以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、本発明を車両用の内燃機関に燃料を供給する燃料供給装置に適用したものである。
(第1の実施の形態)
まず、その燃料供給装置を搭載した車両の構成について説明する。
図1に示すように、車両1は、内燃機関2と、燃料供給装置3と、ECU(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)4とを備えている。
内燃機関2は、自動車に搭載される多気筒の内燃機関、例えば4サイクルガソリンエンジン(以下、エンジン2という)としている。エンジン2は、複数の気筒20と、各気筒20に対応する吸気ポート21および燃料消費部としてのインジェクタ22と、デリバリーパイプ23とを備えている。インジェクタ22は、例えばその噴孔側の端部22aを各気筒20に対応する吸気ポート21内に露出して設けられている。また、デリバリーパイプ23は、各インジェクタ22に連結されている。これにより、デリバリーパイプ23は、燃料供給装置3からの燃料を各インジェクタ22に分配するようになっている。
燃料供給装置3は、エンジン2の複数のインジェクタ22に燃料を圧送および供給するものであり、燃料タンク30と、燃料圧送機構31と、圧力制御装置32とを備えている。
燃料タンク30は、エンジン2で消費される燃料、例えばガソリンを貯留する。燃料タンク30は、内部にサブタンク30aを備えている。サブタンク30a内には、燃料圧送機構31の一部が配設されている。ここで、本明細書中で燃料タンク30とは、サブタンク30aをも含んだ総括的な意味で用い、例えば、燃料タンク30に貯留された燃料とはサブタンク30aに貯留された燃料をも含む意味とする。さらに、燃料タンク30は、エンジン2で遂次消費される燃料消費量分だけサブタンク30a内に燃料を導入する公知の図示しないジェットポンプを有している。
燃料圧送機構31は、燃料ポンプユニット40と、サクションフィルタ41と、燃料フィルタ42と、チェック弁43と、これらを連結する燃料管44と、燃料ポンプコントローラ(FPC)45とを備えている。燃料圧送機構31は、燃料タンク30に貯留された燃料をエンジン2の複数のインジェクタ22に圧送および供給するようになっている。
燃料ポンプユニット40は、例えばポンプ作動用の羽根車を有する燃料ポンプ40aと、その燃料ポンプ40aを回転駆動する内蔵直流モータであるポンプ駆動モータ40bとを有している。燃料ポンプユニット40は、そのポンプ駆動モータ40bへの通電を燃料ポンプコントローラ45を介してECU4により制御されることで駆動および停止されるようになっている。
燃料ポンプユニット40は、ポンプ駆動モータ40bの駆動により、燃料タンク30内から燃料を汲み上げ加圧して吐出することができるようになっている。また、燃料ポンプユニット40は、同一の供給電圧に対しそのポンプ駆動モータ40bの回転速度[rpm]を負荷トルクに応じて変化させたり、供給電圧の変化に対応してポンプ駆動モータ40bの回転速度を変化させたりすることができる。これにより、燃料ポンプユニット40は、単位時間当りの吐出量や吐出圧を変化させることができるようになっている。
サクションフィルタ41は、燃料ポンプユニット40の吸入口に設けられ、異物の吸入を阻止するようになっている。燃料フィルタ13は、燃料ポンプユニット40の吐出口に設けられ、吐出燃料中の異物を除去するようになっている。
チェック弁43は、燃料フィルタ13の上流側または下流側に設けられる逆止弁からなる。チェック弁43は、燃料ポンプユニット40からインジェクタ22側への燃料供給方向に開弁する一方、インジェクタ22側から燃料ポンプユニット40側への燃料の逆流方向には閉弁し、加圧された供給燃料の逆流を阻止するようになっている。
燃料ポンプコントローラ45は、燃料タンク30の上部に設けられている。燃料ポンプコントローラ45は、ECU4からのポンプ制御信号と、ポンプ駆動モータ40bの端子電圧を検出する図示しない電圧検出部の検出信号との偏差に応じて、燃料ポンプユニット40のポンプ駆動モータ40bに印加する電圧を制御するようになっている。
圧力制御装置32は、燃圧制御弁50および燃料切替弁70を備えている。
図2(a)に示すように、燃圧制御弁50は、ハウジング51と、調圧部材52と、コイルスプリング53と、外側筒状部材54と、内側筒状部材55とを備えている。燃圧制御弁50は、操作圧燃料の圧力切替により制御対象燃料(以下、単に燃料ともいう)の圧力を制御するようになっている。制御対象燃料は、燃料タンク30から供給されてインジェクタ22から噴射される燃料としている。ハウジング51は、一対の凹状の第1のハウジング部材56および第2のハウジング部材57をそれらの外周部でかしめ結合して形成されている。
第1のハウジング部材56は、燃料が導入される流体導入口51aと、その燃料が排出される流体排出口51bと、操作圧燃料が導入される操作圧導入孔51cと、操作圧導入孔51cに連通して操作圧燃料が導入される操作圧燃料導入通路65とを有している。第1のハウジング部材56の内部の空間は、調圧部材52に仕切られることにより、調圧室58を形成する。このため、調圧室58は、流体導入口51aに連通するとともに、操作圧燃料導入通路65を備えたものとなる。
