JP2013104332A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動停止時のピストン位置の適切な位置に調整して速やかな再始動を実現することができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関1の自動停止を行うために燃料噴射弁4からの燃料噴射が停止された後、スロットルバルブ13が全閉時よりも開き側の値である目標開度に調整される。この目標開度を開き側の値に設定するほど、上記自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒において、ピストン6が吸気上死点寄りの位置で停止するようになる。こうしたことを考慮して、上記目標開度は、上記自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒において、ピストン6が同吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲に停止する値に設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
自動車等の車両に搭載される内燃機関としては、燃費改善を意図してアイドル運転中に自動的に停止及び再始動を行うものが知られている。
こうした内燃機関での自動的な停止は、同機関のアイドル運転中であってスロットルバルブが全閉状態となっているとき、特許文献1に示されるように同機関における燃料噴射弁からの燃料噴射を停止することによって実現される。同燃料噴射弁からの燃料噴射を停止すると、内燃機関の自立運転が行われなくなることから機関回転速度が徐々に低下してゆき、最終的には機関回転が停止するようになる。このように機関回転を停止させることによって内燃機関の燃費改善が図られる。
また、内燃機関の自動停止によって機関回転が停止した状態にあって内燃機関の再始動条件が成立すると、内燃機関の再始動が行われるようになる。具体的には、内燃機関のクランキングを行いつつ燃料噴射弁からの燃料噴射を開始することにより、同燃料噴射弁から噴射された燃料が筒内(燃焼室)にて空気と混合された状態で着火される。そして、このように着火の行われた燃料が燃焼することで、内燃機関の自立運転が開始されて同機関の再始動が完了する。
特開2002−70699公報
ところで、自動停止によって機関回転が停止した状態の内燃機関の再始動は、再始動条件の成立後に速やかに完了させることが好ましい。こうしたことを実現するためには、内燃機関における各気筒のうち、吸気行程でピストンが停止している気筒において、再始動開始後における最初の圧縮行程で燃料に対し的確に着火を行うとともに、その燃料の燃焼を良好なものとすることが重要である。
ただし、内燃機関の自動停止により機関回転が停止したときのピストンの位置は、そのときの条件によって変動するものであって、必ずしも再始動にとって好ましい位置になるとは限らない。すなわち、再始動の開始時に吸気行程で停止しているピストンの位置によっては、再始動開始後における上記ピストンに対応する気筒での最初の圧縮行程での燃料の燃焼を良好に行うことができないおそれがある。
例えば、再始動開始時に上記ピストンが図9に位置Pで示すように吸気下死点(BDC)近くの位置で停止していたとすると、内燃機関の燃料噴射弁が同機関の吸気ポートに向けて燃料を噴射するものである場合には、上記ピストンの吸気下死点に向けた移動だけでは燃料噴射弁から噴射された燃料を筒内に吸入することができなくなる。このため、再始動開始後における上記ピストンに対応する筒内での最初の圧縮行程で、同筒内の燃料に対し的確に着火を行うことができなくなる。その結果、同気筒での失火が生じ、その気筒での最初の圧縮行程で燃料の燃焼を良好に行うことができなくなる。
そして、上記ピストンに対応する気筒において再始動開始後における最初の圧縮行程で失化が生じると、その次に圧縮行程となる気筒、すなわち再始動開始後に二回目に圧縮行程となる気筒において燃料に対する着火が行われて同燃料の燃焼が行われる。この燃料の燃焼により内燃機関の自立運転が開始されて同機関の再始動が完了するものの、この場合には再始動開始から再始動完了までに時間がかかり、内燃機関の再始動を速やかに完了させることができない。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、自動停止時のピストン位置の適切な位置に調整して速やかな再始動を実現することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
請求項1記載の発明によれば、内燃機関のアイドル運転中、自動停止条件の成立をもって同機関の吸気ポートに向けて燃料を噴射する燃料噴射弁からの燃料噴射が停止された後、内燃機関のスロットルバルブの開度が同バルブの全閉時よりも開き側の値である目標開度に調整される。上記燃料噴射の停止に伴う内燃機関の停止過程では、機関回転速度が徐々に低下してゆき、機関回転の停止直前に圧縮行程となった筒内での圧縮空気による反発力で内燃機関が逆回転する。そして、内燃機関の逆回転に伴いピストンが吸気下死点から吸気上死点に向けて移動し、その後に吸気行程の途中で停止することとなる。このときにピストンが停止する位置は、上記スロットルバルブの目標開度を開き側の値に設定するほど、吸気上死点寄りの位置になる。これは、スロットルバルブの目標開度を開き側の値にするほど、内燃機関の停止過程における同機関の逆回転直前に上記筒内に存在する圧縮空気の量が多くなり、その圧縮空気による反発力が大きくなって吸気下死点から吸気上死点に向けてピストンが勢いよく移動し、その後に同ピストンが停止するためである。
