JP2013096272A - 密閉形圧縮機及び冷蔵庫 - Google Patents

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Kosaku Nakamura
考作 中村
Hiroshi Hirayama
平山  宏
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Abstract

【課題】組立性を損なわずに回転子のコア締結強度を強化してシャフトと回転子との締結部の長さを低減可能な回転子と電動式密閉形圧縮機を提供する。
【解決手段】電磁鋼板を積層してリベットで締結を行った回転子鉄心に、複数個の永久磁石を埋め込んだ磁石埋め込み形回転子において、前記リベットの一部区間の径を、前記電磁鋼板に設けたリベット挿入用の孔に対して圧入とすることで、回転子の締結強度が高まり、且つリベットの径を全て圧入とした際に生じる回転子組立性の悪化を低減することが出来るリベットを用いた回転子。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば、冷蔵庫等の家電製品に用いられる電動式密閉形圧縮機に関し、特に、かかる圧縮機の駆動源として用いられる永久磁石式電動機の回転子に関する。
冷蔵庫等に用いられる密閉形圧縮機では、その低速回転化に伴い、低速時の冷凍機油潤滑量を確保する為、内部の冷凍機油を汲み上げるための遠心ポンプの揚程を低減する構造が必要とされている。かかるポンプ揚程を低減する構造の一つとして、シャフトと回転子との締結部の長さを低減することが考えられる。しかしながら、前記締結長さを短縮するとシャフトと回転子の締結力が弱まり、前記回転子に荷重が加わった際に、振れ量の増大や空転などが発生する可能性があった。
そこで、従来技術として、例えば、以下の特許文献に開示された圧縮機の構造では、かかる問題を解決する為、その図3に示した回転子の断面構造において、当該回転子を上下方向で加締めて固定しているリベットの主軸径を増加させ、及び/又は、その本数を増加することにより、回転子の強度を最適な状態とすることが行われていた。
特開平08−219059号公報
しかしながら、上述した従来技術が示すように、リベットの主軸径や本数増加の対策を施そうとする場合、構造上の制約から、必ずしも十分な強度補強を図ることは難しく、更には、回転子内における電磁鋼板が占める割合が低下してしまうことから、回転子の性能低下を引き起こす恐れがあった。
また、前記の構造において、回転子の性能低下及び構造を変更せずに強度を向上させる為に、リベットを回転子のリベット孔に対して圧入とし、もって、前記回転子のコア材の締結強度を高める方法も既に知られているが、この場合、回転子の組立性の悪化が著しいという問題点が存在していた。
そこで、本発明は、上述した従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、組立性の悪化を低減させることなく、すなわち、回転子自体の構造を変更せずに回転子の機械的強度を向上させることが可能な回転子の構造を提案し、加えて、当該回転子を採用した密閉形圧縮機を提供することにある。
上記目的を達成する為に、本発明によれば、密閉容器内に電動要素と圧縮要素とを備え、前記電動要素は、ティースとスロットを形成した固定子鉄心と、当該ティースの周囲に巻かれた電機子巻線からなる固定子と、電磁鋼板を積層してリベットで締結した回転子鉄心と、当該回転子鉄心の内部に埋め込まれた複数の永久磁石と、前記回転子鉄心の下部回転中心には、クランクシャフトを挿入して固定するためのシャフト締結部が形成された回転子と、を備えた密閉形圧縮機において、前記リベットは、前記回転子鉄心の軸長とほぼ等しい長さを有すると共に、それぞれ径の異なる、圧入区間と隙間嵌め区間とを備えており、当該リベットは、前記回転子鉄心の回転軸方向において、前記圧入区間が前記シャフト締結部に対応して位置するよう、前記回転子鉄心のリベット挿入用の孔に挿入されている密閉形圧縮機が提案されている。
