JP2013117206A - 車両用内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】センサの異常発生により点火時期制御等のタイミングを最適化できないフェールセーフ制御下の運転状態であっても、負圧作動機器の作動圧を確保できる車両用内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】多気筒の内燃機関とその吸気管内負圧を用いるブレーキブースタとを備えた車両に装備される車両用内燃機関の制御装置であって、クランク角センサと、カム角センサと、両センサのうち少なくとも一方の検出信号に基づいて気筒判別処理を実行し、その結果に基づいて内燃機関の通常の運転を制御する第1の制御機構と、一方の検出信号が正常に入力されないことを条件に他方の検出信号に基づいて気筒判別処理を実行し、その結果に基づいて内燃機関の運転を特定の条件で制御する第2の制御機構と、を備え、第2の制御機構は、内燃機関の運転を特定の条件で制御するとき、その吸気管内の負圧を増大させる処理(ステップS12,S14)を実行する。
【選択図】図5

Description

本発明は、車両用内燃機関の制御装置に関し、特に車両に搭載され内燃機関の異常発生時にフェールセーフ制御を実行する車両用内燃機関の制御装置に関する。
走行駆動源として内燃機関を搭載した車両においては、その内燃機関に異常が発生した場合に、内燃機関の運転を制限したり運転の条件を変更したりして車両の安全性を確保する制御、いわゆるフェールセーフ制御を実行する車両用内燃機関の制御装置が知られている。
この種の従来の車両用内燃機関の制御装置としては、例えば信号線の断線等によりクランク角センサの異常が発生したときに、2種類のカム角センサからの検出パルス発生間隔に基づいて内燃機関の各気筒の燃焼サイクルに対応する疑似基準タイミング信号を生成して、その疑似基準タイミング信号を用いて気筒判別することにより、内燃機関に対する燃料噴射期間および点火時期の制御を継続実行できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この装置では、クランク角センサの異常発生時に、機関回転速度を基にフェールセーフ用のスロットル開度制限値を設定してスロットル開度をその制限値以下に制限したり、機関回転速度が所定値を超えていると燃料カット処理を実行したりすることで、内燃機関の機関回転速度とスロットル開度とのうち少なくとも一方を安全側に制御することで、車両の安全性を確保しつつ退避走行できるようにしている。
他の車両用内燃機関の制御装置として、例えば負圧ポンプの異常発生時に、アイドル制御要求中にアイドル制御手段の調整弁開度が所定開度よりも大きくなることを禁止して、内燃機関の吸気通路から負圧作動機器に供給する負圧を確保するとともに、内燃機関のクランクシャフトに加わる補機負荷を低減させる処理を実施することでエンストの発生を防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、スロットルバルブの開故障時に、ブレーキブースタの必要負圧を得るために要する必要エンジン回転数を算出して、その必要エンジン回転数を上回るようダウンシフト等によってエンジンの回転数を上昇させることで、ブレーキブースタの負圧作動を保証するようにしたものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−342888号公報 特開2007−107422号公報 特開2007−320368号公報
しかしながら、点火時期制御等の基準となるクランク角検出系(クランク角センサや信号線等)の異常発生時にカム角センサ情報を基に気筒判別して点火時期等の制御を継続する従来の車両用内燃機関の制御装置にあっては、その異常発生時に点火時期等が実質的に固定値に制限されるような制御がなされるものとなっていた。そのため、エンジンストールを防止するために暖機運転時の吸入空気量を増加させるアイドルアップ制御が必要になり、内燃機関の吸気管内の負圧が弱まることで、負圧作動式のブレーキブースタのような負圧作動機器の作動圧が低下する場合があった。その場合、センサ異常により退避走行を行うような状態にあって、ブレーキ性能が通常より低下してしまうことが懸念される。
また、他の従来の車両用内燃機関の制御装置も、負圧ポンプの異常発生時やスロットルバルブの開故障時における負圧作動機器の作動負圧確保は可能であっても、点火時期制御等の基準となるクランク角検出系の異常発生時に実行されるフェールセーフ制御下では負圧を十分に確保できず、上述のような問題を解消できなかった。
そこで、本発明は、センサの異常発生によって点火時期制御等のタイミングを最適化できないフェールセーフ制御下の運転状態であっても、負圧作動機器の作動圧を確保することができる車両用内燃機関の制御装置を提供するものである。
本発明に係る車両用内燃機関の制御装置は、上記目的達成のため、(1)多気筒の内燃機関と該内燃機関の吸気管内負圧を用いて作動する負圧作動機器とを備えた車両に装備される車両用内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関のクランクシャフトの回転角度位置を検出可能なクランク角センサと、前記内燃機関のカムシャフトの回転角度位置を検出可能なカム角センサと、前記クランク角センサおよび前記カム角センサのうち少なくとも一方の検出信号に基づいて前記内燃機関の気筒判別処理を実行し、該気筒判別処理の結果に基づいて前記内燃機関の運転を制御する第1の制御機構と、前記一方の検出信号が正常に入力されないことを条件に、前記クランク角センサおよび前記カム角センサのうち他方の検出信号に基づいて前記気筒判別処理を実行し、該気筒判別処理の結果に基づいて前記内燃機関の運転を特定の条件で制御する第2の制御機構と、を備え、前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を特定の条件で制御するとき、前記内燃機関の吸気管内の負圧を増大させる処理を実行することを特徴とする。
