JP2013108280A - 持ち上げ用ジャッキを設定するための空間を備える基礎構造、その工法法、及び、ジャッキ収納部材 - Google Patents

持ち上げ用ジャッキを設定するための空間を備える基礎構造、その工法法、及び、ジャッキ収納部材 Download PDF

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Abstract

【課題】傾斜した家屋を水平に修復するためのジャッキを設定するための空間を備えた基礎構造
【解決手段】この基礎構造は、家屋の鉄筋コンクリート製の基礎Aと、該基礎の下方位置に設けられた耐圧板12、32と、耐圧板上に設けられた側壁14、34であって、該側壁に囲まれる空間内で耐圧板上にジャッキ10を設定することが出来るようにした側壁14、34と、側壁14、34と基礎Aの底部との間に設定された蓋16、36A、36Bとを有する、持ち上げ用ジャッキを設定するための空間を備える基礎構造である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、比較的軟弱な地盤の上に建てられる家屋が、時間の経過と共に、又は、地震などにより傾斜した場合に、その傾斜した家屋を元の水平な状態に修復するために用いられる技術に関する。
平地が限られている我が国では、埋め立て地などの軟弱地盤にも家屋を建てることも必要とされるところがあり、その基礎工事にはかなりの時間と費用がかかる。そのような基礎工事をしても、時間の経過と共に家屋が傾いてしまう事例が少なくなく瑕疵担保責任問題が生じることが少なくない。また、地震などによる流動化現象などによって家屋が傾斜してしまう事例も少なくない。このような場合、家屋自体は依然として使用可能な場合が多く、従って、傾斜した家屋を元の状態に戻すことが必要となる。
傾斜した家屋を元の水平な状態に修復する技術として、家屋の基礎の下に作業穴を掘り、その中に砕石を敷き詰め、その上にジャッキを設定して、同ジャッキを作動させて家屋の基礎を持ち上げると共に、砕石を敷き詰めた地盤を固めて、当該家屋を安定的に修復する技術が開発されている(特許文献1参照)。この修復技術では、傾斜した家屋の基礎の下に作業穴を掘る作業にかなりの労力と時間がかかり、また、作業穴に砕石を敷き詰めてジャッキを作動させる作業は、砕石の敷き詰めを複数回繰り返しながら行う必要があるために時間と労力がかかり、従って、費用も高額なものとなる。
特開2000−144783号
本発明は、上記のような従来技術に鑑み、より効率的に短期間低コストで修復作業を行うことを可能とする新たな技術を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
家屋の基礎構造を造る方法において、
家屋の鉄筋コンクリート製の基礎を造る土地における1以上の箇所にジャッキ設定用穴を掘削する工程と、
該ジャッキ設定用穴の底部に耐圧板を設置する工程と、
前記耐圧板の上にジャッキを設定するための空間を作る側壁を設ける工程と、
前記側壁の上に蓋を載せる工程と、
前記耐圧板、側壁、蓋が設定された前記地盤の上に鉄筋コンクリート製の基礎を造る工程と、
を有し、前記耐圧板上にジャッキ設定して前記基礎の持ち上げをできるようにした基礎構造を造る方法を提供する。
これまでの一般家屋の基礎工事では、上述のようなジャッキ設定用の空間を設けることは行われておらず、新規な工法を提供するものである。この工法によって造られた基礎構造を有する家屋では、地震などにより傾いた場合でも、ジャッキ設定箇所を掘り返しジャッキを設定して修復作業を行うことができるので、作業を短期間低コストで行うことが可能となる。
上記方法においては、鉄筋コンクリートにより一体的に造られた前記側壁と前記耐圧板を、前記ジャッキ設定用穴の中に設定するようにすることができる。
このようにすることにより、側壁と耐圧板との設定作業がより簡素化できる。
