JP2013102717A - 核酸導入用組成物及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】
新規な分子構造を有するポリアミドアミンデンドロン脂質を含む核酸導入用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
下記式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物を含む核酸導入用組成物により、上記の課題を解決する。
DL−G1:R12NX(YH22
DL−G2:R12NX(Y(YH222
DL−G3:R12NX(Y(Y(YH2222
DL−G4:R12NX(Y(Y(Y(YH22222
(式中、
Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N<であり;
Yは、−CH2CH2CONH(CH2nN<であり;
nは、0〜6の整数(但し、2を除く)であり;
1及びR2は、互いに同一であるか又は異なって、飽和もしくは不飽和の長鎖脂肪族基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミドアミンデンドロン脂質を含む核酸導入用組成物に関する。また、本発明は、該組成物を用いて核酸を導入する方法、及び該組成物を含有する核酸導入用キットに関する。
近年、遺伝子治療、アンチセンス医薬などの技術の進歩に伴って、治療のための核酸を標的細胞に効率的に導入する手段の必要性が高まっている。そのような手段の一つとして、ウィルスベクターが挙げられる。ウィルスベクターは、非常に高い効率で核酸を細胞に導入できることから、遺伝子治療などに有用であるとして注目されている。
しかし、ウィルスベクターは、臨床応用において死に至る重篤な副作用が報告されているので、より安全に核酸を導入できる試薬の開発が求められている。
ウィルスベクターを用いずに核酸を高い効率で導入する方法としては、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法などが当該技術において知られている。しかし、エレクトロポレーション法では高価な装置が必要であり、マイクロインジェクション法では操作に高度な技術が求められるので、これらの方法は限られた分野での利用にとどまっている。
操作が簡便で比較的低コストで実施できる核酸導入法としては、例えば、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、リポフェクション法などが挙げられる。これらの方法は、細胞に対する毒性が低く、ウィルスベクターに比べて安全性が高いことから、当該技術において広く用いられている。しかし、これらの方法は、核酸の導入効率が低いという欠点がある。
本発明者らは、これまでに、デンドロンタイプの脂質がプロトンスポンジ効果を示すこと、及び細胞膜と融合できることを見出して、核酸導入に好適に利用できるポリアミドアミンデンドロン脂質を開発している(特許文献1及び2参照)。
特開2004−159504号公報 国際公開第2010/128669号
本発明者らは、上記のポリアミドアミンデンドロン脂質の核酸導入効率を改変することを目的として鋭意検討した結果、当該化合物のデンドロン部分の構造が、核酸の導入効率に関与することを見出した。
したがって、本発明は、新規な分子構造を有するポリアミドアミンデンドロン脂質を含む核酸導入用組成物を提供することを目的とする。
よって、本発明によれば、下記式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物を含む核酸導入用組成物が提供される。
DL−G1:R12NX(YH22
DL−G2:R12NX(Y(YH222
DL−G3:R12NX(Y(Y(YH2222
DL−G4:R12NX(Y(Y(Y(YH22222
(式中、
Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N<であり;
Yは、−CH2CH2CONH(CH2nN<であり;
nは、0〜6の整数(但し、2を除く)であり;
1及びR2は、互いに同一であるか又は異なって、飽和もしくは不飽和の長鎖脂肪族基である。)
また、本発明によれば、上記の核酸導入用組成物を用いる核酸導入方法、及び該組成物を含有する核酸導入用キットが提供される。
本発明は、新規な分子構造を有するポリアミドアミンデンドロン脂質を含む核酸導入用組成物を提供することができる。
式DL−G1〜DL−G4で表される化合物の合成スキームの一例である。 DL−G−0.5−2C181H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)である。 DL−G0−2C181H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)である。 DL−G0.5−2C181H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)である。 C0−DL−G1−2C181H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)である。 C2−DL−G1−2C181H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)である。 C3−DL−G1−2C181H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)である。 C4−DL−G1−2C181H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)である。 C0−DL−G1−2C18、C2−DL−G1−2C18、C3−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18のDNA複合体形成能を示すグラフである。 C0−DL−G1−2C18、C2−DL−G1−2C18、C3−DL−G1−2C18又はC4−DL−G1−2C18を含む核酸導入用組成物による細胞へのルシフェラーゼ遺伝子の導入効率を、ルシフェラーゼアッセイにより評価したときのグラフである。 C0−DL−G1−2C18、C2−DL−G1−2C18、C3−DL−G1−2C18又はC4−DL−G1−2C18を含む核酸導入用組成物の細胞毒性を、MTTアッセイにより評価したときのグラフである。 C2−DL−G1−2C18−U2、C3−DL−G1−2C18−U2又はC4−DL−G1−2C18−U2を含む核酸導入用組成物による細胞へのルシフェラーゼ遺伝子の導入効率を、ルシフェラーゼアッセイにより評価したときのグラフである。 C2−DL−G1−2C18−U2、C3−DL−G1−2C18−U2又はC4−DL−G1−2C18−U2を含む核酸導入用組成物の細胞毒性を、MTTアッセイにより評価したときのグラフである。 C4−DL−G1−2C18を単独又はC0−DL−G1−2C18と組み合わせて含む核酸導入用組成物による細胞へのルシフェラーゼ遺伝子の導入効率を、ルシフェラーゼアッセイにより評価したときのグラフである。 C4−DL−G1−2C18又はC0−DL−G1−2C18をそれぞれ単独又は組み合わせて含む核酸導入用組成物と、プラスミドDNAとの複合体を原子間力顕微鏡で観察したときの写真である。
[1.核酸導入用組成物]
本発明の核酸導入用組成物(以下、単に「組成物」ともいう)は、下記式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物を含む。
DL−G1:R12NX(YH22
DL−G2:R12NX(Y(YH222
DL−G3:R12NX(Y(Y(YH2222
DL−G4:R12NX(Y(Y(Y(YH22222
(式中、
Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N<であり;
Yは、−CH2CH2CONH(CH2nN<であり;
nは、0〜6の整数(但し、2を除く)であり;
1及びR2は、互いに同一であるか又は異なって、飽和若しくは不飽和の長鎖脂肪族基である。)
本明細書において、「核酸導入用組成物」とは、単独で核酸を対象の細胞に導入できる化合物と、単独では核酸を細胞へは導入できないが、核酸の導入を補助して導入効率を向上させ得る化合物との両方又はいずれか一方を含むことを意図する。
本発明の組成物に含まれる上記の化合物は、デンドロン(樹状)部分及び2本の脂肪族基の鎖を有するポリアミドアミンデンドロン脂質である。なお、上記の式において、「DL」とは「デンドロン脂質」の略称を意味している。また、末端に2つのアミノ基を有する構造の化合物を第1世代(G1)と規定し、以降、枝分かれの段階に応じて第2世代(G2)、第3世代(G3)及び第4世代(G4)と規定する。
上記の式で表される化合物において、Yは、該化合物のデンドロン部分の構成単位を示す。また、nは、Yで示される構成単位の炭素数に関与する。
本明細書において、上記の式DL−G1〜DL−G4においてnが0であるとき、DL−G1〜DL−G4で表される各化合物を、それぞれC0−DL−G1、C0−DL−G2、C0−DL−G3及びC0−DL−G4と称する。以降、これと同様にして、nの値に応じて「C3−」、「C4−」、「C5−」又は「C6−」という語を各化合物の名称に付す。
なお、nが2である式DL−G1〜DL−G4で表される化合物は、本発明者らが本願出願時以前に開発した化合物である(特許文献1及び2参照)。本明細書において、これらの化合物をそれぞれC2−DL−G1、C2−DL−G2、C2−DL−G3及びC2−DL−G4と称する。