この構成により、クランク角センサおよびカム角センサのうち通常の気筒判別等のための基準タイミング設定に要する一方の検出信号、例えばクランク角センサの検出信号が正常に検出されない異常発生状態で、内燃機関が特定の条件で運転制御されるとき、内燃機関の吸気管内負圧を増大させる処理が実行されることになる。したがって、一方の検出信号が正常に検出されない状態で実行されるフェールセーフ制御下の運転状態であっても、負圧作動機器の作動圧を十分に確保することができる。
本発明の車両用内燃機関の制御装置においては、(2)前記特定の条件は、少なくとも前記内燃機関のアイドルアップ制御を実行することであることが望ましい。これにより、点火時期等が最適でなくともアイドルアップ制御によってエンジンストールに陥らないようにでき、しかも、そのアイドルアップ制御のためのスロットル開度の増加によって吸気管内負圧が低下することを、第2の制御機構による吸気管内負圧を増大させる処理によって確実に防止できることになる。
本発明の車両用内燃機関の制御装置においては、好ましくは、(3)前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を前記特定の条件で制御するとき、前記内燃機関の機関回転速度を上昇させるものである。この場合、スロットル開度が顕著に増大しなければ、機関回転速度が上昇するほど吸気管内の負圧が強まることになり、負圧作動機器の作動圧を確保できることになる。
本発明の車両用内燃機関の制御装置においては、(4)前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を前記特定の条件で制御するとき、前記内燃機関によって駆動される負荷を低減させることが好ましい。この場合、駆動負荷の低減によって内燃機関の回転速度が上昇することになり、負圧作動機器の作動圧を確保できることになる。
本発明の車両用内燃機関の制御装置においては、(5)前記車両に、前記内燃機関から出力される回転動力を変速して駆動輪側に出力する変速機と、該変速機を制御する変速機制御装置と、が装備され、前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を前記特定の条件で制御するとき、前記変速機を低速側に変速させるためのダウンシフト要求を前記変速機制御装置に出力することが好ましい。この場合、同一出力に対し変速機のダウンシフトが発生することで、内燃機関の機関回転速度が上昇することになり、負圧作動機器の作動圧が確保されることになる。
本発明の車両用内燃機関の制御装置においては、(6)前記負圧作動機器が、負圧作動式のブレーキブースタを含み、前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を前記特定の条件で制御するとき、前記ブレーキブースタの予め設定された作動圧を確保するように、前記内燃機関の吸気管内の負圧を増大させる処理を実行することが好ましい。この構成により、一方のセンサに異常が発生しフェールセーフ制御が実行される状態下であっても、ブレーキブースタの作動圧が確保され、所要のブレーキ性能が維持できることになる。
この場合、さらに、(7)前記第2の制御機構は、前記内燃機関の吸気管内の負圧を増大させる第1の負圧増大処理を実行した後に前記ブレーキブースタが作動したことを条件に、前記内燃機関によって駆動される補機負荷を低減させる第2の負圧増大処理を実行するのがより好ましい。これにより、次の制動操作がなされるときに負圧作動式のブレーキブースタの作動圧が不足することを確実に防止することができる。なお、ここにいう補機負荷は、オン・オフ切替えの制御が容易なものであるのが好ましい。
本発明によれば、センサ異常発生状態で内燃機関が特定の条件で運転されるとき、内燃機関の吸気管内の負圧を増大させる処理を伴う運転制御が実行されるようにしているので、点火時期制御等のタイミングを最適化できないフェールセーフ制御下の運転状態であっても、ブレーキブースタ等の負圧作動機器の作動圧を十分に確保することができる車両用内燃機関の制御装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る車両用内燃機関の制御装置の概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係る車両用内燃機関の制御装置における回転検出および基準信号生成に係る要部の構成図である。 本発明の第1実施形態に係る車両用内燃機関の制御装置におけるクランク角検出部およびカム角検出部の説明図であり、図3(a)はクランク角検出部の構成図、図3(b)はカム角検出部の構成図、図3(c)は両検出部からの検出信号の変化を示すタイミングチャートである。 本発明の第1実施形態に係る車両用内燃機関の制御装置における気筒判別原理を説明するタイミングチャートであり、図4(a)は第1気筒が圧縮行程にあると判定して点火時期制御を開始する場合を示し、図4(b)は第2気筒が圧縮行程にあると判定して点火時期制御を開始する場合を示している。 本発明の第1実施形態に係る車両用内燃機関の制御装置で実行されるフェールセーフ制御時の吸気管負圧増大処理の概略の手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る車両用内燃機関の制御装置における回転検出および基準信号生成に係る要部の構成図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1ないし図5は、本発明の第1実施形態に係る車両用内燃機関の制御装置を示している。なお、本実施形態は、本発明の車両用内燃機関の制御装置を自動車に搭載される内燃機関(以下、エンジンという)および自動変速機からなる走行駆動ユニットと、エンジンによって直接または間接的に駆動される各種補機類とを制御可能な車両駆動系の制御装置として構成されたものである。