本発明はまた、上記方法において使用するジャッキ収納部材を提供する。このジャッキ収納部材は、家屋の鉄筋コンクリート製の基礎の下方位置に設定されて、基礎を持ち上げるために使用されるジャッキを載置する耐圧板と、
該耐圧板の上に設けられる側壁であって、該側壁に囲まれる空間内で前記耐圧板上にジャッキを設定することが出来るようにした側壁と、
該側壁の上部に形成される上部開口を閉じる蓋と、
を有するジャッキ収納部材を提供する。
前記耐圧板、側壁、及び蓋は鉄筋コンクリート製として、前記耐圧板及び側壁を一体成形することが出来る。
また、前記側壁が開口を有し、該開口を通して、該側壁の内部に設定したジャッキを操作することが出来るようにすることができる。
本発明は更に、発明としての技術的特徴を前記方法と同じくする家屋の基礎構造を提供する。すなわち、この基礎構造は、
家屋の鉄筋コンクリート製の基礎と、
該基礎の下方位置に設けられた耐圧板と、
前記耐圧板上に設けられた側壁であって、該側壁に囲まれる空間内で前記耐圧板上にジャッキを設定することが出来るようにした側壁と、
該側壁上に設置され、前記側壁と前記基礎の底部との間に設定された蓋と
を有する、持ち上げ用ジャッキを設定するための空間を備える基礎構造を提供する。
以下、添付図面に基づき、本発明に係る持ち上げ用ジャッキを備える基礎構造、及び、その工事方法、並びにその工事方法に用いられ基礎構造の1つの構成エレメントであるジャッキ収納部材につき説明する。
家屋のコンクリート製の基礎及びその上に設定される土台の概略平面図で、本発明におけるジャッキ設定箇所を示す。 本発明の特徴をなす基礎構造を示す断面図である。 本発明におけるジャッキ収納部材を示す斜視図である。
一般家屋の建築における通常の基礎は、家屋を建てる土地に地面より低い基礎用窪地を造り(根切り)、その底に多数の砕石を敷き詰め、目潰し砂利で砕石の隙間を埋めた後コンクリートを流して地盤を固め、その上に基礎用鉄筋を配置し、基礎用コンクリートを打設して基礎としており、この基礎上に家屋の土台(柱の下端部分を受ける横木)が置かれる。本発明では、以下に述べるように、上記のような基礎の下に予めジャッキ、もしくはジャッキを設定するための空間を設定するようにしたことを特徴とするものであり、図1は、そのような基礎に対するジャッキ又はジャッキ設定空間の設定箇所の例を示す。すなわち、図においてAは基礎、Bは土台であり、ジャッキ設定箇所を○で示しており、この設定箇所は、Cを付して示す基礎外周に沿う土台Bに沿って間隔をあけられた位置と、Dを付して示す基礎の内側にある土台Bに沿って間隔をあけられた位置とがある。
図2は、ジャッキ設定箇所C、Dにおける基礎部分の構造を示す。これら基礎部分は、通常の基礎と同様に、地面GLに対して造られた基礎(図示の例ではべた基礎)Aと、該基礎Aの下に敷かれた砕石層E及びその上に打設されたコンクリート層Fとを有する。本発明に係る基礎構造では、この基礎の下にジャッキ10を設定するようにしたことを特徴とする。
ジャッキ10の設定態様は設定箇所Cと設定箇所Dとで異なっており、先ず、設定箇所Cにつき説明すれば次の通りである。ジャッキ10は、基礎Aの下方位置に設けられた鉄筋コンクリート製の耐圧板12の上に載置されている。耐圧板12の上には、該耐圧板と一体的に設けられた平面視でコ字状の鉄筋コンクリート製の側壁14及び該側壁14の上に載置された蓋16によって囲まれたジャッキ設定用空間が形成されている。この蓋16は以下に述べる基礎造作工事において、基礎A用のコンクリートを打設したときに、このコンクリートと接するようになっており、従って、多くの場合、完成した基礎Aの底部に固着された状態となる。また、側壁14には家屋の外側に面する側に作業用開口14−1が設けられており、ジャッキを使用する場合には、この作業用開口14−1を通して操作が行われるようになっている。また、この作業用開口14−1には、それを閉じる蓋18を設けることができ、この蓋18も鉄筋コンクリート製とされる。
設定箇所Cにおける基礎工法は以下の通りである。
(1)ジャッキ収納部材(耐圧板12、側壁14及び蓋16、18)の用意
