JP2013111090A - 眼内レンズ位置決め用器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の3点マーカー法は、最初の位置決めをする際、3か所の基準が正確ではないばかりか3か所の中心が視軸とはならず、基準軸のバラツキが大きく、10°程度は簡単にずれるという欠点があった。さらに、術中の作業も煩雑で時間がかかった。
【解決手段】手術前に、外来のスリットランプで、角膜に2点乱視軸をマーキングし、前眼部写真を撮って、目的の乱視軸とマーキングの乱視軸がどれくらいずれているか、チェックしておき手術中に、このマークに眼内レンズの軸を合わせ、ずれを補正する2点マーク法によることにより解決した。
【選択図】図4

Description

本発明は、乱視の矯正を同時に行う白内障の手術において、乱視矯正用の眼内レンズの乱視軸(弱主径線)を患者の乱視軸(強主径線)と合わせるために用いられ、眼球表面にマーキングを施すための位置決め器具、及び、眼球表面のマーキングと眼内レンズの乱視軸のマークとを合わせる際に微調整するための器具に関するものである。
白内障の手術は濁った水晶体を除去した後、人工水晶体である眼内レンズを挿入するものであり、その方法は、まず眼球を切開して濁った水晶体核および水晶体皮質を取出し、次に残った水晶体嚢内に眼内レンズを挿入して、眼球内に固定するのが一般的である。ここで、眼球内に挿入される眼内レンズとしては、遠視や近視を矯正する機能を持った眼内レンズが開発され、実用化されている。さらに乱視の矯正機能を持った眼内レンズも開発されている。
ところで、乱視を矯正するためには、矯正用眼内レンズが必要であり、この矯正用眼内レンズを患者の眼内に挿入することにより矯正することになるが、患者の乱視軸と矯正用眼内レンズの乱視軸の角度を合わせる必要がある。従来からの技術として、患者の乱視軸に矯正用眼内レンズの乱視軸の角度を合わせる方法としては3点マーカーを用いた0−90°法があった。
3点マーカーを用いた0−90°法は、手術前に3点マーカー(図8)を用いて目視でまたはスリットランプを使用して患者の角膜を見ながら位置決めをして、目視で適当に患者の角膜の3点(0°、180°270°)にキズをつけて位置決めをし、手術中に5°単位で360°の目盛りが付いている角度ゲージ(図9)を、あらかじめつけておいた3点(0°、180°270°)のキズの位置に合わせた後、トーリックマーカー(図10)を用いて、あらかじめ検査しておいた患者の乱視軸を患者の角膜にキズをつけることによりマークするものである。手術時には、このマークに矯正用眼内レンズのマークを合わせるわけである。
3点マーカーを用いた0−90°法により患者の乱視軸に矯正用眼内レンズの乱視軸を合わせる場合、患者の乱視軸の測定は、あらかじめ角膜形状解析装置またはケラトメーター等により手術前に行われる。手術では患者に対し、0‐180−270°の基準を決めるために、眼球の3か所にキズをつけることによりマーキングを行い、次に、患者に対し既に行われたマーキングを手懸りとして、再び眼球上にキズをつけることにより目的の乱視軸のマーキングを行うようにするのが一般的である。結果として、矯正用眼内レンズの位置合わせを2段階で行い、2回も患者の眼球にキズをつけることによりマーキングすることになるため、患者に多大な負担を与えることになる。
しかも3点マーカー法は、最初の位置決めをする際、0°‐180°−270°の基準軸を決めるための位置決め方法が視覚によるものであるため、曖昧なものであり3点の基準が正確ではない。しかも瞳孔の中心は視軸とはズレており、この方法による位置決めが正確であったとしてもこの3点マーカーの中心は視軸では無い。さらに特殊な器具が3点必要であり、器具を使用する回数と同じく3回も軸ずれを生じてしまうことになる。従って作業のバラツキが大きく実際の乱視軸に対し、5°や10°程度は簡単に角度ズレを生じるという欠点があった。さらに、術中の作業も煩雑で時間がかかるのみならず洗眼時にマーキングのために施したインクが消えるという欠点をも有していた。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、眼内レンズが挿入される患者に対する負担を最小限にし、基準軸合わせの精度を向上させ、作業のバラツキを少なくし、かつ、作業を容易にすることにある。
