JP2013119561A - ポリオレフィン樹脂組成物ペレットおよびその製造方法、ならびにそれを成形してなる成形体 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂組成物ペレットおよびその製造方法、ならびにそれを成形してなる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】機械物性が向上したビニロン繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、ビニロン繊維10〜100質量部を含有させたポリオレフィン樹脂組成物ペレットであって、含有されるビニロン繊維がビニル変性エポキシ樹脂またはテルペン系樹脂によって表面処理されていることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物ペレットおよびポリオレフィン樹脂組成物ペレットを製造するに際し、ビニル変性エポキシ樹脂またはテルペン系樹脂によって表面処理されたビニロン繊維を構成繊維とするビニロン繊維束を、溶融状態にあるポリオレフィン樹脂内を通過させ、ビニロン繊維束を開繊させながら該ポリオレフィン樹脂を含浸させ、次いで冷却し裁断することを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物ペレットの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、機械物性に優れたポリオレフィン樹脂組成物ペレット、およびその製造方法、ならびにそれを成形してなる成形体に関する。
従来から、ポリオレフィン樹脂の引張強度や曲げ強度や曲げ弾性率等の機械物性を向上させる手段として、フィラーや繊維等を配合することが知られている。環境対応への要求の高まりにともない、充填剤含有樹脂製品の軽量化が強く求められており、充填剤として有機繊維を配合し、ポリオレフィン樹脂の機械物性を向上させる試みが行われている。近年、機械物性向上の要求は、自動車用部品や自転車用部品等を中心に、ますます高くなってきている。
しかし、一般に、ポリオレフィン樹脂は、有機繊維との界面接着性に乏しく、そのままでは有機繊維を配合することによる補強効果を得難いことから、有機繊維を表面処理することによって、該有機繊維とポリオレフィン樹脂との界面強度を向上させて、ポリオレフィン樹脂組成物の機械物性を向上させる試みが種々行われている。
例えば、特許文献1には、接着助剤として酸変性ポリオレフィン樹脂を付与したビニロン繊維をポリオレフィン系樹脂に配合することにより、ポリオレフィン樹脂組成物の引張強度や曲げ強度や衝撃値が向上することが開示されている。しかしながら、特許文献1のポリオレフィン系樹脂を、自動車用部品、自転車用部品等の用途に用いるには、引張強度や曲げ強度が不十分で、使用方法が限定されるという問題があった。
特開2007−160760号公報
本発明の目的は、機械物性が向上したビニロン繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、かかる従来技術に鑑み、ビニル変性エポキシ樹脂またはテルペン系樹脂で表面処理したビニロン繊維をポリオレフィン樹脂に特定の割合で配合することで、上記目的を達成することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、ビニロン繊維10〜100質量部を含有させたポリオレフィン樹脂組成物ペレットであって、含有されるビニロン繊維がビニル変性エポキシ樹脂またはテルペン系樹脂によって表面処理されていることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物ペレット。
(2)(1)に記載のポリオレフィン樹脂組成物ペレットを製造するに際し、ビニル変性エポキシ樹脂またはテルペン系樹脂によって表面処理されたビニロン繊維を構成繊維とするビニロン繊維束を、溶融状態にあるポリオレフィン樹脂内を通過させ、ビニロン繊維束を開繊させながら該ポリオレフィン樹脂を含浸させ、次いで冷却し裁断することを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物ペレットの製造方法。
(3)(1)に記載のポリオレフィン樹脂組成物ペレットを成形してなる成形体。
