JP2013110323A - シリコン単結晶膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄層化された自立性のシリコン単結晶膜を提供し、また、剥離時の熱処理温度を格段に低減することができる新たなシリコン単結晶膜の形成方法を提供する。
【解決手段】シリコン単結晶膜6は、Siの含有率が、90原子%以上であり、厚みが、50μm以下であり、自立性がある。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄層化され、自立性のあるシリコン単結晶膜およびその製造方法に関する。
近年、太陽電池等の各種半導体装置を構成する半導体基板において、その厚さを薄膜化し、機器の小型化を図る要求が高まっている。特に、太陽電池においては、半導体層の薄層化によって、軽量化が図られるとともに半導体層の製造に必要な半導体材料の使用量が少なくなる利点がある。また、太陽電池構造を工夫することによって光−電気の変換効率を高めることが可能となり、さまざまな面で薄層化には利点が多い。また、薄膜化によって半導体基板のフレキシブル化を可能とし、各種機器の組み立ての簡易化、使用上の便益等の向上を図ることができる。
従来のバルクシリコンウエファーの場合、機械的な研削や研磨法での薄層化等にはハンドリング(取り扱い)の面で限界があり、新たな薄層化の方法が提案されている。その一例としてSOI(silicon on insulator)構造のシリコンウエファーが注目されている。
SOI構造のウエファーの製造方法としては、貼り合わせ法やSIMOX(separation by implanted oxygen)法等が知られている。近年では、薄いSOI層を有するSOIウエファーの製造として、幅広い膜厚の範囲でSOI層を得る観点から、貼り合わせ法の一つであるイオン注入剥離法(スマートカット(登録商標)法とも呼ばれる。)が提案されている(特許文献1および2参照)。
このイオン注入剥離法は、シリコンウエファーの表面に酸化膜を形成すると共に、そのシリコンウエファーの上面から水素イオンまたは希ガスイオンのうち少なくとも一方を注入し、シリコンウエファー内部に微小気泡層(封入層)を形成する。次に、イオンを注入した方の面を、酸化膜を介してベース基板と接合させる。その後、熱処理(剥離熱処理)を加えて、微小気泡層を劈開面とし、ベース基板側に、シリコンウエファーを薄膜状に剥離する。さらに、熱処理(結合熱処理)を加え、酸化膜を介して接合させたベース基板上に、剥離された薄膜状のシリコン膜を強固に結合させ、SOIウエファーとする技術である。
しかしながら、このようなイオン注入剥離法においては、熱処理(剥離熱処理)を加えて、微小気泡層を劈開面としてシリコンウエファーを薄膜状に剥離する際、1000℃程度の熱を加える必要がある。そのため、イオンを注入した側のシリコンウエファーの表面に接合させるベース基板は、別のシリコンウエファーやガラス基板などの耐熱性の高い(1000℃程度の加熱に耐えられる)材料に限られ、ベース基板の材料選択に制限があった。
さらに、イオン注入剥離法により得られるシリコン膜は、微小気泡層から劈開面で剥離することにより形成されているため、膜厚の制御は困難であった。そのため、さらなる薄層化を図るにあたって、ベース基板上に形成されたシリコン膜の研磨等を行っても、均一な薄層化は困難であった。
また、イオン注入剥離法においては、ベース基板上にシリコン膜が形成されるため、このようなシリコン膜は自立性や変形性に劣り、後工程でのハンドリングが困難であった。
このように、イオン注入剥離法により得られるシリコン膜においては、薄層化、フレキシブル化および大面積化を同時に達成することは極めて困難であった。
特開平5−211128号公報 特開平10−321548号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、より薄層化された自立性のシリコン単結晶膜を提供し、また、剥離時の熱処理温度を格段に低減することができる新たなシリコン単結晶膜の形成方法を提供することを目的とする。
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]Siの含有率が、90原子%以上であり、
厚みが、50μm以下であり、
自立性のあるシリコン単結晶膜。
