JP2013121689A - 高防湿性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

高防湿性フィルム及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013121689A
JP2013121689A JP2011270839A JP2011270839A JP2013121689A JP 2013121689 A JP2013121689 A JP 2013121689A JP 2011270839 A JP2011270839 A JP 2011270839A JP 2011270839 A JP2011270839 A JP 2011270839A JP 2013121689 A JP2013121689 A JP 2013121689A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vapor deposition
film
layer
silicon
silicon oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011270839A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6007488B2 (ja
Inventor
Shigeki Matsui
茂樹 松井
Makoto Arata
真琴 新
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2011270839A priority Critical patent/JP6007488B2/ja
Publication of JP2013121689A publication Critical patent/JP2013121689A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6007488B2 publication Critical patent/JP6007488B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】
本発明は、高い透明性と水蒸気バリア性とを有するフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】
基材フィルムの少なくとも片面に、有機珪素化合物を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマ化学気相成長法により、1層またはそれ以上の酸化珪素蒸着層を設け、次いで、該形成直後の酸化珪素蒸着層の表面に、インラインで、有機珪素化合物及び脂環式炭化水素を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマ化学気相成長法により、1層またはそれ以上の珪素含有炭化水素層を設け、これによって、前記酸化珪素蒸着層中に炭素原子をドープしてなる高防湿性フィルムを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高防湿性フィルム及びその製造方法に関し、より詳細には、プラズマ化学気相成長法(以下「プラズマCVD法」と呼ぶ)を用いて得られる、高い透明性と水蒸気バリア性を有するフィルム、及びその製造方法に関する。
従来、フィルムに酸素バリア性及び水蒸気バリア性等のガスバリア性を付与する手段として、プラズマCVD法等により、基材フィルム上に有機珪素化合物の薄膜を設けることが知られている(例えば特許文献1及び2参照)。また、プラズマCVD法により、基材フィルム上に、非晶質のダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボン、以下「DLC」と呼ぶ)の薄膜を設けることも知られている(例えば特許文献3及び4参照)。さらに、プラズマCVD法により、基材フィルム上に、DLC膜を設け、次いで、有機珪素化合物の薄膜を設けることも知られている(特許文献5)。
しかしながら、これらのフィルムの示すガスバリア性は十分ではなく、近年、より一層優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を示すガスバリア性フィルムが求められている。
特開平10−156998号公報 特開2001−162713号公報 特開平6−344495号公報 特許第3176558号公報 特開2005−88452号公報
本発明は、上記の問題点を解決して、優れた酸素バリア性、及び特に優れた水蒸気バリア性及び透明性を示す高防湿性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、種々研究の結果、基材フィルムの少なくとも片面に、有機珪素化合物を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマCVD法により、1層またはそれ以上の酸化珪素蒸着層を設け、次いで、該形成直後の酸化珪素蒸着層の表面に、インラインで、有機珪素化合物及び脂環式炭化水素を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマCVD法により、1層またはそれ以上の珪素含有炭化水素層を設け、これによって、前記酸化珪素蒸着層中に炭素原子をドープしてなる高防湿性フィルムが、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.基材フィルムの少なくとも片面に、有機珪素化合物を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマCVD法により、1層またはそれ以上の酸化珪素蒸着層を設け、次いで、該形成直後の酸化珪素蒸着層の表面に、インラインで、有機珪素化合物及び脂環式炭化水素を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマCVD法により、1層またはそれ以上の珪素含有炭化水素層を設け、これによって、前記酸化珪素蒸着層中に炭素原子をドープしてなる高防湿性フィルム。
