JP2013118517A - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】両面印刷された記録媒体の各面において、裏写りの影響を低減する。
【解決手段】記録媒体の各面における画像形成条件と画像データから、記録媒体の第1面および第2面に形成された画像が互いに重なる領域を補正範囲として取得する(S1003)。そして該補正範囲内において、第1面の画像データにおける画素値と、これに重なる位置にある第2面の画像データの画素値を取得する(S1004,S1005)。そして記録媒体の透過特性に応じて、これら第1および第2面の画素を、それぞれの濃度が低減されるように補正する(S1006)。
【選択図】 図10

Description

本発明は、記録媒体に両面印刷される画像データを補正する画像処理装置および画像処理方法に関する。
近年の複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、記録媒体の両面にそれぞれ異なる画像を形成する、所謂両面印刷の機能が搭載されていることが通常である。しかしながら、透過率の高い記録媒体に対して両面印刷を行った場合、裏面に印刷した画像が表面に透過して見えてしまう、所謂裏写りが生じることがある。特に、表面画像がハイライト(低濃度)の画像である場合には、裏写りにより表面画像が見づらくなってしまうという問題があった。
このような両面印刷における裏写りの問題に関して、裏面画像が表面へ透過する透過量を予測し、表面から見た時の裏写りの影響が少なくなるように、予め表面画像データを補正する技術が開示されている。例えば、裏面の画像データの画像を表裏反転させた画像データに、記録媒体の透過率に相当する係数を掛け合わせた透過画像データを、表面の画像データから減算する技術がある(例えば、特許文献1参照)。また、裏面画像の表面への透過量と表面画像の明度から、表面画像の明度の補正量を求める技術がある(例えば、特許文献2参照)。また、電子写真方式の画像形成装置において、両面印刷時に最初に記録された表面の色材が、続いて記録される裏面の定着エネルギの影響を受けて濃度が上昇し、表面と裏面で同じ画像を入力しても色味が異なってしまうことがある。この課題を解決するため、裏面の定着時における画像濃度の上昇を考慮して、表面と裏面とで異なる画像処理を行うことで、表裏のどちら側に印刷した場合にも色味が同じになるように補正する技術がある(例えば、特許文献3参照)。
特開2010-118808号公報 特開2005-175650号公報 特開平5-330148号公報
上記特許文献1及び2に記載された裏写り補正に関する技術は、両面印刷された原稿を表側から見た時に、裏面画像の裏写りによる影響が低減されるように表面画像データを補正するものである。そのため、原稿の裏面側から見た時の裏写りの影響を低減することはできない。なお、特許文献2には表面画像に対する補正処理と同様の補正処理を裏面画像にも適用できるとの記載がある。しかしながら該技術における表面画像の補正値は、裏面画像が表面へ透過する透過量から算出したものであるため、裏面画像を同様の処理によって補正してしまうと、表面側の補正が合わなくなるという問題がおこる。
上記問題に対応するために、画像面によって異なる処理を行うことが考えられる。特許文献3は画像面によって異なる画像処理を行う技術を示すものであるが、該技術は同じ画像を表裏のどちら側に印刷した場合でも同じ色味となるように補正するものであり、両面印刷における裏写りの問題を解決するものではない。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、記録媒体の両面に形成される画像データについて、裏写りの影響を抑制する画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための一手段として、本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。
すなわち、記録媒体の透過特性と、記録媒体の両面である第1面および第2面それぞれにおける画像形成条件を取得する画像形成条件取得手段と、前記第1面に形成する第1面画像データと、前記第2面に形成する第2面画像データを取得する画像情報取得手段と、前記記録媒体の第1面および第2面のそれぞれの画像形成条件と、前記第1面画像データおよび前記第2面画像データから、前記記録媒体の第1面および第2面における画像の形成領域が重複する領域を補正範囲として取得する補正範囲取得手段と、前記補正範囲内において、前記第1面画像データにおける第1画素の値と、前記第2面画像データにおいて該第1画素に対応する位置にある第2画素の値を取得する画素値取得手段と、前記透過特性に応じて、前記第1および第2画素の濃度を低減するように補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
本発明は、記録媒体の両面に形成される画像データについて、裏写りの影響を抑制することができる。
本実施形態における画像形成装置の構成を示すブロック図、 本実施形態における入力操作部の表示例を示す図、 本実施形態における画像形成部の構成例を示す図、 両面印刷を行う画像データ例を示す図、 両面画像データ補正をしない場合における、両面印刷原稿の見えの例を示す図、 本実施形態における両面画像データ補正処理を示すフローチャート、 記録媒体サイズ、画像解像度、画像サイズの関係を説明する図、 両面の画像の記録媒体上の配置例を示す図、 両面画像データ補正時の、各面の画像データの参照位置を説明する図、 両面画像データ補正を行った画像データ例を示す図、 両面画像データ補正を行った場合における、両面印刷原稿の見えの例を示す図、 両面画像データ補正値の取得処理を示すフローチャート、 補正値算出用画像データ例を示す図、 補正値算出用原稿の見えの例を示す図、 補正値算出用原稿の画像明度の例を示す図、 両面画像データの補正値テーブル例を示す図、 第2実施形態における画像形成装置の構成を示すブロック図、である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態では、電子写真記録方式を用いたプリンタを例として説明するが、他の記録方式であっても記録媒体の両面に画像を形成可能なプリンタであれば本発明を適用可能である。また、プリンタを含む装置であれば同様に本発明を適用可能である。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に関る本発明を限定するものではなく、また、本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
