本発明は、複数の筒状のカルバート部材が弾性変形可能な耐震継手を介して連結されたカルバート構造物に関する。
複数のカルバート部材が連結されて構成されるカルバート構造物としてのボックスカルバートでは、地震により水密な連結が解除されることを防止するため、カルバート部材の連結部と、他のカルバート部材の被連結部とが例えばゴムなどで形成された弾性変形可能な耐震継手を介して嵌合されて、各カルバート部材が連結される。
この種のボックスカルバートにおける耐震継手としては、例えば一部が連結部としての雄型嵌合部外周面に埋設される構成のもの(例えば、特許文献1参照。)や、連結部としての挿し口の外周面に接着される構成のものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第4540129号公報(第4−6頁、図3)
特開2009−275422号公報(第3−5頁、図3)
しかしながら、上述の特許文献1および特許文献2の構成では、カルバート部材を成形する際に連結部に耐震継手の一部を埋め込んだり、連結部に耐震継手を接着剤などで固着したりする必要があるため、耐震継手の取り付け作業が煩雑化してしまい、カルバート構造物を容易に設置できないという問題が考えられる。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、容易に設置できるカルバート構造物を提供することを目的とする。
請求項1に記載されたカルバート構造物は、略角筒状のカルバート部材の連結部の外周面と、この連結部の外周面の外側に間隙を介して嵌着可能な略角筒状の他のカルバート部材の被連結部の内周面とが、弾性変形可能な環状の耐震継手を間隙に挟み込んだ状態で嵌着されて、複数の略角筒状のカルバート部材が連通するように水密に連結されるカルバート構造物であって、耐震継手は、連結部の外周面に嵌合可能な環状の継手本体と、この継手本体から環状に沿って突出した突起部とを有し、連結部と被連結部とが嵌着される前に予め連結部の外周面に嵌合され、連結部と被連結部とを嵌着する際に連結部の外周面と被連結部の内周面との間隙で弾性変形しながら回動可能であるものである。
請求項2に記載されたカルバート構造物は、請求項1記載のカルバート構造物において、耐震継手は、継手本体内に中空部が設けられているものである。
請求項3に記載されたカルバート構造物は、請求項1または2記載のカルバート構造物において、耐震継手は、伸縮可能であり、収縮した状態での継手本体の環状の長さが、連結部において予め嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上95%以下であるものである。
請求項4に記載されたカルバート構造物は、請求項1ないし3のいずれか一記載のカルバート構造物において、耐震継手は、突起部が連結部の端面側へ向き、かつ、突起部の一部が連結部の外周面に接触するように連結部に嵌合されるものである。
請求項5に記載されたカルバート構造物は、請求項1ないし4のいずれか一記載のカルバート構造物において、被連結部は、端面へ向かって薄くテーパ状に形成されたテーパ部を有するものである。
請求項6に記載されたカルバート構造物は、請求項1ないし5のいずれか一記載のカルバート構造物において、連結部は、端面側に位置する先端部と、この先端部より基端側に位置し先端部より外周が大きい基端部と、これら先端部と基端部との境界部分である段差部とを有し、耐震継手は、継手本体の一部が段差部に接触するように先端部に嵌合され、連結部と被連結部とを嵌着する際に先端部から基端部へ回動しながら移動するものである。
請求項1に記載された発明によれば、継手本体が連結部の外周面に嵌合可能であり、連結部に嵌合された耐震継手が、連結部と被連結部とを嵌着する際に連結部の外周面と被連結部の内周面との間隙で弾性変形しながら回動可能であることにより、耐震継手の取付作業が容易であり、連結部の外周面に予め耐震継手を嵌合して、連結部と被連結部とを嵌着させるだけで連結部と被連結部とを水密に連結できるため、容易に設置できる。
請求項2に記載された発明によれば、耐震継手の継手本体内に中空部が設けられていることにより、連結部と被連結部とを嵌着する際に、突起部が中空部へ向かって押し込まれるように弾性変形できるため、耐震継手が回動しやすく、連結部と被連結部とを容易に連結できる。
請求項3に記載された発明によれば、収縮した状態での継手本体の環状の長さが、連結部において予め耐震継手が嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上95%以下であることにより、連結部の角部にて耐震継手に加わる力を抑制でき、かつ、耐震継手を連結部に確実に嵌合できるため、耐震継手を適切に取り付けることができる。
請求項4に記載された発明によれば、耐震継手は、突起部が連結部の端面側へ向き、かつ、突起部の一部が連結部の外周面に接触するように嵌合されることにより、連結部と被連結部とを嵌着する際に連結部の外周面と被連結部の内周面との間隙で回動しやすく、また、嵌合された耐震継手の連結部の端面側への回動が突起部にて係止されて耐震継手を位置決めしやすいため、連結部と被連結部とを容易かつ正確に連結できる。
請求項5に記載された発明によれば、被連結部がテーパ部を有することにより、連結部と被連結部とが耐震継手を挟み込んで嵌着しやすいため、連結部と被連結部とを容易に連結できる。
請求項6に記載された発明によれば、耐震継手は、継手本体の一部が段差部に接触するように先端部に嵌合されることにより、連結部と被連結部とを嵌着する際に継手本体が段差部に係止されるため、耐震継手がずれにくく、連結部と被連結部とを正確に連結できる。
本発明の一実施の形態に係るカルバート構造物の構成を示す側面図である。
同上カルバート構造物のカルバート部材を示す正面図である。
同上カルバート構造物のカルバート部材を示す斜視図である。
同上カルバート構造物の耐震継手を示す断面図である。
(a)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着する前の状態を示す断面図であり、(b)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着した後の状態を示す断面図である。
(a)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着する前の状態を示す部分断面図であり、(b)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着している状態を示す部分断面図であり、(c)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着した後の状態を示す部分断面図である。