ここで、スロットルバルブの上記目標開度は、機関回転の停止時に内燃機関のピストンを吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内に停止させる値に設定される。このため、上記自動停止によって機関回転が停止した状態からの内燃機関の再始動において、同機関のクランキングが行われると、吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内で停止していたピストンが吸気下死点に向けて移動する。更に、内燃機関の再始動において、燃料噴射弁から吸気ポートに向けて燃料が噴射されると、その噴射された燃料が上記ピストンの移動によって効果的に筒内に吸入される。従って、内燃機関の再始動開始後における上記ピストンに対応する筒内での最初の圧縮行程で、同筒内の燃料に対し的確に着火を行うことができ、同気筒での最初の圧縮行程での燃料の燃焼を良好なものとすることができる。これにより、内燃機関の速やかな再始動を実現することができる。
なお、上記設定手段によるスロットルバルブの目標開度の設定は、請求項2記載の発明のように、自動停止による機関回転の停止時にピストンを吸気行程前半、すなわち吸気上死点前90°CAから吸気上死点までの範囲内で停止させる値となるように行うことが考えられる。また、上記目標開度の設定は、自動停止による機関回転の停止時にピストンを例えば吸気上死点前80°CAから吸気上死点までの範囲内に停止させる値となるように行うことも可能である。更に、上記目標開度の設定は、上記ピストンを吸気上死点前100°CAから吸気上死点までの範囲、もしくは吸気上死点前110°CAから吸気上死点までの範囲内に停止させる値となるように行うことも可能である。
請求項3記載の発明によれば、上記スロットルバルブの目標開度への調整が、自動停止条件の成立に基づく燃料噴射弁からの燃料噴射の停止後、予め定められた遅延時間が経過してから開始される。ここで、仮に燃料噴射の停止直後にスロットルバルブの目標開度への調整が行われたとすると、最後に噴射された燃料が吸気ポート周りに残っているうちに多くの空気が筒内に吸入され、その空気とともに筒内に吸入された燃料が燃焼して機関回転速度の急上昇が生じるおそれがある。この点、請求項2記載の発明では、上記最後に噴射された燃料が仮に吸気ポート周りに存在していたとしても、その燃料が燃焼し得ない程度に下流に流れてから、スロットルバルブの目標開度への調整を開始することが可能になる。このようにスロットルバルブの目標開度への調整を開始することで、上述した機関回転速度の急上昇といった問題が生じることを回避できる。
スロットルバルブの前記目標開度は、請求項4記載の発明のように、内燃機関の冷却水の温度に基づいて可変設定することが好ましい。ここで、内燃機関の冷却水の温度が低いときには、同機関の潤滑油の温度も低くなって同潤滑油の粘度が高くなり、それによって機関回転の抵抗が大きくなる。また、内燃機関の冷却水の温度が高いときには、機関温度も高くなることから、自動停止によって機関回転が停止した状態にあるときに筒内に残留する空気が内燃機関の熱を受けて温度上昇し易くなる。このため、停止状態にある内燃機関のピストンの位置が仮に吸気下死点寄りの位置であるとすると、そのピストンに対応する筒内の空気の量が多くなることから、同空気が内燃機関からの受熱により保有する熱量が多くなる。この場合、内燃機関の再始動時に上記気筒内の空気が圧縮行程で圧縮されるとき、筒内の燃料が自着火して燃料の良好な燃焼が得られなくなるおそれがある。請求項4記載の発明によれば、これらのことを考慮して内燃機関の潤滑油の粘度が過度に高くなるほど同機関の冷却水の温度が低いときに、スロットルバルブの目標開度をより一層開き側の値とすることが可能になる。また、筒内に残留する空気の内燃機関からの受熱が過度に多くなるほど同機関の冷却水の温度が高いときにも、スロットルバルブの目標開度をより一層開き側の値とすることが可能になる。このように目標開度を内燃機関の冷却水の温度に基づいて可変設定することにより、次のことを実現できるようになる。すなわち、内燃機関の潤滑油の粘度が過度に高くなるほど同機関の冷却水の温度が低いとき、上記潤滑油の粘度に起因して機関回転の抵抗が大きくなるとしても、ピストンを吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内に移動させ、その状態で停止させることができる。また、筒内に残留する空気の内燃機関からの受熱が過度に多くなるほど同機関の冷却水の温度が高いとき、ピストンを吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内における吸気上死点寄りの位置まで移動させ、その状態で停止させることができる。この場合、上記ピストンに対応する筒内において、残留する空気の量が少なくなることから、同空気が内燃機関からの受熱により保有する熱量が多くなることを抑制できる。従って、その空気の熱量が多くなることに起因して内燃機関の再始動時に上記筒内で燃料が自着火し、それによって同燃料の良好な燃焼が得られなくなることを回避できる。
請求項5記載の発明によれば、自動停止により機関回転が停止したときのピストンの目標停止位置が定められており、スロットルバルブの目標開度が上記ピストンの目標停止位置に対応した値に設定される。そして、自動停止により機関回転が停止したときのピストンの実停止位置が上記目標停止位置からずれているとき、すなわち上記実停止位置と上記目標停止位置との差分が生じたときには、自動停止が次回行われるときのスロットルバルブの目標開度に上記差分に基づく補正が加えられる。このように目標開度に補正を加えることで、自動停止により機関回転が停止したときのピストンの実停止位置を上記目標停止位置に合わせ込み、それら実停止位置と目標停止位置とのずれ(差分)をなくすことができる。
