以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係る用紙冷却装置及び画像形成装置について説明をする。本欄の記載は、特許請求の範囲に記載される技術的範囲や、用語の意味等を限定するものではない。図1及び図2に示すベルト挟持方式の用紙冷却装置100は、画像が形成された用紙を定着後に冷却するカラー/白黒用のプリンタや、複写機、これら複合機に適用して好適なものである。用紙冷却装置100は、上部ベルト機構30、冷却機構40、下部ベルト機構50及び押圧力可変部60を有して構成される。
この例で、用紙冷却装置100は、図2に示す部品取付用の基板101を有している。基板101には例えば窓部102が設けられる。窓部102の周囲の所定の位置には上部ベルト機構30が設けられる。上部ベルト機構30は図2に示すように、1個の第1駆動ローラ部材31a及び3個の第1従動ローラ部材31b〜31d、第1ベルト部材32、第1駆動ローラ部材31aを駆動するモータ34を有して構成される。
第1駆動ローラ部材31aは、基板101の窓部102の左上端側に取り付けられ、第1従動ローラ部材31bは、その窓部102の右端上側に取り付けられ、第1従動ローラ部材31cは、その右端下側に取り付けられ、第1従動ローラ部材31dは、その左端下側に各々取り付けられる。第1駆動ローラ部材31a及び第1従動ローラ部材31b〜31dは、第1ベルト部材32を図中、白抜き矢印の方向(ベルト搬送方向)へ移動する。第1駆動ローラ部材31a及び第1従動ローラ部材31b〜31dには、第1ベルト部材32の幅(ベルト幅w)よりも若干、ローラ幅が広いゴムローラが使用される。
第1駆動ローラ部材31a及び第1従動ローラ部材31b〜31dを結ぶ外周には第1ベルト部材32が嵌め込まれる。第1ベルト部材32は無終端状を成しており、第1駆動ローラ部材31a及び第1従動ローラ部材31b〜31dによって時計方向回りに回動される。第1ベルト部材32には、そのベルト幅が用紙幅にほぼ等しい物が使用される。
第1駆動ローラ部材31aにはモータ34が係合される。モータ34は第1駆動ローラ部材31aを時計方向へ回転する。モータ34と第1駆動ローラ部材31aとは、図示しない歯車や、駆動ベルトを介して係合され、回転力を各第1駆動ローラ部材31aに伝達するようになされる。
上部ベルト機構30の内側には冷却機構40が設けられる。冷却機構40は、第1ベルト部材32によって内包される位置に固定され、かつ、第1駆動ローラ部材31a及び第1従動ローラ部材31b〜31dによって回動される第1ベルト部材32に接触して摺動される。冷却機構40は、ヒートシンク41及び3個のファン42a〜42cを有して構成される。
ヒートシンク41は、摺接架台401及び複数のフィン402を有して構成される。摺接架台401は、その底面が平坦(鏡面仕上げ)で、ベルト搬送方向の前後がR形状を有したソリ(舟底)構造を成している。摺接架台401には冷却面積を確保するために複数のフィン402が立設される。フィン402の各々は、所定の大きさ(縦×横)、所定の厚みを有し、かつ、矩形状を有したアルミニウム板から構成される。
ヒートシンク41の後方には、例えば、3台のファン42a〜42cが設けられる。ファン42a〜42cは、窓部102の下部領域を成す基板101に取り付けられる。各々のファン42a〜42cは各フィン402の間に風を送ってヒートシンク41を冷却するように動作する。
上部ベルト機構30の下方側には下部ベルト機構50が設けられる。下部ベルト機構50は窓部102の下部領域の基板101に設けられる。下部ベルト機構50は、1個の第2駆動ローラ部材51a及び3個の第2従動ローラ部材51b〜51d、第2ベルト部材52、搬送ローラ53a,53b及び5個のバックアップローラ54a,54b,54c,54d,54eを有して構成される。
第2駆動ローラ部材51aは、基板101で下部ベルト機構50を配置する領域の左端下側に取り付けられ、第2従動ローラ部材51bは、その領域の右端下側に取り付けられ、第2従動ローラ部材51cは、その領域の右端上側に取り付けられ、第2従動ローラ部材51dは、その領域の左端上側に各々取り付けられる。
1個の第2駆動ローラ部材51a及び3個の第2従動ローラ部材51b〜51dには、第2ベルト部材52の幅(ベルト幅w)よりも若干、ローラ幅が広いゴムローラが使用される。第2駆動ローラ部材51a及び第2従動ローラ部材51b〜51dを結ぶ外周には第2ベルト部材52が嵌め込まれる。第2ベルト部材52は無終端状を成している。第2ベルト部材52には、そのベルト幅が用紙幅にほぼ等しい物が使用される。
第2ベルト部材52は、上部ベルト機構30に対して単独の駆動源を有しており、第1ベルト部材32とは反対向き、すなわち、反時計方向回りに回動される。第2駆動ローラ部材51aにはモータ59が係合される。モータ59は第2駆動ローラ部材51aを反時計方向へ回転する。モータ59と第2駆動ローラ部材51aとは、図示しない歯車や、駆動ベルトを介して係合され、回転力を第2駆動ローラ部材51aに伝達するようになされる。用紙Pは第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に挟持されて搬送される。上述の冷却機構40では、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pから熱を奪い、当該用紙Pを冷却するように動作する。
上述の摺接架台401の下方であって、第2ベルト部材52の内側には、搬送ローラ53a,53b、押圧部材としてのバックアップローラ54a,54b,54c,54d,54eが設けられる。搬送ローラ53aは、冷却機構40の入口付近に設けられ、ソリ構造の摺接架台401の先端部のR形状と共にニップ入口を形成し、用紙搬送方向に搬送されてくる用紙Pを挟持するように動作する。搬送ローラ53aは、第1ベルト部材32に摺接された第2ベルト部材52が反時計方向回りに回動することで連れ回りする。
バックアップローラ54a,54b,54c,54d,54eは押圧部材の一例を構成し、第2ベルト部材52によって内包される位置に可動自在に取り付けられ、かつ、第2ベルト部材52を介して第1ベルト部材32を冷却機構40に密着するように押圧する。バックアップローラ54a〜54eは、基板101で窓部102の下部領域において、上下動自在に上流側から順に、バックアップローラ54a,54b,54c,54d,54eが配置される。
搬送ローラ53bは、冷却機構40の出口付近に設けられ、摺接架台401の先端部のR形状と共にニップ出口を形成し、冷却機構40を通過した用紙Pを排紙するように動作する。搬送ローラ53bは、第1ベルト部材32に摺接された第2ベルト部材52が反時計方向回りに回動することで連れ回りする。
この例で、下部ベルト機構50の内側には押圧力可変部の一例を構成する押圧力可変部60が設けられる。押圧力可変部60は、バックアップローラ54a,54b,54c,54d,54eが冷却機構40を押圧する押圧力を変更する。押圧力可変部60は、5個のカム機構61a〜61e及び、カム駆動用のモータ62を有して構成される。モータ62は、カム機構61a〜61e毎に設けてもよい。カム機構61a〜61e毎にモータ62を設けると、バックアップローラ54a,54b,54c,54d,54eの各々において押圧力を精度良く調整できるようになる。
ここで、図3を参照して、カム機構61aの構成例について説明する。図3に示すカム機構61aは水準「中」で停止している状態である。カム機構61aによれば、取付架台601、軸支持板602、抜け止め板603、リンク部材604、スプリングコイルバネ605及びカム部材606を有して構成される。
取付架台601は取付板の一例を構成し、段付きの凸形状を有している。所定の厚みの金属板を折り曲げ加工して形成される。取付架台601の所定の位置には移動規制用の2個のボス611,612(突出部)が立設されている。取付架台601は部品取付用の4個の孔部613〜616を有している。取付架台601は4個の孔部613〜616を介して図示しないネジで部品取付用の基板101に取り付けられる。
軸支持板602は長方形状を有しており、その中央部にはボス611,612を貫通する長孔621が設けられている。軸支持板602の左側端部には、フック形状を有したバネ係合用の突起部622が設けられる。軸支持板602の所定の位置には、この例では、下方にバックアップローラ54aの軸を回転自在に支持する軸支部623が設けられる。
また、軸支持板602の長孔621の上部には、長細い小判形の抜け止め板603が取り付けられる。抜け止め板603は、長孔621の上部に露出したボス611,612を抜け止め固定することで、軸支持板602が取付架台601に対して上下動自在に係合される構造となる。
この例では、リンク部材604はL形状を有しており、その中央部には支軸部材641が設けられる。支軸部材641は、部品取付用の基板101に取り付けられる。リンク部材604の一端には、回転自在に取り付けられたローラ部材642が設けられる。その他端のL形状部位には、フック形状を有したバネ係合用の突起部643が設けられる。これにより、リンク部材604に係合された軸支持板602がバックアップローラ54aを軸支できるようになる。
