JP2013091176A - 印刷ブランケット - Google Patents

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博正 大久保
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Abstract

【課題】印刷方向、および幅方向の両方向においてともに見当ズレを生じにくい上、ベタ輝度標準偏差が小さい、画質の良好な画像を印刷することができ、しかも生産性にも優れた印刷ブランケットを提供する。
【解決手段】筒状のスリーブ2の外周面3に、多孔質でかつ周方向に継ぎ目のない筒状の圧縮性ゴム層5を形成し、前記圧縮性ゴム層5の外周面6に、接着層7を介して紙8を1周分だけ巻き付けた状態で貼り合わせたのち、前記紙8の外周面9に、周方向に継ぎ目のない筒状の表面ゴム層11を形成した印刷ブランケット1である。
【選択図】図2

Description

本発明は、特に高速オフセット転輪印刷機等に使用される継ぎ目のない印刷ブランケットに関するものである。
前記高速オフセット転輪印刷機等のブランケット胴に平板状の印刷ブランケットを巻き付けて使用した場合、前記印刷ブランケットに版胴等が圧接されて生じるニップ変形部を前記印刷ブランケットの継ぎ目が通過する毎に、その圧接力が変動して振動や衝撃荷重が生じるため、形成する画像の品質が悪くなるという問題がある。
そこで、周方向に継ぎ目のない印刷ブランケットが用いられる。
例えば特許文献1に記載の印刷ブランケットは、ブランケット胴軸に外挿される筒状のスリーブ、前記スリーブの外周面に形成された実質的に多孔質でなくかつ周方向に継ぎ目のない筒状のベースゴム層、前記ベースゴム層の外周面に形成された多孔質でかつ周方向に継ぎ目のない筒状の圧縮性ゴム層、前記圧縮性ゴム層の外周面に非伸縮性の線材(糸等)を周方向にらせん状に巻き付けた状態で固定して形成された非伸縮性層(糸巻き層)、および前記糸巻き層の外周面に形成された周方向に継ぎ目のない筒状の表面ゴム層を備えている。
前記印刷ブランケットの糸巻き層を形成する線材は長さ方向への伸縮量が小さいことから、前記糸巻き層は、前記周方向、すなわち印刷時の印刷ブランケットの回転方向(印刷方向)に拘束力を有している。
しかも前記線材は、長さ方向と交差方向へは容易に変形できるため、前記糸巻き層を設けることにより、圧縮性ゴム層の、版胴等が圧接された際の厚み方向への変形とそれによる圧力吸収とを許容しながら、印刷時に印刷方向に加わる応力によって表面ゴム層が同方向に変形するのを抑制することができる。
そのため前記糸巻き層を備えた印刷ブランケットは、印刷方向の画像のずれ、いわゆる見当ズレを生じにくいという利点がある。
しかし前記糸巻き層は、印刷ブランケットの幅方向には拘束力を有さず、表面ゴム層が前記幅方向に変形するのを防止することはできないため、かかる糸巻き層を備えた印刷ブランケットは、前記幅方向の見当ズレを抑制できないという問題がある。
また糸巻き層の糸目が画像に影響しやすく、線材のある箇所とない箇所で濃度にムラを生じて、ベタ画像の濃度のバラツキを示すベタ輝度標準偏差が大きくなる傾向があるという問題もある。
さらに糸巻き層は、1本の線材を、圧縮性ゴム層の外周面に、印刷ブランケットの略全幅に亘って隙間なく巻き付けて形成しなければならず、前記巻き付けに比較的長時間を要するため、そのことが印刷ブランケットの生産性を低下させる原因となるという問題もある。
特許第2832157号公報
本発明の目的は、印刷方向、および幅方向の両方向においてともに見当ズレを生じにくい上、ベタ輝度標準偏差が小さい、画質の良好な画像を印刷することができ、しかも生産性にも優れた印刷ブランケットを提供することにある。