上述の耐圧板12、側壁14及び蓋16、18は、ジャッキ収納部材を構成するものであり、本実施形態においては、工事現場で作るのではなく、工場生産したものを用意する。すなわち、耐圧板12及び側壁14は、図3に示すように、鉄筋コンクリート製のものとし、工場で一体成形する。蓋16、18も鉄筋コンクリート製で工場生産されるが、蓋16の底面にはコ字状の突起16−1が設けられ、側壁14の上部開口14−2に嵌合するようにして、側壁14に対する位置合わせを容易にし、且つ、側壁14に対して変位しにくいようにしている。蓋18には、それを作業用開口14−1から外しやすくするために、図示しない取っ手を設けることが好ましい。耐圧板12は、基礎Aを基準として外側から内側への奥行きが略1200mm、幅が略800mm、厚さが略200mmとされる。また、側壁12は厚さが略200mm、高さが略300mmとされる。蓋16、18は略200mmの厚さとされる。
(2)ジャッキ設定用穴の掘削
基礎Aが造られる地面の上記設定箇所Cに、耐圧板12を設置するための略矩形状のジャッキ設定用穴を掘削する。ジャッキ設定用穴の底面には、砕石及び目潰し砂利の層Gとその上に打設された通常捨てコンと呼ばれるコンクリートの層Hが造られる。層Gは略100〜150mm、層Hは略50mmとされる。
(3)耐圧板並びにジャッキの設置
上記ジャッキ設定用穴の底部に形成したコンクリート層Hの上に耐圧板12及び側壁14を設置し、この耐圧板12の上にジャッキ10を設置する。ジャッキ10は、本実施形態においては油圧式のもので、油圧シリンダを備えたベース部10−1と、該油圧シリンダに上下動可能にされたラム部10−2とを備えている。蓋16、18は、ジャッキを設置した後に設定される。
(4)ジャッキ設定用穴への土の埋設
上記のようにジャッキ10を設置し、蓋16、18が取り付けられた状態で、ジャッキ設定用穴を土で埋める。蓋18は必ずしも設ける必要は無く、この場合は、土が作業用開口14−1を通してジャッキの周りに入り込むことになるが、そのような土はジャッキ使用時に除去すれば良く、問題とはならない。
(5)根切り
ジャッキ設定用穴を埋めて略元の状態にされた地面に対して、基礎Aを造るための基礎用穴の掘削(根切り)を行う。この基礎用穴は、図2に示されるような基礎Aの側面A1と底面A2が形成されるような形状に掘削される。そのようにして造られた基礎用穴には上述の砕石層E及びコンクリートFが造られるが、コンクリート層Fは、蓋16には届くが側壁14には届かないようにされる。コンクリート層Fが側壁14に固着されるのを防ぐためである。
(6)鉄筋コンクリート製基礎の造成
砕石層E及びコンクリート層Fが造られた基礎用穴には、基礎用鉄筋及びコンクリート打設用枠が組み立てられ、基礎用コンクリートが打設され、基礎Aが造成される。基礎用コンクリートは、蓋16上にも打設され、蓋16は基礎Aと実質的に一体となる。尚、基礎Aは通常、厚さ略200mmとされ、基礎周縁における土台Bを載せる部分の高さは、略500mm以上とされる。
以上が、基礎周縁に沿ったジャッキ設定箇所Cでの基礎部分の構造及びその工事法であるが、次に、基礎Aの内側に配置される土台Bに沿ったジャッキ設定位置Dにおける基礎構造及びその工事法につき説明する。
ジャッキ設定位置Dにおける基礎部分は、基本的にはジャッキ設定位置Cの基礎部分と構造的には実質的同じものである。異なる点は、耐圧板32上に設けられてジャッキ10を囲う側壁34の形状及び蓋36A、36Bである。側壁34はジャッキ10の周囲全体を囲う平面視で矩形状とされ、この側壁34の上部開口は2枚の蓋36A、36Bによって閉じられている。図示の例では、側壁34内に設定されるジャッキ10が1つの場合を示しているが、2つ以上のジャッキを設けるようにすることも出来る。2つの蓋36A、36Bを設けているのは、傾いた家屋を水平に修復する際の修復工事を考慮しているためである。すなわち、この基礎の外周から離れた内側にある設置箇所Dでは、そこに設置したジャッキ10にアクセスし操作するために、基礎Aに穴Iをあけ、その穴Iを通して蓋を外す必要があり、一方の蓋36Aだけを外して内部のジャッキ10にアクセスできるようにするためである。