また、本発明によれば、前記に記載した密閉形圧縮機において、前記リベットには、前記圧入区間と前記隙間嵌め区間とを連続的に形成され、又は、前記圧入区間と前記隙間嵌め区間との間がテーパ形状に形成されていてもよい。更に、前記に記載した密閉形圧縮機において、前記リベットの前記圧入区間は、前記クランクシャフトが挿入して固定される前記シャフト締結部の軸長の半分以上となっていることが好ましく、又は、前記リベットには、前記圧入区間と前記隙間嵌め区間とが、その頭部側根元から順に形成されており、かつ、前記リベットは、前記回転子鉄心の下部から挿入されていることが好ましい。
以上に述べた本発明によれば、組立性の悪化を低減させることなく、回転子の機械的強度を向上させることが可能となり、当該回転子を採用した密閉形圧縮機によれば、シャフトと回転子との締結部の長さを低減して内部の冷凍機油を汲み上げるための遠心ポンプの揚程を低減することが可能となり、加えて、回転子に荷重が加わった際にも振れ量の増大や空転などが発生することがなく、騒音を低減する共に、冷却効率を向上することが出来る。
本発明の一実施の形態になる密閉形圧縮機の詳細構造を示す断面図である。 上記密閉形圧縮機を構成する永久磁石電動機の内部構成を示すための径方向の断面図である。 上記永久磁石電動機の回転子の構造を示すための径方向の断面図である。 上記永久磁石電動機の回転子の鉄心構造を示す一部断面を含む斜視図である。 上記回転子鉄心を構成する電磁鋼板を積層・固定するためのリベットの詳細構造を示す側面図である。 本発明になるリベットの変形例の詳細構造を示す側面図である。 本発明になるリベットの他の変形例の詳細構造を示す側面図である。 本発明の密閉形圧縮機を採用した冷蔵庫の断面である。
以下、本発明の一実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1は、本発明の一実施の形態になる冷蔵庫等に用いられる電動式の密閉形圧縮機の構成を示す断面図であり、この図において、密閉形圧縮機50は、圧縮要素30と電動要素40とを密閉容器15内に上下に配置すると共に、クランクシャフト16で連結した、所謂、レシプロ型圧縮機として構成されている。圧縮要素30及び電動要素40は、密閉容器15に弾性的に支持されている。
圧縮要素30は、シリンダ室を形成するシリンダ17と、シリンダ室内を往復動するピストン18と、このピストン18を駆動するコネクティングロッド19と、シリンダ端面に組立てられる多数の部品を備えて構成されている。シリンダ17は、軸受部17a及びフレーム17bを一体に成形している。ピストン18は、コネクティングロッド19を介してクランクピン16aに連結されており、クランクピン16aの偏心回転により、シリンダ17内を往復運動する。
電動要素40は、フレーム17bの下方に配置され、固定子2及び回転子3を備えており、所謂、電動機を構成している。固定子2はフレーム17bに固定され、回転子3はクランクシャフト16に固定されている。クランクシャフト16の上端部には、回転中心から偏心したクランクピン16aが設けられている。
クランクシャフト16は、軸受部17aを貫通してフレーム17bの下方から上方へ延伸しており、クランクピン16aがフレーム17bの上方側に位置するように設けられている。クランクシャフト16の下部は回転子3と直結しており、電動要素40の動力によってクランクシャフト16は回転される。クランクピン16aとピストン18との間はコネクティングロッド19で連結されており、クランクピン16a及びコネクティングロッド19を介してピストン18が往復動する構成となっている。
上述した構成を備えた密閉形圧縮機では、シリンダ17内に供給されたガス冷媒は、ピストン18の往復運動によって圧縮される。圧縮されたガス冷媒は、バルブプレートに設けられた吐出孔を経由し、吐出管へと送られる。吐出管へ送られた冷媒は、凝縮器,減圧機構,蒸発器を経て、再び圧縮機内へと戻される。圧縮機,凝縮器,減圧機構及び蒸発器により冷凍サイクルを形成している。なお、この冷凍サイクルでは、イソブタン(R600a)などの炭化水素系の冷媒(HC冷媒)が使用されている。
また、密閉容器15内には冷凍機油(潤滑油)が溜められており、クランクシャフト16の回転運動によるポンプ作用で引き上げられ、圧縮要素30の摺動部へと送られる構造となっている。