まず、構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態は、車両の走行駆動源としてのエンジン10の運転と、エンジン10から出力される回転動力を変速して図外の駆動輪側に出力する自動変速機80の動作とを、電子制御ユニット(以下、ECUという)100によって制御するものである。エンジン10は、火花点火式の直列4気筒エンジンで、例えばポート噴射により燃料と空気の予混合がなされるものである。自動変速機80は、例えば多段変速機で構成されているが、無段変速機(CVT)でもよい。
エンジン10は、複数の気筒11を形成する機関本体12と、複数の気筒11内に摺動可能に設けられるとともに燃焼室13を形成する複数のピストン14と、これら複数のピストン14がコネクティングロッド15を介して連結されたクランクシャフト16とを備えている。また、エンジン10は、燃焼室13の上部側に開閉動作可能に配置された吸気弁17および排気弁18と、燃焼室13内の圧縮された混合ガスに火花を放つよう点火時期が制御される点火プラグ19と、吸気弁17および排気弁18をクランクシャフト16の回転に伴うピストン14のストローク位置に応じて開閉動作させる動弁機構20と、を有している。
動弁機構20は、例えば、クランクシャフト16の回転速度[rpm]の1/2の回転速度で回転するようクランクシャフト16に図示しないチェーン等の無端伝動要素を介して連結された吸気側のカムシャフト21および排気側のカムシャフト22と、ラッシュアジャスタ等により支点位置を調整可能で吸気側のカムシャフト21および排気側のカムシャフト22の回転角度位置に応じて吸気弁17および排気弁18のステム部(符号無し)を開弁駆動可能なロッカーアーム(符号無し)と、吸気弁17および排気弁18を閉弁方向に付勢する図示しないバルブスプリング等を含んで構成されている。
エンジン10の機関本体12には、吸気弁17の開弁時に燃焼室13内に空気および燃料の混合ガスを吸入(吸気)させることができる吸気通路31pを形成する吸気管31と、排気弁18の開弁時に燃焼室13から排気ガスを排出させることができる排気通路41pを形成する排気管41と、が装着されている。
吸気管31の上流端側には、エアクリーナ32が装着されており、吸気管31の中間部には、吸気の脈動や干渉を抑えるサージタンク33が設けられている。吸気管31のサージタンク33より上流側には、エアーフローメータ34と、電子制御式のスロットルバルブ35と、スロットルバルブ35の開度を検出するスロットル開度センサ36とが装着されている。吸気管31のサージタンク33より下流側には、インジェクタ37(燃料噴射弁)が装着されており、インジェクタ37から吸気管31内に燃料が噴射されるとき、その燃料が吸入空気と混合されるようになっている。
また、吸気管31のサージタンク33には、吸気管31内の負圧(吸気負圧)を用いて作動する負圧作動機器、例えば負圧作動式のブレーキブースタ51が、チェック弁52aを有する配管52によって配管接続されており、吸気管31内の吸気負圧が配管52を介してブレーキブースタ51内に導入されるようになっている。なお、ここにいう負圧作動機器は、ブレーキブースタ51以外に、負圧を用いて作動する図示しないアクチュエータやバルブ等を含む。
ブレーキブースタ51は、詳細な構造を図示しないが、例えばブレーキマスタシリンダ53に一体的に結合されたパワーシリンダ54と、そのパワーシリンダ54内を負圧導入室55aと大気導入室55bに区画するようパワーシリンダ54内に軸方向摺動可能に設けられたダイヤフラム付きのパワーピストン56と、を有している。
ブレーキマスタシリンダ53は、車両に装備されたブレーキペダル59に運転者からの踏力が加えられるとき、図示しないブレーキ液圧回路内のブレーキ油圧を加圧することができる公知のものであり、パワーピストン56のプッシュロッド部56aによって液圧加圧方向に操作されるようになっている。
また、ブレーキブースタ51は、ブレーキペダル59に加わる踏力に応じた操作力を受けてパワーピストン56と同一軸方向に変位する操作ロッド57と、この操作ロッド57の軸方向変位に応じて大気導入室55bに大気圧か配管52から吸気負圧のうちいずれか一方を導入させるよう大気導入室55bの図示しない圧力導入口の開閉を切り替えることができる公知のバルブ58と、パワーピストン56を液圧方向とは反対の復帰方向に付勢する図示しない復帰ばねとを有している。
排気管41には、例えば三元触媒を内蔵する上流側の第1の触媒コンバータ42および下流側の第2の触媒コンバータ43と、第1の触媒コンバータ42の上流側に位置する第1空燃比センサ44と、第1の触媒コンバータ42の下流側に位置する第2空燃比センサ45とが、それぞれ装着されている。
一方、エンジン10の機関本体12には、クランクシャフト16の回転角度位置を検出可能なクランク角センサ61と、吸気側のカムシャフト21および排気側のカムシャフト22のうちいずれか一方、例えば吸気側のカムシャフト21(以下、単にカムシャフト21という)の回転角度位置を検出可能なカム角センサ62と、が装着されている。また、エンジン10の機関本体12には、各気筒11の近傍の壁部内を通る冷却水通路12wが形成されるとともに、その冷却水通路12w内の冷却水の温度を検出する水温センサ63が装着されている。
図2および図3(a)に示すように、クランク角センサ61は、クランクシャフト16に一体回転可能に設けられたクランク角検出用ロータ66と、その近傍に配設された電磁ピックアップ67とによって構成されている。
クランク角検出用ロータ66は、例えば強磁性体によって構成されており、その外周には、複数の歯66tが所定の角度ピッチで形成されている。また、クランク角検出用ロータ66の外周の特定箇所には、歯66tが所定の角度ピッチで形成されていない複数歯分(例えば30°CA分)の欠歯部66dが設けられている。この欠歯部66dの形成範囲以外の角度範囲では、各歯66tはクランク角10度毎(10°CA毎)に形成されている。
