JP2013103375A - 異方熱伝導性フィルム及びその製造方法並びに組電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚み方向の熱伝導性が抑制され、かつ面方向では異方性高い熱伝導性を示す異方熱伝導性フィルムを提供する。
【解決手段】補強層の両面に、熱伝導性無機フィラー及びバインダーを含む第1及び第2の熱伝導層がそれぞれ形成された異方熱伝導性フィルムにおいて、面方向の熱伝導率Hsを2W/m・K以上、厚み方向の熱伝導率Htに対する面方向の熱伝導率Hsの比率(Hs/Ht)を3以上に調整する。異方熱伝導性フィルムの総厚みは600μm以下であり、かつ補強層と、第1又は第2の熱伝導層との厚み比は、前者/後者=10/1〜1/50程度であってもよい。前記異方熱伝導性フィルムは、厚み方向の熱伝導率Htが1W/m・K以下であってもよい。前記熱伝導性無機フィラーは、板状であり、かつ前記フィラーの板面は、略面方向に配向していてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、厚み方向と面方向とで異方性のある熱伝導性を有し、車載組電池の放熱フィルムなどに利用される異方熱伝導性フィルム及びその製造方法並びに前記フィルムを備えた組電池に関する。
近年、地球環境的な要請から、ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車の開発が盛んであり、これらの自動車には、バッテリーとしてリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。この二次電池としては、自動車では搭載スペースが小さいことなどにより、高いエネルギー密度が要求されるため、複数(例えば、数十個)の単電池セルを直列又は並列に接続した組電池が使用されている。
しかし、近年の高い注目にも拘わらず、自動車用バッテリーとしてリチウムイオン電池の普及が爆発的に進まなかった理由の一つに、バッテリー内に発生する熱の問題がある。バッテリーには、異常発熱や発火に加えて、バッテリー寿命の観点から、熱の発生による温度の上昇に対して、許容温度が低く、異常発熱や発火に至らない温度上昇に対しても冷却の必要がある。例えば、室内の空調されたエアーを活用して冷却する方法も行われているが、冷却ファンの騒音が発生する。さらに、単電池間の隙間に冷却風を流す空冷方式や冷却液を循環させる水冷方式も提案されているが、隙間のために組電池の容積が大きくなる上に、振動の激しい自動車用途では耐振設計が複雑となり、経済性が低下する。また、アルミニウムや銅などで形成されたヒートシンクから放熱させる手段を電池に適用すると、質量が大きくなる。そのため、単電池間に熱を逃すための熱伝導性(放熱)フィルムを介在させる方式が提案されている。
特開2011−23296号公報(特許文献1)には、組電池設置部に複数の単電池を互いに設置してなる組電池において、前記単電池と組電池設置部間に熱伝導性部材を配置した組電池が開示されている。この文献には、熱伝導性部材として、単電池間に配置された熱拡散シートとして、カーボン結晶を積層させたカーボンシートが記載されている。
しかし、この熱拡散シートは導電性を有するため、組電池の特性が低下する。すなわち、リチウムイオン電池では、金属筐体の電位は正電極電位と負電極電位との中間電位となるため、複数の単電池を組電池化する際に、各単電池の金属筐体同士が直接接触すると、電位が同電位となるため、組電池としての十分な開放端電圧が得られない。従って、単電池セル間で電気絶縁性を保持する必要があり、例えば、体積抵抗率1011Ω・cm以上を保持することが望ましい。そのため、電気絶縁性を有する熱伝導性フィルムも提案されている。
特開2011−186715号公報(特許文献2)には、複数の単電池を収納容器に収納して構成された組電池の放熱構造であって、略シート状に形成され、前記単電池と前記収納容器との間で変形することで前記単電池及び前記収納容器のそれぞれに密着して介装される絶縁性の放熱部材を備え、前記単電池からの熱を前記放熱部材及び前記収納容器を介して外部に放熱させる組電池の放熱構造が開示されている。この文献には、絶縁性の放熱部材として、熱伝導率1〜20W/(m・K)であるゲル状の材料が記載されている。しかし、前記ゲル状の材料では、取り扱い性が低く、作業性が低下する。
また、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)により、高熱伝導ポリカーボネートや高熱伝導ポリブチレンテレフタレートなどの高熱伝導樹脂が開発されている[非特許文献1(http://www.m-ep.co.jp/product/kinou/kounetsu/concept.html)]。しかし、前記高熱伝導樹脂はエンジニアリングプラスチックであり、硬質であるため、単電池セルの表面との密着性が低い。
さらに、特許文献2及び非特許文献1の熱伝導性シートでは、有機材料で形成されているため、熱伝導性の向上効果には限界がある。そのため、電気絶縁性の高いポリマーと、熱伝導性無機フィラーとを組み合わせたフィルムも提案されている。
特開2010−7039号公報(特許文献3)には、シリコーン系共重合体と熱伝導性フィラーとを含有する熱伝導シートが開示されている。この文献には、熱伝導性フィラーとして、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素などのセラミック系フィラーが好ましいと記載され、実施例では、球状アルミナが使用されている。
しかし、シリコーンゴムでは、成形性が低いため、100μm以下の薄肉のシートを形成するのは困難である上に、柔軟性が充分でないため、単電池間の密着性も低い。また、球状アルミナでは、熱伝導性も十分ではなく、配合割合を高めると、シートの機械的特性が低下する。さらに、シリコーンゴムを用いると、低分子シロキサンや環状シロキサン成分などの低沸成分の揮発により電池性能に悪影響を及ぼし易い。
特開2010−9962号公報(特許文献4)には、直方体形状をなす単電池セルと、熱伝導性と電気絶縁性を有する軟質材から板状に形成された熱伝導部材と、が互いに密着して交互に複数個列設された組電池装置が開示されている。この文献には、前記熱伝導部材として、シリコーンゴムなどのマットリックス基材に対して、超高分子量ポリエチレン繊維、カーボン繊維、アルミニウム繊維、アルミナ繊維、チタン繊維、窒化ホウ素などの繊維状又は鱗片状部材を配合した熱伝導部材が記載されている。この文献の実施例では、シリコーンゴムで構成されたマットリックス基材の略中央部に超高分子量ポリエチレン繊維が埋設された熱伝導部材が使用されている。さらに、この文献では、繊維を配向させるために、磁場を印加している。
しかし、この熱伝導部材でも熱伝導性が十分でなく、有機繊維である超高分子量ポリエチレン繊維をマットリックス基材の略中央部に埋設した部材では、熱伝導性が低い。さらに、熱伝導性を向上させるためには、磁場を印加する必要があり、生産性が低い。
特開2011−108617号公報(特許文献5)には、単電池セルを組み合わせて組電池とする際に単電池セル間に配置される熱伝導部材であって、0.5W/m・K未満の熱伝導率を有する基材層と、前記基材層の両側に設けられた0.5W/m・K以上の熱伝導率を有する熱伝導性層との少なくとも3層の積層構造を有する熱伝導部材が開示されている。この文献には、熱伝導性層と基材層との厚みの比は1/1〜1/10000であると記載され、実施例では、1mmの基材層の両面に50μmの熱伝導性層が形成されている。また、この文献には、熱伝導性層の材料としては、熱可塑性エラスマー、シリコーンゴム、アクリルポリマーなどの成分に、熱伝導性フィラーを含む熱伝導性樹脂組成物が記載され、熱伝導性フィラーとしては、板形状、繊維状、層状が好ましいと記載されているが、実施例では、破砕状水酸化アルミニウム粒子、凝集塊状窒化ホウ素粒子が熱伝導性層中43〜60重量%程度の割合で使用されている。また、基材層としては、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて硬化した樹脂が好ましいと記載されている。さらに、この文献では、剥離フィルム上にコーティングして形成した熱伝導性層と、基材層とを貼り合わせて熱伝導部材が製造されている。