本発明の制御装置が適用される内燃機関全体を示す略図。 クランク角の変化に対する内燃機関の各気筒での吸気行程、圧縮行程、膨張行程、及び排気行程の変化態様を示す説明図。 内燃機関の自動停止及び再始動が行われるときの機関回転速度の変化態様を示すグラフ。 (a)〜(d)は、自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒でのピストンの停止位置の範囲を示す説明図。 内燃機関における自動停止の詳細な実行手順を示すフローチャート。 内燃機関の冷却水の変化に対するスロットルバルブの目標開度の変化態様を示すグラフ。 (a)及び(b)は、自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒でのピストンの位置を示す略図。 内燃機関の冷却水の温度、及び自動停止により吸気行程で停止したピストンの位置と、初回圧縮行程着火に際しての自着火の有無との関係を示す説明図。 自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒でのピストンの停止位置の一例を示す説明図。
以下、本発明を自動車用の四気筒の内燃機関に適用した一実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1に示される内燃機関1においては、一番〜四番の各気筒の燃焼室2に繋がる吸気通路3にスロットルバルブ13が開閉可能に設けられており、同吸気通路3を通じて燃焼室2に空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁4から同機関1の吸気ポート3aに向けて噴射された燃料が同燃焼室2に供給される。この空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ5による点火が行われると、同混合気が燃焼してピストン6が往復移動し、内燃機関1の出力軸であるクランクシャフト7が回転する。一方、燃焼室2で燃焼した後の混合気は、排気として排気通路8に送り出される。なお、上記クランクシャフト7には、内燃機関1を始動させる際に同クランクシャフト7を強制的に回転(クランキング)させるスタータ10が接続されている。
内燃機関1における燃焼室2と吸気通路3との間は、吸気バルブ11の開閉動作を通じて連通・遮断される。この吸気バルブ11は、クランクシャフト7からの回転伝達を受ける吸気カムシャフト12の回転に伴って開閉動作する。また、内燃機関1における燃焼室2と排気通路8との間は、排気バルブ14の開閉動作を通じて連通・遮断される。この排気バルブ14は、クランクシャフト7からの回転伝達を受ける排気カムシャフト15の回転に伴って開閉動作する。
こうした内燃機関1を搭載する自動車には、同機関1の運転に関する各種制御を実行する電子制御装置21が設けられている。この電子制御装置21は、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えている。
電子制御装置21の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・内燃機関1の冷却水の温度を検出する水温センサ25。
・自動車の走行速度(車速)を検出する車速センサ26。
・自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル27の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ28。
・運転者によって踏み込み操作されるブレーキペダル29のオン操作及びオフ操作を検出するブレーキスイッチ29a。
・吸気通路3に設けられたスロットルバルブ13の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ30。
・吸気通路3を通過する空気の温度を検出する吸気温センサ31。
・吸気通路3を通過する空気の量(吸入空気量)を検出するエアフローメータ32。
・吸気カムシャフト12の回転に基づき同シャフト12の回転位置に対応した信号を出力するカムポジションセンサ33。
・クランクシャフト7の回転に対応する信号を出力するクランクポジションセンサ34。
電子制御装置21の出力ポートには、燃料噴射弁4の駆動回路、点火プラグ5の駆動回路、スタータ10の駆動回路、及びスロットルバルブ13の駆動回路などの各種機器の駆動回路等が接続されている。
そして、電子制御装置21は、上記各種センサから入力した検出信号に基づき、機関回転速度や機関負荷(内燃機関1の1サイクル当たりに燃焼室2に吸入される空気の量)といった機関運転状態を把握する。なお、機関回転速度はクランクポジションセンサ34からの検出信号に基づき求められる。また、機関負荷は、アクセルポジションセンサ28、及びスロットルポジションセンサ30、及び、エアフローメータ32等の検出信号に基づき求められる内燃機関1の吸入空気量と上記機関回転速度とから算出される。電子制御装置21は、機関負荷や機関回転速度といった機関運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうして内燃機関1における燃料噴射制御、点火時期制御、及び吸入空気量制御、並びにスタータ10の駆動制御等が電子制御装置21を通じて実施される。
次に、内燃機関1の燃費を改善するため、アイドル運転中の内燃機関1を自動的に停止したり再始動したりする制御について説明する。
内燃機関1は、アイドル運転中に所定の自動停止条件が成立したときに自動的に停止される。上記自動停止条件としては、アクセル操作量が「0」であって内燃機関1の出力要求がないこと、車速が「0」であること、及びブレーキペダル29が踏み込まれている(オン操作されている)こと、等々の条件があげられる。そして、これらの条件すべての成立をもって自動停止条件が成立した旨判断される。このように自動停止条件が成立した旨判断されると、同機関1のアイドル運転中であってスロットルバルブ13が全閉となっている状況のもと、燃料噴射弁4からの燃料噴射が停止される。同燃料噴射弁4からの燃料噴射の停止によって内燃機関1の自立運転が行われなくなることから、機関回転速度が徐々に低下してゆく。そして、最終的に機関回転が停止する直前には、圧縮行程となった気筒での圧縮空気による反発力で内燃機関1が逆回転する。この内燃機関1の逆回転に伴いピストン6が吸気下死点(BDC)から吸気上死点(TDC)に向けて移動し、その後に吸気行程の途中で停止する。上述したように機関回転を停止させることにより、内燃機関1の燃費改善が図られる。
