JP2013117334A - 焼却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却コストの低減を図ることができる焼却装置の提供を目的とする。
【解決手段】焼却装置1Aを構成する焼却炉2の内部を、隔壁3にて焼却室4と排気室5とに分割し、隔壁3に、焼却室4と排気室5とに貫通して孔部3aを設け、該孔部3aを、焼却室4内に設定した下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wと対応する部分の隔壁3に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。また、排気室5の下側焼却領域4Vの孔部3aと対向する位置に、燃焼促進装置10Aのエアー吐出管15と、燃料吐出管13と、着火用ヒーター16とを配置している。また、エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出力を、上側焼却領域4Wの孔部3aから排気室5へ排気された燃焼ガスNが該エアーArの気流に巻き込まれる強さに設定している。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば可燃性廃棄物、生ゴミ、汚泥、汚水、糞尿、廃油、廃液、塗料、タイヤ、合成樹脂成形品などの産業廃棄物、あるいは、使用済み注射器、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物等の被焼却物を焼却する際に用いられる焼却装置に関する。
従来、上述の被焼却物を焼却する装置としては、例えば乾留焼却室内の可燃性廃棄物を、バーナーの火炎及び高温の燃焼用ガスにて加熱・燃焼させる焼却炉が提案されている(特許文献1参照)。
引用文献1の焼却炉は、例えば液体燃料や気体燃料等を燃料とするバーナーの火炎及び生成される高温の燃焼用ガスにて乾留焼却室内の可燃性廃棄物を加熱・燃焼させる。また、可燃性廃棄物が高温ガスに晒された際に発生する乾留ガスを、燃焼ガス循環路により乾留焼却室上部から該乾留焼却室下部へ循環させ、バーナーの火炎に取り込まれた乾留ガスを、そのバーナーの火炎及び生成される燃焼用ガス、火炎中に残留する高温の空気によって燃焼させる。
しかし、乾留焼却室内の可燃性廃棄物を、バーナーから噴射される火炎及び生成される燃焼用ガスにより加熱して燃焼させるので、可燃性廃棄物の焼却が完了するまで、バーナーから火炎を連続して噴射しなければならず、燃料の消費量が多くなるだけでなく、焼却コストが高くなる。
また、可燃性廃棄物が発生する乾留ガスを、燃焼ガス循環路により乾留焼却室の上部から下部へ循環させるので、乾留ガスの温度が発生直後よりも低下することになる。したがって、乾留焼却室内に返還される乾留ガスを燃焼させるためには、バーナーの火炎や高温の空気にて燃焼温度に再加熱しなければならず、焼却効率が悪いという問題があった。
特許第3700947号公報
この発明は、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済むとともに、自然環境に影響を及ぼすような物質の放出量を低減することができる焼却装置の提供を目的とする。
この発明は、焼却炉の内部に、被焼却物を燃焼させて焼却する焼却室と、該焼却室内で発生した乾留ガスが含まれる燃焼ガスを排気する排気室とを備えた焼却装置であって、前記焼却炉の内部を、該焼却炉の内部に設けた隔壁によって前記焼却室と前記排気室とに分割し、前記隔壁に、前記焼却室と前記排気室とに貫通して孔部を設けるとともに、該孔部を、前記焼却室内に設定した下側焼却領域及び上側焼却領域と対応する部分の前記隔壁に沿って所定間隔を隔てて多数配列し、前記排気室の前記下側焼却領域の孔部と対向する位置に、前記下側焼却領域の孔部に向けてエアーを吐出するエアー吐出手段と、前記孔部に向けて燃料を吐出する燃料吐出手段と、前記燃料吐出手段から吐出される燃料に着火する着火手段とからなる燃焼促進手段を配置し、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出力を、前記上側焼却領域の孔部から排気される燃焼ガスが該エアーの気流に対して巻き込まれる強さに設定した焼却装置であることを特徴とする。
この発明によれば、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却コストの低減を図ることができる。
詳述すると、焼却開始時において、燃焼促進手段の燃料吐出手段から吐出される燃料に着火手段で着火し、その燃料の火炎を、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却炉内の下側焼却領域に投入された被焼却物に着火する。着火後、燃料の吐出を停止させ、エアー吐出手段から吐出されるエアーのみを、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却炉内の下側焼却領域に連続供給する。
これにより、焼却炉内の下側焼却領域に投入された被焼却物が燃焼する際、エアー供給量が不足したり、不完全燃焼が生じることが無く、被焼却物を効率よく燃焼させることができる。
また、焼却室内の下側焼却領域に供給されるエアーの供給量を、隔壁の孔部によって被焼却物が燃焼するのに必要なエアー供給量に制限又は絞り込み、その必要最小限のエアーによって、下側焼却領域の被焼却物を燃焼させる。
燃焼時において、焼却炉内に供給されるエアーは、下側焼却領域の被焼却物が燃焼する際に殆ど消費されるので、上側焼却領域に投入された被焼却物には殆ど供給されることがない。
したがって、上側焼却領域の被焼却物を、下側焼却領域の被焼却物が燃焼する際の焼却熱によって高温に加熱しても、該被焼却物が燃焼するのに必要なエアー供給量が得られず、不足することになるので、被焼却物が自然発火することを抑制できる。
また、上側焼却領域の被焼却物を、下側焼却領域の被焼却物が燃焼する際の焼却熱によって燃焼させることなく高温に加熱して乾留(蒸し焼き)するので、揮発性可燃成分からなる乾留ガスと、不揮発性可燃成分からなる被焼却物とに効率よく分解することができる。
焼却室内で発生した乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスは、隔壁の上側孔部を通過して、焼却室から排気室へ排気される。また、排気室に排気された乾留ガスや熱気が含まれる高温の燃焼ガスは、エアー吐出手段から吐出されるエアーの気流に巻き込みながら該エアーに混合して一緒に移送し、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却室内の下側焼却領域に連続供給する。
つまり、エアー吐出手段から吐出されるエアーを、隔壁の下側孔部に向けて吐出することにより、隔壁の下側孔部に向けてエアーの気流を発生させる。
また、下側焼却領域及び上側焼却領域の孔部が近接しているので、隔壁の上側孔部から排気室へ排気された乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスが、エアー吐出手段から吐出されるエアーの気流に巻き込まれる。かつ、そのエアーの気流によって、焼却室内で発生した直後の高温状態に保ったまま、隔壁の下側孔部から焼却室内の下側焼却領域へ循環供給することができる。
これにより、焼却室内で発生した乾留ガスを、高温に保ったまま焼却室内の下側焼却領域に連続供給し、燃焼中の被焼却物の炎や高温の燃焼ガスに接触させて瞬時に着火するので、被焼却物の燃焼を、乾留ガスの火炎によって促進することができるとともに、被焼却物を燃焼させるための燃料として使用することができる。
したがって、着火後において、例えば重油、軽油、灯油等の液体燃料を供給しなくても、焼却室内で発生した高温状態の乾留ガスを燃料として、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物を燃焼させることができる。
この結果、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量を抑えることができる。例えば液体燃料を燃料とするバーナーの火炎にて燃焼させるよりも、燃料の消費量が少なくて済み、焼却費の低減を図ることができる。
焼却室内で発生した直後の乾留ガスを高温状態のまま焼却室内の下側焼却領域に供給するので、乾留ガスを燃焼させる際の熱量が少なくて済み、熱損失を低減することができ、焼却効率の向上を図ることができる。
また、焼却室内で発生した乾留ガスには、例えば煤塵やダイオキシン、悪臭の元となる成分等が含まれている可能性があるが、排気室へ排気された乾留ガスを、エアー吐出手段から供給されるエアーの気流に巻き込みながら焼却室内の下側焼却領域に供給して、被焼却物が燃焼する際の高温にて煤塵を燃焼させ、ダイオキシンや悪臭の元となる成分を加熱・分解する。
この結果、例えば煤煙、異臭、有毒物質等の物質が大気中にほとんど放出されず、自然環境に影響を及ぼすような物質の放出量を低減することができる。
この発明の態様として、前記焼却室の上部に、前記被焼却物の投入が許容される投入口を設け、前記投入口に、前記被焼却物を乾燥・炭化する乾燥炭化室を連設し、前記乾燥炭化室の前記排気室と対応する壁部に、前記燃焼ガスのみの通過が許容される複数の孔部を設け、前記排気室に、前記壁部に設けた孔部に向けて前記燃焼ガスを誘導するガス誘導手段を設けることができる。
この発明によれば、予め乾燥・炭化した被焼却物を焼却室に投入して焼却するので、被焼却物の焼却に要する処理時間を大幅に短縮することができるとともに、焼却時に発生する熱を有効に利用することができる。
詳述すると、焼却室内で発生する乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスを、隔壁の上側孔部から排気室へ排気するとともに、焼却室から排気室へ排気された燃焼ガスを、ガス誘導手段によって乾燥炭化室の壁部に設けられた孔部に向けて誘導し、該孔部を通過させて乾燥炭化室内へ供給する。
すなわち、被焼却物が焼却室内で燃焼する際に発生する焼却熱と、排気室へ排気された燃焼ガスの熱とを利用して、乾燥炭化室に投入された被焼却物を高温に加熱して、被焼却物に含まれる水分を蒸発させ、乾燥・炭化させる。その乾燥・炭化した高温の被焼却物を焼却室に投入して焼却する。
この結果、例えば水分が含まれる被焼却物を焼却するよりも、被焼却物の焼却に要する処理時間を大幅に短縮することができる。また、焼却時の熱量が少なくて済むため、焼却コストの低減を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記ガス誘導手段を、前記乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部が閉塞される大きさ及び形状に形成した誘導板で構成し、前記誘導板の上端側を、前記乾燥炭化室の前記排気室と対応する壁部の上端側に枢着して、該誘導板を、前記乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部が閉塞される閉塞角度と、該壁部に設けた孔部に向けて前記燃焼ガスが誘導される開放角度とに開閉調節自在に設けることができる。
この発明によれば、乾燥炭化室に投入された被焼却物を、焼却室にて効率よく焼却するのに適した乾燥状態又は炭化状態に予備処理することができる。
詳述すると、例えば汚泥や糞尿等の水分が多く含まれる被焼却物を乾燥・炭化する場合、誘導板の開角度を大きくして、焼却室から排気室へ排気された乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスを乾燥炭化室の壁部に設けられた孔部に向けて誘導し、該孔部を通過して乾燥炭化室内に供給される乾留ガスや熱気の供給量を多くする。
つまり、被焼却物に接触する燃焼ガスの接触量を増加させて、被焼却物を燃焼ガスの熱によって加熱し、被焼却物に含まれる水分を燃焼ガスに効率よく吸着させるので、被焼却物を短い時間で乾燥・炭化することができる。
また、誘導板の開角度を小さくして、乾燥炭化室内に供給される燃焼ガスの供給量を制限又は絞り込めば、被焼却物に接触する燃焼ガスの接触量が減少するので、被焼却物が必要以上に乾燥・炭化されることを防止できる。
この結果、乾燥炭化室に投入された被焼却物の水分含有量に応じて、該乾燥炭化室内に供給される燃焼ガスの供給量を増減調整することができる。
なお、被焼却物を乾燥・炭化する必要がなければ、誘導板によって乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部を閉塞すれば、燃焼ガスが乾燥炭化室内に供給されることを防止できる。
また、この発明の態様として、前記誘導板の開閉範囲よりも外側下方に、前記乾燥炭化室と前記誘導板との対向面間に形成される空間部に向けてエアーを吐出するとともに、該エアーによって気流を発生させる気流発生手段を設けることができる。
この発明によれば、乾燥炭化室に投入された被焼却物を短い時間で乾燥・炭化することができる。
詳述すると、排気室に排気された乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスを、気流発生手段から吐出されるエアーによって発生させた気流により乾燥炭化室と誘導板との対向面間に形成される空間部に向けて供給し、該誘導板に沿って誘導される燃焼ガスを、乾燥炭化室の壁部に設けた孔部を通過させて、該乾燥炭化室内に向けて積極的に供給する。
この結果、被焼却物に接触する燃焼ガスの接触量が多くなり、被焼却物の乾燥・炭化を促進することができる。また、被焼却物の焼却に要する時間を大幅に短縮して、処理能力の向上を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記排気室の内部に、該排気室に排気された燃焼ガスの温度を検知する温度検知手段を設け、前記温度検知手段から出力される検知信号に基づいて、予め設定された温度の範囲内であるか否かを判定し、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を制御する制御手段を備えることができる。
この発明によれば、焼却室に投入された被焼却物の燃焼と、乾燥炭化室に投入された被焼却物の乾燥・炭化を促進することができる。
詳述すると、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物の燃焼時において、焼却室から排気室へ排気される乾留ガスが含まれる燃焼ガスの温度を温度検知手段にて検知するとともに、温度検知手段から出力される検知信号に基づいて、燃焼ガスの温度が予め設定された温度の範囲内であるか否かを制御手段にて判定する。
つまり、制御手段により燃焼ガスの温度が、予め設定された温度以下であると判定された場合、エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を増加させ、焼却室内に供給される火炎の火力を強くして、被焼却物が燃焼する際の温度を高めることにより、排気室に排気される燃焼ガスの温度を上昇させる。
燃焼ガスの温度が、予め設定された温度以上であると判定された場合、エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を減少させ、焼却室内に供給される火炎の火力を弱めて、被焼却物が燃焼する際の温度を低めることにより、排気室に排気される燃焼ガスの温度を低下させる。
この結果、乾留ガスが含まれる燃焼ガスの温度を、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物の燃焼を促進されるとともに、乾燥炭化室に投入された被焼却物の乾燥・炭化を促進する温度に保つことができる。
また、この発明の態様として、前記焼却室の下部に、前記被焼却物の焼却灰の排出が許容される排出口を設け、前記排出口に、前記焼却室から排出される被焼却物を、該焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度で焼却する予備焼却室を連設し、前記予備焼却室に、該予備焼却室に投入された被焼却物を高温の火炎にて焼却する燃焼促進手段を備えることができる。
この発明によれば、被焼却物を、例えば焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度で焼却することができる。
詳述すると、焼却室にて一次焼却した被焼却物を、該焼却室下部に連設した予備焼却室に投入する。燃焼促進手段から吐出される火炎を、予備焼却室に投入された被焼却物に吹き付けて、焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度にて焼却する。
この結果、例えば使用済み注射器や注射針、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物、あるいは、その他の高温にて焼却する必要がある産業廃棄物等の被焼却物を、廃棄物処理法に準拠した高い温度にて確実に焼却することができる。
また、この発明の態様として、前記燃料吐出管を、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出方向と直交して配置するとともに、該燃料吐出管の先端を前記エアー吐出管の先端に近接して配置することができる。
この発明によれば、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量を抑えることができる。
詳述すると、エアー吐出管から吐出されるエアーを、エアー吐出管の先端に近接して配置した燃料吐出管の先端に向けてエアーの吐出方向と直交して吐出する。そのエアーの吐出力によって、燃料吐出管から吐出される液状の燃料を、該燃料吐出管の先端付近に発生する負圧によって吸引するとともに霧状に拡散させ、完全燃焼するのに必要な量のエアーを霧状の燃料中に混合するので、燃焼時においてエアー及び燃料の量に過不足が生じることがない。
かつ、霧状に拡散した燃料に着火手段で着火するとともに、その燃料の火炎を、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物に着火する。
この結果、例えばノズルから噴射される液状の燃料に着火するよりも、霧状に拡散した燃料に着火すれば燃焼効率が良いので、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却費の低減を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記エアー吐出手段の吐出側に、該エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出方向と対向して拡散筒を配置し、前記拡散筒を、前記エアーの吐出方向と対向する端部を閉塞した筒形状に形成し、該拡散筒の周面に、前記エアー及び燃料の通過が許容される大きさ及び形状に形成した孔部を設けるとともに、該拡散筒の周面に沿って所定間隔を隔てて複数配列することができる。
この発明によれば、被焼却物を、例えばバーナー等の火炎吐出装置から吐出される火炎にて焼却する際の温度よりも高い温度の火炎にて焼却することができる。
詳述すると、エアー吐出管から吐出されるエアーの吐出力によって、燃料吐出管から吐出される液状の燃料を霧状に拡散するとともに、その霧状の燃料を、拡散筒の閉塞側端部に吹き付けて周囲に拡散させる。
さらに、拡散筒の周面に設けた孔部を通過する際にさらに拡散して、エアー中に含まれる燃料の濃度を、圧力が付加されるだけで着火するような状態に薄くする。かつ、拡散筒の孔部から吐出される霧状の燃料に着火手段で着火して、その燃料の火炎によって被焼却物を焼却する。
つまり、エアー中に含まれる燃料の濃度が極めて薄く、圧力を付加しただけでも着火しやすいため、着火手段で着火した際、エアー中に含まれる霧状の燃料が一気に燃焼することになり、火炎の温度を高めることができる。
この結果、被焼却物を、例えばバーナー等から吐出される火炎にて焼却する際の温度よりも高い温度にて焼却することができる。また、例えば使用済み注射器や注射針、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物、あるいは、その他の高温にて焼却する必要がある産業廃棄物等の被焼却物を、廃棄物処理法に準拠した高い温度にて確実に焼却することができる。
前記被焼却物は、例えば可燃性廃棄物、生ゴミ、汚泥、汚水、糞尿、或いは、廃油、廃液、塗料、タイヤ、合成樹脂成形品などの産業廃棄物、使用済み注射器や注射針、ガーゼなどの医療廃棄物等で構成することができる。
また、燃料は、例えば重油、軽油、灯油等の液体燃料、あるいは、天然ガス、プロパンガス等の気体燃料で構成することができる。
エアー吐出手段は、例えばエアー吐出管、エアー供給ポンプで構成することができる。なお、エアー供給ポンプの代わりに、例えばブロワやファン等を用いてもよい。