第2のハウジング部材57は、少なくとも1つの大気圧導入穴57aを有している。第2のハウジング部材57の内部の空間は、調圧部材52に仕切られることにより、背圧室59を形成する。このため、流体導入口51aと、流体排出口51bと、操作圧導入孔51cとは、調圧部材52に対して調圧室58側に配置されている。調圧部材52は、調圧室58内の燃料圧力に応じ流体導入口51aと流体排出口51bとを連通させる。
調圧部材52は、隔壁状で、第1のハウジング部材56および第2のハウジング部材57に挟持されて支持されるとともに、ハウジング51の内部を調圧室58と背圧室59との2室に区画している。調圧部材52は、第1のハウジング56との間に流体導入口51aに連通する調圧室58を形成する隔壁部60と、調圧室58内の燃料圧に応じた開度で調圧室58を流体排出口51bに連通させる開弁方向に変位する可動弁体部61とを一体化して形成されている。
隔壁部60は、第1のハウジング部材56側で調圧室58内の燃料圧を常時受圧するようになっている。隔壁部60は、例えば燃料に対して劣化し難いゴム層を基布材料層として、これに他のゴム層を積層して一体的に接着してなる可撓性のダイヤフラムで構成されている。可動弁体部61は、隔壁部60の中央部に支持された例えば金属製の円板状の弁体プレートで構成されている。
コイルスプリング53は、背圧室59内に、可動弁体部61を調圧室58側、すなわち閉弁方向に付勢するように設けられている。
外側筒状部材54および内側筒状部材55は、調圧室58内に設けられている。外側筒状部材54および内側筒状部材55は、径を異にするとともに、可動弁体部61の移動方向を軸方向として同心に配置されている。内側筒状部材55の可動弁体部61側の端部は、第1弁座部62とされている。外側筒状部材54の可動弁体部61側の端部は、第2弁座部63とされている。
第1弁座部62は、その内周側に流体排出口51bに連通する排出通路64を形成している。排出通路64は、ハウジング51の流体排出口51bに連通している。第2弁座部63は、その内周側で第1弁座部62との間に操作圧燃料導入通路65を形成している。操作圧燃料導入通路65は、ハウジング51の操作圧導入孔51cに連通している。また、操作圧燃料導入通路65から燃料切替弁70までに流通する燃料を操作圧燃料としている。
第1のハウジング部材56と、調圧部材52と、外側筒状部材54とは、環状の導入側通路66を形成している。導入側通路66は、燃料ポンプユニット40から吐出された燃料を流体導入口51aから導入して、隔壁部60にその燃料圧を受圧させるようになっている。
ハウジング51の流体導入口51aは、燃料圧送機構31のチェック弁43より下流側の回路部分である燃料管44に分岐管44aを介して接続されている。ハウジング51の操作圧導入孔51cは、燃料切替弁70に接続されている。
ここで、図2(a)に示すように、燃料切替弁70が閉塞状態の時は、操作圧燃料導入通路65が閉塞されるので、操作圧燃料導入通路65の操作圧燃料の圧力は導入側通路66と同等になる。この場合、図2(b)に示すように、調圧部材52の受圧領域は、調圧部材52の導入側通路66に対向する環状受圧面52aおよび操作圧燃料導入通路65に対向する環状受圧面52bとを合わせた領域となる。
一方、図3(a)に示すように、燃料切替弁70が開放状態の時は、操作圧燃料導入通路65が燃料タンク30内に開放されるので、操作圧燃料導入通路65の操作圧燃料の圧力は大気圧もしくは燃料タンク30内の燃料と同等になる。この場合、図3(b)に示すように、調圧部材52の受圧領域は、調圧部材52の導入側通路66に対向する環状受圧面52aのみになる。
このため、操作圧燃料導入通路65が閉塞されるか開放されるかによって調圧部材52の受圧領域の面積が変化する。そして、調圧部材52の受圧領域の面積が増大すると、コイルスプリング53の付勢力に対抗して調圧部材52を開弁させる燃料圧が小さくて済むので、環状の導入側通路66内の燃料の調圧レベルが低下する。逆に、操作圧燃料導入通路65が燃料タンク30内に開放され、調圧部材52の受圧領域の面積が縮小されると、コイルスプリング53の付勢力に対抗して調圧部材52を開弁させるために大きな燃料圧が必要になる。このため、環状の導入側通路66内の燃料の調圧レベルが上昇するようになっている。
このように、燃圧制御弁50は、操作圧燃料導入通路65に操作圧燃料が導入されることにより、調圧部材52が一面側で燃料圧力を受ける受圧領域の面積が変更され、受圧領域の面積に応じて調圧室58内の燃料圧力を調整するものとなっている。
燃圧制御弁50の高圧側の設定圧は、暖機時や高燃温時などにデリバリーパイプ23内の燃料温度が高温になっても、燃料ベーパが生じ難い燃料圧(通常、ゲージ圧で324kPa以上)の設定値となっている。また、燃圧制御弁50の低圧側の設定圧は、例えばゲージ圧で200kPaであり、走行中にデリバリーパイプ23内の燃料温度が比較的低温になったとき、燃料ベーパが生じ難い燃料圧設定値となっている。
図2に示すように、燃料切替弁70は、ボビン71と、電磁コイル72と、バルブ73と、第1スプリング76と、第2スプリング78と、シールド75と、ステータコア77と、ワッシャ79と、を備え、操作圧燃料の圧力を切り替えるようになっている。