上記の式DL−G1〜DL−G4で表される化合物は、当該技術において公知の方法により製造できる。そのような方法としては、例えば、出発原料である第2級アミンR12NHに、アクリル酸エステルを反応させるマイケル付加反応と、ジアミノアルカンを用いるエステルアミド交換反応とにより第0世代のアミド化合物を得て、マイケル付加反応及びエステルアミド交換反応を繰り返す方法が挙げられる(Tomalia, D.ら、Polym. J. 17、117〜132 (1985);Frechet, J. M. J., Tomalia, D. A.編、(2001) Dendrimers and other dendritic polymers, J. Wiley & Sons, West Sussexを参照)。より具体的な例としては、得られた第0世代のアミド化合物とアクリル酸エステルとを反応させ、得られた化合物とヒドラジン又は炭素数3〜6のジアミノアルカンのいずれかとを反応させることにより、nが0及び3〜6の第1世代のポリアミドアミンデンドロン脂質が得られる。すなわち、上記の式DL−G1〜DL−G4において、nの値は、上記の化合物の合成に用いられるジアミノアルカンの炭素数に依存する。nが0である化合物は、上記のとおり、炭素数が0であるヒドラジンが用いられている。
なお、第2級アミン、アクリル酸エステル、ヒドラジン及び炭素数3〜6のジアミノアルカンはいずれも市販されており、一般に入手可能である。
該ポリアミドアミンデンドロン脂質の製造方法の一例として、図1に合成のスキームに示す。
本発明の好ましい実施形態においては、核酸導入用組成物は、nが0、3又は4である式DL−G1〜DL−G4で表される化合物を含む。
本発明の実施形態において、上記の化合物は、その末端のアミノ基の2つの水素原子のうち、いずれか1つを疎水性アミノ酸で置換してもよい。そのような疎水性アミノ酸としては、例えばロイシン、バリン、イソロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン、チロシンなどが挙げられる。
本明細書において、飽和長鎖脂肪族基及び不飽和長鎖脂肪族基を総称して「長鎖脂肪族基」という。
本発明の実施形態において、上記の式のR1及びR2に該当する長鎖脂肪族基は、天然由来の基でもよく、天然由来の基を修飾した基でもよく、又は人工的に合成された基でもよい。また、長鎖脂肪族基は、直鎖であってもよいし、又は分岐を有する鎖であってもよい。なお、長鎖脂肪族基における主鎖は、IUPAC命名法に基づいて決定されるか、或いはそれが困難であるか又は不可能な場合は当該命名法に準ずる方法に基づいて決定される。
本発明の実施形態において、長鎖脂肪族基の長さは、その主鎖の炭素数が6以上であれば特に限定されないが、好ましくは主鎖の炭素数が8〜30であり、より好ましくは10〜22であり、さらに好ましくは12〜20である。
長鎖脂肪族基は、その炭化水素基において少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。ここで、ヘテロ原子とは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種以上の原子をいう。
したがって、本発明の実施形態において、長鎖脂肪族基は、例えば、炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基及び硫黄含有炭化水素基などが挙げられる。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基が挙げられる。
酸素含有炭化水素基としては、例えば、エーテル結合及びカルボニル結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を有する酸素含有炭化水素基が挙げられる。カルボニル結合を有する酸素含有炭化水素基としては、例えば、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、エノン、酸塩化物又は無水物などからなる群より選択される少なくとも1種の構造を有する基が挙げられる。
窒素含有炭化水素基としては、例えば、ニトリル、アミン、アミド及びイミドからなる群より選択される少なくとも1種の構造を有する窒素含有炭化水素基が挙げられる。
硫黄含有炭化水素基としては、例えば、チオール、チオエーテル、チオアセタール、スルフィド、ジスルフィド、ジチオカルボン酸、チオエステル、チオケトン、チオアルデヒド、チオカルバメート、チオウレタン、ホスフィンスルフィド、チオホスフェート、チオホスホネート、スルホネート、スルホン及びスルホンアミドからなる群より選択される少なくとも1種の結合を有する硫黄含有炭化水素基が挙げられる。
長鎖脂肪族基は、上述した構造の基において、さらに少なくとも1つの置換基を有していてもよい。そのような置換基としては疎水性を示す基が好ましく、例えば、フェニル基、コレステリル基及びピレニル基などが挙げられる。それらの中でも、コレステリル基がより好ましい。
本発明の実施形態において、R1及びR2の両方又はいずれか一方が飽和長鎖脂肪族基である場合、当該基としては炭素数6〜20のアルキル基が好ましい。そのようなアルキル基としては、例えば、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、オクチル、ビス(2−エチルヘキシル)、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシルなどが挙げられる。
本発明の実施形態において、R1及びR2の両方又はいずれか一方が不飽和長鎖脂肪族基である場合、当該基としては、その主鎖が不飽和結合を有しており、かつ主鎖が鎖状構造を有する基が好ましい。
不飽和長鎖脂肪族基における不飽和結合の種類は、二重結合及び三重結合のいずれであってもよいが、好ましくは二重結合である。不飽和結合の数は、少なくとも1つであればよく、限定されない。また、不飽和長鎖脂肪族基は、二重結合及び三重結合の両方を有していてもよいが、二重結合を1つ有していることが好ましい。
二重結合としては、シス型二重結合及びトランス型二重結合のいずれであってもよいが、シス型二重結合が好ましい。
本発明の好ましい実施形態において、不飽和長鎖脂肪族基としては、例えば、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、オクタデカジエニル基、オクタデカトリエニル基、イコサトリエニル基、イコサテトラエニル基、オクタデカトリエニル基、イコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基などが挙げられる。
より好ましい不飽和長鎖脂肪族基としては、9-ヘキサデセニル基、9-オクタデセニル基(オレイル基)、12-オクタデカジエニル基、6,9,12-オクタデカトリエニル基、8,11,14-イコサトリエニル基、5,8,11,14-イコサテトラエニル基、9,12,15−オクタデカトリエニル基、5,8,11,14,17−イコサペンタエニル基、又は4,7,13,16,19−ドコサヘキサエニル基が挙げられる。それらの中でも、9-オクタデセニル基がさらに好ましい。例えば、上記の式において、R1が9-オクタデセニル基であるとき、R2の例としてはオクタデシル基、9-オクタデセニル基などが挙げられる。
本発明の実施形態においては、上記で例示した不飽和長鎖脂肪族基の構造中、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。そのような置換された不飽和長鎖脂肪族基としては、例えば、上記で例示した不飽和長鎖脂肪族基の構造中、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、又は硫黄含有炭化水素基を含む基が挙げられる。
不飽和長鎖脂肪族基の好適例としては、上に好適例として例示したような構造の基においてさらに少なくとも1つ以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、疎水性を示すものが好ましい。置換基としては、例えば、フェニル基、コレステリル基、及びピレニル基等が挙げられる。コレステリル基が好ましい。
上記の式DL−G1〜DL−G4で表される化合物のうち、本発明者らは、nが3である化合物、すなわち、C3−DL−G1、C3−DL−G2、C3−DL−G3及びC3−DL−G4が、核酸をより高い効率で導入できることを見出している。したがって、本発明の実施形態において、核酸導入用組成物は、nが3である上記の式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物を含むことがより好ましい。それらの中でも、C3−DL−G1が特に好ましい。
また、本発明者らは、上記の式DL−G1〜DL−G4で表される化合物のうち、nが0である化合物、すなわち、C0−DL−G1、C0−DL−G2、C0−DL−G3及びC0−DL−G4が、他のポリアミドアミンデンドロン脂質による核酸の導入効率を向上させる効果を奏することを見出している。したがって、本発明の別の実施形態においては、nが0である化合物と、nが2〜6の整数である化合物とを組み合わせて用いることができる。すなわち、nが0である上記の式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物と、nが2〜6の整数である上記の式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物とを含む核酸導入用組成物も本発明の範囲に含まれる。