燃料吐出手段は、例えば燃料吐出管、燃料供給ポンプ等で構成することができる。また、着火手段は、例えばヒーター、圧電点火装置等で構成することができる。また、ガス誘導手段は、例えば誘導板や誘導路等で構成することができる。また、気流発生手段は、例えば気流が発生する方向に向けてエアーを吐出する気流発生管等で構成することができる。
この発明によれば、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却コストの低減を図ることができる。
第1実施例の焼却装置の内部構造を示す縦断側面図。 予備焼却室に配置した燃焼促進装置の拡大縦断側面図。 焼却炉のX−X線断面端面図。 第2実施例の焼却装置の内部構造を示す縦断側面図。 焼却炉のY−Y線断面端面図。 第3実施例の焼却装置の内部構造を示す縦断側面図。 第4実施例の焼却装置の内部構造を示す横断端面図。
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は第1実施例の焼却装置1Aの内部構造を示す縦断側面図、図2は予備焼却室7に配置した燃焼促進装置10Bの拡大縦断側面図、図3は焼却炉2のX−X線断面端面図である。
第1実施例の焼却装置1Aは、上方から見て丸形筒状を有する焼却炉2の内部を、該焼却炉2の内部中央に立設した隔壁3によって、被焼却物Bを焼却・乾留する焼却室4と、該焼却室4内で発生した乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを排気する煙突型の排気室5とに分割している。
なお、焼却炉2の全体は、例えば耐火レンガや耐火コンクリート等の部材により構成している。また、隔壁3は、耐火性及び耐熱性を有するセラミックス、あるいは、その他の耐火性及び耐熱材を有する部材で構成している。
隔壁3には、被焼却物Bの通過が阻止され、かつ、燃焼ガスNやエアーAr、火炎FHの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部3aを、焼却室4と排気室5とに貫通して設けるとともに、該孔部3aを、焼却室4内に設定した下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wと対応する部分の隔壁3の垂直面に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
焼却室4の上部には、次に焼却する被焼却物Bの投入が許容される大きさ及び形状に形成した乾燥炭化室6を連設している。また、焼却室4の下部には、焼却室4で焼却した被焼却物Bの焼却灰Baを排出する予備焼却室7を連設している。
焼却室4の上端側には、被焼却物Bの投入が許容される大きさ及び形状に形成した投入口4aを、乾燥炭化室6と連通して設けている。また、投入口4aの一側縁部には、該投入口4aが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター4bを開閉自在に枢着している。
焼却室4の下端側には、該焼却室4で焼却した被焼却物Bの焼却灰Baの排出が許容される大きさ及び形状に形成した排出口4cを、予備焼却室7と連通して設けている。また、排出口4cには、該排出口4cが閉塞される大きさ及び形状に形成した火格子型のシャッター4dを開閉自在に設けている。
シャッター4bの中央面には、燃焼ガスNの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部4baを設けている。また、孔部4baは、シャッター4bの平面に沿って所定間隔を隔てて複数配列している。
シャッター4dの中央面には、燃焼ガスNの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部4daを設けている。また、孔部4daは、シャッター4dの平面に沿って所定間隔を隔てて複数配列している。
乾燥炭化室6の上端側には、被焼却物Bの投入が許容される大きさ及び形状に形成した投入口6aを設けている。また、投入口6aの一側縁部には、該投入口6aが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター6bを開閉自在に枢着している。
乾燥炭化室6の排気室5と対応する壁部6cには、被焼却物Bの通過が阻止され、かつ、排気室5に排気された燃焼ガスNの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部6dを設けている。また、孔部6dは、壁部6cに沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
壁部6cの排出室5と対応する外面には、壁部6cの全孔部6dが閉塞される大きさ及び形状に形成した誘導板8を開閉自在に取り付けている。
誘導板8は、該誘導板8の上端側縁部を、壁部6cの上端側縁部に対して上下開閉自在に枢着している。その枢着部を中心として、壁部6cの全孔部6dが閉塞される閉角度と、排気室5に排気された燃焼ガスNが壁部6cの孔部6dに向けて誘導される開角度とに開閉調節自在に設けている。
また、誘導板8の背面側には、誘導板8を開閉操作するための操作杆9を連結している。つまり、操作杆9を牽引操作して、誘導板8の開閉角度を回動調節することにより、乾燥炭化室6の壁部6cに設けられた孔部6dに向けて誘導される燃焼ガスNの供給量を増減調整することができる。
また、排気室5内には、該排気室5内に排気された乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを上方に向けて移送するための気流を発生させる気流発生装置18の気流発生管18bを配置している。
気流発生装置18の気流発生管18bは、誘導板8の開閉範囲よりも外側下方に配置され、エアーArを供給するエアー供給ポンプ18aに接続している。また、気流発生管18bは、該気流発生管18bの先端から吐出されるエアーArが、乾燥炭化室6の壁部6cと誘導板8の誘導面との対向面間に形成される空間部に向けて吐出される吐出方向に向けて配管している。
つまり、気流発生管18bから吐出されるエアーArによって気流を発生させるとともに、そのエアーArの気流によって、排気室5に排気された乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNの一部を、乾燥炭化室6と誘導板8との対向面間に形成される空間部に向けて供給する。
誘導板8の誘導面に沿って上方へ誘導される燃焼ガスNは、乾燥炭化室6の壁部6cに設けた孔部6dを通過して、該乾燥炭化室6内に向けて積極的に供給される。
この結果、乾燥炭化室6内の被焼却物Bに接触する燃焼ガスNの接触量が多くなり、被焼却物Bの乾燥・炭化を促進することができる。また、被焼却物Bの焼却に要する時間を大幅に短縮して、処理能力の向上を図ることができる。
排気室5の焼却室4と対応する左側下方壁部には、該排気室5の内部と連通して丸形状の開口部5aを開口している。また、開口部5aは、隔壁3に設けた下側孔部3aと対向する高さ位置に設けている。
開口部5aには、焼却室4内の下側焼却領域4Vに投入された被焼却物Bに着火する機能と、該被焼却物Bの燃焼を促進する機能とを備えた後述する燃焼促進装置10Aを配置している。
予備焼却室7の左側壁部には、該予備焼却室7の内部と連通して丸形状の開口部7aを開口している。また、開口部7aは、予備焼却室7に投入された被焼却物Bと対向する高さ位置に設けている。
開口部7aには、予備焼却室7に投入された被焼却物Bに着火する機能と、該被焼却物Bを高温で焼却する機能とを備えた後述する燃焼促進装置10Bを配置している。
予備焼却室7の一側部には、該予備焼却室7に排出された焼却灰Baの取り出しが許容される灰取出し口7bを設けている。また、灰取出し口7bには、該灰取出し口7bが閉塞される大きさ及び形状に形成した取出し扉7cを開閉自在に設けている。
上述の燃焼促進装置10A,10Bは、後述する制御装置20にて制御される。また、燃焼促進装置10A,10Bの構造は略同一であるので、一方の燃焼促進装置10Bの構造について詳述する。
燃焼促進装置10Bは、図1、図2に示すように、燃料供給ポンプ11及び電磁弁12を介して、図示しない燃料供給源に接続された燃料吐出管13と、ダイヤフラム式のエアー供給ポンプ14に接続されたエアー吐出管15と、霧状に拡散された燃料Fuに着火する着火用ヒーター16とを備えている。
燃焼促進装置10Aのエアー吐出管15は、該エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArが、焼却室4内に設定した下側焼却領域4Vと対応する隔壁3の下側孔部3aに向けて吐出される吐出方向に向けて水平に配管している。
また、エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出力は、焼却室4内に設定した上側焼却領域4Wと対応する隔壁3の上側孔部3aから排気される燃焼ガスNが該エアーArの気流に対して巻き込まれる強さに設定している。
燃焼促進装置10Bのエアー吐出管15は、該エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArが、該エアー吐出管15の先端と対向して配置した拡散筒17の内部中心に向けて吐出される吐出方向に向けて水平に配管している。
燃焼促進装置10A,10Bの燃料吐出管13は、エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出方向と直交して垂直に配管するとともに、該燃料吐出管13の先端を、エアー吐出管15の先端に近接して配置している。
着火用ヒーター16は、燃料吐出管13よりも下流側に配置され、エアー吐出管15から吐出されるエアーArによって霧状に拡散された燃料Fuに対して着火が許容される位置に配置している。
つまり、エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArを、燃料吐出管13の先端に直交して水平方向に吐出することにより、燃料吐出管13の先端付近に負圧を発生させる。その負圧によって、燃料吐出管13の先端から吐出される液状の燃料Fuを吸引するとともに霧状に拡散する。
これにより、エアーAr中に含まれる燃料Fuの濃度が極めて薄く、圧力を付加しただけでも着火しやすい霧状の燃料Fuを生成することができる。
拡散筒17は、エアー吐出管15の先端と対向して配置され、該エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出方向の下流側端部を閉塞した筒形状に形成している。
拡散筒17の周面には、エアーAr及び霧状の燃料Fuの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部17aを設けている。また、孔部17aは、拡散筒17の周面に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
詳述すると、エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArの吐出力によって、燃料吐出管13の先端から吐出される液状の燃料Fuを霧状に拡散するとともに、その霧状の燃料Fuを、拡散筒17の閉塞側端部の中心付近に吹き付けて周囲に拡散させる。
さらに、拡散筒17の周面に設けた孔部17aを通過する際にさらに拡散して、エアーAr中に含まれる燃料Fuの濃度を、圧力が付加されるだけで着火するような状態に薄くする(図2参照)。
つまり、エアーAr中に含まれる燃料Fuの濃度が極めて薄く、圧力を付加しただけでも着火しやすいため、霧状の燃料Fuに着火用ヒーター16で着火した際、エアーAr中に含まれる霧状の燃料Fuが一気に燃焼することになり、火炎FHの温度を高めることができる。
制御装置20には、図示しないCPU、ROM、RAMが内蔵されている。また、CPUは、ROMに格納されたプログラムに沿って、排気室5に排気された乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNの温度を検知する温度センサー21と、燃焼促進装置10A,10Bの燃料供給ポンプ11と、電磁弁12と、エアー供給ポンプ14と、着火用ヒーター16と、気流発生装置18のエアー供給ポンプ18aとの駆動及び停止を制御する。
CPUは、排気室5内に配置した温度センサー21から出力される検知信号に基づいて、排気室5に排気された乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNの温度が、予めRAMに記憶された温度の範囲内であるか否かを判定する。
つまり、CPUにより乾留ガスKの温度が予め設定された温度以下であると判定された場合、燃料供給ポンプ11により供給される燃料Fuの供給量と、エアー供給ポンプ14により供給されるエアーArの吐出量とを増加させ、隔壁3に設けた下側孔部3aを介して、焼却室4内の下側焼却領域4Vに供給される火炎FHの火力を強くする。
これにより、被焼却物Bが燃焼する際の温度が高くなり、排気室5に排気される乾留ガスKの温度を上昇させることができる。
また、乾留ガスKの温度が、予め設定された温度以上であると判定された場合、燃料供給ポンプ11により供給される燃料Fuの供給量と、エアー供給ポンプ14により供給されるエアーArの吐出量とを減少させ、焼却室4内の下側焼却領域4Vに供給される火炎FHの火力を弱める。
これにより、被焼却物Bが燃焼する際の温度が低くなり、排気室5に排気される乾留ガスKの温度を低下させることができる。
次に、第1実施例の焼却装置1Aによる被焼却物Bの焼却方法を説明する。
先ず、図1、図3に示すように、焼却開始前に、焼却室4のシャッター4dを閉塞し、シャッター4bを開放し、乾燥炭化室6のシャッター6bを開放した後、被焼却物Bを、乾燥炭化室6の投入口6a及び焼却室4の投入口4aを介して、焼却室4内の下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wが満たされる状態に投入する。
この後、焼却室4のシャッター4bを閉塞し、次に焼却する被焼却物Bを乾燥炭化室6に所定量投入した後、乾燥炭化室6のシャッター6bを閉塞する。
焼却開始時において、制御装置20から出力される焼却開始信号に基づいて、燃焼促進装置10Aのエアー供給ポンプ14を駆動し、エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArの吐出力によって、燃料吐出管13から吐出される液状の燃料Fuを霧状に拡散させ、完全燃焼するのに必要な量のエアーArを霧状の燃料Fu中に混合する。
かつ、霧状に拡散した燃料Fuに着火用ヒーター16で着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに投入した被焼却物Bに着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料供給ポンプ11を停止し、着火用ヒーター16による着火を停止して、エアー吐出管15から吐出されるエアーArのみを、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給する。
これにより、被焼却物Bが燃焼する際、エアーArの供給量が不足したり、不完全燃焼が生じることが無く、被焼却物Bを効率よく燃焼させることができる。
また、下側焼却領域4Vに供給されるエアーArの供給量を、隔壁3の下側孔部3aによって、被焼却物Bが燃焼するのに必要なエアー供給量に制限又は絞り込み、その必要最小限のエアーArによって、下側焼却領域4Vの被焼却物Bを燃焼させる。
燃焼時において、焼却炉2内に供給されるエアーArは、下側焼却領域4Vの被焼却物Bが燃焼する際に殆ど消費されるので、下側焼却領域4Wに投入された被焼却物Bには殆ど供給されることがない。
したがって、上側焼却領域4Wの被焼却物Bを、下側焼却領域4Vの被焼却物Bが燃焼する際の焼却熱によって高温に加熱しても、該被焼却物Bが燃焼するのに必要なエアー供給量が得られず、不足することになるので、被焼却物Bが自然発火することを抑制できる。
また、上側焼却領域4Wの被焼却物Bを、下側焼却領域4Vの被焼却物Bが燃焼する際の焼却熱によって燃焼させることなく高温に加熱して乾留(蒸し焼き)するので、揮発性可燃成分からなる乾留ガスKと、不揮発性可燃成分からなる焼却物とに効率よく分解することができる。
上側焼却領域4Wの被焼却物Bが加熱された際に発生する高温の乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNは、隔壁3の上側孔部3aを通過して、焼却室4から排気室5へ排気される。
また、エアー吐出管15から吐出されるエアーArを、隔壁3の下側孔部3aに向けて吐出することにより、隔壁3の下側孔部3aに向けてエアーArの気流が発生する。
隔壁3の上側孔部3aから排気室5に排気された直後の乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNを、エアーArの気流に巻き込みながら該エアーArに混合して一緒に移送し、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給する。
これにより、下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wの孔部3aが近接しているので、焼却室4内で発生した被焼却物Bから放出される乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNを、エアーArの気流に巻き込みながら高温に保ったまま下側焼却領域4Vの被焼却物Bに対して連続して循環供給することができる。
なお、乾留ガスKや熱気Hを含む燃焼ガスNの残りは、排気室5の上端側開口部から大気中に排気される。
つまり、焼却室4内で発生した乾留ガスKを、高温に保ったまま焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給し、燃焼中の被焼却物Bの炎や高温の燃焼ガスNに接触させて着火するので、被焼却物Bの燃焼を、乾留ガスKが燃焼する際の火炎FHによって促進することができるとともに、被焼却物Bを燃焼させるための燃料として使用することができる。
このため、燃焼促進装置10Bによる着火後において、例えば重油やガス等の燃料Fuを供給しなくても、被焼却物Bが高温に加熱された際に発生する乾留ガスKを燃料として、被焼却物Bを完全燃焼させることができる。
この結果、被焼却物Bを焼却する際に使用する燃料Fuの消費量を必要最小限に抑えることができる。また、例えばノズルから噴射される液状の燃料Fuに着火するよりも、霧状の燃料Fuに着火すれば燃焼効率が良いので、被焼却物Bを焼却する際に使用する燃料Fuの消費量が少なくて済み、焼却費の低減を図ることができる。
また、焼却室4内で発生した乾留ガスKや燃焼ガスNには、例えば煤塵やダイオキシン、悪臭の元となる成分等が含まれている可能性があるが、その乾留ガスKや燃焼ガスNを、焼却室4内の下側焼却領域4Vに供給して、被焼却物Bが燃焼する際の高温にて煤塵を燃焼させ、ダイオキシンや悪臭の元となる成分を加熱・分解する。
この結果、例えば煤煙、異臭、有毒物質等の物質が大気中にほとんど放出されず、自然環境に影響を及ぼすような物質の放出量を低減することができる。
焼却室4にて被焼却物Bの焼却が完了した後、シャッター4dを開放して、被焼却物Bの焼却灰Baを、焼却室4から予備焼却室7へ排出する。シャッター4dを閉塞した後、シャッター4bを開放して、乾燥炭化室6にて乾燥・炭化された被焼却物Bを焼却室4に投入する。
なお、予備焼却室7に排出された焼却灰Baは、取出し扉7cを開放し、予備焼却室7から取り出して廃棄処分する。
焼却室4のシャッター4bを閉塞した後、上述と同様にして、焼却室4に投入された被焼却物Bを焼却するので、例えば水分が含まれる被焼却物Bを焼却室4に直接投入して焼却するよりも、被焼却物Bの焼却に要する処理時間を大幅に短縮することができる。また、焼却時の熱量が少なくて済むため、焼却コストの低減を図ることができる。
また、例えば汚泥や糞尿等の水分が多く含まれる被焼却物Bを乾燥・炭化する場合、誘導板8の開角度を大きくして、排気室5に排気された乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを乾燥炭化室6内に向けて誘導し、孔部6bを通過して乾燥炭化室6内に供給される乾留ガスKや熱気Hの供給量を多くする。
つまり、被焼却物Bに接触する燃焼ガスNの接触量を増加させて、被焼却物Bを燃焼ガスNの熱によって加熱し、被焼却物Bに含まれる水分を燃焼ガスNに効率よく吸着させるので、被焼却物Bを短い時間で乾燥・炭化することができる。
また、誘導板8の開角度を小さくして、乾燥炭化室6内に供給される燃焼ガスNの供給量を制限又は絞り込めば、被焼却物Bに接触する燃焼ガスNの接触量が減少するので、被焼却物Bが必要以上に乾燥・炭化されることを防止できる。