ボビン71は、合成樹脂から構成され、ボビン部80と、シリンダ部81と、燃料流通部としての燃料管部82とを備えている。ボビン部80は、外側に電磁コイル72が巻きつけられているとともに、内側に第1スプリング76および第2スプリング78が収容されている。なお、第1スプリング76は本発明に係る付勢手段を構成しており、第2スプリング78は本発明に係るもう一つの付勢手段を構成している。シリンダ部81はボビン部80に連続して形成され、シリンダ部81の内部にはバルブ73が往復動可能に収容されている。燃料管部82は、シリンダ部81の端部に形成されるとともに、燃料が供給される燃料流入管82aと、燃料が排出される燃料流出管82bと、シリンダ部81の内側を向けて開放された燃料流出管82bの開口端部82cと、を備えている。
バルブ73は、略円筒形状の磁性体からなるアーマチャ部83と、シール部84と、を備えている。シール部84は、円筒状の例えば金属製で、アーマチャ部83に圧入により一体化されており、アーマチャ部83と一体的に往復動可能になっている。
第1スプリング76および第2スプリング78は、ボビン71の内部にワッシャ79を介して直列に配置されており、バルブ73を吸引位置から復帰位置に復帰させるようになっている。具体的には、第1スプリング76および第2スプリング78は、バルブ73が燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通を閉塞する方向、すなわちシール部84を閉弁する方向にアーマチャ部83を移動するように付勢している。
図4(a)に示すように、第1スプリング76は、円筒状かつ不等ピッチの単一のコイルスプリングにより構成されている。第1スプリング76は、巻経が均一で、巻きピッチが大きい部分76aと、小さい部分76bと、を有している。つまり、巻きピッチP1を有する部分76aは、バネ定数が大きく、巻きピッチP2を有する部分76bは、バネ定数が小さくなっている。本実施の形態では、第1スプリング76は、前述のものに限らず、巻きピッチが変化することで、非線形特性を有するスプリングであればよいし、組合せバネでもよい。
図4(b)に示すように、第2スプリング78は、円筒状かつ等間隔の単一のコイルスプリングによって構成されている。第1スプリング76は、巻き経が均一で、その巻き経が第1スプリング76と比較して大きく設定されている。しかも、第2スプリング78には、第1スプリング76と比較してバネ用線材径が大きい鋼線を用いている。
図5に示すように、第1スプリング76は、スプリング特性95で示すように、変曲点97を境に折れ線的な2つのバネ特性を有している。第1スプリング76は、バルブ73が閉弁位置にある状態をバネストロークゼロとすると、その位置からストロークS1までの第1区間Aにおける荷重変化に対するバルブ73の変位量が、ストロークS1からストロークS2までの第2区間Bにおける荷重変化に対するバルブ73の変位量より大きくなっている。
一方、第2スプリング78は、スプリング特性96で示すように、線形的なバネ特性を有している。第2スプリング78は、荷重変化に対するバルブ73の変位量が、第1スプリング76の第2区間Bにおける荷重変化に対するバルブ73の変位量より、大きくなっている。また、第2スプリング78は、点98に対応する荷重でバルブ73のストロークが開始されるように、初期設定荷重が設定されている。このため、ストロークS2からストロークS3までの第3区間Cにおいて伸縮するようなっている。なお、第2スプリング78は、点99に対応するバルブ荷重がかかると、バルブ73のストロークS3で後述する上死点(ストロークエンド)となる。
また、第1スプリング76および第2スプリング78は、第1変位区間Aおよび第3変位区間Cにおいて従来のものと比較して荷重の変化量に対する変位量が大きくなる(第3の変位区間Cにおいて組合せバネ定数が小さくなる)ので、バルブ73の移動速度を向上させることができる。したがって、電磁コイル72によって閉弁位置から開弁位置にバルブ73を移動させる場合だけでなく、開弁位置から閉弁位置にバルブ73が移動する場合もバルブ73の移動速度を向上させることができる。具体的には、特に、第3変位区間Cにおいて、荷重低下に対する変位量が大きく、バルブ73が閉弁位置に移動するまでの時間を短縮することができる。
また、図2に示すように、第1スプリング76は、巻きピッチP1の部分76aがバルブ73側で、巻きピッチP2の部分76bがステータコア77側となるように、第2スプリング78およびワッシャ79とともに、所定の組み付け荷重でボビン71の内部に収容されている。第1スプリング76の組み付け荷重は、前述した第1スプリング76の初期設定荷重に対応し、この初期設定荷重は、操作圧燃料を操作圧燃料導入通路65に封入した状態で、圧力制御装置32が低圧状態を保持するようバルブ73を閉弁位置に保持することができる荷重となっている。
ボビン71は、その円周方向で放射内方に向かって突出するストッパ部材80aを有しており、このストッパ部材80aは、ワッシャ79を介して第2スプリング78のバルブ73方向への伸びを規制するようになっている。第2スプリング78の組み付け荷重は、第2スプリングの初期設定荷重に対応しており、この初期設定荷重から撓みが開始される設定されている。本実施の形態におけるストッパ部材80aは、本発明におけるフランジに対応している。