本発明によれば、機械物性に優れたポリオレフィン樹脂組成物ペレットを提供することができる。さらに、本発明のポリオレフィン樹脂組成物ペレットは、ビニロン繊維以外の強化材を用いた場合と比較して、密度が低く軽量である。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物ペレットの製造に用いる含浸装置の例を示す概略図である。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物ペレット(以下、単に「樹脂組成物ペレット」または「ペレット」と称する場合がある。)は、ポリオレフィン樹脂に対し、ビニル変性エポキシ樹脂またはテルペン系樹脂(以下、併せて「特定被覆用樹脂」と称する場合がある。)によって、表面処理されたビニロン繊維が含有されたものである。
本発明においては、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、ビニロン繊維10〜100質量部が含有されることが必要であり、10〜42質量部が含有されることが好ましい。ビニロン繊維の含有量が、10質量部未満であると、得られる成形体の機械特性の向上効果に乏しいので好ましくない。一方、100質量部を超えると、ポリオレフィン樹脂の比率が少ないため、ビニロン繊維全体に対してポリオレフィン樹脂が含浸することができず、組成物ペレット自体を得ることができない場合がある。
ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、ホモポリマー、コポリマーいずれでもよい。コポリマーであると、耐衝撃強度をより向上させることができるので好ましい。ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、2−ブテン、ペンテン、ヘキセン、マレイン酸が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(以下、MFRという。)は、230℃、2160g荷重下における測定値が5g/10分以上であることが好ましく、60g/10分以上であることがより好ましい。MFRが5g/10分未満であると、溶融されたポリオレフィン樹脂の流動性が乏しくなるため、ビニロン繊維へポリオレフィン樹脂を十分に含浸することができない場合がある。MFRを60g/10分以上とすることで、 ポリオレフィン樹脂をビニロン繊維に容易に含浸させることができる。
本発明において、ビニロン繊維は、特定被覆用樹脂で表面処理されていることが必要である。ビニロン繊維が特定被覆用樹脂によって表面処理されていない場合、ビニロン繊維がポリオレフィン樹脂に十分に親和せず、得られる成形体の機械物性を向上させることができないので好ましくない。
ビニロン繊維の平均繊維長は、1〜15mmとすることが好ましく、7〜13mmとすることがより好ましい。ビニロン繊維の繊維径は、3〜200μmとすることが好ましく、15〜30μmとすることがより好ましい。ビニロン繊維のフィラメント本数は、200〜10000本とすることが好ましく、275〜6000本とすることがより好ましく、350〜2000本とすることがさらに好ましい。
ビニロン繊維の引張強度は、7〜20cN/dtexとすることが好ましく、8〜18cN/dtexとすることがより好ましい。ビニロン繊維の引張弾性率は、160cN/dtex以上とすることが好ましく、180cN/dtex以上とすることがより好ましい。ビニロン繊維の引張強度を7〜20cN/dtex、引張弾性率を160cN/dtex以上とすることで、得られる成形体の機械物性を向上させることができる。
ビニロン繊維の製造方法としては、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。第1の方法としては、ポリビニルアルコールをジメチルスルホキシド等の有機溶媒に溶解した紡糸原液を、ノズルからメタノール中に紡糸する方法である。メタノール中に紡糸した際、紡糸原液中のポリビニルアルコールは瞬時にゲル状態となり、紡糸原液に用いた有機溶媒はゲル全体から均一に抜けていく。その後、紡糸された繊維は、湿熱延伸、洗浄、乾熱延伸の工程に付される。湿熱延伸時の延伸倍率は5倍以上、乾熱延伸時の延伸倍率は4倍以上、総延伸倍率は20倍以上とすることが好ましい。第2の方法としては、ポリビニルアルコール水溶液100質量部にほう酸を0.5〜5質量部加えた紡糸原液を、水酸化ナトリウムを溶解した凝固浴中へ紡糸する方法である。紡糸した繊維は、さらに中和、湿熱延伸、水洗、乾燥、乾熱延伸の工程に付される。湿熱工程時の延伸倍率は5倍以上、乾熱延伸時の延伸倍率は4倍以上、総延伸倍率は20倍以上とすることが好ましい。