本発明の好ましい実施形態において、核酸導入用組成物は、nが0である上記の式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物と、nが2、3又は4である上記の式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物とを含む。
なお、上記の式においてnが0である本発明の化合物と、それ以外の本発明の組成物との混合割合は、モル比で表して、通常1:5〜20、好ましくは1:8〜18、より好ましくは1:10〜15の範囲から適宜決定できる。
本発明の実施形態において、核酸導入用組成物は、上記のポリアミドアミンデンドロン脂質以外に、リン脂質をさらに含んでいてもよい。そのようなリン脂質としては、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファリジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、プラスマロゲン、ホスファチジン酸などが挙げられる。これらのリン脂質は、1種又は2種以上を組み合わせて、本発明の組成物に含有させることができる。それらの中でも、ホスファチジルエタノールアミン又はホスファリジルコリン、或いはそれらの組み合わせが好ましい。これらのリン脂質の脂肪酸残基は、特に限定されないが、炭素数12から18の飽和又は不飽和の脂肪酸残基を挙げることができる。より具体的には、リン脂質として、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレイル基等を挙げることができ、特にDOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)が好ましい。
本発明の組成物におけるリン脂質の配合量は特に限定されないが、例えば、リン脂質とポリアミドアミンデンドロン脂質の合計量を100重量部とした場合、リン脂質が30〜90重量部であり、ポリアミドアミンデンドロン脂質が70〜10重量部である。好ましくは、リン脂質が50〜80重量部であり、ポリアミドアミンデンドロン脂質が50〜20重量部である。より好ましくは、リン脂質が60〜70重量部であり、ポリアミドアミンデンドロン脂質が40〜30重量部である。
本発明の実施形態において、核酸導入用組成物は、コレステロールなどをさらに含んでいてもよい。
本発明の組成物の形態としては、上記のポリアミドアミンデンドロン脂質(DL−G1〜DL−G4)のみであってもよいし、該ポリアミドアミンデンドロン脂質と上記のリン脂質との単なる混合物であってもよいし、或いはポリアミドアミンデンドロン脂質とリン脂質とが脂質膜構造体を形成した状態であってもよい。本発明の実施形態において、核酸導入用組成物の形態としては、脂質又は脂質の混合物を乾燥させた形態、脂質膜構造体が水系溶媒に分散した形態、さらにこれを乾燥させた形態若しくは凍結させた形態などを挙げることができる。
脂質又は脂質の混合物を乾燥させた形態にある本発明の組成物は、例えば、使用する脂質成分をいったんクロロホルムなどの有機溶媒に溶解させ、得られた溶液を減圧乾固又は噴霧乾燥することにより得ることができる。
脂質膜構造体が水系溶媒に分散した形態としては、一枚膜リポソーム、多重層リポソーム、O/W型エマルション、W/O/W型エマルション、球状ミセル、ひも状ミセル、不定型の層状構造物などを挙げることができる。分散した状態の脂質膜構造体の大きさは、特に限定されないが、例えば、リポソーム又はエマルションの形態の場合には、粒子径が50 nmから数μmであり、球状ミセルの場合、粒子径が5〜50 nmである。ひも状ミセル又は不定型の層状構造物の形態の場合は、その1層あたりの厚みが5〜10 nmでこれらが層を形成していると考えればよい。
上記の水系溶媒(分散媒)としては水が用いられるが、必要に応じて、グルコース、乳糖、ショ糖などの糖水溶液、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコール水溶液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝化生理食塩液等の緩衝液、生理食塩水、細胞培養用の培地などを用いることができる。
このような水系溶媒中に分散した脂質膜構造体を安定に長期間保存するためには、凝集などの物理的安定性の面から、該水系溶媒中の電解質を極力なくすことが重要である。また、脂質の化学的安定性の面から、該水系溶媒のpHを弱酸性から中性付近(pH3.0〜8.0)に調整するか、又は窒素バブリングにより分散液から溶存酸素を除去することが重要である。さらに、本発明の組成物を凍結乾燥又は噴霧乾燥により保存する場合には糖水溶液を溶媒とし、凍結により保存する場合には、糖水溶液又は多価アルコール水溶液を溶媒として用いると、本発明の組成物を安定に保存可能である。
水以外の水系溶媒を用いる場合、その濃度は特に限定されないが、例えば、糖水溶液では、2〜20%(w/v)が好ましく、5〜10%(w/v)がより好ましい。また、多価アルコール水溶液では、1〜5%(w/v)が好ましく、2〜2.5%(w/v)がより好ましい。緩衝液を用いる場合は、緩衝剤の濃度が5〜50 mMが好ましく、10〜20 mMがより好ましい。
水系溶媒中の脂質膜構造体の濃度は、特に限定されないが、本発明においては脂質膜構造体に含まれるリン脂質の総量の濃度は、0.001〜100 mMが好ましく、0.01〜20 mMがより好ましい。
脂質膜構造体が水系溶媒に分散した形態は、上記の乾燥した脂質の混合物を水系溶媒に添加し、さらにホモジナイザーなどの乳化機、超音波乳化機、高圧噴射乳化機等により乳化することより製造することができる。また、リポソームを製造する方法として当該技術において公知の方法、例えば逆相蒸発法などによっても製造することもできる。脂質膜構造体の大きさを制御したい場合には、孔径のそろったメンブランフィルターなどを用いて、高圧下でイクストルージョン(押し出し濾過)を行えばよい。
上記の水系溶媒に分散した脂質膜構造体をさらに乾燥させる方法としては、通常の凍結乾燥、噴霧乾燥などを挙げることができる。このときに用いられる水系溶媒としては、上記のように、糖水溶液、好ましくはショ糖水溶液、乳糖水溶液が挙げられる。ここで、水系溶媒に分散した脂質膜構造体をいったん製造した上でさらに乾燥すると、脂質膜構造体の長期保存が可能となる。さらに、この乾燥した脂質膜構造体に核酸溶液を添加すると、効率よく脂質混合物が水和されるので、核酸自体も脂質膜構造体に保持させることができる。
本発明の核酸導入用組成物により対象に導入される核酸は、任意のポリペプチドであれば特に限定されず、DNA、RNA及びそれらのハイブリッドのいずれであってもよい。また、核酸は、当該技術において公知の方法により修飾及び/又は標識されていてもよい。さらに、核酸は直鎖状であってもよいし、環状であってもよい。そのような核酸の形態は、該核酸を導入された対象において所望の機能を発揮できる形態であれば特に限定されないが、例えば、興味対象のタンパク質をコードする遺伝子を組み込んだプラスミドベクター、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、アプタマー、デコイ核酸、siRNA、shRNAなどが挙げられる。
本発明の核酸導入用組成物をインビトロの実験系に適用する場合、核酸が導入される対象としては、動物細胞、植物細胞などの真核細胞、細菌などの原核細胞が挙げられる。動物細胞は、初代培養細胞及び株化細胞のいずれであってもよい。本発明の実施形態においては、核酸導入用組成物は、該組成物により核酸を導入した動物細胞を、動物に移植するエクスビボの実験系に適用することもできる。
また、本発明の核酸導入用組成物をインビボの実験系に適用する場合、核酸が導入される対象としては、当該技術において慣用される実験動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、サル、ニワトリ、ツメガエルなどが挙げられる。
本発明の核酸導入用組成物は、次のようにして使用することができる。まず、本発明の組成物と核酸とを所定の割合で混合して、リポプレックスを形成させる。ここで、「リポプレックス」とは、上記のポリアミドアミンデンドロン脂質(又は脂質膜構造体)と核酸との複合体を意味する。次いで、得られたリポプレックスを対象に適用する。より具体的には、対象が細胞である場合は該リポプレックスを培養培地に添加することにより、対象が動物である場合は該リポプレックスを適切な経路で投与することにより、リポプレックスを対象に適用できる。これにより、リポプレックスが対象の細胞に取り込まれ、核酸を該細胞内に導入することができる。
本発明の実施形態において、核酸導入用組成物として、上記のポリアミドアミンデンドロン脂質のみを用いる場合、核酸と該組成物との混合割合は、核酸1重量部に対し、組成物を1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部、より好ましくは5〜7重量部混合する。また、核酸導入用組成物として、ポリアミドアミンデンドロン脂質とリン脂質との混合物を用いる場合、核酸と該組成物の混合割合は、核酸1重量部に対し、組成物を1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは10〜15重量部使用する。
