JP2013112581A - 坩堝、多結晶シリコンインゴットの製造方法、多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコンウエハ、多結晶シリコン太陽電池、多結晶太陽電池モジュール - Google Patents

坩堝、多結晶シリコンインゴットの製造方法、多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコンウエハ、多結晶シリコン太陽電池、多結晶太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】ヒータが側方に配置された場合にインゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制し、高品質な多結晶シリコンインゴットを低コストで製造する。
【解決手段】側方に配置されたヒータにより加熱されて溶融したシリコンを内部で凝固させて多結晶シリコンインゴットを生成させる坩堝であって、底面部において中央部21が周側部22より厚い。
【選択図】図3

Description

本発明は、坩堝、多結晶シリコンインゴットの製造方法、多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコンウエハ、多結晶シリコン太陽電池、多結晶太陽電池モジュールに関する。
環境問題から、石油など化石燃料エネルギーの代替として自然エネルギーの利用が注目されている。自然エネルギーを利用して発電する太陽電池は、大きな設備を必要とせず、また、稼働時の騒音が発生しないことなどの理由により、日本および欧州などで積極的に導入されている。
太陽電池においては、カドミウムテルルなどの化合物半導体からなる新たな太陽電池の開発が進んでいる。しかし、物質自体の安全性、これまでの使用実績および価格の面から、結晶シリコンを基板として用いた太陽電池が現在大きなシェアを占めている。その中でも、多結晶シリコンウエハ(以下、単にウエハとも称する)から作製された多結晶シリコン太陽電池が占める割合が大きい。
多結晶シリコン太陽電池向けの用途に広く用いられているウエハは、一般的にキャスト法と呼ばれる方法で製造されている。キャスト法によるウエハの製造方法においては、坩堝内で溶融シリコンを一方向凝固させて多結晶シリコンインゴット(以下、単にインゴットとも称する)を成長させた後、そのインゴットからブロック状に切り出して、さらにスライスすることによりウエハを作製する。
キャスト法により製造したウエハは、インゴット内のどの高さから取り出されたかによって、太陽電池を作製した際の特性にばらつきを有する。
図12は、ウエハが取り出されたインゴットにおける高さ方向の位置と、そのウエハから形成された太陽電池の出力との一般的な関係を示すグラフである。なお、図12においては、縦軸に太陽電池出力、横軸にウエハが取り出されたインゴットにおける位置を示している。
図12に示すような太陽電池出力のばらつきの原因は、一般的に以下のように説明されている。溶融シリコンを一方向凝固させた際の初期の段階で凝固したインゴット下部の領域Iにおいては、坩堝からシリコン結晶内に多くの不純物が拡散している。その不純物の影響によって、領域Iから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性が低下する。
領域Iの上部に位置する領域IIにおいては、偏析により、結晶中に取り込まれる不純物量は少量であり、かつ、結晶欠陥も少ない。そのため、領域IIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性は、インゴット中またはブロック中において最も良好となる。
領域IIの上部に位置する領域IIIにおいては、徐々に結晶中に取り込まれる不純物量が増加するとともに結晶欠陥が増加する。そのため、領域IIIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性は、領域IIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性に比較して低下する。
領域IIIの上部に位置する領域IVにおいては、領域IIIよりも結晶中に取り込まれる不純物量が増加するとともに結晶欠陥がさらに増加する。また、インゴットが完全に凝固した後に、インゴットの最上部の表面部分に現れる不純物の高濃度部分から、不純物の逆拡散が起こることにより、結晶中に取り込まれる不純物量がさらに増加する。
そのため、領域IVから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性は、領域IIIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性に比較して顕著に低下する。