本発明においては、ビニロン繊維を特定被覆用樹脂によって表面処理することにより、ペレット中のビニロン繊維の分散性の向上および/またはビニロン繊維のポリオレフィン樹脂への接着性向上によって、ビニロン繊維とポリオレフィン樹脂との界面強度が向上し、その結果、得られる成形体の機械物性を向上させることができる。また、ビニロン繊維の表面を処理することにより、ビニロン繊維自体が細かく折れたり砕けたりすることを抑制することができる。
本発明において、特定被覆用樹脂として用いられるビニル変性エポキシ樹脂とは、ビニル基を有するエポキシ樹脂のことである。
エポキシ樹脂とは、芳香族系エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、それらの混合系いずれでもよい。芳香族系エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられ、脂肪族系エポキシ樹脂としては、例えば、多価アルコールを反応させたエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、あらかじめ脂肪酸と反応させておいてもよい。脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸等が挙げられる。
ビニル変性エポキシ樹脂は、例えば、エポキシ樹脂と、グリシジル基含有ビニルモノマーと、アミン類とを反応させ、さらにカルボキシル基含有ビニルモノマーを共重合したり、または、エポキシ樹脂とアミン類を反応させ、さらに、カルボキシル基含有ビニルモノマーをグラフト重合することにより得ることができる。グリシジル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテルが挙げられる。また、アミン類としては、例えば、アルカノールアミン類、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、脂環族アミン類が挙げられる。そして、カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が挙げられる。カルボキシル基含有ビニルモノマーには、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル、ビニルスチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を共重合成分として含有させてもよい。ビニル変性エポキシ樹脂中のカルボキシル基含有ビニルモノマーの含有量は、10〜20質量%とすることが好ましい。
ビニル変性エポキシ樹脂には、高分子量化し塗膜の加工性を向上させるため、2価以上の有機酸、アルコール、イソシアネート化合物を加えてもよい。有機酸としては、例えば、ダイマー酸、トリメリット酸が挙げられ、アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられ、イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
ビニル変性エポキシ樹脂は、水性分散体としてから用いることが好ましい。水性分散体は、カルボキシル基を導入したビニル変性エポキシ樹脂を用いて、そのカルボキシル基を塩基性化合物により中和することにより得ることができる。塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられるが、アンモニア、アミンがより好ましい。水性分散体を得る際、水性分散体の安定性を向上させるため、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールt−ブチルエーテル等の有機溶剤を混合してもよい。
ビニル変性エポキシ樹脂の水性分散体としては、例えば、「モデピクス301」、「モデピクス302」、「モデピクス303」および「モデピクス304」(以上、荒川化学工業社製)が挙げられる。
本発明において、特定被覆用樹脂として用いられるテルペン系樹脂とは、テルペンモノマーを重合してなる重合体であるか、または、テルペンモノマーと芳香族モノマーとを共重合して得られる重合体である。