2.前記1層またはそれ以上の酸化珪素蒸着層の層厚の合計が5〜200nmであって、該層中に存在する珪素の原子数(Sia)に対する、脂環式炭化水素由来の炭素の原子数(CHa)の比(CHa/Sia)が、0.10〜1.80であり、前記1層またはそれ以上の珪素含有炭化水素層の層厚の合計が5〜200nmであって、該層中に存在する珪素の原子数(Sib)に対する、脂環式炭化水素由来の炭素の原子数(CHb)の比(CHb/Sib)が、0.50〜3.00であることを特徴とする、上記1に記載の高防湿性フィルム。
3.L*a*b*表色系におけるL*が80〜95であり、a*が0.1〜2.0であり、b*が1〜20であることを特徴とする、上記1または2に記載の高防湿性フィルム。
4.40℃・相対湿度100%における水蒸気透過率が1.0g/m2・day・atm以下であることを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の高防湿性フィルム。
5.少なくとも、上記1〜4のいずれかに記載の高防湿性フィルムからなる層と、最表層となるヒートシール性樹脂層とを有することを特徴とする、積層材。
6.上記5に記載の積層材を用い、ヒートシール性樹脂層を熱融着して製袋または製函したことを特徴とする包装用容器。
プラズマCVD法により形成される酸化珪素蒸着層は、その表面に、原料である有機珪素化合物の分解生成物由来の水酸基を有する。この水酸基の存在により、比較的高い親水性を示すこととなるため、酸化珪素蒸着層のみを有する蒸着フィルムは、水蒸気バリア性に劣ることが知られていた。
これに対し、本発明の高防湿性フィルムは、基材フィルム上に、プラズマCVD法により酸化珪素蒸着層を形成し、その直後にインラインで、プラズマCVD法により珪素含有炭化水素層を設けることを特徴とする。
本発明は、インラインで、すなわち、連続ロール・トゥ・ロール法によりプラズマCVD装置内において減圧下で、形成された酸化珪素蒸着層上に、連続して、さらに珪素含有炭化水素層が積層される。そして、これらの両層の積層が完了するまで、フィルムは周囲の空気と接触することがない。
これにより、プラズマにより生じた活性種が酸化珪素蒸着層中に残存したまま、次なる珪素含有炭化水素層が積層されるため、珪素含有炭化水素層中の脂環式炭化水素由来の炭素原子が、酸化珪素蒸着層中にドープされる。
このような炭素原子がドープされた酸化珪素蒸着層は、緻密な膜質を有し、酸素バリア性に加えて、極めて高い水蒸気バリア性を示す。
なお、本発明において、ドープとは、珪素含有炭化水素層中の炭素原子が、酸化珪素蒸着層中に取り込まれる現象を意味する。
また、本発明の高防湿性フィルムは、有機珪素化合物と脂環式炭化水素とを蒸着用モノマーガスとして使用して、プラズマCVD法により、珪素含有炭化水素層を設けることを特徴とする。
炭化水素(メタン、エチレン、アセチレン等)のみを蒸着用モノマーガスとして使用して形成されるDLC膜は、良好な酸素バリア性を示すが、水蒸気に対してはバリア能を有しない。
これに対し、蒸着用モノマーガスとして、脂環式炭化水素と有機珪素化合物とを併用し、プラズマCVD法により形成される本発明の珪素含有炭化水素層は、良好な酸素バリア性に加えて、高い水蒸気バリア性を発揮する。
さらに、炭化水素のみを使用して形成されるDLC膜は、グラファイト構造に由来する着色が生じるが、本発明の珪素含有炭化水素層は、有機珪素化合物を併用することにより、着色を抑えることができ、良好な透明性を示す。
本発明の高防湿性フィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の高防湿性フィルムの層構成について、別の一例を示す概略的断面図である。 本発明において使用されるプラズマCVD装置について、その一例を示す概略的構成図である。 本発明において使用されるプラズマCVD装置について、別の一例を示す概略的構成図である。
本発明について以下に更に詳しく説明する。
<I>本発明の高防湿性フィルムの層構成
図1は、本発明の高防湿性フィルムの層構成についてその一例を示す概略的断面図である。
図1に示されるように、本発明の高防湿性フィルムは、基材フィルム1、酸化珪素蒸着層2及び珪素含有炭化水素層3からなる構成を基本とする。
別の態様において、図2に示されるように、本発明の高防湿性フィルムは、2層以上の酸化珪素蒸着層を有してもよく、例えば、基材フィルム1、酸化珪素蒸着層2a、酸化珪素蒸着層2b、及び珪素含有炭化水素層3からなる4層構成であってもよい。
同様に、2層以上の珪素含有炭化水素層を有してもよく、例えば、基材フィルム1、酸化珪素蒸着層2、珪素含有炭化水素層3a及び珪素含有炭化水素層3bからなる4層構成であってもよい。
また、珪素含有炭化水素層3上に、さらなる機能層を積層してもよく、例えば、ガスバリア性を一層高めるために、再び酸化珪素蒸着層を積層してもよい。
さらにガスバリア性を高めるために、基材フィルム1上に、酸化珪素蒸着層2と珪素含有炭化水素層3とを、この順序で交互に、2回またはそれ以上繰り返し積層することもできる。
また、酸化珪素蒸着層2及び珪素含有炭化水素層3は、基材フィルム1の両面に設けてもよい。
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。
<II>基材フィルム