基礎Aの穴Iは、基礎Aを造るときに形成して、この穴Iを閉じる蓋を設けるようにすることも出来る。耐圧板32と側壁34は、設置箇所Cのものと同様に、鉄筋コンクリート製で一体成形され、ボックス型のものとして工場生産される。蓋36A、36Bも鉄筋コンクリート製で工場生産され、上述の蓋16に設けた突起16−1と同様の突起36A−1、36B−1が設けられる。耐圧板12のサイズは、略1200mm×800mm×200mmとされるが、2つ以上のジャッキを設定する場合には、必要に応じてサイズを大きくする。また、側壁34は厚さが略200mm、高さが略300mmとされ、蓋36A,36Bは略200mmの厚さとされる。
ジャッキ設定位置Dにおける基礎部分の工事法は、ボックス型をなす耐圧板及び側壁並びに2枚の蓋を用意することを除いては、上述したジャッキ設定位置Cにおける基礎構造の工事法と同じである。すなわち、基礎Aを造成する前に、ジャッキ設定用穴を掘削し、その底部に砕石及び砂利の層G及びコンクリート層Hを造り、耐圧板32、側壁34を設置し、ジャッキ10を耐圧板32上に設置し、蓋36A、36Bを設置した後とで、通常の基礎工事を行う。
以上本発明の実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ジャッキをジャッキ設定空間内に家屋建築時に設置するようにしているが、ジャッキ設定用空間だけを設けておき、家屋が傾きその修復をするときに該ジャッキ設定用空間にジャッキを設定して作業を行うようにすることも当然可能である。また、ジャッキ設定箇所Cに設けたジャッキ収納部材(耐圧板12、側壁14、蓋16、18)は、ジャッキ設定箇所Dに設けたジャッキ収納部材(耐圧板32、側壁34、蓋36A、38A)に置き換えることができる。すなわち、この場合のジャッキ収納部材は、その蓋38Bの部分を基礎Aの外周側面A1よりも外側位置となるように設定し、傾斜した家屋の修復工事においては、基礎Aの外側の土を掘って、蓋38Bを外して作業できるようにする。
コンクリート製基礎A;土台B;ジャッキ設定箇所C、D;地面GL;砕石層E;コンクリート層F;ジャッキ10;ベース部10−1;ラム部10−2;耐圧板12;側壁14;上部開口14−2;蓋16;突起16−1;作業用開口14−1;蓋18;耐圧板32;側壁34;蓋36A、36B;突起36A−1、36B−1

Claims (5)

  1. 家屋の基礎構造を造る方法において、
    家屋の鉄筋コンクリート製の基礎を造る土地における1以上の箇所にジャッキ設定用穴を掘削する工程と、
    該ジャッキ設定用穴の底部に耐圧板を設置する工程と、
    前記耐圧板の上にジャッキを設定するための空間を作る側壁を設ける工程と、
    前記側壁の上に蓋を載せる工程と、
    前記耐圧板、側壁、蓋が設定された前記土地の上に鉄筋コンクリート製の基礎を造る工程と、
    を有し、前記耐圧板上にジャッキを設定して前記基礎の持ち上げをできるようにした基礎構造を造る方法。
  2. 鉄筋コンクリートにより一体的に造られた前記側壁と前記耐圧板を、前記ジャッキ設定用穴の中に設定するようにした請求項1に記載の方法。
  3. 家屋の鉄筋コンクリート製の基礎の下方位置に設定されて、基礎を持ち上げるために使用されるジャッキを載置する耐圧板と、
    ジャッキの周囲を囲むように設定される側壁と、
    該側壁の上部に形成される上部開口を閉じる蓋と、
    を有するジャッキ収納部材。
  4. 前記耐圧板、側壁、及び蓋が鉄筋コンクリート製とされ、前記耐圧板及び側壁が一体成形された請求項3に記載のジャッキ収納部材。
  5. 前記側壁が開口を有し、該開口を通して、該側壁の内部に設定したジャッキを操作することが出来るようにした請求項3又は4に記載のジャッキ収納部材。
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