しかし、この熱伝導部材では、熱伝導性の異方性が小さく、単電池間で熱が発生し易い。また、基材層の厚みが大きく、組電池を小型化するのが困難である。さらに、この文献の方法では、熱伝導性層中における熱伝導性フィラーの割合を増加させるのが困難であり、熱伝導性も向上できない。
特開2011−23296号公報(請求項1、段落[0012][0013]、実施例) 特開2011−186715号公報(請求項1、段落[0034][0035]) 特開2010−7039号公報(請求項1、段落[0038]、実施例) 特開2010−9962号公報(請求項1、段落[0064][0065][0072][0073]、実施例) 特開2011−108617号公報(請求項1及び2、段落[0021][0065][0079][0093][0118]、実施例)
http://www.m-ep.co.jp/product/kinou/kounetsu/concept.html
従って、本発明の目的は、厚み方向の熱伝導性が低く、かつ面方向では異方性の高い熱伝導性を示す異方熱伝導性フィルム及びその製造方法並びにこのフィルムを備えた組電池を提供することにある。
本発明の他の目的は、薄肉で高い熱伝導性を有するにも拘わらず、引張強度などの機械的特性にも優れる異方熱伝導性フィルム及びその製造方法並びにこのフィルムを備えた組電池を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、柔軟性などの機械的特性に優れ、組電池の単電池セルに対して高い追従性や密着性を有する異方熱伝導性フィルム及びその製造方法並びにこのフィルムを備えた組電池を提供することにある。
本発明の別の目的は、絶縁性が高く、かつ熱伝導性を向上できる異方熱伝導性フィルム及びその製造方法並びにこのフィルムを備えた組電池を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、成形性及び耐熱性が高く、かつ電池性能に悪影響を及ぼす低沸成分の揮発を抑制できる異方熱伝導性フィルム及びその製造方法並びにこのフィルムを備えた組電池を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、補強層の両面に、熱伝導性無機フィラー及びバインダーを含む熱伝導層をそれぞれ形成し、面方向の熱伝導率Hsを2W/m・K以上、厚み方向の熱伝導率Htに対する面方向の熱伝導率Hsの比率(Hs/Ht)を3以上に調整することにより、厚み方向の熱伝導性を抑制でき、かつ面方向では熱伝導性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の異方熱伝導性フィルムは、補強層と、この補強層の一方の面に形成され、かつ熱伝導性無機フィラー及びバインダーを含む第1の熱伝導層と、前記補強層の他方の面に形成され、かつ熱伝導性無機フィラー及び架橋ゴムを含む第2の熱伝導層とを有する異方熱伝導性フィルムであって、面方向の熱伝導率Hsが2W/m・K以上であり、かつ厚み方向の熱伝導率Htに対する面方向の熱伝導率Hsの比率(Hs/Ht)が3以上である。異方熱伝導性フィルムの総厚みは600μm以下であり、かつ補強層と、第1又は第2の熱伝導層との厚み比は、前者/後者=10/1〜1/50程度であってもよい。本発明の異方熱伝導性フィルムは、厚み方向の熱伝導率Htが2W/m・K未満であってもよい。本発明の異方熱伝導性フィルムは、厚み方向の熱伝導率Htに対する面方向の熱伝導率Hsの比率(Hs/Ht)は3〜20程度であってもよい。前記熱伝導性無機フィラーは、板状であり、かつ前記フィラーの板面は、略面方向に配向していてもよい。前記バインダーは、液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成され、かつ前記液状ゴムは、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエポキシ基から選択された少なくとも1種の官能基を有する非シリコーン系ゴム(特に、ジエン系ゴム又はアクリルゴム)であってもよい。前記熱伝導性無機フィラーは、平均粒径1〜100μmの絶縁性無機フィラーであってもよい。前記熱伝導性無機フィラーの割合は、バインダー100重量部に対して200重量部以上であってもよい。本発明の異方熱伝導性フィルムは、JIS K7161に準拠した弾性率が200MPa以上であってもよい。
本発明には、補強層の両面に、第1及び第2の熱伝導層をそれぞれ形成する前記異方熱伝導性フィルムの製造方法も含まれる。この方法において、補強層の表面に、熱伝導性無機フィラーと液状ゴムと架橋剤とを含む組成物を塗布した後、前記液状ゴムを架橋してもよい。さらに、液状ゴムを架橋する前に、厚み方向に加圧処理してもよい。
本発明には、単電池の間に前記異方熱伝導フィルムを介在させた組電池も含まれる。
本発明では、補強層の両面に、熱伝導性無機フィラー及びバインダーを含む熱伝導層がそれぞれ形成され、面方向の熱伝導率Hsが2W/m・K以上、厚み方向の熱伝導率Htに対する面方向の熱伝導率Hsの比率(Hs/Ht)が3以上に調整されているため、厚み方向の熱伝動性を抑制でき、かつ面方向では熱伝導性を向上できる。また、架橋ゴムが特定のゴム成分で形成されているため、薄肉で高い熱伝導性を有するにも拘わらず、引張強度などの機械的特性も向上できる。また、柔軟性などの機械的特性に優れ、組電池の単電池セルに対して高い追従性や密着性を有する。特に、シート化してロール・ツー・ロール方式での製造が可能であり、工業的な価値も高い。また、絶縁性熱伝導性フィラーを用いることにより、絶縁性を向上でき、かつ熱伝導性も向上できる。さらに、成形性及び耐熱性が高く、かつ架橋ゴムを非シリコーンゴムで形成することにより、電池性能に悪影響を及ぼす低沸成分の揮発を抑制できる。
[異方熱伝導性フィルム]
本発明の異方熱伝導性フィルムは、補強層と、この補強層の一方の面に形成され、かつ熱伝導性無機フィラー及び架橋ゴムを含む第1の熱伝導層と、前記補強層の他方の面に形成され、かつ熱伝導性無機フィラー及び架橋ゴムを含む第2の熱伝導層とを有し、厚み方向と面方向とで熱伝導率の異方性を有している。
本発明の異方熱伝導性フィルムは、面方向の熱伝導性は高く、面方向の熱伝導率Hsは2W/m・K以上であり、例えば、2〜50W/m・K、好ましくは3〜40W/m・K、さらに好ましくは5〜30W/m・K(特に10〜20W/m・K)程度であってもよい。熱伝導率Hsが小さすぎると、面方向の熱伝導性が低下する。
本発明の異方熱伝導性フィルムは、厚み方向の熱伝導性が低く、厚み方向の熱伝導率Htは2W/m・K未満であってもよく、例えば、1.5W/m・K以下、好ましくは1W/m・K以下、さらに好ましくは0.2〜0.8W/m・K(特に0.2〜0.6W/m・K)程度であってもよい。熱伝導率Htが大きすぎると、厚み方向の遮熱性が低下する。
すなわち、本発明の異方熱伝導性フィルムは、薄肉であるにも拘わらず、厚み方向の熱伝導性が低く、面方向の熱伝導性が高い異方性を有しており、厚み方向の熱伝導率Htに対する面方向の熱伝導率Hsの比率(Hs/Ht)が3以上である。前記比率(Hs/Ht)は、例えば、3〜20、好ましくは4〜15、さらに好ましくは5〜12(特に8〜10)程度であってもよい。前記比率(Hs/Ht)が大きすぎるフィルムは製造が困難であり、小さすぎるフィルムは、厚み方向の遮熱性及び面方向の熱伝導性が低下する。
