JP2013116100A - あたたまり感を付与する飲食品用配合素材及びあたたまり感付与剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】飲食品の調製時に配合して、飲食品にあたたまり感を付与する飲食品用配合素材、及び、該配合素材の成分を有効成分とするあたたまり感付与剤を提供すること。
【解決手段】大麦を焙煎することによりL値30〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材からなる。本発明における焙煎大麦の熱水抽出物は、L値30〜40に調整した焙煎大麦を、70〜120℃の温度で熱水抽出することにより調製される。本発明における焙煎大麦の熱水抽出物は、その主要成分として、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール、フルフラール、5−メチル−2−フルフラール、及びフルフリルアルコール等を含有する。また、本発明は、大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする血流改善機能を有するあたたまり感付与剤を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】大麦を焙煎することによりL値30〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材からなる。本発明における焙煎大麦の熱水抽出物は、L値30〜40に調整した焙煎大麦を、70〜120℃の温度で熱水抽出することにより調製される。本発明における焙煎大麦の熱水抽出物は、その主要成分として、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール、フルフラール、5−メチル−2−フルフラール、及びフルフリルアルコール等を含有する。また、本発明は、大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする血流改善機能を有するあたたまり感付与剤を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、飲食品の調製時に配合して、飲食品にあたたまり感を付与する飲食品用配合素材、及び、該配合素材成分を有効成分とするあたたまり感付与剤に関する。
ヒトの体は、寒さを感じると、体表面の毛細血管を収縮させ、体温が逃げないようにする。一方では、体表面温度が下がり過ぎないように、血流を確保している。冬の寒い時期、あるいは過剰な冷房の室内において手足などの末梢部の冷えが生じることがある。冷えは、運動不足や食習慣、薄着、ストレスが引き金となり、血行不良が原因でおこる症状である。すなわち、皮膚表面の血管拡張および収縮がうまく機能せず、身体の末梢に血液がうまく行きわたらないことによるものである。
末梢への血液の循環をよくするためには、体内に熱を取り込む方法や熱産生を上げる成分の摂取が考えられ、その方法として温かい飲食物の摂取や唐辛子や生姜等から抽出される辛味成分の摂取等が知られている。しかし、温かい飲食物の摂取による効果は一過性、辛味成分を経口で継続摂取するには嗜好性が低いという問題があった。
飲料等の調製に際して、あたたまり感を付与するように工夫した飲料も開示されている。例えば、特開2007−274929号公報には、飲用時加温して飲用される飲料の調製に際して、飲料溶液に、コショウ科植物由来のピペリン類を35μg以上140μg以下の割合で含有させ、ヒトにあたたまり感を速やかに与え、且つそのあたたまり感を長時間にわたり維持させるための加温された飲料を提供する方法が開示されている。
一方で、ピラジン類、特に、麦茶の香ばしい匂い成分の一つである2,3,5−トリメチルピラジンは血液を流れやすくする効果のあることが確認されているが、揮発する性質から通常の大麦焙煎における焙煎条件では大麦中の残存量は少ない。
特開2004−267078号公報(特許第4168260号公報)には、焙煎温度300℃以上を用い、焙煎中の大麦品温が150〜250℃に達した段階、かつ30分以内で焙煎を終了するという、限定的な焙煎条件で焙煎処理を行うことにより、2,3,5−トリメチルピラジンのようなピラジン類を生成、残存させた麦茶が開示されている。また、特開2006−42742号公報には、大麦を、特定粒径の珊瑚石、軽石、ゼオライトのような多孔性粒子の共存下で焙煎し、該多孔性粒子を分離したのち、熱水抽出処理することにより、全糖の含有量とピラジン類の含有量を増大した麦茶がそれぞれ開示されている。