これにより、乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bの水分含有量に応じて、該乾燥炭化室6内に供給される燃焼ガスNの供給量を増減調整することができ、乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bを、焼却室4にて効率よく焼却するのに適した乾燥状態又は炭化状態に予備処理することができる。
次に、例えば使用済み注射器や注射針、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物、あるいは、その他の高温にて焼却する必要がある産業廃棄物等の被焼却物Bを焼却処理する方法を説明する。
先ず、被焼却物Bを焼却室4で一次焼却した後、焼却室4のシャッター4dを開放して、一次焼却された被焼却物Bを予備焼却室7に投入する。
シャッター4dを閉塞した後、予備焼却室7に投入された被焼却物Bを、燃焼促進装置10Bから噴射される火炎FHにより、焼却室4で焼却する際の温度よりも高い温度(例えば1200℃以上)にて焼却する。
この結果、上述のような高温にて焼却する必要がある被焼却物Bを、焼却室4で焼却する際の温度よりも高い温度で、廃棄物処理法に準拠した温度にて確実に焼却することができる。
なお、上述の高温にて焼却する被焼却物Bを、予備焼却室7に直接投入して高温で焼却してもよい。
また、図1中の仮想線で示す熱伝導管22を、焼却炉2の外周面(或いは内周面)に沿って螺旋状に配管してもよく、焼却時の余熱を利用して、熱伝導管22内に供給される例えば水等の液体を加熱して蒸発気化すれば、その蒸気の圧力を利用して発電用蒸気タービンを駆動することができるので、第1実施例の焼却装置1Aを発電にも適用することができる。
次に、図4、図5を用いて、被焼却物Bを、焼却室4内の温度を低下させること無く焼却する第2実施例の焼却装置1Bについて説明する。
図4は第2実施例の焼却装置1Bの内部構造を示す縦断側面図、図5は焼却炉2のY−Y線断面端面図である。
なお、第2実施例において、前述の第1実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
第2実施例の焼却装置1Bは、焼却炉2の内部を、2枚の隔壁3によって焼却室4と排気室5,5とに分割している。その隔壁3の上部側に開口した開口部3bには、誘導板8を開閉自在に取り付けている。また、排気室5の下側壁部には、燃焼促進装置10Aをそれぞれ配置している。
焼却炉2の上部には、焼却室4と連通して、閉塞板6eが回転自在に軸支された乾燥炭化室6を連設している。また、閉塞板6eは、乾燥炭化室6の内部中央に軸架した軸部6fで軸支され、軸部6fを中心として、電動又は手動にて矢印方向に回転される。
つまり、シャッター6bを閉塞したまま、乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bを、閉塞板6eの回転によって乾燥炭化室6から排出するとともに、乾燥炭化室6の排出側に配置したシューター6gに沿って流下させて焼却室4に投入する。
乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bを焼却室4に投入する際、温度の低い外気が焼却室4や排気室5に侵入することを防止できる。また、焼却室4や排気室5内の乾留ガスKや熱気Hが、乾燥炭化室6から大気中に排気されることを防止できる。
この結果、焼却室4や排気室5の温度が殆ど変化せず、被焼却物Bでの焼却に及ぼす影響が小さいため、被焼却物Bの焼却がより効率よく行える。
また、シューター6gの斜面には、乾留ガスKや熱気Hの通過が許容される丸形状の孔部6hを、該シューター6gの斜面に沿って所定間隔を隔てて複数配列している。
焼却室4の排出口4cには、火格子4eを配置している。また、火格子4eの下部には、排出口4cが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター4fを開閉自在に設けている。
焼却装置1Bにより被焼却物Bを焼却する場合、左右の燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの吐出力によって霧状に拡散した燃料Fuに着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに投入された被焼却物Bに着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料Fuの吐出を停止させ、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArのみを焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給し、隔壁3の下側孔部3aにより絞り込まれた必要最小限のエアーArを利用して、被焼却物Bを燃焼させる。
一方、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを、隔壁3の上側孔部3aから左右の排気室5へ排気するとともに、該排気室5に排気された高温の乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNを、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの気流に巻き込みながら隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに左右から連続供給する。
これにより、焼却室4内で発生する高温の乾留ガスKを、焼却室4内の被焼却物Bを燃焼させるための燃料として使用することができる。
この結果、エアーAr及び火炎FHを、焼却室4の内部に対して1箇所から供給するよりも焼却効率が良く、前記第1実施例と略同等又は同等以上の作用及び効果を奏することができる。
なお、回転式の閉塞板6eを備えた乾燥炭化室6の構成は、第1実施例の焼却装置1Aにも適用することができる。
また、焼却室4の上部に、閉塞板6eが軸支された乾燥炭化室6を連設して、乾燥炭化室6にて乾燥・炭化された被焼却物Bを、閉塞板6eの回転により排出して焼却室4に直接投入してもよい。
次に、図6を用いて、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを焼却以外の方法に利用する第3実施例の焼却装置1Cについて説明する。図6は第3実施例の焼却装置1Cの内部構造を示す縦断側面図である。
なお、第3実施例において、前述の第1実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
第3実施例の焼却装置1Cは、焼却炉2の内部を、該焼却炉2の長手方向に直交して配置した誘導筒19によって焼却室4と予備焼却室7とに上下分割している。
誘導筒19は、焼却炉2の両側壁部に貫通して水平に配置している。また、誘導筒19の中央上部周面には、誘導筒19の内部と連通して乾燥炭化筒19aを上方に向けて垂直に連設している。
誘導筒19及び乾燥炭化筒19aの周面には、燃焼ガスNやエアーAr、火炎FHの通過が許容される丸形状の孔部19bを、各筒の周面に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
焼却炉2の上部には、該焼却炉2の内部と連通して投入口2aを開口している。また、投入口2aには、該投入口2aが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター2bを開閉自在に設けている。
また、誘導筒19の左端側開口部には、第1実施例で説明した燃焼促進装置10Aを配置している。また、誘導筒19の右端側開口部は、乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを利用する図示しない装置に接続している。
焼却装置1Cにより被焼却物Bを焼却する場合、燃焼促進装置10Aから吐出される霧状に拡散した燃料Fuに着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、誘導筒19の孔部19bを通過させて、焼却室4内に投入された被焼却物Bに着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料Fuの吐出を停止させ、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArのみを誘導筒19及び乾燥炭化筒19aに連続供給し、誘導筒19及び乾燥炭化筒19aの孔部19bから吐出されるエアーArを利用して、被焼却物Bを燃焼させる。
なお、焼却室4で焼却した被焼却物Bの焼却灰Baは、焼却室4と誘導筒19との間に形成された図示しない排出路を通って予備焼却室7に投入される。
一方、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを、下流側孔部19bから誘導筒19内へ流入させ、誘導筒19の右端側開口部に接続された例えば加熱機やボイラー等の他の装置へ連続供給する。
これにより、揮発性可燃成分が含まれる乾留ガスKを燃焼用の燃料として他の装置で用いることができる。また、乾留ガスKや熱気Hの高熱は、例えば発電用蒸気タービンを駆動するための蒸気を生成するのに利用できる。
この結果、乾留ガスKや熱気Hの損失が少なく、無駄なく有効に活用することができる。
次に、図7を用いて、焼却室4内に投入された被焼却物Bを複数の方向から火炎FHにて同時に着火する第4実施例の焼却装置1Dを説明する。図7は第4実施例の焼却装置1Dの内部構造を示す横断端面図である。
なお、第4実施例において、前述の第1実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
第4実施例の焼却装置1Dは、丸形筒状を有する焼却炉2の内部を、該焼却炉2の内部中央に配置した丸形筒状の隔壁3によって、内側の焼却室4と外側の排気室5とに分割している。
また、排気室5の下側周壁部には、燃焼促進装置10Aを、焼却炉2の中心部を中心として周方向に所定間隔を隔てて4基配置している。
焼却装置1Dにより被焼却物Bを焼却する場合、4基の燃焼促進装置10Aから吐出される霧状に拡散した燃料Fuに着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、隔壁3の下側周面に配置した孔部3aを通過させて、焼却室4内の下層側に投入された被焼却物Bに対して複数の方向から同時に着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料Fuの吐出を停止させ、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArのみを焼却室4内に連続供給して、被焼却物Bを完全燃焼させる。かつ、焼却室4内の上層側に投入された被焼却物Bを、下層側の被焼却物Bが燃焼する際の焼却熱によって乾燥・炭化させる。
一方、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの気流に巻き込みながら隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内に対して複数の方向から同時に連続供給する。
これにより、焼却室4内で発生する高温の乾留ガスKを、焼却室4内の被焼却物Bを燃焼させるための燃料として使用することができる。
この結果、エアーAr及び火炎FHを、焼却室4の内部に対して1箇所又は2箇所から供給するよりも焼却効率が良く、前記第1実施例と略同等又は同等以上の作用及び効果を奏することができる。
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の燃焼促進手段は、実施形態の燃焼促進装置10A,10Bに対応し、
以下同様に、
燃料吐出手段は、燃料吐出管13に対応し、
エアー吐出手段は、エアー吐出管15に対応し、
着火手段は、着火用ヒーター16に対応し、
制御手段は、制御装置20に対応し、
温度検知手段は、温度センサー21に対応し、
ガス誘導手段は、誘導板8に対応し、
気流発生手段は、気流発生管18bに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば隔壁3の孔部3aを、例えば汚泥、糞尿等の液状又はペースト状の被焼却物Bが表面張力によって通過が阻止され、エアーArの通過が許容される孔径に形成すれば、液状又はペースト状の被焼却物Bが隔壁3の孔部3aを通過しにくく、孔部3aに詰りが生じることを防止できる。
また、乾燥炭化室6に投入された液状又はペースト状の被焼却物Bを、焼却室4内で被焼却物Bを焼却した際に発生する焼却熱と、焼却室4内で発生した燃焼ガスNの熱とで加熱して、被焼却物Bに含まれる水分を蒸発させ乾燥・炭化してもよい。
また、被焼却物Bを、例えばスクリューコンベアー等の移送手段により移送して焼却室4内に定量投入してもよい。
なお、焼却炉2全体や焼却室4及び排気室5の容積と、隔壁3の孔部3aの開口率と、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの供給量とを、例えば産業廃棄物や医療廃棄物、その他の廃棄物等の被焼却物Bの種類に応じて、該被焼却物Bを焼却するのに適した値に更してもよい。
B…被焼却物
Ba…焼却灰
N…焼却ガス
K…乾留ガス
H…熱気
Ar…エアー
Fu…燃料
FH…火炎
1A,1B,1C,1D…焼却装置
2…焼却炉
3…隔壁
3a…孔部
4…焼却室
4V…下側焼却領域
4W…上側焼却領域
5…排気室
6…乾燥炭化室
6c…壁部
6d…孔部
7…予備焼却室
8…誘導板
10A,10B…燃焼促進装置
13…燃料吐出管
15…エアー吐出管
16…着火用ヒーター
17…拡散筒
17a…孔部
18…気流発生装置
18b…気流発生管
19…誘導筒
19a…乾燥炭化筒
19b…孔部
20…制御装置
21…温度センサー
22…熱伝導管
この発明は、例えば可燃性廃棄物、生ゴミ、汚泥、汚水、糞尿、廃油、廃液、塗料、タイヤ、合成樹脂成形品などの産業廃棄物、あるいは、使用済み注射器、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物等の被焼却物を焼却する際に用いられる焼却装置に関する。
従来、上述の被焼却物を焼却する装置としては、例えば乾留焼却室内の可燃性廃棄物を、バーナーの火炎及び高温の燃焼用ガスにて加熱・燃焼させる焼却炉が提案されている(特許文献1参照)。
引用文献1の焼却炉は、例えば液体燃料や気体燃料等を燃料とするバーナーの火炎及び生成される高温の燃焼用ガスにて乾留焼却室内の可燃性廃棄物を加熱・燃焼させる。また、可燃性廃棄物が高温ガスに晒された際に発生する乾留ガスを、燃焼ガス循環路により乾留焼却室上部から該乾留焼却室下部へ循環させ、バーナーの火炎に取り込まれた乾留ガスを、そのバーナーの火炎及び生成される燃焼用ガス、火炎中に残留する高温の空気によって燃焼させる。
しかし、乾留焼却室内の可燃性廃棄物を、バーナーから噴射される火炎及び生成される燃焼用ガスにより加熱して燃焼させるので、可燃性廃棄物の焼却が完了するまで、バーナーから火炎を連続して噴射しなければならず、燃料の消費量が多くなるだけでなく、焼却コストが高くなる。
また、可燃性廃棄物が発生する乾留ガスを、燃焼ガス循環路により乾留焼却室の上部から下部へ循環させるので、乾留ガスの温度が発生直後よりも低下することになる。したがって、乾留焼却室内に返還される乾留ガスを燃焼させるためには、バーナーの火炎や高温の空気にて燃焼温度に再加熱しなければならず、焼却効率が悪いという問題があった。
特許第3700947号公報
この発明は、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済むとともに、自然環境に影響を及ぼすような物質の放出量を低減することができる焼却装置の提供を目的とする。
この発明は、焼却炉の内部に、被焼却物を燃焼させて焼却する焼却室と、該焼却室内で発生した乾留ガスが含まれる燃焼ガスを排気する排気室とを備えた焼却装置であって、前記焼却炉の内部を、該焼却炉の内部に設けた隔壁によって前記焼却室と前記排気室とに分割し、前記隔壁に、前記焼却室と前記排気室とに貫通して孔部を設けるとともに、該孔部を、前記焼却室内に設定した下側焼却領域及び上側焼却領域と対応する部分の前記隔壁に沿って所定間隔を隔てて多数配列し、前記排気室の前記下側焼却領域の孔部と対向する位置に、前記下側焼却領域の孔部に向けてエアーを吐出するエアー吐出手段と、前記孔部に向けて燃料を吐出する燃料吐出手段と、前記燃料吐出手段から吐出される燃料に着火する着火手段とからなる燃焼促進手段を配置し、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出力を、前記上側焼却領域の孔部から排気される燃焼ガスが該エアーの気流に対して巻き込まれる強さに設定し、前記焼却室の上部に、前記被焼却物の投入が許容される投入口を設け、前記投入口に、前記被焼却物を乾燥・炭化する乾燥炭化室を連設し、前記乾燥炭化室の前記排気室と対応する壁部に、前記燃焼ガスのみの通過が許容される複数の孔部を設け、前記排気室に、前記壁部に設けた孔部に向けて前記燃焼ガスを誘導するガス誘導手段を設けた焼却装置であることを特徴とする。
この発明によれば、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却コストの低減を図ることができる。
詳述すると、焼却開始時において、燃焼促進手段の燃料吐出手段から吐出される燃料に着火手段で着火し、その燃料の火炎を、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却炉内の下側焼却領域に投入された被焼却物に着火する。着火後、燃料の吐出を停止させ、エアー吐出手段から吐出されるエアーのみを、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却炉内の下側焼却領域に連続供給する。
これにより、焼却炉内の下側焼却領域に投入された被焼却物が燃焼する際、エアー供給量が不足したり、不完全燃焼が生じることが無く、被焼却物を効率よく燃焼させることができる。
また、焼却室内の下側焼却領域に供給されるエアーの供給量を、隔壁の孔部によって被焼却物が燃焼するのに必要なエアー供給量に制限又は絞り込み、その必要最小限のエアーによって、下側焼却領域の被焼却物を燃焼させる。
燃焼時において、焼却炉内に供給されるエアーは、下側焼却領域の被焼却物が燃焼する際に殆ど消費されるので、上側焼却領域に投入された被焼却物には殆ど供給されることがない。
したがって、上側焼却領域の被焼却物を、下側焼却領域の被焼却物が燃焼する際の焼却熱によって高温に加熱しても、該被焼却物が燃焼するのに必要なエアー供給量が得られず、不足することになるので、被焼却物が自然発火することを抑制できる。
また、上側焼却領域の被焼却物を、下側焼却領域の被焼却物が燃焼する際の焼却熱によって燃焼させることなく高温に加熱して乾留(蒸し焼き)するので、揮発性可燃成分からなる乾留ガスと、不揮発性可燃成分からなる被焼却物とに効率よく分解することができる。
焼却室内で発生した乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスは、隔壁の上側孔部を通過して、焼却室から排気室へ排気される。また、排気室に排気された乾留ガスや熱気が含まれる高温の燃焼ガスは、エアー吐出手段から吐出されるエアーの気流に巻き込みながら該エアーに混合して一緒に移送し、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却室内の下側焼却領域に連続供給する。
つまり、エアー吐出手段から吐出されるエアーを、隔壁の下側孔部に向けて吐出することにより、隔壁の下側孔部に向けてエアーの気流を発生させる。
また、下側焼却領域及び上側焼却領域の孔部が近接しているので、隔壁の上側孔部から排気室へ排気された乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスが、エアー吐出手段から吐出されるエアーの気流に巻き込まれる。かつ、そのエアーの気流によって、焼却室内で発生した直後の高温状態に保ったまま、隔壁の下側孔部から焼却室内の下側焼却領域へ循環供給することができる。
これにより、焼却室内で発生した乾留ガスを、高温に保ったまま焼却室内の下側焼却領域に連続供給し、燃焼中の被焼却物の炎や高温の燃焼ガスに接触させて瞬時に着火するので、被焼却物の燃焼を、乾留ガスの火炎によって促進することができるとともに、被焼却物を燃焼させるための燃料として使用することができる。
したがって、着火後において、例えば重油、軽油、灯油等の液体燃料を供給しなくても、焼却室内で発生した高温状態の乾留ガスを燃料として、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物を燃焼させることができる。