本発明の異方熱伝導性フィルムは、電気絶縁性にも優れており、体積固有抵抗率は、JIS K7194に準拠した方法において、例えば、10Ω・cm以上が好ましく、例えば、10〜1013Ω・cm、好ましくは1010〜1014Ω・cm、さらに好ましくは1011〜1015Ω・cm程度である。
本発明の異方熱伝導性フィルムは、熱伝導層がバインダー(特に液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成された架橋ゴム)を含むため、熱伝導性が高いにも拘わらず、柔軟性に優れており、JIS K7161に準拠した弾性率が200MPa以上であってもよく、例えば、200〜2000MPa、好ましくは300〜1500MPa、さらに好ましくは400〜1200MPa(特に500〜1000MPa)程度である。弾性率が小さすぎると、取り扱い性が低下し、大きすぎると、製造が困難となる。そのため、単電池セルとの密着性に優れるとともに、シート化してロール・ツー・ロール方式での製造が可能であり、生産性を向上できる。
さらに、異方熱伝導性フィルムの破断点伸度は、JIS K7127に準拠した引張試験(厚み100μmのフィルム)において、例えば、30%以上(例えば、30〜1000%)であってもよく、好ましくは50〜500%、さらに好ましくは100〜300%(特に150〜200%)程度であってもよい。
(補強層)
補強層は、異方熱伝導性フィルムの厚み方向の熱伝導性を抑制し、かつ引張強度やコシ(腰)又は延性などの機械的特性を向上できればよく、通常、有機材料が使用される。補強層を有機材料で形成すると、異方熱伝導性フィルムにコシ及び延性を付与し、取り扱い性を向上するとともに、割れなどの破損を抑制できる。有機材料には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどが含まれる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、脂肪酸ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー(ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなど)、セルロース誘導体などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ゴムとしては、例えば、ジエン系ゴム(ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴムなど)、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム状共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらのゴムは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、コシなどの機械的特性や成形性などに優れる点から、熱可塑性樹脂が汎用され、絶縁性、耐熱性、機械的特性のバランスに優れる点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリアルキレンアリレート系樹脂が好ましい。ポリアルキレンアリレート系樹脂には、アレンアリレート単位を主成分として、例えば、50モル%以上、好ましくは75〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%(特に90〜100モル%)の割合で含むホモ又はコポリエステルが含まれる。コポリエステルを構成する共重合性単量体には、ジカルボン酸成分(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸などのC8−20芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC4−12アルカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのC4−12シクロアルカンジカルボン酸など)、ジオール成分(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2−10アルカンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリC2−4アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのC4−12シクロアルカンジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオールなど)、ヒドロキシカルボン酸成分(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシエトキシ安息香酸など)などが含まれる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ポリアルキレンアリレート系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2−4アルキレンナフタレート系樹脂などが挙げられる。
これらのポリアルキレンアリレート系樹脂のうち、諸特性のバランスに優れる点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート系樹脂が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が汎用される。
ポリエステル系樹脂の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、5000〜1000000程度の範囲から選択でき、例えば、10000〜500000、好ましくは12000〜300000、さらに好ましくは15000〜100000程度である。
補強層は、さらに、慣用の添加剤、例えば、可塑剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、分散剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、潤滑剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
補強層の厚みは、薄肉であっても、前記熱伝導層との組み合わせにより、異方熱伝導性フィルムの機械的特性を向上でき、例えば、100μm以下(例えば、1〜100μm)、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜30μm(特に10〜20μm)程度である。補強層の厚みが大きすぎると、異方熱伝導性フィルムの薄肉化が困難となり、小さすぎると、厚み方向の遮熱性が低下する。
[第1及び第2の熱伝導層]
第1及び第2の熱伝導層は、熱伝導性無機フィラー及びバインダーを含む。特に、本発明では、前記バインダーが架橋ゴム(特に液状ゴム及び架橋剤の架橋体)で形成されていると、架橋ゴムが高い弾性を有するとともに、熱伝導性無機フィラーに対して高い接着性を有し、成形性にも優れるためか、ゴム弾性だけでなく、柔軟性や強度などの機械的特性、耐熱性も向上できるため、高温下での使用や、組電池の単電池セルに対する密着性も向上できる熱伝導性フィルムとしてバランスがとれたフィルムである。
(熱伝導性無機フィラー)
熱伝導性無機フィラーとしては、熱伝導性を有していればよく、導電性であってもよいが、組電池の単電池間に介在させる放熱フィルムに使用する場合、電池特性を低下させないために、絶縁性が好ましい。