上述の軸支持板602の突起部622とリンク部材604の突起部643との間には、スプリングコイルバネ605が取り付けられる。スプリングコイルバネ605は、常に、軸支持板602を上方向に付勢するように作用する。この作用によって、図2に示した第1ベルト部材32をバックアップローラ54a及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40に密着かつ押圧できるようになる。
リンク部材604のローラ部材642の上部には、カム部材606が係合される。カム部材606はカム661及びカム軸662を有している。カム661は所定の形状(卵形)を有しており、カム軸662の一端に固定される。カム軸662の他端は部品取付用の基板101に回転自在に取り付けられる。カム軸662の他端には、カム駆動用のモータ62が図示しない減速ギヤや、ベルト等を介して接続される。モータ62は駆動部の一例を構成し、押圧力可変部60を駆動する。他のバックアップローラ54b,54c,54d,54eについても同様に構成され、他のカム機構61b〜61eについても、同様に構成され、その機能を有するので、その説明を省略する。
この例では、軸支持板602、リンク部材604及び、スプリングコイルバネ605が押圧力可変部60において往復機構を構成する。往復機構では、支軸部材641を有したリンク部材604が、カム機構61aの動作によって往復動作する。例えば、水準「中」で停止している状態の押圧力可変部60において、モータ62が反時計方向に回転すると、カム機構61aのカム661が反時計方向に回動し、カム661がローラ部材642を下方に押し込むと、リンク部材604が支軸部材641を基準にして、てこの原理により、バネ側を跳ね上げる。
リンク部材604の一端が跳ね上がることで、軸支持板602を上方向へ移動させるようになる。このとき、カム部材606は、スプリングコイルバネ605の付勢力に打ち勝って、軸支持板602を上方向へ移動するようになる。この移動によって、水準「強」が実現でき、バックアップローラ54a及び第2ベルト部材52を介して押圧力=「強」で第1ベルト部材32を冷却機構40へ密着できるようになる。
また、水準「中」で停止している状態の押圧力可変部60において、モータ62が時計方向に回転すると、カム機構61aのカム661が時計方向に回動し、カム661がローラ部材642を上方に受け入れると、リンク部材604が支軸部材641を基準にして、スプリングコイルバネ605の付勢力に負けてバネ側を押し下げられる。リンク部材604の一端が押し下がることで、軸支持板602を下方向へ移動させるようになる。
このとき、カム部材606は、スプリングコイルバネ605の付勢力に負けて、軸支持板602を下方向へ移動するようになる。この移動によって、水準「弱」が実現でき、バックアップローラ54a及び第2ベルト部材52を介して押圧力=「弱」で第1ベルト部材32を冷却機構40に当接できるようになる。これにより、押圧力可変部60によってバックアップローラ54aの押圧力を調整できるようになる。
続いて、図4を参照して、用紙冷却装置100の制御系の構成例について説明する。図4に示す用紙冷却装置100の制御系によれば、制御部15、ローラ駆動部35、カム駆動部63、ファン駆動部43、温度検出部44及び操作表示部48を有して構成される。
制御部15は、例えば、中央処理ユニット(Central Processing Unit;以下CPU55という)、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:以下ROM56という)、随時情報の書き込み読出し可能なメモリ(Random Access Memory:以下RAM57という)及びメモリ部58を有している。
CPU55にはワークメモリ用のRAM57が接続される。RAM57にはメモリ部58が接続される。もちろん、ROM56には当該用紙冷却装置100の全体を制御するためのシステムプログラムや、バックアップローラ54a,54b,54c,54d,54eを制御するための制御情報が格納される。例えば、電源がオンされると、電源オン情報を検出したCPU55は、ROM56からシステムプログラムを読み出してRAM57に展開し、システムを起動して、当該用紙冷却装置100全体を制御するようになされる。
制御部15にはローラ駆動部35が接続される。ローラ駆動部35はローラ駆動データD35に基づいてモータ34及びモータ59を制御し、第1駆動ローラ部材31a及び第2駆動ローラ部材51aの回転速度を同一に制御する。ローラ駆動データD35は、制御部15からローラ駆動部35へ出力される。ローラ駆動部35は、ローラ駆動データD35をデコード処理してローラ駆動信号S34,S59を生成する。ローラ駆動信号S34は、ローラ駆動部35からモータ34へ出力される。モータ34は、ローラ駆動信号S34に基づいて第1駆動ローラ部材31aを回転するようになる。ローラ駆動信号S59は、ローラ駆動部35からモータ59へ出力される。モータ59は、ローラ駆動信号S59に基づいて第2駆動ローラ部材51aを回転するようになる。
制御部15にはローラ駆動部35の他にカム駆動部63が接続される。カム駆動部63はカム駆動データD63に基づいてモータ62を制御し、カム機構61a〜61eのカム661の回転角度を制御する。カム駆動データD63は、制御部15からカム駆動部63へ出力される。カム駆動部63は、カム駆動データD63をデコード処理してカム駆動信号S62を生成する。カム駆動信号S62は、カム駆動部63からモータ62へ出力される。モータ62は、カム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
制御部15にはローラ駆動部35やカム駆動部63の他にファン駆動部43が接続される。ファン駆動部43はファン駆動データD43に基づいて3台のファン42a〜42cを制御し、ヒートシンク41に当てる風量を制御する。ファン駆動データD43は、制御部15からファン駆動部43へ出力される。ファン駆動部43は、ファン駆動データD43をデコード処理してファン駆動信号S43を生成する。ファン駆動信号S43は、ファン駆動部43から3台のファン42a〜42cへ出力される。ファン42a〜42cは、ファン駆動信号S43に基づいて一斉にヒートシンク41に所定の風量を当てるように動作する。
また、制御部15には温度検出部44が接続される。温度検出部44はヒートシンク41に取り付けられる。温度検出部44はヒートシンク41の温度を検出して冷却温度データD44を発生する。冷却温度データD44は、制御部15に出力される。上述のファン駆動部43や温度検出部44等は冷却機構40を構成する。
制御部15には温度検出部44の他に画像形成部80が接続され、所定の用紙Pにトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着して、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100に受け渡すように動作する。画像形成部80については第8の実施例でそのメカ構造を説明する。
画像形成部80には設定部の一例を構成する操作表示部48が接続される。操作表示部48は画像形成時、用紙冷却装置100において、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの画像形成条件(所定の条件)に対応して押圧力条件を制御部15で設定するように操作される。操作表示部48は、例えば、タッチパネルや、テンキー、液晶表示パネルから構成される。操作表示部48にはGUI(Graphic User Interface)方式の入力手段が使用される。
ここに画像形成条件とは、画像形成時の用紙の種類(紙種)、その坪量、その画像のカバレッジ、その温度・湿度等の環境条件、その連続通紙枚数、その印刷モード等の設定内容をいう。押圧力条件とは、バックアップローラ54a,54b,54c,54d,54eが第1ベルト部材32及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40を押圧する条件をいう。押圧力条件には上述の画像形成条件の他にヒートシンク温度が含まれる。操作表示部48で設定された画像形成条件は設定データD48となって操作表示部48から制御部15へ出力される。
制御部15では、画像形成条件に対応して複数の水準の押圧力が設定される。この例で、紙種に対応する押圧力の水準によれば、表1に示すように、用紙Pが途工紙(コート紙)である場合は押圧力「強」が設定され、上記以外である場合は押圧力「弱」が設定される(表1参照)。
坪量に対応する押圧力の水準によれば、表2に示すように、坪量64〜135g/m2である場合は押圧力「弱」が設定され、坪量136〜256g/m2である場合は押圧力「中」が設定され、坪量257〜350g/m2である場合は押圧力「強」が設定される(表2参照)。
画像のカバレッジに対応する押圧力の水準によれば、表3に示すように、画像の印字率が0〜30%である場合は押圧力「弱」が設定され、印字率が31〜60%である場合は押圧力「中」が設定され、印字率61〜100%である場合は押圧力「強」が設定される(表3参照)。