また、内燃機関1の自動停止によって機関回転が停止した状態にあって、内燃機関1の再始動条件が成立すると、内燃機関1の再始動が行われるようになる。上記再始動条件としては、アクセル操作量が「0」よりも大きくなること、及びブレーキペダル29の踏み込みが解除されたこと(オフ操作されたこと)、等々の条件があげられる。そして、これらの条件のうちの少なくとも一つの成立をもって再始動条件が成立した旨判断される。このように再始動条件が成立した旨判断されると、スタータ10の駆動を通じて内燃機関1のクランキングが行われるとともに、そのクランキング中に燃料噴射弁4からの燃料噴射が開始される。これにより、燃料噴射弁4から吸気ポート3aに向けて噴射された燃料が、吸気行程でのピストン6の吸気下死点に向けた移動を通じて筒内(燃焼室2)に吸入される。更に、上記燃料と共に吸気ポート3aから燃焼室2内に空気も吸入される。そして、燃焼室2内で燃料が空気と混合された状態で点火プラグ5により着火され、その着火を通じて燃料が燃焼することにより、内燃機関1の自立運転が開始されて同機関1の再始動が完了する。
次に、本実施形態における内燃機関1の制御装置の作用について説明する。
自動停止によって機関回転が停止した状態の内燃機関1の再始動は、再始動条件の成立後に速やかに完了させることが好ましい。こうしたことを実現するためには、内燃機関1における一番〜四番の各気筒のうち、吸気行程でピストン6が停止している気筒において、再始動開始後における最初の圧縮行程で燃料に対し的確に着火を行うとともに、その燃料の燃焼を良好なものとすることが重要である。なお、上記再始動開始後における最初の圧縮行程での燃料に対する着火について、以下では「初回圧縮行程着火」と称する。
図2は、内燃機関1におけるクランク角の変化に対する各気筒での吸気行程、圧縮行程、膨張行程、及び排気行程の変化態様を示している。仮に、自動停止によって機関回転が停止したとき、一番気筒♯1のピストン6が吸気行程(T1〜T3)の途中で停止したとする。この場合、内燃機関1の再始動開始後、一番気筒♯1における最初の圧縮行程終期(T4)で同気筒♯1内の燃料に対し的確に着火(初回圧縮行程着火)を行うとともに、同燃料の燃焼を良好なものとすることができれば、図3に実線で示されるように機関回転速度を再始動開始後の早期(T4)に上昇開始させることができる。このため、再始動開始後の早期に機関回転速度を内燃機関1を自立運転させることの可能な値まで上昇させることができ、ひいては速やかに内燃機関1の再始動を完了することができる。
一方、内燃機関1の再始動開始後、図2に示す一番気筒♯1における初回圧縮行程着火を的確に行うことができず、同一番気筒♯1での燃料の燃焼を良好なものとすることができなければ、再始動開始後に二回目に圧縮行程を迎える気筒(この例では三番気筒♯3)での同圧縮行程(T5)にて、同気筒内の燃料に対する着火が行われる。なお、上記再始動開始後における二回目の圧縮行程での燃料に対する着火について、以下では「二回目圧縮行程着火」と称する。この二回目圧縮行程着火が再始動開始後における最初の燃料に対する着火となる場合、その着火に基づく燃料の燃焼が良好に行われたとしても、機関回転速度の上昇が図3に二点鎖線で示されるように遅れることは避けられない。このため、再始動開始後に機関回転速度が内燃機関1を自立運転させることの可能な値まで上昇させることが遅れ、ひいては内燃機関1の再始動完了も遅れることになる。その結果、再始動開始から再始動完了までに時間がかかり、内燃機関1の再始動を速やかに完了させることができなくなる。
なお、上記初回圧縮行程着火を的確に行うことができない理由としては、自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒でのピストン6の停止位置が、吸気行程の中間付近よりも大幅に吸気下死点寄りの位置となっていることがあげられる。例えば、図2の例において、一番気筒♯1のピストン6が吸気行程(T1〜T3)の中間(T2)よりも大幅に吸気下死点寄りの位置、すなわち図中のT3に近い位置で停止している場合、上記ピストン6の吸気下死点に向けた移動だけでは燃料噴射弁4から噴射された燃料を筒内(一番気筒♯1内)に吸入することができなくなる。このため、再始動開始後における上記ピストン6に対応する筒内での最初の圧縮行程で、同筒内の燃料に対し的確に着火を行うことができなくなる。その結果、同気筒での失火が生じ、その気筒での最初の圧縮行程での燃料の燃焼を良好に行うことができなくなる。
こうしたことに対処するため、本実施形態では、内燃機関1の自動停止を行うために燃料噴射弁4からの燃料噴射が停止された後、スロットルバルブ13が全閉時よりも開き側の値である目標開度tTAに調整される。
上述したように、上記燃料噴射の停止に伴う内燃機関1の停止過程では、機関回転速度が徐々に低下してゆき、機関回転の停止直前に圧縮行程となった筒内での圧縮空気による反発力で内燃機関1が逆回転する。そして、内燃機関1の逆回転に伴いピストン6が吸気下死点から吸気上死点に向けて移動し、その後に吸気行程の途中で停止することとなる。このときにピストン6が停止する位置は、上記スロットルバルブ13の目標開度tTAを開き側の値に設定するほど、吸気上死点寄りの位置になる。以下、この理由について図2の場合を例に詳しく説明する。