本発明は、筒状のスリーブ、前記スリーブの外周面に形成された多孔質でかつ周方向に継ぎ目のない筒状の圧縮性ゴム層、前記圧縮性ゴム層の外周面の略全面に、接着層を介して1周分だけ巻き付けた状態で貼り合わされた連続した紙、および前記紙の外周面に形成された周方向に継ぎ目のない筒状の表面ゴム層を備えることを特徴とする印刷ブランケットである。
本発明によれば、従来の、線材を巻き付けて形成される糸巻き層に代えて、圧縮性ゴム層の外周面に、当該外周面の略全面に亘る1枚の連続した紙を、接着層を介して1周分だけ巻き付けた状態で貼り合わせることにより、先に説明した様々な問題を解消することができる。
すなわち紙は、伸縮量が、面方向の全方向にわたってほぼ一定で、しかもごく小さいため、線材を巻き付けた糸巻き層とは違って、印刷ブランケットの周方向だけでなく幅方向にも拘束力を有している。
しかも紙は、前記面方向と交差方向へは容易に変形できるため、前記紙を貼り合わせることにより、圧縮性ゴム層の、版胴等が圧接された際の厚み方向への変形とそれによる圧力吸収とを許容しながら、表面ゴム層の変形を、前記周方向、および幅方向の両方向において、ともに良好に抑制することができる。そのため印刷方向、および幅方向の両方向においてともに見当ズレを生じにくくすることができる。
また紙は、印刷ブランケットの外周の略全面に亘って厚みがほぼ一定で、画像に影響を及ぼす糸目のような凹凸を生じないため、ベタ輝度標準偏差を小さくすることもできる。
しかも紙の貼り付けは、印刷ブランケットの全幅に亘る幅を有する紙を、圧縮性ゴム層の外周面に接着層を介して1周分だけ巻き付けた状態で貼り合わせるだけで、線材を巻き付けて糸巻き層を形成する場合に比べて短時間で完了するため、印刷ブランケットの生産性を向上することもできる。
したがって本発明によれば、印刷方向、および幅方向の両方向においてともに見当ズレを生じにくい上、ベタ輝度標準偏差が小さい、画質の良好な画像を印刷することができ、しかも生産性にも優れた印刷ブランケットを提供することができる。
前記紙の厚みは0.6mm以下であるのが好ましい。
紙の厚みが前記範囲を超える場合には、巻き付けた紙の重複部分の厚みの変化(ここだけ紙が二重になる)が画像に影響するおそれがある。
前記紙は、その周方向の両端を、重複部分の周方向の幅が1mm以下となるように互いに重複させた状態で、圧縮性ゴム層の外周面に貼り合わされているのが好ましい。
前記重複部分を設けることで、前記紙による印刷ブランケットの周方向の拘束力を維持して、印刷方向において見当ズレが生じるのを防止しながら、前記重複部分の周方向の幅を前記範囲内とすることで、当該重複部分厚みの変化(ここだけ紙が二重になる)が画像に影響するのをできるだけ防止することができる。
本発明によれば、印刷方向、および幅方向の両方向においてともに見当ズレを生じにくい上、ベタ輝度標準偏差が小さい、画質の良好な画像を印刷することができ、しかも生産性にも優れた印刷ブランケットを提供することができる。
本発明の印刷ブランケットの、実施の形態の一例の層構成を示す断面図である。 前記例の印刷ブランケットの一部切り欠き斜視図である。
図1は、本発明の印刷ブランケットの、実施の形態の一例の層構成を示す断面図である。図2は、前記例の印刷ブランケットの一部切り欠き斜視図である。
図1および図2を参照して、この例の印刷ブランケット1は、筒状のスリーブ2、前記スリーブ2の外周面3に、接着層4を介して形成された多孔質でかつ周方向に継ぎ目のない筒状の圧縮性ゴム層5、前記圧縮性ゴム層5の外周面6の略全面に、接着層7を介して1周分だけ巻き付けた状態で貼り合わされた連続した紙8、および前記紙8の外周面9に、接着層10を介して形成された周方向に継ぎ目のない筒状の表面ゴム層11を備えている。