<第1実施形態>
本実施形態では、記録媒体の両面に形成される画像データに対し、各面における裏写りの影響を同時に抑制するように補正を施す。すなわち、記録媒体の透過特性と、該記録媒体の第1面および第2面それぞれにおける画像形成条件を取得する(画像形成条件取得処理)。また、記録媒体の第1面に形成する第1面画像データと、第2面に形成する第2面画像データを取得する(画像情報取得処理)。そして、記録媒体の第1面および第2面のそれぞれの画像形成条件と、第1面画像データおよび第2面画像データから、記録媒体の第1面および第2面における画像の形成領域が重複する領域を補正範囲として取得する(補正範囲取得処理)。そして、該補正範囲内において、第1面画像データにおける第1画素の値と、第2面画像データにおいて該第1画素に対応する位置にある第2画素の値を取得する(画素値取得処理)。そして、記録媒体の透過特性に応じて、第1および第2画素の濃度を低減するように補正する(補正処理)。このように補正された第1および第2画素の値を用いて、記録媒体の第1面および第2面のそれぞれに画像を形成することで、両面における裏写りの影響を同時に抑制することができる。
●装置構成
図1は、本実施形態における画像形成装置のブロック構成を示し、1は画像処理部、2はプリント部であって、これらはプリンタインタフェース又は回路によって接続されている。なお、画像処理部1は例えば一般的なパーソナルコンピュータにインストールされたプリンタドライバによって実施される。その場合、以下に説明する画像処理部1の各部は、コンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現されることになる。また、別の構成としては、例えば、プリント部2が画像処理部1を含む構成としても良い。
画像処理部1において、画像入力部100では、画像データとそれに付帯する画像サイズ、解像度等の画像情報、及び両面印刷の実行の有無を示す印刷情報が入力される。
両面印刷判定部101では、上記入力された印刷情報から両面印刷の実行の有無を判定し、該判定結果を、後述するプリント部2内の制御部202に通知する。両面印刷の実行無しの場合、画像処理部1は通常の画像処理を行い、プリント部2では片面印刷が行われるように制御される。一方、両面印刷の実行有りの場合、画像処理部1は後述する両面画像補正処理を行い、プリント部2では両面印刷が行われるように制御される。以下、両面印刷を行う場合の構成及び処理について説明する。
前段処理部102では、入力画像データの色空間とプリント部2で再現可能な色空間の差を補正するための色空間変換や、色材セーブモードで印刷を行う場合の低濃度への変換等、所定の処理が行われる。
前段処理部102において所定の変換処理がなされた表面用の画像データ(以下、第1面画像データ)は、第1面画像バッファ103に格納される。ここで格納される画像データは例えば、RGB256階調である。同様に、前段処理部102において所定の変換処理がなされた裏面用の画像データ(以下、第2面画像データ)は、第2面画像バッファ104に格納される。
両面画像データ補正部105は、第1面画像バッファ103および第2面画像バッファ104にそれぞれ格納された、第1面画像データおよび第2面画像データを、補正値記憶部106に保持された補正値に基づいて補正する。裏写りによる画像濃度の変化量は、裏面の画像濃度や記録媒体の透過特性だけでなく、観察面の画像濃度によっても異なる。そのため、補正値記憶部106には第1面及び第2面の画像データと、記録媒体の透過特性を示す記録媒体指数に応じた、第1面及び第2面の画像データの補正値が予め保持されている。なお、補正値記憶部106に保持される補正値の設定方法の詳細については後述する。両面画像データ補正部105では補正値記憶部106を参照して、両面の画像濃度と記録媒体の透過特性に応じて画像濃度の補正値を算出することで、裏写りによる観察面の濃度変化を低減することができる。また、第1面及び第2面の画像データのそれぞれを補正することにより、相互に裏写りしあう濃度変化に対応した補正を行うことができる。両面画像データ補正部105における補正処理の詳細については後述する。
色分解処理部107は、補正後のRGBの画像データを、プリント部2が利用するトナー色に対応した、例えばC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロ),K(ブラック)等の複数色に色分解画像データに変換する。この色分解処理においては、補正後のRGB色空間の画像データを、デバイスに非依存である色空間(例えばCIEL*a*b*色空間やCIEXYZ色空間)に一旦変換した後に、CMYKデータに変換するといった色空間の変換処理方法を適用する。変換されたCMYKデータは、例えば256階調の階調値を有している。本実施形態では、色分解処理後の各画素データを256階調として扱う例を示すが、それ以外の階調数への変換を行っても構わない。
量子化処理部108は、ドットのオン/オフのみで画像を形成するプリント部2において多階調データの階調値を擬似的に表現するためのハーフトーン処理を、各色の画像データに対して実行する。これにより、色分解処理部107で得られたCMYK各色256階調のデータは、CMYK各色のオン/オフを示す2値データとなる。本実施形態におけるハーフトーン処理の手法としては、周知のディザ法を用いるとするが、誤差拡散法等、他の2値化手法を用いても構わない。
量子化処理部108で生成された記録媒体の第1面及び第2面用の2値画像データは、プリンタインタフェース又は回路を介してプリント部2へ順次出力される。