温湿度等の環境条件に対応する押圧力の水準によれば、表4に示すように、低温・低湿環境(L環境:10℃以下)である場合は押圧力「弱」が設定され、常温常湿環境(N環境:10℃を越え30℃未満)である場合は押圧力「中」が設定され、高温・高湿環境(H環境:30℃以上)である場合は押圧力「強」が設定される(表4参照)。
連続通紙枚数に対応する押圧力の水準によれば、表5に示すように、連続通紙枚数が0〜500枚である場合は押圧力「弱」が設定され、連続通紙枚数が501〜1000枚である場合は押圧力「中」が設定され、連続通紙枚数が1000枚以上である場合は押圧力「強」が設定される(表5参照)。
印刷モードに対応する押圧力の水準によれば、表6に示すように、印刷モードが「片面モード」である場合は押圧力「弱」が設定され、印刷モードが「両面モード」である場合は押圧力「強」が設定される(表6参照)。
ヒートシンク温度に対応する押圧力の水準によれば、表7に示すように、ヒートシンク温度が30℃以下である場合は押圧力「弱」が設定され、ヒートシンク温度が30℃を越え、35℃未満である場合は押圧力「中」が設定され、ヒートシンク温度が35℃以上である場合は押圧力「強」が設定される(表7参照)。
これらの押圧力の水準は制御部15のメモリ部58に格納される。なお、押圧力の値は、例えば、押圧力「強」は、ローラ総圧14Nであり、押圧力「中」は、ローラ総圧11.5Nであり、押圧力「弱」は、ローラ総圧7Nである。冷却条件の詳細は、線速400mm/s、冷却距離270mm、(=冷却時間0.675sec)である。優先順位は、紙種>坪量>環境>カバレッジ>ヒートシンク温度>通紙モード>連続通紙枚数である。
このような押圧力の水準を設定する操作表示部48が、例えば、画像形成部80に設けられると、画像形成部80から設定データD48を入力した用紙冷却装置100において、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの画像形成条件に対応した押圧力の複数の水準は制御部15に設定でき、しかも、ユーザが自由に押圧力を選択できるようになっている。
続いて、図5を参照して、第1の実施例に係る紙種設定時の制御例について説明する。この例で、制御部15は、上述の第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの種類(画像形成条件→紙種)に基づいて押圧力可変部60を制御し、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの上下位置を調整し、当該冷却機構40に与える押圧力を変更するようになされる。例えば、カム機構61a〜61eは、各々のカム661を回転させてバックアップローラ54a〜54e等のローラ軸両端にかかる力を変化させる。用紙Pに画像を形成する画像形成部80については、第8の実施例に示すようなカラープリンタ200を想定するが、ここでは、単に画像形成部80という。
これらを制御条件にして、図5に示すフローチャートのステップST11で画像形成部80は、画像形成条件の設定を入力する。ここで、ユーザは操作表示部48を操作して画像形成条件として、塗工紙や、それ以外の用紙P等の紙種を設定する。紙種と押圧力の水準の関係については表1を参照されたい。用紙Pの紙種を示す画像形成条件は設定データD48となって画像形成部80から制御部15へ出力される。
ステップST12で画像形成部80は画像形成スタートを待機する。画像形成スタートは、ユーザが操作表示部48の例えば、スタートボタンを押下して「画像形成スタート」を画像形成部80に指示する。
スタートボタンが押下されると、ステップST13で画像形成部80は、先に設定された用紙Pが塗工紙かそれ以外の用紙かに対応して制御を分岐する。上述のステップST11で塗工紙が設定されている場合は、ステップST14で画像形成部80は、塗工紙にトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。
用紙冷却装置100では、ステップST15で制御部15のCPU55が設定データD48に基づいて押圧力=「強」を設定する。ステップST18でCPU55は押圧力=「強」で用紙冷却処理を実行する。このとき、ローラ駆動部35はローラ駆動データD35に基づいてモータ34及びモータ59を制御し、第1駆動ローラ部材31a及び第2駆動ローラ部材51aの回転速度を制御する。例えば、ローラ駆動部35は、ローラ駆動データD35をデコード処理してローラ駆動信号S34,S59を生成する。ローラ駆動信号S34は、ローラ駆動部35からモータ34へ出力される。
モータ34は、ローラ駆動信号S34に基づいて第1駆動ローラ部材31aを回転するようになる。第1駆動ローラ部材31aが回転することで、第1ベルト部材32はベルト搬送方向へ回動される。ローラ駆動信号S59は、ローラ駆動部35からモータ59へ出力される。モータ59は、ローラ駆動信号S59に基づいて第2駆動ローラ部材51aを回転するようになる。第2駆動ローラ部材51aが回転することで、第2ベルト部材52はベルト搬送方向へ回動される。第2ベルト部材52と第1ベルト部材32とが同期して摺接されながら回動する。定着後の用紙Pは、第1ベルト部材32及び第2ベルト部材52に挟持されて、ヒートシンク41の下方に取り込まれる。
また、カム駆動部63は押圧力=「強」を示すカム駆動データD63に基づいてモータ62を制御し、カム機構61a〜61eのカム661の回転角度を制御する。例えば、カム駆動部63は、カム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「強」を示すカム駆動信号S63を生成する。カム駆動信号S63は、カム駆動部63からモータ62へ出力される。モータ62は、図3に示した押圧力=「中」状態から、押圧力=「強」を示すカム駆動信号S63に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に打ち勝って、上方に引き上げるように、バックアップローラ54a〜54eが冷却機構40に押圧力=「強」を付与する。
ファン駆動部43はファン駆動データD43に基づいて3台のファン42a〜42cを制御し、ヒートシンク41に当てる風量を制御する。ファン駆動部43は、ファン駆動データD43をデコード処理してファン駆動信号S43を生成する。ファン駆動信号S43は、ファン駆動部43から3台のファン42a〜42cへ出力される。ファン42a〜42cは、ファン駆動信号S43に基づいて一斉にヒートシンク41に所定の風量を当てるように動作する。これにより、定着後の用紙Pが冷却される。その後、ステップST19に移行する。
また、上述のステップST13で塗工紙以外の用紙Pが設定されている場合は、ステップST16で画像形成部80は、塗工紙以外の用紙Pにトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。
用紙冷却装置100では、ステップST15でCPU55が設定データD48に基づいて押圧力=「弱」を設定する。ステップST18でCPU55は押圧力=「弱」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は、カム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S63を生成する。モータ62は、図3に示した押圧力=「中」状態から、押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S63に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dの各々のカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した軸支持板602が、各々のスプリングコイルバネ605の付勢力に負けて、下方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「弱」を付与できるようになる。これにより、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの押圧力を調整できるようになる。その後、ステップST19に移行する。
ステップST19で画像形成部80はプリント終了を判別する。その際の判別基準は、例えば、画像形成ジョブの最終ページを示すエンド・オブ・フラグ(EOF)を検知することで行う。EOFを検知した場合は、画像形成処理及び用紙冷却処理を終了する。EOFを検知していない場合は、ステップST13に戻って画像形成処理を継続し、その後の用紙冷却処理を継続する。
このように、第1の実施例に係る用紙冷却装置100によれば、CPU55が第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの種類(画像形成条件→紙種)に基づいて押圧力可変部60を制御し、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの押圧力を変更するようになる。