絶縁性無機フィラーとしては、例えば、窒素化合物(窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化炭素、窒化ケイ素など)、炭素化合物(炭化ケイ素、炭化フッ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン、ダイヤモンドなど)、金属酸化物(シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ベリリウムなど)などが挙げられる。これらの絶縁性無機フィラーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの絶縁性無機フィラーのうち、絶縁性及び熱伝導性に優れる点から、窒化ホウ素や窒化アルミニウムなどの窒素化合物が好ましく、窒化ホウ素が特に好ましい。窒化ホウ素は、グラファイトと類似の構造を有する六方晶形型であってもよく、ダイヤモンド構造を有する立方晶形型であってもよいが、六方晶形型が好ましい。
熱伝導性無機フィラーの形状は、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、棒状、繊維状、不定形状などであってもよいが、厚み方向の熱伝導性を向上できる点から、板状(鱗片状又は扁平状)が好ましい。さらに、板状フィラーと他の形状(球状、多角体形状、繊維状、不定状など)とを組み合わせてもよいが、板状(又は鱗片状)フィラーを50重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含むのが好ましい。
熱伝導性無機フィラーの平均粒径は、無機フィラーの種類に応じて0.1〜500μm程度の範囲から適宜選択でき、例えば、0.5〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜30μm(特に2〜20μm)程度である。この平均粒径は、無機フィラーが板状である場合、板面の平均径(板面における長軸と短軸との加算平均径)であってもよい。本発明では、無機フィラーの粒径は、均一に分散できる範囲で、大きい方が熱伝導性を向上できる。さらに、板状である場合、前記板面の平均径と厚みとのアスペクト比(板面の平均径/厚み)は、例えば、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜30(特に5〜20)程度であってもよい。平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いた方法などで測定できる。
異なる粒径の板状フィラーを組み合わせてもよく、例えば、平均粒径(板面の平均径)1〜5μm(特に1.5〜3μm)の板状フィラーと、平均粒径10〜50μm(特に10〜30μm(特に15〜20μm)の板状フィラーとを、前者/後者(重量比)=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは85/15〜50/50(特に80/20〜60/40)程度の割合で組み合わせてもよい。このような板状フィラーの組み合わせにより、フィラーを高濃度に充填した場合でも空隙が小さい(嵩比重が大きい)フィルムが得られ、フィラー同士の繋がりが良く、熱伝導性を向上できる。
本発明では、熱伝導性無機フィラーが板状である場合、前記フィラーの板面が略面方向に配向しているのが好ましい。このように配向することにより、熱伝導層が薄肉であっても面方向で高い熱伝導性を発現でき、異方熱伝導性フィルムの薄肉化と、熱伝導性の異方性を両立できる。さらに、板状フィラーの割合やサイズの異なるフィラーの組み合わせなどを調整することにより、板状フィラーの充填率を高めることにより、さらに熱伝導性を向上できる。このようなフィラーの分散構造は、断面の電子顕微鏡写真により観察できる。
本発明では、熱伝導層中の熱伝導性無機フィラーの割合が大きく、熱伝導性無機フィラーの重量割合は、例えば、架橋ゴム100重量部に対して、10〜1000重量部程度の範囲から選択でき、例えば、50〜800重量部、好ましくは100〜600重量部程度であるが、本発明では、熱伝導層の熱伝動率を向上させる点から、200重量部以上(例えば、200〜1000重量部)、好ましくは250〜800重量部、さらに好ましくは300〜600重量部(特に350〜500重量部)程度であってもよい。熱伝導性無機フィラーの割合が少なすぎると、熱伝導性を向上できず、逆に多すぎると、熱伝導層の機械的特性が低下し、薄肉化すると、破損し易い。
熱伝導性無機フィラーの体積割合は、例えば、熱伝導層全体に対して、例えば、10〜90体積%、好ましくは20〜80体積%、さらに好ましくは30〜70体積%(特に50〜65体積%)程度であってもよい。本発明では、無機フィラーの体積割合を40体積%以上(特に50〜60体積%)の高濃度に調整できるため、厚み方向における熱伝導性を向上できる。
(バインダー)
バインダーとしては、前記熱伝導性フィラーを接着又は密着して固定できればよく、特に限定されず、前記補強層の項で例示された熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムの他、慣用の接着剤や粘着剤が利用できる。これらのうち、柔軟性及び耐熱性に優れる点から、架橋ゴムが好ましい。
架橋ゴムは、液状ゴム及び架橋剤(又は硬化剤)の架橋体で形成されている。液状ゴムとしては、慣用のゴム、例えば、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR)など)、オレフィン−ビニルエステル共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EAM)など)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アルキルクロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)、エピクロロヒドリンゴム(CO)、多硫化ゴム(OT)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。なお、液状ゴムは共重合ゴムであってもよい。共重合ゴムは、ランダム又はブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造を有する共重合体などが含まれる。これらの未架橋ゴムは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの液状ゴムのうち、例えば、ジエン系ゴム、多硫化ゴム、シリコーン系ゴムなどが汎用され、電池性能に対する悪影響を抑制できる点から、非シリコーン系ゴムが好ましく、バインダー樹脂としての接着性と弾力性に優れる点から、ジエン系ゴム、アクリルゴムが特に好ましい。さらに、耐熱性や耐久性が要求される用途では、アクリルゴムであってもよい。
ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエン[例えば、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエン(VBR)など]、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、オレフィン含有ジエン系ゴム[例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、イソブチレン−イソプレン共重合体など]、スチレン含有ジエン系ゴム[例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体など]、アクリル系単量体含有ジエン系ゴム[例えば、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など]などが挙げられる。これらのジエン系ゴムは水添物(例えば、水素化スチレン−ブタジエン共重合体、水素化ブタジエン系重合体など)などであってもよい。