プリント部2では、ユーザによるプリント条件の入力を受け付ける入力操作部200が備えられている。ここで図2に、入力操作部200における表示例を示す。図2に示す印刷設定画面は、ユーザによる各種印刷設定を行う画面である。自動検知情報設定部2100では、記録媒体の透過特性に相当する記録媒体指数の自動検知を行うか否かを示す自動検知情報が設定される。自動検知情報がオフ設定である場合に、記録媒体指数設定部2101で記録媒体指数が設定可能となる。すなわち、、自動検知情報がオフ設定である場合に、記録媒体指数設定部2101でユーザにより設定された記録媒体指数が検知されるように制御される。なお、自動検知情報がオン設定である場合には、記録媒体指数検知センサ203により記録媒体指数が後述するように自動検知される。なお、本実施形態では記録媒体指数を媒体の透過率とする例を示すが、コート紙や普通紙等の媒体の種類や、坪量、厚み等の値、またはその複数に関する情報を記録媒体指数としても良い。
入力操作部200はさらに、記録位置設定部2102、とじ方向設定部2103、記録媒体サイズ設定部2104を有しており、ユーザが各条件を設定することができる。また、確定ボタン2105とキャンセルボタン2106を有しており、確定ボタン2105が押下されると、設定されたプリント条件がプリント条件記憶部201に記憶される。一方、キャンセルボタン2106が押下されると設定を保存せずに入力を終了する。なお、ここではプリント部2における入力操作部200における入力例を示したが、同様の内容を画像処理部1におけるプリンタドライバで入力可能としても良い。
プリント部2における制御部202は、両面印刷判定部101から両面印刷の実行有りが通知されると、プリント条件記憶部201に記憶されている自動検知情報を参照する。自動検知情報がオフ設定である場合は、プリント条件記憶部201に記憶された記録媒体指数を取得するが、自動検知情報がオン設定である場合には、記録媒体指数検知センサ203を用いて記録媒体指数を自動検知により取得する。取得された記録媒体指数は、プリント条件記憶部201に記憶されている記録位置、とじ方向、記録媒体サイズの各情報と共に、両面画像データ補正部105へ送られる。
記録媒体指数検知センサ203は、例えば発光部と受光部を有し、発光部から記録媒体に向けて光を照射し、その透過光をフォトダイオード等の受光部で検知して記録媒体の透過率を検知するタイプの透過率検知センサである。なお、検知される透過率は記録媒体の厚みや坪量によって変化する。同種の記録媒体であれば、厚みが薄いほど、また坪量が小さいほど透過率は高くなる。つまり透過率は記録媒体の厚みや坪量によって予測することができるため、記録媒体指数検知センサ203としては、一般的な坪量センサや厚みセンサ等を使用することも可能である。なお、記録媒体指数の自動検知は、例えば両面印刷を行う記録媒体の一枚ごとに行っても良いし、また、給紙トレイに変更があったタイミングや、給紙トレイに記録媒体が給紙される毎に行っても良い。また、これら一つあるいは複数のセンサ検知情報を、そのまま記録媒体指数として用いても良いし、センサ検知情報に基づいて記録媒体指数を算出しても良い。
画像形成部20は、例えば電子写真記録方式を用いたプリンタであり、画像処理部1における画像処理が施された画像データに基づいて、記録媒体上に画像を形成し、印刷画像3を出力する。ここで、画像形成部20の構成例を図3に示し、説明する。
図3は、1ドラム型の電子写真記録方式によるプリンタ構成例である。図中、2001はレーザダイオード、2002はポリゴンミラー、2003は感光ドラム、2004は除電露光器、2005は帯電器、2006は現像器、2008は一次転写機、2012は感光ドラムクリーナである。また、2007は中間転写ベルト、2014は適切なタイミングで記録媒体を二次転写機に搬送するレジストローラ、2009は二次転写機、2010は記録媒体、2011は定着器、2013は中間転写ベルトクリーナである。なお、本実施形態では1ドラム型の電子写真記録方式の例を示すが、複数色の現像器ごとに上記感光ドラム2003とその周辺機構を有するタンデム型の電子写真記録方式や、その他の記録方式でも本発明は実施可能である。
レーザダイオード2001は、量子化処理部108で生成された2値画像データを受けてレーザ光を放射する。放射されたレーザ光は、ポリゴンミラー2002、f-θレンズ(不図示)を経て、図中矢印方向に回転している像担持体である感光ドラム2003上を露光走査し、これにより感光ドラム2003上に静電潜像が形成される。感光ドラム2003は、除電露光器2004で均一に除電された後、帯電器2005により均一に帯電される。その後、先のレーザ光の露光走査を受けて、感光ドラム2003上に2値画像データに応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像部2006から供給されるトナーによって可視画像(トナー像)として現像される。現像されたトナー像は、複数のローラ間に加張されて無端駆動される中間転写ベルト2007上に、一次転写器2008の作用によって転写される。
以上の動作を、現像部2006で使用する各色の現像器(2006C,2006M,2006Y,2006K)を切り換えながら繰り返すことで、中間転写ベルト2007上に順次転写された、複数色からなるトナー像が形成される。
一方、記録媒体2010は給紙トレイ2018からレジストローラ2014まで搬送され、レジストローラ2014により適切なタイミングで二次転写器2009に搬送される。そして、中間転写ベルト2007上に順次転写された複数色からなるトナー像が、二次転写器2009により、搬送された記録媒体2010に転写される。転写後の記録媒体2010は定着器2011を通り、トナー像が記録媒体2010上に定着される。この後、両面印刷の実行無しである場合には、排紙ローラ2015によって記録媒体2010が排紙トレイ2016上に排出される。一方、両面印刷の実行有りの場合には、記録媒体2010の後端が排紙ローラ2015にてチャックされ、排紙ローラ2015が逆回転することによって記録媒体2010は搬送路2017に導かれ、レジストローラ2014まで搬送される。そして再度レジストローラ2014により記録媒体2010が適切なタイミングで二次転写器2009に搬送されることで、その裏面に第2面画像のトナー像の転写及び定着が行われた後に、排紙トレイ2016に排出される。
感光ドラム2003上に残った残留トナーは、クリーナ2012で掻き落とされ、回収される。また、記録媒体2010が分離された後に中間転写ベルト2007上に残った残留トナーは、ブレード等のクリーナ2013によって掻き落とされる。