この結果、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量を抑えることができる。例えば液体燃料を燃料とするバーナーの火炎にて燃焼させるよりも、燃料の消費量が少なくて済み、焼却費の低減を図ることができる。
焼却室内で発生した直後の乾留ガスを高温状態のまま焼却室内の下側焼却領域に供給するので、乾留ガスを燃焼させる際の熱量が少なくて済み、熱損失を低減することができ、焼却効率の向上を図ることができる。
また、焼却室内で発生した乾留ガスには、例えば煤塵やダイオキシン、悪臭の元となる成分等が含まれている可能性があるが、排気室へ排気された乾留ガスを、エアー吐出手段から供給されるエアーの気流に巻き込みながら焼却室内の下側焼却領域に供給して、被焼却物が燃焼する際の高温にて煤塵を燃焼させ、ダイオキシンや悪臭の元となる成分を加熱・分解する。
この結果、例えば煤煙、異臭、有毒物質等の物質が大気中にほとんど放出されず、自然環境に影響を及ぼすような物質の放出量を低減することができる。
また、この発明によれば、予め乾燥・炭化した被焼却物を焼却室に投入して焼却するので、被焼却物の焼却に要する処理時間を大幅に短縮することができるとともに、焼却時に発生する熱を有効に利用することができる。
詳述すると、焼却室内で発生する乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスを、隔壁の上側孔部から排気室へ排気するとともに、焼却室から排気室へ排気された燃焼ガスを、ガス誘導手段によって乾燥炭化室の壁部に設けられた孔部に向けて誘導し、該孔部を通過させて乾燥炭化室内へ供給する。
すなわち、被焼却物が焼却室内で燃焼する際に発生する焼却熱と、排気室へ排気された燃焼ガスの熱とを利用して、乾燥炭化室に投入された被焼却物を高温に加熱して、被焼却物に含まれる水分を蒸発させ、乾燥・炭化させる。その乾燥・炭化した高温の被焼却物を焼却室に投入して焼却する。
この結果、例えば水分が含まれる被焼却物を焼却するよりも、被焼却物の焼却に要する処理時間を大幅に短縮することができる。また、焼却時の熱量が少なくて済むため、焼却コストの低減を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記ガス誘導手段を、前記乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部が閉塞される大きさ及び形状に形成した誘導板で構成し、前記誘導板の上端側を、前記乾燥炭化室の前記排気室と対応する壁部の上端側に枢着して、該誘導板を、前記乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部が閉塞される閉塞角度と、該壁部に設けた孔部に向けて前記燃焼ガスが誘導される開放角度とに開閉調節自在に設けることができる。
この発明によれば、乾燥炭化室に投入された被焼却物を、焼却室にて効率よく焼却するのに適した乾燥状態又は炭化状態に予備処理することができる。
詳述すると、例えば汚泥や糞尿等の水分が多く含まれる被焼却物を乾燥・炭化する場合、誘導板の開角度を大きくして、焼却室から排気室へ排気された乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスを乾燥炭化室の壁部に設けられた孔部に向けて誘導し、該孔部を通過して乾燥炭化室内に供給される乾留ガスや熱気の供給量を多くする。
つまり、被焼却物に接触する燃焼ガスの接触量を増加させて、被焼却物を燃焼ガスの熱によって加熱し、被焼却物に含まれる水分を燃焼ガスに効率よく吸着させるので、被焼却物を短い時間で乾燥・炭化することができる。
また、誘導板の開角度を小さくして、乾燥炭化室内に供給される燃焼ガスの供給量を制限又は絞り込めば、被焼却物に接触する燃焼ガスの接触量が減少するので、被焼却物が必要以上に乾燥・炭化されることを防止できる。
この結果、乾燥炭化室に投入された被焼却物の水分含有量に応じて、該乾燥炭化室内に供給される燃焼ガスの供給量を増減調整することができる。
なお、被焼却物を乾燥・炭化する必要がなければ、誘導板によって乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部を閉塞すれば、燃焼ガスが乾燥炭化室内に供給されることを防止できる。
また、この発明の態様として、前記誘導板の開閉範囲よりも外側下方に、前記乾燥炭化室と前記誘導板との対向面間に形成される空間部に向けてエアーを吐出するとともに、該エアーによって気流を発生させる気流発生手段を設けることができる。
この発明によれば、乾燥炭化室に投入された被焼却物を短い時間で乾燥・炭化することができる。
詳述すると、排気室に排気された乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスを、気流発生手段から吐出されるエアーによって発生させた気流により乾燥炭化室と誘導板との対向面間に形成される空間部に向けて供給し、該誘導板に沿って誘導される燃焼ガスを、乾燥炭化室の壁部に設けた孔部を通過させて、該乾燥炭化室内に向けて積極的に供給する。
この結果、被焼却物に接触する燃焼ガスの接触量が多くなり、被焼却物の乾燥・炭化を促進することができる。また、被焼却物の焼却に要する時間を大幅に短縮して、処理能力の向上を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記排気室の内部に、該排気室に排気された燃焼ガスの温度を検知する温度検知手段を設け、前記温度検知手段から出力される検知信号に基づいて、予め設定された温度の範囲内であるか否かを判定し、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を制御する制御手段を備えることができる。
この発明によれば、焼却室に投入された被焼却物の燃焼と、乾燥炭化室に投入された被焼却物の乾燥・炭化を促進することができる。
詳述すると、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物の燃焼時において、焼却室から排気室へ排気される乾留ガスが含まれる燃焼ガスの温度を温度検知手段にて検知するとともに、温度検知手段から出力される検知信号に基づいて、燃焼ガスの温度が予め設定された温度の範囲内であるか否かを制御手段にて判定する。
つまり、制御手段により燃焼ガスの温度が、予め設定された温度以下であると判定された場合、エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を増加させ、焼却室内に供給される火炎の火力を強くして、被焼却物が燃焼する際の温度を高めることにより、排気室に排気される燃焼ガスの温度を上昇させる。
燃焼ガスの温度が、予め設定された温度以上であると判定された場合、エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を減少させ、焼却室内に供給される火炎の火力を弱めて、被焼却物が燃焼する際の温度を低めることにより、排気室に排気される燃焼ガスの温度を低下させる。
この結果、乾留ガスが含まれる燃焼ガスの温度を、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物の燃焼を促進されるとともに、乾燥炭化室に投入された被焼却物の乾燥・炭化を促進する温度に保つことができる。
また、この発明の態様として、前記焼却室の下部に、前記被焼却物の焼却灰の排出が許容される排出口を設け、前記排出口に、前記焼却室から排出される被焼却物を、該焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度で焼却する予備焼却室を連設し、前記予備焼却室に、該予備焼却室に投入された被焼却物を高温の火炎にて焼却する燃焼促進手段を備えることができる。
この発明によれば、被焼却物を、例えば焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度で焼却することができる。
詳述すると、焼却室にて一次焼却した被焼却物を、該焼却室下部に連設した予備焼却室に投入する。燃焼促進手段から吐出される火炎を、予備焼却室に投入された被焼却物に吹き付けて、焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度にて焼却する。
この結果、例えば使用済み注射器や注射針、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物、あるいは、その他の高温にて焼却する必要がある産業廃棄物等の被焼却物を、廃棄物処理法に準拠した高い温度にて確実に焼却することができる。
また、この発明の態様として、前記燃料吐出管を、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出方向と直交して配置するとともに、該燃料吐出管の先端を前記エアー吐出管の先端に近接して配置することができる。
この発明によれば、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量を抑えることができる。
詳述すると、エアー吐出管から吐出されるエアーを、エアー吐出管の先端に近接して配置した燃料吐出管の先端に向けてエアーの吐出方向と直交して吐出する。そのエアーの吐出力によって、燃料吐出管から吐出される液状の燃料を、該燃料吐出管の先端付近に発生する負圧によって吸引するとともに霧状に拡散させ、完全燃焼するのに必要な量のエアーを霧状の燃料中に混合するので、燃焼時においてエアー及び燃料の量に過不足が生じることがない。
かつ、霧状に拡散した燃料に着火手段で着火するとともに、その燃料の火炎を、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物に着火する。
この結果、例えばノズルから噴射される液状の燃料に着火するよりも、霧状に拡散した燃料に着火すれば燃焼効率が良いので、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却費の低減を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記エアー吐出手段の吐出側に、該エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出方向と対向して拡散筒を配置し、前記拡散筒を、前記エアーの吐出方向と対向する端部を閉塞した筒形状に形成し、該拡散筒の周面に、前記エアー及び燃料の通過が許容される大きさ及び形状に形成した孔部を設けるとともに、該拡散筒の周面に沿って所定間隔を隔てて複数配列することができる。
この発明によれば、被焼却物を、例えばバーナー等の火炎吐出装置から吐出される火炎にて焼却する際の温度よりも高い温度の火炎にて焼却することができる。
詳述すると、エアー吐出管から吐出されるエアーの吐出力によって、燃料吐出管から吐出される液状の燃料を霧状に拡散するとともに、その霧状の燃料を、拡散筒の閉塞側端部に吹き付けて周囲に拡散させる。
さらに、拡散筒の周面に設けた孔部を通過する際にさらに拡散して、エアー中に含まれる燃料の濃度を、圧力が付加されるだけで着火するような状態に薄くする。かつ、拡散筒の孔部から吐出される霧状の燃料に着火手段で着火して、その燃料の火炎によって被焼却物を焼却する。
つまり、エアー中に含まれる燃料の濃度が極めて薄く、圧力を付加しただけでも着火しやすいため、着火手段で着火した際、エアー中に含まれる霧状の燃料が一気に燃焼することになり、火炎の温度を高めることができる。
この結果、被焼却物を、例えばバーナー等から吐出される火炎にて焼却する際の温度よりも高い温度にて焼却することができる。また、例えば使用済み注射器や注射針、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物、あるいは、その他の高温にて焼却する必要がある産業廃棄物等の被焼却物を、廃棄物処理法に準拠した高い温度にて確実に焼却することができる。
前記被焼却物は、例えば可燃性廃棄物、生ゴミ、汚泥、汚水、糞尿、或いは、廃油、廃液、塗料、タイヤ、合成樹脂成形品などの産業廃棄物、使用済み注射器や注射針、ガーゼなどの医療廃棄物等で構成することができる。
また、燃料は、例えば重油、軽油、灯油等の液体燃料、あるいは、天然ガス、プロパンガス等の気体燃料で構成することができる。
エアー吐出手段は、例えばエアー吐出管、エアー供給ポンプで構成することができる。なお、エアー供給ポンプの代わりに、例えばブロワやファン等を用いてもよい。
燃料吐出手段は、例えば燃料吐出管、燃料供給ポンプ等で構成することができる。また、着火手段は、例えばヒーター、圧電点火装置等で構成することができる。また、ガス誘導手段は、例えば誘導板や誘導路等で構成することができる。また、気流発生手段は、例えば気流が発生する方向に向けてエアーを吐出する気流発生管等で構成することができる。
この発明によれば、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却コストの低減を図ることができる。
第1実施例の焼却装置の内部構造を示す縦断側面図。 予備焼却室に配置した燃焼促進装置の拡大縦断側面図。 焼却炉のX−X線断面端面図。 第2実施例の焼却装置の内部構造を示す縦断側面図。 焼却炉のY−Y線断面端面図。 第3実施例の焼却装置の内部構造を示す縦断側面図。 第4実施例の焼却装置の内部構造を示す横断端面図。
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は第1実施例の焼却装置1Aの内部構造を示す縦断側面図、図2は予備焼却室7に配置した燃焼促進装置10Bの拡大縦断側面図、図3は焼却炉2のX−X線断面端面図である。
第1実施例の焼却装置1Aは、上方から見て丸形筒状を有する焼却炉2の内部を、該焼却炉2の内部中央に立設した隔壁3によって、被焼却物Bを焼却・乾留する焼却室4と、該焼却室4内で発生した乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを排気する煙突型の排気室5とに分割している。
なお、焼却炉2の全体は、例えば耐火レンガや耐火コンクリート等の部材により構成している。また、隔壁3は、耐火性及び耐熱性を有するセラミックス、あるいは、その他の耐火性及び耐熱材を有する部材で構成している。
隔壁3には、被焼却物Bの通過が阻止され、かつ、燃焼ガスNやエアーAr、火炎FHの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部3aを、焼却室4と排気室5とに貫通して設けるとともに、該孔部3aを、焼却室4内に設定した下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wと対応する部分の隔壁3の垂直面に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
焼却室4の上部には、次に焼却する被焼却物Bの投入が許容される大きさ及び形状に形成した乾燥炭化室6を連設している。また、焼却室4の下部には、焼却室4で焼却した被焼却物Bの焼却灰Baを排出する予備焼却室7を連設している。
焼却室4の上端側には、被焼却物Bの投入が許容される大きさ及び形状に形成した投入口4aを、乾燥炭化室6と連通して設けている。また、投入口4aの一側縁部には、該投入口4aが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター4bを開閉自在に枢着している。
焼却室4の下端側には、該焼却室4で焼却した被焼却物Bの焼却灰Baの排出が許容される大きさ及び形状に形成した排出口4cを、予備焼却室7と連通して設けている。また、排出口4cには、該排出口4cが閉塞される大きさ及び形状に形成した火格子型のシャッター4dを開閉自在に設けている。
シャッター4bの中央面には、燃焼ガスNの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部4baを設けている。また、孔部4baは、シャッター4bの平面に沿って所定間隔を隔てて複数配列している。
シャッター4dの中央面には、燃焼ガスNの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部4daを設けている。また、孔部4daは、シャッター4dの平面に沿って所定間隔を隔てて複数配列している。
乾燥炭化室6の上端側には、被焼却物Bの投入が許容される大きさ及び形状に形成した投入口6aを設けている。また、投入口6aの一側縁部には、該投入口6aが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター6bを開閉自在に枢着している。
乾燥炭化室6の排気室5と対応する壁部6cには、被焼却物Bの通過が阻止され、かつ、排気室5に排気された燃焼ガスNの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部6dを設けている。また、孔部6dは、壁部6cに沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
壁部6cの排出室5と対応する外面には、壁部6cの全孔部6dが閉塞される大きさ及び形状に形成した誘導板8を開閉自在に取り付けている。
誘導板8は、該誘導板8の上端側縁部を、壁部6cの上端側縁部に対して上下開閉自在に枢着している。その枢着部を中心として、壁部6cの全孔部6dが閉塞される閉角度と、排気室5に排気された燃焼ガスNが壁部6cの孔部6dに向けて誘導される開角度とに開閉調節自在に設けている。
また、誘導板8の背面側には、誘導板8を開閉操作するための操作杆9を連結している。つまり、操作杆9を牽引操作して、誘導板8の開閉角度を回動調節することにより、乾燥炭化室6の壁部6cに設けられた孔部6dに向けて誘導される燃焼ガスNの供給量を増減調整することができる。
また、排気室5内には、該排気室5内に排気された乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを上方に向けて移送するための気流を発生させる気流発生装置18の気流発生管18bを配置している。
気流発生装置18の気流発生管18bは、誘導板8の開閉範囲よりも外側下方に配置され、エアーArを供給するエアー供給ポンプ18aに接続している。また、気流発生管18bは、該気流発生管18bの先端から吐出されるエアーArが、乾燥炭化室6の壁部6cと誘導板8の誘導面との対向面間に形成される空間部に向けて吐出される吐出方向に向けて配管している。
つまり、気流発生管18bから吐出されるエアーArによって気流を発生させるとともに、そのエアーArの気流によって、排気室5に排気された乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNの一部を、乾燥炭化室6と誘導板8との対向面間に形成される空間部に向けて供給する。
誘導板8の誘導面に沿って上方へ誘導される燃焼ガスNは、乾燥炭化室6の壁部6cに設けた孔部6dを通過して、該乾燥炭化室6内に向けて積極的に供給される。
この結果、乾燥炭化室6内の被焼却物Bに接触する燃焼ガスNの接触量が多くなり、被焼却物Bの乾燥・炭化を促進することができる。また、被焼却物Bの焼却に要する時間を大幅に短縮して、処理能力の向上を図ることができる。
排気室5の焼却室4と対応する左側下方壁部には、該排気室5の内部と連通して丸形状の開口部5aを開口している。また、開口部5aは、隔壁3に設けた下側孔部3aと対向する高さ位置に設けている。
開口部5aには、焼却室4内の下側焼却領域4Vに投入された被焼却物Bに着火する機能と、該被焼却物Bの燃焼を促進する機能とを備えた後述する燃焼促進装置10Aを配置している。
予備焼却室7の左側壁部には、該予備焼却室7の内部と連通して丸形状の開口部7aを開口している。また、開口部7aは、予備焼却室7に投入された被焼却物Bと対向する高さ位置に設けている。
開口部7aには、予備焼却室7に投入された被焼却物Bに着火する機能と、該被焼却物Bを高温で焼却する機能とを備えた後述する燃焼促進装置10Bを配置している。
予備焼却室7の一側部には、該予備焼却室7に排出された焼却灰Baの取り出しが許容される灰取出し口7bを設けている。また、灰取出し口7bには、該灰取出し口7bが閉塞される大きさ及び形状に形成した取出し扉7cを開閉自在に設けている。
上述の燃焼促進装置10A,10Bは、後述する制御装置20にて制御される。また、燃焼促進装置10A,10Bの構造は略同一であるので、一方の燃焼促進装置10Bの構造について詳述する。
燃焼促進装置10Bは、図1、図2に示すように、燃料供給ポンプ11及び電磁弁12を介して、図示しない燃料供給源に接続された燃料吐出管13と、ダイヤフラム式のエアー供給ポンプ14に接続されたエアー吐出管15と、霧状に拡散された燃料Fuに着火する着火用ヒーター16とを備えている。
燃焼促進装置10Aのエアー吐出管15は、該エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArが、焼却室4内に設定した下側焼却領域4Vと対応する隔壁3の下側孔部3aに向けて吐出される吐出方向に向けて水平に配管している。