テルペンモノマーとしては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類等の単環式モノテルペンが挙げられる。中でも、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネンは、ポリオレフィン樹脂とビニロン繊維との親和性が顕著に向上し、ビニロン繊維の分散性が向上するため好ましい。一方、芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンが挙げられる。テルペンモノマーや芳香族モノマーは、水素化処理したものであってもよい。
テルペン系樹脂としては、例えば、「タマノル803L」、「タマノル901」(以上、荒川化学工業社製)、「YSレジンPX」シリーズ、「クリアロン」シリーズ、「YSポリスター」シリーズ、「マイティエース」シリーズ(以上、ヤスハラケミカル社製)が挙げられる。
テルペン系樹脂としては、ビニル変性エポキシ樹脂との場合と同様、水性分散体としてから用いることが好ましい。テルペン系樹脂の水性分散体としては、例えば、「タマノルE−100」、「タマノルE−200NT」、(以上、荒川化学工業社製)、「ナノレットTH−130」(以上、ヤスハラケミカル社製)が挙げられる。
ビニロン繊維表面に対する特定被覆用樹脂の付着量は、ビニロン繊維100質量部あたり、3.0質量部以下(固形分)とすることが好ましい。3.0質量部を超えると、表面処理による補強効果が認められない場合がある。すなわち、引張強度の向上が認められないばかりか、引張弾性率の低下が生じる場合がある。また、付着量を3.0質量部以下とすることで、表面処理剤の余剰分同士が固まることなく、ビニロン繊維の全周を効率よく表面処理することができる。付着量の下限は特に定めるものではないが、ビニロン繊維全周が処理されていればよく、0.3質量部以上とすることが好ましい。
ビニロン繊維に特定被覆用樹脂を付着させる方法としては、例えば、スプレー法、コーティング法、ディップ法の公知の方法が挙げられる。中でも、ディップ法で作製することが好ましい。
ディップ法とは、表面処理剤の水分散液にビニロン繊維を浸漬させた後、水分をディップで絞り出し、さらに残った水分を130℃の条件で乾燥させることにより、表面処理されたビニロン繊維(以下、表面処理されたビニロン繊維を「処理済ビニロン繊維」と称する場合があり、処理済ビニロン繊維から構成される繊維束を「処理済ビニロン繊維束」と称する場合がある。)を得る方法である。乾燥は、糸を連続して巻取る時に、熱風乾燥機の中を通過させながら行うことが好ましい。
本発明において、ポリオレフィン樹脂組成物ペレットは、チョップドストランド法またはロングファイバー法によって作製することができる。
チョップドストランド法とは、処理済ビニロン繊維束を所定の長さに裁断することで、チョップドストランドとし、それらをポリオレフィン樹脂と混合して溶融混練する方法である。
チョップドストランドの長さは、3〜15mmとすることが好ましく、4〜10mmとすることがより好ましい。
チョップドストランドをポリオレフィン樹脂と混合して溶融混練する方法としては、押出機を用いて溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練温度は、200〜230℃とすることが好ましい。溶融混練された樹脂組成物をストランド状に押出し、冷却したのち、ストランドカッターによりカッティングすることで、樹脂組成物ペレットを得ることができる。
ロングファイバー法とは、処理済ビニロン繊維束を溶融状態にあるポリオレフィン樹脂内を通過させて、ビニロン繊維束を開繊させながら該ポリオレフィン樹脂を含浸させ、次いで冷却し裁断する方法である。
ポリオレフィン樹脂と処理済ビニロン繊維束の比率は、処理済ビニロン繊維束の引き取り速度とポリオレフィン樹脂の吐出量で調整することができる。ビニロン繊維束は、一定速度で引きながら溶融したポリオレフィン樹脂を通過させることが好ましい。一定速度で引き取ると、ポリオレフィン樹脂とビニロン繊維の比率を制御しやすい。
処理済ビニロン繊維束は、ビニロン繊維束を開繊させながら、通過させることが好ましい。このような方法としては特に限定されないが、溶融したポリオレフィン樹脂を、引き抜き方向とは平行でない部分を有する非直線構造を通過させることが好ましい。非直線構造としては、例えば、蛇行構造、螺旋構造、ジグザグ構造、階段構造が挙げられ、中でも、蛇行構造が好ましい。非直線構造の貫通部を通過させることによって、ビニロン繊維束を開繊させながら、さらに、ビニロン繊維束にしごきを与え、ビニロン繊維束中に含有する空気の排出を促進させ、溶融したポリオレフィン樹脂を効率よく含浸させることができる。