本発明において、基材フィルムとしては、化学的ないし物理的強度に優れ、酸化珪素蒸着層及び珪素含有炭化水素層を形成する条件に耐え、これらの層の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる任意の透明樹脂フィルムを使用することができる。
基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等のポリアミドフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム等を好適に使用することができるが、これらに限定されない。これらのフィルムは、一軸延伸または二軸延伸されていてもよく、また、単独で使用しても、複数を組み合わせて積層して使用してもよい。
本発明において、酸化珪素蒸着層との密接着性を向上させるために、必要に応じて、基材フィルム表面に予め所望の表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を施すことができる。
基材フィルムと酸化珪素蒸着層との密接着性を一層高めるために、基材フィルム上に、例えば、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層等を設けてもよい。
基材フィルムの厚さは特に限定されないが、取り扱い性や強度等の観点から、通常は10〜300μm、より好ましくは10〜150μmのものが使用される。
<III>酸化珪素蒸着層
本発明の高防湿性フィルムの製造において、基材フィルムの少なくとも片面に、有機珪素化合物を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマCVD法により、1層またはそれ以上の酸化珪素蒸着層を積層する。
本発明において形成される酸化珪素蒸着層は、プラズマCVD装置中で、有機珪素化合物からなる蒸着用モノマーガスと酸素ガス等からなる酸素供給ガスとが化学反応し、その反応生成物が基材フィルムの表面に密着し、緻密な、柔軟性等に富む連続薄膜を形成したものである。さらに詳しくは、炭素、酸素及び珪素を含有する有機成分からなる蒸着膜であって、表面にメチル基(CH3)及び/又はエチル基(C25)、及び水酸基(OH)が存在するシリカ膜(SiO2膜)であり、優れた酸素バリア性及び透明性を有する。
このシリカ膜は、蒸着材料としてSi原子に直接結合したメチル基を含む有機珪素化合物を使用し、これよりなる蒸着用モノマーガスと酸素供給ガスとを含む蒸着用ガス組成物を用いて、プラズマCVD法により成膜することにより製造が可能である。
本発明の高防湿性フィルムにおいて、1層またはそれ以上設けられる酸化珪素蒸着層の厚さは、複数層設けられる場合はそれらの合計として、5〜200nm、好ましくは10〜150nmであることが望ましい。
その厚さが5nm以下であると、蒸着膜の平面密度が低下して基材フィルムが表面に露出し、バリア膜を形成することができない。一方、200nmより厚くなると、剛性が高まり、可撓性が損なわれ、クラック等が発生し易くなるので好ましくない。必要以上に厚くすることは、蒸着膜の形成速度と関係し、生産性の低下、コスト高にもなる。
なお、本発明において、酸化珪素蒸着層の厚さは、米国SLOAN社製、表面形状測定器DEKTAK3030によって測定することができる。
本発明において、酸化珪素蒸着層は、具体的には、基材フィルムの少なくとも片面に、原料となる有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスと、酸素ガス、オゾンガス、笑気ガス(N2O)、最も好ましくは酸素ガス、等の酸素供給ガスと、キャリアガスとしてのアルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスとを含有する蒸着用ガス組成物を使用し、プラズマCVD法により蒸着膜を化学気相成長させて形成される。該蒸着膜中には、C−H結合又はSi−C結合を有する化合物、蒸着原料のモノマーである有機珪素化合物やそれらの誘導体等が、化学結合等によって含有される。
本発明の酸化珪素蒸着層を形成するために使用する有機珪素化合物としては、メチル基又はエチル基を含み、且つSiを主鎖とする、次のようなモノマー材料、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン(MTMOS)、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
モノマー材料には、上記の例に関わらず、Si原子とCH3基及び/又はC25基を含む有機珪素化合物で、常温で適当な蒸気圧を持ち、CVD法を実施することが可能な材料であれば、どのような材料でも構わない。
本発明においては、有機珪素化合物として、特に、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラエトキシシラン(TEOS)又はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を原料として使用することが、その取り扱い性、形成された有機珪素酸化物の蒸着膜の基材フィルムとの接着性、及び続いて積層される珪素含有炭化水素層との接着性等の観点から特に好ましい。
<IV>珪素含有炭化水素層
本発明の高防湿性フィルムの製造においては、上記のようにして形成された直後の上記酸化珪素蒸着層の表面に、インラインで、有機珪素化合物及び脂環式炭化水素を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマCVD法により、1層またはそれ以上の珪素含有炭化水素層を積層する。2層以上の珪素含有炭化水素層を積層する場合、2層目以降の層は、アウトラインで積層することもできるが、本発明において特に重要な点は、形成直後の酸化珪素蒸着層上に直接、珪素含有炭化水素層を、インラインで積層することである。