一方、電磁ピックアップ67は、クランクシャフト16の回転に伴うクランク角検出用ロータ66の回転によりクランク角検出用ロータ66の歯66tの先端が近傍を通過すると、電圧パルスを発生する。したがって、電磁ピックアップ67の近傍を欠歯部66dが通過するときには、電圧パルスの発生間隔が長くなるが、それ以外のときには10°CA毎に電圧パルスが発生する。これにより、クランクシャフト16の回転位相(回転角度位置)を検出することができる。
図3(c)は、このクランク角センサ61の検出信号の出力例を、カム角センサ62の後述する検出信号の出力例と共に示している。
ところで、4サイクル機関では、ピストンの昇降に応じて回転するクランクシャフトの2回転(720°CA)が機関サイクルの1周期となり、各気筒11のピストン14は、機関サイクルの1周期毎に2度上死点に達するため、クランク角センサ61の検出信号だけでは、正確な気筒判別を行うことはできない。そこで、本実施形態では、クランク角センサ61に加えて、カム角センサ62の検出信号を用いることで正確な気筒判別を行っている。
図2および図3(b)に示すように、カム角センサ62は、カム角検出用ロータ68と電磁ピックアップ69とによって構成されている。
カム角検出用ロータ68は、クランクシャフト16が2回転する毎に1回転されるカムシャフト21に一体回転可能に固定されている。このカム角検出用ロータ68は、回転軸心回りの90°区間毎に歯形が異なるとともにその1区間において欠歯しており、3枚の異なる歯68ta,68tb,68tcおよび欠歯部68dを有している。
また、カム角検出用ロータ68の近傍に配設された電磁ピックアップ69は、カムシャフト21の回転に応じてカム角検出用ロータ68の各歯68ta,68tb,68tcが近傍を通過する(歯の近接状態が切り替わる)毎に電磁誘導作用により電圧が正負に変化するカム角検出信号を発生する。
カム角検出用ロータ68の3つの歯68ta,68tb,68tcは、それぞれの回転方向における角度範囲が互いに異なっており、3つの歯68ta,68tb,68tcのうち隣り合う各一対の間の間隔についても、その回転角度位置によって相違するように設定されている。すなわち、カム角検出用ロータ68の回転方向において、第1気筒の圧縮上死点に対応する角度位置Aから、回転方向前方側に角度60°の歯68tbが形成され、その歯68tbの先端から回転方向前方側に60°の間隔をおいて、角度30°の歯68taが形成されている。また、その歯68tbの後端の角度位置Aから回転方向後方側に30°の間隔をおいて角度90°の歯68tcが形成されており、その歯68tcと歯68taの間に、角度90°の欠歯部68dが形成されている。
このカム角検出用ロータ68を有するカム角センサ62からは、図3(c)に示すように、60°CA、420°CA、及び600°CAに負の電圧パルスが出力され、0°CA(角度位置A)、240°CA、及び480°CAに正の電圧パルスが出力されることになる。
上述のクランク角センサ61およびカム角センサ62の検出信号は、それぞれECU100に取り込まれるようになっている。
ECU100は、エアーフローメータ34、スロットル開度センサ36、空燃比センサ44,45、クランク角センサ61、カム角センサ62、水温センサ63、アクセル開度センサ125、車速センサ126、ブレーキスイッチ127等の各種センサ情報に基づいて、エンジン10および自動変速機80を電子制御する機能を有している。
このECU100は、具体的なハードウェア構成を図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および不揮発メモリ等のバックアップ用メモリを含み、さらに、A/D変換器等を含む入力インターフェース回路と、ドライバやリレースイッチを含む出力インターフェース回路と、他の車載ECUとの通信インターフェース等を含んで構成されている。ここで、ECU100の入力インターフェース回路には、図2に示すように、クランク角センサ61およびカム角センサ62の検出信号を取込んでそれらの信号波形を整形する波形整形回路103が含まれている。また、ECU100の出力インターフェース回路には、インジェクタ37を噴射する噴射駆動回路104や点火プラグ19を駆動する点火駆動回路105が含まれている。
本実施形態では、ECU100は、エンジン10を制御するエンジンECU101と、自動変速機80を制御するトランスミッションECU102(変速機制御装置)とを一体に構成したものとなっている。ただし、エンジンECU101と、トランスミッションECU102とは、互いに別体に構成され得る。
ECU100のエンジンECU101は、ROMやバックアップメモリ(以下、ROM等という)に格納された制御プログラムに従って、例えばいわゆるマルチタスク処理を実行しながら、エンジン10における機関回転速度NE、充填効率KL(各気筒11内に吸入された空気量/各気筒11内に吸入可能な空気量)、点火時期、空燃比A/Fおよびトルクの相互の関係を前提として、エンジン10の各種の機能に対する要求、例えば目標トルクおよび目標回転数を実現するよう、エンジン10のスロットル開度(スロットルバルブ35の開度)、点火時期、燃料噴射時間(噴射時期および燃料噴射量)等をそれぞれに制御して、エンジン10の運転を制御するようになっている。
ECU100のトランスミッションECU102は、例えばアクセル開度センサ125および車速センサ126の検出情報に基づいて、公知の変速制御用のマップを参照し、車速とアクセル開度に応じた変速ギヤ段を要求変速段として決定するようになっており、その要求変速段への自動変速がなされるように、自動変速機80内の複数の摩擦係合要素(湿式多板のブレーキやクラッチ等)を切換え制御するようになっている。