上記の説明では、原料中の不純物の影響、および、坩堝から溶け出す不純物の影響を考慮したが、仮にこれらの影響がないとしても、領域III,IVにおいては、上方に向かうにしたがって少数キャリアトラップとなる結晶欠陥が徐々に増加する。そのため、インゴットの上部に行くにしたがって、取り出されるウエハから形成される太陽電池の出力特性は低下する傾向にある。
結晶欠陥が発生する原因は、インゴット中の温度分布に起因する応力であると考えられる。応力が特に大きな場合、インゴットに割れなどが発生することがある。そのため、インゴット中の温度分布の制御が重要であり、特に結晶成長時の固液界面を平坦化することが望ましい。
インゴット割れおよび結晶欠陥の抑制を図ったシリコン鋳造装置を開示した先行文献として、特許文献1(特開2005−152985号公報)および特許文献2(国際公開第2005/092791号)がある。
特許文献1に記載されたシリコン鋳造装置においては、鋳型の底部の中心部から鋳型ホルダーを経る熱流束が、鋳型の側部の直下部から鋳型ホルダーを経る熱流束より大きくなるように構成されている。
特許文献2に記載されたシリコン鋳造装置においては、放熱面と受熱面との熱交換面積を変化させるために、底面冷却部材が鋳型または台座に対して相対移動される。
特開2005−152985号公報 国際公開第2005/092791号
特許文献1に記載されたシリコン鋳造装置は、鋳型加熱手段が鋳型の上部に設けられている場合にのみ適用可能であって、鋳型加熱手段が鋳型の側方に設けられている場合については考慮されていない。
特許文献2に記載されたシリコン鋳造装置においては、可動部材が多く装置構成が複雑である。このようなシリコン鋳造装置においては、装置内が高温に曝されることによる可動部材の故障が発生しやすくなって装置の安定性が低くなる。また、複雑な装置構成のために装置コストが高くなる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ヒータが側方に配置された場合にインゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制可能で、かつ、廉価で安定して製造可能な、坩堝、多結晶シリコンインゴットの製造方法、多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコンウエハ、多結晶シリコン太陽電池、多結晶太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明に基づく坩堝は、側方に配置されたヒータにより加熱されて溶融したシリコンを内部で凝固させて多結晶シリコンインゴットを成長させる坩堝である。坩堝は、底面部において中央部が周側部より厚い。
好ましくは、底面部における温度分布が面内で均一になるように中央部と周側部との厚さが異なる。
本発明の一形態においては、底面部の上面側は平坦面を有する。底面部の下面側は中央部において凸部を有する。
本発明の一形態においては、底面部の上面側は中央部において凸部を有する。底面部の下面側は平坦面を有する。
本発明の一形態においては、底面部の厚さが準連続的に変化している。ここで、本明細書中の「準連続的」とは、連続的、および、非連続的であるが多段的で実質的には連続的に近いものを含むものと定義する。
本発明に基づく多結晶シリコンインゴットの製造方法は、上記のいずれかに記載の坩堝を用いて、溶融したシリコンを坩堝内の下方から上方に向けて一方向凝固させることにより多結晶シリコンインゴットを成長させる。
本発明に基づく多結晶シリコンインゴットは、上記に記載の多結晶シリコンインゴットの製造方法により製造されている。
本発明に基づく多結晶シリコンウエハは、上記に記載の多結晶シリコンインゴットを切断することにより形成されている。
本発明に基づく多結晶シリコン太陽電池は、上記に記載の多結晶シリコンウエハを用いて形成される。
本発明に基づく多結晶太陽電池モジュールは、上記に記載の多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成されている。