このようにして形成される珪素含有炭化水素層は、非晶質膜であって、主に、炭素、水素、並びに有機珪素化合物由来の珪素及び酸素からなり、形成直後の酸化珪素蒸着層に残存するプラズマ活性種と反応して、炭素原子を、該酸化珪素蒸着層中に供給する。これにより、酸化珪素蒸着層の疎水性を高め、水蒸気バリア性を高めることができる。
また、珪素含有炭化水素層自体も、優れたガスバリア性を示すことができ、さらに、炭素成分を主成分とするため、優れた柔軟性を有し、外的作用を受けることによるガスバリア性の低下が小さい。また、炭素に加えて珪素を含有するため、良好な透明性及び高い水蒸気バリア性を示す。
本発明の高防湿性フィルムにおいて、1層またはそれ以上設けられる珪素含有炭化水素層の厚さは、複数層設けられる場合はそれらの合計として、5〜200nm、好ましくは10〜150nmであることが望ましい。
その厚さが5nm以下であると、緻密な連続膜を形成することができず、また、酸化珪素蒸着層に十分量の炭素原子を供給することができない。一方、200nmより厚くなると、炭素原子に由来する着色が強くなり、透明性が損なわれる。また、剛性が高まり、可撓性が損なわれ、クラック等が発生し易くなるので好ましくない。
なお、本発明において、珪素含有炭化水素層の厚さは、米国SLOAN社製、表面形状測定器DEKTAK3030によって測定することができる。
本発明において、珪素含有炭化水素層は、具体的には、2室以上の成膜室を有するプラズマCVD装置において、成膜室内に、原料となる有機珪素化合物及び脂環式炭化水素の蒸着用モノマーガスを供給し、プラズマCVD法により、基材フィルム上に積層された酸化珪素蒸着層上に、非晶質の珪素含有炭化水素膜を成膜することにより形成される。
蒸着用モノマーガスの供給は、場合により、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、キセノンガス等の不活性ガスをキャリアガスとして使用してもよい。これらの不活性ガスを使用することにより、プラズマの電子密度が大きくなり、珪素含有炭化水素膜の成膜速度が速くなる傾向がある。
本発明の珪素含有炭化水素層を形成するために使用する有機珪素化合物としては、Si原子を含む有機珪素化合物で、常温で適当な蒸気圧を持ち、CVD法を実施することが可能な材料であれば、どのような材料でも構わないが、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン(MTMOS)、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
安全性の理由からヘキサメチルジシロキサンを使用することが特に好ましい。
本発明の珪素含有炭化水素層を形成するために使用する脂環式炭化水素としては、飽和型及び不飽和型のいずれであってもよく、また、単環式及び多環式のいずれであってもよく、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルカン系、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロアルケン系、デカヒドロナフタレン等が挙げられる。上記化合物は単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
本発明において、脂環式の炭化水素を使用することにより、優れた透明性を示す膜を形成することができる。また、脂環式炭化水素由来の炭素原子は、酸化珪素蒸着層中にドープし易く、大幅な水蒸気バリア性の向上がみられる。
特に、脂環式炭化水素としてシクロヘキサンを使用することにより、上記の効果が一層高まるため好ましい。
上記有機珪素化合物と脂環式炭化水素との混合比は、用いる原料化合物の種類、成膜条件等に応じて変化し、当業者が適宜決定することができるが、酸化珪素蒸着層上に珪素含有炭化水素層を積層後に、酸化珪素蒸着層中に存在する珪素の原子数(Sia)に対する、脂環式炭化水素由来の炭素の原子数(CHa)の比(CHa/Sia)が0.10〜1.80、より好ましくは0.30〜1.50であり、且つ、珪素含有炭化水素中に存在する珪素の原子数(Sib)に対する、脂環式炭化水素由来の炭素の原子数(CHb)の比(CHb/Sib)が0.50〜3.00、より好ましくは1.00〜2.80となるように、混合比を調製することが好ましい。
ここで、CHa/Siaが0.10より小さいと、水蒸気バリア性の向上を充分に図ることができない。逆に、1.80より大きいと、黄色の着色が大きくなるため好ましくない。
また、CHb/Sibが0.50より小さいと、高い水蒸気バリア性が得られないため好ましくない。また、3.00より大きいと、水蒸気バリア性及び透明性が損なわれる。
なお、本発明において、各層中の珪素原子数(Si)及び脂環式炭化水素由来の炭素原子数(CH)の比は、X線光電子分光分析装置(島津製作所製ESCA)により計測され
る。
<V>製造
本発明の高防湿性フィルムは、上記酸化珪素蒸着層と、上記珪素含有炭化水素層とを、2室以上の成膜室を有するプラズマCVD装置を用いて、インラインで、プラズマCVD法により積層することにより製造される。
プラズマCVD法による本発明の高防湿性フィルムの製造方法について、その一例を挙げて説明する。
図3は、上記のプラズマCVD法において使用されるプラズマCVD装置の概略的構成図である。
図3に示されるプラズマCVD装置11は、基材フィルム供給室12、第1の成膜室13、第2の成膜室14及び巻取り室16から構成されることを基本構造とするものである。
この装置において、巻き出しロール17に巻き取られている基材フィルム1を第1の成膜室13に繰り出し、更に、該基材フィルム1を、補助ロール18を介して所定の速度で冷却・電極ドラム19周面上に搬送する。