ECU100は、また、ROM等に格納された制御プログラムに従って、クランク角センサ61の検出信号の変化からクランク角検出用ロータ66の欠歯部66dに対応する欠歯位置を確認して(このときのクランク角検出信号を、以下、欠歯信号という)、図4(a)および図4(b)に示すようなパルス状のTDC信号を生成するようになっている。ここで、TDC信号は、例えば機関サイクル中で第1気筒のピストン14が圧縮上死点に達するときのクランク角である0°CAと、第1気筒のピストン14が排気上死点に達するときのクランク角である360°CAとにおいて、それぞれ出力される。
ECU100は、また、カム角センサ62の検出信号の正負(電圧パルス)の変化に応じてオン、オフが切り替わるカム信号(図3(c)、図4(a)および図4(b)参照)を生成するようになっている。
したがって、図4(a)および図4(b)に示すように、クランク角センサ61からの最初の欠歯信号の入力が確認された時点t40またはt50においてカム信号がオンとなっていれば、TDC信号の出力時に第1気筒が圧縮上死点にあり(図4(a)の状態)、その時点t40またはt50においてカム信号がオフとなっていれば、TDC信号の出力時に第1気筒は排気上死点にある(図4(b)の状態)として、気筒判別を行う処理が可能となる。なお、このような通常の気筒判別処理は、例えば特開2004−239180号公報に記載されるものと同様である。
ところで、このような気筒判別処理に関し、ECU100は、例えばクランク角センサ61の検出信号が正常に入力されるか否かに応じて、次に述べる第1の制御機構および第2の制御機構のうち任意の一方の機能を発揮できるようになっている。
すなわち、ECU100は、クランク角センサ61およびカム角センサ62のうち少なくとも点火時期や燃料噴射時期の基準となる信号(以下、基準タイミング信号という)を生成するための一方の検出信号、本実施形態ではクランク角センサ61の検出信号が正常に入力されることを条件に、第1の制御機構としての機能を発揮する。このとき、ECU100は、クランク角センサ61およびカム角センサ62の検出信号に基づいて上述のような気筒判別処理を実行し、その気筒判別処理の結果に基づいてエンジン10のスロットル開度、点火時期および燃料噴射量をそれぞれ制御して、エンジン10の通常の運転制御を実行する。
また、ECU100は、クランク角センサ61およびカム角センサ62のうち少なくとも一方の検出信号、例えばクランク角センサ61の検出信号が正常に入力されない異常発生時であることを条件に、第2の制御機構としてのフェールセーフ制御機能を発揮するようになっている。このとき、ECU100は、クランク角センサ61およびカム角センサ62のうち少なくとも他方の検出信号、例えばカム角センサ62の検出信号にのみ基づいて気筒判別処理を実行し、その気筒判別処理の結果に基づいてエンジン10の運転を特定の条件で制御するようになっている。
具体的には、クランク角センサ61の検出信号が正常に入力されない異常発生時には、ECU100は、カム角センサ62の検出信号に基づいて概略の気筒判別処理を実行し、その気筒判別処理の結果に基づいてエンジン10の運転を特定の条件で制御する。
ここにいう概略の気筒判別とは、例えばカム角検出用ロータ68の歯68ta,68tb,68tcの角度や相互の間隔が回転方向の90°区間毎に異なり、その90°区間毎にオン時間およびオフ時間が異なるカム信号(立上りおよび立下りのタイミングが異なる検出信号)が得られるので、そのカム信号を基に、点火時期や燃料噴射時期の基準タイミング信号ほどの正確さや精度はないものの、その基準タイミング信号に代わり得る擬似基準タイミング信号を生成して、気筒判別を実行する処理である。
また、特定の条件とは、エンジン10のスロットル開度や機関回転速度を通常よりも低速・低回転側に制限するよう、スロットル開度、点火時期および燃料噴射時間(燃料噴射時期および燃料噴射量)等を通常運転時より狭い制御範囲に制限するものであり、具体的には、アイドルアップ制御を実行し、例えばアイドル回転数を上回るが1000rpm程度の低い機関回転速度としつつ、点火時期や燃料噴射時期を実質的に固定値に制限して車両の退避走行を可能にする場合のような制御条件である。なお、このような退避走行の技術自体は、例えば前述の特許文献1(特開2001−342888号公報)に記載されるものと同様であってもよい。
一方、ECU100は、第2の制御機構としてエンジン10の運転を前記特定の条件で制御するフェールセーフ制御機能を発揮するとき、エンジン10の吸気管31内の負圧を増大させる処理(以下、負圧増大処理という)を実行するようになっている。
具体的には、ECU100は、クランク角センサ61の検出信号が正常に入力されない異常発生時であって、フェールセーフ制御下での点火時期制御が実行されるとともに、エンジンストールを防止するためのアイドルアップ制御が実行されていることを条件に、ブレーキブースタ51の正常な倍力作用を得るために予め設定された作動圧を確保するように、吸気管31内の負圧を増大させる負圧増大処理を実行する。なお、ここでの正常な倍力作用とは、車両制動時にブレーキペダル59に加えられる通常の踏力をパワーピストン56の前後差圧に応じたアシスト力により倍力してマスターシリンダ53に所要レベルの液圧加圧操作力を伝える作用である。そして、ブレーキブースタ51の予め設定された作動圧とは、正常な倍力作用を得るのに要求される負圧である。
ECU100による負圧増大処理は、例えば特定開度以下に制限されたスロットル開度の下でエンジン10の機関回転速度NEを上昇させる処理であり、または、エンジン10によって駆動される補機負荷、例えば発電機であるオルタネータ71やエアーコンディショナ用のコンプレッサ72、その他の補機73の駆動負荷を低減させる処理である。ここでの補機負荷を低減させる処理は、負荷の駆動のためのエンジン10の負荷(吸入吸気量)を低減させることに相当し、その負荷の変化分だけスロットルバルブ35の開度を狭めることにもなる。