これらのジエン系ゴムのうち、ポリブタジエン、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、EPDMなどが汎用され、ポリブタジエンが好ましい。さらに、ポリブタジエンは、高いゴム弾性を有する点から、1,4結合量の割合が多い方が好ましく、1,4結合量(シス−及びトランス−1,4付加)と、1,2結合量(1,2付加)との割合(モル比)が、例えば、1,4結合量/1,2結合量=99/1〜50/50、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは90/10〜70/30程度である。
アクリルゴムとしては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸C2−10アルキルエステル(好ましくはブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸C3−8アルキルエステル、さらに好ましくはブチルアクリレートなどのC4−6アクリレート)を主要な重合成分とするアクリル系共重合体が挙げられる。
前記アクリル系共重合体の共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなど]、重合性ニトリル化合物[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど]、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(例えば、無水マレイン酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、芳香族ビニル類(例えば、スチレンなど)などが挙げられる。これらの共重合性モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合性モノマーのうち、架橋性を向上できる点から、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有単量体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体、アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体などが好ましい。
アクリル酸C2−10アルキルエステルと共重合性モノマーとの割合(重量比)は、例えば、前者/後者=99/1〜10/90、好ましくは95/5〜10/90、さらに好ましくは90/10〜30/70(特に85/15〜50/50)程度である。
さらに、共重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸やヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体と、アクリロニトリルなどの重合性ニトリル化合物との組み合わせの場合、両者の割合(重量比)は、(メタ)アクリル系単量体/重合性ニトリル化合物=99/1〜1/99、好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90程度である。
液状ゴムは、架橋剤に対する反応性官能基を有していてもよい。特に、液状ゴムに反応性官能基を導入することにより、ゴムの機械的特性を向上できる。反応性官能基を有する液状ゴムは、反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖に含んでいればよく、例えば、反応性官能基を有する共重合性単量体との共重合体(ランダム、ブロック又はグラフト共重合体など)などであってもよく、また少なくとも末端に反応性官能基を有する液状ゴムであってもよい。末端に反応性官能基を有する液状ゴムは、反応性官能基を有する単量体を用いて末端を封鎖する方法などにより製造でき、末端自由鎖の発生が抑制されたテレケリックゴム架橋体を形成でき、機械的特性を向上できる。
前記反応性官能基としては、架橋剤の種類に応じて選択でき、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、酸アミド基、エポキシ基などが挙げられる。これらの反応性官能基は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの反応性官能基のうち、反応性や汎用性などの点から、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、エポキシ基などが汎用され、少なくともヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を含む反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基単独、カルボキシル基単独、ヒドロキシル基とカルボキシル基との組み合わせ、ヒドロキシル基とエポキシ基との組み合わせ、カルボキシル基とエポキシ基との組み合わせなど)が好ましい。
反応性官能基(特にヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基)の含有量は、液状ゴム全体に対して、例えば、0.05〜5モル/kg、好ましくは0.1〜3モル/kg、さらに好ましくは0.3〜2モル/kg(特に0.5〜1モル/kg)程度であってもよい。例えば、反応性官能基がヒドロキシル基の場合、JIS K1557に準拠した方法で測定できる。また、反応性官能基がカルボキシル基の場合、JIS K1557に準拠した方法で測定できる。反応性官能基の含有量が小さすぎると、強度などの機械的特性が低下し、大きすぎると、柔軟性が低下する。
具体的には、反応性官能基(特にヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基)を有する液状ゴムは、末端ヒドロキシル基を有するポリブタジエン、末端ヒドロキシル基を有するエポキシ化ポリブタジエン、ヒドロキシル基を有するアクリルゴム、カルボキシル基を有するアクリルゴムなどであってもよい。エポキシ化ポリブタジエン(例えば、末端ヒドロキシル基を有するエポキシ化ポリブタジエン)におけるエポキシ当量は、例えば、50〜1000g/eq、好ましくは70〜500g/eq、さらに好ましくは100〜300g/eq(特に、100〜250g/eq)程度である。
液状ゴムの数平均分子量は、液状ゴムの種類に応じて選択でき、例えば、ジエン系ゴムの場合、ASTM D 2503に準拠した方法により測定された分子量で、10000以下であればよく、例えば、500〜10000、好ましくは1000〜6000、さらに好ましくは1500〜5000(特に2000〜4000)程度であってもよい。また、アクリルゴムの場合、ASTM D 2503に準拠した方法により測定された分子量で、500000以下であればよく、例えば、10000〜500000、好ましくは30000〜400000、さらに好ましくは50000〜300000(特に100000〜250000)程度であってもよい。分子量が大きすぎると、成形性などの生産性が低下し、小さすぎると、強度などの機械的特性が低下する。
液状ゴムの粘度(30℃)は、JIS K2283に準拠した方法で、例えば、0.1〜100Pa・s,好ましくは0.3〜50Pa・s、さらに好ましくは0.5〜10Pa・s(特に1〜5Pa・s)程度であってもよい。粘度が大きすぎると、成形性が低下する。