次に、原料揮発供給装置20及びガス供給装置21等から、原料供給ノズル22を通して、有機珪素化合物からなる蒸着用モノマーガス、酸素供給ガス及び不活性ガスを含有する蒸着用ガス組成物を、第1の成膜室13内に導入し、冷却・電極ドラム19周面上に搬送された基材フィルム1の上に、グロー放電プラズマ23によってプラズマを発生させ、これを照射して、有機珪素化合物からなる酸化珪素蒸着層を成膜化する。
次に、上記の第1の成膜室13で酸化珪素蒸着層を積層した基材フィルム1を補助ロール24、25等を介して第2の成膜室14に繰り出し、上記と同様に、冷却・電極ドラム26周面上に搬送する。
次いで、原料揮発供給装置27及びガス供給装置28等から、原料供給ノズル29を通して、有機珪素化合物及び脂環式炭化水素からなる蒸着用モノマーガス、及び場合により不活性ガスを含む蒸着用ガス組成物を、第2の成膜室14内に導入し、冷却・電極ドラム26周面上に搬送されたフィルムの酸化珪素蒸着層の上に、グロー放電プラズマ30によってプラズマを発生させ、これを照射して、有機珪素化合物及び炭化水素からなる珪素含有炭化水素層を成膜化する。
更に、図4に示すように、第1及び第2の成膜室に加えてさらに、第3の成膜室15を有するプラズマCVD装置を用いることもできる。
この場合、第1及び第2の成膜室を用いて、2層の酸化珪素蒸着層を積層し、第3の成膜室で、1層の酸化珪素蒸着層を積層することができる。
また別の態様では、第1の成膜室を用いて、1層の酸化珪素蒸着層を積層し、第2及び第3の成膜室を用いて、2層の酸化珪素蒸着層を積層してもよい。
さらに別の態様では、第1の成膜室を用いて、1層の酸化珪素蒸着層を積層し、第2の成膜室を用いて、1層の酸化珪素蒸着層を積層し、第3の成膜室を用いて、さらなる任意の層、例えば酸化珪素蒸着層を積層してもよい。
上記で酸化珪素蒸着層及び珪素含有炭化水素層を積層して得られる本発明の高防湿性フィルムは、次いで、補助ロールを介して巻取り室16に繰り出され、巻取りロール39に
巻き取られる。
なお、図3及び4において、成膜室13、14、15に配設されている各冷却・電極ドラム19、26、33は、各成膜室の外に配置されている電源40から所定の電力が印加されており、また、各冷却・電極ドラム19、26、33の近傍には、マグネット41、42、43を配置してプラズマの発生が促進されるものである。
上記の例示は、本発明において使用できるプラズマCVD装置の一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
例えば、上記の例においては、合計で3層の酸化珪素蒸着層及び珪素含有炭化水素層を積層した高防湿性フィルムを製造しているが、4室以上の成膜室を有するプラズマCVD装置を使用して、合計で4層以上の酸化珪素蒸着層及び珪素含有炭化水素層を積層することもできる。
なお、図示しないが、上記のプラズマCVD装置には、真空ポンプ等が設けられ、各成膜室等は真空に保持されるように調製することができる。成膜時には、各成膜室は、真空ポンプ等により適宜に減圧される。
なお、各成膜室内の真空度は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
酸化珪素蒸着層を形成する蒸着用ガス組成物において、各ガス成分の混合比は、用いる原料化合物の種類、成膜室内に残留する酸素ガス及び水、プラズマのエネルギー等種々の条件に応じて変化し、当業者が適宜決定することができるが、例えば、蒸着用モノマーガス1〜40vol%、酸素供給ガス0〜70vol%、不活性ガス1〜60vol%の範囲で任意に調製することができる。
また、珪素含有炭化水素層を形成する蒸着用ガス組成物において、蒸着用モノマーガスと不活性ガスとの混合比は、上記と同様に用いる原料化合物の種類等に応じて適宜に決定されるが、好ましい成膜速度の観点から、ガス組成物中に、不活性ガスを0〜90vol%の範囲で混入することができる。
本発明において、酸化珪素蒸着層と珪素含有炭化水素層とを、インラインで連続的に積層することにより、大気中に開放せずに成膜化することができる。その結果、炭素原子が酸化珪素蒸着層中にドープされ、優れた防湿性が得られる。また、クラックの発生原因となる異物、塵埃等が層間に混入することを防止することができる。
<VI>透明性及び防湿性
本発明の高防湿性フィルムは、珪素含有炭化水素膜を有しながらも、良好な透明性を有する。
好適には、本発明の高防湿性フィルムは、L*a*b*表色系におけるL*が75〜95であり、a*が0.1〜2.0であり、b*が0〜20の範囲を示すものである。さらに好適には、本発明の高防湿性フィルムは、L*a*b*表色系におけるL*が80〜95であり、a*が0.5〜1.3であり、b*が0〜17の範囲を示すものである。
また、本発明の高防湿性フィルムは、優れた防湿性を示し、40℃、相対湿度100%において、1.0g/m2・day・atm以下、さらに好ましくは0.5g/m2・day・atm以下という極めて低い水蒸気透過率を達成することができる。
なお、上記において、L*a*b*表色系における各値は、JIS Z 8722に記載された方法に準拠し、コニカミノルタ製分光測色計CM−2600dを用いて測定される値である。
また、水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製 PERMATRAN3/33)を用いて、測定温度40℃、相対湿度100%で測定される値である。
<VII>用途
本発明の高防湿性フィルムは、任意の機能層をさらに積層したり、任意の機能フィルムとラミネートしたりすることにより、積層材を形成することができる。
本発明の高防湿性フィルムを含む積層材は、優れた水蒸気バリア性、酸素バリア性及び透明性が要求される種々の用途に使用することができる。