上述した処理により、画像処理部1にて両面画像補正処理が施された第1面および第2面の画像データのそれぞれを、記録媒体の表面および裏面に形成することができる。なお本実施形態では、プリンタにシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色材を搭載する例を示したが、画像形成に用いられる色はこの組み合わせに限らず、例えばモノクロプリンタであっても適用可能である。
●両面画像データ補正処理
以下、本実施形態における両面画像データ補正処理について、詳細に説明する。なお、本実施形態における補正処理は入力されたRGB画像データに対して行われるが、ここでは説明の簡便のため、グレイスケールの画像データに対する補正処理を行う場合を例として説明する。以下では、図4(a),(b)に示す画像をそれぞれ第1面,第2面の画像データとして、記録媒体の両面にそれぞれ印刷出力する場合を例として詳細に説明する。
まず、両面画像データ補正を行わずに両面印刷を行った場合に得られる記録媒体を、第1面側と第2面側のそれぞれから観察した場合の見え方の例を、図5(a),(b)に示す。第1面側を示す図5(a)は、本来の形成画像11に加えて、裏面に形成された画像が透過(裏写り)した透過画像12Tが観察される様子を示している。第2面側を示す図5(b)においても同様に、本来の形成画像12に加えて、裏面に形成された画像が透過した透過画像11Tが観察される様子を示している。同図によれば、観察する側の面(観察面)における形成画像11,12内において、その裏面からの透過画像12T,11Tが重なる領域11a,12aの濃度が、重ならない領域11b,12bの濃度よりも上昇する。このような裏写りにより、観察面における形成画像11,12が見づらくなってしまう。
本実施形態では、上述した裏写りによる観察面の画像濃度の上昇を低減するために、両面画像データ補正部105において、第1面の画像と第2面の画像が重なる領域の画像データを補正する。
以下、両面画像データ補正部105における補正処理の詳細について、図6のフローチャートを用いて説明する。
まずS1001にて、プリント条件記憶部201に記憶されているプリント条件を取得する。プリント条件としては、記録媒体指数と、該記録媒体の第1面および第2面それぞれにおける画像形成条件(記録位置、とじ方向、記録媒体サイズ等)が取得される。
次にS1002にて、第1面,第2面の画像データそれぞれに付帯する画像情報である画像サイズと画像解像度の情報を取得する。なお、画像サイズ、画像構成画素数、画像解像度のうち、2つの情報が得られれば残りの情報は算出できるため、S1002にて取得する画像情報としては、上記3つの情報うち少なくとも2つが取得できれば、どの組み合わせであっても構わない。
ここで図7を用いて、本実施形態における記録媒体サイズ、画像サイズ、画像解像度について説明する。なお、図7(a),(b)はそれぞれ、第1面,第2面の例を示している。図7(a),(b)において共通する記録媒体の幅をP_W(mm)、高さをP_H(mm)とする。なお、記録媒体の第1面に形成される第1面画像について、その幅をA_W(mm)、高さをA_H(mm)とし、画像解像度をA_RES(pixel/mm)とする。同様に、第2面に形成される第2面画像について、その幅をB_W(mm)、高さをB_H(mm)とし、画像解像度をB_RES(pixel/mm)とする。
なお、図7(a)におけるP_AXO,P_AYOは、記録媒体の左上端に対する第1面画像の記録開始位置までの幅及び高さ(mm)である。図7(b)におけるP_BXO,P_BYOも同様に、記録媒体の左上端に対する第2面画像の記録開始幅位置までの幅及び高さ(mm)である。これらの情報は、記録媒体サイズ及び各面の画像記録位置および画像サイズの情報から算出することができる。例えば、画像記録位置が中央寄せに設定されていた場合は、画像が記録媒体の中央に配置されるように、例えば以下の式(1)で算出されるサイズを、記録開始位置までの幅及び高さとすれば良い。
P_AXO=(P_W−A_W)/2
P_AYO=(P_H−A_H)/2 …(1)
P_BXO=(P_W−B_W)/2
P_BXO=(P_H−B_H)/2
また、記録位置が左上寄せに設定されていた場合には、予め設定されている所定のオフセット幅及び高さを、記録媒体の左上端に対する記録開始位置までの幅(P_AXO,P_BXO)及び高さ(P_AYO,P_BYO)とすれば良い。
以上のようにS1002で第1面,第2面画像に対する画像サイズと画像解像度の情報を取得すると、次にS1003にて、第1面および第2面に形成された画像が重なる重なり領域を、補正範囲として取得する。詳細には、S1001,S1002で取得した各情報から、第1面および第2面の画像データそれぞれにおける重なり開始画素位置と重なり画素数を求める。
ここで図8に、長辺とじで両面印刷した場合における、両面の画像の配置例を示す。図8(a),(b)はそれぞれ、第1面画像側、第2面画像側から見た画像配置を示している。同図において、14a,15aの実線で囲まれた領域は、各面における表面画像のみの画像配置を示し、14b,15bの点線で囲まれた領域は、裏面画像のみの画像配置を示す。また14c,15cの斜線で示す領域は、表裏の画像が重なる領域(以下、重なり領域)を表している。また、図8(a)のA_X,A_Yは、S1003で第1面画像データにおける補正範囲として算出対象となる重なり開始画素位置であり、同様にAB_W,AB_Hは、第1面画像データにおける重なり画素数を示す。また、図8(b)のB_X,B_Y、およびBA_W,BA_Hも同様に、第2面画像データにおける重なり開始画素位置および重なり画素数を示す。これらの情報は、例えば以下の式(2)によって求めることができる。
A_X=(P_W−P_BX0−B_W−P_AX0)×A_RES (P_W−P_BX0−B_W−P_AX0≧0)
A_X=0 (P_W−P_BX0−B_W−P_AX0<0)
A_Y=0 (P_AY0≧P_BY0)
A_Y=(P_BY0−P_AY0)×A_RES (P_AY0<P_BY0)

AB_W=(P_W−P_AX0−A_X−P_BX0−B_X)×A_RES
AB_H=(B_H−B_Y)×A_RES (A_H−A_Y≧B_H−B_Y)
AB_H=(A_H−A_Y)×A_RES (A_H−A_Y<B_H−B_Y)

B_X=(P_W−P_AX0−A_W−P_BX0)×B_RES (P_W−P_AX0−A_W−P_BX0≧0)
B_X=0 (P_W−P_AX0−A_W−P_BX0<0)
B_Y=(P_AY0−P_BY0)×B_RES (P_AY0≧P_BY0)
