図14に示した管継手Aにおいて、締め輪20に備わっている一方側の受枠部21の開口23のサイズが上記のように定められているのは、螺旋管100の凸部122の頂部123に受枠部21が衝突することを回避した上で、締め輪20によって締め付けられたパッキン10をその締め輪20の内側に留めておくことが要求されていることによる。
しかしながら、螺旋管100の凹部121や凸部122が螺旋状に形成されているために、受枠部21の内周縁が管体100の凹部121に対向する箇所では、図15のように、受枠部21の内周縁と螺旋管100の外周面との間に、凸部122の高さHよりも広い隙間Sが形成されてしまうことになる。そして、そのような広い隙間Sが形成されていると、締め輪20によって締め付けられたパッキン10がその隙間Sを通って軸方向に迫り出し、受枠部21に形成されている開口23から矢印aのようにはみ出してしまうという事態が起こり得る。同様の事態は、管路を流れる水流の高圧が、管端部110,210同士の隙間Cを介してパッキン10に外向きに作用したようなときにも起こり得る。
ところが、パッキン10が図15のように受枠部21の開口23からはみ出すという事態が起こると、締め輪20による締付け力が分散してしまい、管体100の外周面に対するパッキン10の密着力が減少して十分な耐圧効果が得られなくなるという状況を生じることがある。また、さらに、開口23からはみ出したパッキン10の劣化が早まったり、開口23からはみ出したパッキン10が切れたりして、漏水の原因になったりすることもある。
本考案は、以上の状況の下でなされたものであり、締め輪によってパッキンが必要以上に圧縮されたり、管路を流れる水流の高圧がパッキンに外向きに作用することに起因する締め輪の外側へのパッキンのはみ出しを未然に防止するための対策を講じた高水密性管継手を提供することを目的とする。
本考案に係る高水密性管継手は、管壁の外周で螺旋状に延びる凹部及び凸部を有する内周面平滑な2本の螺旋管の管端部同士の突合せ箇所の外側に跨がってねじ込まれて、それらの管端部を外側から被覆する弾性を備えた筒状のパッキンと、上記凸部の頂部の直径よりも径大な開口を形成する環状の受枠部を両端部のそれぞれに備えて、上記管端部を被覆している上記パッキンを締め付けて管端部の外周面に密着させる拡縮可能な筒状の締め輪と、上記パッキンと締め輪の両端部の上記受枠部との間に各別に介在されて、軸方向一端面が上記受枠部に掛止され、軸方向他端面が上記パッキンの端面に接触してそのパッキンの軸方向への迫り出しを阻止する2つの環状のスペーサと、2つの上記管端部同士の突合せ箇所の内側に跨がって挿入される筒部の外周に2つの上記管端部の内周面に各別に密着される弾性を備えた環状の止水リング部が形成されてなる筒状コアと、を備えている、というものである。
この構成を備えた高水密性管継手では、パッキンと締め輪の受枠部との間に介在されるスペーサが、締め輪によって締め付けられたパッキンの軸方向の迫り出しを抑制する作用を発揮する。また、管端部に挿入された筒状コアの筒部に備わっている環状の止水リング部がその管端部の内周面に密着するので、管路を流れる水流の高圧が2本の螺旋管の管端部同士の突合せ箇所を介してパッキンに作用するという事態が起こらなくなる。したがって、水流の高圧の影響がパッキンに及ばず、その結果として締め輪の受枠部の開口からパッキンが外側へはみ出すこともなくなる。そのため、管端部の外周面に対するパッキンの密着力が高まり、十分に大きな耐圧効果が発揮されるようになるだけでなく、開口からはみ出したパッキンが劣化したり、開口からはみ出したパッキンが切れたりして漏水の原因になったりする余地もなくなる。
本考案では、上記筒状コアが、その筒部の外周に一体に形成されて、2つの管端部の上記突合せ箇所で、それらの管端部の相互間の隙間を埋める凸条を備えていることが望ましい。この構成であると、筒状コアの筒部を一方側又は他方側の螺旋管の管端部に挿入するときに、その筒部に設けられている凸条が一方又は他方の螺旋管の管端部に当たって筒部の挿入代を規制する作用を発揮する。そのため、一方側又は他方側の管端部への筒状コアの筒部の挿入代に過不足が生じない。