例えば、本発明の高防湿性フィルムからなる層と、最表層となるヒートシール性樹脂層とを有する積層材を用いて、このヒートシール性樹脂層を熱融着して製袋または製函することにより、優れた水蒸気バリア性、酸素バリア性及び透明性を示す包装用容器を製造することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1]
厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製エンブレット)を、2つの成膜室(第1及び第2の成膜室)を有する巻き取り式プラズマCVD装置に装着し、そのコロナ処理面上に、下記条件1にて、厚さ20nmの酸化珪素蒸着層(第1層)を形成した。
(条件1)
使用成膜室:第1の成膜室
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
次いで、上記で形成された酸化珪素蒸着層上に、インラインで、下記条件2にて、厚さ10nmの珪素含有炭化水素層(第2層)を積層し、本発明の高防湿性フィルムを製造した。
(条件2)
使用成膜室:第2の成膜室
供給ガス:シクロヘキサン:HMDSO=9:1(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
[実施例2]
厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製エンブレット)を、実施例1と同じプラズマCVD装置に装着し、そのコロナ処理面上に、下記条件1にて、厚さ20nmの酸化珪素蒸着層(第1層)を形成した。
(条件1)
使用成膜室:第1の成膜室
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
次いで、上記で形成された酸化珪素蒸着層上に、インラインで、下記条件2にて、厚さ10nmの珪素含有炭化水素層(第2層)を積層し、本発明の高防湿性フィルムを製造した。
(条件2)
使用成膜室:第2の成膜室
供給ガス:シクロヘキサン:HMDSO=4.5:1(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
[実施例3]
厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製エンブレット)を、実施例1と同じプラズマCVD装置に装着し、そのコロナ処理面上に、下記条件1にて、厚さ20nmの酸化珪素蒸着層(第1層)を形成した。
(条件1)
使用成膜室:第1の成膜室
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
次いで、上記で形成された酸化珪素蒸着層上に、インラインで、下記条件2にて、厚さ10nmの珪素含有炭化水素層(第2層)を積層し、本発明の高防湿性フィルムを製造した。
(条件2)
使用成膜室:第2の成膜室
供給ガス:シクロヘキサン:HMDSO=1:1(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
[実施例4]
厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製エンブレット)を、3つの成膜室(第1、第2及び第3の成膜室)を有する巻き取り式プラズマCVD装置に装着し、そのコロナ処理面上に、下記条件1にて、厚さ20nmの酸化珪素蒸着層(第1層)を形成した。
(条件1)
使用成膜室:第1の成膜室
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
次いで、上記で形成された酸化珪素蒸着層上に、インラインで、下記条件2にて、厚さ20nmの第二の酸化珪素蒸着層(第2層)を形成した。
(条件2)
使用成膜室:第2の成膜室
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
次いで、上記で形成された第二の酸化珪素蒸着層上に、インラインで、下記条件3にて、厚さ10nmの珪素含有炭化水素層(第3層)を積層し、本発明の高防湿性フィルムを製造した。
(条件3)
使用成膜室:第3の成膜室
供給ガス:シクロヘキサン:HMDSO=9:1(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
[比較例1]
厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製エンブレット)を、実施例1と同じプラズマCVD装置に装着し、そのコロナ処理面上に、下記条件1にて、厚さ20nmの酸化珪素蒸着層(第1層)を形成した。
(条件1)
使用成膜室:第1の成膜室
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
次いで、上記で形成された酸化珪素蒸着層上に、インラインで、下記条件2にて、厚さ10nmの炭化水素層(第2層)を積層し、積層フィルムを製造した。
(条件2)
使用成膜室:第2の成膜室
供給ガス:シクロヘキサン:アルゴン=5:1(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
[比較例2]
厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製エンブレット)を、実施例1と同じプラズマCVD装置に装着し、そのコロナ処理面上に、下記条件1にて、厚さ20nmの酸化珪素蒸着層(第1層)を形成した。
(条件1)
使用成膜室:第1の成膜室
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
次いで、上記で形成された酸化珪素蒸着層上に、インラインで、下記条件2にて、厚さ10nmの酸化珪素蒸着層(第2層)を積層し、2層の酸化珪素蒸着層を有する積層フィルムを製造した。
(条件2)
使用成膜室:第2の成膜室