これらの開示のものは、血液の粘度を下げて、血液を流れやすくする効果である血流改善効果等を有する2,3,5−トリメチルピラジンのようなピラジン類を生成、残存させるものである。しかし、飲食品等において、あたたまり感を付与するには、ヒトの皮膚表面の血管拡張及び収縮をうまく機能させることが重要であり、上記の場合のように、皮膚表面の血管拡張及び収縮をうまく機能させることなく血液の粘度を下げても、末梢への血液の循環の改善には不十分である。したがって、上記成分のみの調整により、飲食品にあたたまり感を付与するには、必ずしも、満足のいくものではない。
これらの開示のものは、血液の粘度を下げて、血液を流れやすくする効果である血流改善効果等を有する2,3,5−トリメチルピラジンのようなピラジン類を生成、残存させるものである。しかし、飲食品等において、あたたまり感を付与するには、ヒトの皮膚表面の血管拡張及び収縮をうまく機能させることが重要であり、上記の場合のように、皮膚表面の血管拡張及び収縮をうまく機能させることなく血液の粘度を下げても、末梢への血液の循環の改善には不十分である。したがって、上記成分のみの調整により、飲食品にあたたまり感を付与するには、必ずしも、満足のいくものではない。
本発明の課題は、飲食品の調製時に配合して、飲食品にあたたまり感を付与する飲食品用配合素材、及び、該配合素材成分を有効成分とするあたたまり感付与剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題に関連して、焙煎大麦によるあたたまり感を感じさせ、かつ、苦味・エグミを抑制し、しかも甘味のある香りと香しい焙煎風味及び濃い色調のバランス良く調和された、色調及び香味に優れた高香味の麦茶飲料の製造について鋭意検討する中で、L値30〜40の焙煎大麦の抽出液と、ハトムギ及び/又はとうもろこしの抽出液を配合することにより、麦茶のあたたまり感を有効に生成することができ、しかも、このような大麦の焙煎の条件下でも、焙煎大麦の抽出液の苦味・エグミの生成を抑制することが可能であることを見出し、焙煎大麦によるあたたまり感を感じさせ、かつ、苦味・エグミを抑制し、しかも甘味のある香りと香しい焙煎風味及び濃い色調のバランス良く調和された高香味麦茶飲料の開発に成功し、特許出願をなした(特願2011−180353号)。そして、該発明において調製した特定のL値を有する焙煎大麦の熱水抽出物が、飲食品用配合素材として用いた場合に、飲食品にあたたまり感を付与する配合素材として有効であることを見出し、更には、該配合素材成分が血流改善機能を有し、該配合素材成分を有効成分とすることにより、あたたまり感付与剤として用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材からなる。本発明における焙煎大麦の熱水抽出物は、その主要成分として、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール、フルフラール、5−メチル−2−フルフラール、及びフルフリルアルコールを含有するものである。
本発明において、L値17〜40に調整した焙煎大麦を調製するには、大麦を適宜の焙煎手段により、焙煎し、L値を焙煎度の指標にすることにより、L値17〜40に調整した焙煎大麦を調製することができる。本発明において、焙煎大麦の熱水抽出物は、L値17〜40に調整した焙煎大麦を、70〜120℃の温度で熱水抽出したものが好ましい。本発明において、飲食品用配合素材は、特に、飲料調製用の配合素材として用いて、飲料にあたたまり感を付与するための配合素材として提供することができる。また、本発明は、本発明における焙煎大麦の熱水抽出物からなるあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材を飲食品に添加することを特徴とする飲食品にあたたまり感を付与する方法の発明を包含する。更に、本発明は、大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする血流改善機能を有するあたたまり感付与剤の発明を包含する。
すなわち具体的には本発明は、(1)大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材や、(2)焙煎大麦の熱水抽出物が、主要成分として、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール、フルフラール、5−メチル−2−フルフラール、及びフルフリルアルコールを含有するものであることを特徴とする上記(1)に記載の飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材からなる。