この押圧力可変制御によって、第2ベルト部材52を介して第1ベルト部材32を冷却機構40に密着する際のバックアップローラ54a〜54eの押圧力を、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される塗工紙、それ以外の用紙P等の種類(紙種)に対応して調整できるようになる。しかも、冷却能力を多く必要とする条件が設定された場合にのみ、ヒートシンク41と第1ベルト部材32及び第2ベルト部材52への押圧力を高くすることができるようになる。
従って、バックアップローラ54a〜54eによる押圧力を一律に設定する場合に比べて、第1ベルト部材32の摩耗粉が第1駆動ローラ部材31aへ付着することで生じていた第1駆動ローラ部材31aと第1ベルト部材32との間のベルトスリップ現象を抑制でき、用紙Pのカールや、ジャム等の発生を防止できるようになる。これにより、高信頼度の用紙冷却装置100及び、当該用紙冷却装置100を実装した高信頼度の画像形成装置を提供できるようになる。
図6を参照して、第2の実施例に係る坪量設定時の制御例について説明する。この例では、図4に示した用紙冷却装置100において、CPU55が、用紙Pの坪量に応じて冷却機構40に与える押圧力を変更するようにした。
これを制御条件にして、図6に示すフローチャートのステップST21で画像形成部80は、画像形成条件の設定を入力する。ここで、ユーザは操作表示部48を操作して画像形成条件として、用紙Pの坪量を設定する。用紙Pの坪量と押圧力の水準の関係については表2を参照されたい。用紙Pの坪量を示す画像形成条件は設定データD48となって画像形成部80からCPU55へ出力される。
ステップST22で画像形成部80は画像形成スタートを待機する。ここでユーザが操作表示部48のスタートボタンを押下して「画像形成スタート」を画像形成部80に指示する。ステップST23で画像形成部80は、先に設定された坪量の用紙Pにトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。
そして、用紙冷却装置100では、ステップST24でCPU55が上述の画像形成条件として設定された坪量が64〜135g/m2である場合、又は、それ以外の坪量である場合に対応して制御を分岐する。
上述の画像形成条件として設定された坪量が64〜135g/m2である場合(YES)は、ステップST25に移行してCPU55は、押圧力=「弱」を設定する。そして、ステップST29でCPU55は押圧力=「弱」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「弱」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に負けて、下方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「弱」を付与できるようになる。その後、ステップST30に移行する。
上述のステップST24で画像形成条件が135g/m2を越える坪量である場合(NO)は、ステップST26でCPU55が画像形成条件として設定された坪量が136〜256g/m2である場合(YES)、又は、それを越える坪量(257〜350g/m2)である場合(NO)に対応して制御を分岐する。
上述の画像形成条件として設定された坪量が136〜256g/m2である場合(YES)は、ステップST27に移行してCPU55は、押圧力=「中」を設定する。そして、ステップST29でCPU55は押圧力=「中」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「中」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力にやや打ち勝って、わずか上方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「中」を付与できるようになる(図3参照)。その後、ステップST30に移行する。
更に、上述のステップST26で画像形成条件が136〜256g/m2を越え、257〜350g/m2の坪量である場合(NO)は、ステップST28でCPU55が押圧力=「強」を設定する。
そして、ステップST29でCPU55は押圧力=「強」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「強」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に打ち勝って、上方に引き上げるように、バックアップローラ54a〜54eが冷却機構40に押圧力=「強」を付与する。その後、ステップST30に移行する。
ステップST30で画像形成部80はプリント終了を判別する。その際の判別基準は、第1の実施例で説明した通りである。EOFを検知した場合は、画像形成処理及び用紙冷却処理を終了する。EOFを検知していない場合は、ステップST23に戻って画像形成処理を継続し、その後の用紙冷却処理を継続する。
このように、第2の実施例に係る用紙冷却装置100によれば、CPU55が第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの坪量(画像形成条件→坪量)に基づいて押圧力可変部60を制御し、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの押圧力を変更するようになる。
この押圧力可変制御によって、第2ベルト部材52を介して第1ベルト部材32を冷却機構40に密着する際のバックアップローラ54a〜54eの押圧力を、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの坪量64〜135g/m2、136〜256g/m2、257〜350g/m2に対応して調整できるようになる。しかも、冷却能力を多く必要とする条件が設定された場合にのみ、ヒートシンク41と第1ベルト部材32及び第2ベルト部材52への押圧力を高くすることができるようになる。
従って、バックアップローラ54a〜54eによる押圧力を一律に設定する場合に比べて、第1ベルト部材32の摩耗粉が第1駆動ローラ部材31aへ付着することで生じていた第1駆動ローラ部材31aと第1ベルト部材32との間のベルトスリップ現象を抑制でき、用紙Pのカールや、ジャム等の発生を防止できるようになる。これにより、高信頼度の用紙冷却装置100及び、当該用紙冷却装置100を実装した高信頼度の画像形成装置を提供できるようになる。
図7を参照して、第3の実施例に係る印字率設定時の制御例について説明する。この例では、図4に示した用紙冷却装置100のCPU55が用紙Pに形成される画像のカバレッジ(印字率)に応じて冷却機構40に与える押圧力を変更するようにした。
これを制御条件にして、図7に示すフローチャートのステップST31で画像形成部80は、画像形成条件の設定を入力する。ここで、ユーザは操作表示部48を操作して画像形成条件として、用紙Pに形成する画像のカバレッジ(印字率)を左右する画像濃度を設定する。画像のカバレッジと押圧力の水準の関係については表3を参照されたい。画像のカバレッジを示す画像形成条件は設定データD48となって画像形成部80からCPU55へ出力される。
ステップST32で画像形成部80は画像形成スタートを待機する。ここでユーザが操作表示部48のスタートボタンを押下して「画像形成スタート」を画像形成部80に指示する。スタートボタンが押下されると、ステップST33で画像形成部80は、先に設定された画像濃度で用紙Pにトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。
そして、用紙冷却装置100では、ステップST34でCPU55が上述の画像形成条件として設定された画像のカバレッジ(印字率)が0〜30%である場合、又は、それ以外の印字率である場合に対応して制御を分岐する。
上述の画像形成条件として設定された印字率が0〜30%である場合(YES)は、ステップST35に移行してCPU55は、押圧力=「弱」を設定する。そして、ステップST39でCPU55は押圧力=「弱」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「弱」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に負けて、下方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「弱」を付与できるようになる。その後、ステップST40に移行する。
上述のステップST34で画像形成条件が印字率30%を越える場合(NO)は、ステップST36でCPU55が画像形成条件として設定された画像濃度の印字率が31〜60%である場合(YES)、又は、印字率60%を越える印字率(61〜100%)である場合(NO)に対応して制御を分岐する。