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
[比較例3]
厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製エンブレット)を、2つの成膜室(第1及び第2の成膜室)を有する巻き取り式プラズマCVD装置に装着し、そのコロナ処理面上に、第1成膜室のみを使用し、下記条件1にて、厚さ20nmの酸化珪素蒸着層(第1層)を形成した。
(条件1)
使用成膜室:第1の成膜室
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度: 50m/min
次いで、上記で形成された酸化珪素蒸着フィルムを巻き取り式CVD装置から外し、再度同CVD装置に装着後、第1成膜室のみを使用し、下記条件2にて、厚さ10nmの珪素含有炭化水素層(第2層)をアウトラインで積層した。
(条件2)
使用成膜室:第1の成膜室
供給ガス:シクロヘキサン:HMDSO=9:1(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:50m/min
[評価]
実施例1〜5及び比較例1〜2で得られたフィルムについて、各層の厚さ、各層中の珪素原子数に対する炭化水素由来の炭素原子数の比(CH/Si)、色相(L*a*b*表色系におけるL*値、a*値、b*値)及び水蒸気透過率を、下記の方法により測定した。結果を以下の表1に示す。
(酸化珪素蒸着層及び炭化水素層の厚さの測定)
PET基材フィルムに、第1層として酸化珪素蒸着層を積層し、その上にシリコンウェハを貼り付け、次いで、第2層として炭化水素層または酸化珪素蒸着層を積層し、各層の厚さを、Sloan社製表面形状測定器(DEKTAK3030)で測定した。実施例4については、第2層の上にさらにシリコンウェハを貼り付け、次いで、第3層を積層し、各層の厚さを測定した。
(CH/Siの測定)
X線光電子分光分析装置(島津製作所製 製品名「ESCA−3400」)を用いて、励起X源;AlKα(15kV、120W)、検出角度:90°、測定面積:6.0mmΦの条件下でスペクトルを測定し、得られた炭素含有率からHMDSO由来の炭素含有率を差し引いたものを炭化水素由来の炭素含有率とした。次いで得られた同炭化水素由来の炭素含有率と珪素含有率の比をCH/Siとした。
(色相の測定)
色相は、JIS Z 8722に記載された方法に準拠し、コニカミノルタ製分光測色計CM−2600dを用いて、光源として標準イルミナントD65(色温度が6504Kに近似する昼光。平均的な昼色の分光分布を持つ光。紫外域を比較的多く含んでいる。)を用いて、視野角10°で、専用白色板使用条件下で反射光により測定した。
(水蒸気透過率の測定)
水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製 PERMATRAN3/33)を用いて、測定温度40℃、相対湿度100%で、第2層の側から浸入し、基材フィルムの側へ透過する水蒸気の量を測定した。
Figure 2013121689
実施例1〜5の高防湿性フィルムは、良好な透明性を有し、且つ、極めて高い水蒸気バリア性を示した。これに対し、比較例1のフィルムは、炭素に由来する着色があり、透明性を損なっていた。また、比較例1及び2のフィルムはいずれも、本発明のフィルムに比較して、水蒸気バリア性に劣っていた。
1 基材フィルム
2、2a、2b 酸化珪素蒸着層
3 珪素含有炭化水素層
11 プラズマCVD装置
12 基材フィルム供給室
13 第1の成膜室
14 第2の成膜室
15 第3の成膜室
16 巻取り室
17 巻き出しロール
18、24、25、31、32、38 補助ロール
19、26、33 冷却・電極ドラム
20、27、34 原料揮発供給装置
21、28、35 ガス供給装置
22、29、36 原料供給ノズル
23、30、37 グロー放電プラズマ
39 巻取りロール
40 電源
41、42、43 マグネット

Claims (6)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に、有機珪素化合物を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマ化学気相成長法により、1層またはそれ以上の酸化珪素蒸着層を設け、
    次いで、該形成直後の酸化珪素蒸着層の表面に、インラインで、有機珪素化合物及び脂環式炭化水素を蒸着用モノマーガスとして使用するプラズマ化学気相成長法により、1層またはそれ以上の珪素含有炭化水素層を設け、これによって、前記酸化珪素蒸着層中に炭素原子をドープしてなる高防湿性フィルム。
  2. 前記1層またはそれ以上の酸化珪素蒸着層の層厚の合計が5〜200nmであって、該層中に存在する珪素の原子数(Sia)に対する、脂環式炭化水素由来の炭素の原子数(CHa)の比(CHa/Sia)が、0.10〜1.80であり、
    前記1層またはそれ以上の珪素含有炭化水素層の層厚の合計が5〜200nmであって、該層中に存在する珪素の原子数(Sib)に対する、脂環式炭化水素由来の炭素の原子数(CHb)の比(CHb/Sib)が、0.50〜3.00であることを特徴とする、請求項1に記載の高防湿性フィルム。
  3. L*a*b*表色系におけるL*が80〜95であり、a*が0.1〜2.0であり、b*が1〜20であることを特徴とする、請求項1または2に記載の高防湿性フィルム。
  4. 40℃・相対湿度100%における水蒸気透過率が1.0g/m2・day・atm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高防湿性フィルム。
  5. 少なくとも、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高防湿性フィルムからなる層と、最表層となるヒートシール性樹脂層とを有することを特徴とする、積層材。