また、本発明は、(3)焙煎大麦の熱水抽出物が、L値17〜40に調整した焙煎大麦を、70〜120℃の温度で熱水抽出したものであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材や、(4)飲食品用配合素材が、飲料調製用の配合素材であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材や、(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の焙煎大麦の熱水抽出物からなるあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材を飲食品に添加することを特徴とする飲食品にあたたまり感を付与する方法や、(6)大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする血流改善機能を有するあたたまり感付与剤からなる。
本発明は、飲食品の調製時に配合して、飲食品にあたたまり感を付与する飲食品用配合素材を提供する。また、本発明は、大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする血流改善機能を有するあたたまり感付与剤を提供する。
本発明は、大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材からなる。本発明の焙煎大麦の熱水抽出物は、主要成分として、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール、フルフラール、5−メチル−2−フルフラール、及びフルフリルアルコールを含有する。
(焙煎大麦の調製)
本発明において、抽出液の調製に用いられる大麦は、特定の品種に限定されないが、あたたまり感への寄与の観点からは二条大麦、六条大麦が好ましい。焙煎に供する大麦の形状は任意であり、丸粒、割砕品等が使用できるが、苦味・エグミの抑制の観点からは、丸粒が好ましい。抽出液とした場合、丸粒は割砕品よりエグミが少なく香味が優れるからである。
本発明において、抽出液の調製に用いられる大麦は、特定の品種に限定されないが、あたたまり感への寄与の観点からは二条大麦、六条大麦が好ましい。焙煎に供する大麦の形状は任意であり、丸粒、割砕品等が使用できるが、苦味・エグミの抑制の観点からは、丸粒が好ましい。抽出液とした場合、丸粒は割砕品よりエグミが少なく香味が優れるからである。
焙煎大麦の調製のための焙煎方法は任意である。従来、麦茶の製造に用いられている麦類の焙煎装置及び焙煎方法を適宜用いることができる。本発明において、焙煎大麦の調製に際しての大麦の焙煎度合い(焙煎度)は、L値により評価、調整することができる。L値とは、色調を表すために使用されている値(指標)であり、分光式色差計(例えば、分光測色計CM3500d:ミノルタ製)で測定することができ、本発明において、大麦の焙煎度の指標として用いることができる。
本発明において、L値は17〜40、好ましくは、30〜36、より好ましくは、30〜34に調整される。麦茶の製造に用いられる麦類の焙煎に際して、焙煎により生成される苦味やエグミを抑制するためには、一般的にはL値40以上のものが使用されるが、本発明の効果を奏するには、焙煎された大麦のL値は上記範囲に調整されることが必要である。L値が低いと抽出液の苦味、エグミが強すぎ他の原料と混合しても好ましい香味が得られにくいという問題がある。一方、L値が高いと、抽出液の苦味、エグミを抑制することができるが、麦茶飲料の飲用時にあたたまり感が十分に得られにくいという問題がある。したがって、本発明においては、抽出液飲用時のあたたまり感を担保するためにL値17〜40の焙煎大麦を用いる。
(原料抽出工程)
本発明の飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材を調製するに際して、焙煎大麦の抽出工程は、原料として用いるL値17〜40の焙煎大麦を熱水抽出する工程からなる。焙煎大麦の熱水抽出において、抽出に用いる水の温度は任意であり、被抽出原料の種類、目標とする香味によって適宜調整すればよいが、L値17〜40の焙煎大麦の場合は、70〜120℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。