同上カルバート構造物において捻じれや歪みが発生した際の連結部と被連結部との連結状態を示す断面図である。
以下、本発明の一実施の形態の構成について図1ないし図7を参照しながら詳細に説明する。
図1において、11はカルバート構造物としてのボックスカルバートであり、このボックスカルバート11は、地中等に設置され、例えば通路、水路および共同溝等として使用される。
ボックスカルバート11は、鉄筋コンクリートやプレストレストコンクリートなどのコンクリートにより予め成形された複数の略筒状のカルバート部材12,12が、例えばゴムなどで形成された弾性変形可能な環状の耐震継手13を介して連通するように水密に順次連結されて構成される。
具体的には、ボックスカルバート11は、カルバート部材12の連結部14の外周面と、この連結部14の外周面の外側に嵌着可能な隣接する他のカルバート部材12の被連結部15の内周面とが、耐震継手13を介して嵌着されて連結される。
図1ないし図3に示すように、カルバート部材12は、底面部16の両側に側面部17,17が互いに対向して形成され、これら側面部17,17の上部間に亘って上面部18が形成されたカルバート部材本体19を有している。なお、このようなカルバート部材12は、例えばカルバート部材本体19が2000mm角または1000mm角の略角筒状などに成形される。
また、カルバート部材12は、カルバート部材本体19の一端部に連結部14が形成され、他端部に被連結部15が形成されている。
連結部14は、略角筒状の雄形部材であり、外周面に耐震継手13を嵌合可能である。
被連結部15は、内周の長さが連結部14の外周の長さより長い略角筒状であり、連結部14の外周面に間隙20を介して嵌着可能な雌形部材である。
すなわち、連結部14の外周面と、隣接する他のカルバート部材12の被連結部15の内周面とは、間隙20に耐震継手13を挟み込んだ状態で嵌着可能である。
図4に示すように、耐震継手13は、連結部14の外周面に嵌合可能な環状の継手本体21と、この継手本体21の周面から環状に沿って全長に亘って突出した突起部22とを有し、連結部14と被連結部15とが嵌着される前に予め連結部14の外周面に嵌合される。
連結部14の外周面に予め嵌合された耐震継手13は、図5(a)および図5(b)に示すように、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に、嵌着の進行にともなって、間隙20にて連結部14の外周面と被連結部15の内周面とで挟みこまれて弾性変形しながら回動可能である。
なお、図5(b)では、被連結部15を基準とした耐震継手13の位置を二点差線で示している。
継手本体21は、連結部14と被連結部15との嵌着にともなって回動可能な回動面である円弧状部23を有した断面視略円形状であり、直径が間隙20の幅より長い。
また、継手本体21は、内部の全長に亘って無端状に設けられた断面視半円形状の空洞である中空部24を有している。
中空部24は、円弧状の部分が突起部22側に位置するように継手本体21内に形成されている。
また、中空部24の大きさが突起部22の大きさより小さいと、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に突起部22が中空部24へ向かって弾性変形しにくくなるため、中空部24は、突起部22と同じ大きさか、または、突起部22より大きいことが好ましい。
突起部22は、継手本体21に一体に形成され、基端から先端へ向かって漸次細くなるように形成されている。
すなわち、耐震継手13の断面形状は、略円形状の継手本体21の円弧状部23の一部から突起部22が突出したいわゆる涙形である。
また、耐震継手13は、突起部22の突起長さaが長すぎると連結部14の外周面と被連結部15の内周面との間隙20で回動しにくく、突起部22の突起長さaが短いと連結部14と被連結部15とを引き離す方向へ力が加わった場合の抵抗になりにくいため、継手本体21からの突起部22の突起長さaが継手本体21の直径に対して15%以上20%以下であると好ましい。
ここで、耐震継手13は、環状に沿って伸縮可能であり、収縮した状態での継手本体21の環状の長さすなわち径は、連結部14において継手本体21が予め嵌合される箇所の外周の長さよりやや短い。
したがって、耐震継手13は、伸張してテンションがかかった状態で連結部14の外周面に嵌合される。
耐震継手13は、連結部14の外周面に嵌合した状態にて、均一にテンションがかかっていることが好ましいが、連結部14は略角筒状であるため、嵌合状態の耐震継手13では、連結部14の角部に対応する部分に他の部分より嵌合による力が加わりやすい。
そして、耐震継手13は、収縮した状態での継手本体21の環状の長さを連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して85%より小さくすると、連結部14の角部にて過度に力が加わってしまい、連結部14と被連結部15との嵌着や、嵌着の際の回動によって損傷してしまう可能性がある。
また、耐震継手13は、収縮した状態での継手本体21の環状の長さを連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して95%より大きくすると、嵌合状態の耐震継手13のテンションが弱く、連結部14と被連結部15との連結において耐震継手13による止水性を確保できない可能性がある。
よって、収縮した状態での継手本体21の環状の長さは、連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上95%以下であると好ましい。
ここで、継手本体21は、継手本体21が嵌合される箇所の外周が長いほど、伸張させる必要がある。したがって、例えばカルバート部材本体19が1000mm角であるカルバート部材12に取り付けられる場合の耐震継手13における継手本体21の環状の長さは、収縮した状態にて、連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して90%以上95%以下であると好ましい。また、カルバート部材本体19が2000mm角であるカルバート部材12に取り付けられる場合の耐震継手13における継手本体21の環状の長さは、収縮した状態にて、連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上90%以下であると好ましい。