あるいは、上記の混合割合は、N/P比で規定してもよい。ここで、「N/P比」とは、核酸中のリン酸エステル基の数に対する、上記のポリアミドアミンデンドロン脂質の末端アミノ基の数の比である。本発明の実施形態において、核酸と本発明の組成物との混合割合は、N/P比で表して、通常1〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは4〜6の範囲から適宜決定できる。
本発明の実施形態において、核酸導入用組成物をインビボで対象に投与する場合、投与手段としては、経口投与及び非経口投与のいずれでもよいが、好ましくは非経口投与である。
本発明の組成物の剤形は、当該技術において公知の剤形であれば特に限定されない。例えば、経口投与の剤形としては、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤などを挙げることができる。また、非経口投与の剤形としては、例えば、注射剤、点眼剤、軟膏剤、坐剤などを挙げることができる。それらの中でも注射剤が好ましく、投与方法としては、対象の静脈に注射するか、又は対象の標的とする細胞もしくは臓器に局所注射することが好ましい。
[2.核酸導入用キット]
本発明の核酸導入用キット(以下、単に「キット」ともいう)は、本発明の核酸導入用組成物を含有するキットである。
本発明の一つの実施形態においては、本発明のキットが脂質又は脂質の混合物を乾燥させた形態にある本発明の組成物を含む場合、該キットは、適切な水系溶媒をさらに含んでいてもよい。この場合、本発明の組成物を、使用する直前に水系溶媒に分散させて用いることができる。
本発明の別の実施形態においては、本発明のキットの使用方法を記載した使用説明書、及び/又は核酸導入の陽性対照として用いられる核酸をさらに含んでいてもよい。そのような陽性対照として用いられる核酸としては、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、β−ガラクトシダーゼなどの当該技術において公知方法により簡便に検出可能なマーカータンパク質をコードする遺伝子が好ましい。
本発明の組成物がインビボで対象に投与する形態にある場合、本発明のキットは該組成物の投与を補助する用具をさらに含んでいてもよい。例えば、本発明の組成物が注射剤の形態にある場合、本発明のキットは注射器をさらに含んでいてもよい。
[3.核酸導入方法]
本発明の核酸導入方法(以下、単に「方法」ともいう)は、上記の本発明の核酸導入用組成物と核酸とを混合して、脂質と核酸との複合体を得る工程と、得られた複合体を、インビトロ又はインビボ(ただし、ヒトを除く)で対象に適用する工程とを含む。
本発明の方法では、まず、本発明の組成物と核酸とを所定の割合で混合してインキュベーションすることにより、脂質(ポリアミドアミンデンドロン脂質又は脂質膜構造体)と核酸との複合体であるリポプレックスを形成させる。このときのインキュベーションの時間は特に限定されないが、5〜60分間程度で十分である。
次いで、得られたリポプレックスをインビトロ又はインビボ(ただし、ヒトを除く)で対象に適用することにより、核酸を対象に導入することができる。具体的な操作は、本発明の組成物の使用方法について述べたことと同様である。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1: R 1 及びR 2 が飽和長鎖脂肪族基であるポリアミドアミンデンドロン脂質の合成
上記の式DL−G1において、R1及びR2がいずれもオクタデシル基であるポリアミドアミンデンドロン脂質を、以下のように製造した。なお、本実施例において、各化合物の名称中の「−2C18」は、該化合物がオクタデシル基を2つ有することを意味する。
(1-1)DL−G−0.5−2C18の合成
アクリル酸メチル(34.5 ml, 0.38 mmol:キシダ化学株式会社)にジオクタデシルアミン(1.94 g, 3.72 mmol:Fluka社)を溶解し、窒素雰囲気下、80℃で18時間還流した。その後、メタノール及び未反応のアクリル酸メチルを減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(Merck Kieselgel 60 (230-400 mesh)、展開溶媒:石油エーテル:ジエチルエーテル=2:1, v/v)により精製して、DL−G−0.5−2C18(化1)を得た。収量は2.18 g(収率96.5%)であった。得られた化合物の1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)を、図2に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 0.88 (m, CH3(CH2)15-), δ 1.23 (s, CH3(CH2)15-), δ 1.41 (m, -CH2CH2N-), δ 2.38 (t, -CH2COOCH3), δ 2.44 (t, -CH2N-), δ 2.77 (t, -CH2CH2COOCH3), δ 3.67 (s, -OCH3).
(1-2)DL−G0−2C18の合成
上記のDL−G−0.5−2C18(2.18g、3.59 mmol)をメタノール(60 ml)に溶解した。得られた溶液を、シアン化ナトリウム(40.3 mg、0.82 mmol:和光純薬工業株式会社)を含む蒸留して精製したエチレンジアミン(120 ml、1.77 mol:キシダ化学株式会社)に滴下して加え、窒素雰囲気下、50℃で7日間撹拌した。その後、メタノール及び未反応のエチレンジアミンを減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水=60/35/5, v/v)により精製して、DL−G0−2C18(化2)を得た。収量は1.71 g(収率74.9%)であった。得られた化合物の1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)を、図3に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 0.88 (m, CH3(CH2)15-), δ 1.26 (s, CH3(CH2)15-), δ 1.44 (m, -CH2CH2N-), δ 2.36 (t, -CH2CONH-), δ 2.42 (t, -CH2N-), δ 2.65 (t, -CH2CH2CONH-), δ 2.79 (t, -CH2NH2), δ 3.67 (m, -CH2CH2NH2).
(1-3)DL−G0.5−2C18の合成
上記のDL−G−0(1.71 g、2.71 mmol)をメタノール(30 ml)に溶解した。得られた溶液をアクリル酸メチル(48.5 ml、0.53 mol)に滴下して加え、窒素雰囲気下、35℃で50時間撹拌した。その後、メタノール及び未反応のアクリル酸メチルを減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:石油エーテル/ジエチルエーテル=2/1, v/v、のちクロロホルム/メタノール=9/1, v/v)により精製して、以下の化合物(化3)を得た。収量は1.85 g(収率97.7%)であった。得られた化合物の1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)を、図4に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 0.88 (m, CH3(CH2)15-), δ 1.26 (s, CH3(CH2)15-), δ 1.43 (m, -CH2CH2N-), δ 2.34 (t, -CH2CONH-), δ 2.42 (m, -CH2COOCH3), δ 2.44 (m, -CH2N-), δ 2.54 (t, -CONHCH2CH2-), δ 2.71 (t, -CH2CH2CONH-), δ 2.78 (t, -CH2CH2COOCH3), δ 3.29 (m, -CONHCH2-), δ 3.67 (s, -OCH3).
(1-4)C0−DL−G1−2C18の合成
上記のDL−G0.5−2C18(0.22 g、0.26 mmol)をメタノール(30 ml)に溶解した。得られた溶液を、シアン化ナトリウム(9.5 mg、0.19 mmol)を含むヒドラジン(6.1 ml)に滴下して加え、窒素雰囲気下、45℃で72時間撹拌した。その後、メタノール及び未反応のヒドラジンを減圧留去し、Spectra/Por 6(分画分子量2000, FE-0526-33:Spectrum Laboratories Inc.製)を用いた3日間の透析によって精製して、C0−DL−G1−2C18(化4)を得た。収量は198 mg(収率95.0%)であった。得られた化合物の1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)を、図5に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 0.88 (m, CH3(CH2)15-), δ 1.26 (s, CH3(CH2)15-), δ 1.42 (m, -CH2CH2N-),δ 2.32 (m, -CH2CONHNH2), δ 2.36 (m, -CH2CONH-), δ 2.42 (m, -CH2N-), δ 2.50 (t, -CONHCH2CH2-), δ 2.67 (t, -CH2CH2CONH-), δ 2.74 (t, -CH2CH2CONHNH2), δ 3.22 (m, -CONHCH2-).