以上の課題を解決するために、出願人は鋭意研究を重ね以下に記載するようなスリットランプを使用した2点マーク法を開発した。スリットランプとは、細隙灯とも呼ばれるもので、両方の目で見る検眼用の顕微鏡である。患者が眼科で検査を受ける際に、顔を固定するフレームのついた、ライト付きの顕微鏡のことである。2点マーク法は、眼内レンズを挿入する前に患者の乱視軸とあらかじめ患者の眼球にマークされた軸との角度ズレをチェックしておき、手術において、このマークされた軸に角度ズレを考慮して眼内レンズの軸を合わせることにより患者の乱視軸により近い角度で眼内レンズを挿入する方法である。
上記課題を解決するために本発明は、2点マーク法において眼球表面にマーキングを施す際の位置決め器具であって、スリットランプのスリット光の角度を決めるための角度表示部を備えた部材(図2)と、手術中の顕微鏡モニター上に密着させ、マーキングした軸と患者の乱視軸との角度ズレを確認し調整するための角度表示部を備えた透明な部材(図4)とからなることを特徴とする位置決め器具であることをその要旨とした。
上記課題を解決するために本発明は、前記角度表示部に表示された角度は1°刻みであることを特徴とする位置決め器具であることをその要旨とした。
2点マーク法によれば、2点マークを結ぶ直線上に視軸があるため、より正確な位置決めが可能であり、2点マークが、小さい点であることより、マーキング面積が小さく、患者の眼球に対し少ないキズを付けるだけですむことになる。さらに、2点マークの基準点の誤差を手術中に補正できるので、軸ずれが少なくなる。手術中の操作が、レンズの軸をマークに合わせるだけなので、手術時間の短縮になるし、手術器具がシンスキーフック1本で足りるし、術中にマーキングする必要がないので青色マーカーが外来のみの1本で済むという利点がある。さらに手術時間が短縮されるので、患者が手術用顕微鏡の強力な光を見る時間を短縮することにより、網膜に悪影響を与えることを避けることが出来る。
矯正用眼内レンズ全体図 本発明に係るスリット光の角度を決めるための角度表示部を備えた部材全体図 本発明に係るスリット光の角度を決めるための角度表示部を備えた部材拡大図 本発明に係るマーキングした軸と患者の乱視軸との角度ズレを確認し調整するための角度表示部を備えた透明な部材全体図 細隙灯顕微鏡モニター全体図 スリットランプ全体図 シンスキーフック全体図 従来技術に係る3点マーカー全体図 従来技術に係る角度ゲージ全体図(5°単位で360°の目盛り) 従来技術に係るトーリックマーカー全体図
2点マーク法について、図面を参照しつつ説明する。図1は眼内レンズの全体図である。円板状のレンズの外側周辺の左右対称の位置にそれぞれ乱視矯正用の眼内レンズの乱視軸に沿った点20(合計6つ)が存在するが、この点に沿った方向が眼内レンズの乱視軸10となる。手術ではこの眼内レンズの乱視軸10を患者の乱視軸の角度になるように、角度を合わせて患者の眼に眼内レンズを挿入することが必要となる。
まず患者の前眼部に、スリットランプ(図6)を使用して、左右に細く広がる光(以後スリット光と記載する)をあてる。スリットランプ(図6)とは、細隙灯とも呼ばれるもので、両方の目で見る検眼用の顕微鏡である。眼科で検査を受ける際に、顔を固定するフレームのついた、ライト付きの顕微鏡のことである。
本発明に係るスリット光の角度を決めるための角度表示部を備えた部材(図2)をスリットランプ(図6)に取り付ける。スリット光を細くして、角度を垂直方向に向け本発明に係るスリット光の角度を決めるための角度表示部を備えた部材(図2)の90°の方向に合わせる。次にスリット光の角度を水平方向に向けスリット光の角度を決めるための角度表示部を備えた部材(図2)を180°にあわせる。そして、目標である患者の乱視軸の角度に合わせてスリット光を傾ける。スリット光の角度をこのままにして、スリット光の角度を決めるための角度表示部を備えた部材(図2)をスリットランプ(図6)から取りはずす。