  6. 請求項5に記載の積層材を用い、ヒートシール性樹脂層を熱融着して製袋または製函したことを特徴とする包装用容器。
JP2011270839A 2011-12-12 2011-12-12 高防湿性フィルム及びその製造方法 Active JP6007488B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011270839A JP6007488B2 (ja) 2011-12-12 2011-12-12 高防湿性フィルム及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011270839A JP6007488B2 (ja) 2011-12-12 2011-12-12 高防湿性フィルム及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013121689A true JP2013121689A (ja) 2013-06-20
JP6007488B2 JP6007488B2 (ja) 2016-10-12

Family

ID=48773978

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011270839A Active JP6007488B2 (ja) 2011-12-12 2011-12-12 高防湿性フィルム及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6007488B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018130965A (ja) * 2018-05-01 2018-08-23 大日本印刷株式会社 高防湿性フィルム及びその製造方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005096275A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルム

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005096275A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018130965A (ja) * 2018-05-01 2018-08-23 大日本印刷株式会社 高防湿性フィルム及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6007488B2 (ja) 2016-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6585226B2 (ja) 積層フィルム
KR101194125B1 (ko) 필름의 제조 방법 및 필름
WO2014123201A1 (ja) ガスバリア性フィルム、およびその製造方法
US9650191B2 (en) Vapor-deposited film having barrier performance
JP5473946B2 (ja) Wvtrバリア性を改善した多層スタック構造体の製造方法
JP2008062498A (ja) ガスバリアフィルム
JP2007327619A (ja) 真空断熱材用積層体及び真空断熱材
WO2014203892A1 (ja) ガスバリア性フィルム、およびその製造方法
JP2005088452A (ja) ガスバリア性フィルム及びそれを用いてなる積層体
JP5673926B2 (ja) 積層フィルム
JP2004160836A (ja) ガスバリアフィルムの製造方法
JP6007488B2 (ja) 高防湿性フィルム及びその製造方法
JP6392494B2 (ja) 高防湿性フィルム及びその製造方法
JP6607279B2 (ja) 高防湿性フィルム及びその製造方法
JP2018020540A (ja) バリア性フィルム
JP2013193267A (ja) ガスバリア性プラスチックフィルムとその製造方法
JP5961994B2 (ja) 高防湿性フィルム及びその製造方法
JP2006116737A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP5961993B2 (ja) 高防湿性フィルム及びその製造方法
JP2009248558A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP5332279B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP6593347B2 (ja) ガスバリアフィルムの製造方法及び製造装置
WO2015163358A1 (ja) ガスバリアーフィルム及びその製造方法
JP6818250B2 (ja) バリア性フィルム
JP6897567B2 (ja) ガスバリアーフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141024

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150728

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160829

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6007488

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150