B_Y=0 (P_AY0<P_BY0)

BA_W=(P_W−P_AX0−A_X−P_BX0−B_X)×B_RES
BA_H=(B_H−B_Y)×B_RES (A_H−A_Y≧B_H−B_Y)
BA_H=(A_H−A_Y)×B_RES (A_H−A_Y<B_H−B_Y)
…(2)
なお、上記式(2)は長辺とじの場合の算出式であり、短辺とじの場合では例えば以下に示す式(3)を用いる。
A_X=0 (P_AX0≧P_BX0)
A_X=(P_BX0−P_AX0)×A_RES (P_AX0<P_BX0)
A_Y=(P_H−P_BY0−B_H−P_AY0)×A_RES (P_H−P_BY0−B_H−P_AY0≧0)
A_Y=0 (P_H−P_BY0−B_H−P_AY0<0)

AB_W=(B_W−B_X)×A_RES (A_W−A_X≧B_W−B_X)
AB_W=(A_W−A_X)×A_RES (A_W−A_X<B_W−B_X)
AB_H=(P_H−P_AY0−A_Y−P_BY0−B_Y)×A_RES

B_X=(P_AX0−P_BX0)×B_RES (P_AX0≧P_BX0)
B_X=0 (P_AX0<P_BX0)
B_Y=(P_H−P_AY0−A_H−P_BY0)×B_RES (P_H−P_AY0−A_H−P_BY0≧0)
B_Y=0 (P_H−P_AY0−A_H−P_BY0<0)

BA_W=(B_W−B_X)×B_RES (A_W−A_X≧B_W−B_X)
BA_W=(A_W−A_X)×B_RES (A_W−A_X<B_W−B_X)
BA_W=(P_H−P_AY0−A_Y−P_BY0−B_Y)×B_RES
…(3)
上記のように算出した情報から、第1面画像データの補正範囲は、データ上の画素位置A_X,A_Yを起点とし、幅AB_W(pixel)、高さAB_H(pixel)の重なり領域となることが分かる。同様に第2面画像データの補正範囲は、データ上の画素位置B_X,B_Yを起点とし、幅BA_W(pixel)、高さBA_H(pixel)の重なり領域となる。なお、上記式(2)及び(3)は一例に過ぎず、記録媒体上で表裏の画像が重なる重なり領域を特定できれば、他の方法を用いても良い。
以上のように各面の補正範囲が取得されると、次にS1004〜S1007において、該補正範囲内を画素ごとに順次補正する。この補正処理は、記録媒体上の表裏で互いに重なる各画素値と記録媒体指数で補正値記憶部106を参照することによって、行われる。
まずS1004において、第1面画像データの補正範囲内における注目画素の各階調値を参照し、次にS1005で、S1004で参照した注目画素の裏に位置する、第2面画像データの画素の階調値を参照する。例えばとじ方向が長辺とじである場合、第1面画像データの注目画素位置に対し、該注目画素と対になる第2面画像データの画素位置は、左右反転の位置となる。
ここで図9を用いて、各面の画像データにおける参照画素位置について説明する。図9(a),(b)はそれぞれ、第1面画像データ、第2面画像データにおける補正範囲を示す。同図に示すように第1面画像データにおいて、例えば左上から右下へ画素を順次参照して補正処理を行う場合は、第2面画像データにおいては図9(b)に示すように、右上から左下へ画素を順次参照することになる。すなわち、第1面画像データと第2面画像データでは、補正範囲内における画素の走査方向が左右反転する。また、図示はしないが、とじ方向が短辺とじの場合には、第1面画像データにおける画素位置と対になる第2面画像データの画素位置は、上下反転の位置となる。そのため、第1面画像データにおいて、例えば左上から右下へ画素を順次参照して補正処理を行う場合は、第2面画像データにおいては左下から右上へ画素を順次参照することになる。すなわち、第1面画像データと第2面画像データでは、補正範囲内における画素の走査方向が上下反転する。
なお、第1面画像データと第2面画像データとで画像解像度が異なる場合には、補正範囲内の画素数が違うため、表裏の画素を1対1で対応付けることができない。従ってこの場合、例えば表裏の位置が最も近い画素を対応付けるような処理が行われる。また、両面画像データ補正部105における補正処理に先立って、補正範囲内の画素数が等しくなるように、各面の画像解像度を合わせるような解像度変換処理を行っても良い。
次にS1006では、S1004,S1005で参照した第1面、第2面の画素の階調値と、S1001で取得した記録媒体指数に基づき、補正値記憶部106に保持されている補正値テーブルを参照する。詳細には、記録媒体指数に対応する補正値テーブルを特定し、該テーブルから、第1面、第2面の画素の階調値の補正値を取得する。これにより、第1面及び第2面の画像データを、予め保持されている補正値に変換することができる。例えば、第1面、第2面の各画素の階調値をそれぞれD1,D2とし、記録媒体指数をTとすると、第1面、第2面の各画素の補正後の階調D1',D2'は以下の式(4)で表わされる。
[D1',D2']=F(D1,D2,T) …(4)
なお、各面の画像データを256階調とし、全ての記録媒体種類について補正値を用意すると、補正値記憶部106として膨大なメモリ量を要することになる。そのため補正値記憶部106では、全ての階調について補正値を記憶するのではなく、例えば所定間隔にある点(すなわち代表点)に対する補正値のみを記憶していれば良い。この場合、代表点以外の階調についての補正値は、バイリニア法やバイキュービック法等の周知の補間処理によって算出すれば良い。
なお、記録媒体の表裏で透過特性が同じであれば、各面の画素と補正値の関係は表裏で等しくなる。そのため、S1006における画素変換を、3データ入力に対して1データを出力するものとしても良い。その場合、以下の式(5)に示すように、単純に表裏の階調値を入れ替えるだけで両面の画像を補正でき、なおかつ補正値記憶部106におけるメモリ量を節約することができる。
[D1']=F(D1,D2,T) …(5)
[D2']=F(D2,D1,T)
そしてS1007では、両面における補正範囲内の全画素について補正処理が完了したか否かを判定し、完了していれば両面画像データ補正処理を終了する。一方、未完了であれば、補正範囲内の次の注目画素について上記S1004〜S1006の処理を繰り返す。
●両面画像データの補正結果