本発明によれば、ヒータが側方に配置された多結晶シリコンインゴット製造装置においてインゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制可能となり、高品質な多結晶シリコンインゴットを低コストで製造できるだけでなく、そのインゴットから太陽電池を作製することで高出力の太陽電池を低価格で市場に供給することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る坩堝を備えた多結晶シリコンインゴット製造装置の構成を示す一部断面図である。 同実施形態に係る坩堝および載置台の外観を示す斜視図である。 同実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIII−III線矢印方向から見た断面図である。 同実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIV−IV線矢印方向から見た断面図である。 同実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のV−V線矢印方向から見た断面図である。 同実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のVI−VI線矢印方向から見た断面図である。 同実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVII−VII線矢印方向から見た断面図である。 同実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。 同実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のIX−IX線矢印方向から見た断面図である。 同実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のX−X線矢印方向から見た断面図である。 実施例および比較例の太陽電池の出力分布を示すヒストグラムである。 ウエハが取り出されたインゴットにおける高さ方向の位置と、そのウエハから形成された太陽電池の出力との一般的な関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る坩堝を備えた多結晶シリコンインゴット製造装置について説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の一実施形態に係る坩堝を備えた多結晶シリコンインゴット製造装置の構成を示す一部断面図である。図2は、本実施形態に係る坩堝および載置台の外観を示す斜視図である。ここでは、坩堝20を載置台40上に直接載置している例を挙げるが、たとえば坩堝20を黒鉛などからなる図示しない外坩堝内に設置し、外坩堝を載置台40上に載置するようにしてもよい。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る坩堝を備えた多結晶シリコンインゴット製造装置1は、ステンレスからなる略直方体状の筐体10を含む。筐体10の上部には、後述するガス供給管13の一端を筐体10の内部に導入するための開口11が設けられている。筐体10の下部に、筐体10内を排気するための排気口12が設けられている。
図1,2に示すように、筐体10の内部に、坩堝20が配置されている。坩堝20は、載置台40上に載置されている。坩堝20は、シリカで構成されている。ただし、坩堝20の材質はシリカに限られず黒鉛などでもよい。坩堝20の内面には、溶融シリコンとの反応を防止するために、窒化珪素粉が塗布されている。窒化珪素粉は、乾燥された後、焼結されている。
載置台40は、支持台50上に載置されている。載置台40および支持台50は、坩堝20より高い熱伝導性および耐熱性を有する材料で形成されている。載置台40および支持台50は、たとえば、黒鉛で形成されている。
支持台50は、下部で支持部71に接続されている。支持部71は、矢印72で示すように上下に移動可能となるように、筐体10の外に配置された駆動部70に接続されている。駆動部70は、モータを有している。
駆動部70は、筐体10の外に配置された冷却部90と接続されている。冷却部90は、冷却媒体を駆動部70および支持部71の内部で循環させることにより、駆動部70および支持部71を冷却している。冷却部90は、ポンプおよび熱交換器を有している。冷却部90により支持部71を冷却することにより、支持台50および載置台40を介して、坩堝20の底部を冷却することができる。
坩堝20の側方の周囲に抵抗加熱ヒータ30が配置されている。抵抗加熱ヒータ30は、坩堝20と間隔を置いて坩堝20を取り囲むように配置されている。抵抗加熱ヒータ30は、筐体10の外に配置された電源34に接続されている。
支持台50の上方に断熱材からなる中蓋60が配置されている。中蓋60は、抵抗加熱ヒータ30の周囲を囲む側壁部と、支持台50に対向する天井部とを有している。天井部には、ガス供給管13の一端を中蓋60の内側に導入するための孔が設けられている。側壁部と天井部とに囲まれた中蓋60の内側が加熱領域61となる。