この負圧増大処理は、あるいは、自動変速機80を低速側に変速させるためのダウンシフト要求を第2の制御機構としてのECU100からトランスミッションECU102に出力して自動変速機80を低速段側に変速させるダウンシフト処理である。
より具体的には、ECU100は、フェールセーフ制御下での点火時期制御が実行されるとともに、エンジンストールを防止するためのアイドルアップ制御が実行されていることを条件に、自動変速機80を低速段側に変速させるダウンシフト処理を実行し、吸気管31内の負圧を十分に増大させる第1の負圧増大処理を実行する。
ECU100は、また、第1の負圧増大処理を実行した後のフェールセーフ制御下で、ブレーキスイッチ127がON(ブレーキペダル59が踏み込まれた状態)からOFF(ブレーキペダル59が踏み込まれていない状態)に切り替わったことを条件に、補機類の駆動負荷を低減させる第2の負圧増大処理を実行するようになっている。
この第2の負圧増大処理は、第1の負圧増大処理を実行した後にブレーキブースタ51が作動して、その作動圧(負圧)が十分でなくなることが懸念される状態になったときに、次の制動操作に備えて、吸気管31内の負圧を所定値以上に増加させることによってブレーキブースタ51の作動圧を回復させるための処理である。
これらの負圧増大処理、特に第1の負圧増大処理は、勿論、他の何らかの方法で、吸気管31内の負圧を増大させることができるような処理であってもよい。例えば、エンジン10の始動時に点火時期を遅角側として第1、第2の触媒コンバータ42,43を暖機する触媒暖機制御を実行する際に、エンジン10の点火時期を通常(第1の制御機構としてエンジン10の触媒暖機制御を実行するとき)より進角側に変更して燃焼を安定させ、負圧を増加させるといったことも考えられる。また、他の負圧源を搭載する車両である場合に、その負圧源からの負圧を吸気管内に導入するようなことも考えられる。
次に、作用について説明する。
図5は、車両の運転時、特にクランク角センサ61の検出信号がECU100に正常に取込まれなくなると、ECU100によってカム角センサ62の検出信号(電圧パルス)の発生ごとに繰り返し実行される負圧増大制御用の制御プログラムの概略の流れを示している。
この負圧増大制御用の制御プログラムにおいては、まず、クランク角センサ61の検出信号が正常に入力されない異常発生時であって、フェールセーフ制御下での点火時期制御が実行されるとともに、エンジンストールを防止するためのアイドルアップ制御が実行されている状態であるか否かが判別される(ステップS11)。
このとき、そのようなフェールセーフ制御下でのアイドルアップ制御実行中でなければ、今回の処理は、終了する(ステップS11でNOの場合)。
上述のように、ECU100は、クランク角センサ61の検出信号が予め設定された信号検出期間内に正常に入力されないと、クランク角センサ61の検出信号が正常に取込まれない異常発生時であると判断し、カム角センサ62の検出信号に基づいて概略の気筒判別処理を実行し、その気筒判別処理の結果に基づいてエンジン10の運転を特定の条件で制御する。
そして、そのようなフェールセーフ制御下での点火時期制御や燃料噴射時間の制御が実行されるとともに、エンジンストールを防止するためのアイドルアップ制御が実行されているときには、ステップS11での判別結果がYESとなる。
この場合(ステップS11のYESの場合)、次いで、自動変速機80を低速側に変速させるためのダウンシフト要求が、第2の制御機構としてのECU100(フェールセーフ制御機能部)からトランスミッションECU102に出力されることで、トランスミッションECU102により自動変速機80が低速側の変速段に切り換えられる(ステップS12)。
このとき、エンジン10の同一の要求出力に対して要求トルクが低く、機関回転速度が上昇する低速側の変速ギヤ段に移行するので、エンジン10のスロットル開度が特定開度以下に制限された状態でエンジン10の機関回転速度が上昇し、吸気管31内の負圧が増大する。したがって、このとき、吸気管31内の負圧は、ブレーキブースタ51の正常な倍力作用を得るために予め設定された作動圧を確保できる程度に増大することになる。
次いで、ブレーキスイッチ127がONからOFFに切り替わったことが検出されているか否かが判別される(ステップS13)。
そして、このとき、ブレーキペダル59が踏み込まれていれば、ブレーキスイッチ127はONであるから、今回の処理は終了する(ステップS13でNOの場合)。
一方、このとき、ブレーキペダル59が踏み込まれていなければ、ブレーキスイッチ127はOFFであるから(ステップS13でYESの場合)、次いで、負荷低減処理が実行され、エアーコンディショナ用のコンプレッサ72が所定時間だけ停止されるとともに、オルタネータ71による発電が所定時間停止される。あるいは、更にその他の補機73のうちいずれかの負荷を低減させる負荷低減処理が実行される。このとき、ブレーキブースタ51の正常な倍力作用が得られるように、オルタネータ71やエアーコンディショナ用のコンプレッサ72、その他の補機73のうち、その時点での負荷が大きい停止可能な負荷を特定して、その特定された補機だけを制動期間中に停止させるようにしてもよい。あるいは、複数の補機のうち、この負荷低減処理に際して停止させる順序を予め設定しておき、ブレーキブースタ51の正常な倍力作用を得るのに必要な負荷が低減できるように、その設定された停止順に複数の補機を停止させることもできる。なお、停止することがあまり好ましくない一部の補機については、負荷低減処理の対象としないか、その負荷を非制動状態下で一定の低下率で一時的に低下させるといったことができる。
このような負圧増大処理が実行される本実施形態においては、負圧作動装置の作動圧が不足しがちになるフェールセーフ制御下でのアイドルアップ制御実行中に、エンジン10のスロットル開度が特定開度以下に制限された状態でエンジン10の機関回転速度が上昇するようにダウンシフト処理(第1の負圧増大処理)が実行され、ブレーキブースタ51の正常な倍力作用を得るために予め設定された作動圧が十分に確保できるように、吸気管31内の負圧が増大される。