続いて、図2は、上記電動要素40を構成する永久磁石式電動機の径方向の断面図である。この図において、永久磁石電動機は、固定子2と回転子3から構成されており、回転子3は圧縮要素のシャフト16と締結されている。固定子2は、図に示すように、ティース4とスロット5を有する固定子鉄心6と、ティース4の周りに集中巻きで巻かれた電機子巻線7からなる。
図3は回転子の拡大図であり、この図からも明らかなように、回転子3は、複数の永久磁石挿入孔8を有する回転子鉄心9に永久磁石10が挿入されており、それぞれ、その回転軸に沿って形成された、シャフト16を挿入するためのシャフト挿入孔11と、回転子電磁鋼板固定用のリベット14を挿入するリベット挿入孔12から構成される。
更に、図4は、上記図3で示した回転子の断面を含む斜視図であり、回転子を形成する複数枚の電磁鋼板は積層され、かつ、その上下の端面を一対の回転子端板13で挟まれており、そして、当該回転子端板13を介してリベット14を加締めることにより、積層された電磁鋼板を一体に固定して回転子としている。
続いて、図5は、回転子を構成する複数枚の電磁鋼板を積層・固定するためのリベットの詳細構造を示す側面図であり、リベット14の形状を示している。リベット14は、回転子鉄心9の軸長とほぼ等しい長さを有すると共に、その軸径が二つの区間に、すなわち、A区間及びB区間とに分かれており、A区間では、リベット径がリベット挿入孔12に対して太く(d)、そのため、圧入される。他方、B区間はリベット挿入孔12の径(d)に対して僅かに細く(d<d<d)、そのため、隙間嵌めされる構造となっている。ここで、A区間の長さは、リベット頭部17の根元からシャフト締結部15までの長さの半分以上に設定されており、残りの区間をB区間とする。
上述した形状のリベット14により、回転子鉄心9を構成する複数枚の電磁鋼板を積層して固定することによれば、即ち、上記図4において、リベット14を、その頭部17をシャフト締結部15側にして(即ち、頭部17を下側にして)リベット挿入孔12に挿入し、更には、圧入(即ち、d<dとなっているB区間の挿入)することによれば、回転子鉄心9のシャフト締結部15の近傍における剛性(機械的強度)が高くなり(図4の右側のグラフを参照)、これにより、鋼板間の位置ずれを抑制することが可能となり、かつ、回転子の剛性向上にもつながることとなる。そして、回転子の剛性の向上によれば、回転子が高速回転する際、又は、圧縮機の組立時において回転子に荷重を印加した場合においても、当該回転子の変形量が抑制され、更には、その振れ量や空転の低減を図ることが出来る。
このことによれば、シャフトと回転子との締結部の長さを低減することが可能となり、換言すれば、内部の冷凍機油を汲み上げるための遠心ポンプの揚程を低減することが可能となる。特に、冷蔵庫等に用いられる密閉形圧縮機では、その低速回転化に伴い、低速時の冷凍機油潤滑量を確保することが必要とされており、上述した構造によれば、従来の構造を大幅に変更することなく、容易に、実現することが可能となる。なお、回転子の締結力が強まることから、回転子に荷重が加わった際にも、振れ量の増大や空転などが発生することはなく、騒音を低減する共に冷却効率を向上することが出来る。
また、A区間の長さとB区間の長さについては、上述したように、特に、シャフト締結部15の長さ「h」は、ポンプ揚程を低減するための構造として、出来る限りその長さを低減することが、一般的に、回転子の長さ(図4の「H」)とシャフト締結部15の長さ(図4の「h」)の比は、h/H=1/4〜1/7程度であることから、これに合わせて設定することが好ましい。より具体的には、A区間の長さは、シャフト締結部15の長さ「h」の略半分程度又はそれ以上になるように設定することが好ましい。このように、前記リベットは一部分が圧入区間となっている為、リベットの全長を圧入とした際と比較して、回転子とリベットの組立性の悪化が少ない。
更に、特に、リベット14のA区間での径(d)は、前記リベット挿入孔12の径(d)よりも大きいが、しかしながら、当該リベット14のA区間のリベット挿入孔12の圧入により、回転子鉄心9の内部に挿入された永久磁石10(上記図3を参照)に悪影響を与えない程度に設定することが好ましい。