加熱領域61には、図示しない熱電対が配置されている。熱電対は電源34に接続されている。熱電対による測定温度が電源34にフィードバックされることにより、抵抗加熱ヒータ30への印加電圧が制御される。
ガス供給管13の一端は加熱領域61内において坩堝20の上方に位置し、他端は筐体10の外に配置された図示しないガス供給部に接続されている。ガス供給部から送られるArなどの不活性ガスは、ガス供給管13の内部を通過して加熱領域61内に供給される。ガス供給部は、各種のガスを貯蔵した複数のガスボンベおよびマスフローコントローラを含む。
排気口12は、筐体10の外に配置された図示しない排気部に接続されている。排気部は、各種の真空ポンプを含む。加熱領域61内に供給された不活性ガスは、排気口12を通過して筐体10の外部に排出される。
以下、本実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法について説明する。
まず、約400kgの粒状または塊状のシリコンを坩堝20内に入れる。その後、排気部の真空ポンプを稼動させて筐体10内を減圧する。ガス供給管13から加熱領域61内にArガスを10リットル/分程度供給する。この状態で、筐体10内の圧力が0.6Pa以上0.9Pa以下程度となるように排気部による排気量を調節する。
次に、電源34をONにして抵抗加熱ヒータ30に電圧を印加する。抵抗加熱ヒータ30に電圧が印加されることにより、加熱領域61内の温度が上昇する。本実施形態においては、加熱領域61内の温度を1550℃まで上昇させて2時間保持する。融点が1410℃であるシリコンは、坩堝20内で完全に融解する。
その後、溶融シリコン80の温度が融点付近になるように抵抗加熱ヒータ30に印加する電圧を下げる。融点より少し高い温度まで溶融シリコン80が冷却されると、駆動部70を稼動させて支持部71を下方に移動させつつ、抵抗加熱ヒータ30に印加する電圧をさらに下げる。
支持部71が下降することにより、坩堝20の底部が加熱領域61の外側に位置するようになる。そこで、冷却部90を稼動することにより坩堝20の底部を冷却する。その結果、坩堝20は、底部から上部に向けて冷却される。
シリコンが最上部まで完全に凝固したのを確認後、坩堝20を初期位置まで上昇させ、1200℃の温度で約2時間保持してアニール処理する。その後、50℃/時間程度で抵抗加熱ヒータ30の設定温度を下げて多結晶シリコンインゴットを冷却する。
多結晶シリコンインゴットの温度が900℃付近まで下がると、ガス供給部から送られるガスをArからHeに変える。その後、多結晶シリコンインゴットを室温まで冷却する。
多結晶シリコンインゴットから不純物および結晶欠陥を多く含む端部を除去し、所定の大きさに切断してブロック状にする。さらに、ブロック状の多結晶シリコンインゴットをワイヤーソーにより所定の厚さに切断することにより複数枚のウエハが得られる。
本発明者らは鋭意研究の結果、坩堝20の側方に抵抗加熱ヒータ30を配置した従来の多結晶シリコン製造装置においては、溶融シリコン80を一方向凝固させる際の坩堝20内の温度に、坩堝20の周側部側が中央部側より高くなる傾向が現れることを確認した。
この傾向は、坩堝20内での結晶成長中における、抵抗加熱ヒータ30に近接している坩堝20の側面部からの入熱の影響によるものである。坩堝20は、底面部および側面部から熱を放出するが、側面部は上記の入熱があるため熱の放出が阻害される。その結果、坩堝20内の温度は、坩堝20の周側部側が中央部側より高くなる。
この状態で溶融シリコン80を一方向凝固させると、固液界面が上に凸状となる。このような温度分布の下では、溶融シリコン80の凝固後、インゴット内に残留応力が生じる。その結果として、インゴット割れおよび結晶欠陥が発生しやすくなる。
多結晶シリコンインゴットの割れ防止および結晶欠陥抑制のためには、固液界面形状を平坦にし、坩堝20内の上下方向の温度分布を線形にすることが好ましい。坩堝20内の上下方向の温度分布については、坩堝冷却時の坩堝20の下降速度および抵抗加熱ヒータ30の温度設定などによって制御することできる。
溶融シリコン80を一方向凝固させる際の固液界面形状を平坦にするためには、坩堝20内の水平面内における温度分布を均一化することが望まれる。そのために、坩堝20の底面部内における厚さを面内で変化させることが有効であることを本発明者らは発見した。
図3は、本実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIII−III線矢印方向から見た断面図である。図4は、本実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIV−IV線矢印方向から見た断面図である。