前記のうちスリーブ2は、ブランケット胴軸の外径と一致するか、あるいはそれより僅かに小さい内径を有し、通常は、ブランケット胴軸と強固に係合しているが、内側から圧が加えられた際に径方向に僅かに拡張して、ブランケット胴軸に対して着脱できるように形成される。
前記スリーブ2の具体例としては、例えばごく薄い金属材料で形成されたものや、あるいはガラス繊維強化プラスチック等で形成されたもの等が挙げられる。中でも特に、その剛性、強度および弾性を考慮して厚み0.1mm以上、0.2mm以下のニッケル製のスリーブが好適に使用される。
なお前記スリーブ2と組み合わせるブランケット胴軸としては、前記スリーブに内側から圧を加えるべく、その内部に、圧力ガスをスリーブ内面に供給するための通気孔が形成されたものが用いられる。
圧縮性ゴム層5は、版胴の継ぎ目が先に説明したニップ変形部を通過する際に生じる振動や衝撃を吸収するためのもので、多孔質のゴムによって周方向に継ぎ目のない筒状に形成される。
前記多孔質の構造には、内部の空隙が連続した連続気孔構造、空隙がそれぞれ独立した独立気孔構造、およびこの両者が混在した複合構造等があり、圧縮性ゴム層5としてはこのいずれの構造を有するものを採用していてもよいが、特に独立気孔構造を有する圧縮性ゴム層5が好ましい。
独立気孔構造を有する圧縮性ゴム層5は、例えば未加硫のゴム中に、中空微小球、前記中空微小球のもとになる熱膨張性粒子、あるいは化学発泡剤等を分散させたペースト状のゴム糊を調製し、前記ゴム糊を、先に接着層4を形成したスリーブ2の外周面3の略全面に、周方向に継ぎ目を生じないように塗布したのち、加熱してゴムを加硫させることによって形成される。
熱膨張性粒子や化学発泡剤は、前記ゴムの加硫時の熱によって膨張、または発泡されて独立気孔構造を形成する。
また圧縮性ゴム層5は、前記の各成分を含むシートを作製し、前記シートを、先に接着層4を形成したスリーブ2の外周面3の略全面に巻き付けたのち、加熱してゴムを加硫させて形成することもできる。
加硫後の圧縮性ゴム層5は、その厚みをあらかじめ設定された所定値に調整するとともに、外周面6の表面粗さを調整するべく、必要に応じて前記外周面6を研磨する等してもよい。
独立気孔構造を有する圧縮性ゴム層5の空隙率は30%以上、特に35%以上であるのが好ましく、60%以下、特に55%以下であるのが好ましい。
空隙率が前記範囲未満では、圧縮性ゴム層5による、版胴の継ぎ目がニップ変形部を通過する際に生じる振動や衝撃を吸収する効果が十分に得られないおそれがある。一方、前記範囲を超える場合には、圧縮性ゴム層5の強度が低下して、圧接が解除されても元の厚みに戻らないいわゆるへたり等を生じやすくなり、印刷ブランケット1の寿命が短くなるおそれがある。
例えば中空微小球を配合する場合、空隙率を前記範囲内に調整するには、配合する中空微小球の粒径を選択したり、配合割合を調整したりすればよい。また熱膨張性粒子を配合する場合は、配合する熱膨張性粒子の熱膨張後の粒径を選択したり、配合割合を調整したりすればよい。さらに化学発泡剤を配合する場合は、その配合割合を調整すればよい。
圧縮性ゴム層5の厚みは0.5mm以上、中でも0.8mm以上、特に1mm以上であるのが好ましく、2mm以下、特に1.7mm以下であるのが好ましい。