スリット光の角度は維持したままで、患者の前眼部にスリットランプ(図6)から出たスリット光が、患者の前眼部の中心にあたるように光源の位置を調整する。
患者に点眼麻酔をしてから、患者に開瞼器をかけて、スリットランプ(図6)の顔を固定するフレーム台にあごをのせ、額を固定して顔を垂直にする。患者に細いスリット光を見てもらいながら、医師は細いシンスキーフック(図7)という器具を使用して患者の角膜周辺部のスリット光上にある2点にキズをつけることによりマーキングする。このシンスキーフック(図7)のキズは、点状で大きさは角度にして約1度に相当する。マーキングの位置を解りやすくするために青色マーカーを用いてキズを染色する。この時、シンスキーフック(図7)により角膜にキズをつける作業はマーカーホルダー(図示しない)を使用してスリットランプ(図6)にとりつけて行うとより位置決めの作業性が向上する。
図5はスリット光と眼球部分を拡大した細隙灯顕微鏡モニター全体図である。青色マーカーによる染色は手術時まで消えることはほとんど無い。青色マーカーで染色された範囲中に、小さなキズを認識することができる。この青色に染色された小さな2つのキズを目印にして、後で説明する前眼部の拡大写真の角度を確認し調整するための直線を引くことになる。
続いて前眼部の拡大写真を撮影する。これはスリット光が患者の前眼部にあたった拡大映像を写真に撮影し、シンスキーフック(図7)によってつけられた2点のマークに直線をひき、角度を測定する。これは、拡大部からマーキングした軸と患者の乱視軸との角度ズレを確認し、患者の乱視軸との角度ズレを確認し調整するための角度表示部を備えた透明な部材(図4)で測るためである。この時、青色マーカーで染色された範囲中に、小さなキズを認識することができるので角度の測定はこの小さなキズに合わせて行うとより正確な測定をすることが出来る。目標乱視軸の角度と実際のマークの軸との角度のズレを術中に補正するために記録しておく。
次に2点マークにあわせて眼内レンズ(図1)を入れる。この時、患者の乱視軸とマークされた軸、すなわち拡大映像とのずれを微調整する。この角度ズレを計測するのが、患者の乱視軸との角度ズレを確認し調整するための角度表示部を備えた透明な部材(図4)である。手術用顕微鏡映像でみながら、モニター上でこの拡大部に患者の乱視軸との角度ズレを確認し調整するための角度表示部を備えた透明な部材(図4)を重ねるのである。角膜上のマーキング2点に図4の0°と0°の直線を当て、一方の眼内レンズ上のマークを確認してずれている角度を読み取る。眼内レンズを回転させ、角膜上の青色のマーキングと眼内レンズの乱視軸との角度ズレを、事前に記録した角度ズレを考慮して補正し、終了する。
尚、本願発明の権利範囲は上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
本発明は、乱視の矯正を同時に行う白内障の手術において、乱視矯正用の眼内レンズの乱視軸を患者の乱視軸に合わせるために用いられ、眼球表面にマーキングを施すための位置決め器具に関する分野で利用される。
10 乱視矯正用の眼内レンズの乱視軸
20 乱視矯正用の眼内レンズの乱視軸に沿った点

Claims (2)

  1. 2点マーク法において眼球表面にマーキングを施す際の位置決め器具であって、
    スリットランプのスリット光の角度を決めるための角度表示部を備えた部材と、
    手術中の顕微鏡モニター上に密着させ、マーキングした軸と患者の乱視軸との角度ズレを確認し調整するための角度表示部を備えた透明な部材とからなることを特徴とする位置決め器具
  2. 前記角度表示部に表示された角度は1°刻みであることを特徴とする請求項1に記載の位置決め器具。
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