図6には、上述した形状のリベットの変形例が示されており、この変形例になるリベット14’では、図からも明らかなように、A区間とB区間における径は、上記の例における階段状とは異なり、dからdに連続的に変化するように、即ち、テーパ形状に設定されている。なお、この変形例によれば、回転子鉄心9のシャフト締結部15の近傍における剛性は、下部に位置する程、高くなる。また、A区間とB区間における径が連続していることから、リベットの電磁鋼板のリベット挿入孔に対する挿入性を高めると共に、リベットを圧入するために必要な圧力(力)は、徐々に上昇することとなるが、その変動は少なく、そのため、組立性を向上させる効果がある。
図7には、上述した形状のリベットの他の変形例が示されており、この他の変形例になるリベット14”では、図からも明らかなように、それぞれ径の異なるA区間とB区間との間に、その径をdからdに連続的に変化するテーパ形状のC区間を設けたものである。この他の変形例によっても、上述した実施例と同様の効果が得られることは明らかであろう。加えて、この他の変形例によっても、リベットを圧入するために必要な圧力(力)の変動が少なく、その組立性を向上させる効果がある。
最後に、以上に詳述した密閉形圧縮機50を採用した冷蔵庫の縦断面図を図8に示す。即ち、冷蔵庫100を構成する筺体の一部、本例では、その奥下部に、密閉形圧縮機50が設置されている。そして、上述したように、その機械的強度が向上した回転子を備えた密閉形圧縮機50を採用することによれば、シャフトと回転子との締結部の長さを低減することにより、内部の冷凍機油を汲み上げるための遠心ポンプの揚程を低減することが可能となり、もって、回転子に荷重が加わった際にも振れ量の増大や空転などが発生することがなく、騒音を低減する共に、冷却効率を向上することが出来る。即ち、冷蔵庫100の消費電力を低減することが出来る。
2…固定子、3…回転子、8…永久磁石挿入孔、9…回転子鉄心、10…永久磁石、11…シャフト挿入孔、12…リベット挿入孔、14…リベット、15…シャフト締結部、17…リベット頭部、30…圧縮要素、40…電動要素、50…密閉形圧縮機。

Claims (6)

  1. 密閉容器内に電動要素と圧縮要素とを備え、
    前記電動要素は、
    ティースとスロットを形成した固定子鉄心と、当該ティースの周囲に巻かれた電機子巻線からなる固定子と、
    電磁鋼板を積層してリベットで締結した回転子鉄心と、当該回転子鉄心の内部に埋め込まれた複数の永久磁石と、前記回転子鉄心の下部回転中心には、クランクシャフトを挿入して固定するためのシャフト締結部が形成された回転子と、を備えた密閉形圧縮機において、
    前記リベットは、前記回転子鉄心の軸長とほぼ等しい長さを有すると共に、それぞれ径の異なる、圧入区間と隙間嵌め区間とを備えており、当該リベットは、前記回転子鉄心の回転軸方向において、前記圧入区間が前記シャフト締結部に対応して位置するよう、前記回転子鉄心のリベット挿入用の孔に挿入されていることを特徴とする密閉形圧縮機。
  2. 前記請求項1に記載した密閉形圧縮機において、前記リベットには、前記圧入区間と前記隙間嵌め区間とを連続的に形成されていることを特徴とする密閉形圧縮機。
  3. 前記請求項1に記載した密閉形圧縮機において、前記リベットには、前記圧入区間と前記隙間嵌め区間との間がテーパ形状に形成されていることを特徴とする密閉形圧縮機。
  4. 前記請求項1〜3の何れか1項に記載した密閉形圧縮機において、前記リベットの前記圧入区間は、前記クランクシャフトが挿入して固定される前記シャフト締結部の軸長の半分以上となっていることを特徴とする密閉形圧縮機。
  5. 前記請求項1〜3の何れか1項に記載した密閉形圧縮機において、前記リベットには、前記圧入区間と前記隙間嵌め区間とが、その頭部側根元から順に形成されており、かつ、前記リベットは、前記回転子鉄心の下部から挿入されていることを特徴とする密閉形圧縮機。
  6. 前記請求項1〜5の何れか1項に記載した密閉形圧縮機を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
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