また、耐震継手13は、取り付ける際の操作性、強度、および製造性などを考慮すると、ゴムの硬度が45以上55以下であると好ましい。
連結部14は、図5(a)および図5(b)に示すように、端面側に位置する先端部25と、この先端部25より基端側に位置する基端部26と、これら先端部25と基端部26の境界部分である段差部27とを有している。
基端部26は、先端部25より外周が大きく、段差部27は、先端部25側から基端部26側へ向かって外周が大きくなるように傾斜している。
先端部25の先端には、端面へ向かって細くなるように傾斜状に形成された傾斜部28が設けられている。
被連結部15は、内周面の端面側に位置し、端面へ向かって漸次厚さが薄くなるように傾斜したテーパ状のテーパ部29を有している。
また、連結部14は、先端部25の先端面であり傾斜部28から連続して一体に形成され連結部14の軸方向に対して垂直な連結先端面部31と、基端部26の基端から連続して一体に形成され連結部14の軸方向に対して垂直に形成された連結基端面部32とを有している。
さらに、被連結部15は、被連結部15の先端面でありテーパ部29から連続して一体に形成され被連結部15の軸方向に垂直な被連結先端面部33と、被連結部15の基端から連続して一体に形成され被連結部15の軸方向に垂直な被連結基端面部34とを有している。
次に、上記ボックスカルバート11の設置方法を説明する。
ボックスカルバート11を設置する際には、まず、設置場所に1つのカルバート部材12を設置する。
次いで、既に設置したカルバート部材12に隣接させて設置する新たなカルバート部材12の連結部14の外周面に耐震継手13を嵌合する。
連結部14に耐震継手13を嵌合する際には、傾斜部28から継手本体21の内側へ挿入するように嵌合する。
ここで、図5(a)および図6(a)に示すように、耐震継手13は、突起部22が連結部14の端面側である連結先端面部31側へ向き、かつ、突起部22の一部が連結部14の外周面に接触するように連結部14の外周面に嵌合される。
また、耐震継手13は、継手本体21の円弧状部23の一部が段差部27に接触するように先端部25に嵌合される。
耐震継手13の嵌合後、先に設置したカルバート部材12の被連結部15のテーパ部29の内側へ、隣接させる他のカルバート部材12の連結部14を耐震継手13とともに挿入して、連結部14と被連結部15とを嵌着する。
耐震継手13は、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に、間隙20にて、嵌着の進行にともなって連結部14の外周面と被連結部15の内周面とで挟みこまれた状態で弾性変形しながら回動し、段差部27を越えるように先端部25から基端部26へ移動する。
また、耐震継手13は、弾性変形しながら回動する際に、図6(b)に示すように、突起部22が中空部24へ向かって押し込まれ、中空部24が潰れて回動を阻害しにくい形状に弾性変形する。
このように弾性変形しながら回動する耐震継手13を介して嵌着された連結部14と被連結部15とは、図5(b)に示すように、連結先端面部31と被連結基端面部34とが平行に対向して略当接し、連結基端面部32と被連結先端面部33とが平行に対向して略当接する。
また、図6(c)に示すように、嵌合された連結部14と被連結部15とは、間隙20にて弾性変形した耐震継手13を介して水密に連結され、カルバート部材12,12が隣接して連結される。
そして、ボックスカルバート11が所望の長さになるように、同様に新たなカルバート部材12を順次連結して設置する。
上記ボックスカルバート11によれば、継手本体21が連結部14の外周面に嵌合可能であり、連結部14の外周面に予め嵌合された耐震継手13が、連結部14と被連結部15との嵌着の際に、間隙20にて、連結部14の外周面と被連結部15の内周面に挟み込まれた状態で弾性変形しながら回動可能である。
したがって、耐震継手13を取り付ける際に、耐震継手13の一部を埋設したり、耐震継手13を接着したりする必要がなく、耐震継手13の取付作業が容易であり、連結部14の外周面に耐震継手13を予め嵌合して連結部14と被連結部15とを嵌着させるだけで、連結部14と被連結部15とを水密に連結できるため、ボックスカルバート11を容易に設置できる。
また、このように設置されたボックスカルバート11は、例えば地震等によりボックスカルバート11に捻じれる力やカルバート部材12同士を引き離す力が加わり、ボックスカルバート11に屈曲等の変形が生じた場合であっても、図7に示すように、連結部14と被連結部15との嵌着を解除する方向へのカルバート部材12の移動にともなって、耐震継手13が間隙20を追従するように弾性変形しながら連結部14と被連結部15とを嵌着する際とは反対方向へ回動して移動する。
したがって、地震等によりボックスカルバート11に変形が生じても、耐震継手13が間隙20を追従できるため、連結部14と被連結部15との水密な連結を維持できる。
ここで、ボックスカルバート11は、耐震継手13が突起部22を有することにより、連結部14と被連結部15とを引き離す方向へ力が加わった場合に、突起部22が連結部14の外周面または被連結部15の内周面に接触して、耐震継手13の回動への抵抗になるため、連結部14と被連結部15との連結の解除を抑制できる。
耐震継手13は、継手本体21内に中空部24が設けられていることにより、連結部14と被連結部15を嵌着する際に、突起部22が中空部24へ向かって押し込まれ、回動を阻害しにくい形状に弾性変形しやすい。
したがって、耐震継手13が間隙20にてスムーズに回動でき、連結部14と被連結部15とを容易に連結でき、ボックスカルバート11を容易に設置できる。
また、耐震継手13は、収縮した状態での継手本体21の環状の長さが、連結部14において耐震継手13が予め嵌合される箇所の外周の長さよりやや短いことにより、連結部14に嵌合した耐震継手13は伸張されてテンションがかかった状態になるため、連結部14に確実に嵌合できる。
特に、耐震継手13は、収縮した状態での継手本体21の環状の長さが、連結部14において耐震継手13が予め嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上95%以下であることにより、嵌合によるテンションによって連結部14の角部にて耐震継手13に加わる力を抑制でき、かつ、連結部14に確実に嵌合できるため、耐震継手を連結部14に適切に取り付けることができる。