ここで、図4(a),(b)に示すそれぞれの画像データに対し、上述した本実施形態における両面画像データ補正処理を適用した結果を図10(a),(b)に示す。同図によれば、第1面および第2面のいずれにおいても、その裏面に画像がある部分の画像データが、元画像よりも低濃度となるように補正されることが分かる。このように補正された第1面および第2面の画像データに基づく画像を、記録媒体の両面にそれぞれ形成した際の見え方の例を図11に示す。同図によれば、表裏で画像が重なる部分について、裏写りによる観察面画像の高濃度化が低減され、観察面に形成された画像が見やすくなっていることが分かる。
本実施形態では以上のように、両面画像データの各面に対する補正が行われる。なお、ここでは入力画像がグレイスケールである場合を例として説明を行ったが、実際にはRGB画像データに対する補正が行われる。この場合例えば、画素ごとのRGB値から対応する明度値(L*)を求め、これを上記グレイスケールの階調値に変換した結果により、補正値テーブルを参照する。そして、得られた変換結果を、さらに適切なRGB値に変換することで、カラーの両面画像データについても同様の補正を施すことができる。また、補正値テーブルをRGBの各階調の組み合わせに応じて作成すれば、入力されたRGB値を直接変換することも可能であるが、パッチ作成のための処理がかなり煩雑となる。
●両面画像データ補正値の算出処理
上述したように本実施形態においては、両面印刷結果を表裏のどちら側から見た場合でも、裏写りによる観察面画像部の高濃度化を抑制するために、補正値記憶部106に保持された補正値テーブルを参照する。すなわち、記録媒体指数に適した両面画像の補正値を、補正値テーブルとして予め記憶しておく必要がある。以下、ある記録媒体指数に対する補正値テーブルの作成方法、すなわち適切な補正値の取得方法について、図12のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、この補正値テーブルとしてはRGBの混色パッチを用いて作成することが望ましいが、パッチ数および演算量があまりに膨大となってしまう。したがって、ここでは簡便な例として、グレイスケールのパッチ画像に基づいて補正値テーブルを作成する例を示す。
まずS2001で画像形成部20において、記録媒体指数が判明している記録媒体の両面に、複数階調からなるパッチ画像を形成する。このとき、表裏におけるパッチ画像の重なりが、全ての階調の組み合わせを網羅するように形成する。このように形成された両面パッチ画像を、補正値算出用原稿とする。なお、画像形成部20で形成可能な全ての階調に対応するパッチ画像を用意した場合、その重なりとしても膨大な組み合わせを要することになる。そのためパッチ画像としては、例えば補正値記憶部106に記憶する補正値の階調と等しい階調画像(代表値)のみを用意すれば良い。
ここで図13(a),(b)に、各階調の組み合わせで表裏が重なるように配置された、それぞれが第1面及び第2面に形成されるパッチ画像の画像データ例を示す。同図においては各面で、階調の低い順に同一階調のパッチ画像データをそれぞれ縦および横方向に短冊状に配置することで、表裏における全階調の組み合わせを実現する例を示す。図14(a),(b)に、図13(a),(b)に示すパッチ画像データに基づき、記録媒体の両面にパッチ画像を形成した補正値算出用原稿の見え方の例を示す。図14(a),(b)はそれぞれ、第1面画像側、第2面画像側から観察した場合の例である。同図によれば、同一階調パッチであったはずの各短冊状の領域が、裏写りの影響により、あたかも明度の異なるセル(以下、疑似セルと称する)に分割されたかのように見える。すなわち、裏面画像の階調に応じて、観察面の画像明度が意図したものとは異なるように変化してしまっていることが分かる。本実施形態において得たい両面画像データ補正値は、この裏写りによって変化した画像明度を、該変化分を除去した明度に補正するための補正値である。
次にS2002において、S2001で取得した補正値算出用原稿の各面において裏写りによって発生した疑似セルごと、すなわち表裏での全階調の組み合わせについて、画像明度L*を取得する。この取得は例えば、不図示の測色器により各疑似セルのRGB値を取得し、該RGB値をL*a*b*値に変換することによって行えば良い。図15(a),(b)に、補正値算出用原稿の第1面、第2面のそれぞれにおいて、疑似セルごとに取得した画像明度L*の例を示す。同図において、左端欄が第1面画像データの階調値を示し、最下欄が第2面画像データの階調値を示している。なお、図15(a),(b)は第1および第2画像データで階調の並び順が同じとなるようなテーブル形式で示しており、図14(a),(b)に示す疑似セルの並び順にそのまま対応するものではない。
次にS2003にて、両面画像データの補正値を算出する。例えば、図15(a),(b)で太線で囲んだ列3001,行3002は、それぞれ裏面に画像が無く(階調255の短冊部)、裏写りの影響を受けていない領域における画像明度L*である。したがって本実施形態では、この裏写りのない列3001,行3002における画像明度L*を、各階調の目標明度とする。そして、最適な両面画像データ補正値を得るためには、第1面画像データと第2面画像データの階調値が入力された場合に、両面共に目標明度に近くなるような階調値を算出すれば良い。
以下、両面画像データの補正値算出について、具体例を示して説明する。例えば、第1面画像データの階調値が192、第2面画像データの階調値が224の場合を考える。するとこの場合、図15(a)から第1面画像の目標明度は70.6、図15(b)から第2面画像の目標明度は82.6となることが分かる。このときの実際の明度は裏写りの影響により、図15(a)から第1面画像では69.8、図15(b)から第2面画像では80.8となっている。ここで、図15(a)から、第2面画像データの階調値が224の場合で、第1面画像明度が目標明度である70.6となる第1面画像データの階調値(目標階調値)は、192と224の間に存在することが分かる。この目標階調値をバイリニア補間法を用いて算出すると194となる。なお、補間法としてはバイキュービック法等の他の補間手法を用いても良い。同様に、第1面画像データが194の場合に、第2面画像が目標明度である82.6となるような第2面画像データの目標階調値は226となる。これら目標階調値がすなわち、各面画像データの補正値である。