架橋剤(又は硬化剤)としては、液状ゴムの種類に応じて、慣用の架橋剤、例えば、硫黄系加硫剤、有機過酸化物、金属酸化物、アゾ化合物などを利用できるが、液状ゴムが反応性官能基を有する液状ゴムである場合、液状ゴムの反応性官能基に対して反応性を有する架橋剤(例えば、多価金属イオン、ポリイソシアネート、ポリアミン、ポリカルボン酸又はその反応性誘導体、ポリオール、複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物、複数の加水分解性シリル基を有する化合物、ビスオキサゾリン化合物など)を、液状ゴムの反応性官能基の種類に応じて利用できる。これらの架橋剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの架橋剤のうち、液状ゴムが反応性官能基を有する液状ゴム(特に、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有する液状ゴム)である場合、反応性や取り扱い性などの点から、ポリイソシアネートが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート[例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどのC2−16アルカンジイソシアネートなど]、脂環族ジイソシアネート[例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなど]、芳香脂肪族ジイソシアネート[例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど]、芳香族ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート[例えば、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなど]などが挙げられる。
ポリイソシアネートは、分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジフェニルメタンテトライソシアネートなどであってもよい。
ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート誘導体、例えば、ポリイソシアネート類とポリオール類とのアダクト体、前記ポリイソシアネートのダイマーやトリマーなどの多量体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、カルボジイミド、ウレットジオンなどであってもよい。
ポリイソシアネートは、末端イソシアネート基を有するプレポリマー(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのジオール、ポリエステルジオールなどのジオール成分とジイソシアネートとの反応生成物など)であってもよい。
これらのポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリイソシアネートのうち、HDIなどの脂肪族ジイソシアネート、IPDI、水添XDIなどの脂環族ジイソシアネート、XDIなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、TDI、MDI、NDIなどの芳香族ジイソシアネートなどが汎用される。
ポリイソシアネートは、イソシアネート基と反応性を有する単量体[例えば、ポリオール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2−4アルカンジオール、ビスフェノールAポリアルキレンオキシド付加体、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなど)、ポリアミン類(テトラメチレンジアミンやヘキサメチレンジアミンなどのジアミン類など)など]を架橋助剤又は鎖伸長剤として組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、架橋ゴムとの親和性やフィルムの柔軟性や引張強度を向上させるための可塑剤としての役割も付与できる点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリC2−4アルキレングリコール(特にポリエチレングリコールなどのポリC2−3アルキレングリコール)が好ましい。ポリエーテルポリオール(特にポリエチレングリコール)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、100〜6000、好ましくは200〜3000、さらに好ましくは300〜1000(特に500〜800)程度である。
架橋助剤又は鎖伸長剤の割合は、液状ゴム100重量部に対して1〜1000重量部程度の範囲から選択でき、例えば、5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは15〜40重量部程度であってもよい。特に、溶媒を使用せずに、架橋助剤又は鎖伸長剤を液状ゴム100重量部に対して100重量部以上(例えば、100〜200重量部程度)使用してもよい。
架橋剤の割合は、液状ゴムの種類に応じて、液状ゴム100重量部に対して1〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、5〜90重量部、好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは15〜60重量部(特に20〜50重量部)程度である。
液状ゴムが反応性官能基を有する場合、架橋剤と液状ゴムとの割合は、架橋剤の反応性官能基(例えば、イソシアネート基)と液状ゴムの反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基)とが、当量比で略当量となる範囲、例えば、架橋剤の反応性官能基/液状ゴムの反応性官能基=0.8/1〜1.2/1、好ましくは0.9/1〜1.15/1、さらに好ましくは1/1〜1.1/1程度であってもよい。なお、架橋助剤や鎖伸長剤を使用する場合、架橋助剤や鎖伸長剤の官能基も含めた当量比が前記範囲となるように調整してもよい。
前記架橋剤は、慣用の硬化触媒と併用してもよく、例えば、架橋剤がポリイソシアネートである場合、ウレタン化触媒、例えば、アミン系触媒(トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等の脂肪族アミン類やトリエチレンジアミンなどの環状アミン類、ジメチルアミノエタノールなどのアルコールアミン類など)、有機金属触媒(ジブチルチンジラウレートDBTDL、ジブチルチンチオカルボキシレートなどのスズ系触媒など)と併用してもよい。硬化触媒の割合は、例えば、架橋剤100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部程度である。
(他の添加剤)
熱伝導層は、さらに硬化樹脂を含んでいてもよい。硬化樹脂は、未硬化の状態で、前記未架橋ゴムの硬化剤又は架橋剤として配合してもよい。硬化樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。これらの硬化樹脂のうち、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などが汎用される。硬化樹脂の割合は、液状ゴム100重量部に対して100重量部以下、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは5〜30重量部程度である。
熱伝導層は、さらに、慣用の添加剤、例えば、合成可塑剤[フタル酸エステル(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、リン酸エステル(リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチルなど)、脂肪族多価カルボン酸エステル(アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチルなど)、エポキシ系化合物(アルキルエポキシステアレート、エポキシ化大豆油など)など]、軟化剤[植物油(リノール酸、オレイン酸、ひまし油、あまに油、パーム油など)、鉱物油(パラフィン、テレピン油、ナフテン性油、プロセスオイル、エキステンダーなど)、瀝青質物質(ストレートアスファルト、脱瀝アスファルト、ブローンアスファルト、タールなど)など]、共加硫又は架橋剤(酸化亜鉛などの金属酸化物など)、加硫又は架橋遅延剤、粘着付与剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、分散剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、潤滑剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