耐震継手13は、突起部22が連結部14の端面側へ向き、かつ、突起部22の一部が連結部14の外周面に接触するように嵌合されることにより、連結部14と被連結部15との嵌着にともなって間隙20で連結部14の基端部26側へ回動しやすく、また、嵌合された耐震継手13の連結部14の端面側への回動を突起部22にて係止でき、連結部14の外周面上にて耐震継手13にねじれが発生することを防止できるため、連結部14の外周面上で耐震継手13を位置決めしやすい。
したがって、嵌合状態の耐震継手13の位置がずれにくく、連結部14の外周面上での耐震継手13の位置決めが容易であるとともに、嵌着にともなって耐震継手13が回動しやすいので、連結部14と被連結部15とを容易かつ正確に嵌着できる。
また、連結部14の先端に傾斜部28を有することにより、連結部14の外周面に耐震継手13を嵌合しやすいので、耐震継手13を容易に取り付けることができる。
さらに、被連結部15にテーパ部29を有することにより、耐震継手13が嵌着された連結部14を被連結部15の内側へ挿入しやすく、連結部14と被連結部15とを耐震継手13を挟み込んで嵌着しすいため、連結部14と被連結部15とを容易に連結できる。
耐震継手13は、継手本体21の円弧状部23の一部が段差部27に接触するように先端部25の外周面に嵌合されることにより、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に、継手本体21が段差部27に係止される。
したがって、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に、耐震継手13は、段差部27より基端部26側へ摺動してずれにくく、段差部27に沿って回動しやすいので、連結部14と被連結部15とを正確に連結できる。
また、耐震継手13は、中空部24の大きさが、突起部22と同じ大きさか、または、突起部22より大きいことにより、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に突起部22が中空部24へ向かって弾性変形しやすいので、連結部14と被連結部15とを容易に連結できる。
さらに、耐震継手13は、突起部22の突起長さaが継手本体21の直径に対して15%以上20%以下であることにより、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に間隙20にて回動しやすく、かつ、連結部14と被連結部15とが連結された状態にて連結部14と被連結部15とを引き離す方向へ力が加わった場合に突起部22による抵抗力を確保できる。
なお、上記一実施の形態では、既に設置したカルバート部材12の被連結部15に、新たに隣接させて設置するカルバート部材12の連結部14を嵌着させる構成としたが、連結部14と被連結部15とが耐震継手13を介して連結される構成であればよく、例えば、既に設置したカルバート部材12の連結部14に、新たに隣接させて設置するカルバート部材12の被連結部15を嵌着させる構成でもよい。
また、ボックスカルバート11の一端に位置するカルバート部材12の一端部には、連結部14が設けられる構成および連結部14が設けられていない構成のいずれでもよい。
さらに、ボックスカルバート11の他端に位置するカルバート部材12の他端部には、被連結部15が設けられる構成および被連結部15が設けられていない構成のいずれでもよい。
また、設置されるカルバート部材12の数は、設置予定のボックスカルバート11の長さに応じて適宜設定できる。
耐震継手13は、継手本体21が断面視で円弧状部23を有する略円形状としたが、このような構成には限定されず、連結部14と被連結部15との嵌着にともなって回動可能な形状であれば、継手本体21は例えば断面視多角形状などでもよい。
また、耐震継手13は、継手本体21が中空部24が設けられた構成としたが、このような構成には限定されず、中空部24が設けられていない構成にしてもよい。
継手本体21に中空部24が設けられる構成の場合は、中空部24が無端状の構成には限定されず、例えば間欠状などにしてもよい。
また、中空部24は、断面視半円形状としたが、このような構成には限定されず、その形状および大きさは適宜設計できる。
突起部22は、基端から先端へ向かって漸次細くなる構成にしたが、このような構成には限定されず、継手本体21の周面の一部から突出していればよい。
耐震継手13は、突起部22が連結部14の端面側である連結先端面部31側へ向き、かつ、突起部22の一部が連結部14の外周面に接触するように連結部14の外周面に嵌合させる構成としたが、このような構成には限定されず、耐震継手13の嵌合状態は適宜変更できる。
また、耐震継手13は、継手本体21の円弧状部23の一部が段差部27に接触するように先端部25に嵌合させる構成としたが、このような構成には限定されず、耐震継手13の嵌合位置は適宜設定できる。
連結部14は、先端部25と基端部26と段差部27とを有する構成としたが、このような構成には限定されず、例えば、連結部14が端面から基端にわたって外周の長さが均一で外周面が平坦な構成などにしてもよい。また、先端部25と基端部26と段差部27とを有する構成にする場合は、先端部25および基端部26の軸方向の長さや、段差部27の傾斜角度は適宜設定できる。
また、連結部14は、先端に傾斜部28が形成された構成としたが、このような構成には限定されず、傾斜部28が形成されていない構成にしてもよい。また、傾斜部28が形成された構成にする場合は、傾斜部28の角度は適宜設定できる。
被連結部15は、テーパ部29を有する構成としたが、このような構成には限定されず、テーパ部29が設けられていない構成にしてもよい。また、テーパ部29が設けられた構成にする場合は、テーパ部29の傾斜角度は適宜設定できる。
11 カルバート構造物としてのボックスカルバート
12 カルバート部材
13 耐震継手
14 連結部
15 被連結部
20 間隙
21 継手本体
22 突起部
24 中空部
25 先端部
26 基端部
27 段差部
29 テーパ部
本発明は、複数の筒状のカルバート部材が弾性変形可能な耐震継手を介して連結されたカルバート構造物に関する。
複数のカルバート部材が連結されて構成されるカルバート構造物としてのボックスカルバートでは、地震により水密な連結が解除されることを防止するため、カルバート部材の連結部と、他のカルバート部材の被連結部とが例えばゴムなどで形成された弾性変形可能な耐震継手を介して嵌合されて、各カルバート部材が連結される。
この種のボックスカルバートにおける耐震継手としては、例えば一部が連結部としての雄型嵌合部外周面に埋設される構成のもの(例えば、特許文献1参照。)や、連結部としての挿し口の外周面に接着される構成のものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第4540129号公報(第4−6頁、図3)