ポリオレフィン樹脂の溶融温度は、200〜230℃であることが好ましい。溶融温度をこの範囲とすることで、適度な溶融粘度とすることができる。溶融温度が230℃を超えると、ビニロン繊維の融点である240℃に近づくため、樹脂組成物ペレットの製造中に、ビニロン繊維が溶融または切断され、処理済ビニロン繊維束を含浸ダイに通過させることができなくなる場合がある。
ロングファイバー法においては、ポリオレフィン樹脂と処理済ビニロン繊維とを含有する樹脂組成物をストランド状に押出した後、冷却、裁断の工程を経て、ペレット状とする。裁断機としては、ストランドカッター、ロータリーカッター、スライドカット式カッターが好ましく、ロータリーカッター、スライドカット式カッターがより好ましい。ロータリーカッター、スライドカット式カッターを用いて裁断することでポリオレフィン樹脂が処理済ビニロン繊維束から剥がれ落ちることを防止できる。
ロングファイバー法においては、前記のような製造プロセスに由来して、処理済ビニロン繊維の長さが、樹脂組成物ペレットの長さの90〜110%になる。すなわち、裁断後のペレットの長さとペレット中の処理済ビニロン繊維の平均繊維長は、ほぼ同じとなる。また、製造プロセスに由来して、処理済ビニロン繊維の長さ方向と、ペレットの長さ方向とが実質的に平行となる。ペレットの長さは、3mm〜30mmとすることが好ましく、10〜30mmとすることがより好ましい。
ロングファイバー法に用いる含浸装置の例を図1に示す。含浸装置は、芯鞘タイプの含浸ダイ3、およびアウトダイ5(非直線構造を有する貫通部)が接合部品6により連結されているものである。処理済ビニロン繊維束1が、含浸ダイ3内の空洞部8を通って、繊維束導入口4に導入される。それと同時に、溶融樹脂導入口2(取付部品7により溶融押出混練機の吐出側と連結されている)から吐出される溶融状態のポリオレフィン樹脂を流入させて、処理済ビニロン繊維束1をポリオレフィン樹脂に接触させる。そして、アウトダイ5(非直線構造を有する貫通部)に通すことにより、処理済ビニロン繊維束1を、移動中心軸に対し徐々に偏心させ蛇行させ、ストランド状のポリオレフィン樹脂と処理済ビニロン繊維とを含有する樹脂組成物を作製することができる。
本発明の樹脂組成物ペレットには、本発明の特性を損なわない範囲において、他の熱可塑性樹脂、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤を添加してもよい。これらは、通常、ポリオレフィン樹脂とビニロン繊維との溶融混練時、またはビニロン繊維へのポリオレフィン樹脂の含浸時に、添加することができる
以上の方法にて得られた組成物を、射出成形、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形等の、通常公知の溶融成形法を用い、所望の形状に成形することにより、本発明の成形体とすることができる。
本発明の成形体は、自動車用部品、自転車用部品、家電製品、一般産業資材に用いることができる。自動車部品としては、例えば、ダッシュボード、インテークマニホールド、ベースプレート、スイッチ類、サンバイザー、ラジエーター、コンソールボックス、キャニスタ、フロントフェンダーが挙げられ、自転車用部品としては、例えば、ブレーキ類、レバー類、ライトカバー、ホイールカバー、サドルカバー、スタンドが挙げられ、家電製品としては、例えば、リモコンの筐体、スイッチ類、携帯電話の筐体が挙げられ、一般産業資材としては、例えば、ハンガー、門柱の筐体、内壁のカバー、防音壁、化粧板、浴室の蓋が挙げられる。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)ビニロン繊維束表面への表面処理剤の付着量
ビニロン繊維束を長さ100mmで切り出し、ビニロン繊維1本あたりの質量を5点測定し、その平均値をWgとした。一方、表面処理剤を用いて表面処理を行った後のビニロン繊維を、熱風乾燥機中110℃で2時間乾燥させた。乾燥後、該ビニロン繊維をデシケーターに移し室温まで冷却し、表面処理後の質量を5点測定し、その平均値をWgとした。表面処理剤の付着量(質量%)は次式で求めた。
表面処理剤の付着量(質量%)=[(W−W)/W]×100
(2)平均ペレット長
得られたペレットのペレット長を、ノギスを用いて測定した。ポリオレフィン樹脂組成物ペレット1個につき、ペレット長を1点測定し、ポリオレフィン樹脂組成物ペレット10個の値の平均値を、平均ペレット長とした。
(3)密度