また、エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出力は、焼却室4内に設定した上側焼却領域4Wと対応する隔壁3の上側孔部3aから排気される燃焼ガスNが該エアーArの気流に対して巻き込まれる強さに設定している。
燃焼促進装置10Bのエアー吐出管15は、該エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArが、該エアー吐出管15の先端と対向して配置した拡散筒17の内部中心に向けて吐出される吐出方向に向けて水平に配管している。
燃焼促進装置10A,10Bの燃料吐出管13は、エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出方向と直交して垂直に配管するとともに、該燃料吐出管13の先端を、エアー吐出管15の先端に近接して配置している。
着火用ヒーター16は、燃料吐出管13よりも下流側に配置され、エアー吐出管15から吐出されるエアーArによって霧状に拡散された燃料Fuに対して着火が許容される位置に配置している。
つまり、エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArを、燃料吐出管13の先端に直交して水平方向に吐出することにより、燃料吐出管13の先端付近に負圧を発生させる。その負圧によって、燃料吐出管13の先端から吐出される液状の燃料Fuを吸引するとともに霧状に拡散する。
これにより、エアーAr中に含まれる燃料Fuの濃度が極めて薄く、圧力を付加しただけでも着火しやすい霧状の燃料Fuを生成することができる。
拡散筒17は、エアー吐出管15の先端と対向して配置され、該エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出方向の下流側端部を閉塞した筒形状に形成している。
拡散筒17の周面には、エアーAr及び霧状の燃料Fuの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部17aを設けている。また、孔部17aは、拡散筒17の周面に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
詳述すると、エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArの吐出力によって、燃料吐出管13の先端から吐出される液状の燃料Fuを霧状に拡散するとともに、その霧状の燃料Fuを、拡散筒17の閉塞側端部の中心付近に吹き付けて周囲に拡散させる。
さらに、拡散筒17の周面に設けた孔部17aを通過する際にさらに拡散して、エアーAr中に含まれる燃料Fuの濃度を、圧力が付加されるだけで着火するような状態に薄くする(図2参照)。
つまり、エアーAr中に含まれる燃料Fuの濃度が極めて薄く、圧力を付加しただけでも着火しやすいため、霧状の燃料Fuに着火用ヒーター16で着火した際、エアーAr中に含まれる霧状の燃料Fuが一気に燃焼することになり、火炎FHの温度を高めることができる。
制御装置20には、図示しないCPU、ROM、RAMが内蔵されている。また、CPUは、ROMに格納されたプログラムに沿って、排気室5に排気された乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNの温度を検知する温度センサー21と、燃焼促進装置10A,10Bの燃料供給ポンプ11と、電磁弁12と、エアー供給ポンプ14と、着火用ヒーター16と、気流発生装置18のエアー供給ポンプ18aとの駆動及び停止を制御する。
CPUは、排気室5内に配置した温度センサー21から出力される検知信号に基づいて、排気室5に排気された乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNの温度が、予めRAMに記憶された温度の範囲内であるか否かを判定する。
つまり、CPUにより乾留ガスKの温度が予め設定された温度以下であると判定された場合、燃料供給ポンプ11により供給される燃料Fuの供給量と、エアー供給ポンプ14により供給されるエアーArの吐出量とを増加させ、隔壁3に設けた下側孔部3aを介して、焼却室4内の下側焼却領域4Vに供給される火炎FHの火力を強くする。
これにより、被焼却物Bが燃焼する際の温度が高くなり、排気室5に排気される乾留ガスKの温度を上昇させることができる。
また、乾留ガスKの温度が、予め設定された温度以上であると判定された場合、燃料供給ポンプ11により供給される燃料Fuの供給量と、エアー供給ポンプ14により供給されるエアーArの吐出量とを減少させ、焼却室4内の下側焼却領域4Vに供給される火炎FHの火力を弱める。
これにより、被焼却物Bが燃焼する際の温度が低くなり、排気室5に排気される乾留ガスKの温度を低下させることができる。
次に、第1実施例の焼却装置1Aによる被焼却物Bの焼却方法を説明する。
先ず、図1、図3に示すように、焼却開始前に、焼却室4のシャッター4dを閉塞し、シャッター4bを開放し、乾燥炭化室6のシャッター6bを開放した後、被焼却物Bを、乾燥炭化室6の投入口6a及び焼却室4の投入口4aを介して、焼却室4内の下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wが満たされる状態に投入する。
この後、焼却室4のシャッター4bを閉塞し、次に焼却する被焼却物Bを乾燥炭化室6に所定量投入した後、乾燥炭化室6のシャッター6bを閉塞する。
焼却開始時において、制御装置20から出力される焼却開始信号に基づいて、燃焼促進装置10Aのエアー供給ポンプ14を駆動し、エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArの吐出力によって、燃料吐出管13から吐出される液状の燃料Fuを霧状に拡散させ、完全燃焼するのに必要な量のエアーArを霧状の燃料Fu中に混合する。
かつ、霧状に拡散した燃料Fuに着火用ヒーター16で着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに投入した被焼却物Bに着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料供給ポンプ11を停止し、着火用ヒーター16による着火を停止して、エアー吐出管15から吐出されるエアーArのみを、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給する。
これにより、被焼却物Bが燃焼する際、エアーArの供給量が不足したり、不完全燃焼が生じることが無く、被焼却物Bを効率よく燃焼させることができる。
また、下側焼却領域4Vに供給されるエアーArの供給量を、隔壁3の下側孔部3aによって、被焼却物Bが燃焼するのに必要なエアー供給量に制限又は絞り込み、その必要最小限のエアーArによって、下側焼却領域4Vの被焼却物Bを燃焼させる。
燃焼時において、焼却炉2内に供給されるエアーArは、下側焼却領域4Vの被焼却物Bが燃焼する際に殆ど消費されるので、下側焼却領域4Wに投入された被焼却物Bには殆ど供給されることがない。
したがって、上側焼却領域4Wの被焼却物Bを、下側焼却領域4Vの被焼却物Bが燃焼する際の焼却熱によって高温に加熱しても、該被焼却物Bが燃焼するのに必要なエアー供給量が得られず、不足することになるので、被焼却物Bが自然発火することを抑制できる。
また、上側焼却領域4Wの被焼却物Bを、下側焼却領域4Vの被焼却物Bが燃焼する際の焼却熱によって燃焼させることなく高温に加熱して乾留(蒸し焼き)するので、揮発性可燃成分からなる乾留ガスKと、不揮発性可燃成分からなる焼却物とに効率よく分解することができる。
上側焼却領域4Wの被焼却物Bが加熱された際に発生する高温の乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNは、隔壁3の上側孔部3aを通過して、焼却室4から排気室5へ排気される。
また、エアー吐出管15から吐出されるエアーArを、隔壁3の下側孔部3aに向けて吐出することにより、隔壁3の下側孔部3aに向けてエアーArの気流が発生する。
隔壁3の上側孔部3aから排気室5に排気された直後の乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNを、エアーArの気流に巻き込みながら該エアーArに混合して一緒に移送し、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給する。
これにより、下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wの孔部3aが近接しているので、焼却室4内で発生した被焼却物Bから放出される乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNを、エアーArの気流に巻き込みながら高温に保ったまま下側焼却領域4Vの被焼却物Bに対して連続して循環供給することができる。
なお、乾留ガスKや熱気Hを含む燃焼ガスNの残りは、排気室5の上端側開口部から大気中に排気される。
つまり、焼却室4内で発生した乾留ガスKを、高温に保ったまま焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給し、燃焼中の被焼却物Bの炎や高温の燃焼ガスNに接触させて着火するので、被焼却物Bの燃焼を、乾留ガスKが燃焼する際の火炎FHによって促進することができるとともに、被焼却物Bを燃焼させるための燃料として使用することができる。
このため、燃焼促進装置10Bによる着火後において、例えば重油やガス等の燃料Fuを供給しなくても、被焼却物Bが高温に加熱された際に発生する乾留ガスKを燃料として、被焼却物Bを完全燃焼させることができる。
この結果、被焼却物Bを焼却する際に使用する燃料Fuの消費量を必要最小限に抑えることができる。また、例えばノズルから噴射される液状の燃料Fuに着火するよりも、霧状の燃料Fuに着火すれば燃焼効率が良いので、被焼却物Bを焼却する際に使用する燃料Fuの消費量が少なくて済み、焼却費の低減を図ることができる。
また、焼却室4内で発生した乾留ガスKや燃焼ガスNには、例えば煤塵やダイオキシン、悪臭の元となる成分等が含まれている可能性があるが、その乾留ガスKや燃焼ガスNを、焼却室4内の下側焼却領域4Vに供給して、被焼却物Bが燃焼する際の高温にて煤塵を燃焼させ、ダイオキシンや悪臭の元となる成分を加熱・分解する。
この結果、例えば煤煙、異臭、有毒物質等の物質が大気中にほとんど放出されず、自然環境に影響を及ぼすような物質の放出量を低減することができる。
焼却室4にて被焼却物Bの焼却が完了した後、シャッター4dを開放して、被焼却物Bの焼却灰Baを、焼却室4から予備焼却室7へ排出する。シャッター4dを閉塞した後、シャッター4bを開放して、乾燥炭化室6にて乾燥・炭化された被焼却物Bを焼却室4に投入する。
なお、予備焼却室7に排出された焼却灰Baは、取出し扉7cを開放し、予備焼却室7から取り出して廃棄処分する。
焼却室4のシャッター4bを閉塞した後、上述と同様にして、焼却室4に投入された被焼却物Bを焼却するので、例えば水分が含まれる被焼却物Bを焼却室4に直接投入して焼却するよりも、被焼却物Bの焼却に要する処理時間を大幅に短縮することができる。また、焼却時の熱量が少なくて済むため、焼却コストの低減を図ることができる。
また、例えば汚泥や糞尿等の水分が多く含まれる被焼却物Bを乾燥・炭化する場合、誘導板8の開角度を大きくして、排気室5に排気された乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを乾燥炭化室6内に向けて誘導し、孔部6bを通過して乾燥炭化室6内に供給される乾留ガスKや熱気Hの供給量を多くする。
つまり、被焼却物Bに接触する燃焼ガスNの接触量を増加させて、被焼却物Bを燃焼ガスNの熱によって加熱し、被焼却物Bに含まれる水分を燃焼ガスNに効率よく吸着させるので、被焼却物Bを短い時間で乾燥・炭化することができる。
また、誘導板8の開角度を小さくして、乾燥炭化室6内に供給される燃焼ガスNの供給量を制限又は絞り込めば、被焼却物Bに接触する燃焼ガスNの接触量が減少するので、被焼却物Bが必要以上に乾燥・炭化されることを防止できる。
これにより、乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bの水分含有量に応じて、該乾燥炭化室6内に供給される燃焼ガスNの供給量を増減調整することができ、乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bを、焼却室4にて効率よく焼却するのに適した乾燥状態又は炭化状態に予備処理することができる。
次に、例えば使用済み注射器や注射針、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物、あるいは、その他の高温にて焼却する必要がある産業廃棄物等の被焼却物Bを焼却処理する方法を説明する。
先ず、被焼却物Bを焼却室4で一次焼却した後、焼却室4のシャッター4dを開放して、一次焼却された被焼却物Bを予備焼却室7に投入する。
シャッター4dを閉塞した後、予備焼却室7に投入された被焼却物Bを、燃焼促進装置10Bから噴射される火炎FHにより、焼却室4で焼却する際の温度よりも高い温度(例えば1200℃以上)にて焼却する。
この結果、上述のような高温にて焼却する必要がある被焼却物Bを、焼却室4で焼却する際の温度よりも高い温度で、廃棄物処理法に準拠した温度にて確実に焼却することができる。
なお、上述の高温にて焼却する被焼却物Bを、予備焼却室7に直接投入して高温で焼却してもよい。
また、図1中の仮想線で示す熱伝導管22を、焼却炉2の外周面(或いは内周面)に沿って螺旋状に配管してもよく、焼却時の余熱を利用して、熱伝導管22内に供給される例えば水等の液体を加熱して蒸発気化すれば、その蒸気の圧力を利用して発電用蒸気タービンを駆動することができるので、第1実施例の焼却装置1Aを発電にも適用することができる。
次に、図4、図5を用いて、被焼却物Bを、焼却室4内の温度を低下させること無く焼却する第2実施例の焼却装置1Bについて説明する。
図4は第2実施例の焼却装置1Bの内部構造を示す縦断側面図、図5は焼却炉2のY−Y線断面端面図である。
なお、第2実施例において、前述の第1実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
第2実施例の焼却装置1Bは、焼却炉2の内部を、2枚の隔壁3によって焼却室4と排気室5,5とに分割している。その隔壁3の上部側に開口した開口部3bには、誘導板8を開閉自在に取り付けている。また、排気室5の下側壁部には、燃焼促進装置10Aをそれぞれ配置している。
焼却炉2の上部には、焼却室4と連通して、閉塞板6eが回転自在に軸支された乾燥炭化室6を連設している。また、閉塞板6eは、乾燥炭化室6の内部中央に軸架した軸部6fで軸支され、軸部6fを中心として、電動又は手動にて矢印方向に回転される。
つまり、シャッター6bを閉塞したまま、乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bを、閉塞板6eの回転によって乾燥炭化室6から排出するとともに、乾燥炭化室6の排出側に配置したシューター6gに沿って流下させて焼却室4に投入する。
乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bを焼却室4に投入する際、温度の低い外気が焼却室4や排気室5に侵入することを防止できる。また、焼却室4や排気室5内の乾留ガスKや熱気Hが、乾燥炭化室6から大気中に排気されることを防止できる。
この結果、焼却室4や排気室5の温度が殆ど変化せず、被焼却物Bでの焼却に及ぼす影響が小さいため、被焼却物Bの焼却がより効率よく行える。
また、シューター6gの斜面には、乾留ガスKや熱気Hの通過が許容される丸形状の孔部6hを、該シューター6gの斜面に沿って所定間隔を隔てて複数配列している。
焼却室4の排出口4cには、火格子4eを配置している。また、火格子4eの下部には、排出口4cが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター4fを開閉自在に設けている。
焼却装置1Bにより被焼却物Bを焼却する場合、左右の燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの吐出力によって霧状に拡散した燃料Fuに着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに投入された被焼却物Bに着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料Fuの吐出を停止させ、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArのみを焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給し、隔壁3の下側孔部3aにより絞り込まれた必要最小限のエアーArを利用して、被焼却物Bを燃焼させる。
一方、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを、隔壁3の上側孔部3aから左右の排気室5へ排気するとともに、該排気室5に排気された高温の乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNを、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの気流に巻き込みながら隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに左右から連続供給する。
これにより、焼却室4内で発生する高温の乾留ガスKを、焼却室4内の被焼却物Bを燃焼させるための燃料として使用することができる。
この結果、エアーAr及び火炎FHを、焼却室4の内部に対して1箇所から供給するよりも焼却効率が良く、前記第1実施例と略同等又は同等以上の作用及び効果を奏することができる。
なお、回転式の閉塞板6eを備えた乾燥炭化室6の構成は、第1実施例の焼却装置1Aにも適用することができる。
また、焼却室4の上部に、閉塞板6eが軸支された乾燥炭化室6を連設して、乾燥炭化室6にて乾燥・炭化された被焼却物Bを、閉塞板6eの回転により排出して焼却室4に直接投入してもよい。
次に、図6を用いて、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを焼却以外の方法に利用する第3実施例の焼却装置1Cについて説明する。図6は第3実施例の焼却装置1Cの内部構造を示す縦断側面図である。
なお、第3実施例において、前述の第1実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
第3実施例の焼却装置1Cは、焼却炉2の内部を、該焼却炉2の長手方向に直交して配置した誘導筒19によって焼却室4と予備焼却室7とに上下分割している。
誘導筒19は、焼却炉2の両側壁部に貫通して水平に配置している。また、誘導筒19の中央上部周面には、誘導筒19の内部と連通して乾燥炭化筒19aを上方に向けて垂直に連設している。
誘導筒19及び乾燥炭化筒19aの周面には、燃焼ガスNやエアーAr、火炎FHの通過が許容される丸形状の孔部19bを、各筒の周面に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
焼却炉2の上部には、該焼却炉2の内部と連通して投入口2aを開口している。また、投入口2aには、該投入口2aが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター2bを開閉自在に設けている。
また、誘導筒19の左端側開口部には、第1実施例で説明した燃焼促進装置10Aを配置している。また、誘導筒19の右端側開口部は、乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを利用する図示しない装置に接続している。
焼却装置1Cにより被焼却物Bを焼却する場合、燃焼促進装置10Aから吐出される霧状に拡散した燃料Fuに着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、誘導筒19の孔部19bを通過させて、焼却室4内に投入された被焼却物Bに着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料Fuの吐出を停止させ、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArのみを誘導筒19及び乾燥炭化筒19aに連続供給し、誘導筒19及び乾燥炭化筒19aの孔部19bから吐出されるエアーArを利用して、被焼却物Bを燃焼させる。