添加剤の割合は、液状ゴム100重量部に対して、例えば、0〜100重量部、好ましくは0.1〜80重量部、さらに好ましくは1〜50重量部程度であってもよい。
熱伝導層の弾性率は、JIS K7161に準拠した方法において、10MPa以上であってもよく、例えば、10〜1000MPa、好ましくは20〜800MPa、さらに好ましくは30〜400MPa(特に40〜300MPa)程度である。弾性率が小さすぎると、粘着性が大きすぎて、取り扱い性が低下し、逆に大きすぎると、単電池表面の凹凸構造に対する追従性が低下する。
熱伝導層の破断点伸度は、JIS K7127に準拠した引張試験(厚み100μmのフィルム)において、例えば、5%以上(例えば、5〜500%)であってもよく、好ましくは10〜300%、さらに好ましくは30〜200%(特に50〜150%)程度であってもよい。
第1又は第2の熱伝導層の厚みは、例えば、5〜200μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは15〜50μm(特に20〜40μm)程度である。熱伝導層の厚みが大きすぎると、異方熱伝導性フィルムの薄肉化が困難となり、小さすぎると、熱伝導性を向上できず、機械的特性も低下する。なお、第1の熱伝導層と第2の熱伝導層とは、異なる厚みであってもよいが、カール抑制などの点から、略同じ厚みが好ましい。
補強層と、第1又は第2の熱伝導層との厚み比は、前者/後者=100/1〜1/100程度の範囲から選択できるが、薄肉であるにも拘わらず、熱伝導性と機械的特性とを両立できる点から、前者/後者=10/1〜1/50(例えば、5/1〜1/30)であるのが好ましく、例えば、1/1〜1/10(例えば、1/1.2〜1/5)、好ましくは1/1.5〜1/4(特に1/2〜1/3)程度である。補強層の厚み比が大きすぎると、熱伝導性が低下し、逆に小さすぎると、機械的特性、熱伝導率及びその異方性が低下する。
本発明の異方熱伝導性フィルムは、総厚みが600μm以下(例えば、10〜600μm)の薄肉であり、例えば、10〜500μm、好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは20〜80μm(特に25〜50μm)程度であり、通常、30〜100μm(例えば、40〜90μm)程度であってもよい。
[異方熱伝導性フィルムの製造方法]
本発明の異方熱伝導性フィルムの製造方法は、補強層の両面に、第1及び第2の熱伝導層をそれぞれ形成できる方法であればよいが、薄肉化し易い点から、補強層の表面に、熱伝導性無機フィラーとバインダーを含む組成物を塗布する方法が好ましい。さらに、バインダーが架橋ゴムである場合、液状ゴム及び架橋剤を含む組成物を塗布した後、液状ゴムを架橋(又は硬化)する方法であってもよい。
組成物の調製方法としては、可塑剤(又は可塑剤としての機能を発現する助剤など)の割合を多くすることにより、溶媒を用いることなく、組成物を調製してもよいが、機械的特性と熱伝導性とを両立できるフィルムを製造し易い点から、液状ゴムなどのバインダー成分を溶解又は分散可能な溶媒を用いて組成物を調製するのが好ましい。組成物の調製方法としては、例えば、各成分を慣用の混合機(ミキサー)を用いて混合する方法であってもよい。
前記溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)など)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。
これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。本発明では、これらの溶媒のうち、液状ゴムが液状ポリブタジエンである場合、ケトン類(特に、メチルエチルケトンなどのジアルキルケトン)、芳香族炭化水素類(特に、トルエンなどの芳香族炭化水素)、又はこれらの混合溶媒などを用いてもよい。
前記組成物は、溶媒を用いる場合、例えば、固形分が10〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは40〜65重量%程度であってもよい。
塗布方法は、バーコーターやナイフコーターなどの慣用の方法を利用できる。なお、両面への塗布は、架橋前に両面に塗布してもよく、片面を塗布して架橋した後、他方の面を塗布して架橋してもよいが、生産性などの点から、架橋前に両面を塗布する方法が好ましい。特に、片面を塗布し、乾燥した後、他方の面に塗布し、乾燥する方法が好ましく、乾燥は加熱乾燥であってもよく、加熱温度は、例えば、30〜100℃、好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは50〜70℃程度であってもよい。
架橋ゴムの場合、架橋方法は、液状ゴムの種類に応じて選択で、慣用の方法を利用でき、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などを用いて架橋又は硬化処理してもよい。これらの方法のうち、通常、加熱処理が用いられ、加熱温度は、例えば、50〜200℃、好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは70〜150℃(特に70〜130℃)程度であってもよい。
さらに、異方熱伝導性フィルムをより薄肉化するとともに、熱伝導性無機フィラーが板状である場合、板面の配向方向をより面方向に沿って配向させるために、液状ゴムを架橋する前に、厚み方向に加圧処理してもよい。
加圧処理の圧力は、例えば、1〜10MPa、好ましくは2〜8MPa、さらに好ましくは3〜5MPa程度である。
加圧処理においては、加熱するのが好ましく、加熱温度は、前記架橋のための温度と同じ範囲から選択できる。
加圧時間は、例えば、0.1〜10分、好ましくは0.5〜5分、さらに好ましくは1〜3分程度である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例で得られた絶縁性放熱フィルムの特性は、以下の方法で測定した。
[熱伝導率]
レーザーフラッシュアナライザー(NETZSCH(ネッチ社)製「LFA447」)を用いて、フィルムの厚み方向及び面方向の熱拡散率を測定温度25℃で測定し、下記式に基づいて熱伝導率を求めた。
熱伝導率(W/m・K)=密度(g/cm)×比熱(J/g・K)×熱拡散率(mm/s)
なお、厚み方向の熱拡散率の測定には、15mm角に切り出し、両面を金蒸着後、検出器側面にカーボンスプレーしたフィルムを測定試料とし、面方向(ラメラ法)の熱拡散率の測定には、11mm長×2mm幅の短冊状に切り出し、ホルダーに並べ、さらに両面を金蒸着後、検出器側面にカーボンスプレーしたフィルムを測定試料とした。
さらに、比熱は、示差走査熱量量計(セイコーインスツルメンツ社製「DSC6200」)を用いて、DSC法(基準物質:サファイヤ)にて、約5mmφに切り出したフィルムを数枚重ねて測定試料とし、測定温度25℃で測定した。
[比重]
電子比重計(アルファミラージュ(株)製「型式:SD−200L」)を使用して測定した。
[弾性率]
得られた熱伝導性フィルムを2cm×15cmの短冊にカットし、JIS K7161に従って引張試験を行い、応力−ひずみ曲線から、弾性率を求めた。
[破断点伸度]
JIS K7127に準拠し、得られた熱伝導性フィルムについて、JIS2号ダンベル片(幅6mm)を打ち抜き、23℃/50%RH、引取速度100mm/分で引張試験を行ない、破断点伸度を測定した。