本発明の飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材を調製するに際して、焙煎大麦の抽出工程は、原料として用いるL値17〜40の焙煎大麦を熱水抽出する工程からなる。焙煎大麦の熱水抽出において、抽出に用いる水の温度は任意であり、被抽出原料の種類、目標とする香味によって適宜調整すればよいが、L値17〜40の焙煎大麦の場合は、70〜120℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。
焙煎大麦の熱水抽出物は、熱水抽出液或いは該抽出液の濃縮液の状態で、飲食品用配合素材として用いることができるが、該抽出液を乾燥処理して、乾燥物の形で飲食品用配合素材として用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[あたたまり感の評価]
<試料の調製>
L値32となるように焙煎して得た焙煎大麦に、10倍量の水を加え、30分間煮沸した。煮沸後、上清にフレーバー、重曹およびビタミンCを適量加えて、試験飲料を調製した。また、イオン交換水にカラメル色素を、外見上試験液と区別することができない程度に添加して、プラセボ飲料を調製した。
L値32となるように焙煎して得た焙煎大麦に、10倍量の水を加え、30分間煮沸した。煮沸後、上清にフレーバー、重曹およびビタミンCを適量加えて、試験飲料を調製した。また、イオン交換水にカラメル色素を、外見上試験液と区別することができない程度に添加して、プラセボ飲料を調製した。
L値32焙煎大麦の10%抽出液をガスクロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィーで分析したところ、主要成分として、ピラジン1.33ppm、2−メチルピラジン2.24ppm、2,5−ジメチルピラジン0.27ppm、2,6−ジメチルピラジン0.47ppm、2−エチルピラジン0.25ppm、2,3−ジメチルピラジン0.22ppm、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール34.78ppm、フルフラール11.25ppm、5−メチル−2−フルフラール1.96ppm、及びフルフリルアルコール4.29ppm含有されていた。
<評価>
調製した試験飲料およびプラセボ飲料を用いて、ダブルブラインド方式で以下の試験を行った:安静にさせた被験者24名にプラセボ飲料または試験飲料を摂取させた後、15℃に調整した水槽に、被験者の左手の手のひら全体を浸け、1分間冷却させた。1分後に左手を引き上げて水滴を拭き取った時点を冷却後0分とし、冷却開始後から5分、10分、15分、20分、30分経過時における手のひらの温度及び血流を測定した。温度はサーモグラフィー、血流はレーザードップラー血流計を用いて、それぞれの冷却直前の温度あるいは血流を基準にし、各経過時間での温度による回復率を求めた。
調製した試験飲料およびプラセボ飲料を用いて、ダブルブラインド方式で以下の試験を行った:安静にさせた被験者24名にプラセボ飲料または試験飲料を摂取させた後、15℃に調整した水槽に、被験者の左手の手のひら全体を浸け、1分間冷却させた。1分後に左手を引き上げて水滴を拭き取った時点を冷却後0分とし、冷却開始後から5分、10分、15分、20分、30分経過時における手のひらの温度及び血流を測定した。温度はサーモグラフィー、血流はレーザードップラー血流計を用いて、それぞれの冷却直前の温度あるいは血流を基準にし、各経過時間での温度による回復率を求めた。
回復率は、次の計算式により算出した:
[T分後の回復率(%)=(T分後の値−冷却負荷直後(0分)の値)/(冷却負荷前(−5分)の値−冷却負荷直後(0分)の値)×100]
[T分後の回復率(%)=(T分後の値−冷却負荷直後(0分)の値)/(冷却負荷前(−5分)の値−冷却負荷直後(0分)の値)×100]
また、冷却負荷後の手のひらの体感について、VAS(Visual Analog Scale)方式で
アンケートを実施した。VASは、10cmのラインスケールを用い、冷水負荷直後を「冷たい」とする端点(左端)を0、「温かい」とする端点(右端)を10として、被験者に任意の箇所に斜線を記入させた。値が高いほど、温かさを実感できていることを示す。
アンケートを実施した。VASは、10cmのラインスケールを用い、冷水負荷直後を「冷たい」とする端点(左端)を0、「温かい」とする端点(右端)を10として、被験者に任意の箇所に斜線を記入させた。値が高いほど、温かさを実感できていることを示す。
皮膚温度および血流の測定結果を、それぞれ図1および2に示し、VASアンケートの結果を図3および4に示す。図1および2に示すとおり、試験飲料を摂取した場合、プラセボ飲料と比較して、冷却負荷後の皮膚表面の体温の回復が早かった。またVASアンケートでは、試験飲料摂取により、左手や体全体が温まったことを実感したことが示された。