(1-5)C2−DL−G1−2C18の合成
上記のDL−G0.5−2C18(1.8 g、2.3 mmol)をメタノール(61 ml)に溶解した。得られた溶液を、シアン化ナトリウム(9.5 mg、0.19 mmol)を含むエチレンジアミン(80 ml、1.2 mol)に滴下して加え、窒素雰囲気下、45℃で64時間撹拌した。その後、メタノール及び未反応のエチレンジアミンを減圧留去し、Sephadex LH-20カラム(溶離液:クロロホルム:GEヘルスケアジャパン株式会社)によって精製して、C2−DL−G1−2C18(化5)を得た。収量は1.9 g(収率97.0%)であった。得られた化合物の1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)を、図6に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 0.88 (m, CH3(CH2)15-), δ 1.26 (s, CH3(CH2)15-), δ 1.42 (m, -CH2CH2N-), δ 2.32 (m, -CH2CONHCH2CH2NH2), δ 2.36 (m, -CH2CONH-), δ 2.42 (m, -CH2N-), δ 2.50 (t, -CONHCH2CH2-), δ 2.67 (t, -CH2CH2CONH-), δ 2.74 (t, -CH2CH2CONHCH2CH2NH2), δ 2.83 (t, -CH2NH2), δ 3.22 (m, -CONHCH2-), δ 3.29 (m, -CH2CH2NH2).
(1-6)C3−DL−G1−2C18の合成
上記のDL−G0.5−2C18(0.54 g、0.65 mmol)をメタノール(50 ml)に溶解した。得られた溶液を、シアン化ナトリウム(9.5 mg、0.19 mmol)を含む1, 3-ジアミノプロパン(25 ml:アルドリッチ社)に滴下して加え、窒素雰囲気下、室温で48時間撹拌した。その後、メタノール及び未反応の1, 3-ジアミノプロパンを減圧留去し、Spectra/Por 6(分画分子量2000, FE-0526-33:Spectrum Laboratories Inc.製)を用いた4日間の透析によって精製して、C3−DL−G1−2C18(化6)を得た。収量は350 mg(収率60.5%)であった。得られた化合物の1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)を、図7に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 0.88 (m, CH3(CH2)15-), δ 1.26 (s, CH3(CH2)15-), δ 1.42 (m, -CH2CH2N-),δ 1.68 (m, -CH2CH2NH2), δ 2.17 (m, -NH2), δ 2.32 (m, -CH2CONHCH2CH2CH2NH2), δ 2.36 (m, -CH2CONH-), δ 2.42 (m, -CH2N-), δ 2.50 (t, -CONHCH2CH2-), δ 2.67 (t, -CH2CH2CONH-), δ 2.74 (t, -CH2CH2CONHCH2CH2CH2NH2), δ 2.83 (t, -CH2NH2), δ 3.22 (m, -CONHCH2-), δ 3.29 (m, -CH2CH2CH2NH2).
(1-7)C4−DL−G1−2C18の合成
上記のDL−G0.5−2C18(0.70 g、0.87 mmol)をメタノール(50 ml)に溶解した。得られた溶液を、シアン化ナトリウム(18 mg、0.23 mmol)を含む1, 4-ジアミノブタン(27.3 ml、0.31 mol:アルドリッチ社)に滴下して加え、窒素雰囲気下、45℃で72時間撹拌した。その後、メタノール及び未反応の1, 4-ジアミノブタンを減圧留去し、Sephadex LH-20カラム(溶離液:メタノール)による精製及びSpectra/Por 6(分画分子量2000, FE-0526-33:Spectrum Laboratories Inc.製)を用いた4日間の透析によって精製して、C4−DL−G1−2C18(化7)を得た。収量は0.66 g(収率78.2%)であった。得られた化合物の1H NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3)を、図8に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 0.88 (m, CH3(CH2)15-), δ 1.26 (s, CH3(CH2)15-), δ 1.42 (m, -CH2CH2N-),δ 1.56 (m, -CH2CH2CH2CH2NH2), δ 1.56 (m, -CH2CH2CH2CH2NH2), δ 2.32 (m, -CH2CONHCH2CH2CH2CH2NH2), δ 2.36 (m, -CH2CONH-), δ 2.42 (m, -CH2N-), δ 2.50 (t, -CH2NH2), δ 2.67 (t, -CH2N-), δ 2.74 (t, -NHCH2CH2N-), δ 2.83 (t, -NHCH2CH2-), δ 3.22 (m, -NCH2CH2-), δ 3.29 (m, -CH2CH2CONH-).
上記(1-4)、(1-6)及び(1-7)で得られたポリアミドアミンデンドロン脂質(C0−DL−G1−2C18、C3−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18)を本発明の核酸導入用組成物に用いた。また、上記(1-5)で得られたポリアミドアミンデンドロン脂質(C2−DL−G1−2C18)は、本発明者らが本願出願時以前に開発した化合物であるので、後述する核酸導入の実施例では陽性対照として用いた。
実施例2: R 1 及びR 2 が不飽和長鎖脂肪族基であるポリアミドアミンデンドロン脂質の合成
上記の式DL−G1において、R1及びR2がいずれもオレイル基であるポリアミドアミンデンドロン脂質を、以下のように製造した。なお、本実施例において、各化合物の名称中の「−2C18−U2」は、該化合物がオレイル基を2つ有することを意味する。
(2-1)オレイルオレオイルアミドの合成
オレイルクロリド(7.78ml、20.0 mmol:アルドリッチ社)をジクロロメタン(100 ml)に溶解して、十分にN2ガス置換した。反応容器を氷水浴で冷やして撹拌しながら、これに、ジクロロメタン(50 ml)にオレイルアミン(9.40 ml、20.0 mmol:アルドリッチ社)及びトリエチルアミン(3.3 ml、0.024 mol:ナカライテスク株式会社)を溶解した溶液をゆっくりと滴下した。その後、窒素雰囲気下、室温で70時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をオープンカラムクロマトグラフィーにより分離精製した(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=2/1, v/v、充填材:シリカゲル)。得られた粗結晶を、エタノールを用いて-20℃で再結晶した。得られた白色の固体を常温で減圧乾燥して、オレイルオレオイルアミド(化8)を得た。収量は7.53 g(収率70.7%)であった。
(2-2)ジオレイルアミンの合成
上記のオレイルオレイルアミド(2.84 g、5.33 mmol)をテトラヒドロフラン(THF) (80 ml)に溶解した。得られた溶液を、THF (80 ml)にリチウムアルミニウムヒドリド(LAH) (1.40g、37.0 mmol)を少しずつ加えて得た懸濁液にゆっくりと滴下した。その後、50℃で8日間攪拌した。反応終了後、吸引濾過して濾別したLAHを、THFで1回、クロロホルムで2回、エタノールで1回洗浄した。再びLAHを濾別し、溶媒を減圧留去した。その後、飽和食塩水で3回洗浄後、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。得られた粗生成物をオープンカラムクロマトグラフィーにより分離精製した(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=2/1, v/v、のちクロロホルム/メタノール=9/1, v/v、充填材:シリカゲル)。得られた黄色の油状物質を常温で減圧乾燥して、ジオレイルアミン(化9)を得た。収量は1.59 g(収率58.2%)であった。
(2-3)DL−G−0.5−2C18−U2の合成
上記のジオレイルアミン(1.59 g、3.07 mmol)を、アクリル酸メチル(28 ml、0.31 mol)に溶解して、窒素雰囲気下、70℃で攪拌した。反応開始後48時間及び136時間において、アクリル酸メチルを14 mlずつ追加した(合計56 ml)。反応終了後(168時間)、未反応のアクリル酸メチルを減圧留去し、得られた粗生成物をオープンカラムクロマトグラフィーにより分離精製した(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=2/1, v/v、充填材:シリカゲル)。得られた黄色の油状物質を常温で減圧乾燥して、DL−G−0.5−2C18−U2(化10)を得た。収量は1.42 g(収率76.6%)であった。