図2の例では、一番気筒♯1が吸気行程となった状態で機関回転が停止する。このため、上記機関回転の停止直前には一番気筒♯1が圧縮行程となり、その一番気筒♯1内の圧縮空気による反発力で内燃機関1が逆回転する。なお、一番気筒♯1内の圧縮空気の反発力により内燃機関1が逆回転するとき、膨張行程にある二番気筒♯2では筒内の空気が圧縮されるため、その空気が内燃機関1の逆回転を妨げようとする。このため、内燃機関1の逆回転により一番気筒♯1のピストン6を吸気上死点寄りまで移動させる際には、逆回転の開始時点で圧縮行程となる一番気筒♯1内に存在する空気の量を多くする必要がある。この上記空気量を多くするほど逆回転後に一番気筒♯1のピストン6が吸気下死点から吸気上死点に向けて勢いよく移動してその際の移動量が多くなり、ピストン6を吸気上死点の近くまで移動させることが可能になる。
ここで、スロットルバルブ13の上記目標開度tTAを開き側の値に設定するほど、内燃機関1の停止過程における同機関の逆回転直前に圧縮行程となる筒内(図2の例では一番気筒♯1)の空気の量が多くなる。これは、上記目標開度tTAが開き側の値に設定されてスロットルバルブ13が開いた状態になるほど、内燃機関1における上記逆回転の前後の機関回転の変化が緩やかになることが関係している。このように内燃機関1における上記逆回転の前後の機関回転の変化が緩やかになると、その逆回転開始の直前に圧縮行程となる筒内に関しては吸気行程となっていた時間が長くなることから、その吸気行程にて筒内に吸入される空気の量が多くなる。従って、上記目標開度tTAを開き側の値に設定するほど、内燃機関1の逆回転直前に圧縮行程となる筒内の空気の量が多くなる。
ちなみに、上記目標開度tTAは、上記自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒において、ピストン6が同吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内に停止する値に設定される。このため、上記自動停止によって機関回転が停止した状態からの内燃機関1の再始動において、同機関1のクランキングが行われると、吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内で停止していた上記ピストン6が吸気下死点に向けて移動する。更に、内燃機関1の再始動において、燃料噴射弁4から吸気ポート3aに向けて燃料が噴射されると、その噴射された燃料が上記ピストン6の移動によって効果的に筒内に吸入される。従って、内燃機関1の再始動開始後における上記ピストン6に対応する筒内での最初の圧縮行程で、同筒内の燃料に対し的確に着火(初回圧縮行程着火)を行うことができ、同気筒での最初の圧縮行程での燃料の燃焼を良好なものとすることができる。これにより、内燃機関1の速やかな再始動を実現することができる。
なお、上記目標開度tTAとしては、具体的には、上記自動停止による機関回転の停止時に吸気行程となる気筒のピストン6が吸気行程前半に、言い換えれば図4(a)に示す吸気上死点前90°CAから吸気上死点までの範囲h1内に停止する値に設定することが考えられる。また、上記ピストン6が図4(b)に示す吸気上死点前80°CAから吸気上死点までの範囲h2内に停止する値に上記目標開度tTAを設定することも可能である。更に、上記ピストン6が図4(c)に示す吸気上死点前100°CAから吸気上死点までの範囲h3内に停止する値、もしくは図4(d)に示す吸気上死点前110°CAから吸気上死点までの範囲h4内に停止する値に、上記目標開度tTAを設定することも可能である。そして、目標開度tTAは、上記範囲h1〜h4のうちのいずれかに対応して設定される際、その範囲内における目標停止位置に上記ピストン6が停止するよう設定される。この目標停止位置は、内燃機関1の冷却水の温度及び吸気温等に応じて変化する上記ピストン6の理想的な停止位置であって、例えば再始動時の内燃機関1の振動を許容レベルとしつつ可能な限り吸気上死点寄りの位置とされる。
次に、内燃機関1における自動停止の詳細な手順について、自動停止ルーチンを示す図5のフローチャートを参照して説明する。この自動停止ルーチンは、電子制御装置21を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、まず内燃機関1の自動停止条件が成立しているか否かが判断され(S101)、ここで肯定判定であれば内燃機関1を自動停止させるべく燃料噴射弁4からの燃料噴射が停止される(S102)。こうした燃料噴射弁4からの燃料噴射の停止が行われた後、予め定められた遅延時間が経過したか否かが判断される(S103)。そして、S103で肯定判定がなされると、スロットルバルブ13を目標開度tTAに調整するための処理が実行される(S104、S105)。
ここで、仮に、上記遅延時間が経過しているか否かに関係なく、燃料噴射弁4からの燃料噴射を停止した直後にスロットルバルブ13の目標開度tTAへの調整が行われたとすると、次のような問題が生じる。すなわち、燃料噴射弁4からの燃料噴射の停止前に最後に噴射された燃料が吸気ポート3a周りに残っているうちに、上記スロットルバルブ13が目標開度tTAまで開かれることに伴って多くの空気が筒内に吸入され、その空気とともに筒内に吸入された燃料が点火プラグ5による点火を通じて燃焼することで機関回転速度の急上昇が生じる。こうした問題の発生を回避するため、上記スロットルバルブ13の目標開度tTAへの調整は、燃料噴射弁4からの燃料噴射が停止した後、上記遅延時間が経過してから開始される。ちなみに、上記遅延時間については、燃料噴射弁4からの燃料噴射を停止する前に最後に吸気ポート3aに向けて噴射された燃料が筒内で燃焼し得ない程度に下流へと流れるのに必要な時間となるよう、予め実験等により設定されている。