厚みが前記範囲未満では、圧縮性ゴム層5による、版胴等が圧接された際に、厚み方向に変形して圧力吸収をする効果が十分に得られず、表面ゴム層11の外周面12が前記版胴等の圧接によって過剰に変形するいわゆるバルジを生じやすくなる。そのため印刷ブランケット1の周長変化率が大きくなり、画像が不鮮明化して印刷品質が低下するおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、表面ゴム層11の外周面12の、版胴や被印刷体としての紙の表面への圧接力が低下するため、画像のベタ部分のインキののりが悪くなるいわゆるベタ着肉性が低下して、前記ベタ部分にカスレを生じるおそれがある。
また印刷時には、印刷ブランケット1の回転方向下流側へ前記各層がずれを起こしやすくなり、その結果、印刷時にインキの転写ずれ等が発生するおそれがある。さらに、圧縮性ゴム層5の強度が低下して、圧接が解除されても元の厚みに戻らないいわゆるへたり等を生じやすくなり、印刷ブランケット1の寿命が短くなるおそれもある。
圧縮性ゴム層5を形成するゴムとしては、印刷インキ等に対する耐性を向上すること等を考慮すると、例えばアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ウレタンゴム等の、耐油性に優れたゴムの1種または2種以上が挙げられる。
前記ゴム、および先に説明した中空微小球、熱膨張性粒子、化学発泡剤等を含む圧縮性ゴム層5形成用のゴム糊には、さらに必要に応じてカーボンブラック等の充てん剤、プロセスオイル等の可塑剤、老化防止剤、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸等の加硫促進助剤、加硫遅延剤(加硫調整剤)等の各種添加剤を、任意の割合で配合してもよい。
前記圧縮性ゴム層5をスリーブ2の外周面3に接着させるための接着層4のもとになる接着剤としては、例えばスリーブ2が金属製である場合、前記金属ならびに圧縮性ゴム層5を構成するゴムとの接着性に優れた接着剤が好適に採用される。
かかる接着剤としては、金属との接着性に優れた接着剤と、圧縮性ゴム層5を構成するゴムとの接着性に優れた接着剤とを併用するのが好ましい。具体的には、金属との接着性に優れた接着剤をスリーブ2の表面に塗布して乾燥させた後、その上に、圧縮性ゴム層5を構成するゴムとの接着性に優れた接着剤を塗布して乾燥させた2層構造とするのが好ましい。
前記2層構造のうち前者の、金属との接着性に優れた接着剤としては、これに限定されないが、例えばロード(Lord)社製の商品名ケムロック(Chemlock)205が挙げられる。また、圧縮性ゴム層5が前記のようにNBRで形成される場合、後者の接着剤としては、例えば同じロード社製の商品名ケムロック252X等が挙げられる。これらの接着剤は未加硫のゴム系であって、圧縮性ゴム層5の加硫時に同時に加硫されることで、スリーブ2と圧縮性ゴム層5とを接着する。
接着層4の厚みは、前記2層構造の接着層の場合、2層の合計の厚みが0.02mm以上、0.1mm以下であるのが好ましい。厚みが前記範囲未満では、十分な接着強度が得られないおそれがあり、前記範囲を超える場合には、他の層の機能を妨げるおそれがある。
図1および図2を参照して、この例の印刷ブランケット1においては、圧縮性ゴム層5の外周面6の略全幅に亘る幅と、前記外周面6の1周分の周長に、図2中に示す重複部分13の幅Wを加えた長さとを有する紙8を、先に接着層7を形成した前記圧縮性ゴム層5の外周面6に1周分だけ巻き付けるとともに前記幅W分だけ重複させて固定した状態で加熱して接着剤中のゴムを加硫させることにより、前記圧縮性ゴム層5の外周面6に、前記紙8が接着層7を介して貼り合わされている。
前記加硫は独立して実施してもよいし、前記紙8の上に接着層10を形成し、さらにその上に表面ゴム層11のもとになるゴム糊を塗布した後に前記各層を一度に加硫してもよい。