図3,4に示すように、本実施形態に係る坩堝20は、底面部において中央部21が周側部22より厚い。具体的には、底面部の上面側は平坦面を有している。底面部の下面側は中央部21において直方体状の凸部を有している。
載置台40は、坩堝20の凸部と嵌め合うような凹部を上面に有している。その結果、載置台40は、坩堝20を安定して支持することができる。
上述の通り、載置台40は、坩堝20より高い熱伝導性を有する材料から形成されているため、坩堝20の底面部における厚さを面内で変化させることによって、底面部における熱流の面内分布を変化させることができる。
坩堝20を上記の構成にすることにより、底面部の中央部21側における熱流を周側部22側における熱流より小さくすることができる。その結果、底面部における温度分布の面内均一性を向上することができる。
本実施形態に係る坩堝20を用いることにより、溶融シリコン80を凝固させる際、坩堝20内の水平面内における温度分布の均一化を図ることができる。その結果、溶融シリコン80を一方向凝固させる際の固液界面形状の平坦化を図ることができる。
坩堝20および載置台40の形状は、上記に限られず、たとえば、下記の第1〜3変形例のような形状でもよい。
図5は、本実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のV−V線矢印方向から見た断面図である。図6は、本実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のVI−VI線矢印方向から見た断面図である。
図5,6に示すように、本実施形態の第1変形例に係る坩堝20aは、底面部において中央部21aが周側部22aより厚い。具体的には、底面部の上面側は中央部21aにおいて直方体状の凸部を有している。底面部の下面側は平坦面を有している。ただし、中央部21aにおける凸部は円柱状でもよい。
本実施形態の第1変形例に係る坩堝20aを用いた場合、平板状の載置台40aを使用することができる。
図7は、本実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVII−VII線矢印方向から見た断面図である。図8は、本実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。
図7,8に示すように、本実施形態の第2変形例に係る坩堝20bは、底面部において中央部21bが周側部22bより厚い。底面部の厚さは、連続的に変化している。具体的には、底面部の上面側は平坦面を有している。底面部の下面側は中央部21bにおいて湾曲面状の凸部を有している。
本実施形態の第2変形例に係る坩堝20bを用いた場合、底面部における熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
載置台40bは、坩堝20bの凸部と嵌め合うような湾曲面状の凹部を上面に有している。その結果、載置台40bは、坩堝20bを安定して支持することができる。
図9は、本実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のIX−IX線矢印方向から見た断面図である。図10は、本実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のX−X線矢印方向から見た断面図である。
図9,10に示すように、本実施形態の第3変形例に係る坩堝20cは、底面部において中央部21cが周側部22cより厚い。底面部の厚さは、連続的に変化している。具体的には、底面部の上面側は中央部21cにおいて湾曲面状の凸部を有している。底面部の下面側は平坦面を有している。
本実施形態の第3変形例に係る坩堝20cを用いた場合、底面部における熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。また、平板状の載置台40aを使用することができる。
本実施形態に係る坩堝を用いることにより、インゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制し、高品質な多結晶シリコンインゴットを低コストで製造することが可能となる。
以下、本実施形態の第1変形例に係る坩堝20aを用いて製造された多結晶シリコンインゴットから形成された多結晶シリコン太陽電池の出力と、比較例として底面部の厚さが均一の坩堝を用いて製造された多結晶シリコンインゴットから形成された多結晶シリコン太陽電池の出力とを比較した実験例について説明する。
(実験例)
実施例の坩堝としては、本実施形態の第1変形例に係る坩堝20aにおいて、内寸が830mm×830mm×420mm、底面部の周側部22aの厚さが10mm、底面部に占める中央部21aの大きさが400mm×400mm、底面部の中央部21aの厚さが20mm、および、側面部の厚さが15mmである坩堝を使用した。