[2]面積が、0.1〜1000cmである[1]に記載のシリコン単結晶膜。
[3][1]に記載のシリコン単結晶膜と耐熱性樹脂膜とを積層してなるシリコン単結晶積層体。
[4]単結晶シリコンウエファー上に、ハロゲン含有シリコン層を形成する工程(1)と、
前記ハロゲン含有シリコン層の表面に、所望の厚みの高純度シリコン単結晶膜を形成する工程(2)と、
前記高純度シリコン単結晶膜上に耐熱性樹脂膜を形成する工程(3)と、
加熱により、前記高純度シリコン単結晶膜を前記耐熱性樹脂膜と共に、前記ハロゲン含有シリコン層にて剥離する工程(4)とを有するシリコン単結晶膜の製造方法。
[5]前記工程(1)および(2)が、エピタキシャル成長法により行われる[4]に記載のシリコン単結晶膜の製造方法。
[6]前記工程(1)および(2)が、プラズマCVD法により行われる[4]または[5]に記載のシリコン単結晶膜の製造方法。
[7]前記耐熱性樹脂膜が、ポリイミド樹脂からなる請求項[4]〜[6]のいずれかに記載のシリコン単結晶膜の製造方法。
[8]前記工程(4)において、加熱温度が200〜700℃であることを特徴とする請求項[4]〜[7]のいずれかに記載のシリコン単結晶膜の製造方法。
図1(A)〜(F)は、シリコン単結晶膜の製造工程を示す要部断面図である。
以下、本発明を、以下に示す実施形態に基づき、図面を参照してさらに詳しく説明する。
<シリコン単結晶膜>
本実施形態に係るシリコン単結晶膜6は、Siを主成分としている。具体的には、本実施形態に係るシリコン単結晶膜は、90原子%以上、好ましくは97原子%以上のSi原子を含有している。
また、本実施形態に係るシリコン単結晶膜6は、Si以外の成分として、10原子%以下のハロゲン原子を含有していてもよい。また、ハロゲン原子の含有率は少ないほど好ましく、3原子%以下であることが特に好ましい。
本実施形態に係るシリコン単結晶膜6の厚みは、50μm以下であり、好ましくは、10μm以下である。なお、厚みの下限は、特に限定されないが、膜の強度、均一性などの観点から0.5μm以上が好ましい。
本実施形態に係るシリコン単結晶膜6は、自立性である。本発明における自立性とは、柔軟な樹脂膜と積層した状態でも、形態を保てる程度の自立性を意味する。
本実施形態に係るシリコン単結晶膜6は、薄層化された自立性の単結晶膜であり、柔軟性に優れ、使用上の便益等の向上を図ることが可能となる。
本実施形態に係るシリコン単結晶膜6の面積は、好ましくは0.1〜1000cmである。本発明のシリコン単結晶膜6は後述する方法で得られ、大面積でありながら表面は平滑で、厚みの均一性が高い。このように大面積であり、自立性、柔軟性に優れた本発明のシリコン単結晶膜は、幅広い用途に用いることが可能である。
<シリコン単結晶積層体>
本実施形態に係るシリコン単結晶積層体は、前記シリコン単結晶膜6と耐熱性樹脂膜5とを積層してなる積層体である。
耐熱性樹脂膜5としては、軟化点を有しない熱硬化性樹脂か、軟化点が200℃以上の樹脂が好ましく、具体的には、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。本実施形態では、好ましくはポリイミド樹脂である。
耐熱性樹脂膜5の厚みは、特に限定されないが、本実施形態では、好ましくは1〜700μmである。
なお、シリコン単結晶積層体を太陽電池用などデバイスとして使用する場合は、積層体には、金属膜が含まれていてもよい。金属膜は、シリコン単結晶膜6と耐熱性樹脂膜5との間に配置してもよいし、耐熱性樹脂膜5と接触していない側のシリコン単結晶膜6上に配置してもよいし、その両方に配置してもよい。
金属膜を構成する金属としては、Cr、Al、Ag等が挙げられる。本実施形態では、好ましくは、Agである。
金属膜の厚みは、特に限定されないが、本実施形態では、好ましくは0.01〜700μmである。この範囲とすることで、剥離した際フィルム上の金属薄膜にクラックが入ることなく剥離することができ良好である。
積層される金属膜は、後工程において、電極等の形状に加工されてもよい。
金属膜の形成方法としては、特に限定されず、本発明のシリコン単結晶膜6上に金属を蒸着、スパッタリング、塗布法等の方法で形成することができる。
本発明のシリコン単結晶膜/金属膜積層体は、太陽電池等の各種半導体装置の製造に用いられる。
<シリコン単結晶膜の製造方法>