ここで、以上のように算出した第1面画像データの補正値194は、第2面画像データの階調値が224である場合の補正値である。したがって、第2面画像データの階調値が226に補正されてしまうと、この第1面画像データの補正値194は既に最適な補正値ではなくなっている。そこで本実施形態では、第2面画像データの階調値が補正後の226である場合について、第1面画像の目標明度70.6を満たすような第1面画像データの補正値を、上述したような補間手法を用いて再度算出する。該算出の結果、目標明度70.6となる第1面画像の補正値は195となる。そして第2面画像についても同様に、第1面画像データの階調値が195である場合について、新たな補正値を再度算出すると、その値は226となる。
このように、第1画像データ、第2画像データのそれぞれの補正値について、上述した再演算を、算出される補正値の変化量が所定の閾値以下となるまで繰り返す。これにより各面について、画像明度が目標明度に最も近くなるような、最適な補正値を算出することができる。なお、上記補正値の変化量に対する閾値としては0を設定することが望ましい。
以上説明した繰り返し演算を、第1面および第2面画像データの全階調の組み合わせ(疑似セル)に対して行うことで、第1面画像データと第2面画像データの各階調値に応じた補正値テーブルを作成することができる。図16に、本実施形態において作成された補正値テーブルの例を示す。図16によれば、例えば入力時点における第1面画像データと第2面画像データの階調値がそれぞれ192,224である場合には、195,226の階調値に補正されることが分かる。
なお、以上のように算出された補正値テーブルは、S2001で補正値算出用原稿の作成に用いられた記録媒体に対応するものであり、すなわち、該記録媒体の記録媒体指数に対応するものである。したがって他の記録媒体指数についても、当該記録媒体のそれぞれについて、上述した原稿作成、明度取得、補正値算出処理を行って補正値テーブルを算出しておく必要がある。
図12に戻り、最後にS2004において、S2003で算出した記録媒体指数に応じた補正値テーブルを、補正値記憶部106に記録する。本実施形態では、この補正値記憶部106に記憶された補正値テーブルを参照して、両面画像データに対する補正処理を行うことによって、表裏のどちら側から見た場合でも観察面の画像部における裏写りの影響を低減した両面印刷画像を得ることができる。
以上説明したように本実施形態によれば、記録媒体の両面に画像を形成する際に、画像の裏写りを考慮した補正を両面に対して行うことで、表裏のいずれの面においても裏写りの影響を低減した両面印刷画像を得ることができる。
<第2実施形態>
以下、本発明における第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、予め記憶されている補正値を参照して、両面の画像データを補正する例を示した。しかしながら、想定外の記録媒体を使用した両面印刷を行いたい場合には、該記録媒体に応じた補正値は記憶されていないため、適切な補正が困難となる。また、経時変化等によって画像形成部20における特性が補正値の算出時から変化してしまった場合にも、適切な補正を行うことができない。そこで第2実施形態では、両面印刷の対象となる記録媒体について、最新の補正値を算出し、適用可能とする例を示す。
●装置構成
図17に、第2実施形態における画像形成装置のブロック構成を示す。同図において、上述した第1実施形態で図1に示した構成と同様の構成には同一番号を付し、説明を省略する。第2実施形態では、両面画像データ補正値を取得するために、両面印刷画像3の明度を取得する測定値取得部204と、該取得した明度からリアルタイムに補正値を算出する補正値算出部109を備えていることを特徴とする。また、ユーザが所望する記録媒体についての印刷を指示・実行するため、記録媒体指数検知センサ203を不要とする。
測定値取得部204は、一般的なデジタル複合機に備えられるスキャナ装置であり、非測定画像の明度を取得する。なお、測定値取得部204としては、定着器2011の下流で画像濃度を検知する濃度検知センサを適用し、濃度を取得するものであっても良い。測定値取得部204で読み取られた両面印刷画像3の明度は、制御部202を介して補正値算出部109へ転送される。補正値算出部109では、両面印刷画像3の明度から、第1面画像データおよび第2面画像データの補正値をそれぞれ算出する。
●両面画像データ補正値算出
以下、第2実施形態において補正値記憶部106に格納する適切な補正値の取得方法について説明する。算出処理の流れとしては、第1実施形態で図12に示したフローチャートと同様である。また第2実施形態においても上述した第1実施形態と同様に、グレイスケール画像データに対する補正値を算出する例を示す。
まずS2001において第1実施形態と同様に、図13(a),(b)に示す画像データを、処理対象となる記録媒体の両面に、複数階調の画像が全ての階調の組み合わせで表裏重なるように形成し、補正値算出用原稿を取得する。
続いてS2002で測定値取得部204において、補正値算出用原稿の第1面および第2面の画像を読み取る。ここで読み取られた画像データは、例えばRGBで256階調の階調値を有している。さらに、読み取られたデータをデバイスに非依存であるCIEL*a*b*色空間の値に変換し、各面における全ての階調の組み合わせ(疑似セル)について、画像明度L*を取得する。
以降の処理は、上述した第1実施形態における補正値取得方法と同様である。すなわち、S2003において、取得された両面画像の各階調における明度L*から、両面画像データ補正値テーブルを算出する。なお第2実施形態では、現在利用対象としている記録媒体についての補正値テーブルのみを算出すれば良い。そしてS2004で、S2003で算出した補正値テーブルを補正値記憶部106に記録する。
以上説明したように第2実施形態によれば、ユーザが利用したい記録媒体について、画像形成部20の最新の画像形成特性に応じた最適な両面画像データ補正値を取得することができる。したがって、任意の記録媒体に対して現状で最適な補正を行うことができる。
<変形例>
上述した第1および第2実施形態では、両面画像データ補正処理において補正値テーブルを参照する例を示したが、テーブルを用意することなく、マトリクス演算等によって補正を実施することも可能である。また、両面画像データ補正値を、補正値算出用原稿の明度から算出する例を示したが、色材の明度に関する情報および記録媒体の透過率から予測した明度を用いて算出しても良い。また、両面の画像の重なり領域に関して、裏写りによる観察面画像の明度の変化を抑制するように補正値を算出する例を示したが、彩度や色相の変化も抑制されるように例えばCIEL*a*b*色空間におけるL*a*b*値を用いて補正値を算出しても良い。