(2-4)DL−G0−2C18−U2の合成
上記のDL−G−0.5−2C18−U2(1.42 g、2.35 mmol)をメタノール(100 ml)に加熱溶解した。得られた溶液を、シアン化ナトリウム(25.4 mg、0.52 mmol)を含むエチレンジアミン(70 ml、1.05 mol)にゆっくりと滴下した。その後、窒素雰囲気下、70℃で7日間撹拌した。反応終了後、メタノール及び未反応のエチレンジアミンを減圧留去し、得られた粗生成物をオープンカラムクロマトグラフィーにより分離精製した(展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水=60/35/5, v/v、充填材:シリカゲル)。得られた黄色のペースト状物質を常温で減圧乾燥して、DL−G0−2C18−U2(化11)を得た。収量は0.45 g(収率30.3%)であった。
(2-5)DL−G0.5−2C18−U2の合成
上記のDL−G0−2C18−U2(0.45 g、0.71 mmol)をメタノール(45 ml)に加熱溶解した。得られた溶液を、アクリル酸メチル(30 ml、0.33 mol)にゆっくりと滴下した。その後、窒素雰囲気下、45℃で48時間還流した。反応終了後、メタノール及び未反応のアクリル酸メチルを減圧留去し、得られた粗生成物をオープンカラムクロマトグラフィーにより分離精製した(展開溶媒:石油エーテル/酢酸エチル=10/3, v/v、のちクロロホルム/メタノール=4/1, v/v、充填材:シリカゲル)。得られた黄色の油状物質を常温で減圧乾燥して、DL−G0.5−2C18−U2(化12)を得た。収量は0.45 g(収率78.8%)であった。
(2-6)C0−DL−G1−2C18−U2の合成
上記のDL−G0.5−2C18−U2(0.20 g、0.25 mmol)をメタノール(30 ml)に溶解した。得られた溶液を、シアン化ナトリウム(12.5 mg、0.25 mmol)を含むヒドラジン(4ml)に滴下して加え、窒素雰囲気下、50℃で110時間撹拌した。その後、メタノール及び未反応のヒドラジンを減圧留去し、Spectra/Por 6(分画分子量2000, FE-0526-33:Spectrum Laboratories Inc.製)を用いた3日間の透析によって精製して、C0−DL−G1−2C18−U2(化13)を得た。収量は0.13 g(収率66%)であった。
(2-7)C2−DL−G1−2C18−U2の合成
上記のDL−G0.5−2C18−U2(0.40 g、0.50 mmol)をメタノール(30 ml)に溶解した。得られた溶液を、シアン化ナトリウム(12.5 mg、0.25 mmol)を含むエチレンジアミン(20 ml、0.3 mol)に滴下して加え、窒素雰囲気下、50℃で50時間撹拌した。その後、メタノール及び未反応のエチレンジアミンを減圧留去し、Sephadex LH-20カラム(溶離液:クロロホルム)によって精製して、C2−DL−G1−2C18−U2(化14)を得た。収量は0.37 g(収率87.6%)であった。
(2-8)C3−DL−G1−2C18−U2の合成
上記のDL−G0.5−2C18−U2(0.33 g、0.41 mmol)をメタノール(30 ml)に溶解した。得られた溶液を、1, 3-ジアミノプロパン(16 ml:アルドリッチ社)に滴下して加え、窒素雰囲気下、70℃で168時間撹拌した。その後、メタノール及び未反応の1, 3-ジアミノプロパンを減圧留去し、Spectra/Por 6(分画分子量2000, FE-0526-33:Spectrum Laboratories Inc.製)を用いた4日間の透析によって精製して、C3−DL−G1−2C18−U2(化15)を得た。収量は0.28 g(収率78.5%)であった。
(2-9)C4−DL−G1−2C18−U2の合成
上記のDL−G0.5−2C18−U2(0.20 g、0.25 mmol)をメタノール(30 ml)に溶解した。得られた溶液を、シアン化ナトリウム(12.5 mg、0.25 mmol)を含む1, 4-ジアミノブタン(12 ml、0.11 mol:アルドリッチ社)に滴下して加え、窒素雰囲気下、70℃で144時間撹拌した。その後、メタノール及び未反応の1, 4-ジアミノブタンを減圧留去し、Sephadex LH-20カラム(溶離液:メタノール)による精製及びSpectra/Por 6(分画分子量2000, FE-0526-33:Spectrum Laboratories Inc.製)を用いた4日間の透析によって精製して、C4−DL−G1−2C18−U2(化16)を得た。収量は0.11 g(収率48%)であった。
上記(2-6)、(2-8)及び(2-9)で得られたポリアミドアミンデンドロン脂質(C0−DL−G1−2C18−U2、C3−DL−G1−2C18−U2及びC4−DL−G1−2C18−U2)を本発明の核酸導入用組成物に用いた。また、上記(2-7)で得られたポリアミドアミンデンドロン脂質(C2−DL−G1−2C18−U2)は、本発明者らが本願出願時以前に開発した化合物であるので、後述する核酸導入の実施例では陽性対照として用いた。
実施例3: ポリアミドアミンデンドロン脂質とDNAとの複合体形成
上記(1-4)〜(1-7)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質の、DNAとの複合体形成能を、アガロース電気泳動により検討した。
(3-1)リポプレックスの調製
上記(1-4)〜(1-7)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質のクロロホルム溶液から、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去して、脂質薄膜を形成させた。ここにPBSを加えて、超音波照射装置を用いて超音波を2分間照射し、核酸導入用組成物としての脂質分散液を調製した。次に、20 mM Tris-HClのプラスミドDNA溶液(1μg/50μl)と種々の濃度の脂質分散液(50μl)とを混合し、室温で30分間インキュベーションして、リポプレックスを得た。なお、プラスミドDNAとポリアミドアミンデンドロン脂質との混合比(N/P比)は、0.4、0.8、1.2、1.6、2.0、2.4、2.8、3.2、3.6及び4.0とした。
(3-2)アガロース電気泳動
上記の各リポプレックスを、0.6 wt%アガロースゲルのウェルにアプライし、40 mM Tris/20 mM NaOAc /2mM EDTA-2Naバッファー中において100 Vの電位下、30分間電気泳動を行った。泳動後、ゲルをルミノ・イメージアナライザーLAS-1000UVmini(FUJI Film社製)を用いて、ポリアミドアミンデンドロン脂質と複合体を形成しなかったDNA(遊離DNA)のバンドの蛍光強度を定量化した。ここでポリアミドアミンデンドロン脂質を加えなかったサンプルにおける遊離DNAのバンドの蛍光強度を100%として、種々のN/P比における遊離DNAの量を算出した。結果を図9に示す。
図9において、C0、C2、C3及びC4は、それぞれC0−DL−G1−2C18、C2−DL−G1−2C18、C3−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18を示す。図9より、C0−DL−G1−2C18及びC2−DL−G1−2C18は、DNAとの複合体形成能が低いことが示された。他方、C3−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18は、DNAとの複合体形成能が高いことが示された。
実施例4: 本発明の核酸導入用組成物を用いた核酸の導入(1)
上記(1-4)〜(1-7)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質から核酸導入用組成物を作製し、これらの核酸導入効率をルシフェラーゼアッセイにより検討した。
(4-1)リポプレックスの調製
上記(1-4)〜(1-7)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質のクロロホルム溶液から、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去して、脂質薄膜を形成させた。ここにPBSを加えて、超音波照射装置を用いて超音波を2分間照射し、核酸導入用組成物としての脂質分散液を調製した。次に、20 mM Tris-HClのプラスミドDNA溶液(1μg/50μl)と種々の濃度の脂質分散液(50μl)とを、N/P比が2、4、6又は8となるように混合し、室温で10分間インキュベーションして、リポプレックスを得た。なお、本実施例では、プラスミドDNAとして、ホタルルシフェラーゼをコードする遺伝子を有するpCMV-Luciferase(帝京大学 丸山一雄教授より提供された)を用いた。