[血管拡張効果試験]
<試験方法>
実施例1で調製した試験飲料の血管拡張効果を次の方法で調べた:ヒト臍帯静脈から採取し、シャーレ上で培養した内皮由来の初代細胞である、ヒト臍帯静脈内皮細胞(Normal Human Umbilical Vein Endothelial Cells : 以下HUVECという)を正常ヒト血管内皮細胞用培地で、37℃、24時間培養した。実施例1記載の試験飲料の調製において、大麦を焙煎しないこと以外は同様の操作を行って、未焙煎の大麦抽出液を比較飲料として得た。調製したHUVEC培養液に、試験飲料、比較飲料を、それぞれ終濃度が0.5%になるように添加した。添加24時間後に培養液を回収し、各培養液および何も添加しない培養液(コントロール)に含まれているプロスタサイクリンの濃度を6−keto PGF1α EIA kitを用いて測定した。なお、プロスタサイクリンは、主に血管内皮から産生される生理活性脂質で、血管平滑筋を弛緩させる作用があることが知られている物質である。
実施例1で調製した試験飲料の血管拡張効果を次の方法で調べた:ヒト臍帯静脈から採取し、シャーレ上で培養した内皮由来の初代細胞である、ヒト臍帯静脈内皮細胞(Normal Human Umbilical Vein Endothelial Cells : 以下HUVECという)を正常ヒト血管内皮細胞用培地で、37℃、24時間培養した。実施例1記載の試験飲料の調製において、大麦を焙煎しないこと以外は同様の操作を行って、未焙煎の大麦抽出液を比較飲料として得た。調製したHUVEC培養液に、試験飲料、比較飲料を、それぞれ終濃度が0.5%になるように添加した。添加24時間後に培養液を回収し、各培養液および何も添加しない培養液(コントロール)に含まれているプロスタサイクリンの濃度を6−keto PGF1α EIA kitを用いて測定した。なお、プロスタサイクリンは、主に血管内皮から産生される生理活性脂質で、血管平滑筋を弛緩させる作用があることが知られている物質である。
<結果>
結果、培地に何も添加しない対照(コントロール)群と比較して、焙煎した六条大麦抽出物を添加した培養液ではHUVECのプロスタサイクリン産生量が約2.2倍に増加し、血管拡張に寄与する可能性が示された。一方、未焙煎の大麦抽出液では、コントロールと比較して、プロスタサイクリンの産生量は約1.3倍にすぎなかった。
結果、培地に何も添加しない対照(コントロール)群と比較して、焙煎した六条大麦抽出物を添加した培養液ではHUVECのプロスタサイクリン産生量が約2.2倍に増加し、血管拡張に寄与する可能性が示された。一方、未焙煎の大麦抽出液では、コントロールと比較して、プロスタサイクリンの産生量は約1.3倍にすぎなかった。
[焙煎度が血流増加作用に与える影響の評価試験]
<試料(焙煎大麦抽出液)の調製>
焙煎大麦抽出液の作成:焙煎大麦100gを沸騰水1Lの中に入れ、30分間煮沸することで焙煎大麦抽出液を作製した。使用した原料は、その焙煎度に応じてL17,32,34,36,38,40のものを用いた
焙煎大麦抽出液の作成:焙煎大麦100gを沸騰水1Lの中に入れ、30分間煮沸することで焙煎大麦抽出液を作製した。使用した原料は、その焙煎度に応じてL17,32,34,36,38,40のものを用いた
<ラットを用いた血流改善効果検証試験>
ウレタン麻酔(1.2g/kg)を用いて麻酔を行ったWistarラット(9週齢)に、上記「試料(焙煎大麦抽出液)の調製」で作製した焙煎大麦抽出物を(3.33ml/kg)を胃内投与し尾部血流量を測定した(n=6−12)。投与後30分の血流変化率を算出した。
ウレタン麻酔(1.2g/kg)を用いて麻酔を行ったWistarラット(9週齢)に、上記「試料(焙煎大麦抽出液)の調製」で作製した焙煎大麦抽出物を(3.33ml/kg)を胃内投与し尾部血流量を測定した(n=6−12)。投与後30分の血流変化率を算出した。
<結果>
各試料(L値)における、「投与後経過時間」に対する「血流変化率(%)」の推移を図5に、各試料(L値)における、投与後30分における「血流変化率(%)」の結果を図6に示す。図に示されるように、L値36、38、40では血流改善傾向が確認され、L値17、32,34において、有意に血流改善している傾向が確認された。
各試料(L値)における、「投与後経過時間」に対する「血流変化率(%)」の推移を図5に、各試料(L値)における、投与後30分における「血流変化率(%)」の結果を図6に示す。図に示されるように、L値36、38、40では血流改善傾向が確認され、L値17、32,34において、有意に血流改善している傾向が確認された。