比較例の坩堝としては、内寸および側面部の厚さは実施例の坩堝と同一であり、底面部の厚さが全面において20mmである点のみ実施例の坩堝と異なる。
実施例および比較例の両方において、坩堝をシリカで形成し、載置台を黒鉛で形成した。また、実施例および比較例の両方において、多結晶シリコンインゴットの製造方法は上記実施形態と同様にした。なお、多結晶シリコンインゴットの比抵抗が約1.5Ωcmになるように、シリコン原料にホウ素をドープした。
実施例においては、成長させた多結晶シリコンインゴットの外観に異常は認められず、インゴット割れは発生していなかった。比較例においては、インゴットの最上部の角部の一部に、50mm×20mm×10mm程度の大きさの割れが確認された。
次に、これらの多結晶シリコンインゴットをバンドソーにてブロック化後、ワイヤーソーにてスライス化して多結晶シリコンウエハを作製した。これらのウエハを通常の太陽電池セル製造プロセスに投入し、その出力特性を確認した。
図11は、実施例および比較例の太陽電池の出力分布を示すヒストグラムである。図11においては、縦軸に割合、横軸に太陽電池の出力を示している。
図11に示すように、実施例の多結晶シリコンウエハから形成された多結晶シリコン太陽電池セルは、比較例の多結晶シリコンウエハから形成された多結晶シリコン太陽電池セルに比較して、太陽電池の出力分布が高い方にシフトしている。
出力の低い太陽電池は、インゴットの上部から取り出されたウエハから形成された太陽電池である。上述の通り、出力低下の原因は、インゴット内部の応力に起因する結晶欠陥である。
したがって、本実験例から、本実施形態に係る坩堝を用いて多結晶シリコンインゴットを成長させることにより、インゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制することができることが確認された。
また、実施例においては、比較例より多結晶シリコン太陽電池の出力を向上することができたため、その多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成された多結晶太陽電池モジュールの特性は、比較例の多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成された多結晶太陽電池モジュールより当然に向上されている。
今回開示された実施形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 多結晶シリコンインゴット製造装置、10 筐体、11 開口、12 排気口、13 ガス供給管、20,20a,20b,20c 坩堝、21,21a,21b,21c 中央部、22,22a,22b,22c 周側部、30 抵抗加熱ヒータ、34 電源、40,40a,40b 載置台、50 支持台、60 中蓋、61 加熱領域、70 駆動部、71 支持部、80 溶融シリコン、90 冷却部。

Claims (10)

  1. 側方に配置されたヒータにより加熱されて溶融したシリコンを内部で凝固させて多結晶シリコンインゴットを成長させる坩堝であって、
    底面部において中央部が周側部より厚い、坩堝。
  2. 前記底面部における温度分布が面内で均一になるように前記中央部と前記周側部との厚さが異なる、請求項1に記載の坩堝。
  3. 前記底面部の上面側は平坦面を有し、
    前記底面部の下面側は前記中央部において凸部を有する、請求項1または2に記載の坩堝。
  4. 前記底面部の上面側は前記中央部において凸部を有し、
    前記底面部の下面側は平坦面を有する、請求項1または2に記載の坩堝。
  5. 前記底面部の厚さが準連続的に変化している、請求項3または4に記載の坩堝。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の坩堝を用いて、溶融した前記シリコンを前記坩堝内の下方から上方に向けて一方向凝固させることにより多結晶シリコンインゴットを成長させる、多結晶シリコンインゴットの製造方法。
  7. 請求項6に記載の多結晶シリコンインゴットの製造方法により製造された、多結晶シリコンインゴット。
  8. 請求項7に記載の多結晶シリコンインゴットを切断することにより形成された、多結晶シリコンウエハ。
  9. 請求項8に記載の多結晶シリコンウエハから形成された、多結晶シリコン太陽電池。
  10. 請求項9に記載の多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成された、多結晶太陽電池モジュール。
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