次に、本実施形態に係るシリコン単結晶膜6を製造する方法について説明する。
工程(1)
まず、基板となる単結晶シリコンウエファー1上に、ハロゲン含有シリコン層3を形成する。
基板として用いる単結晶シリコンウエファー1は、特に限定されないが、表裏面が鏡面加工され、厚みが100〜700μm程度のシリコンウエファーが好ましく用いられる。
上記単結晶シリコンウエファー1の面積は、好ましくは0.1〜1000cm、より好ましくは1〜200cmである。シリコン単結晶膜6の面積は、基板となる単結晶シリコンウエファー1の面積とほぼ等しい。
本実施形態では、ハロゲン含有シリコン層3の形成は、エピタキシャル成長法により行われる。エピタキシャル成長を行う方法としては、プラズマCVD法や、熱CVDや蒸着、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシー法、パルスレーザーディポジション法、スパッタリング法を用いることができる。
本実施形態では、プラズマCVD法を用いることが好ましい。プラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition、化学蒸着)は、原料となる反応ガスをプラズマ状態にし,活性なラジカルやイオンを生成させ,活性環境下で化学反応を行わせ、基板上に膜を堆積させる方法である。
原料ガス(反応ガス)としては、SiF、SiH、SiCl、SiHCl、SiHCl等のハロゲン化シランガスと水素ガスの混合ガスを用いることができる。また、キャリアガスとして、たとえば、He、Ar及びその混合物を用いることもできる。
本実施形態では、ハロゲン化シランと水素の混合ガスが好ましく用いられる。水素ガスおよびハロゲン化シランガス中でプラズマを発生させ、エピタキシャル成長によりハロゲン含有シリコン層3の形成が開始される。
ハロゲン含有シリコン層3は、エピタキシャル成長をする間に、ハロゲン原子をシリコン層の構造中に取り込みながら成長するため、後述する高純度シリコン単結晶膜4に比べて脆い構造となる。そのため、高純度シリコン単結晶膜4を剥離する際、該ハロゲン含有シリコン層3が破断面となり、ハロゲン含有シリコン層3が破断することによりシリコン単結晶膜6が剥離されると考えられる。
原料ガス中のハロゲン化シランガスと水素ガスの濃度比は1:100〜10:100であり、より好ましくは、2:100〜8:100である。この範囲にすることにより、結晶性の良い単結晶シリコン膜4が形成できる。該濃度比より小さい場合は、エッチングが支配的となり、膜の形成が著しく遅くなる。大きい場合には結晶性に乱れが生じるので好ましくない。
反応容器内の圧力は、エピタキシャル成長を行う方法により異なるが、10−5Pa〜10Paが好ましい。より、好ましくは10−3〜10−1Paとするのが好ましい。
反応温度は、30〜800℃である。好ましくは100℃〜600℃である。該反応温度範囲であれば結晶性が高い単結晶シリコン膜4が得られる。30℃以下ではハロゲン含有シリコン層3がシリコンウエファー1に密着せず、ハロゲン含有シリコン層3を形成することが出来ない。800℃では、エピタキシャル成長する間にハロゲン原子がシリコン層中に十分に取り込まれず、所望のハロゲン含有シリコン層3が形成されない。そのため、単結晶シリコン膜6が剥離しない傾向がある。
ハロゲン含有シリコン層3の厚さは、必要に応じて適宜変更できる。なお、本実施形態では、好ましくは0.05〜3μmである。この範囲とすることで、高純度シリコン単結晶膜4を良好に形成でき、かつ容易に剥離することが可能となる。なお、ハロゲン含有シリコン層3の厚さが薄すぎると、剥離が困難となる傾向があり、厚すぎると、高純度シリコン単結晶膜4が良好に形成できない傾向がある。
ハロゲン含有シリコン層3のハロゲン含有率は、好ましくは0.05〜10原子%以下であり、さらに好ましくは0.1〜3原子%以下である。この範囲に制御することにより、高純度シリコン単結晶膜4を良好に、かつ容易に剥離することが可能となる。なお、ハロゲン含有シリコン層3のハロゲン含有率が少なすぎると、剥離が困難となる傾向があり、多すぎると、高純度シリコン単結晶膜4が良好に形成できない傾向がある。
なお、本実施形態においては、ハロゲン含有シリコン層3の形成に先立ち、水素ガスの濃度を調節することにより、基板となる単結晶シリコンウエファー1上の酸化膜2を除去する表面処理(工程(0))を行うことができる。