また、第2スプリング78は、ステータコア77とともに、ボビン71の内部に収容するために、ボビン部80の側面部80bおよびシールド75の側面部75aの取り外しが可能になっている。また、第1スプリング76、第2スプリング78およびステータコア77は、挿入した後、側面部80bおよび側面部75aを圧入して、これらにより位置決めされる。
このように、第1スプリング76および第2スプリング78を簡単な構成で組合せができるとともに、第1スプリング76および第2スプリング78の初期荷重を設定することができる。
また、シール部84は、開口端部82cに当接可能になっており、アーマチャ部83を介して第1スプリング76および第2スプリング78により押圧されることにより、開口端部82cが閉塞され、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されるようになっている。
図6(a)〜図6(d)に示すように、電磁コイル72は、通電時に磁束がアーマチャ部83を高密度に通過するので、シール部84を開弁する方向にアーマチャ部83を移動させることが可能となっている。また、シールド75は、金属製で、電磁コイル72の周囲を覆うように設けられている。シールド75は、電磁コイル72から外部に漏れる磁束を遮蔽している。
図6(a)に示すように、電磁コイル72に電圧が印加されていない時は、バルブ73が第1スプリング76および第2スプリング78により開口端部82cに押圧されている。これにより、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されるようになっている。すなわち、この燃料切替弁70は、ノーマリーオフ型となっている。また、このように、バルブ73が閉弁位置にある状態を下死点とする。
次に、図6(b)に示すように、電磁コイル72に電圧の印加が開始されると、バルブ73が電磁コイル72に吸引されて開口端部82cから離隔し、巻きピッチP2の部分76bが撓む。これにより、燃料流入管82aと燃料流出管82bとが連通するようになっている。
次に、図6(c)に示すように、バルブ73が電磁コイル72に吸引されて開口端部82cからさらに離隔し、第1スプリング76の巻きピッチP1の部分76aが撓む。そして、図6(d)に示すように、バルブ73が電磁コイル72に吸引されて開口端部82cからさらに離隔し、第2スプリング78が撓む。バルブ73が最も吸引された状態、すなわち、バルブ73が開弁位置にある状態を上死点とする。
これにより、燃料切替弁70は、閉弁により操作圧燃料導入通路65に操作圧燃料を封入するとともに、開弁により操作圧燃料導入通路65から操作圧燃料を開放させるようになっている。
本実施の形態においては、下死点に対応するバルブ73の位置、すなわち、閉弁位置が復帰位置を意味し、一方、上死点に対応するバルブ73の位置、すなわち、開弁位置が吸引位置を意味する。したがって、これに限定されず、開弁位置に対応する位置が復帰位置で、閉弁位置に対応する位置が吸引位置となっていてもよい。しかも、燃料切替弁70は、ノーマリーオフ型となっているが、これに限定されず、ノーマリーオン型となっていてもよい。
図1に示すように、ECU4は、CPU(Central Processing Unit)と、固定されたデータの記憶を行うROM(Read Only Memory)と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)と、書き替え可能な不揮発性のバックアップメモリと、A/D変換器やバッファなどを有する入力インターフェース回路と、駆動回路などを有する出力インターフェース回路とを備えている。ECU4には車両のイグニッションスイッチのON/OFF信号が取り込まれるとともに、図示しないバッテリからの電源供給がなされるようになっている。
さらに、ECU4の入力インターフェース回路には、各種センサ群が接続されており、これらセンサ群からのセンサ情報がA/D変換器などを含む入力インターフェース回路を通してECU4に取り込まれるようになっている。ECU4の出力インターフェース回路には、インジェクタ22や燃料ポンプユニット40、燃料切替弁70などのアクチュエータ類を制御するためのリレースイッチや、燃料ポンプユニット40の駆動電流を可変制御するためのスイッチング素子などが接続されている。
ECU4は、ROM内に格納された制御プログラムを実行することで、公知の電子スロットル制御、燃料噴射量制御、点火時期制御、燃料カット制御、可変バルブタイミング制御などを実行することができる。例えば、ECU4は、エアフローメータにより検出される吸入空気量とクランク角センサにより検出されるエンジン回転数とに基づいて燃焼毎に必要な基本噴射量を算出し、さらにエンジン2の運転状態に応じた各種補正や空燃比フィードバック補正などを施した燃料噴射量を算出し、その燃料噴射量に対応する燃料噴射時間だけ対応するインジェクタ22を開弁駆動する。なお、ここでの燃料噴射時間は、インジェクタ22に供給される燃料圧の設定値に応じて理論空燃比を保つよう設定される。