本考案では、筒状コアの上記筒部が、上記凸条と上記止水リング部とを一体に備える筒状の弾性体と、この弾性体の内側に配備されてその弾性体の筒状を保形する金属製の筒体とでなることが望ましい。この構成であると、金属製の筒体の保形性によって弾性体が筒状に保形されるので、その弾性体に備わっている止水リング部が管端部の内周面に確実に密着して高い止水性能を発揮する。
本考案では、上記パッキンがゴム製であり、上記スペーサが硬質の樹脂製であって、それらのパッキン及びスペーサのそれぞれの内周面に、螺旋状に延びて上記管端部の凹部と凸部とにそれぞれ嵌合する凸条部と凹溝部とが形成されていると共に、筒状コアの上記凸条が、2つの上記管端部の突合せ箇所で、両方の管端部の凸部又は凹部を螺旋状に連続させる形状を備えていることが望ましい。この構成であると、締め輪によって締め付けられたパッキンが、管端部の外周面に無理なく押し付けられて密着するので、管端部の外周面に対するパッキンの密着力が高められて大きな耐圧効果が発揮されるようになる。また、筒状コアの凸条が両方の管端部の凸部又は凹部を螺旋状に連続させる形状に形成されていることにより、管端部同士の突合せ箇所とパッキンやスペーサとの相対位置を、それらを回転させて軸方向で正確に調節することができるという利点が生じる。
本考案では、上記管端部の外周面と上記締め輪の内面との間に挟まれた上記2つのスペーサによって、上記締め輪の締め付けに伴うパッキンの縮径代が制限されるように構成されていることが望ましい。この構成を採用しておくと、締め輪がパッキンを締め付け過ぎるという事態の起こることが防止されて、パッキンが必要以上の力で締め付けられるという事態が起こらない。また、締め輪の締付け力がばらついて2つの管端部の接続箇所が曲がるという事態も生じにくくなる。
本考案では、上記止水リング部が、筒状の上記弾性体の軸方向に多段に並ぶ複数の鋸歯状断面形状を有する環状リブに分割されている、という構成を採用することが可能である。この構成を採用することにより、止水リング部による止水箇所が多段に亘ることになるので、止水作用がいっそう向上する。
以上のように、本考案によると、締め輪によって締め付けられたパッキンが締め輪の受枠部によって形成されている開口からはみ出すことによる弊害である耐圧効果の低下が抑制されるだけでなく、開口からはみ出したパッキンが劣化したり、開口からはみ出したパッキンが切れたりして漏水の原因になったりする余地もなくなる。
本考案の実施形態に係る管継手Aは、冒頭で説明した従来例の管継手に用いられているものと同様の作用を発揮させることを意図したパッキン10及び締め輪20のほか、筒状コア40やスペーサ50を備えている。そして、図1に筒状コア40を一部破断側面図で示し、図2にパッキン10を概略斜視図で示し、図3にスペーサ50を概略正面図で示し、図4には図3のIV−IVに沿う部分の断面図を示し、図5に締め輪20を概略斜視図で示してある。
図1の筒状コア40は、筒部41と、筒部41の外周の左右2箇所に振り分けて設けられた環状の止水リング部45,45とを備えている。筒部41は、弾性を備えた材料、たとえばゴムで形成された筒状弾性体42と、この筒状弾性体42の内側に配備された金属製(たとえば耐食性能に優れたステンレス製)の筒体43とでなり、筒体43が筒状弾性体42の両側へ突き出ている。そして、筒状弾性体42の外周の軸方向中央部にやゝ幅広の凸条46が一体形成されていて、その凸条46が筒状弾性体42の1周部分に亘って螺旋状に延びている。また、凸条44との間に間隔を隔てて、上記した止水リング部45,45が一体形成されている。図1に示したように、左右それぞれの止水リング部45は、筒状弾性体42の軸方向に多段(図例では6段)に並ぶ鋸歯状断面形状を有する複数の環状リブ44に分割されていて、左右の止水リング部45,45を形成している個々の環状リブ44…は、径小側の端部が筒状弾性体42の外端側を向き、径大側の端部が筒状弾性体42の中央側を向く姿勢で並んでいる。この構成を採用することにより、筒状コア40を、後述する螺旋管の管端部に圧入しやすくなる。