工程(0)における、反応ガスは水素ガス100%かあるいは、SiCl4またはSiFガスをHe、Arなどの希ガスで希釈して用いることができる。このようにすることで、図1(A)に示すような単結晶シリコンウエファー1の表面に付着している酸化膜2を、図1(B)に示すように除去することができる。さらに、単結晶シリコンウエファー1上にハロゲンを残存させることができ、本発明の単結晶シリコン薄膜を得るのに好適である。
単結晶シリコンウエファー1の表面処理(工程(0))は、単結晶シリコンウエファー1の状態に応じて、適宜選択する。また、あらかじめ図1(B)に示すような表面処理が施された単結晶シリコンウエファー1を用いることもできる。
工程(2)
次に、ハロゲン含有シリコン層3上に、高純度シリコン単結晶膜4を形成する。
本実施形態では、高純度シリコン単結晶膜4の形成は、前記工程(1)と同様に、エピタキシャル成長により行われる。エピタキシャル成長を行う方法としては、プラズマCVD法や、熱CVDや蒸着、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシー法、パルスレーザーディポジション法、スパッタリング法を用いることができる。なお、本実施形態では、プラズマCVD法が好ましい。
原料ガスとしては、好ましくはSiF、SiCl、SiHCl、SiHCl,SiH、SiH、Si等のシランガスと水素ガスの混合ガスを用いることができる。
原料ガス中のシランガスと水素ガスの濃度比は0.5:100〜10:100であり、より好ましくは、1:100〜5:100である。
反応温度は、30〜800℃である。より好ましくは、100℃〜600℃である。この範囲とすることにより結晶性の良い高純度単結晶シリコン膜4を形成することができる。
高純度シリコン単結晶膜4には、99原子%以上、好ましくは99.9原子%以上、Siが含有されている。
高純度シリコン単結晶膜4の厚さは、反応時間の制御等により、必要に応じて適宜変更することができ、本実施形態では、好ましくは、50μm以下であり、さらに好ましくは、10μm以下である。
なお、厚みの下限は、特に限定されないが、膜の強度、均一性などの観点から0.5μm以上が好ましい。これ以上薄くなると、後述する剥離工程(4)で、基板である単結晶シリコンウエファー1側から、高純度シリコン単結晶膜4を良好に剥離することが困難となる。
工程(3)
次に、前記高純度シリコン単結晶膜4上に耐熱性樹脂膜5を形成する。
形成方法としては、高純度シリコン単結晶膜4と耐熱性樹脂膜5とが密着すればよく、特に限定されない。例えば、高純度シリコン単結晶膜4上に耐熱性樹脂をスピンコート法等で膜形成してもよいし、既にシート状に成形された耐熱性樹脂膜と貼り合わせてもよい。
耐熱性樹脂膜5は、可撓性および高純度シリコン単結晶膜4との密着性に優れ、後述する剥離工程(4)の加熱によって収縮する耐熱性樹脂により構成されている。
耐熱性樹脂としては、軟化点を有しない熱硬化性樹脂か、軟化点が200℃以上の樹脂が好ましく、具体的には、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。本実施形態では、好ましくはポリイミド樹脂である。
耐熱性樹脂膜5の厚さは、好ましくは1〜700μmであり、この範囲に制御することにより、高純度シリコン単結晶膜4を良好に、かつ容易に剥離することが可能となる。
工程(4)
次に、前記耐熱性樹脂膜5が形成された前記高純度シリコン単結晶膜4を加熱することにより、高純度シリコン単結晶膜4を前記耐熱性樹脂膜5と共に、基板である単結晶シリコンウエファー1から剥離する。
加熱温度は、好ましくは200〜700℃、より好ましくは300〜500℃である。従来のイオン注入法などと比較して、低い温度で高純度シリコン単結晶膜4を基板である単結晶シリコンウエファー1から剥離することが可能である。
加熱温度は、前記耐熱性樹脂膜5の収縮温度および耐熱温度との関係で適宜変更することができる。
所定の加熱温度まで加熱されることにより、耐熱性樹脂膜5が収縮・変形し、主にハロゲン含有シリコン層3に内部応力がかかることで、耐熱性樹脂膜5と共に高純度シリコン単結晶膜4が、基板である単結晶シリコンウエファー1から剥離されると考えられる。