特開2009−275422号公報(第3−5頁、図3)
しかしながら、上述の特許文献1および特許文献2の構成では、カルバート部材を成形する際に連結部に耐震継手の一部を埋め込んだり、連結部に耐震継手を接着剤などで固着したりする必要があるため、耐震継手の取り付け作業が煩雑化してしまい、カルバート構造物を容易に設置できないという問題が考えられる。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、容易に設置できるカルバート構造物を提供することを目的とする。
請求項1に記載されたカルバート構造物は、略角筒状のカルバート部材の連結部の外周面と、この連結部の外周面の外側に間隙を介して嵌着可能な略角筒状の他のカルバート部材の被連結部の内周面とが、伸縮可能で弾性変形可能な環状の耐震継手を間隙に挟み込んだ状態で嵌着されて、複数の略角筒状のカルバート部材が連通するように水密に連結されるカルバート構造物であって、耐震継手は、連結部の外周面に嵌合可能な環状の継手本体と、この継手本体から環状に沿って突出した突起部とを有し、収縮した状態での継手本体の環状の長さが連結部において予め嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上95%以下であり、連結部と被連結部とが嵌着される前に予め連結部の外周面に嵌合され、連結部と被連結部とを嵌着する際に連結部の外周面と被連結部の内周面との間隙で弾性変形しながら回動可能であるものである。
請求項2に記載されたカルバート構造物は、略角筒状のカルバート部材の連結部の外周面と、この連結部の外周面の外側に間隙を介して嵌着可能な略角筒状の他のカルバート部材の被連結部の内周面とが、弾性変形可能な環状の耐震継手を間隙に挟み込んだ状態で嵌着されて、複数の略角筒状のカルバート部材が連通するように水密に連結されるカルバート構造物であって、耐震継手は、連結部の外周面に嵌合可能な環状の継手本体と、この継手本体から環状に沿って突出した突起部とを有し、連結部と被連結部とが嵌着される前に予め連結部の外周面に嵌合され、連結部と被連結部とを嵌着する際に連結部の外周面と被連結部の内周面との間隙で弾性変形しながら回動可能であり、連結部は、端面側に位置する先端部と、この先端部より基端側に位置し先端部より外周が大きい基端部と、これら先端部と基端部との境界部分である段差部とを有し、耐震継手は、継手本体の一部が段差部に接触するように先端部に嵌合され、連結部と被連結部とを嵌着する際に先端部から基端部へ回動しながら移動するものである。
請求項3に記載されたカルバート構造物は、請求項1記載のカルバート構造物において、連結部は、端面側に位置する先端部と、この先端部より基端側に位置し先端部より外周が大きい基端部と、これら先端部と基端部との境界部分である段差部とを有し、耐震継手は、継手本体の一部が段差部に接触するように先端部に嵌合され、連結部と被連結部とを嵌着する際に先端部から基端部へ回動しながら移動するものである。
請求項4に記載されたカルバート構造粒は、請求項1ないし3のいずれか一記載のカルバート構造物において、耐震継手は、継手本体内に中空部が設けられているものである。
請求項5に記載されたカルバート構造物は、請求項1ないし4のいずれか一記載のカルバート構造物において、耐震継手は、突起部が連結部の端面側へ向き、かつ、突起部の一部が連結部の外周面に接触するように連結部に嵌合されるものである。
請求項6に記載されたカルバート構造物は、請求項1ないし5のいずれか一記載のカルバート構造物において、被連結部は、端面へ向かって薄くテーパ状に形成されたテーパ部を有するものである。
請求項1に記載された発明によれば、継手本体が連結部の外周面に嵌合可能であり、連結部に嵌合された耐震継手が、連結部と被連結部とを嵌着する際に連結部の外周面と被連結部の内周面との間隙で弾性変形しながら回動可能であることにより、耐震継手の取付作業が容易であり、連結部の外周面に予め耐震継手を嵌合して、連結部と被連結部とを嵌着させるだけで連結部と被連結部とを水密に連結できるため、容易に設置できる。
また、収縮した状態での継手本体の環状の長さが、連結部において予め耐震継手が嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上95%以下であることにより、連結部の角部にて耐震継手に加わる力を抑制でき、かつ、耐震継手を連結部に確実に嵌合できるため、耐震継手を適切に取り付けることができる。
請求項2に記載された発明によれば、継手本体が連結部の外周面に嵌合可能であり、連結部に嵌合された耐震継手が、連結部と被連結部とを嵌着する際に連結部の外周面と被連結部の内周面との間隙で弾性変形しながら回動可能であることにより、耐震継手の取付作業が容易であり、連結部の外周面に予め耐震継手を嵌合して、連結部と被連結部とを嵌着させるだけで連結部と被連結部とを水密に連結できるため、容易に設置できる。
また、耐震継手は、継手本体の一部が段差部に接触するように先端部に嵌合されることにより、連結部と被連結部とを嵌着する際に継手本体が段差部に係止されるため、耐震継手がずれにくく、連結部と被連結部とを正確に連結できる。
請求項3に記載された発明によれば、耐震継手は、継手本体の一部が段差部に接触するように先端部に嵌合されることにより、連結部と被連結部とを嵌着する際に継手本体が段差部に係止されるため、耐震継手がずれにくく、連結部と被連結部とを正確に連結できる。
請求項4に記載された発明によれば、耐震継手の継手本体内に中空部が設けられていることにより、連結部と被連結部とを嵌着する際に、突起部が中空部へ向かって押し込まれるように弾性変形できるため、耐震継手が回動しやすく、連結部と被連結部とを容易に連結できる。
請求項5に記載された発明によれば、耐震継手は、突起部が連結部の端面側へ向き、かつ、突起部の一部が連結部の外周面に接触するように嵌合されることにより、連結部と被連結部とを嵌着する際に連結部の外周面と被連結部の内周面との間隙で回動しやすく、また、嵌合された耐震継手の連結部の端面側への回動が突起部にて係止されて耐震継手を位置決めしやすいため、連結部と被連結部とを容易かつ正確に連結できる。
請求項6に記載された発明によれば、被連結部がテーパ部を有することにより、連結部と被連結部とが耐震継手を挟み込んで嵌着しやすいため、連結部と被連結部とを容易に連結できる。
本発明の一実施の形態に係るカルバート構造物の構成を示す側面図である。