(4-2)細胞への核酸の導入
ヒト子宮頸がん由来HeLa細胞を24ウェルディッシュに1ウェル当たり5.0×104個になるように撒き、10%FBS含有DMEM(0.5 ml/ウェル)中、37℃で一晩培養した。その後、細胞を、0.36 mM CaCl2及び0.42 mM MgCl2を含むPBS(以下、「PBS(+)」という)で2回洗浄した後、10%FBS含有DMEM(0.5 ml)を各ウェルに加えた。そして、1μgのプラスミドDNAを含むリポプレックス(100μl)を各ウェルに加え、37℃で4時間インキュベーションした。その後、PBS(+)で細胞を3回洗浄して、細胞に取り込まれていないリポプレックスを除去し、10%FBS含有DMEM(1ml)を各ウェルに加え、37℃で40時間培養した。なお、この実施例では、各導入条件についてn = 3で実験を行った。
(4-3)ルシフェラーゼアッセイによる遺伝子導入の評価
細胞をPBS(+)で2回洗浄し、さらにPBS(−)で1回洗浄した後、1ウェル当たり50μlの細胞溶解剤Luc-PGC-50(東洋インキ株式会社製)を加えて細胞を溶かした。得られた細胞溶解液を12000 rpmで2分間遠心分離し、その上清を回収した。まず、得られた上清中のルシフェラーゼの活性を、発光基質液を用いて定量した。具体的には、細胞溶解液から得た上清20μlと、ルシフェリン(13.5μg)を含む発光基質液95μlと、アルブミン溶液(5mg/ml) 5mlとを混合し、得られた混合液について、ルミノメーターLumatLB9507(ベルトールドジャパン社製)により20秒間の発光量を測定した。
なお、上記の発光基質液は、次のようにして調製した。まず、イオン交換水(200 ml)にトリシン(0.723 g)、炭酸マグネシウム(0.14 g)、硫酸マグネシウム(0.244 g)及びEDTA(7. 5 mg)を溶解させた。得られた溶液のうち174 mlをとり、これにDTT(0.90 g)、コエンザイムA(36.4 mg)、アデノシン三リン酸(ATP)(51.4 mg)、NaCl(1.4 g)、KCl(35 mg)、Na2HPO4(0.106 g)、KH2PO4(33.4 mg)及びルシフェリン水溶液(ルシフェリン(25 mg)を水(2ml)に溶解させた溶液)を加えて溶解させることによって調製した。
次に、上記の上清10μlにComassie Reagent を1000μl加えて混合し、得られた混合液の波長595 nm における吸光度を分光蛍光光度計 FP-6500(日本分光株式会社製)により測定した。そして、測定値からタンパク質濃度を算出した。得られた発光量及びタンパク質濃度から、タンパク質1mg当たりのルシフェラーゼ活性を算出した。結果を図9に示す。
図10において、C0、C2、C3及びC4は、それぞれC0−DL−G1−2C18、C2−DL−G1−2C18、C3−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18を示す。図10より、C2−DL−G1−2C18、C3−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18は、種々のN/P比にて細胞に核酸を導入できたことが示された。陽性対照であるC2−DL−G1−2C18と比較すると、特にC3−DL−G1−2C18が高い導入効率を示した。C4−DL−G1−2C18の核酸導入効率が比較的低いことは、C4−DL−G1−2C18はDNAとの複合体形成能が高いので、細胞内において該複合体からDNAが放出されにくいことが原因である可能性が考えられる。他方、C0−DL−G1−2C18は、単独では核酸を導入できないことが示唆された。これは、C0−DL−G1−2C18が、DNAとの複合体形成能が低いことに起因すると考えられる。
実施例5: 本発明の核酸導入用組成物の毒性評価(1)
上記(1-4)〜(1-7)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質から作製した核酸導入用組成物を用いて核酸を導入したときの細胞毒性をMTTアッセイにより検討した。
実施例4と同様にしてリポプレックスで処理し、40時間培養したHeLa細胞を、PBS(−)で1回洗浄した後、1ウェル当たり500μlの10% FBS含有DMEMを加えた。そして、30μlのMTT溶液(10 mg/ml in PBS(−):和光純薬工業株式会社)を各ウェルに加えて3時間インキュベーションした。その後、細胞をPBS(−)で1回洗浄し、各ウェルに500μlの0.1 M HCl含有イソプロパノール溶液を加えて、細胞膜を破壊した。さらにディッシュを軽く揺らして染色された細胞を溶解した。その後、各ウェルの溶解液について、マルチプレートリーダー(Perkin Elmer ARVOSX 1420 MULTI LABEL COUNTER)を用いて490 nmにおける吸光度を測定し、細胞生存率を算出した。結果を図11に示す。
図11において、C0、C2、C3及びC4は、それぞれC0−DL−G1−2C18、C2−DL−G1−2C18、C3−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18を示す。図11より、C2−DL−G1−2C18では、N/P比が増加するにしたがって細胞毒性が増加した。これに対して、C0−DL−G1−2C18、C3−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18では全てのN/P比において、細胞毒性が比較的低いことが示された。
実施例6: 本発明の核酸導入用組成物を用いた核酸の導入(2)
上記(2-7)〜(2-9)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質から核酸導入用組成物を作製し、これらの核酸導入効率をルシフェラーゼアッセイにより検討した。
(6-1)リポプレックスの調製
上記(2-7)〜(2-9)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質のクロロホルム溶液から、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去して、脂質薄膜を形成させた。ここにPBSを加えて、超音波照射装置を用いて超音波を2分間照射し、核酸導入用組成物としての脂質分散液を調製した。次に、20 mM Tris-HClのプラスミドDNA溶液(1μg/50μl)と脂質分散液(50μl)とを、N/P比が2となるように混合し、室温で10分間インキュベーションして、リポプレックスを得た。なお、プラスミドDNAとして、実施例4と同様にpCMV-Luciferaseを用いた。
(6-2)細胞への核酸の導入
HeLa細胞を24ウェルディッシュに1ウェル当たり5.0×104個になるように撒き、10%FBS含有DMEM(0.5 ml/ウェル)中、37℃で一晩培養した。その後、細胞をPBS(+)で2回洗浄した後、10%FBS含有DMEM(0.5 ml)を各ウェルに加えた。そして、1μgのプラスミドDNAを含むリポプレックス(100μl)を各ウェルに加え、37℃で4時間インキュベーションした。その後、PBS(+)で細胞を3回洗浄して、細胞に取り込まれていないリポプレックスを除去し、10%FBS含有DMEM(1ml)を各ウェルに加え、37℃で4、8、13又は19時間培養した。なお、この実施例では、各導入条件についてn = 4で実験を行った。
(6-3)ルシフェラーゼアッセイによる遺伝子導入の評価
リポプレックスで処理した細胞を、実施例4と同様にして、ルシフェラーゼ活性測定用サンプルと、タンパク質濃度測定用サンプルを調製した。得られた各サンプルについて、実施例4と同様にして発光量及び吸光度を測定した。得られた発光量及びタンパク質濃度から、タンパク質1mg当たりのルシフェラーゼ活性を算出した。結果を図12に示す。
図12において、C2、C3及びC4は、それぞれC2−DL−G1−2C18−U2、C3−DL−G1−2C18−U2及びC4−DL−G1−2C18−U2を示す。図12より、いずれのポリアミドアミンデンドロン脂質も、リポプレックス処理後の培地交換から19時間後において最も高い核酸導入効率を示した。また、19時間後において、C3−DL−G1−2C18−U2は、陽性対照のC2−DL−G1−2C18−U2よりも顕著に高い導入効率を示し、C4−DL−G1−2C18−U2は、C2−DL−G1−2C18−U2と同程度の導入効率を示した。
実施例7: 本発明の核酸導入用組成物の毒性評価(2)
上記(2-7)〜(2-9)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質から作製した核酸導入用組成物を用いて核酸を導入したときの細胞毒性をMTTアッセイにより検討した。