上述の画像形成条件として設定された画像濃度の印字率が31〜60%である場合(YES)は、ステップST37に移行してCPU55は、押圧力=「中」を設定する。そして、ステップST39でCPU55は押圧力=「中」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「中」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力にやや打ち勝って、わずか上方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「中」を付与できるようになる(図3参照)。その後、ステップST30に移行する。
更に、上述のステップST36で画像形成条件として設定された画像濃度の印字率が61〜100%である場合(NO)は、ステップST38でCPU55が押圧力=「強」を設定する。そして、ステップST39でCPU55は押圧力=「強」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「強」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に打ち勝って、上方に引き上げるように、バックアップローラ54a〜54eが冷却機構40に押圧力=「強」を付与する。その後、ステップST40に移行する。
ステップST40で画像形成部80はプリント終了を判別する。その際の判別基準は、第1の実施例で説明した通りである。EOFを検知した場合は、画像形成処理及び用紙冷却処理を終了する。EOFを検知していない場合は、ステップST33に戻って画像形成処理を継続し、及び、用紙冷却処理を継続する。
このように、第3の実施例に係る用紙冷却装置100によれば、CPU55が第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙に形成される画像のカバレッジ(画像形成条件→印字率)に基づいて押圧力可変部60を制御し、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの押圧力を変更するようになる。
この押圧力可変制御によって、第2ベルト部材52を介して第1ベルト部材32を冷却機構40に当接する際のバックアップローラ54a〜54eの押圧力を、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pであって、当該用紙Pに形成された画像の印字率0〜30%、31〜60%、61〜100%に対応して調整できるようになる。しかも、冷却能力を多く必要とする条件が設定された場合にのみ、ヒートシンク41と第1ベルト部材32及び第2ベルト部材52への押圧力を向上できるようになる。
従って、バックアップローラ54a〜54eによる押圧力を一律に設定する場合に比べて、第1ベルト部材32の摩耗粉が第1駆動ローラ部材31aへ付着することで生じていた第1駆動ローラ部材31aと第1ベルト部材32との間のベルトスリップ現象を抑制でき、用紙Pのカールや、ジャム等の発生を防止できるようになる。これにより、第1及び第2の実施例と同様にして、高信頼度の用紙冷却装置100及び、当該用紙冷却装置100を実装した高信頼度の画像形成装置を提供できるようになる。
図8を参照して、第4の実施例に係る環境設定時の制御例について説明する。この例では、図4に示した用紙冷却装置100のCPU55が、用紙Pに画像を形成する際の機内環境条件に応じて冷却機構40に与える押圧力を変更するようにした。画像形成部80には、温度や湿度等の機内環境条件を測定するために、図示しない温度検知センサや、湿度検知センサ等が設けられる。温度・湿度等の機内環境条件に対応する押圧力の水準は表4を参照されたい。
これらを制御条件にして、図8に示すフローチャートのステップST41で画像形成部80は、画像形成条件の設定を入力する。ここで、ユーザは操作表示部48を操作して画像形成条件を設定する。設定内容については、第1〜第3の実施例を参照されたい。画像形成条件は設定データD48となって画像形成部80からCPU55へ出力される。
ステップST42で画像形成部80は画像形成スタートを待機する。ここでユーザが操作表示部48のスタートボタンを押下して「画像形成スタート」を画像形成部80に指示する。スタートボタンが押下されると、ステップST43で画像形成部80は、先に設定された画像形成条件で用紙Pにトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。
そして、用紙冷却装置100では、ステップST44でCPU55は、機内環境が低温・低湿環境(L環境:10℃以下)である場合(YES)又は、それ以外の機内環境である場合(NO)に対応して制御を分岐する。
上述の機内環境条件として、例えば、機内温度が10℃以下である場合(YES)は、ステップST45に移行してCPU55は、押圧力=「弱」を設定する。そして、ステップST49でCPU55は押圧力=「弱」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「弱」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に負けて、下方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「弱」を付与できるようになる。その後、ステップST50に移行する。
上述のステップST44で機内環境条件としての機内温度が10℃を越える場合は、ステップST46に移行して、CPU55は、機内温度が10℃を越え、30℃未満となる常温・常湿環境(N環境)である場合(YES)、又は、高温・高湿環境(H環境:30℃以上)である場合(NO)に対応して制御を分岐する。
機内環境条件がN環境である場合は、ステップST47でCPU55は、押圧力=「中」を設定する。そして、ステップST49でCPU55は押圧力=「中」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「中」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力にやや打ち勝って、わずか上方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「中」を付与できるようになる(図3参照)。その後、ステップST50に移行する。
更に、上述のステップST46で機内環境条件としての機内温度が30℃を越える高温・高湿環境(H環境)である場合(NO)は、ステップST48でCPU55が押圧力=「強」を設定する。そして、ステップST49でCPU55は押圧力=「強」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「強」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に打ち勝って、上方に引き上げるように、バックアップローラ54a〜54eが冷却機構40に押圧力=「強」を付与する。その後、ステップST50に移行する。
ステップST50で画像形成部80はプリント終了を判別する。その際の判別基準は、第1の実施例で説明した通りである。EOFを検知した場合は、画像形成処理及び用紙冷却処理を終了する。EOFを検知していない場合は、ステップST43に戻って画像形成処理を継続し、その後の用紙冷却処理を継続する。
このように、第4の実施例に係る用紙冷却装置100によれば、CPU55が画像形成部80の機内環境条件(温度)に基づいて押圧力可変部60を制御し、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの押圧力を変更するようになる。
この押圧力可変制御によって、第2ベルト部材52を介して第1ベルト部材32を冷却機構40に当接する際のバックアップローラ54a〜54eの押圧力を、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pであって、当該用紙Pに画像を形成する際の機内温度、10℃以下(L環境)、10℃〜30℃(N環境)、30℃以上(H環境)に対応して調整できるようになる。しかも、冷却能力を多く必要とする条件が設定された場合にのみ、ヒートシンク41と第1ベルト部材32及び第2ベルト部材52への押圧力を高くすることができるようになる。
従って、バックアップローラ54a〜54eによる押圧力を一律に設定する場合に比べて、第1ベルト部材32の摩耗粉が第1駆動ローラ部材31aへ付着することで生じていた第1駆動ローラ部材31aと第1ベルト部材32との間のベルトスリップ現象を抑制でき、用紙Pのカールや、ジャム等の発生を防止できるようになる。これにより、第1〜第3の実施例と同様にして、高信頼度の用紙冷却装置100及び、当該用紙冷却装置100を実装した高信頼度の画像形成装置を提供できるようになる。
図9を参照して、第5の実施例に係る連続通紙枚数設定時の制御例について説明する。この例では、図4に示した用紙冷却装置100において、CPU55が、用紙Pの連続通紙枚数に応じて冷却機構40に与える押圧力を変更するようにした。
これを制御条件にして、図9に示すフローチャートのステップST51で画像形成部80は、画像形成条件の設定を入力する。ここで、ユーザは操作表示部48を操作して画像形成条件として、用紙Pの画像形成枚数(連続通紙枚数)を設定する。用紙Pの連続通紙枚数と押圧力の水準の関係については表5を参照されたい。用紙Pの画像形成枚数を示す画像形成条件は設定データD48となって画像形成部80からCPU55へ出力される。