したがって、ブレーキペダル59が踏み込まれたときにブレーキブースタ51の作動負圧の不足によってブレーキ性能が低下するということが確実に防止される。また、ダウンシフト処理後にブレーキペダル59が踏み込まれてブレーキブースタ51が作動し、ブレーキブースタ51の内部に蓄圧されていた負圧が消費されたとしても、ブレーキスイッチ127がONからOFFに切り替わったことを条件に、さらに補機負荷の低減処理が実行されることで、吸気管31内の負圧が確実に増大され、ブレーキブースタ51の負圧蓄圧状態が回復されることになる。したがって、次回のブレーキ使用時に、ブレーキブースタ51の所要の作動圧が確保され、その倍力作用による確実なブレーキ性能が発揮される。
このように、本実施形態においては、クランク角センサ61の検出信号が正常に検出されない異常発生状態でエンジン10が少なくともアイドルアップ制御を実行する特定の条件で運転制御されるとき、エンジン10の吸気管31内の負圧を増大させる第1の負圧増大処理が実行されるので、クランク角センサ61の検出信号が正常に検出されない状態で実行されるフェールセーフ制御下の運転状態であっても、エンジン10のエンジンストールを防止しつつブレーキブースタ51の所要の作動圧を確保することができる。さらに、第1の負圧増大処理の実行後にブレーキブースタ51が作動したことを条件に、補機負荷を低減させる第2の負圧増大処理が実行されるので、次回の制動操作時にブレーキブースタ51の作動圧が不足することをも確実に防止することができる。
また、本実施形態では、クランク角センサ61の検出信号が正常に得られない異常発生状態でエンジン10が特定の条件で運転制御されるとき、エンジン10の機関回転速度を上昇させるので、スロットル開度が大きく変化しなければ、機関回転速度が上昇するほど吸気管31内の負圧が強まることになる。
しかも、本実施形態では、クランク角センサ61の検出信号が正常に得られない異常発生状態でエンジン10が特定の条件で運転制御されるとき、エンジン10によって駆動される補機負荷を低減させる第2の負圧増大処理がスロットル開度を絞ることとなるので、吸気管31内の負圧が迅速かつ的確に増大することになる。
加えて、本実施形態では、第1の負圧増大処理において自動変速機80のダウンシフトが実行されるので、同一出力に対してエンジン10の機関回転速度が上昇することになり、アイドルアップ制御中でも負圧が十分に増大される。したがって、ブレーキブースタ51のような負圧作動機器の作動圧不足が未然に確実に防止されることになる。
このように、本実施形態においては、クランク角センサ61によるクランク角および点火時期制御の基準タイミング信号の取り込みが正常にできない異常が発生し、エンジン10が特定の条件で運転されるフェールセーフ制御が実行される状態下であっても、エンジンストールを防止しつつブレーキブースタ51の作動圧が確保され、所要のブレーキ性能が確保される。すなわち、クランク角検出系の異常発生時に実行されるフェールセーフ制御下の運転状態であっても、負圧作動機器の作動圧を確保することができる車両用内燃機関の制御装置を提供することができる。
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る車両用内燃機関の制御装置における回転検出および基準信号生成に係る要部の構成図である。なお、本実施形態は、エンジンのタイプによって異なる検出系の一例を示すものである。上述の第1実施形態では、エンジン10を直列4気筒のエンジンとして説明したが、本実施形態では、V型6気筒エンジンとなっており、その2つのバンクにカム角センサ62A,62Bが装着されている。説明の便宜上、本実施形態のV型6気筒エンジンを、以下、エンジン10といい、第1実施形態と同一または類似する構成についても、図1〜図4に示した符号を用いて説明する。
図6に示すように、本実施形態では、カム角センサ62A,62Bは、それぞれのカム角検出用ロータ68A,68Bと、それぞれの電磁ピックアップ69A,69Bとによって構成されている。
カム角検出用ロータ68A,68Bは、それぞれクランクシャフト16が2回転する毎に1回転される各バンクのカムシャフト21に一体回転可能に固定されている。これらカム角検出用ロータ68A,68Bには、回転方向の90°区間毎にその区間内におけるカム角検出用の歯の角度位置が変化するとともにその1区間において欠歯しており、3つ以上、例えば4つの歯を有している(図中では3歯である)。4つの歯を有する場合、カム角検出用ロータ68A,68Bは、例えば特許文献1に記載のように、それぞれの2つの歯が同一のカム角位置で検出され、他の2つの歯が互いに異なるタイミング(逆位相)で検出されるように配置されている。
そして、クランク角センサ61の検出信号が正常に取り込まれず、ECU100が第2の制御機構としてのフェールセーフ制御機能を発揮するとき、ECU100は、エンジン10を前記特定の条件で運転制御するための点火時期制御および燃料噴射時期制御を実行するために、両カム角検出用ロータ68A,68Bの検出信号に基づいて、通常の点火時期や燃料噴射時期制御の基準タイミング信号ほどの正確さや精度はないものの、その基準タイミング信号に代わり得る擬似基準タイミング信号を生成して、気筒判別を実行するようになっている。
したがって、本実施形態においても、クランク角センサ61によるクランク角および点火時期制御の基準タイミング信号の取り込みが正常にできない異常が発生し、エンジン10が特定の条件で運転されるフェールセーフ制御が実行される状態下であっても、負圧作動機器の作動圧を確保することができる車両用内燃機関の制御装置を提供することができる。