なお、焼却室4で焼却した被焼却物Bの焼却灰Baは、焼却室4と誘導筒19との間に形成された図示しない排出路を通って予備焼却室7に投入される。
一方、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを、下流側孔部19bから誘導筒19内へ流入させ、誘導筒19の右端側開口部に接続された例えば加熱機やボイラー等の他の装置へ連続供給する。
これにより、揮発性可燃成分が含まれる乾留ガスKを燃焼用の燃料として他の装置で用いることができる。また、乾留ガスKや熱気Hの高熱は、例えば発電用蒸気タービンを駆動するための蒸気を生成するのに利用できる。
この結果、乾留ガスKや熱気Hの損失が少なく、無駄なく有効に活用することができる。
次に、図7を用いて、焼却室4内に投入された被焼却物Bを複数の方向から火炎FHにて同時に着火する第4実施例の焼却装置1Dを説明する。図7は第4実施例の焼却装置1Dの内部構造を示す横断端面図である。
なお、第4実施例において、前述の第1実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
第4実施例の焼却装置1Dは、丸形筒状を有する焼却炉2の内部を、該焼却炉2の内部中央に配置した丸形筒状の隔壁3によって、内側の焼却室4と外側の排気室5とに分割している。
また、排気室5の下側周壁部には、燃焼促進装置10Aを、焼却炉2の中心部を中心として周方向に所定間隔を隔てて4基配置している。
焼却装置1Dにより被焼却物Bを焼却する場合、4基の燃焼促進装置10Aから吐出される霧状に拡散した燃料Fuに着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、隔壁3の下側周面に配置した孔部3aを通過させて、焼却室4内の下層側に投入された被焼却物Bに対して複数の方向から同時に着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料Fuの吐出を停止させ、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArのみを焼却室4内に連続供給して、被焼却物Bを完全燃焼させる。かつ、焼却室4内の上層側に投入された被焼却物Bを、下層側の被焼却物Bが燃焼する際の焼却熱によって乾燥・炭化させる。
一方、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの気流に巻き込みながら隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内に対して複数の方向から同時に連続供給する。
これにより、焼却室4内で発生する高温の乾留ガスKを、焼却室4内の被焼却物Bを燃焼させるための燃料として使用することができる。
この結果、エアーAr及び火炎FHを、焼却室4の内部に対して1箇所又は2箇所から供給するよりも焼却効率が良く、前記第1実施例と略同等又は同等以上の作用及び効果を奏することができる。
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の燃焼促進手段は、実施形態の燃焼促進装置10A,10Bに対応し、
以下同様に、
燃料吐出手段は、燃料吐出管13に対応し、
エアー吐出手段は、エアー吐出管15に対応し、
着火手段は、着火用ヒーター16に対応し、
制御手段は、制御装置20に対応し、
温度検知手段は、温度センサー21に対応し、
ガス誘導手段は、誘導板8に対応し、
気流発生手段は、気流発生管18bに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば隔壁3の孔部3aを、例えば汚泥、糞尿等の液状又はペースト状の被焼却物Bが表面張力によって通過が阻止され、エアーArの通過が許容される孔径に形成すれば、液状又はペースト状の被焼却物Bが隔壁3の孔部3aを通過しにくく、孔部3aに詰りが生じることを防止できる。
また、乾燥炭化室6に投入された液状又はペースト状の被焼却物Bを、焼却室4内で被焼却物Bを焼却した際に発生する焼却熱と、焼却室4内で発生した燃焼ガスNの熱とで加熱して、被焼却物Bに含まれる水分を蒸発させ乾燥・炭化してもよい。
また、被焼却物Bを、例えばスクリューコンベアー等の移送手段により移送して焼却室4内に定量投入してもよい。
なお、焼却炉2全体や焼却室4及び排気室5の容積と、隔壁3の孔部3aの開口率と、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの供給量とを、例えば産業廃棄物や医療廃棄物、その他の廃棄物等の被焼却物Bの種類に応じて、該被焼却物Bを焼却するのに適した値に更してもよい。
B…被焼却物
Ba…焼却灰
N…焼却ガス
K…乾留ガス
H…熱気
Ar…エアー
Fu…燃料
FH…火炎
1A,1B,1C,1D…焼却装置
2…焼却炉
3…隔壁
3a…孔部
4…焼却室
4V…下側焼却領域
4W…上側焼却領域
5…排気室
6…乾燥炭化室
6c…壁部
6d…孔部
7…予備焼却室
8…誘導板
10A,10B…燃焼促進装置
13…燃料吐出管
15…エアー吐出管
16…着火用ヒーター
17…拡散筒
17a…孔部
18…気流発生装置
18b…気流発生管
19…誘導筒
19a…乾燥炭化筒
19b…孔部
20…制御装置
21…温度センサー
22…熱伝導管
この発明は、例えば可燃性廃棄物、生ゴミ、汚泥、汚水、糞尿、廃油、廃液、塗料、タイヤ、合成樹脂成形品などの産業廃棄物、あるいは、使用済み注射器、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物等の被焼却物を焼却する際に用いられる焼却装置に関する。
従来、上述の被焼却物を焼却する装置としては、例えば乾留焼却室内の可燃性廃棄物を、バーナーの火炎及び高温の燃焼用ガスにて加熱・燃焼させる焼却炉が提案されている(特許文献1参照)。
引用文献1の焼却炉は、例えば液体燃料や気体燃料等を燃料とするバーナーの火炎及び生成される高温の燃焼用ガスにて乾留焼却室内の可燃性廃棄物を加熱・燃焼させる。また、可燃性廃棄物が高温ガスに晒された際に発生する乾留ガスを、燃焼ガス循環路により乾留焼却室上部から該乾留焼却室下部へ循環させ、バーナーの火炎に取り込まれた乾留ガスを、そのバーナーの火炎及び生成される燃焼用ガス、火炎中に残留する高温の空気によって燃焼させる。
しかし、乾留焼却室内の可燃性廃棄物を、バーナーから噴射される火炎及び生成される燃焼用ガスにより加熱して燃焼させるので、可燃性廃棄物の焼却が完了するまで、バーナーから火炎を連続して噴射しなければならず、燃料の消費量が多くなるだけでなく、焼却コストが高くなる。
また、可燃性廃棄物が発生する乾留ガスを、燃焼ガス循環路により乾留焼却室の上部から下部へ循環させるので、乾留ガスの温度が発生直後よりも低下することになる。したがって、乾留焼却室内に返還される乾留ガスを燃焼させるためには、バーナーの火炎や高温の空気にて燃焼温度に再加熱しなければならず、焼却効率が悪いという問題があった。
特許第3700947号公報
この発明は、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済むとともに、自然環境に影響を及ぼすような物質の放出量を低減することができる焼却装置の提供を目的とする。
この発明は、焼却炉の内部に、被焼却物を燃焼させて焼却する焼却室と、該焼却室内で発生した乾留ガスが含まれる燃焼ガスを排気する排気室とを備えた焼却装置であって、前記焼却炉の内部を、該焼却炉の内部に設けた隔壁によって前記焼却室と前記排気室とに分割し、前記隔壁に、前記焼却室と前記排気室とに貫通して孔部を設けるとともに、該孔部を、前記焼却室内に設定した下側焼却領域及び上側焼却領域と対応する部分の前記隔壁に沿って所定間隔を隔てて多数配列し、前記排気室の前記下側焼却領域の孔部と対向する位置に、前記下側焼却領域の孔部に向けてエアーを吐出するエアー吐出手段と、前記孔部に向けて燃料を吐出する燃料吐出手段と、前記燃料吐出手段から吐出される燃料に着火する着火手段とからなる燃焼促進手段を配置し、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出力を、前記上側焼却領域の孔部から排気される燃焼ガスが該エアーの気流に対して巻き込まれる強さに設定し、前記焼却室の上部に、前記被焼却物の投入が許容される投入口を設け、前記投入口に、前記被焼却物を乾燥・炭化する乾燥炭化室を連設し、前記乾燥炭化室の前記排気室と対応する壁部に、前記燃焼ガスのみの通過が許容される複数の孔部を設け、前記排気室に、前記壁部に設けた孔部に向けて前記燃焼ガスを誘導するガス誘導手段を設けた焼却装置であることを特徴とする。
この発明によれば、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却コストの低減を図ることができる。
詳述すると、焼却開始時において、燃焼促進手段の燃料吐出手段から吐出される燃料に着火手段で着火し、その燃料の火炎を、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却炉内の下側焼却領域に投入された被焼却物に着火する。着火後、燃料の吐出を停止させ、エアー吐出手段から吐出されるエアーのみを、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却炉内の下側焼却領域に連続供給する。
これにより、焼却炉内の下側焼却領域に投入された被焼却物が燃焼する際、エアー供給量が不足したり、不完全燃焼が生じることが無く、被焼却物を効率よく燃焼させることができる。
また、焼却室内の下側焼却領域に供給されるエアーの供給量を、隔壁の孔部によって被焼却物が燃焼するのに必要なエアー供給量に制限又は絞り込み、その必要最小限のエアーによって、下側焼却領域の被焼却物を燃焼させる。
燃焼時において、焼却炉内に供給されるエアーは、下側焼却領域の被焼却物が燃焼する際に殆ど消費されるので、上側焼却領域に投入された被焼却物には殆ど供給されることがない。
したがって、上側焼却領域の被焼却物を、下側焼却領域の被焼却物が燃焼する際の焼却熱によって高温に加熱しても、該被焼却物が燃焼するのに必要なエアー供給量が得られず、不足することになるので、被焼却物が自然発火することを抑制できる。
また、上側焼却領域の被焼却物を、下側焼却領域の被焼却物が燃焼する際の焼却熱によって燃焼させることなく高温に加熱して乾留(蒸し焼き)するので、揮発性可燃成分からなる乾留ガスと、不揮発性可燃成分からなる被焼却物とに効率よく分解することができる。
焼却室内で発生した乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスは、隔壁の上側孔部を通過して、焼却室から排気室へ排気される。また、排気室に排気された乾留ガスや熱気が含まれる高温の燃焼ガスは、エアー吐出手段から吐出されるエアーの気流に巻き込みながら該エアーに混合して一緒に移送し、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却室内の下側焼却領域に連続供給する。
つまり、エアー吐出手段から吐出されるエアーを、隔壁の下側孔部に向けて吐出することにより、隔壁の下側孔部に向けてエアーの気流を発生させる。
また、下側焼却領域及び上側焼却領域の孔部が近接しているので、隔壁の上側孔部から排気室へ排気された乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスが、エアー吐出手段から吐出されるエアーの気流に巻き込まれる。かつ、そのエアーの気流によって、焼却室内で発生した直後の高温状態に保ったまま、隔壁の下側孔部から焼却室内の下側焼却領域へ循環供給することができる。
これにより、焼却室内で発生した乾留ガスを、高温に保ったまま焼却室内の下側焼却領域に連続供給し、燃焼中の被焼却物の炎や高温の燃焼ガスに接触させて瞬時に着火するので、被焼却物の燃焼を、乾留ガスの火炎によって促進することができるとともに、被焼却物を燃焼させるための燃料として使用することができる。
したがって、着火後において、例えば重油、軽油、灯油等の液体燃料を供給しなくても、焼却室内で発生した高温状態の乾留ガスを燃料として、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物を燃焼させることができる。
この結果、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量を抑えることができる。例えば液体燃料を燃料とするバーナーの火炎にて燃焼させるよりも、燃料の消費量が少なくて済み、焼却費の低減を図ることができる。
焼却室内で発生した直後の乾留ガスを高温状態のまま焼却室内の下側焼却領域に供給するので、乾留ガスを燃焼させる際の熱量が少なくて済み、熱損失を低減することができ、焼却効率の向上を図ることができる。
また、焼却室内で発生した乾留ガスには、例えば煤塵やダイオキシン、悪臭の元となる成分等が含まれている可能性があるが、排気室へ排気された乾留ガスを、エアー吐出手段から供給されるエアーの気流に巻き込みながら焼却室内の下側焼却領域に供給して、被焼却物が燃焼する際の高温にて煤塵を燃焼させ、ダイオキシンや悪臭の元となる成分を加熱・分解する。
この結果、例えば煤煙、異臭、有毒物質等の物質が大気中にほとんど放出されず、自然環境に影響を及ぼすような物質の放出量を低減することができる。
また、この発明によれば、予め乾燥・炭化した被焼却物を焼却室に投入して焼却するので、被焼却物の焼却に要する処理時間を大幅に短縮することができるとともに、焼却時に発生する熱を有効に利用することができる。
詳述すると、焼却室内で発生する乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスを、隔壁の上側孔部から排気室へ排気するとともに、焼却室から排気室へ排気された燃焼ガスを、ガス誘導手段によって乾燥炭化室の壁部に設けられた孔部に向けて誘導し、該孔部を通過させて乾燥炭化室内へ供給する。
すなわち、被焼却物が焼却室内で燃焼する際に発生する焼却熱と、排気室へ排気された燃焼ガスの熱とを利用して、乾燥炭化室に投入された被焼却物を高温に加熱して、被焼却物に含まれる水分を蒸発させ、乾燥・炭化させる。その乾燥・炭化した高温の被焼却物を焼却室に投入して焼却する。
この結果、例えば水分が含まれる被焼却物を焼却するよりも、被焼却物の焼却に要する処理時間を大幅に短縮することができる。また、焼却時の熱量が少なくて済むため、焼却コストの低減を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記ガス誘導手段を、前記乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部が閉塞される大きさ及び形状に形成した誘導板で構成し、前記誘導板の上端側を、前記乾燥炭化室の前記排気室と対応する壁部の上端側に枢着して、該誘導板を、前記乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部が閉塞される閉塞角度と、該壁部に設けた孔部に向けて前記燃焼ガスが誘導される開放角度とに開閉調節自在に設けることができる。
この発明によれば、乾燥炭化室に投入された被焼却物を、焼却室にて効率よく焼却するのに適した乾燥状態又は炭化状態に予備処理することができる。
詳述すると、例えば汚泥や糞尿等の水分が多く含まれる被焼却物を乾燥・炭化する場合、誘導板の開角度を大きくして、焼却室から排気室へ排気された乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスを乾燥炭化室の壁部に設けられた孔部に向けて誘導し、該孔部を通過して乾燥炭化室内に供給される乾留ガスや熱気の供給量を多くする。
つまり、被焼却物に接触する燃焼ガスの接触量を増加させて、被焼却物を燃焼ガスの熱によって加熱し、被焼却物に含まれる水分を燃焼ガスに効率よく吸着させるので、被焼却物を短い時間で乾燥・炭化することができる。
また、誘導板の開角度を小さくして、乾燥炭化室内に供給される燃焼ガスの供給量を制限又は絞り込めば、被焼却物に接触する燃焼ガスの接触量が減少するので、被焼却物が必要以上に乾燥・炭化されることを防止できる。
この結果、乾燥炭化室に投入された被焼却物の水分含有量に応じて、該乾燥炭化室内に供給される燃焼ガスの供給量を増減調整することができる。
なお、被焼却物を乾燥・炭化する必要がなければ、誘導板によって乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部を閉塞すれば、燃焼ガスが乾燥炭化室内に供給されることを防止できる。
また、この発明の態様として、前記誘導板の開閉範囲よりも外側下方に、前記乾燥炭化室と前記誘導板との対向面間に形成される空間部に向けてエアーを吐出するとともに、該エアーによって気流を発生させる気流発生手段を設けることができる。
この発明によれば、乾燥炭化室に投入された被焼却物を短い時間で乾燥・炭化することができる。
詳述すると、排気室に排気された乾留ガスや熱気が含まれる燃焼ガスを、気流発生手段から吐出されるエアーによって発生させた気流により乾燥炭化室と誘導板との対向面間に形成される空間部に向けて供給し、該誘導板に沿って誘導される燃焼ガスを、乾燥炭化室の壁部に設けた孔部を通過させて、該乾燥炭化室内に向けて積極的に供給する。
この結果、被焼却物に接触する燃焼ガスの接触量が多くなり、被焼却物の乾燥・炭化を促進することができる。また、被焼却物の焼却に要する時間を大幅に短縮して、処理能力の向上を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記排気室の内部に、該排気室に排気された燃焼ガスの温度を検知する温度検知手段を設け、前記温度検知手段から出力される検知信号に基づいて、予め設定された温度の範囲内であるか否かを判定し、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を制御する制御手段を備えることができる。
この発明によれば、焼却室に投入された被焼却物の燃焼と、乾燥炭化室に投入された被焼却物の乾燥・炭化を促進することができる。
詳述すると、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物の燃焼時において、焼却室から排気室へ排気される乾留ガスが含まれる燃焼ガスの温度を温度検知手段にて検知するとともに、温度検知手段から出力される検知信号に基づいて、燃焼ガスの温度が予め設定された温度の範囲内であるか否かを制御手段にて判定する。
つまり、制御手段により燃焼ガスの温度が、予め設定された温度以下であると判定された場合、エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を増加させ、焼却室内に供給される火炎の火力を強くして、被焼却物が燃焼する際の温度を高めることにより、排気室に排気される燃焼ガスの温度を上昇させる。
燃焼ガスの温度が、予め設定された温度以上であると判定された場合、エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を減少させ、焼却室内に供給される火炎の火力を弱めて、被焼却物が燃焼する際の温度を低めることにより、排気室に排気される燃焼ガスの温度を低下させる。
この結果、乾留ガスが含まれる燃焼ガスの温度を、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物の燃焼を促進されるとともに、乾燥炭化室に投入された被焼却物の乾燥・炭化を促進する温度に保つことができる。
また、この発明の態様として、前記焼却室の下部に、前記被焼却物の焼却灰の排出が許容される排出口を設け、前記排出口に、前記焼却室から排出される被焼却物を、該焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度で焼却する予備焼却室を連設し、前記予備焼却室に、該予備焼却室に投入された被焼却物を高温の火炎にて焼却する燃焼促進手段を備えることができる。
この発明によれば、被焼却物を、例えば焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度で焼却することができる。
詳述すると、焼却室にて一次焼却した被焼却物を、該焼却室下部に連設した予備焼却室に投入する。燃焼促進手段から吐出される火炎を、予備焼却室に投入された被焼却物に吹き付けて、焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度にて焼却する。
この結果、例えば使用済み注射器や注射針、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物、あるいは、その他の高温にて焼却する必要がある産業廃棄物等の被焼却物を、廃棄物処理法に準拠した高い温度にて確実に焼却することができる。