ステップST52で画像形成部80は画像形成スタートを待機する。ここでユーザが操作表示部48のスタートボタンを押下して「画像形成スタート」を画像形成部80に指示する。スタートボタンが押下されると、ステップST53で画像形成部80は、先に設定された画像形成枚数に至るまで、用紙Pにトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。CPU55には、図示しないカウンタが設けられ、CPU55は、画像形成枚数を参照して、用紙Pの連続通紙枚数を計測し、連続通紙枚数を示す通紙検知信号を発生する。
そして、用紙冷却装置100では、ステップST54でCPU55が上述の画像形成条件として計測された連続通紙枚数が0〜500枚である場合、又は、501〜1000枚の連続通紙枚数である場合に対応して制御を分岐する。
上述の画像形成条件として計測された連続通紙枚数が0〜500枚である場合(YES)は、ステップST55に移行してCPU55は、押圧力=「弱」を設定する。そして、ステップST59でCPU55は押圧力=「弱」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「弱」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に負けて、下方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「弱」を付与できるようになる。その後、ステップST60に移行する。
上述のステップST54で連続通紙枚数が500枚を越える場合(NO)は、ステップST56でCPU55は、連続通紙枚数が501〜1000枚である場合(YES)、又は、それを越える連続通紙枚数(1001枚以上)である場合(NO)に対応して制御を分岐する。
上述の連続通紙枚数が501〜1000枚である場合(YES)は、ステップST57に移行してCPU55は、押圧力=「中」を設定する。そして、ステップST59でCPU55は押圧力=「中」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「中」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力にやや打ち勝って、わずか上方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「中」を付与できるようになる。その後、ステップST60に移行する。
更に、上述のステップST56で連続通紙枚数が1001枚以上である場合(NO)は、ステップST58でCPU55が押圧力=「強」を設定する。そして、ステップST59でCPU55は押圧力=「強」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「強」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に打ち勝って、上方に引き上げるように、バックアップローラ54a〜54eが冷却機構40に押圧力=「強」を付与する。その後、ステップST60に移行する。
ステップST60で画像形成部80はプリント終了を判別する。その際の判別基準は、第1の実施例で説明した通りである。EOFを検知した場合は、画像形成処理及び用紙冷却処理を終了する。EOFを検知していない場合は、ステップST53に戻って画像形成処理を継続し、その後の用紙冷却処理を継続する。
このように、第5の実施例に係る用紙冷却装置100によれば、CPU55が第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの連続通紙枚数に基づいて押圧力可変部60を制御し、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの押圧力を変更するようになる。
この押圧力可変制御によって、第2ベルト部材52を介して第1ベルト部材32を冷却機構40に当接する際のバックアップローラ54a〜54eの押圧力を、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの連続通紙枚数0〜500枚、501〜1000枚、1001枚以上に対応して調整できるようになる。しかも、冷却能力を多く必要とする条件が設定された場合にのみ、ヒートシンク41と第1ベルト部材32及び第2ベルト部材52への押圧力を高くすることができるようになる。
従って、バックアップローラ54a〜54eによる押圧力を一律に設定する場合に比べて、第1ベルト部材32の摩耗粉が第1駆動ローラ部材31aへ付着することで生じていた第1駆動ローラ部材31aと第1ベルト部材32との間のベルトスリップ現象を抑制でき、用紙Pのカールや、ジャム等の発生を防止できるようになる。これにより、第1〜第4の実施例と同様にして、高信頼度の用紙冷却装置100及び、当該用紙冷却装置100を実装した高信頼度の画像形成装置を提供できるようになる。
図10を参照して、第6の実施例に係る印刷モード設定時の制御例について説明する。この例で、図4に示したCPU55は、上述の第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの印刷モード(通紙モード)に基づいて押圧力可変部60を制御し、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの上下位置を調整し、当該冷却機構40に与える押圧力を変更するようになされる。
これらを制御条件にして、図10に示すフローチャートのステップST61で画像形成部80は、画像形成条件の設定を入力する。ここで、ユーザは操作表示部48を操作して画像形成条件として、印刷モードを設定する。印刷モードと押圧力の水準の関係については表6を参照されたい。用紙Pの印刷モードを示す画像形成条件は設定データD48となって画像形成部80からCPU55へ出力される。
ステップST62で画像形成部80は画像形成スタートを待機する。画像形成スタートは、ユーザが操作表示部48の例えば、スタートボタンを押下して「画像形成スタート」を画像形成部80に指示する。
スタートボタンが押下されると、ステップST63で画像形成部80は、先に設定された用紙Pの印刷モードに対応して制御を分岐する。上述のステップST61で片面モードが設定されている場合は、ステップST64で画像形成部80は、片面モードに基づいて用紙Pにトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。
用紙冷却装置100では、ステップST65でCPU55が設定データD48に基づいて押圧力=「弱」を設定する。ステップST68でCPU55は押圧力=「弱」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は、カム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dの各々のカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した軸支持板602が、各々のスプリングコイルバネ605の付勢力に負けて、下方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「弱」を付与できるようになる。これにより、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの押圧力を調整できるようになる。その後、ステップST69に移行する。
また、上述のステップST63で両面モードが設定されている場合は、ステップST66で画像形成部80は、両面モードに基づいて用紙Pの一方の面(表面)にトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。
用紙冷却装置100では、ステップST67でCPU55が設定データD48に基づいて「押圧力=「強」を設定する。ステップST68でCPU55は押圧力=「強」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「強」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62を生成する。カム駆動信号S62は、カム駆動部63からモータ62へ出力される。
モータ62は、押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に打ち勝って、上方に引き上げるように、バックアップローラ54a〜54eが冷却機構40に押圧力=「強」を付与する。その後、ステップST69に移行する。
ステップST69で画像形成部80はプリント終了を判別する。その際の判別基準は、例えば、画像形成ジョブの印刷モード(片面/両面)や、最終ページを示すエンド・オブ・フラグ(EOF)を検知することで行う。両面モードがデコードされ、EOFを検知していない場合は、ステップST63に戻って、印刷モードに基づいて制御を分岐する。この例では、ステップST66で両面モードに基づいて用紙Pの他方の面(裏面)にトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。