また、ECU4は、エンジン2の運転に要求される燃料噴射量に応じて燃料ポンプユニット40の吐出量を最適値にするようその吐出量に対応するポンプ駆動モータ40bの駆動電圧のコマンド値を生成し、燃料ポンプコントローラ45と共にポンプ駆動モータ40bの駆動電圧をフィードバック制御する機能を有している。
さらに、ECU4は、各種センサ群からのセンサ情報およびROMに予め格納された設定値やマップ情報に基づいて、エンジン2の運転中にその負荷状態を繰返し判定する。そして、例えば、エンジン2の始動の暖機時や高燃温時には、燃料切替弁70の電磁コイル72に通電して、燃料ポンプユニット40からの燃料の燃料圧を高圧側の設定圧に切り替えるようになっている(図7参照)。また、例えば、エンジン2の暖機後や高燃温時でない通常の運転時は、燃料切替弁70の電磁コイル72の通電を停止して、燃料ポンプユニット40からの燃料の燃料圧を低圧側の設定圧に切り替えるようになっている(図7参照)。
ECU4のROMおよびバックアップメモリに格納される設定値には、燃料圧の高圧側の設定値および低圧側の設定値がそれぞれ含まれている。また、ROMおよびバックアップメモリに格納されるマップ情報には、運転負荷の判定とその判定結果に応じた燃料圧の切替制御のためのマップなどが含まれている。
次に、作用について説明する。
上述のように構成された本実施の形態の燃料供給装置3では、エンジン2の停止中、燃料ポンプユニット40のポンプ駆動モータ40bおよび燃料切替弁70の電磁コイル72への通電はそれぞれ停止されている状態にある。燃料切替弁70においては、図6(a)に示すように、バルブ73が第1スプリング76および第2スプリング78により開口端部82cに押圧され、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されている。
エンジン2が始動されると、ECU4はインジェクタ22や燃料ポンプユニット40を作動させる。図1に示すように、燃料ポンプユニット40から吐出された燃料は、チェック弁43および燃料フィルタ42を介して燃料管44に流入される。燃料管44からの燃料は分岐管44aにも流入され、燃圧制御弁50に入り込む。
また、図7に示すように、エンジン2が始動されると、ECU4は燃料ポンプユニット40からの燃料の燃料圧を高圧側の設定圧に切り替える。このため、図8(a)に示すように、ECU4は、燃料切替弁70の電磁コイル72に対して、電圧の印加を開始する。図8(b)に示すように、電圧の印加により、電流が緩やかに上昇する。
そして、電流値が所定値91を超えた時点で、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力が第1スプリング76の抗力を上回り、図8(c)に実線で示すように、バルブ73が下死点から移動し始める。このとき、第1スプリング76の巻きピッチP1の部分76aが撓むこととなる。これにより、図6(b)に示すように、バルブ73が開口端部82cから離隔して、燃料流入管82aと燃料流出管82bとが連通する。そして、図6(c)に示すように、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力がさらに第1スプリング76の抗力を上回り、バルブ73が上死点に向けて移動する。このとき、第1スプリング76の巻きピッチP2の部分76bが撓むこととなる。さらに、図6(d)に示すように、バルブ73が最も移動することにより上死点に達する。よって、燃料切替弁70は開放される。
これにより、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力が小さい第1変位区間Aにおける開弁初期段階では、荷重の変化量に対する変位量が大きい第1スプリング76の巻きピッチP1の部分76aを撓ませることができる。一方、第2変位区間Bでは、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力が第1変位区間Aの初期段階より十分高いので、荷重の変化量に対する変位量が第1スプリング76の巻きピッチP1の部分76aより小さい第1スプリング76の巻きピッチP2の部分76bを十分に撓ませることができる。その結果、図8(c)に二点鎖線で示すように、従来の燃料切替弁ではグラフの直線の立ち上がりが緩くなるのに対し、図8(c)に実線で示すように、本実施の形態のバルブ73ではグラフの直線の立ち上がりが急傾斜になる。このため、バルブ73の移動速度を速めることができるので、下死点から上死点への移動時間を短縮することができる。なお、図6(a)〜図6(d)に示すように、バルブ73が下死点から上死点に移動する際には、バルブ73の第1スプリング76側の燃料は、アーマチャ部83からバルブ73の燃料管部82側に排出される。
このように、図8(c)に示すように、本実施の形態のバルブ73による下死点から上死点への移動時間S1を、従来の線形特性を有するスプリングを備えた燃料切替弁による下死点から上死点への移動時間S2よりも大幅に短くすることができる。これにより、燃料切替弁70の閉塞から開放への切替時間を短縮することができる。