[焙煎大麦のL値と飲料寄与ブリックス度(°Bx)の香味への影響]
<試験方法>
L値21〜42である焙煎六条大麦(カナダ産、熱風焙煎品、丸粒)40gに98℃400gの熱水を加え、30分間保持し、120メッシュのストレーナーを通して固液分離した。抽出液に水を加え下記°Bx、20℃とした後、4人の訓練されたパネルの官能評価により評価した。評価基準は表1のとおりである。
L値21〜42である焙煎六条大麦(カナダ産、熱風焙煎品、丸粒)40gに98℃400gの熱水を加え、30分間保持し、120メッシュのストレーナーを通して固液分離した。抽出液に水を加え下記°Bx、20℃とした後、4人の訓練されたパネルの官能評価により評価した。評価基準は表1のとおりである。
<結果>
結果を表2に示す。効果の観点からは、L値17〜40が好ましいが、香味も加味するとL値30〜36、より好ましくはL値30〜34が好ましい。L値36〜38のとき、°Bx0.22以上で香味が低下する傾向(評価が◎でなく○又は△となることを意味する)が見られた。L値34以下では°Bx0.18以上で香味が低下する傾向が見られ、0.22以上では良好な香味とは言えなかった。
結果を表2に示す。効果の観点からは、L値17〜40が好ましいが、香味も加味するとL値30〜36、より好ましくはL値30〜34が好ましい。L値36〜38のとき、°Bx0.22以上で香味が低下する傾向(評価が◎でなく○又は△となることを意味する)が見られた。L値34以下では°Bx0.18以上で香味が低下する傾向が見られ、0.22以上では良好な香味とは言えなかった。
本発明は、飲食品の調製時に配合して、飲食品にあたたまり感を付与する飲食品用配合素材を提供する。また、本発明は、大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする血流改善機能を有するあたたまり感付与剤を提供する。
Claims (6)
- 大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材。
- 焙煎大麦の熱水抽出物が、主要成分として、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール、フルフラール、5−メチル−2−フルフラール、及びフルフリルアルコールを含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材。
- 焙煎大麦の熱水抽出物が、L値17〜40に調整した焙煎大麦を、70〜120℃の温度で熱水抽出したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材。
- 飲食品用配合素材が、飲料調製用の配合素材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の飲食品にあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の焙煎大麦の熱水抽出物からなるあたたまり感を付与するための飲食品用配合素材を飲食品に添加することを特徴とする飲食品にあたたまり感を付与する方法。
- 大麦を焙煎することによりL値17〜40に調整した焙煎大麦の熱水抽出物を有効成分とする血流改善機能を有するあたたまり感付与剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012222767A JP2013116100A (ja) | 2011-10-31 | 2012-10-05 | あたたまり感を付与する飲食品用配合素材及びあたたまり感付与剤 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2018174743A (ja) * | 2017-04-05 | 2018-11-15 | アサヒ飲料株式会社 | 麦茶飲料 |
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-
2012
- 2012-10-05 JP JP2012222767A patent/JP2013116100A/ja active Pending
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JP2018153141A (ja) * | 2017-03-17 | 2018-10-04 | ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 | 麦茶飲料 |
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