図2のパッキン10は、ゴム製であって、上記した筒状コア40よりもやゝ短い円筒状に形成されている。このパッキン10の内周面に、螺旋状に延びる凸条部11と凹溝部12とが形成されている。パッキン10の外周面は平滑面に形成されている。
図3のスペーサ50は、図2のパッキン10よりも硬質の樹脂製であって、環状に形成されていると共に、その内周面に、螺旋状に延びる凸条部51と凹溝部52とが形成されている。また、図3又は図4に示したように、図例のスペーサ50は、半円弧状の一対のスペーサ分割体55,56を環状に合わせることによって構成される。具体的には、一方側のスペーサ分割体55の周方向両端面に具備された凹溝57,57に、他方側のスペーサ分割体56の周方向両端面に具備された凸部58,58(図4参照)を嵌合させることによって、一対のスペーサ分割体55,56が径方向に位置ずれすることなく環状に合わされるようになっている。スペーサ50の軸方向の一端面や他端面は、図4によって明らかなように平坦面に形成されている。
図5に示した締め輪20は、ヒンジピン25によって開閉可能に連結された一対の円弧状部材26,27と、一対の円弧状部材26,27の自由端部同士を連結することによってそれらの一対の円弧状部材26,27を円筒状に保形するための結合機構を構成する締付けねじ28及びナット部材29とを備えている。また、一方側の円弧状部材26には、ヒンジピン25による連結箇所の内側に配備される円弧状の保護片31が備わり、他方側の円弧状部材27には、上記結合機構による結合箇所の内側に配備される円弧状の保護片32が備わっている。なお、結合機構を構成している締付けねじ28は、一方側の円弧状部材26の自由端部に具備されたねじ挿通孔33に挿通される。また、結合機構を構成しているナット部材29は、他方側の円弧状部材27の自由端部に保持された棒状体にねじ孔(不図示)を形成してなる。
さらに、締め輪20の軸方向の両端部には内鍔形状に形成された環状の受枠部21,22が設けられている。これらの受枠部21,22は、締め輪20を形成している一対の円弧状部材26,27及び保護片31,32の軸方向の両端部に曲成したリブによって構成されている。図1〜図5を参照して説明した筒状コア40、パッキン10、スペーサ50及び締め輪20を備えた高水密性管継手は、2本の螺旋管100,200を水密に接続することに用いられる。次に、接続作業工程や接続構造を図6〜図8、図9〜図11を参照して説明する。
図6〜図8は2本の螺旋管100,200の管端部110,210の突合せ箇所の内側に筒状コア40を挿入する工程を側面から見て例示した説明図である。個々の螺旋管100,200は、筒状部の外周に円形断面の線状体を螺旋状に巻き付けて接合することによって形成された凸部122,222と、上記筒状部の表面によって形成されて凸部122,222に隣接する凹部121,221とを備えている。また、螺旋管100,200には強化樹脂管などが採用され、その内周面は平滑面である。図例の螺旋管100,200は、柔軟な樹脂ホース並みの柔軟性と軽量さを有しているにもかかわらず、外圧に強くて、外圧による断面形状の変形を生じにくく、加圧時の伸び変形が少なく、さらに、どの位置ででも切断することができてその長さ調節の自由度に優れている、といった性質を有している。そして、このような性質に着目して、泥水シールド工法、リバース工法といった土木工事での泥水の吸圧送、砂や砂利、ヘドロなどの吸圧送、浚渫や埋立工事での泥水の吸圧送などに利用されている。