同上カルバート構造物のカルバート部材を示す正面図である。
同上カルバート構造物のカルバート部材を示す斜視図である。
同上カルバート構造物の耐震継手を示す断面図である。
(a)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着する前の状態を示す断面図であり、(b)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着した後の状態を示す断面図である。
(a)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着する前の状態を示す部分断面図であり、(b)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着している状態を示す部分断面図であり、(c)は同上カルバート構造物の連結部と被連結部とを嵌着した後の状態を示す部分断面図である。
同上カルバート構造物において捻じれや歪みが発生した際の連結部と被連結部との連結状態を示す断面図である。
以下、本発明の一実施の形態の構成について図1ないし図7を参照しながら詳細に説明する。
図1において、11はカルバート構造物としてのボックスカルバートであり、このボックスカルバート11は、地中等に設置され、例えば通路、水路および共同溝等として使用される。
ボックスカルバート11は、鉄筋コンクリートやプレストレストコンクリートなどのコンクリートにより予め成形された複数の略筒状のカルバート部材12,12が、例えばゴムなどで形成された弾性変形可能な環状の耐震継手13を介して連通するように水密に順次連結されて構成される。
具体的には、ボックスカルバート11は、カルバート部材12の連結部14の外周面と、この連結部14の外周面の外側に嵌着可能な隣接する他のカルバート部材12の被連結部15の内周面とが、耐震継手13を介して嵌着されて連結される。
図1ないし図3に示すように、カルバート部材12は、底面部16の両側に側面部17,17が互いに対向して形成され、これら側面部17,17の上部間に亘って上面部18が形成されたカルバート部材本体19を有している。なお、このようなカルバート部材12は、例えばカルバート部材本体19が2000mm角または1000mm角の略角筒状などに成形される。
また、カルバート部材12は、カルバート部材本体19の一端部に連結部14が形成され、他端部に被連結部15が形成されている。
連結部14は、略角筒状の雄形部材であり、外周面に耐震継手13を嵌合可能である。
被連結部15は、内周の長さが連結部14の外周の長さより長い略角筒状であり、連結部14の外周面に間隙20を介して嵌着可能な雌形部材である。
すなわち、連結部14の外周面と、隣接する他のカルバート部材12の被連結部15の内周面とは、間隙20に耐震継手13を挟み込んだ状態で嵌着可能である。
図4に示すように、耐震継手13は、連結部14の外周面に嵌合可能な環状の継手本体21と、この継手本体21の周面から環状に沿って全長に亘って突出した突起部22とを有し、連結部14と被連結部15とが嵌着される前に予め連結部14の外周面に嵌合される。
連結部14の外周面に予め嵌合された耐震継手13は、図5(a)および図5(b)に示すように、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に、嵌着の進行にともなって、間隙20にて連結部14の外周面と被連結部15の内周面とで挟みこまれて弾性変形しながら回動可能である。
なお、図5(b)では、被連結部15を基準とした耐震継手13の位置を二点差線で示している。
継手本体21は、連結部14と被連結部15との嵌着にともなって回動可能な回動面である円弧状部23を有した断面視略円形状であり、直径が間隙20の幅より長い。
また、継手本体21は、内部の全長に亘って無端状に設けられた断面視半円形状の空洞である中空部24を有している。
中空部24は、円弧状の部分が突起部22側に位置するように継手本体21内に形成されている。
また、中空部24の大きさが突起部22の大きさより小さいと、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に突起部22が中空部24へ向かって弾性変形しにくくなるため、中空部24は、突起部22と同じ大きさか、または、突起部22より大きいことが好ましい。
突起部22は、継手本体21に一体に形成され、基端から先端へ向かって漸次細くなるように形成されている。
すなわち、耐震継手13の断面形状は、略円形状の継手本体21の円弧状部23の一部から突起部22が突出したいわゆる涙形である。
また、耐震継手13は、突起部22の突起長さaが長すぎると連結部14の外周面と被連結部15の内周面との間隙20で回動しにくく、突起部22の突起長さaが短いと連結部14と被連結部15とを引き離す方向へ力が加わった場合の抵抗になりにくいため、継手本体21からの突起部22の突起長さaが継手本体21の直径に対して15%以上20%以下であると好ましい。
ここで、耐震継手13は、環状に沿って伸縮可能であり、収縮した状態での継手本体21の環状の長さすなわち径は、連結部14において継手本体21が予め嵌合される箇所の外周の長さよりやや短い。
したがって、耐震継手13は、伸張してテンションがかかった状態で連結部14の外周面に嵌合される。
耐震継手13は、連結部14の外周面に嵌合した状態にて、均一にテンションがかかっていることが好ましいが、連結部14は略角筒状であるため、嵌合状態の耐震継手13では、連結部14の角部に対応する部分に他の部分より嵌合による力が加わりやすい。
そして、耐震継手13は、収縮した状態での継手本体21の環状の長さを連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して85%より小さくすると、連結部14の角部にて過度に力が加わってしまい、連結部14と被連結部15との嵌着や、嵌着の際の回動によって損傷してしまう可能性がある。
また、耐震継手13は、収縮した状態での継手本体21の環状の長さを連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して95%より大きくすると、嵌合状態の耐震継手13のテンションが弱く、連結部14と被連結部15との連結において耐震継手13による止水性を確保できない可能性がある。
よって、収縮した状態での継手本体21の環状の長さは、連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上95%以下とした。