また、図8(a)〜(d)に示すように、本実施の形態の燃料切替弁70は、従来のものと比較してバルブ73の応答性が向上しているので、電圧の印加から実際に燃料圧が上昇し終えるまでの時間T1が、従来の線形特性を有するスプリングを備えた燃料切替弁による時間T2に比べて大幅に短くなる。また、本実施の形態の燃料切替弁70は、図8(d)に二点鎖線で示すように、従来の燃料切替弁ではグラフの直線の立ち上がりが緩くなるのに対し、図8(d)に実線で示すように、本実施の形態のバルブ73ではグラフの直線の立ち上がりが急傾斜になる。この結果、従来のものと比較して低圧から高圧に切り替える速度も速くなる。
このように、本実施の形態の燃料切替弁70は、従来のものと比較してバルブ73の応答性が向上しているので、電磁力の応答遅れが生じてもその影響が少ない。また、本実施の形態の燃料切替弁70は、従来のものと比較してバルブ73の応答性が向上しているので、図5で示した第1スプリング76の初期設定荷重をスプリング76のばらつきを考慮して従来のものよりも高めに設定しても、時間T1が時間T2に比べて短くできるとともに、低圧から高圧に切り替える速度も速くできる。
そして、上述した燃料ポンプユニット40から燃圧制御弁50に供給された燃料は、図3(a)に示すように、流体導入口51aから調圧室58に入り込む。ここで、燃料切替弁70が開放状態であるので、操作圧燃料導入通路65が燃料タンク30内に開放されている。このため、図3(b)に示すように、調圧部材52の受圧領域は、調圧部材52の環状受圧面52aのみになる。
これにより、コイルスプリング53の付勢力に対抗して調圧部材52を開弁させるために大きな燃料圧が必要になり、環状の導入側通路66内の燃料の調圧レベルが上昇する。分岐管44aおよび燃料管44の燃料圧も上昇して、速やかに高圧側の設定圧、例えば400kPaに達し、燃料通路15を通し高燃料圧の燃料がデリバリーパイプ23に供給される。これにより、暖機時にインジェクタ22からの燃料噴射を高圧で行うことにより、噴霧の微粒化を図ることができ、暖機時の未燃炭化水素の発生を抑えることができる。
図8(c)および図8(d)に示すように、燃料切替弁70のバルブ73が少しでも動き始めると同時に、燃料圧が上昇し始める。そして、図8(a)に示すように、暖機運転中は、ECU4は燃料切替弁70の電磁コイル72に対して電圧の印加を維持する。これにより、図8(d)に示すように、高圧の燃料噴射が維持される。
次に、図7に示すように、暖機運転が終了すると、ECU4は燃料ポンプユニット40からの燃料の燃料圧を低圧側の設定圧に切り替える。
そこで、図8(a)に示すように、ECU4は、燃料切替弁70の電磁コイル72に対して、電圧の印加を停止する。図8(b)に示すように、電圧の印加の停止により、電流が緩やかに下降する。
電流値が所定値92を下回った時点で、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力が第2スプリング78の付勢力より小さくなり、図8(c)に示すように、バルブ73が第2スプリング78の付勢力によって上死点から移動し始める。これにより、図6(c)に示すように、バルブ73が開口端部82cに近づき始める。
そして、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力が第1スプリング76の付勢力よりさらに小さくなり、図8(c)に示すように、バルブ73が第1スプリング76の付勢力によって下死点に向かってさらに移動する。このとき、図6(c)に示すように、第1スプリング76の巻きピッチP2の部分76bが伸びることとなる。
さらに、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力が第1スプリング76の付勢力よりさらに小さくなり、図8(c)に示すように、バルブ73が第1スプリング76の付勢力によって開口端部82cに向かってさらに移動する。このとき、図6(b)に示すように、第1スプリング76の巻きピッチP1の部分76aが伸びることとなる。これにより、図6(a)に示すように、バルブ73が開口端部82cに当接して押圧することにより下死点に達する。よって、燃料切替弁70は閉塞される。
これにより、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力が大きい閉弁初期段階では、荷重の変化量に対する変位量が第1スプリング76の巻きピッチP2の部分76bより大きい第2スプリング78により、バルブ73が閉弁位置の方向に短時間で移動することができる。この結果、図8(c)に二点鎖線で示すように、従来の燃料切替弁ではグラフの直線の立ち下がりが緩いのに対し、図8(c)に実線で示すように、本実施の形態のバルブ73ではグラフの直線の立ち下がりが急傾斜になる。このため、バルブ73の移動速度を速めることができるので、上死点から下死点への移動時間を短縮することができる。なお、図6(d)〜図6(a)に示すように、バルブ73が上死点から下死点に移動する際には、バルブ73の開口端部82c側の燃料は、アーマチャ部83からバルブ73の第1スプリング76側に排出される。