なお、上述の各実施形態では、クランク角センサ61およびカム角センサ62のうち点火時期制御の基準タイミング信号の生成を可能にする一方の検出信号をクランク角センサとしたが、点火時期制御の基準タイミングを生成するためのセンサがクランク角センサに限定されるものではなく、カム角センサであってもよいし、特定の気筒のピストンが圧縮上死点に達するタイミングを特定可能な他のセンサであってもよい。また、その一方のセンサの検出信号が断線やノイズ、センサ故障等によって正常に得られない場合に、退避走行を可能にする程度の特定の条件は、点火時期や燃料噴射時期を必ずしも固定にするものでなくともよく、通常より基準のタイミングが不正確なために制御範囲が通常より狭い得の範囲に制限される条件であればよい。
また、負圧作動機器は、負圧作動式のブレーキブースタとしたが、他の負圧作動アクチュエータや負圧作動式のバルブその他の機器であってもよい。
以上のように、本発明に係る車両用内燃機関の制御装置は、クランク角信号が正常に検出されない異常発生状態で内燃機関が特定の条件で運転されるとき、内燃機関の吸気管内の負圧を増大させる処理を伴う運転制御を実行する。したがって、点火時期制御等の基準となるクランク角検出系の異常発生時に実行されるフェールセーフ制御下の運転状態であっても、負圧作動機器の作動圧を確保することができるという作用効果を奏する。このような本発明の車両用内燃機関の制御装置は、車両に搭載され内燃機関の異常発生時にフェールセーフ制御を実行する車両用内燃機関の制御装置全般に有用である。
10 エンジン(内燃機関)
11 気筒
12 機関本体
13 燃焼室
14 ピストン
16 クランクシャフト
19 点火プラグ
21 カムシャフト
31 吸気管
31p 吸気通路
35 スロットルバルブ
36 スロットル開度センサ
37 インジェクタ(燃料噴射弁)
51 ブレーキブースタ(負圧作動機器)
59 ブレーキペダル
61 クランク角センサ
62;62A,62B カム角センサ
66 クランク角検出用ロータ
66d,68d 欠歯部
66t,68ta,68tb,68tc 歯
67 電磁ピックアップ
68;68A,68B カム角検出用ロータ
69;69A,69B 電磁ピックアップ
71 オルタネータ(補機)
72 コンプレッサ(補機)
73 その他の補機
80 自動変速機
100 ECU(電子制御ユニット、第1の制御機構、第2の制御機構)
125 アクセル開度センサ
126 車速センサ
127 ブレーキスイッチ

Claims (7)

  1. 多気筒の内燃機関と該内燃機関の吸気管内負圧を用いて作動する負圧作動機器とを備えた車両に装備される車両用内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関のクランクシャフトの回転角度位置を検出可能なクランク角センサと、
    前記内燃機関のカムシャフトの回転角度位置を検出可能なカム角センサと、
    前記クランク角センサおよび前記カム角センサのうち少なくとも一方の検出信号に基づいて前記内燃機関の気筒判別処理を実行し、該気筒判別処理の結果に基づいて前記内燃機関の運転を制御する第1の制御機構と、
    前記一方の検出信号が正常に入力されないことを条件に、前記クランク角センサおよび前記カム角センサのうち他方の検出信号に基づいて前記気筒判別処理を実行し、該気筒判別処理の結果に基づいて前記内燃機関の運転を特定の条件で制御する第2の制御機構と、を備え、
    前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を特定の条件で制御するとき、前記内燃機関の吸気管内の負圧を増大させる処理を実行することを特徴とする車両用内燃機関の制御装置。
  2. 前記特定の条件は、少なくとも前記内燃機関のアイドルアップ制御を実行することであることを特徴とする請求項1に記載の車両用内燃機関の制御装置。
  3. 前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を前記特定の条件で制御するとき、前記内燃機関の機関回転速度を上昇させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用内燃機関の制御装置。
  4. 前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を前記特定の条件で制御するとき、前記内燃機関によって駆動される負荷を低減させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の車両用内燃機関の制御装置。
  5. 前記車両に、前記内燃機関から出力される回転動力を変速して駆動輪側に出力する変速機と、該変速機を制御する変速機制御装置と、が装備され、
    前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を前記特定の条件で制御するとき、前記変速機を低速側に変速させるためのダウンシフト要求を前記変速機制御装置に出力することを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか1の請求項に記載の車両用内燃機関の制御装置。
  6. 前記負圧作動機器が、負圧作動式のブレーキブースタを含み、
    前記第2の制御機構は、前記内燃機関の運転を前記特定の条件で制御するとき、前記ブレーキブースタの予め設定された作動圧を確保するように、前記内燃機関の吸気管内の負圧を増大させる処理を実行することを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載の車両用内燃機関の制御装置。
  7. 前記第2の制御機構は、前記内燃機関の吸気管内の負圧を増大させる第1の負圧増大処理を実行した後に前記ブレーキブースタが作動したことを条件に、前記内燃機関によって駆動される補機負荷を低減させる第2の負圧増大処理を実行することを特徴とすることを特徴とする請求項6に記載の車両用内燃機関の制御装置。
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