前記重複部分13の幅Wは、当該重複部分13の厚みの変化(ここだけ紙8が二重になる)が画像に影響するのをできるだけ防止することを考慮すると、1.5mm以下、特に1mm以下であるのが好ましい。
なお画像への影響をできるだけ小さくすることを考慮すると、前記幅Wは、前記範囲内でも小さいほど好ましい。ただし幅Wが小さすぎる場合には、紙8による印刷ブランケット1の周方向の拘束力が不十分になり、印刷方向において見当ズレを生じやすくなるおそれがある。そのため重複部分13の幅Wは、前記範囲内でも0.2mm以上、特に0.5mm以上であるのが好ましい。
紙8の厚みは0.06mm以上、特に0.1mm以上であるのが好ましく、1.1mm以下、中でも0.85mm以下、特に0.6mm以下であるのが好ましい。
紙8の厚みが前記範囲未満では、特に印刷ブランケット1の周方向の変形を抑える効果が不十分になって印刷品質が低下するおそれがある。また、前記範囲より厚みの小さい紙8は、巻き付けおよび貼り付けの作業性が低下するおそれもある。
一方、紙8の厚みが前記範囲を超える場合には、巻き付けた紙8の重複部分13の厚みの変化が画像に影響するおそれがある。
また紙8の厚みが大きいほど、印刷時の圧力吸収性が低下して、原版の網点の大きさに対する、印刷された画像の網点の大きさの増加割合、いわゆる網点の太り量(ドットゲイン量(%))が大きくなって印刷品質が低下する傾向がある。
ただし網点の太りは、原版の網点の大きさを調整することで制御可能である。すなわち原版の網点の大きさをあらかじめ小さくしておけば、画像の網点が過剰に大きくなって印刷品質が低下するのを抑制することができる。
紙8としては、できるだけ厚みが一定で表面に大きな凹凸を有さず、前記凹凸や厚みの差が糸目のように画像に影響しない種々の紙8がいずれも使用可能である。
前記紙8としては、例えば非塗工印刷用紙、印刷用紙等の、化学パルプ100%配合のいわゆる上質紙や、あるいは段ボール原紙、黄板紙、白板紙、チップボール、色板紙、建材原紙等のいわゆる板紙等が挙げられる。特に上質紙が好ましい。
前記上質紙としては、例えば三菱製紙(株)製の金菱(登録商標)シリーズの各種上質紙等が挙げられる。また板紙としては、例えば三菱製紙(株)製のNパールカード(登録商標)シリーズの各種板紙等が挙げられる。
前記紙8を圧縮性ゴム層5の外周面6に接着するための接着層7のもとになる接着剤としては、前記紙8が、一般にゴムとの良好な接着性を示すため、前述した耐油性のゴムの少なくとも1種を含む接着剤が好適に使用される。
接着層7の厚みは、0.01〜0.05mmであるのが好ましい。厚みが前記範囲未満では、十分な接着強度が得られないおそれがあり、前記範囲を超える場合には、他の層の機能を妨げるおそれがある。
表面ゴム層11は、前述した耐油性のゴムに、必要に応じて充てん剤、可塑剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤(加硫調整剤)等の各種添加剤を任意の割合で配合したペースト状のゴム糊を調製し、前記ゴム糊を、紙8の外周面9に先に接着層10を形成した上の略全面に、周方向に継ぎ目を生じないように塗布したのち、加熱してゴムを加硫させることによって形成される。
また表面ゴム層11は、前記の各成分を含むシートを作製し、前記シートを、紙8の外周面9に先に接着層10を形成した上の略全面に巻き付けたのち、加熱してゴムを加硫させて形成することもできる。
表面ゴム層11は実質的に多孔質でないのが好ましい。
加硫後の表面ゴム層11は、その厚みをあらかじめ設定された所定値に調整するとともに、外周面の表面粗さを調整するべく、必要に応じて前記外周面を研磨する等してもよい。
表面ゴム層11の厚みは0.1mm以上であるのが好ましく、0.5mm以下であるのが好ましい。