また、この発明の態様として、前記燃料吐出管を、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出方向と直交して配置するとともに、該燃料吐出管の先端を前記エアー吐出管の先端に近接して配置することができる。
この発明によれば、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量を抑えることができる。
詳述すると、エアー吐出管から吐出されるエアーを、エアー吐出管の先端に近接して配置した燃料吐出管の先端に向けてエアーの吐出方向と直交して吐出する。そのエアーの吐出力によって、燃料吐出管から吐出される液状の燃料を、該燃料吐出管の先端付近に発生する負圧によって吸引するとともに霧状に拡散させ、完全燃焼するのに必要な量のエアーを霧状の燃料中に混合するので、燃焼時においてエアー及び燃料の量に過不足が生じることがない。
かつ、霧状に拡散した燃料に着火手段で着火するとともに、その燃料の火炎を、隔壁の下側孔部を通過させて、焼却室内の下側焼却領域に投入された被焼却物に着火する。
この結果、例えばノズルから噴射される液状の燃料に着火するよりも、霧状に拡散した燃料に着火すれば燃焼効率が良いので、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却費の低減を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記エアー吐出手段の吐出側に、該エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出方向と対向して拡散筒を配置し、前記拡散筒を、前記エアーの吐出方向と対向する端部を閉塞した筒形状に形成し、該拡散筒の周面に、前記エアー及び燃料の通過が許容される大きさ及び形状に形成した孔部を設けるとともに、該拡散筒の周面に沿って所定間隔を隔てて複数配列することができる。
この発明によれば、被焼却物を、例えばバーナー等の火炎吐出装置から吐出される火炎にて焼却する際の温度よりも高い温度の火炎にて焼却することができる。
詳述すると、エアー吐出管から吐出されるエアーの吐出力によって、燃料吐出管から吐出される液状の燃料を霧状に拡散するとともに、その霧状の燃料を、拡散筒の閉塞側端部に吹き付けて周囲に拡散させる。
さらに、拡散筒の周面に設けた孔部を通過する際にさらに拡散して、エアー中に含まれる燃料の濃度を、圧力が付加されるだけで着火するような状態に薄くする。かつ、拡散筒の孔部から吐出される霧状の燃料に着火手段で着火して、その燃料の火炎によって被焼却物を焼却する。
つまり、エアー中に含まれる燃料の濃度が極めて薄く、圧力を付加しただけでも着火しやすいため、着火手段で着火した際、エアー中に含まれる霧状の燃料が一気に燃焼することになり、火炎の温度を高めることができる。
この結果、被焼却物を、例えばバーナー等から吐出される火炎にて焼却する際の温度よりも高い温度にて焼却することができる。また、例えば使用済み注射器や注射針、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物、あるいは、その他の高温にて焼却する必要がある産業廃棄物等の被焼却物を、廃棄物処理法に準拠した高い温度にて確実に焼却することができる。
前記被焼却物は、例えば可燃性廃棄物、生ゴミ、汚泥、汚水、糞尿、或いは、廃油、廃液、塗料、タイヤ、合成樹脂成形品などの産業廃棄物、使用済み注射器や注射針、ガーゼなどの医療廃棄物等で構成することができる。
また、燃料は、例えば重油、軽油、灯油等の液体燃料、あるいは、天然ガス、プロパンガス等の気体燃料で構成することができる。
エアー吐出手段は、例えばエアー吐出管、エアー供給ポンプで構成することができる。なお、エアー供給ポンプの代わりに、例えばブロワやファン等を用いてもよい。
燃料吐出手段は、例えば燃料吐出管、燃料供給ポンプ等で構成することができる。また、着火手段は、例えばヒーター、圧電点火装置等で構成することができる。また、ガス誘導手段は、例えば誘導板や誘導路等で構成することができる。また、気流発生手段は、例えば気流が発生する方向に向けてエアーを吐出する気流発生管等で構成することができる。
この発明によれば、被焼却物を焼却する際に使用する燃料の消費量が少なくて済み、焼却コストの低減を図ることができる。
第1実施例の焼却装置の内部構造を示す縦断側面図。 予備焼却室に配置した燃焼促進装置の拡大縦断側面図。 焼却炉のX−X線断面端面図。 第2実施例の焼却装置の内部構造を示す縦断側面図。 焼却炉のY−Y線断面端面図。 第3実施例の焼却装置の内部構造を示す縦断側面図。 第4実施例の焼却装置の内部構造を示す横断端面図。
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は第1実施例の焼却装置1Aの内部構造を示す縦断側面図、図2は予備焼却室7に配置した燃焼促進装置10Bの拡大縦断側面図、図3は焼却炉2のX−X線断面端面図である。
第1実施例の焼却装置1Aは、上方から見て丸形筒状を有する焼却炉2の内部を、該焼却炉2の内部中央に立設した隔壁3によって、被焼却物Bを焼却・乾留する焼却室4と、該焼却室4内で発生した乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを排気する煙突型の排気室5とに分割している。
なお、焼却炉2の全体は、例えば耐火レンガや耐火コンクリート等の部材により構成している。また、隔壁3は、耐火性及び耐熱性を有するセラミックス、あるいは、その他の耐火性及び耐熱材を有する部材で構成している。
隔壁3には、被焼却物Bの通過が阻止され、かつ、燃焼ガスNやエアーAr、火炎FHの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部3aを、焼却室4と排気室5とに貫通して設けるとともに、該孔部3aを、焼却室4内に設定した下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wと対応する部分の隔壁3の垂直面に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
焼却室4の上部には、次に焼却する被焼却物Bの投入が許容される大きさ及び形状に形成した乾燥炭化室6を連設している。また、焼却室4の下部には、焼却室4で焼却した被焼却物Bの焼却灰Baを排出する予備焼却室7を連設している。
焼却室4の上端側には、被焼却物Bの投入が許容される大きさ及び形状に形成した投入口4aを、乾燥炭化室6と連通して設けている。また、投入口4aの一側縁部には、該投入口4aが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター4bを開閉自在に枢着している。
焼却室4の下端側には、該焼却室4で焼却した被焼却物Bの焼却灰Baの排出が許容される大きさ及び形状に形成した排出口4cを、予備焼却室7と連通して設けている。また、排出口4cには、該排出口4cが閉塞される大きさ及び形状に形成した火格子型のシャッター4dを開閉自在に設けている。
シャッター4bの中央面には、燃焼ガスNの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部4baを設けている。また、孔部4baは、シャッター4bの平面に沿って所定間隔を隔てて複数配列している。
シャッター4dの中央面には、燃焼ガスNの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部4daを設けている。また、孔部4daは、シャッター4dの平面に沿って所定間隔を隔てて複数配列している。
乾燥炭化室6の上端側には、被焼却物Bの投入が許容される大きさ及び形状に形成した投入口6aを設けている。また、投入口6aの一側縁部には、該投入口6aが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター6bを開閉自在に枢着している。
乾燥炭化室6の排気室5と対応する壁部6cには、被焼却物Bの通過が阻止され、かつ、排気室5に排気された燃焼ガスNの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部6dを設けている。また、孔部6dは、壁部6cに沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
壁部6cの排出室5と対応する外面には、壁部6cの全孔部6dが閉塞される大きさ及び形状に形成した誘導板8を開閉自在に取り付けている。
誘導板8は、該誘導板8の上端側縁部を、壁部6cの上端側縁部に対して上下開閉自在に枢着している。その枢着部を中心として、壁部6cの全孔部6dが閉塞される閉角度と、排気室5に排気された燃焼ガスNが壁部6cの孔部6dに向けて誘導される開角度とに開閉調節自在に設けている。
また、誘導板8の背面側には、誘導板8を開閉操作するための操作杆9を連結している。つまり、操作杆9を牽引操作して、誘導板8の開閉角度を回動調節することにより、乾燥炭化室6の壁部6cに設けられた孔部6dに向けて誘導される燃焼ガスNの供給量を増減調整することができる。
また、排気室5内には、該排気室5内に排気された乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを上方に向けて移送するための気流を発生させる気流発生装置18の気流発生管18bを配置している。
気流発生装置18の気流発生管18bは、誘導板8の開閉範囲よりも外側下方に配置され、エアーArを供給するエアー供給ポンプ18aに接続している。また、気流発生管18bは、該気流発生管18bの先端から吐出されるエアーArが、乾燥炭化室6の壁部6cと誘導板8の誘導面との対向面間に形成される空間部に向けて吐出される吐出方向に向けて配管している。
つまり、気流発生管18bから吐出されるエアーArによって気流を発生させるとともに、そのエアーArの気流によって、排気室5に排気された乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNの一部を、乾燥炭化室6と誘導板8との対向面間に形成される空間部に向けて供給する。
誘導板8の誘導面に沿って上方へ誘導される燃焼ガスNは、乾燥炭化室6の壁部6cに設けた孔部6dを通過して、該乾燥炭化室6内に向けて積極的に供給される。
この結果、乾燥炭化室6内の被焼却物Bに接触する燃焼ガスNの接触量が多くなり、被焼却物Bの乾燥・炭化を促進することができる。また、被焼却物Bの焼却に要する時間を大幅に短縮して、処理能力の向上を図ることができる。
排気室5の焼却室4と対応する左側下方壁部には、該排気室5の内部と連通して丸形状の開口部5aを開口している。また、開口部5aは、隔壁3に設けた下側孔部3aと対向する高さ位置に設けている。
開口部5aには、焼却室4内の下側焼却領域4Vに投入された被焼却物Bに着火する機能と、該被焼却物Bの燃焼を促進する機能とを備えた後述する燃焼促進装置10Aを配置している。
予備焼却室7の左側壁部には、該予備焼却室7の内部と連通して丸形状の開口部7aを開口している。また、開口部7aは、予備焼却室7に投入された被焼却物Bと対向する高さ位置に設けている。
開口部7aには、予備焼却室7に投入された被焼却物Bに着火する機能と、該被焼却物Bを高温で焼却する機能とを備えた後述する燃焼促進装置10Bを配置している。
予備焼却室7の一側部には、該予備焼却室7に排出された焼却灰Baの取り出しが許容される灰取出し口7bを設けている。また、灰取出し口7bには、該灰取出し口7bが閉塞される大きさ及び形状に形成した取出し扉7cを開閉自在に設けている。
上述の燃焼促進装置10A,10Bは、後述する制御装置20にて制御される。また、燃焼促進装置10A,10Bの構造は略同一であるので、一方の燃焼促進装置10Bの構造について詳述する。
燃焼促進装置10Bは、図1、図2に示すように、燃料供給ポンプ11及び電磁弁12を介して、図示しない燃料供給源に接続された燃料吐出管13と、ダイヤフラム式のエアー供給ポンプ14に接続されたエアー吐出管15と、霧状に拡散された燃料Fuに着火する着火用ヒーター16とを備えている。
燃焼促進装置10Aのエアー吐出管15は、該エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArが、焼却室4内に設定した下側焼却領域4Vと対応する隔壁3の下側孔部3aに向けて吐出される吐出方向に向けて水平に配管している。
また、エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出力は、焼却室4内に設定した上側焼却領域4Wと対応する隔壁3の上側孔部3aから排気される燃焼ガスNが該エアーArの気流に対して巻き込まれる強さに設定している。
燃焼促進装置10Bのエアー吐出管15は、該エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArが、該エアー吐出管15の先端と対向して配置した拡散筒17の内部中心に向けて吐出される吐出方向に向けて水平に配管している。
燃焼促進装置10A,10Bの燃料吐出管13は、エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出方向と直交して垂直に配管するとともに、該燃料吐出管13の先端を、エアー吐出管15の先端に近接して配置している。
着火用ヒーター16は、燃料吐出管13よりも下流側に配置され、エアー吐出管15から吐出されるエアーArによって霧状に拡散された燃料Fuに対して着火が許容される位置に配置している。
つまり、エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArを、燃料吐出管13の先端に直交して水平方向に吐出することにより、燃料吐出管13の先端付近に負圧を発生させる。その負圧によって、燃料吐出管13の先端から吐出される液状の燃料Fuを吸引するとともに霧状に拡散する。
これにより、エアーAr中に含まれる燃料Fuの濃度が極めて薄く、圧力を付加しただけでも着火しやすい霧状の燃料Fuを生成することができる。
拡散筒17は、エアー吐出管15の先端と対向して配置され、該エアー吐出管15から吐出されるエアーArの吐出方向の下流側端部を閉塞した筒形状に形成している。
拡散筒17の周面には、エアーAr及び霧状の燃料Fuの通過が許容される大きさ及び形状に形成した丸形状の孔部17aを設けている。また、孔部17aは、拡散筒17の周面に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
詳述すると、エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArの吐出力によって、燃料吐出管13の先端から吐出される液状の燃料Fuを霧状に拡散するとともに、その霧状の燃料Fuを、拡散筒17の閉塞側端部の中心付近に吹き付けて周囲に拡散させる。
さらに、拡散筒17の周面に設けた孔部17aを通過する際にさらに拡散して、エアーAr中に含まれる燃料Fuの濃度を、圧力が付加されるだけで着火するような状態に薄くする(図2参照)。
つまり、エアーAr中に含まれる燃料Fuの濃度が極めて薄く、圧力を付加しただけでも着火しやすいため、霧状の燃料Fuに着火用ヒーター16で着火した際、エアーAr中に含まれる霧状の燃料Fuが一気に燃焼することになり、火炎FHの温度を高めることができる。
制御装置20には、図示しないCPU、ROM、RAMが内蔵されている。また、CPUは、ROMに格納されたプログラムに沿って、排気室5に排気された乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNの温度を検知する温度センサー21と、燃焼促進装置10A,10Bの燃料供給ポンプ11と、電磁弁12と、エアー供給ポンプ14と、着火用ヒーター16と、気流発生装置18のエアー供給ポンプ18aとの駆動及び停止を制御する。
CPUは、排気室5内に配置した温度センサー21から出力される検知信号に基づいて、排気室5に排気された乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNの温度が、予めRAMに記憶された温度の範囲内であるか否かを判定する。
つまり、CPUにより乾留ガスKの温度が予め設定された温度以下であると判定された場合、燃料供給ポンプ11により供給される燃料Fuの供給量と、エアー供給ポンプ14により供給されるエアーArの吐出量とを増加させ、隔壁3に設けた下側孔部3aを介して、焼却室4内の下側焼却領域4Vに供給される火炎FHの火力を強くする。
これにより、被焼却物Bが燃焼する際の温度が高くなり、排気室5に排気される乾留ガスKの温度を上昇させることができる。
また、乾留ガスKの温度が、予め設定された温度以上であると判定された場合、燃料供給ポンプ11により供給される燃料Fuの供給量と、エアー供給ポンプ14により供給されるエアーArの吐出量とを減少させ、焼却室4内の下側焼却領域4Vに供給される火炎FHの火力を弱める。
これにより、被焼却物Bが燃焼する際の温度が低くなり、排気室5に排気される乾留ガスKの温度を低下させることができる。
次に、第1実施例の焼却装置1Aによる被焼却物Bの焼却方法を説明する。
先ず、図1、図3に示すように、焼却開始前に、焼却室4のシャッター4dを閉塞し、シャッター4bを開放し、乾燥炭化室6のシャッター6bを開放した後、被焼却物Bを、乾燥炭化室6の投入口6a及び焼却室4の投入口4aを介して、焼却室4内の下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wが満たされる状態に投入する。
この後、焼却室4のシャッター4bを閉塞し、次に焼却する被焼却物Bを乾燥炭化室6に所定量投入した後、乾燥炭化室6のシャッター6bを閉塞する。
焼却開始時において、制御装置20から出力される焼却開始信号に基づいて、燃焼促進装置10Aのエアー供給ポンプ14を駆動し、エアー吐出管15の先端から吐出されるエアーArの吐出力によって、燃料吐出管13から吐出される液状の燃料Fuを霧状に拡散させ、完全燃焼するのに必要な量のエアーArを霧状の燃料Fu中に混合する。
かつ、霧状に拡散した燃料Fuに着火用ヒーター16で着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに投入した被焼却物Bに着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料供給ポンプ11を停止し、着火用ヒーター16による着火を停止して、エアー吐出管15から吐出されるエアーArのみを、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給する。
これにより、被焼却物Bが燃焼する際、エアーArの供給量が不足したり、不完全燃焼が生じることが無く、被焼却物Bを効率よく燃焼させることができる。
また、下側焼却領域4Vに供給されるエアーArの供給量を、隔壁3の下側孔部3aによって、被焼却物Bが燃焼するのに必要なエアー供給量に制限又は絞り込み、その必要最小限のエアーArによって、下側焼却領域4Vの被焼却物Bを燃焼させる。
燃焼時において、焼却炉2内に供給されるエアーArは、下側焼却領域4Vの被焼却物Bが燃焼する際に殆ど消費されるので、下側焼却領域4Wに投入された被焼却物Bには殆ど供給されることがない。
したがって、上側焼却領域4Wの被焼却物Bを、下側焼却領域4Vの被焼却物Bが燃焼する際の焼却熱によって高温に加熱しても、該被焼却物Bが燃焼するのに必要なエアー供給量が得られず、不足することになるので、被焼却物Bが自然発火することを抑制できる。
また、上側焼却領域4Wの被焼却物Bを、下側焼却領域4Vの被焼却物Bが燃焼する際の焼却熱によって燃焼させることなく高温に加熱して乾留(蒸し焼き)するので、揮発性可燃成分からなる乾留ガスKと、不揮発性可燃成分からなる焼却物とに効率よく分解することができる。
上側焼却領域4Wの被焼却物Bが加熱された際に発生する高温の乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNは、隔壁3の上側孔部3aを通過して、焼却室4から排気室5へ排気される。
また、エアー吐出管15から吐出されるエアーArを、隔壁3の下側孔部3aに向けて吐出することにより、隔壁3の下側孔部3aに向けてエアーArの気流が発生する。
隔壁3の上側孔部3aから排気室5に排気された直後の乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNを、エアーArの気流に巻き込みながら該エアーArに混合して一緒に移送し、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給する。