また、第1および第2実施形態では、両面画像データとしてRGB画像データを入力し、各面を補正した後にカラーの両面画像を形成するカラープリンタを例として説明した。しかしながら第1実施形態でも説明したように、グレイスケール画像データを入力とするモノクロプリンタであれば、本発明はさらに簡易に実現される。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (12)

  1. 記録媒体の透過特性と、記録媒体の両面である第1面および第2面それぞれにおける画像形成条件を取得する画像形成条件取得手段と、
    前記第1面に形成する第1面画像データと、前記第2面に形成する第2面画像データを取得する画像情報取得手段と、
    前記記録媒体の第1面および第2面のそれぞれの画像形成条件と、前記第1面画像データおよび前記第2面画像データから、前記記録媒体の第1面および第2面における画像の形成領域が重複する領域を補正範囲として取得する補正範囲取得手段と、
    前記補正範囲内において、前記第1面画像データにおける第1画素の値と、前記第2面画像データにおいて該第1画素に対応する位置にある第2画素の値を取得する画素値取得手段と、
    前記透過特性に応じて、前記第1および第2画素の濃度を低減するように補正する補正手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記補正手段は、前記第1画素の濃度が高いほど前記第2画素の濃度を低減するように該第2画素の値を補正し、かつ前記第2画素の濃度が高いほど前記第1画素の濃度を低減するように該第1画素の値を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記補正手段は、前記透過特性が高いほど、前記第1および第2画素の濃度を低減するように補正することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記補正手段は、補正後の第1画素の値に応じた第2画素の値の補正、および補正後の第2画素の値に応じた第1画素の値の補正を、該補正による第1または第2画素の値の変化量が所定の閾値以下となるまで繰り返し行うことを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
  5. 前記補正手段は、前記第1および第2画素の値と前記透過特性に応じた、該第1および第2画素のそれぞれの補正値を予め保持している補正値テーブルを参照することで、該第1および第2画素のそれぞれの補正値を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記補正値テーブルは、
    前記記録媒体の両面に、複数階調からなるパッチ画像を、両面での該パッチ画像の対応が前記複数階調の全ての組み合わせを網羅するように形成された補正値算出用原稿を、その各面における階調の組み合わせごとに測色した値に基づいて作成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 任意の記録媒体の両面に、複数階調からなるパッチ画像を、両面での該パッチ画像の対応が前記複数階調の全ての組み合わせを網羅するように形成した補正値算出用原稿を出力する原稿作成手段と、
    前記補正値算出用原稿の各面において、階調の組み合わせごとに測色を行う測色手段と、
    該測色した値に基づいて、該階調の組み合わせについての補正値を算出する補正値算出手段と、
    該算出された補正値を補正値テーブルとして記憶する補正値記憶手段と、を有し、
    前記補正手段は、前記補正値記憶手段に記憶された補正値テーブルを参照して、前記第1および第2画素の値を補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  8. 前記画像形成条件取得手段は、前記画像形成条件として、前記記録媒体のサイズおよびとじ方向の情報、前記第1面および第2面それぞれにおける画像の記録位置の情報を取得することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  9. 前記画像情報取得手段はさらに、前記第1面画像データおよび第2面画像データのそれぞれについて、画像サイズ、画像構成画素数、画像解像度のうちの少なくとも2つの情報を取得することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  10. 前記第1面画像データおよび第2面画像データは、グレイスケール画像データであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  11. 画像形成条件取得手段、画像情報取得手段、補正範囲取得手段、画素値取得手段、補正手段を有する画像処理装置における画像処理方法であって、
    前記画像形成条件取得手段が、記録媒体の透過特性と、記録媒体の両面である第1面および第2面それぞれにおける画像形成条件を取得し、
    前記画像情報取得手段が、前記第1面に形成する第1面画像データと、前記第2面に形成する第2面画像データを取得し、
    前記補正範囲取得手段が、前記記録媒体の第1面および第2面のそれぞれの画像形成条件と、前記第1面画像データおよび前記第2面画像データから、前記記録媒体の第1面および第2面における画像の形成領域が重複する領域を補正範囲として取得し、
    前記画素値取得手段が、前記補正範囲内において、前記第1面画像データにおける第1画素の値と、前記第2面画像データにおいて該第1画素に対応する位置にある第2画素の値を取得し、
    前記補正手段が、前記透過特性に応じて、前記第1および第2画素の濃度を低減するように補正する
    ことを特徴とする画像処理方法。
  12. コンピュータを請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
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