このように、図8(c)に示すように、本実施の形態によるバルブ73による上死点から下死点への移動時間S3を、従来の線形特性を有するスプリングを備えた燃料切替弁による上死点から下死点への移動時間S4よりも大幅に短くすることができる。これにより、燃料切替弁70の開放から閉塞への切替時間を短縮することができる。
そして、上述した燃料ポンプユニット40から燃圧制御弁50に供給された燃料は、図2(a)に示すように、流体導入口51aから調圧室58に入り込む。ここで、燃料切替弁70が閉塞状態になった後は、操作圧燃料導入通路65が閉塞されている。このため、図2(b)に示すように、調圧部材52の受圧領域は、調圧部材52の環状受圧面52aおよび環状受圧面52bとなる。
これにより、コイルスプリング53の付勢力に対抗して調圧部材52を開弁させるために小さい燃料圧で足りることになり、環状の導入側通路66内の燃料の調圧レベルが低下する。そして、図8(c)および図8(d)に示すように、燃料切替弁70のバルブ73が完全に閉塞すると同時に、燃料圧が下降し始める。よって、分岐管44aおよび燃料管44の燃料圧も低下して、速やかに低圧側の設定圧、例えば200kPaに達し、燃料通路15を通し低燃料圧の燃料がデリバリーパイプ23に供給される。これにより、ポンプユニット40を低圧作動させることにより、燃費を向上することができる。
また、図8(a)〜図8(d)に示すように、本実施の形態による電圧の印加の停止から実際に燃料圧が下降し始めるまでの時間T3は、従来の線形特性を有するスプリングを備えた燃料切替弁による時間T4に比べて大幅に短くなる。
また、エンジン2の始動から一定時間が経過した後は、通常の運転状態、例えば部分負荷運転時には、燃費や燃料ポンプユニット40の信頼性の面から低圧側の設定圧が要求される。一方、高燃温時には、ベーパの発生を抑制するために高圧側の設定圧が要求される。
以上のように、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、電磁コイルによって復帰位置から吸引位置にバルブ73を移動させる場合に、少なくとも第1変位区間Aにおいて従来に比較して弁体に作用する荷重の変化量に対する弁体の変位量が大きくなるので、バルブ73の移動速度を向上させることができる。
また、バルブ73の応答性が向上することにより、電磁コイルに電圧を印加した時点から燃料消費部への燃料供給圧力が実際に変更されるまでのタイムラグが短くなり、タイムラグの誤差が小さくなってタイムラグの算出精度を向上することができる。
また、バルブ73の応答性が向上することにより、制御対象燃料の燃料圧を例えば低圧から高圧に切り替える速度も速くなる。このため、ポンプ圧を低圧から高圧に迅速に増加することができるので、燃費を向上することができる。
また、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、開弁位置から閉弁位置にバルブ73が移動するとき、第3変位区間Cにおいて従来に比較して弁体に作用する荷重の変化量に対する弁体の変位量が大きくなるので、バルブ73の移動速度を向上させることができる。しかも、開弁位置から閉弁位置にバルブ73が移動するとき、荷重低下に対する変位量が大きく、バルブ73が閉弁位置に移動するまでの時間を短縮することができる。
このように、バルブ73の応答性が向上することにより、電磁コイル72に電圧を印加しなくなった時点からインジェクタ22への燃料供給圧力が実際に変更されるまでのタイムラグが短くなり、タイムラグの誤差が小さくなってタイムラグの算出精度を向上することができる。
また、バルブ73の応答性が向上することにより、制御対象燃料の燃料圧を例えば高圧から低圧に切り替える速度も速くなる。このため、ポンプ圧を高圧から低圧に迅速に低減することができるので、燃費を向上することができる。
また、バルブ73を閉弁位置および開弁位置の何れか一方の位置から他方に移動させることで、燃料切替弁70は、燃圧制御弁50の操作圧燃料導入通路65に操作圧燃料が導入されるか否かを切り替えることが可能となる。操作圧燃料導入通路65に操作圧燃料が導入されるか否かにより、調圧部材52の受圧領域の面積を容易に変化させることができるので、燃圧制御弁50による制御対象燃料の圧力を容易に制御することができる。
また、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、燃圧制御弁50の流体導入口51aと、流体排出口51bと、操作圧導入孔51cとは、調圧部材52に対して調圧室58側に配置されている。このため、背圧室59に操作圧燃料を導入する必要がなく、燃圧制御弁50の調圧室58側のみに燃料および操作圧燃料の配管を設ければよい。このため、コンパクトで簡素な配管が可能な燃圧制御弁50を提供することができる。また、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、ハウジング51内を3室にすることや、燃圧制御弁を2つ設けることなしに、2段階に燃料圧を調整することができる。