ここで、継手本体21は、継手本体21が嵌合される箇所の外周が長いほど、伸張させる必要がある。したがって、例えばカルバート部材本体19が1000mm角であるカルバート部材12に取り付けられる場合の耐震継手13における継手本体21の環状の長さは、収縮した状態にて、連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して90%以上95%以下であると好ましい。また、カルバート部材本体19が2000mm角であるカルバート部材12に取り付けられる場合の耐震継手13における継手本体21の環状の長さは、収縮した状態にて、連結部14において予め継手本体21が嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上90%以下であると好ましい。
また、耐震継手13は、取り付ける際の操作性、強度、および製造性などを考慮すると、ゴムの硬度が45以上55以下であると好ましい。
連結部14は、図5(a)および図5(b)に示すように、端面側に位置する先端部25と、この先端部25より基端側に位置する基端部26と、これら先端部25と基端部26の境界部分である段差部27とを有している。
基端部26は、先端部25より外周が大きく、段差部27は、先端部25側から基端部26側へ向かって外周が大きくなるように傾斜している。
先端部25の先端には、端面へ向かって細くなるように傾斜状に形成された傾斜部28が設けられている。
被連結部15は、内周面の端面側に位置し、端面へ向かって漸次厚さが薄くなるように傾斜したテーパ状のテーパ部29を有している。
また、連結部14は、先端部25の先端面であり傾斜部28から連続して一体に形成され連結部14の軸方向に対して垂直な連結先端面部31と、基端部26の基端から連続して一体に形成され連結部14の軸方向に対して垂直に形成された連結基端面部32とを有している。
さらに、被連結部15は、被連結部15の先端面でありテーパ部29から連続して一体に形成され被連結部15の軸方向に垂直な被連結先端面部33と、被連結部15の基端から連続して一体に形成され被連結部15の軸方向に垂直な被連結基端面部34とを有している。
次に、上記ボックスカルバート11の設置方法を説明する。
ボックスカルバート11を設置する際には、まず、設置場所に1つのカルバート部材12を設置する。
次いで、既に設置したカルバート部材12に隣接させて設置する新たなカルバート部材12の連結部14の外周面に耐震継手13を嵌合する。
連結部14に耐震継手13を嵌合する際には、傾斜部28から継手本体21の内側へ挿入するように嵌合する。
ここで、図5(a)および図6(a)に示すように、耐震継手13は、突起部22が連結部14の端面側である連結先端面部31側へ向き、かつ、突起部22の一部が連結部14の外周面に接触するように連結部14の外周面に嵌合される。
また、耐震継手13は、継手本体21の円弧状部23の一部が段差部27に接触するように先端部25に嵌合される。
耐震継手13の嵌合後、先に設置したカルバート部材12の被連結部15のテーパ部29の内側へ、隣接させる他のカルバート部材12の連結部14を耐震継手13とともに挿入して、連結部14と被連結部15とを嵌着する。
耐震継手13は、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に、間隙20にて、嵌着の進行にともなって連結部14の外周面と被連結部15の内周面とで挟みこまれた状態で弾性変形しながら回動し、段差部27を越えるように先端部25から基端部26へ移動する。
また、耐震継手13は、弾性変形しながら回動する際に、図6(b)に示すように、突起部22が中空部24へ向かって押し込まれ、中空部24が潰れて回動を阻害しにくい形状に弾性変形する。
このように弾性変形しながら回動する耐震継手13を介して嵌着された連結部14と被連結部15とは、図5(b)に示すように、連結先端面部31と被連結基端面部34とが平行に対向して略当接し、連結基端面部32と被連結先端面部33とが平行に対向して略当接する。
また、図6(c)に示すように、嵌合された連結部14と被連結部15とは、間隙20にて弾性変形した耐震継手13を介して水密に連結され、カルバート部材12,12が隣接して連結される。
そして、ボックスカルバート11が所望の長さになるように、同様に新たなカルバート部材12を順次連結して設置する。
上記ボックスカルバート11によれば、継手本体21が連結部14の外周面に嵌合可能であり、連結部14の外周面に予め嵌合された耐震継手13が、連結部14と被連結部15との嵌着の際に、間隙20にて、連結部14の外周面と被連結部15の内周面に挟み込まれた状態で弾性変形しながら回動可能である。
したがって、耐震継手13を取り付ける際に、耐震継手13の一部を埋設したり、耐震継手13を接着したりする必要がなく、耐震継手13の取付作業が容易であり、連結部14の外周面に耐震継手13を予め嵌合して連結部14と被連結部15とを嵌着させるだけで、連結部14と被連結部15とを水密に連結できるため、ボックスカルバート11を容易に設置できる。
また、このように設置されたボックスカルバート11は、例えば地震等によりボックスカルバート11に捻じれる力やカルバート部材12同士を引き離す力が加わり、ボックスカルバート11に屈曲等の変形が生じた場合であっても、図7に示すように、連結部14と被連結部15との嵌着を解除する方向へのカルバート部材12の移動にともなって、耐震継手13が間隙20を追従するように弾性変形しながら連結部14と被連結部15とを嵌着する際とは反対方向へ回動して移動する。
したがって、地震等によりボックスカルバート11に変形が生じても、耐震継手13が間隙20を追従できるため、連結部14と被連結部15との水密な連結を維持できる。
ここで、ボックスカルバート11は、耐震継手13が突起部22を有することにより、連結部14と被連結部15とを引き離す方向へ力が加わった場合に、突起部22が連結部14の外周面または被連結部15の内周面に接触して、耐震継手13の回動への抵抗になるため、連結部14と被連結部15との連結の解除を抑制できる。
耐震継手13は、継手本体21内に中空部24が設けられていることにより、連結部14と被連結部15を嵌着する際に、突起部22が中空部24へ向かって押し込まれ、回動を阻害しにくい形状に弾性変形しやすい。
したがって、耐震継手13が間隙20にてスムーズに回動でき、連結部14と被連結部15とを容易に連結でき、ボックスカルバート11を容易に設置できる。