高純度シリコン単結晶膜4が剥離する具体的な機構は明らかではないが、以下のような機構である可能性が考えられる。
前記ハロゲン含有シリコン層3は、ハロゲン原子を含んでおり、当該ハロゲン原子はハロゲン含有シリコン層3において、シリコン結晶の欠損となっている。このため、高純度シリコン単結晶膜4や、単結晶シリコンウエファー1と比較して、脆い構造であると考えられる。
周囲と比較して弱い構造であるハロゲン含有シリコン層3には、加熱による応力が集中しやすく、熱衝撃により破断面となって、高純度シリコン単結晶膜4が、基板である単結晶シリコンウエファー1から剥離されると考えられる。
なお、上記の機構はあくまで可能性の例示であり、何ら限定されるものではなく、例えば、破断面は、ハロゲン含有シリコン層3に限られず、ハロゲン含有シリコン層3と高純度シリコン単結晶膜4との界面やハロゲン含有シリコン層3と単結晶シリコンウエファー1との界面、高純度シリコン単結晶膜4等であってもよい。
好ましくは、このようにして得られた本実施形態に係るシリコン単結晶膜6は、主に高純度シリコン単結晶膜4で構成されており、Siを主成分としている。
さらに、本実施形態に係るシリコン単結晶膜6は、表面の一方に、ハロゲン含有シリコン層3の一部が残存していてもよい。なお、残存するハロゲン含有シリコン層3の面積や厚みは何ら限定されるものではなく、ハロゲン含有シリコン層3が残存していなくてもよい。
このようにして得られた本発明のシリコン単結晶膜6は、厚みが50μm以下と薄層化されているにも関わらず、自立性であり、柔軟性に優れ、使用上の便益等の向上を図ることが可能となる。
また、本発明のシリコン単結晶膜6は、基板となる単結晶シリコンウエファー1を大型化することで、大径のシリコン単結晶膜6を製造することも可能である。そのため、本発明のシリコン単結晶膜6は、幅広い用途に用いることが可能となる。
その他、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、耐熱性樹脂膜5の種類によって、適切な剥離温度は異なり、また装置等の仕様により各工程における温度等が異なってくることは無論である。さらに、各部の厚み寸法等も一例にすぎない等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
実施例1
両面が鏡面加工された(1,0,0)面の単結晶シリコンウエファー1(直径:2インチ)を平行平板型プラズマCVD装置の試料ホルダー(アノード電極)にセットした。該ホルダー内部に埋め込まれている加熱ヒーターに通電して、単結晶シリコンウエファー1を350℃になるまで加熱するとともに、ターボ分子ポンプによりプラズマCVD装置内を真空引きして10−5Paとした。
<工程(0)>
まず、単結晶シリコンウエファー1表面に自然形成されている酸化膜2を除去するために、水素ガスの流量を100cc/分として、プラズマCVD装置内に水素ガスを供給し、試料をセットしたホルダーと対向するカソード電極に100Wの高周波出力を供給し、水素ガスプラズマを発生させた。約5分プラズマ処理することにより単結晶シリコンウエファー1表面の自然酸化膜2を除去した。酸化膜2の有無は、装置に付属している分光エリプソメーターによりその場観察することで確認した。
<工程(1)>
次に、ハロゲン含有シリコン層3を形成するために、SiFガス流量を5cc/分、水素ガス流量を100cc/分として、カソード電極に100Wの高周波出力を30分供給した。この時、単結晶シリコンウエファー1の温度は350℃とした。この処理で、単結晶シリコンウエファー1表面に0.5μmのハロゲン含有シリコン層3を形成した。
その後、サンプルをプラズマCVD装置内から取り出し、ハロゲン含有シリコン層3について、ハロゲン含有率の測定を行った。
<工程(2)>
次に、ハロゲン含有シリコン層3の上に、高純度シリコン単結晶膜4を形成するため、SiH4ガスを5cc/分、水素ガス100cc/分の流量でプラズマCVD装置内に供給した。試料温度は350℃とした。そして、カソード電極に100Wの高周波出力を2時間供給し、2μmの高純度シリコン単結晶膜4を形成した。
その後、サンプルをプラズマCVD装置内から取り出し、高純度シリコン単結晶膜4について結晶性の評価を行った。
<工程(3)>
高純度シリコン単結晶膜4が形成された試料の表面に熱硬化型ポリイミド樹脂をスピンコート法により、乾燥後200μmとなるように塗布した。その後、乾燥機中に入れ280℃に加熱して硬化させた。