得られた成形片を用いて、電子比重計(京都電子工業社製)により、温度20℃で測定した。
(4)引張強度
得られた成形片を用いて、ISO527に従って測定した。
(5)曲げ強度、曲げ弾性率
得られた成形片を用いて、ISO178に従って測定した。
(6)成形片中の繊維状強化材の繊維長
得られた成形品を裁断し、それを試薬染料(ネオカルミン)中にて、80℃×10分間ボイル処理を施し、含有される繊維を染色した。裁断面に露出したビニロン繊維の長さを、マイクロスコープを用いて100点測定し、その平均長さを求めた。
(7)MFR
降下式フローテスター(島津製作所製)を用い、所定荷重、所定温度でのMFRを測定した。この際使用したオリフィスは、直径1mm×長さ10mmのものである。
実施例および比較例にて用いた使用材料を以下に示す。
(1)ポリオレフィン樹脂
・(A−1)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、射出成形用一般グレード「ノバテックPP MA3H」、ホモタイプ)、MFR:10g/10分(230℃、2160g荷重下)
・(A−2)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、射出成形用耐衝撃グレード「ノバテックPP BC06C」、ブロックタイプ)、MFR:60g/10分(230℃、2160g荷重下)
・(A−3)
ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、射出成形用「ノバテックHD HJ490」、高密度ポリエチレン)、MFR:20g/10分(190℃、2160g荷重下)
(2)ビニロン繊維束
・(B−1)
平均繊維径26μmのビニロン繊維フィラメント375本からなるビニロン繊維束(ユニチカ社製、「2500T−375F−HM1」)
・ (B−2)
平均繊維径18μmのビニロン繊維フィラメント750本からなるビニロン繊維束(ユニチカ社製、「2000T−750F−HM1」)
(3)表面処理剤
・(C−1)
ビニル変性エポキシ樹脂の水性分散体(荒川化学工業社製、「モデピクス302」、不揮発分33質量%、標準品)を、不揮発分が10質量%となるように希釈した水性分散体
・(C−2)
ビニル変性エポキシ樹脂の水性分散体(荒川化学工業社製、「モデピクス301」、不揮発分33質量%、高Tg品)を、不揮発分が10質量%となるように希釈した水性分散体
・(C−3)
テルペン系樹脂の水性分散体(ヤスハラケミカル社製、「ナノレットTH−130」、不揮発分20質量%)を、不揮発分が10質量%となるように希釈した水性分散体
・(C−4)
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体(三井化学社製、「ケミパールV100」、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂水性分散体、酢酸ビニル含有量25質量%、不揮発分40質量%)を、不揮発分が10質量%となるように希釈した水性分散体。
(4)処理済ビニロン繊維束
・(D−1)
(C−1)に、ビニロン繊維束(B−1)を浸漬し、ビニロン繊維束100質量部あたり(C−1)の固形分濃度が0.3質量部となるように(C−1)を付着させた後、130℃で乾燥させながら巻き取り、処理済ビニロン繊維束(D−1)を得た。
・(D−2)〜(D−10)
表1に示したように、ビニロン繊維束の種類、表面処理剤の種類および付着量を変更した以外は、(D−1)を製造する際と同様にして、処理済ビニロン繊維束を得た。
処理済ビニロン繊維束の組成および表面処理剤の繊維束への付着量を表1に示す。
実施例1
二軸押出機(池貝製作所製、「PCM−30」)の先端に、図1の含浸ダイ(アウトダイ5に蛇行構造を有する。)を取り付け、長繊維樹脂含浸装置とした。ポリオレフィン樹脂(A−1)を長繊維樹脂含浸装置の主ホッパーに供給し、230℃で溶融した。含浸ダイに貫通させてあった処理済ビニロン繊維束(D−1)と、溶融した(Aー1)とを含浸ダイ内で接触させた。100質量部の(A−1)に対して、(D−1)が25質量部になるように調整し、押出し、2個の回転するロールの間を通して引き取った。その後、ロータリーカッターで裁断し、ペレット長が10mmであるポリオレフィン樹脂組成物ペレットを得た。
得られたポリオレフィン樹脂組成物ペレットを十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製、「EC−100型」)を用いて射出成形をおこない、縦8mm×横10mm×厚み4mmの成形片を作製した。シリンダ温度は200℃、金型温度は50℃、射出時間は15秒、冷却時間は15秒であった。