スロットルバルブ13を目標開度tTAに調整するための上記処理(S104、S105)としては、まず上記目標開度tTAの設定が行われる(S104)。詳しくは、内燃機関1の冷却水の温度等に基づき目標開度tTAが、自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒のピストン6を上述した目標停止位置にて停止させる値となるように可変設定され、更に同目標開度tTAに対し内燃機関1の個体差によるばらつきに対応するための補正値TAH分の補正が加えられる。その後、スロットルバルブ13が上記補正後の目標開度tTAに調整される(S105)。詳しくは、スロットルバルブ13の開度が上記補正後の目標開度tTAとなるよう、スロットルポジションセンサ30によって検出される実際の開度と上記目標開度tTAとに基づいてスロットルバルブ13が駆動される。
ここで、上記目標開度tTAは、上記S104の処理を通じて、内燃機関1の冷却水の温度の変化に対し、例えば図6に示すように可変とされる。同図から分かるように、冷却水の温度が中温領域(Tp2〜Tp3)にあるときには、その冷却水の温度の変化に対し目標開度tTAはほぼ一定となる。
一方、冷却水の温度が低温領域(Tp1〜Tp2)にあるときには、目標開度tTAが冷却水の温度が低くなるほど中温領域時の値と比較して徐々に開き側の値へと変化してゆく。ちなみに、内燃機関1の冷却水の温度が低いときには、同機関1の潤滑油の温度も低くなって同潤滑油の粘度が高くなり、それによって機関回転の抵抗が大きくなる。
しかし、上記低温領域で上述したように可変とされる目標開度tTAにスロットルバルブ13を調整することで、上記潤滑油の粘度が高いことに起因する機関回転の抵抗の増大に対応することが可能になる。すなわち、内燃機関1の潤滑油の粘度が過度に高くなるほど同機関1の冷却水の温度が低いとき、上記潤滑油の粘度に起因して機関回転の抵抗が大きくなるとしても、ピストン6を吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内の目標停止位置に移動させ、その状態で停止させることができる。
また、冷却水の温度が高水温領域(Tp3〜Tp4)にあるときには、目標開度tTAが冷却水の温度が高くなるほど中温領域時の値と比較して徐々に開き側の値へと変化してゆく。ちなみに、内燃機関1の冷却水の温度が高いときには、機関温度も高くなることから、自動停止によって機関回転が停止した状態にあるときに筒内に残留する空気が内燃機関1の熱を受けて温度上昇し易くなる。このため、停止状態にある内燃機関1のピストン6の位置が仮に図7(a)に示すように吸気下死点寄りの位置であるとすると、そのピストン6に対応する筒内の空気の量が多くなることから、同空気が内燃機関1からの受熱により保有する熱量が多くなる。この場合、内燃機関1の再始動時に上記気筒内の空気が圧縮行程で圧縮されるとき、筒内の燃料が自着火して燃料の良好な燃焼が得られなくなるおそれがある。なお、図8は、内燃機関1の冷却水の温度、及び上記自動停止により吸気行程で停止したピストン6の位置と、初回圧縮行程着火に際しての上記自着火の有無との関係を示している。
しかし、上記高温領域では、図6に示すように可変とされる目標開度tTAにスロットルバルブ13が調整されることで、筒内に残留する空気の内燃機関1からの受熱が過度に多くなるほど同機関1の冷却水の温度が高いとき、自動停止により機関回転が停止したときのピストン6の位置を例えば図7(b)の位置とすることが可能になる。すなわち、吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内における吸気上死点寄りの位置が上記ピストン6の目標停止位置とされており、そこまでピストン6を移動させてから同ピストン6を停止させることが可能になるよう目標開度tTAが設定されている。この場合、上記ピストン6の停止位置が図7(b)の位置とされることで、同ピストン6に対応する筒内において残留する空気の量が少なくなることから、同空気が内燃機関1からの受熱により保有する熱量が多くなることを抑制できる。従って、その空気の熱量が多くなることに起因して内燃機関1の再始動時に上記筒内での初回圧縮行程着火に際して同筒内で燃料が自着火し、それによって同燃料の良好な燃焼が得られなくなることを回避できる。
更に、内燃機関1の冷却水の温度が図6に示す過剰高温領域(Tp4以上)にあるときには、目標開度tTAが「0」、すなわち全閉に対応した値とされる。これは、上記過剰高温領域では、自動停止により機関回転が停止したときに筒内に残留する空気の内燃機関1からの受熱が多くなりすぎ、目標開度tTAを開き側に設定して上記ピストン6を吸気上死点寄りの位置で停止させても、再始動時における初回圧縮行程着火に際して上記自着火が生じることを避けられないためである。このことから、上記自動停止開始後にスロットルバルブ13を無駄に全閉時によりも開き側の値に調整しないようにすべく、上記過剰高温領域では目標開度tTAが上述したように「0」とされる。
図5の自動停止ルーチンにおいて、S106〜S107の処理は、S104での目標開度tTAの補正に用いられる補正値TAHを算出するためのものである。この一連の処理では、まず内燃機関1の自動停止を行うための燃料噴射弁4からの燃料噴射の停止により機関回転が停止したか否かが判断される(S106)。ここで行程判定であれば、上記補正値TAHの算出する条件であるフィードバック条件が成立したか否かが判断される(S107)。ここで、上記フィードバック条件としては、内燃機関1の冷却水の温度が図6の中温領域(Tp2〜Tp3)にあること、内燃機関1の吸気温が過度に高くなっていないこと、等々の条件があげられる。そして、それらの条件すべての成立をもってフィードバック条件が成立した旨判断される。このようにフィードバック条件が成立した旨判断されると、上記機関回転の停止時に吸気行程となっている気筒のピストン6の実停止位置と目標停止位置との差分に基づき補正値TAHの算出が行われるとともに、算出後の補正値TAHが電子制御装置21の不揮発性メモリに記憶される(図5のS108)。S104の処理で目標開度tTAに対し補正値TAHを加える際には、このように記憶された補正値TAHが用いられる。