<工程(4)>
その後、再度、プラズマCVD装置内の試料加熱ホルダーにセットし、10−1Paまで真空引きするとともに、450℃まで加熱した。装置付属ののぞき窓から観察していると、単結晶シリコンウエファー1基板から、膜状のものが剥がれるのが見られた。加熱を止め、試料ホルダーから試料を取りだしたところ、単結晶シリコンウエファー1からきれいに膜状の物質が剥がれていることが確認できた。
単結晶シリコンウエファー1から、ポリイミド樹脂膜5が付着したシリコン単結晶膜6が剥がれたのを確認した後、試料の加熱を停止して室温まで冷却し、プラズマCVD装置から取り出した。
(ハロゲン含有シリコン層3のハロゲン含有率の測定方法)
ハロゲン含有率の測定には、表面付近に存在する元素を高感度に検出できるという特徴から二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)法によって測定した。測定装置はCAMECA社製IMS−4fを使用した。測定は、加速電圧は14.5kvで、セシウムイオンの一次イオンビームを、入射角60°(試料法線方向)から30μmφの領域に照射し、サンプルのハロゲン含有シリコン層3の面に対して測定を行った。この時に得られた深さ方向のハロゲンの二次イオン強度プロファイルの平均値をハロゲン含有量とした。ハロゲン含有量は、カウント(atom/cm)として得られる。
ここで、ハロゲン含有シリコン層3は、完全なSi結晶のうち、Si原子の一部がハロゲン元素に置き換わった構造であると考えられる。そのため、SIMS法によるハロゲン原子のカウント(atom/cm)の値から、完全なSi結晶である場合に1cmあたりに存在するはずのSi原子(5×1022atm/cm)のうち、どの程度のSi原子がハロゲン原子に置換されたかを求めることができる。これをハロゲン含有シリコン層3のハロゲン含有率とした。結果を表1に示す。
(結晶性の評価方法)
結晶性の評価は、分光エリプソメーター(HORIBA Jobin Yvon製:UVISEL型)を使用して、4.2eVの光学遷移の大きさが、参照試料である単結晶シリコンウエファー1と同じ大きさであること、及び、スペクトルの形が同じであることを、サンプルの高純度シリコン単結晶膜4の面に対して確認した。
(剥離性の評価方法)
剥離性の評価は、目視により、シリコン単結晶膜6の表面にひび割れ等がなく無事剥離しているか否かを確認した。剥離されなかったものを×、剥離されたがひび割れ等がある場合は△、ひび割れもないものを○とし、○を良好とした。結果を表1に示す。
表1
Figure 2013110323
本発明の製造方法によれば、シリコン単結晶膜6が、単結晶シリコンウエファーから容易、かつ良好に剥離されることが確認された。
得られたシリコン単結晶膜6のうち、高純度シリコン単結晶膜4については、結晶性評価の結果、単結晶シリコンであることが確認できた。
また、得られた単結晶シリコン膜は、膜厚が2μmと薄膜であるにもかかわらず、目視ではひび割れもなく、やや光沢のある状態であった。このような本発明のシリコン単結晶膜6は、表面平滑性に優れ、柔軟な樹脂膜と積層した状態でも、形態を保てる程度の自立性を有している。
なお、SIMS分析の結果、ハロゲン含有シリコン層3のハロゲン含有率が1原子%であったことから、仮に、得られたシリコン単結晶膜6の表面に、ハロゲン含有シリコン層3が残存していた場合あっても、得られた単結晶シリコン膜6全体のハロゲン含有率は、1原子%以下であるといえる。したがって、本発明のシリコン単結晶膜6は、99原子%以上のSi原子を含有している。
実施例2〜8
実施例2〜8は、工程(1)〜(4)のいずれかの条件を表1のように変化させた以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。結果を表1に示す。
表1に示されるように、実施例2〜8でも、実施例1と同様に、単結晶シリコンウエファー1から容易、かつ良好に、シリコン単結晶膜6が剥離されることが確認された。なお、得られた単結晶シリコン膜6の結晶性は、実施例1と同様であった。
実施例9
実施例9は、工程(0)を行わなかった(自然形成している酸化膜を除去しない)以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。結果を表1に示す。