図6によって判るように、一方側の螺旋管100の管端部110では、螺旋状の凸部122が管端の1周部分に位置していて、その管端面が螺旋状に形作られている。同様に、他方側の螺旋管200の管端部210でも、螺旋状の凸部222が管端の1周部分に位置していて、その管端面が螺旋状に形作られている。また、筒状コア40の螺旋状の凸条46は、両方の螺旋管100,200の螺旋状の凹部121,221の幅と同一幅を有していることに加え、その凸条46の軸線に対する傾斜角は、両方の螺旋管100,200の螺旋状凹部121,221の軸線に対する傾斜角と同一の角度に定められている。
図7は筒状コア40の片側部分が他方側の螺旋管200の管端部210に挿入された状態を示している。筒状コア40の片側部分を螺旋管200の管端部210に矢印P1のよう挿入する作業を行うと、筒状コア40の片側部分の止水リング部45が管端部210に圧入されてその内周面に密着する。この実施形態では、止水リング部45が軸方向に多段に並ぶ鋸歯状断面形状を有する複数の環状リブ44に分割されているので、止水リング部45が管端部210に圧入された状態では、個々の環状リブ44の頂部が管端部210の内周面に個別に密着する。そのため、管端部210の内周面が、仮に軸方向で波打ち形状に変形していても、いずれかの環状リブ44が確実に管端部210の内周面に密着する。また、上記の挿入作業に併せて、螺旋管200の管端部210と筒状コア40との軸方向及び周方向の位置合わせを行うことにより、螺旋状の凸条46を他方側の螺旋管200の管端部210の端面に突き合わせると共に、その凸条46を他方側の螺旋管200の凹部221に図示のように連続させることが可能である。しかも、筒状コア40の凸条46が他方側の螺旋管200の管端面に当接することによって、螺旋管200に対する筒状コア40の挿入代が一定に定まる。
図8は筒状コア40の他側部分が一方側の螺旋管100の管端部110に挿入された状態を示している。筒状コア40の他側部分に螺旋管100の管端部110を矢印P2のよう挿入する作業を行うと、筒状コア40の他側部分の止水リング部45が管端部110に圧入されてその内周面に密着する。上記したところと同様に、この実施形態では、止水リング部45が軸方向に多段に並ぶ鋸歯状断面形状を有する複数の環状リブ44に分割されているので、止水リング部45が管端部110に圧入された状態では、個々の環状リブ44の頂部が管端部110の内周面に個別に密着する。そのため、管端部110の内周面が、仮に軸方向で波打ち形状に変形していても、いずれかの環状リブ44が確実に管端部110の内周面に密着する。また、上記の挿入作業に併せて、螺旋管100の管端部110と筒状コア40との軸方向及び周方向の位置合わせを行うことにより、螺旋状の凸条46を一方側の螺旋管100の管端部110の端面に突き合わせると共に、その凸条46を1方側の螺旋管100の凹部121に図示のように連続させる。このようにすると、図示のように、筒状コア40の螺旋状の凸条46が2つの管端部110,210の突合せ箇所で、それらの管端部110,210の相互間の隙間を埋める。そのため、両方の螺旋管100,200の管端部同士が、筒状コア40の凸条46を介して、大きな隙間を生じることなく突き合わされて、両方の螺旋管100,200の凸部122,222が連続し、同時に、両方の螺旋管100,200の凹部121,221が凸条46を介して連続する。
図9〜図11は筒状コア40が挿入された2本の螺旋管100,200の管端部110,210の突合せ箇所の外側に、パッキン10やスペーサ5を配備する工程を断面で例示した説明図である。
図2に示したパッキン10の凸条部11や凹溝部12は、図9などに示した螺旋管100,200の凹部121,221や凸部122,222にねじ合わせ可能である。同様に、図3に示したスペーサ50の凸条部51や凹溝部52も、図9などに示した螺旋管100,200の凹部121,221や凸部122,222にねじ合わせ可能である。
図9は、筒状コア40が挿入されて互いに連結されている2つの管端部110,210同士の突合せ箇所の外側に跨がってパッキン10を配備した状態の断面図である。パッキン10は、あらかじめ2本の螺旋管100,200のいずれか一方側にねじ合わされている。