用紙冷却装置100において、ステップST67でCPU55は、両面モードが設定されている間、押圧力=「強」を設定する。ステップST68でCPU55は押圧力=「強」で用紙冷却処理を実行する。その後、ステップST69に移行する。ステップST69で画像形成部80は、EOFを検知した場合は、画像形成処理及び用紙冷却処理を終了する。
このように、第6の実施例に係る用紙冷却装置100によれば、CPU55が第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの印刷モードに基づいて押圧力可変部60を制御し、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの押圧力を変更するようになる。
この押圧力可変制御によって、第2ベルト部材52を介して第1ベルト部材32を冷却機構40に当接する際のバックアップローラ54a〜54eの押圧力を、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの片面モード及び両面モードに対応して調整できるようになる。しかも、冷却能力を多く必要とする条件が設定された場合にのみ、ヒートシンク41と第1ベルト部材32及び第2ベルト部材52への押圧力を高くすることができるようになる。
従って、バックアップローラ54a〜54eによる押圧力を一律に設定する場合に比べて、第1ベルト部材32の摩耗粉が第1駆動ローラ部材31aへ付着することで生じていた第1駆動ローラ部材31aと第1ベルト部材32との間のベルトスリップ現象を抑制でき、用紙Pのカールや、ジャム等の発生を防止できるようになる。これにより、第1〜第5の実施例と同様にして、高信頼度の用紙冷却装置100及び、当該用紙冷却装置100を実装した高信頼度の画像形成装置を提供できるようになる。
図11を参照して、第7の実施例に係る冷却温度設定時の制御例について説明する。この例では、図4に示した用紙冷却装置100のCPU55が、冷却機構40のヒートシンク41の冷却温度条件に応じて冷却機構40に与える押圧力を変更するようにした。ヒートシンク410には、ヒートシンク温度を検出する温度検出部44が設けられる。ヒートシンク温度に対応する押圧力の水準は表7を参照されたい。
これらを制御条件にして、図11に示すフローチャートのステップST71で画像形成部80は、画像形成条件の設定を入力する。ここで、ユーザは操作表示部48を操作して画像形成条件を設定する。設定内容については、第1〜第3の実施例を参照されたい。画像形成条件は設定データD48となって画像形成部80からCPU55へ出力される。
ステップST72で画像形成部80は画像形成スタートを待機する。ここでユーザが操作表示部48のスタートボタンを押下して「画像形成スタート」を画像形成部80に指示する。スタートボタンが押下されると、ステップST73で画像形成部80は、先に設定された画像形成条件で用紙Pにトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着し、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100へ搬送する。
そして、用紙冷却装置100では、ステップST74でCPU55は、ヒートシンク41の温度が30℃以下である場合(YES)又は、当該温度が30℃を越える場合(NO)に対応して制御を分岐する。上述のヒートシンク41の温度が30℃以下である場合(YES)は、ステップST75に移行してCPU55は、押圧力=「弱」を設定する。そして、ステップST79でCPU55は押圧力=「弱」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「弱」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「弱」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に負けて、下方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「弱」を付与できるようになる。その後、ステップST80に移行する。
上述のステップST74でヒートシンク41の温度が30℃を越える場合は、ステップST76に移行して、CPU55は、ヒートシンク41の温度が35℃以下である場合(YES)、又は、ヒートシンク41の温度が35℃を越える場合(NO)に対応して制御を分岐する。
ヒートシンク41の温度が30℃を越え、35℃以下である場合は、ステップST77でCPU55は、押圧力=「中」を設定する。そして、ステップST79でCPU55は押圧力=「中」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「中」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「中」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力にやや打ち勝って、わずか上方向へ移動するようになる。この移動によって、第1ベルト部材32をバックアップローラ54a〜54e及び第2ベルト部材52を介して冷却機構40へ当接する際に、バックアップローラ54a〜54eの押圧力=「中」を付与できるようになる(図3参照)。その後、ステップST80に移行する。
更に、上述のステップST76でヒートシンク41の温度が35℃を越える場合(NO)は、ステップST78でCPU55が押圧力=「強」を設定する。そして、ステップST79でCPU55は押圧力=「強」で用紙冷却処理を実行する。このとき、カム駆動部63は押圧力=「強」を示すカム駆動データD63をデコード処理して押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62を生成する。モータ62は、押圧力=「強」を示すカム駆動信号S62に基づいてカム機構61a〜61dのカム661を一斉に回転するようになる。
カム機構61a〜61dのカム661が一斉に回転することで、各々のリンク部材604を介して、バックアップローラ54a〜54eを軸支した各々の軸支持板602を、スプリングコイルバネ605の付勢力に打ち勝って、上方に引き上げるように、バックアップローラ54a〜54eが冷却機構40に押圧力=「強」を付与する。その後、ステップST80に移行する。
ステップST80で画像形成部80はプリント終了を判別する。その際の判別基準は、第1の実施例で説明した通りである。EOFを検知した場合は、画像形成処理及び用紙冷却処理を終了する。EOFを検知していない場合は、ステップST73に戻って画像形成処理を継続し、その後の用紙冷却処理を継続する。
このように、第7の実施例に係る用紙冷却装置100によれば、CPU55が画像形成部80のヒートシンク41の温度に基づいて押圧力可変部60を制御し、冷却機構40に対するバックアップローラ54a〜54eの押圧力を変更するようになる。
この押圧力可変制御によって、第2ベルト部材52を介して第1ベルト部材32を冷却機構40に当接する際に、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pであって、当該用紙Pを冷却する際のヒートシンク41の温度が30℃以下、35℃以下、35℃を越える場合に対応して、バックアップローラ54a〜54eの押圧力を調整できるようになる。しかも、冷却能力を多く必要とする条件が設定された場合にのみ、ヒートシンク41と第1ベルト部材32及び第2ベルト部材52への押圧力を高くすることができるようになる。
従って、バックアップローラ54a〜54eによる押圧力を一律に設定する場合に比べて、第1ベルト部材32の摩耗粉が第1駆動ローラ部材31aへ付着することで生じていた第1駆動ローラ部材31aと第1ベルト部材32との間のベルトスリップ現象を抑制でき、用紙Pのカールや、ジャム等の発生を防止できるようになる。これにより、第1〜第6の実施例と同様にして、高信頼度の用紙冷却装置100及び、当該用紙冷却装置100を実装した高信頼度の画像形成装置を提供できるようになる。
上述した第1〜第7の実施例では、バックアップローラ54a〜54eを冷却機構40の側に押し付ける場合について説明したが、バックアップローラ54a〜54eを第2駆動ローラ部材51a及び第2従動ローラ部材51b〜51dのように取り付け位置を固定し、冷却機構40自体を当該固定されたバックアップローラ54a〜54eの側に押し付ける構成を採っても良い。
また、第1〜第7の実施例では、冷却機構40が上部ベルト機構30の側のみに配置される場合について説明したが、これに限られることはなく、下部ベルト機構50の側にも冷却機構40を併設してもよい。その際に、いずれか一方の冷却機構40を他方の冷却機構に押し付ける構成を採ることができる。更に、押圧部材については、バックアップローラ54a〜54eの場合について説明したが、ローラ部材に限られることはなく、押圧力を持って押し付け可能なものであれば、ウレタンゴム系のブレードやパッド等のようなものでもよい。