これにより、下側焼却領域4V及び上側焼却領域4Wの孔部3aが近接しているので、焼却室4内で発生した被焼却物Bから放出される乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNを、エアーArの気流に巻き込みながら高温に保ったまま下側焼却領域4Vの被焼却物Bに対して連続して循環供給することができる。
なお、乾留ガスKや熱気Hを含む燃焼ガスNの残りは、排気室5の上端側開口部から大気中に排気される。
つまり、焼却室4内で発生した乾留ガスKを、高温に保ったまま焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給し、燃焼中の被焼却物Bの炎や高温の燃焼ガスNに接触させて着火するので、被焼却物Bの燃焼を、乾留ガスKが燃焼する際の火炎FHによって促進することができるとともに、被焼却物Bを燃焼させるための燃料として使用することができる。
このため、燃焼促進装置10Bによる着火後において、例えば重油やガス等の燃料Fuを供給しなくても、被焼却物Bが高温に加熱された際に発生する乾留ガスKを燃料として、被焼却物Bを完全燃焼させることができる。
この結果、被焼却物Bを焼却する際に使用する燃料Fuの消費量を必要最小限に抑えることができる。また、例えばノズルから噴射される液状の燃料Fuに着火するよりも、霧状の燃料Fuに着火すれば燃焼効率が良いので、被焼却物Bを焼却する際に使用する燃料Fuの消費量が少なくて済み、焼却費の低減を図ることができる。
また、焼却室4内で発生した乾留ガスKや燃焼ガスNには、例えば煤塵やダイオキシン、悪臭の元となる成分等が含まれている可能性があるが、その乾留ガスKや燃焼ガスNを、焼却室4内の下側焼却領域4Vに供給して、被焼却物Bが燃焼する際の高温にて煤塵を燃焼させ、ダイオキシンや悪臭の元となる成分を加熱・分解する。
この結果、例えば煤煙、異臭、有毒物質等の物質が大気中にほとんど放出されず、自然環境に影響を及ぼすような物質の放出量を低減することができる。
焼却室4にて被焼却物Bの焼却が完了した後、シャッター4dを開放して、被焼却物Bの焼却灰Baを、焼却室4から予備焼却室7へ排出する。シャッター4dを閉塞した後、シャッター4bを開放して、乾燥炭化室6にて乾燥・炭化された被焼却物Bを焼却室4に投入する。
なお、予備焼却室7に排出された焼却灰Baは、取出し扉7cを開放し、予備焼却室7から取り出して廃棄処分する。
焼却室4のシャッター4bを閉塞した後、上述と同様にして、焼却室4に投入された被焼却物Bを焼却するので、例えば水分が含まれる被焼却物Bを焼却室4に直接投入して焼却するよりも、被焼却物Bの焼却に要する処理時間を大幅に短縮することができる。また、焼却時の熱量が少なくて済むため、焼却コストの低減を図ることができる。
また、例えば汚泥や糞尿等の水分が多く含まれる被焼却物Bを乾燥・炭化する場合、誘導板8の開角度を大きくして、排気室5に排気された乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを乾燥炭化室6内に向けて誘導し、孔部6bを通過して乾燥炭化室6内に供給される乾留ガスKや熱気Hの供給量を多くする。
つまり、被焼却物Bに接触する燃焼ガスNの接触量を増加させて、被焼却物Bを燃焼ガスNの熱によって加熱し、被焼却物Bに含まれる水分を燃焼ガスNに効率よく吸着させるので、被焼却物Bを短い時間で乾燥・炭化することができる。
また、誘導板8の開角度を小さくして、乾燥炭化室6内に供給される燃焼ガスNの供給量を制限又は絞り込めば、被焼却物Bに接触する燃焼ガスNの接触量が減少するので、被焼却物Bが必要以上に乾燥・炭化されることを防止できる。
これにより、乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bの水分含有量に応じて、該乾燥炭化室6内に供給される燃焼ガスNの供給量を増減調整することができ、乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bを、焼却室4にて効率よく焼却するのに適した乾燥状態又は炭化状態に予備処理することができる。
次に、例えば使用済み注射器や注射針、ガーゼ、包帯などの医療廃棄物、あるいは、その他の高温にて焼却する必要がある産業廃棄物等の被焼却物Bを焼却処理する方法を説明する。
先ず、被焼却物Bを焼却室4で一次焼却した後、焼却室4のシャッター4dを開放して、一次焼却された被焼却物Bを予備焼却室7に投入する。
シャッター4dを閉塞した後、予備焼却室7に投入された被焼却物Bを、燃焼促進装置10Bから噴射される火炎FHにより、焼却室4で焼却する際の温度よりも高い温度(例えば1200℃以上)にて焼却する。
この結果、上述のような高温にて焼却する必要がある被焼却物Bを、焼却室4で焼却する際の温度よりも高い温度で、廃棄物処理法に準拠した温度にて確実に焼却することができる。
なお、上述の高温にて焼却する被焼却物Bを、予備焼却室7に直接投入して高温で焼却してもよい。
また、図1中の仮想線で示す熱伝導管22を、焼却炉2の外周面(或いは内周面)に沿って螺旋状に配管してもよく、焼却時の余熱を利用して、熱伝導管22内に供給される例えば水等の液体を加熱して蒸発気化すれば、その蒸気の圧力を利用して発電用蒸気タービンを駆動することができるので、第1実施例の焼却装置1Aを発電にも適用することができる。
次に、図4、図5を用いて、被焼却物Bを、焼却室4内の温度を低下させること無く焼却する第2実施例の焼却装置1Bについて説明する。
図4は第2実施例の焼却装置1Bの内部構造を示す縦断側面図、図5は焼却炉2のY−Y線断面端面図である。
なお、第2実施例において、前述の第1実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
第2実施例の焼却装置1Bは、焼却炉2の内部を、2枚の隔壁3によって焼却室4と排気室5,5とに分割している。その隔壁3の上部側に開口した開口部3bには、誘導板8を開閉自在に取り付けている。また、排気室5の下側壁部には、燃焼促進装置10Aをそれぞれ配置している。
焼却炉2の上部には、焼却室4と連通して、閉塞板6eが回転自在に軸支された乾燥炭化室6を連設している。また、閉塞板6eは、乾燥炭化室6の内部中央に軸架した軸部6fで軸支され、軸部6fを中心として、電動又は手動にて矢印方向に回転される。
つまり、シャッター6bを閉塞したまま、乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bを、閉塞板6eの回転によって乾燥炭化室6から排出するとともに、乾燥炭化室6の排出側に配置したシューター6gに沿って流下させて焼却室4に投入する。
乾燥炭化室6に投入された被焼却物Bを焼却室4に投入する際、温度の低い外気が焼却室4や排気室5に侵入することを防止できる。また、焼却室4や排気室5内の乾留ガスKや熱気Hが、乾燥炭化室6から大気中に排気されることを防止できる。
この結果、焼却室4や排気室5の温度が殆ど変化せず、被焼却物Bでの焼却に及ぼす影響が小さいため、被焼却物Bの焼却がより効率よく行える。
また、シューター6gの斜面には、乾留ガスKや熱気Hの通過が許容される丸形状の孔部6hを、該シューター6gの斜面に沿って所定間隔を隔てて複数配列している。
焼却室4の排出口4cには、火格子4eを配置している。また、火格子4eの下部には、排出口4cが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター4fを開閉自在に設けている。
焼却装置1Bにより被焼却物Bを焼却する場合、左右の燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの吐出力によって霧状に拡散した燃料Fuに着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに投入された被焼却物Bに着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料Fuの吐出を停止させ、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArのみを焼却室4内の下側焼却領域4Vに連続供給し、隔壁3の下側孔部3aにより絞り込まれた必要最小限のエアーArを利用して、被焼却物Bを燃焼させる。
一方、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを、隔壁3の上側孔部3aから左右の排気室5へ排気するとともに、該排気室5に排気された高温の乾留ガスKが含まれる燃焼ガスNを、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの気流に巻き込みながら隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内の下側焼却領域4Vに左右から連続供給する。
これにより、焼却室4内で発生する高温の乾留ガスKを、焼却室4内の被焼却物Bを燃焼させるための燃料として使用することができる。
この結果、エアーAr及び火炎FHを、焼却室4の内部に対して1箇所から供給するよりも焼却効率が良く、前記第1実施例と略同等又は同等以上の作用及び効果を奏することができる。
なお、回転式の閉塞板6eを備えた乾燥炭化室6の構成は、第1実施例の焼却装置1Aにも適用することができる。
また、焼却室4の上部に、閉塞板6eが軸支された乾燥炭化室6を連設して、乾燥炭化室6にて乾燥・炭化された被焼却物Bを、閉塞板6eの回転により排出して焼却室4に直接投入してもよい。
次に、図6を用いて、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを焼却以外の方法に利用する第3実施例の焼却装置1Cについて説明する。図6は第3実施例の焼却装置1Cの内部構造を示す縦断側面図である。
なお、第3実施例において、前述の第1実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
第3実施例の焼却装置1Cは、焼却炉2の内部を、該焼却炉2の長手方向に直交して配置した誘導筒19によって焼却室4と予備焼却室7とに上下分割している。
誘導筒19は、焼却炉2の両側壁部に貫通して水平に配置している。また、誘導筒19の中央上部周面には、誘導筒19の内部と連通して乾燥炭化筒19aを上方に向けて垂直に連設している。
誘導筒19及び乾燥炭化筒19aの周面には、燃焼ガスNやエアーAr、火炎FHの通過が許容される丸形状の孔部19bを、各筒の周面に沿って所定間隔を隔てて多数配列している。
焼却炉2の上部には、該焼却炉2の内部と連通して投入口2aを開口している。また、投入口2aには、該投入口2aが閉塞される大きさ及び形状に形成したシャッター2bを開閉自在に設けている。
また、誘導筒19の左端側開口部には、第1実施例で説明した燃焼促進装置10Aを配置している。また、誘導筒19の右端側開口部は、乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを利用する図示しない装置に接続している。
焼却装置1Cにより被焼却物Bを焼却する場合、燃焼促進装置10Aから吐出される霧状に拡散した燃料Fuに着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、誘導筒19の孔部19bを通過させて、焼却室4内に投入された被焼却物Bに着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料Fuの吐出を停止させ、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArのみを誘導筒19及び乾燥炭化筒19aに連続供給し、誘導筒19及び乾燥炭化筒19aの孔部19bから吐出されるエアーArを利用して、被焼却物Bを燃焼させる。
なお、焼却室4で焼却した被焼却物Bの焼却灰Baは、焼却室4と誘導筒19との間に形成された図示しない排出路を通って予備焼却室7に投入される。
一方、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを、下流側孔部19bから誘導筒19内へ流入させ、誘導筒19の右端側開口部に接続された例えば加熱機やボイラー等の他の装置へ連続供給する。
これにより、揮発性可燃成分が含まれる乾留ガスKを燃焼用の燃料として他の装置で用いることができる。また、乾留ガスKや熱気Hの高熱は、例えば発電用蒸気タービンを駆動するための蒸気を生成するのに利用できる。
この結果、乾留ガスKや熱気Hの損失が少なく、無駄なく有効に活用することができる。
次に、図7を用いて、焼却室4内に投入された被焼却物Bを複数の方向から火炎FHにて同時に着火する第4実施例の焼却装置1Dを説明する。図7は第4実施例の焼却装置1Dの内部構造を示す横断端面図である。
なお、第4実施例において、前述の第1実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
第4実施例の焼却装置1Dは、丸形筒状を有する焼却炉2の内部を、該焼却炉2の内部中央に配置した丸形筒状の隔壁3によって、内側の焼却室4と外側の排気室5とに分割している。
また、排気室5の下側周壁部には、燃焼促進装置10Aを、焼却炉2の中心部を中心として周方向に所定間隔を隔てて4基配置している。
焼却装置1Dにより被焼却物Bを焼却する場合、4基の燃焼促進装置10Aから吐出される霧状に拡散した燃料Fuに着火するとともに、その燃料Fuの火炎FHを、隔壁3の下側周面に配置した孔部3aを通過させて、焼却室4内の下層側に投入された被焼却物Bに対して複数の方向から同時に着火する。
被焼却物Bに着火した後、燃料Fuの吐出を停止させ、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArのみを焼却室4内に連続供給して、被焼却物Bを完全燃焼させる。かつ、焼却室4内の上層側に投入された被焼却物Bを、下層側の被焼却物Bが燃焼する際の焼却熱によって乾燥・炭化させる。
一方、焼却室4内で発生する乾留ガスKや熱気Hが含まれる燃焼ガスNを、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの気流に巻き込みながら隔壁3の下側孔部3aを通過させて、焼却室4内に対して複数の方向から同時に連続供給する。
これにより、焼却室4内で発生する高温の乾留ガスKを、焼却室4内の被焼却物Bを燃焼させるための燃料として使用することができる。
この結果、エアーAr及び火炎FHを、焼却室4の内部に対して1箇所又は2箇所から供給するよりも焼却効率が良く、前記第1実施例と略同等又は同等以上の作用及び効果を奏することができる。
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の燃焼促進手段は、実施形態の燃焼促進装置10A,10Bに対応し、
以下同様に、
燃料吐出手段は、燃料吐出管13に対応し、
エアー吐出手段は、エアー吐出管15に対応し、
着火手段は、着火用ヒーター16に対応し、
制御手段は、制御装置20に対応し、
温度検知手段は、温度センサー21に対応し、
ガス誘導手段は、誘導板8に対応し、
気流発生手段は、気流発生管18bに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば隔壁3の孔部3aを、例えば汚泥、糞尿等の液状又はペースト状の被焼却物Bが表面張力によって通過が阻止され、エアーArの通過が許容される孔径に形成すれば、液状又はペースト状の被焼却物Bが隔壁3の孔部3aを通過しにくく、孔部3aに詰りが生じることを防止できる。
また、乾燥炭化室6に投入された液状又はペースト状の被焼却物Bを、焼却室4内で被焼却物Bを焼却した際に発生する焼却熱と、焼却室4内で発生した燃焼ガスNの熱とで加熱して、被焼却物Bに含まれる水分を蒸発させ乾燥・炭化してもよい。
また、被焼却物Bを、例えばスクリューコンベアー等の移送手段により移送して焼却室4内に定量投入してもよい。
なお、焼却炉2全体や焼却室4及び排気室5の容積と、隔壁3の孔部3aの開口率と、燃焼促進装置10Aから吐出されるエアーArの供給量とを、例えば産業廃棄物や医療廃棄物、その他の廃棄物等の被焼却物Bの種類に応じて、該被焼却物Bを焼却するのに適した値に更してもよい。
B…被焼却物
Ba…焼却灰
N…焼却ガス
K…乾留ガス
H…熱気
Ar…エアー
Fu…燃料
FH…火炎
1A,1B,1C,1D…焼却装置
2…焼却炉
3…隔壁
3a…孔部
4…焼却室
4V…下側焼却領域
4W…上側焼却領域
5…排気室
6…乾燥炭化室
6c…壁部
6d…孔部
7…予備焼却室
8…誘導板
10A,10B…燃焼促進装置
13…燃料吐出管
15…エアー吐出管
16…着火用ヒーター
17…拡散筒
17a…孔部
18…気流発生装置
18b…気流発生管
19…誘導筒
19a…乾燥炭化筒
19b…孔部
20…制御装置
21…温度センサー
22…熱伝導管

Claims (8)

  1. 焼却炉の内部に、被焼却物を燃焼させて焼却する焼却室と、該焼却室内で発生した乾留ガスが含まれる燃焼ガスを排気する排気室とを備えた焼却装置であって、
    前記焼却炉の内部を、該焼却炉の内部に設けた隔壁によって前記焼却室と前記排気室とに分割し、
    前記隔壁に、前記焼却室と前記排気室とに貫通して孔部を設けるとともに、
    該孔部を、前記焼却室内に設定した下側焼却領域及び上側焼却領域と対応する部分の前記隔壁に沿って所定間隔を隔てて多数配列し、
    前記排気室の前記下側焼却領域の孔部と対向する位置に、
    前記下側焼却領域の孔部に向けてエアーを吐出するエアー吐出手段と、
    前記孔部に向けて燃料を吐出する燃料吐出手段と、
    前記燃料吐出手段から吐出される燃料に着火する着火手段とからなる燃焼促進手段を配置し、
    前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出力を、前記上側焼却領域の孔部から排気される燃焼ガスが該エアーの気流に対して巻き込まれる強さに設定した
    焼却装置。
  2. 前記焼却室の上部に、前記被焼却物の投入が許容される投入口を設け、
    前記投入口に、前記被焼却物を乾燥・炭化する乾燥炭化室を連設し、
    前記乾燥炭化室の前記排気室と対応する壁部に、前記燃焼ガスのみの通過が許容される複数の孔部を設け、
    前記排気室に、前記壁部に設けた孔部に向けて前記燃焼ガスを誘導するガス誘導手段を設けた
    請求項1に記載の焼却装置。
  3. 前記ガス誘導手段を、
    前記乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部が閉塞される大きさ及び形状に形成した誘導板で構成し、
    前記誘導板の上端側を、前記乾燥炭化室の前記排気室と対応する壁部の上端側に枢着して、
    該誘導板を、
    前記乾燥炭化室の壁部に設けられた全孔部が閉塞される閉塞角度と、該壁部に設けた孔部に向けて前記燃焼ガスが誘導される開放角度とに開閉調節自在に設けた
    請求項2に記載の焼却装置。
  4. 前記誘導板の開閉範囲よりも外側下方に、
    前記乾燥炭化室と前記誘導板との対向面間に形成される空間部に向けてエアーを吐出するとともに、該エアーによって気流を発生させる気流発生手段を設けた
    請求項3に記載の焼却装置。
  5. 前記排気室の内部に、該排気室に排気された燃焼ガスの温度を検知する温度検知手段を設け、
    前記温度検知手段から出力される検知信号に基づいて、予め設定された温度の範囲内であるか否かを判定し、前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出量を制御する制御手段を備えた
    請求項1〜4のいずれか一つに記載の焼却装置。
  6. 前記焼却室の下部に、前記被焼却物の焼却灰の排出が許容される排出口を設け、
    前記排出口に、
    前記焼却室から排出される被焼却物を、該焼却室内にて焼却する際の温度よりも高い温度で焼却する予備焼却室を連設し、
    前記予備焼却室に、該予備焼却室に投入された被焼却物を高温の火炎にて焼却する燃焼促進手段を備えた
    請求項1〜5のいずれか一つに記載の焼却装置。
  7. 前記燃料吐出管を、
    前記エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出方向と直交して配置するとともに、該燃料吐出管の先端を前記エアー吐出管の先端に近接して配置した
    請求項1〜6のいずれか一つに記載の焼却装置。
  8. 前記エアー吐出手段の吐出側に、該エアー吐出手段から吐出されるエアーの吐出方向と対向して拡散筒を配置し、
    前記拡散筒を、
    前記エアーの吐出方向と対向する端部を閉塞した筒形状に形成し、
    該拡散筒の周面に、前記エアー及び燃料の通過が許容される大きさ及び形状に形成した孔部を設けるとともに、該拡散筒の周面に沿って所定間隔を隔てて複数配列した
    請求項1〜7のいずれか一つに記載の焼却装置。
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