理した毛髪は、それぞれ比較例16および17の毛髪処理剤で処理した毛髪に比べて、二次蒸散水分率が高かった。この結果から、実施例28および29の毛髪処理剤は、比較例16や17の毛髪処理剤に比べて、処理後の毛髪に保湿作用を付与する効果に優れていることが明らかであった。

Claims (4)

  1. 3剤からなる毛髪処理剤であって、
    (1)ペプチド部分の分子量が2,000以下のカチオン化ペプチドを0.3〜4.0質量%とグリセリン誘導体からなる保湿剤を0.1〜10質量%含有する水性液からなるA剤、
    (2)分子量が10,000以上の酸化型加水分解ケラチンを1.0〜4.0質量%含有する水性液からなるB剤、
    (3)(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマーを0.2〜2.0質量%、陽イオン性界面活性剤を0.2〜3.0質量%、シロキサン重合度が5〜1,000のメチルポリシロキサンを0.2〜5.0質量%およびシロキサン重合度が5〜1,000のアミノ変性シリコーンを0.2〜5.0質量%含有する水性液からなるC剤、
    からなることを特徴とする多剤式毛髪処理剤。
  2. A剤中のカチオン化ペプチドのペプチド部分が、コラーゲン、ケラチン、フィブロイン、ミルクタンパク、コンキオリン、大豆タンパク、小麦タンパク、米タンパク、ゴマタンパクまたはエンドウタンパクを加水分解することで得られるペプチドである請求項1記載の多剤式毛髪処理剤。
  3. A剤中のグリセリン誘導体からなる保湿剤が、N−グリセリルアルギニンである請求項1または2に記載の多剤式毛髪処理剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤を用いて毛髪を処理するにあたり、A剤を毛髪に塗布し、続いてB剤を塗布した後、該毛髪にC剤を塗布するか、または、A剤を塗布し、続いてB剤を塗布した毛髪を水洗し、その後該毛髪にC剤を塗布することを特徴とする毛髪の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114681362A (zh) * 2022-04-08 2022-07-01 章华化妆品科技有限公司 一种改善头皮微生态、高调理性洗发水

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