実施例2〜4、7〜9、11〜16、18〜21、比較例1〜7
表2〜4に示すように樹脂組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリオレフィン樹脂組成物ペレットおよび成形片を得た。
実施例5、6
得られるポリオレフィン樹脂組成物ペレットの長さを、それぞれ3mmおよび30mmに調整した以外は、実施例1と同様にして、ポリオレフィン樹脂組成物ペレットおよび成形片を得た。
実施例10
二軸押出機(東芝機械社製:TEM26SS)の主ホッパーからポリプロピレン樹脂(A−2)100質量部、サイドフィーダーから処理済ビニロン繊維束(D−3)を長さ4mmに裁断したチョップドストランド25質量部を供給し、押出温度230℃で押出した後、ストランドカッターにより裁断し、ポリオレフィン樹脂組成物ペレットを得た。そして、実施例1と同様の操作を行って成形片を得た。
実施例17
処理済ビニロン繊維束を(D−7)に変更した以外は、実施例10と同様にして、ポリオレフィン樹脂組成物ペレットおよび成形片を得た。
比較例8
(D−2)の含有量を、(A−2)100質量部に対して120質量部とした以外は、実施例3と同様にして、ポリオレフィン樹脂組成物ペレットを得ようとした。しかしながら、ポリオレフィン樹脂の比率が少なく、ビニロン繊維全体に対してポリオレフィン樹脂が含浸することができなかったためペレットを得ることができなかった。
実施例および比較例で得られた樹脂組成物の特性値を、表2〜4に示す。
実施例1〜9、11〜16、18〜21は、特定被覆用樹脂により表面処理されたビニロン繊維束を、特定の割合で含有させたものである。実施例1と比較例4、実施例2、4〜6、9、11、12、14、16、20、21と比較例2、実施例3、18と比較例1、実施例7と比較例5、実施例8、19と比較例6、実施例13、15と比較例3を比較すると、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率が向上していることがわかる。
実施例10および17は、処理済ビニロン繊維としてチョップドストランドを用いたため、実施例9および16と比較すると、やや機械物性に劣っていた。
比較例1〜6は、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を用いて表面処理したビニロン繊維束を用いたものである。そのため、実施例と比較すると、補強効率が低く、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率が劣っていた。
比較例7は、ポリオレフィン樹脂に対する処理済ビニロン繊維の含有割合が少なかったため、補強効率が低いものとなった。
1 処理済ビニロン繊維束
2 溶融樹脂流入口
3 含浸ダイ
4 繊維束導入口
5 アウトダイ(蛇行貫通部)
6 接合部品
7 取付部分
8 空洞部
9 溶融樹脂の流れ

Claims (3)

  1. ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、ビニロン繊維10〜100質量部を含有させたポリオレフィン樹脂組成物ペレットであって、含有されるビニロン繊維がビニル変性エポキシ樹脂またはテルペン系樹脂によって表面処理されていることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物ペレット。
  2. 請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物ペレットを製造するに際し、ビニル変性エポキシ樹脂またはテルペン系樹脂によって表面処理されたビニロン繊維を構成繊維とするビニロン繊維束を、溶融状態にあるポリオレフィン樹脂内を通過させ、ビニロン繊維束を開繊させながら該ポリオレフィン樹脂を含浸させ、次いで冷却し裁断することを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物ペレットの製造方法。
  3. 請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物ペレットを成形してなる成形体。
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