図9のように2つの管端部110,210同士の突合せ箇所の外側にパッキン10を跨がって配備する工程では、あらかじめパッキン10がねじ合わされている螺旋管、たとえば螺旋管100の外側でパッキン10を回転させることにより、そのパッキン10を2つの管端部110,210同士の突合せ箇所に跨がらせて位置させることが行われる。このときには、パッキン10の軸方向中央部を、筒状コア40の凸条46に対して位置合わせしておくことが望ましく、そのようにすると、両方の管端部110,210に対するパッキン10の嵌合代が均等になる。なお、パッキン10を2つ割り又は1つ割り構造に構成しておき、そのような構造のパッキンを管端部110,210同士の突合せ箇所の両側からその突合せ箇所に嵌め込んで、パッキン10の軸方向中央部を、筒状コア40の凸条46に対して位置合わせするように構成することも可能である。
図10は2つのスペーサ50,50でパッキン10を挟み付けた状態の断面図である。2つのスペーサ50,50でパッキン10を挟み付ける工程では、スペーサ50の一対のスペーサ分割体55,56を、パッキン10の両側で、管端部110にその両側から嵌め込んで環状に形作り、かつ、スペーサ50の凹溝部52及び凸条部51を管端部110の凸部122及び凹部121に嵌合させた後、個々のスペーサ50,50を回転させて矢印N1,N1のようにパッキン10に近づけていき、それぞれのスペーサ50,50を図示のようにパッキン10の左右の各端面に当接させる。
図11は螺旋管100,200の管端部110,210を被覆しているパッキン10を締め輪20で締め付けた状態の断面図である。パッキン10を締め輪20で締め付ける工程の最初の段階では、図5に示した締め輪20の一対の円弧状部材26,27を開いた状態でその締め輪20をパッキン10とその両側の2つのスペーサ50,50とに嵌め込む。このようにすると、締め輪20の一方側の受枠部21とパッキン10とにより一方側のスペーサ50が挟まれ、締め輪20の他方側の受枠部22とパッキン10とにより他方側のスペーサ50が挟まれる。この状態では、スペーサ50,50がロックナットの役割を果してパッキン10が回転しなくなり、そのことが、パッキン10の不慮の位置ずれを防ぐことに役立つ。次の段階では、結合機構を構成している締付けねじ28を一方側の円弧状部材26のねじ挿通孔33に挿通させてナット部材29のねじ孔(不図示)にねじ込んで締め付ける。
図9〜図11に示した工程を行うと、締め輪20によって締め付けられたパッキン10が、2本の管体100,200の管端部110,210の外周面に密着し、管端部110,210の外周面とパッキン10との相互間の水密性が発揮される。また、パッキン10が締め輪20によって締め付けられたとしても、パッキン10の軸方向への迫り出しが、パッキン10の両側に配備されているスペーサ50,50によって阻止される。また、2つの管端部110,210の内周面には、筒状コア40の止水リング部45,45が密着していることにより、その密着箇所での止水作用により、管路の水流が2つの管端部110,210の突合せ箇所に漏れ出すこともない。そのため、水流の高圧の影響がパッキン10に及んでパッキン10が外向きに押圧されて圧縮されるという事態も生じない。このことも、パッキン10の軸方向への迫り出しを未然に防ぐことに役立つ。
したがって、パッキン10が軸方向に迫り出して締め輪20による締付け力が分散されるという事態が起こらず、十分な耐圧効果が得られるようになる。さらに、締め輪20の受枠部21,22の開口23,24からパッキン10が迫り出すという事態も起こらないので、開口23,24からはみ出したパッキンが早期に劣化したり切れたりして漏水の原因になったりする余地もなくなる。