続いて、図12を参照して、第8の実施例に係るカラープリンタ200の構成例について説明する。図12に示すカラープリンタ200は、画像形成装置の一例を構成し、所定の用紙Pに画像を形成するものである。カラープリンタ200は、画像形成部80、定着装置17及びベルト挟持方式の用紙冷却機構18を有して構成される。画像形成部80は、縦型タンデム方式のカラープリンタエンジンを構成し、所定の用紙Pにトナー画像を形成する。
画像形成部80では、画像情報を入力し、当該画像情報に基づいて中間転写ベルト6上で色を重ね合わせて色カラー画像を形成する。画像情報は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から当該カラープリンタ200へ供給され、画像形成部80へ転送される。
画像形成部80は無終端状の中間転写ベルト6を有している。画像形成部80は、中間転写ベルト6に画像情報に基づくカラートナー画像を形成するために、例えば、イエロー(Y)色用の感光体ドラム1Yを有する画像形成ユニット10Yと、マゼンタ(M)色用の感光体ドラム1Mを有する画像形成ユニット10Mと、シアン(C)色用の感光体ドラム1Cを有する画像形成ユニット10Cと、黒(K)色用の感光体ドラム1Kを有する画像形成ユニット10Kとを備え、更に、特殊印刷モード用の2つの画像形成ユニット10E,10Fを備えて構成される。
画像形成部80では、感光体ドラム1E,1F,1Y,1M,1C,1K毎に作像処理するようになされ、各色の感光体ドラム1E,1F,1Y,1M,1C,1Kで作像処理された各色のトナー画像が中間転写ベルト6上で重ね合わされ、フルカラー画像を形成する。
この例で、画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Yの他に、帯電器2Y、光書込み部3Y、現像装置4Y及び像形成体用のクリーニング部8Yを有して、イエロー(Y)色のカラー画像を形成する。感光体ドラム1Yは、例えば、中間転写ベルト6の右側上部に近接して回転自在に設けられ、Y色のカラートナー画像を形成する。この例で、感光体ドラム1Yは反時計方向に回転される。感光体ドラム1Yの斜め右側下方には、帯電器2Yが設けられ、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電する。
感光体ドラム1Yのほぼ真横には、これに対峙して、光書込み部3Yが設けられ、事前に帯電された感光体ドラム1Yに対して、Y色用の画像データに基づく所定の強度を有したレーザー光を走査露光する。光書込み部3Yには、例えば、ポリゴンミラー方式のレーザー露光走査装置が使用される。感光体ドラム1YにはY色用の静電潜像が形成される。
光書込み部3Yの上方には現像装置4Yが設けられ、感光体ドラム1Yに形成されたY色用の静電潜像を現像するように動作する。以下で静電潜像をトナー剤により現像した画像をトナー画像という。この感光体ドラム1Yに形成されたY色のトナー画像は、一次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に一次転写される。感光体ドラム1Yの左側下方には、クリーニング部8Yが設けられ、前回の書込みで感光体ドラム1Yに残留したトナーを除去(クリーニング)するように動作する。
この例で、画像形成ユニット10Yの下方には画像形成ユニット10Mが設けられる。画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム1M、帯電器2M、光書込み部3M、現像装置4M及び像形成体用のクリーニング部8Mを有して、マゼンタ(M)色のカラー画像を形成する。画像形成ユニット10Mの下方には画像形成ユニット10Cが設けられる。画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム1C、帯電器2C、光書込み部3C、現像装置4C及び像形成体用のクリーニング部8Cを有して、シアン(C)色のカラー画像を形成する。
画像形成ユニット10Cの下方には画像形成ユニット10Kが設けられる。画像形成ユニット10Kは、感光体ドラム1K、帯電器2K、光書込み部3K、現像装置4K及び像形成体用のクリーニング部8Kを有して、ブラック(BK)色のカラー画像を形成する。感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kには有機感光体(Organic Photo Conductor;OPC)ドラムが使用される。なお、画像形成ユニット10M〜10Kの各部材の機能については、画像形成ユニット10Yの同じ符号のものについて、YをM,C,Kに読み替えることで適用できるので、その説明を省略する。
この例では特殊印刷モードを実行するために、画像形成ユニット10Eは感光体ドラム1E、帯電器2E、光書込み部3E、現像装置4E及び像形成体用のクリーニング部8Eを有して、第1の特殊色のカラー画像を形成する。画像形成ユニット10Fは、感光体ドラム1F、帯電器2F、光書込み部3F、現像装置4F及び像形成体用のクリーニング部8Fを有して、第2の特殊色のカラー画像を形成する。特殊色のカラー画像を形成するトナーには、例えば、カラー画像の光沢を良くするためのワックス成分が含まれる。
中間転写ベルト6は、一次転写ローラ7E,7F,7Y,7M,7C及び7Kによって転写されたトナー画像を重ね合せてカラーのトナー画像(カラー画像)を形成する。中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト6が時計方向に回転することで、二次転写部71に向けて搬送される。
中間転写ベルト6の下方には二次転写部71が配置されている。二次転写部71は、中間転写ベルト6に圧着されると共に、中間転写ベルト6上のトナー画像に基づく色画像を用紙Pに二次転写する。この例で、中間転写ベルト6の左側上方にはクリーニング部8Aが設けられ、二次転写後の中間転写ベルト6上に残存するトナーをクリーニングするように動作する。
カラープリンタ200には画像形成部80の他に、定着装置17、用紙冷却機構18及び用紙供給部(図示せず)を備えている。上述の画像形成ユニット10Kの下方には、用紙供給部が設けられ、複数の給紙トレイを有して構成される。各々の給紙トレイ内には所定のサイズの用紙Pが収容される。用紙供給部は、所定の用紙Pを二次転写部71へ送り出すようになされる。二次転写部71は、中間転写ベルト6に担持されたカラー画像を所定の用紙Pに転写する。
二次転写部71の下流側には定着装置17が設けられ、画像形成部80によってカラー画像が転写された用紙Pを定着処理する。定着装置17は図示しない加圧ローラや加熱ローラを有しており、用紙Pに転写されたトナー画像に、加圧ローラ及び加熱ローラを介して熱を加えて熱定着する。
定着装置17の下流側には、用紙冷却機構18が設けられる。用紙冷却機構18は、定着装置17によって定着された用紙Pを冷却する。用紙冷却機構18には、第1〜第7の実施例で説明したいずれかの用紙冷却装置100が備えられる。
冷却後の用紙Pは、機外の排紙トレイ(図示せず)上に排紙される。また、両面モードが設定されている場合は、冷却後の用紙Pの他方の面に、図示しない用紙反転機構によって、用紙Pの表裏が反転された後に、当該用紙Pにカラー画像が形成される。再度、用紙冷却機構18によって、両面画像形成後の用紙Pが冷却される。
このように、第8の実施例に係るカラープリンタ200によれば、画像形成部80が所定の用紙Pに画像を形成すると、本発明に係るいずれかの用紙冷却装置100から構成される用紙冷却機構18が、画像形成部80によって画像が形成された用紙Pを冷却するようになる。
この構成によって、用紙冷却機構18及び第2ベルト部材52を介して第1ベルト部材32を冷却機構40に当接する際のバックアップローラ54a〜54eの押圧力を、第1ベルト部材32と第2ベルト部材52との間に搬送される用紙Pの画像形成条件に対応して調整できるようになる。従って、バックアップローラ54a〜54eによる押圧力を一律に設定する場合に比べて、第1ベルト部材32の摩耗粉が第1駆動ローラ部材31a等へ付着することで生じていた第1駆動ローラ部材31a等と第1ベルト部材32との間のベルトスリップ現象を抑制でき、用紙Pのカールや、ジャム等の発生を防止できるようになる。これにより、高信頼度のベルト挟持方式の用紙冷却機構18を実装したカラー用や、白黒用のプリンタや、複写機、これら複合機を提供できるようになった。
この例で、第1〜第7の実施例で説明したいずれかの用紙冷却装置100を備える画像形成部80に関して、特殊印刷モード用を含めて6つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K,10E,10Fを備えたカラープリンタエンジンについて例を挙げたが、これに限られることはない。通常の4つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えたカラープリンタエンジンについても当該用紙冷却装置100を適用できることは言うまでもない。