表1に示されるように、実施例9でも、実施例1と同様に、単結晶シリコンウエファー1から容易、かつ良好に、シリコン単結晶膜6が剥離されることが確認された。なお、得られた単結晶シリコン膜6は、結晶性は、実施例1と同様であったが、工程(0)を行っている実施例1〜8と比較して、若干表面に乱れが観察された。
比較例1
比較例1は、工程(1)を行わなかった(ハロゲン含有シリコン層3を形成しない)以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。結果を表1に示す。
比較例1は、ハロゲン含有シリコン層3を有していないため、耐熱性樹脂膜5を有していても、単結晶シリコンウエファー1から、シリコン単結晶膜6の剥離は起こらず、剥離不良となった。
比較例2
比較例2は、工程(3)を行わなかった(シリコン単結晶膜上に耐熱性樹脂膜5を形成しない)以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。結果を表1に示す。
比較例2は、耐熱性樹脂膜5を有していないため、ハロゲン含有シリコン層3を有していても、単結晶シリコンウエファー1から、シリコン単結晶膜6の剥離は起こらず、剥離不良となった。
すなわち、本発明の製造方法に係る工程(1)〜(4)の何れか一つでも有しない場合には(比較例1および2)、本発明に係る薄層化された自立性のシリコン単結晶膜6を得ることができないことが確認された。
比較例3
比較例3は、剥離工程(4)における加熱温度を20℃とすること以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。結果を表1に示す。
比較例3は、剥離工程(4)における加熱温度が、剥離に適した温度よりも低かったため、ハロゲン含有シリコン層3を有していても、単結晶シリコンウエファー1から、シリコン単結晶膜6の剥離は起こらず、剥離不良となった。
比較例4
比較例4は、剥離工程(4)における加熱温度を750℃とすること以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。結果を表1に示す。
比較例4は、剥離工程における加熱温度が、剥離に適した温度よりも高かったため、単結晶シリコンウエファー1から、シリコン単結晶膜6は剥離されたが、ポリイミド樹脂が変質し、シリコン単結晶膜6にクラックが生じた。そのため、得られたシリコン単結晶膜6の表面平滑性は劣る結果となった。
1・・・単結晶シリコンウエファー
2・・・酸化膜
3・・・ハロゲン含有シリコン層
4・・・高純度シリコン単結晶膜
5・・・耐熱性樹脂膜
6・・・シリコン単結晶膜

Claims (8)

  1. Siの含有率が、90原子%以上であり、
    厚みが、50μm以下であり、
    自立性のあるシリコン単結晶膜。
  2. 面積が、0.1〜1000cmである請求項1に記載のシリコン単結晶膜。
  3. 請求項1に記載のシリコン単結晶膜と耐熱性樹脂膜とを積層してなるシリコン単結晶積層体。
  4. 単結晶シリコンウエファー上に、ハロゲン含有シリコン層を形成する工程(1)と、
    前記ハロゲン含有シリコン層の表面に、所望の厚みの高純度シリコン単結晶膜を形成する工程(2)と、
    前記高純度シリコン単結晶膜上に耐熱性樹脂膜を形成する工程(3)と、
    加熱により、前記高純度シリコン単結晶膜を前記耐熱性樹脂膜と共に、前記ハロゲン含有シリコン層にて剥離する工程(4)とを有するシリコン単結晶膜の製造方法。
  5. 前記工程(1)および(2)が、エピタキシャル成長法により行われる請求項4に記載のシリコン単結晶膜の製造方法。
  6. 前記工程(1)および(2)が、プラズマCVD法により行われる請求項4または5に記載のシリコン単結晶膜の製造方法。
  7. 前記耐熱性樹脂膜が、ポリイミド樹脂からなる請求項4〜6のいずれかに記載のシリコン単結晶膜の製造方法。
  8. 前記工程(4)において、加熱温度が200〜700℃であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のシリコン単結晶膜の製造方法。
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