また、耐震継手13は、収縮した状態での継手本体21の環状の長さが、連結部14において耐震継手13が予め嵌合される箇所の外周の長さよりやや短いことにより、連結部14に嵌合した耐震継手13は伸張されてテンションがかかった状態になるため、連結部14に確実に嵌合できる。
特に、耐震継手13は、収縮した状態での継手本体21の環状の長さが、連結部14において耐震継手13が予め嵌合される箇所の外周の長さに対して85%以上95%以下であることにより、嵌合によるテンションによって連結部14の角部にて耐震継手13に加わる力を抑制でき、かつ、連結部14に確実に嵌合できるため、耐震継手を連結部14に適切に取り付けることができる。
耐震継手13は、突起部22が連結部14の端面側へ向き、かつ、突起部22の一部が連結部14の外周面に接触するように嵌合されることにより、連結部14と被連結部15との嵌着にともなって間隙20で連結部14の基端部26側へ回動しやすく、また、嵌合された耐震継手13の連結部14の端面側への回動を突起部22にて係止でき、連結部14の外周面上にて耐震継手13にねじれが発生することを防止できるため、連結部14の外周面上で耐震継手13を位置決めしやすい。
したがって、嵌合状態の耐震継手13の位置がずれにくく、連結部14の外周面上での耐震継手13の位置決めが容易であるとともに、嵌着にともなって耐震継手13が回動しやすいので、連結部14と被連結部15とを容易かつ正確に嵌着できる。
また、連結部14の先端に傾斜部28を有することにより、連結部14の外周面に耐震継手13を嵌合しやすいので、耐震継手13を容易に取り付けることができる。
さらに、被連結部15にテーパ部29を有することにより、耐震継手13が嵌着された連結部14を被連結部15の内側へ挿入しやすく、連結部14と被連結部15とを耐震継手13を挟み込んで嵌着しすいため、連結部14と被連結部15とを容易に連結できる。
耐震継手13は、継手本体21の円弧状部23の一部が段差部27に接触するように先端部25の外周面に嵌合されることにより、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に、継手本体21が段差部27に係止される。
したがって、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に、耐震継手13は、段差部27より基端部26側へ摺動してずれにくく、段差部27に沿って回動しやすいので、連結部14と被連結部15とを正確に連結できる。
また、耐震継手13は、中空部24の大きさが、突起部22と同じ大きさか、または、突起部22より大きいことにより、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に突起部22が中空部24へ向かって弾性変形しやすいので、連結部14と被連結部15とを容易に連結できる。
さらに、耐震継手13は、突起部22の突起長さaが継手本体21の直径に対して15%以上20%以下であることにより、連結部14と被連結部15とを嵌着する際に間隙20にて回動しやすく、かつ、連結部14と被連結部15とが連結された状態にて連結部14と被連結部15とを引き離す方向へ力が加わった場合に突起部22による抵抗力を確保できる。
なお、上記一実施の形態では、既に設置したカルバート部材12の被連結部15に、新たに隣接させて設置するカルバート部材12の連結部14を嵌着させる構成としたが、連結部14と被連結部15とが耐震継手13を介して連結される構成であればよく、例えば、既に設置したカルバート部材12の連結部14に、新たに隣接させて設置するカルバート部材12の被連結部15を嵌着させる構成でもよい。
また、ボックスカルバート11の一端に位置するカルバート部材12の一端部には、連結部14が設けられる構成および連結部14が設けられていない構成のいずれでもよい。
さらに、ボックスカルバート11の他端に位置するカルバート部材12の他端部には、被連結部15が設けられる構成および被連結部15が設けられていない構成のいずれでもよい。
また、設置されるカルバート部材12の数は、設置予定のボックスカルバート11の長さに応じて適宜設定できる。
耐震継手13は、継手本体21が断面視で円弧状部23を有する略円形状としたが、このような構成には限定されず、連結部14と被連結部15との嵌着にともなって回動可能な形状であれば、継手本体21は例えば断面視多角形状などでもよい。
また、耐震継手13は、継手本体21が中空部24が設けられた構成としたが、このような構成には限定されず、中空部24が設けられていない構成にしてもよい。
継手本体21に中空部24が設けられる構成の場合は、中空部24が無端状の構成には限定されず、例えば間欠状などにしてもよい。
また、中空部24は、断面視半円形状としたが、このような構成には限定されず、その形状および大きさは適宜設計できる。
突起部22は、基端から先端へ向かって漸次細くなる構成にしたが、このような構成には限定されず、継手本体21の周面の一部から突出していればよい。
耐震継手13は、突起部22が連結部14の端面側である連結先端面部31側へ向き、かつ、突起部22の一部が連結部14の外周面に接触するように連結部14の外周面に嵌合させる構成としたが、このような構成には限定されず、耐震継手13の嵌合状態は適宜変更できる。
また、耐震継手13は、継手本体21の円弧状部23の一部が段差部27に接触するように先端部25に嵌合させる構成としたが、このような構成には限定されず、耐震継手13の嵌合位置は適宜設定できる。
連結部14は、先端部25と基端部26と段差部27とを有する構成としたが、このような構成には限定されず、例えば、連結部14が端面から基端にわたって外周の長さが均一で外周面が平坦な構成などにしてもよい。また、先端部25と基端部26と段差部27とを有する構成にする場合は、先端部25および基端部26の軸方向の長さや、段差部27の傾斜角度は適宜設定できる。
また、連結部14は、先端に傾斜部28が形成された構成としたが、このような構成には限定されず、傾斜部28が形成されていない構成にしてもよい。また、傾斜部28が形成された構成にする場合は、傾斜部28の角度は適宜設定できる。
被連結部15は、テーパ部29を有する構成としたが、このような構成には限定されず、テーパ部29が設けられていない構成にしてもよい。また、テーパ部29が設けられた構成にする場合は、テーパ部29の傾斜角度は適宜設定できる。
11 カルバート構造物としてのボックスカルバート
12 カルバート部材
13 耐震継手
14 連結部
15 被連結部
20 間隙
21 継手本体
22 突起部
24 中空部
25 先端部
26 基端部
27 段差部
29 テーパ部