この実施形態では、締め輪20によって締め付けられていない自然状態での筒状のパッキン10の外周直径が、スペーサ50,50の外周直径よりもやゝ径大になっている。言い換えると、スペーサ50,50の外周直径が、締め輪20によって締め付けられていない自然状態での筒状のパッキン10の外周直径よりもやゝ径小になっている。そのため、締め輪20を2つのスペーサ50,50に当接するまで締め付けて縮径させるだけでパッキン10の縮径代が規制されるようになり、パッキン10が過大に締め付けられるという事態が防止されるだけでなく、締め輪20の左右の締付け力に大きな際が生じて2本の螺旋管100,200が突合せ箇所で曲がってしまうという事態も防止される。筒状コア40の凸条46が2つの管端部110,210の突合せ箇所で、それらの管端部110,210の相互間の隙間を埋めていることも、2本の螺旋管100,200が突合せ箇所で曲がってしまうという事態を防ぐことに役立っている。
また、筒状コア40が高剛性の金属製の筒体43を備えているので、締め輪20を締め付けても管端部110が縮径するという事態が阻止される。そのため、管端部110,210の外周面に対するパッキン10の密着力や、管端110,210の内周面に対する止水リング部45の密着力がいっそう向上するという利点もある。
この実施形態では、締め輪20が図5に示した構成を備えているけれども、締め輪20は他の構成を備えていてもよい。すなわち、締め輪20はパッキン10を締め付けて縮径させる機能を発揮し得る構成を備えていればよい。
この実施形態では、筒状コア40の凸条46が筒状弾性体42の1周部分に亘って螺旋状に延びているものを例示したけれども、この凸条46の形状は、2つの管端部110,210の突合せ箇所で、凸条122,222が管端に位置している両方の管端部110,210の凹部121,221同士を螺旋状に連続させることを意図した形状である。
ところで、2本の螺旋管100,200を接続する場合に、個々の螺旋管100,200の管端部110,210の端面形状は、必要に応じて適宜選択決定される。そのため、必ずしも上記の実施形態のように凸条122,222が螺旋管100,200の管端に位置しているとは限らない。
この点を考慮し、筒状コア40の凸条46の形状は、互いに接続される2本の螺旋管の管端部の管端の形状に応じた形状に定められるべきである。要するに、筒状コア40の凸条46は、2つの管端部の突合せ箇所で、両方の管端部の凸部又は凹部を螺旋状に連続させる形状を備えていることが望ましい。たとえば、図12に側面図で示した事例では、2本の螺旋管100,200は、いずれもそれの管端に螺旋状の凹部121,221が位置している。このような2本の螺旋管100,200の接続に用いる筒状コア40の凸条46には、図示のように螺旋状の凸部46aの両側に螺旋状の凹部46bを1周部分に亘って形成したものを採用することができる。また、図13に側面図で示した事例では、一方側の螺旋管100ではその管端に螺旋状の凹部121が位置しているのに対し、他方側の螺旋管200ではその管端に螺旋状の凸部222が位置している。このような2本の螺旋管100,200の接続に用いる筒状コア40の凸条46には、図示のように螺旋状の凸部46aの片側に螺旋状の凹部46bを1周部分に亘って形成したものを採用することができる。
図12及び図13のいずれの事例においても、筒状コア40の凸条46は、2つの管端部110,210の突合せ箇所で、それらの管端部110,210の相互間の隙間を埋めることに役立ち、しかも、両方の螺旋管100,200の凸部122,222同士及び凹部121,221同士を螺旋状に連続させることに役立つ。そして、2つの管端部110,210の突合せ箇所で凸部122,222同士及び凹部121,221同士が螺旋状に連続していると、図2に示した筒状のパッキン10を、管端部110,210同士の突合せ箇所で無理なく軸方向に移動させることができるために、そのパッキン10の位置合わせを容易に行うことができるようになる。
なお、図1〜図13及び図14、図15では、説明の便宜上、同一又は相応する要素については同一の符合を付してある。