上述した本実施の形態の燃料供給装置3においては、燃圧制御弁50は操作圧導入孔51cを調圧室58側に配置したものとしている。しかしながら、本発明に係る燃料供給装置においては、これに限られず、燃圧制御弁50は操作圧導入孔51cを背圧室59側に配置したものとしてもよい。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る燃料供給装置においては、燃料切替弁70の第1スプリングの構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1〜7に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図9に示すように、第1スプリング74は、円筒状かつ等ピッチの単一のコイルスプリングにより構成されている。このため、第1スプリング74は、上述した第1スプリング76と同様に巻経が均一であるが、第1スプリング76と異なり巻きピッチが等しくなっている。一方、第2スプリング78は、第1の実施の形態におけるものと同一のもので、第1スプリング74と組合せバネを構成している。
図10に示すように、第1スプリング74は、スプリング特性93で示すように、従来のスプリングと比較してバネ定数の低く線形的なバネ特性を有している。第1スプリング76は、バルブ73が閉弁位置にある状態をゼロとすると、その位置からストロークS1までの第1区間Aにおける荷重変化に対するバルブ73の変位量が、従来のバネ特性と比較して、大きくなっている。
一方、第2スプリング78は、スプリング特性96で示すように、線形的なバネ特性を有している。第2スプリング78は、ストロークS1からストロークS2までの第2区間Bにおいて荷重変化に対するバルブ73の変位量が、従来のバネ特性と比較して、大きくなっている。
第2スプリング78は、点98に対応する荷重でバルブ73のストロークが開始されるように、初期設定荷重が設定されている。このため、ストロークS1からストロークS2までの第2区間Bにおいて伸縮するようなっている。なお、第2スプリング78は、点99に対応するバルブ荷重がかかると、バルブ73のストロークS3で後述する上死点となる。
また、図10に示すように、バルブ73は、点94に対応する荷重から点98に対応する荷重までは、変位しないことになるが、ストロークS1で封入された操作圧導入通路65内の操作圧燃料を十分に排出することができる。
また、第1スプリング74は、第2スプリング78およびワッシャ79とともに、所定の組み付け荷重でボビン71の内部に収容されている。第1スプリング74の組み付け荷重は、第1スプリング74の初期設定荷重に対応し、操作圧燃料を操作圧燃料導入通路65に封入した状態で、バルブ73を閉弁位置に保持する荷重より大きい値に設定されている。
第2スプリング78は、第1スプリング74よりもバネ鋼線が太くかつ巻経が大きくなっている。さらに、ボビン71は、その円周方向で放射内方に向かって突出するストッパ部材80aを有しており、ワッシャ79を介して第2スプリング78のバルブ73方向への伸びを規制するようになっている。第2スプリング78の組み付け荷重は、第2スプリング78の初期設定荷重に対応しており、この初期設定荷重から撓みが開始されるようになっている。
以上のように、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、電磁コイルによって復帰位置から吸引位置にバルブ73を移動させる場合に、少なくとも第1変位区間Aにおいて従来に比較して荷重の変化量に対する変位量が大きくなるので、バルブ73の移動速度を向上させることができる。
また、バルブ73の応答性が向上することにより、電磁コイルに電圧を印加した時点から燃料消費部への燃料供給圧力が実際に変更されるまでのタイムラグが短くなり、タイムラグの誤差が小さくなってタイムラグの算出精度を向上することができる。
また、バルブ73の応答性が向上することにより、制御対象燃料の燃料圧を例えば低圧から高圧に切り替える速度も速くなる。このため、ポンプ圧を低圧から高圧に迅速に増加することができるので、燃費を向上することができる。
また、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、電磁コイル72によって開弁位置から閉弁位置にバルブ73を移動させる場合に、第2変位区間Bにおいて従来に比較して荷重の変化量に対する弁体の変位量が大きくなるので、バルブ73の移動速度を向上させることができる。しかも、電磁コイル72によって開弁位置から閉弁位置にバルブ73を移動させる場合にも、除荷重に対する変位量が大きく、バルブ73が閉弁位置に移動するまでの時間を短縮することができる。
このように、バルブ73の応答性が向上することにより、電磁コイル72に電圧を印加しなくなった時点からインジェクタ22への燃料供給圧力が実際に変更されるまでのタイムラグが短くなり、タイムラグの誤差が小さくなってタイムラグの算出精度を向上することができる。
また、バルブ73の応答性が向上することにより、制御対象燃料の燃料圧を例えば高圧から低圧に切り替える速度も速くなる。このため、ポンプ圧を高圧から低圧に迅速に低減することができるので、燃費を向上することができる。
以上のように、本発明に係る圧力制御装置およびこれを備えた燃料供給装置は、従来と比較して燃料圧力変更時の応答性を向上することができるとともに、燃料供給圧力の切替時間の算出精度を向上し、さらには燃費を向上することができるという効果を奏するものであり、圧力制御装置およびこれを備えた燃料供給装置に有用である。