[表面抵抗率]
得られた熱伝導性フィルムについて、JIS K6911に従い、抵抗率測定装置((株)三菱化学アナリテック製「ハイレスタUP MCP−HT450型」)を用いて表面抵抗率を測定し、体積固有抵抗率を求めた。
実施例1
末端ヒドロキシル基含有液状ポリブタジエンゴム(出光興産(株)製「poly bd R−15HT」)13重量部、ポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)製「PEG600」)3.3重量部、架橋剤1(MDI、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートMX」)5.4重量部、触媒(DBTDL、和光純薬工業(株)製)0.002重量部、窒化ホウ素(電気化学工業(株)製「SP3−7」、平均粒径2.4μm)78.4重量部、溶媒(メチルエチルケトン)107重量部を、自公転式混合脱泡機(シンキー(株)製「ARE−250」)を使用して混合し、組成物を作製した。得られた組成物を、アプリケータ(目盛り:6、クリアランス150μm相当)を使用してPETフィルム(東レ(株)製「ルミラーS10」、厚み12μm)上に塗工し、温度60℃で10分間乾燥した。その後、他方の面にも同一の組成物を同様に塗布し、温度60℃で10分間乾燥した。さらに、温度120℃で3時間硬化処理し、厚み70μmの硬化フィルムを得た。
実施例2
窒化ホウ素として、窒化ホウ素(電気化学工業(株)製「GP」、平均粒径8μm、アスペクト比8.73)78.4重量部を使用し、溶媒として、メチルエチルケトン100重量部を使用し、かつ硬化前に、120℃、ゲージ圧30MPa(フィルムへの加圧:3.8MPaに相当)の条件で、プレス成形機(東洋精機(株)製、商品名「Mini test Press−10」)を用いて3分間プレス処理した以外は、実施例1と同じ方法で組成物から硬化フィルムを得た。
実施例3
窒化ホウ素として、窒化ホウ素(電気化学工業(株)製「SGP」、平均粒径18μm、アスペクト比10.07)54.9重量部及び窒化ホウ素(SP3−7)23.5重量部を使用し、溶媒として、メチルエチルケトン100重量部を使用し、かつ硬化前に、120℃、ゲージ圧30MPa(フィルムへの加圧:3.8MPaに相当)の条件で、プレス成形機(Mini test Press−10)を用いて3分間プレス処理した以外は、実施例1と同じ方法で組成物から硬化フィルムを得た。
実施例4
アクリルゴム(アクリル酸エステル共重合体ゴム、ナガセケムテック(株)製「SG−280TEA、固形分15重量%、溶剤:トルエン/酢酸エチル=1/1)78.1重量部、架橋剤2(ポリイソシアネート変性体、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL」、固形分75重量%)2.7重量部、窒化ホウ素(SGP)13.4重量部、窒化ホウ素(SP3−7)5.8重量部、溶媒(トルエン/酢酸エチル=1/1の混合溶媒)50重量部を使用した以外は、実施例1と同じ方法で組成物から硬化フィルムを得た。
実施例5
PETフィルムとして厚み342μmのPETフィルム(東レ(株)製「ルミラーS10」)を用い、溶媒量を70重量部に減らし、アプリケータの設定を変更(目盛り:10、クリアランス250μm相当)して、塗工厚みを厚くした以外は実施例1と同様にして、厚み540μmの積層フィルムを得た。
比較例1
得られた組成物をPETフィルム上に塗工せずに、離型紙の上に、アプリケータ(目盛り:10、クリアランス250μm相当)で塗布して硬化処理した後、剥離する以外は実施例1と同様にして、厚み80μmの単層硬化フィルムを得た。
比較例2
得られた組成物をPETフィルム上に塗工せずに、離型紙の上に、アプリケータ(目盛り:10、クリアランス250μm相当)で塗布してプレス処理及び硬化処理した後、剥離する以外は実施例3と同様にして、厚み90μmの単層硬化フィルムを得た。
比較例3
無機フィラーとして窒化ホウ素の代わりに球状アルミナ(電気化学工業株製「DAW−7」、平均粒径9μm)を使用し、フィラー濃度が40体積%となるように調整する以外は、比較例1と同様にして、厚み150μmの単層硬化フィルムを得た。
実施例及び比較例で得られた硬化フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2013103375
表1の結果から明らかなように、実施例の硬化フィルムは柔軟性及び延性と異方熱伝導性とを併せ持つのに対して、比較例の硬化フィルムは脆くて腰がないため、扱い難い。
本発明の熱伝導性フィルムは、熱伝導性を要求される各種用途に利用でき、例えば、画像表示装置、コンピュータ、照明機器、電池などの電気・電子部品(放熱板、半導体素子、熱電変換素子、光電変換素子、電磁波吸収放熱材、基盤、セパレータなど)に利用でき、厚み方向と面方向とで異方性の熱伝導性を有するため、電気自動車やハイブリッド自動車(HEV)など、種々の分野で利用される組電池(例えば、リチウムイオン電池など)の単電池セル間に介在させる放熱フィルムとして特に有用である。

Claims (14)

  1. 補強層と、この補強層の一方の面に形成され、かつ熱伝導性無機フィラー及びバインダーを含む第1の熱伝導層と、前記補強層の他方の面に形成され、かつ熱伝導性無機フィラー及び架橋ゴムを含む第2の熱伝導層とを有する異方熱伝導性フィルムであって、面方向の熱伝導率Hsが2W/m・K以上であり、かつ厚み方向の熱伝導率Htに対する面方向の熱伝導率Hsの比率(Hs/Ht)が3以上である異方熱伝導性フィルム。
  2. 総厚みが600μm以下であり、かつ補強層と、第1又は第2の熱伝導層との厚み比が、前者/後者=10/1〜1/50である請求項1記載の異方熱伝導性フィルム。
  3. 厚み方向の熱伝導率Htが2W/m・K未満である請求項1又は2記載の異方熱伝導性フィルム。
  4. 厚み方向の熱伝導率Htに対する面方向の熱伝導率Hsの比率(Hs/Ht)が3〜20である請求項1〜3のいずれかに記載の異方熱伝導性フィルム。
  5. 熱伝導性無機フィラーが板状であり、かつ前記フィラーの板面が略面方向に配向している請求項1〜4のいずれかに記載の異方熱伝導性フィルム。
  6. バインダーが、液状ゴム及び架橋剤の架橋体で形成され、かつ前記液状ゴムが、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエポキシ基から選択された少なくとも1種の官能基を有する非シリコーン系ゴムである請求項1〜5のいずれかに記載の異方熱伝導性フィルム。
  7. 非シリコーン系ゴムが、ジエン系ゴム又はアクリルゴムである請求項1〜6のいずれかに記載の異方熱伝導性フィルム。
  8. 熱伝導性無機フィラーが、平均粒径1〜100μmの絶縁性無機フィラーである請求項1〜7のいずれかに記載の異方熱伝導性フィルム。
  9. 熱伝導性無機フィラーの割合が、バインダー100重量部に対して200重量部以上である請求項1〜8のいずれかに記載の異方熱伝導性フィルム。
  10. JIS K7161に準拠した弾性率が200MPa以上である請求項1〜9のいずれかに記載の異方熱伝導性フィルム。
  11. 補強層の両面に、第1及び第2の熱伝導層をそれぞれ形成する請求項1〜10のいずれかに記載の異方熱伝導性フィルムの製造方法。
  12. 補強層の表面に、熱伝導性無機フィラーと液状ゴムと架橋剤とを含む組成物を塗布した後、前記液状ゴムを架橋する請求項11記載の製造方法。
  13. 液状ゴムを架橋する前に、厚み方向に加圧処理する請求項12記載の製造方法。
  14. 単電池の間に請求項1〜10のいずれかに記載の異方熱伝導フィルムを介在させた組電池。
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