なお、補正値TAHの算出に用いられる機関回転の停止時における上記ピストン6の実停止位置は、機関回転の停止過程におけるクランクポジションセンサ34及びカムポジションセンサ33からの検出信号をモニタすることによって把握することが可能である。また、ここでの上記ピストン6の目標停止位置とは、吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内の位置であって、内燃機関1の冷却水が上記中温領域にある条件のもとでの理想的な位置、すなわち再始動時の内燃機関1の振動を許容レベルとしつつ可能な限り吸気上死点寄りの位置のことである。この目標停止位置に関しては、内燃機関1の冷却水の温度や吸気温に基づいて求められる。そして、上記S108の処理では、上記目標停止位置に対しピストン6の実停止位置が一致していれば、上記補正値TAHが「0」とされる。一方、目標停止位置に対しピストン6の実停止位置が吸気下死点寄りにずれている場合には、そのずれが大きいほど上記補正値TAHが「0」よりも大きい値、すなわち目標開度tTAを開き側に補正する値に算出される。また、上記目標停止位置に対しピストン6の実停止位置が吸気下死点寄りにずれている場合には、そのずれが大きいほど上記補正値TAHが「0」よりも小さい値、すなわち目標開度tTAを閉じ側に補正する値に算出される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)内燃機関1の自動停止を行うために燃料噴射弁4からの燃料噴射が停止された後、スロットルバルブ13が全閉時よりも開き側の値である目標開度tTAに調整される。この目標開度tTAを開き側の値に設定するほど、上記自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒において、ピストン6が吸気上死点寄りの位置で停止するようになる。こうしたことを考慮して、上記目標開度tTAは、上記自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒において、ピストン6が同吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内の目標停止位置に停止する値に設定される。このため、上記自動停止によって機関回転が停止した状態からの内燃機関1の再始動において、同機関1のクランキングが行われると、吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内の目標停止位置で停止していた上記ピストン6が吸気下死点に向けて移動する。更に、内燃機関1の再始動において、燃料噴射弁4から吸気ポート3aに向けて燃料が噴射されると、その噴射された燃料が上記ピストン6の移動によって効果的に筒内に吸入される。従って、内燃機関1の再始動開始後における初回圧縮行程着火を的確に行うことができ、同気筒での最初の圧縮行程での燃料の燃焼を良好なものとすることができる。これにより、内燃機関1の速やかな再始動を実現することができる。
(2)上記スロットルバルブ13の目標開度tTAへの調整は、内燃機関1の自動停止のために燃料噴射弁4からの燃料噴射の停止した後、予め定められた遅延時間が経過してから開始される。ここで、仮に上記遅延時間を「0」にしたとすると、燃料噴射弁4からの燃料噴射の停止前に最後に噴射された燃料が吸気ポート3a周りに残っているうちに、上記スロットルバルブ13が目標開度tTAまで開かれることに伴って多くの空気が筒内に吸入され、その空気とともに筒内に吸入された燃料が点火プラグ5による点火を通じて燃焼する。こうした燃料の燃焼を通じて機関回転速度が急上昇するという問題が生じるようになる。このことを考慮して、上記遅延時間については、燃料噴射弁4からの燃料噴射を停止する前に最後に吸気ポート3aに向けて噴射された燃料が筒内で燃焼し得ない程度に下流へと流れるのに必要な時間に設定される。従って、上記燃料噴射弁4からの燃料噴射の停止前に最後に噴射された燃料が吸気ポート3a周りに存在していたとしても、その燃料が燃焼し得ない程度に下流に流れてから、スロットルバルブ13の目標開度tTAへの調整が開始されることになる。このようにスロットルバルブ13の目標開度tTAへの調整を開始することで、上述した機関回転速度の急上昇といった問題が生じることを回避できる。
(3)内燃機関1の冷却水の温度に基づく上記目標開度tTAの可変設定を通じて、冷却水の温度が低温領域(図6のTp1〜Tp2)にあるときには、目標開度tTAが冷却水の温度が低くなるほど中温領域時の値と比較して徐々に開き側の値へと変化してゆく。このように可変とされる目標開度tTAにスロットルバルブ13を調整することで、内燃機関1の潤滑油の粘度が過度に高くなるほど同機関1の冷却水の温度が低いとき、上記潤滑油の粘度に起因して機関回転の抵抗が大きくなるとしても、ピストン6を吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内の目標停止位置に移動させることができる。そして、その目標位置まで上記ピストン6を移動させた状態で停止させることができる。