実施例6と同様にしてリポプレックスで処理し、19時間培養したHeLa細胞を、PBS(−)で1回洗浄した後、1ウェル当たり500μlの10% FBS含有DMEMを加えた。そして、30μlのMTT溶液(10 mg/ml in PBS(−))を各ウェルに加えて3時間インキュベーションした。その後、細胞をPBS(−)で1回洗浄し、各ウェルに500μlの0.1 M HCl含有イソプロパノール溶液を加えて、細胞膜を破壊した。さらにディッシュを軽く揺らして染色された細胞を溶解した。その後、各ウェルの溶解液について、マルチプレートリーダー(Perkin Elmer ARVOSX 1420 MULTI LABEL COUNTER)を用いて490 nmにおける吸光度を測定し、細胞生存率を算出した。結果を図13に示す。
図13において、C2、C3及びC4は、それぞれC2−DL−G1−2C18−U2、C3−DL−G1−2C18−U2及びC4−DL−G1−2C18−U2を示す。図13より、いずれのポリアミドアミンデンドロン脂質も、細胞毒性が比較的低いことが示された。
実施例8: 本発明の核酸導入用組成物を用いた核酸の導入(3)
実施例4において、核酸導入効果が認められなかったC0−DL−G1−2C18について、他のポリアミドアミンデンドロン脂質と併用した場合の効果を検討した。
(8-1)リポプレックスの調製
上記(1-4)及び(1-7)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質のクロロホルム溶液から、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去して、脂質薄膜を形成させた。ここにPBSを加えて、超音波照射装置を用いて超音波を2分間照射し、脂質分散液を調製した。そして、C4−DL−G1−2C18の脂質分散液(C4)とC0−DL−G1−2C18の脂質分散液(C0)とを、種々の比率で混合して、核酸導入用組成物とした。混合比(C4:C0)は、モル比で表して4:1、10:1及び15:1とした。また、対照として、C4−DL−G1−2C18の脂質分散液を単独で用いた。20 mM Tris-HClのプラスミドDNA溶液(1μg/50μl)と種々の濃度の脂質分散液(50μl)とを、N/P比が4、6又は8となるように混合し、室温で10分間インキュベーションして、リポプレックスを得た。
(8-2)細胞への核酸の導入
HeLa細胞を24ウェルディッシュに1ウェル当たり5.0×104個になるように撒き、10%FBS含有DMEM(0.5 ml/ウェル)中、37℃で一晩培養した。その後、細胞を、PBS(+)で2回洗浄した後、10%FBS含有DMEM(0.5 ml)を各ウェルに加えた。そして、1μgのプラスミドDNAを含むリポプレックス(100μl)を各ウェルに加え、37℃で4時間インキュベーションした。その後、PBS(+)で細胞を3回洗浄して、細胞に取り込まれていないリポプレックスを除去し、10%FBS含有DMEM(1ml)を各ウェルに加え、37℃で40時間培養した。なお、この実施例では、各導入条件についてn = 2で実験を行った。
(8-3)ルシフェラーゼアッセイによる遺伝子導入の評価
リポプレックスで処理した細胞を、実施例4と同様にして、ルシフェラーゼ活性測定用サンプルと、タンパク質濃度測定用サンプルを調製した。得られた各サンプルについて、実施例3と同様にして発光量及び吸光度を測定した。得られた発光量及びタンパク質濃度から、タンパク質1mg当たりのルシフェラーゼ活性を算出した。結果を図14に示す。
図14より、C4−DL−G1−2C18とC0−DL−G1−2C18とを10〜15:1の比率で混合して用いた場合、いずれのN/P比においても、C4−DL−G1−2C18を単独で用いた場合よりも核酸導入効率が向上した。これは、C0−DL−G1−2C18が、C4−DL−G1−2C18のDNAとの複合体形成能を調節し、プロトンスポンジ効果を高めることによると考えられる。よって、C0−DL−G1−2C18は単独では核酸を導入できないが、他のポリアミドアミンデンドロン脂質と併用することにより、そのポリアミドアミンデンドロン脂質の核酸導入効率を向上させ得ることが示された。
実施例9: ポリアミドアミンデンドロン脂質混合物とDNAとの複合体の形態観察
実施例8において、C4−DL−G1−2C18とC0−DL−G1−2C18との混合物を用いた場合のリポプレックスは、C0−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18を単独で用いた場合と形態が異なるか否かを検討した。
(9-1)リポプレックスの調製
上記(1-4)及び(1-7)で得られた各ポリアミドアミンデンドロン脂質のクロロホルム溶液から、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去して、脂質薄膜を形成させた。ここにPBSを加えて、超音波照射装置を用いて超音波を2分間照射し、脂質分散液を調製した。そして、C4−DL−G1−2C18の脂質分散液(C4)とC0−DL−G1−2C18の脂質分散液(C0)とを、種々の比率で混合して、核酸導入用組成物とした。混合比(C4:C0)は、モル比で表して2:1、4:1、10:1及び15:1とした。また、対照として、C4−DL−G1−2C18及びC4−DL−G1−2C18の脂質分散液をそれぞれ単独で用いた。20 mM Tris-HClのプラスミドDNA溶液(1μg/50μl)と種々の濃度の脂質分散液(50μl)とを、N/P比が2となるように混合し、室温で30分間インキュベーションして、リポプレックスを得た。
(9-2)原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope: AFM)による形態観察
上記の各リポプレックス(10μl)をマイカ基板に滴下し、30分沈着させた。その後、水分をろ紙でふき取り、観察用サンプルを得た。このサンプルを、SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニット(セイコーインスツルメント株式会社製)を用いて観察した。結果を図15に示す。
図15より、C4−DL−G1−2C18又はC4−DL−G1−2C18を単独で用いた場合は、リポプレックスの形状は球状であった。これに対して、C4−DL−G1−2C18とC4−DL−G1−2C18とを混合して用いた場合は、リポプレックスの形状はひも状に変化した。この形態変化が、C0−DL−G1−2C18の併用による核酸導入効率の向上に寄与している可能性が考えられる。

Claims (8)

  1. 下記式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物を含む核酸導入用組成物。
    DL−G1:R12NX(YH22
    DL−G2:R12NX(Y(YH222
    DL−G3:R12NX(Y(Y(YH2222
    DL−G4:R12NX(Y(Y(Y(YH22222
    (式中、
    Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N<であり;
    Yは、−CH2CH2CONH(CH2nN<であり;
    nは、0〜6の整数(但し、2を除く)であり;
    1及びR2は、互いに同一であるか又は異なって、飽和もしくは不飽和の長鎖脂肪族基である。)
  2. nが0、3又は4である前記式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物を含む請求項1に記載の組成物。
  3. nが3である前記式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物を含む請求項1又は2に記載の組成物。
  4. nが0である前記式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物と、nが2〜6の整数である前記式DL−G1〜DL−G4のいずれかで表される化合物とを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記長鎖脂肪族基が、炭素数10〜22の脂肪族基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. リン脂質をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を含有する核酸導入用キット。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物と核酸とを混合して、脂質と核酸との複合体を得る工程と、
    得られた複合体を、インビトロ又はインビボ(ただし、ヒトを除く)で対象に適用する工程と
    を含む核酸導入方法。
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CN103755923A (zh) * 2013-12-26 2014-04-30 江苏苏博特新材料股份有限公司 一种低温固化型脂肪族酰胺多胺环氧树脂固化剂及其制备方法

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