(4)内燃機関1の冷却水の温度に基づく上記目標開度tTAの可変設定を通じて、冷却水の温度が高温領域(図6のTp3〜Tp4)にあるときには、目標開度tTAが冷却水の温度が高くなるほど中温領域時の値と比較して徐々に開き側の値へと変化してゆく。このように可変とされる目標開度tTAにスロットルバルブ13を調整することで、筒内に残留する空気の内燃機関1からの受熱が過度に多くなるほど同機関1の冷却水の温度が高いとき、自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒でのピストン6の停止位置を目標停止位置に対応して次のように定めることが可能になる。すなわち、上記ピストン6を、吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内における吸気上死点寄りの位置とされる目標停止位置まで移動させ、その状態で停止させることが可能になる。この場合、上記ピストン6に対応する筒内において、残留する空気の量が少なくなることから、同空気が内燃機関1からの受熱により保有する熱量が多くなることを抑制できる。従って、その空気の熱量が多くなることに起因して内燃機関1の再始動時に上記筒内での初回圧縮行程着火に際して同筒内で燃料が自着火し、それによって同燃料の良好な燃焼が得られなくなることを回避できる。
(5)内燃機関1の冷却水の温度に基づく上記目標開度tTAの可変設定を通じて、冷却水の温度が過剰高温領域(図6のTp4以上)にあるときには、目標開度tTAが「0」、すなわち全閉に対応した値とされる。ここで、上記過剰高温領域では、自動停止により機関回転が停止したときに筒内に残留する空気の内燃機関1からの受熱が多くなりすぎ、目標開度tTAを開き側に設定してピストン6の停止位置を吸気上死点寄りにしたとしても、再始動時における初回圧縮行程着火に際して上記自着火が生じることを避けられない。上述したように上記過剰高温領域で目標開度tTAを「0」とすれば、上記自動停止開始後にスロットルバルブ13が無駄に全閉時によりも開き側の値に調整されることを回避できる。
(6)自動停止により機関回転が停止したときに吸気行程となる気筒でのピストン6の実停止位置が、同ピストン6の目標停止位置からずれているとき、それら実停止位置と目標停止位置との差分に基づき補正値TAHの算出が行われ、次回の自動停止が行われる際に上記補正値TAH分の補正が目標開度tTAに加えられる。このように目標開度tTAに補正を加えることで、自動停止により機関回転が停止したときのピストンの実停止位置を上記目標停止位置に合わせ込み、それら実停止位置と目標停止位置とのずれ(差分)をなくすことができる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・スロットルバルブ13の目標開度tTAに対し補正値TAH分の補正を加えること、及び、その補正値TAHを算出することについては、必ずしも行う必要はない。
・上記目標開度tTAについては、必ずしも内燃機関1の冷却水の温度に基づいて可変設定する必要はなく、ピストン6の停止位置が上述した範囲h1〜h4のうちのいずれかの範囲内の位置となる値で固定してもよい。この場合、上記目標開度tTA実験等により定められる最適値に固定することが好ましい。
・スロットルバルブ13の目標開度tTAへの調整を開始する際の遅延時間については必ずしも設ける必要はない。
1…内燃機関、2…燃焼室、3…吸気通路、3a…吸気ポート、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…ピストン、7…クランクシャフト、8…排気通路、10…スタータ、11…吸気バルブ、12…吸気カムシャフト、13…スロットルバルブ、14…排気バルブ、15…排気カムシャフト、21…電子制御装置(制御手段、設定手段)、25…水温センサ、26…車速センサ、27…アクセルペダル、28…アクセルポジションセンサ、29…ブレーキペダル、29a…ブレーキスイッチ、30…スロットルポジションセンサ、31…吸気温センサ、32…エアフローメータ、33…カムポジションセンサ、34…クランクポジションセンサ。

Claims (5)

  1. 吸気ポートに向けて燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた内燃機関のアイドル運転中、自動停止条件の成立をもって同機関における前記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させることにより機関回転を停止させる内燃機関の制御装置において、
    前記自動停止条件の成立に基づく前記燃料噴射弁からの燃料噴射の停止後、内燃機関のスロットルバルブの開度を同バルブの全閉時よりも開き側の値である目標開度に調整する制御手段と、
    前記目標開度を機関回転の停止時に内燃機関のピストンを吸気行程の中間付近から吸気上死点までの範囲内に停止させる値に設定する設定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記設定手段は、前記目標開度を機関回転の停止時に内燃機関のピストンを吸気行程前半で停止させる値に設定する請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記自動停止条件の成立に基づく前記燃料噴射弁からの燃料噴射の停止後、予め定められた遅延時間が経過してから前記スロットルバルブの目標開度への調整を開始する請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記設定手段は、内燃機関の冷却水の温度に基づいて前記目標開度を可変設定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記設定手段は、前記目標開度を前記自動停止により機関回転が停止したときの内燃機関におけるピストンの目標停止位置に対応した値に設定するものであり、前記自動停止により機関回転が停止したときの内燃機関におけるピストンの実停止位置と前記目標停止位置とに差分が生じたとき、前記自動停止が次回行われるときの前記目標開度に前記差分に基づく補正を加える請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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