厚みが前記範囲未満では表面ゴム層11自体の強度が低下する分、当該表面ゴム層11の外周面12の、版胴や被印刷体としての紙の表面への圧接力が低下するため、画像のベタ部分のインキののりが悪くなるいわゆるベタ着肉性が低下して、前記ベタ部分にカスレを生じるおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、印刷ブランケット1の回転方向下流側への表面ゴム層11のずれが大きくなり、その分だけ印刷ブランケット1の周長変化率が大きくなるため、画像が不鮮明化して印刷品質が低下するおそれがある。
前記表面ゴム層11を、紙8の外周面9に接着させるための接着層10のもとになる接着剤としては、下地である前記紙8が、先に説明したようにゴムとの良好な接着性を示すため、前述した耐油性のゴムの少なくとも1種を含む接着剤が好適に使用される。
接着層10の厚みは、0.01〜0.05mmであるのが好ましい。厚みが前記範囲未満では、十分な接着強度が得られないおそれがあり、前記範囲を超える場合には、他の層の機能を妨げるおそれがある。
〈実施例1〉
(接着層4の形成)
内径169.5mm、長さ910mm、厚み0.125mmのニッケル製のスリーブ2(太洋工業(株)製)を、前述したブランケット胴軸と同様の、圧力ガスによるスリーブの着脱機構を有する加硫用マンドレルに装着し、その外周面3に、まず前述したロードケミカル社製のケムロック205を塗布して乾燥させ、ついで、ケムロック252Xを塗布して乾燥させて、2層構造の接着層4(厚み0.05mm)を形成した。
(圧縮性ゴム層5の形成)
下記表1に示す各成分を配合して、ニーダーを用いて混練した。
Figure 2013091176
表1中の各成分は下記のとおり。
NBR:JSR(株)製のN241、Mw/Mn=2.79、ニトリル含量:29%
カーボンブラックGPF:充てん剤
ビスフェノール系老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック(登録商標)NS−6
酸化亜鉛:加硫促進助剤
ステアリン酸:加硫促進助剤
粉末硫黄:加硫剤
加硫促進剤CZ:スルフェンアミド系加硫促進剤
加硫促進剤TET:チウラム系加硫促進剤
次いでトルエンを加えてさらに混合したのち、熱膨張性粒子〔松本油脂製薬(株)製のマツモトマイクロスフェアー(登録商標)F−50D〕を配合して圧縮性ゴム層5のもとになるゴム糊を調製した。熱膨張性粒子の配合割合は、熱膨張後の空隙率が50体積%となるように設定した。
次いで前記ゴム糊を、ドクターロールを応用した回転体糊引き機を用いて先の接着層4の上に塗布して自然乾燥させた後、木綿で編んだシートを円周方向に巻き締めてラッピングした状態で、加硫缶内で140℃、3kg/cm、90分間の条件で加硫させるとともに、熱膨張性粒子を熱膨張させた。
次いで加硫後の外周面6を、円筒研削機を用いて研磨して厚み1.605mmの圧縮性ゴム層5を形成した。
(紙8の貼り付け〜接着層10の形成)
下記表2に示す各成分を配合して、ニーダーを用いて混練した。
Figure 2013091176
表2中の各成分のうち加硫促進剤DTはグアニジン系加硫促進剤、熱硬化性樹脂は粘着剤である。またクレー系充てん剤としては白石カルシウム(株)製のST−CROWNを用いた。
その他の成分は先に説明したとおりである。
次いでトルエンを加えてさらに混練して接着層7、10のもとになる接着剤を調製し、前記接着剤を、先に形成した圧縮性ゴム層5の外周面6に、前記回転体糊引き機を用いて塗布したのち自然乾燥させて、厚み0.03mmの接着層7を形成した。
紙8としては、厚み0.06mm、坪量52g/m、幅925mmの上質紙〔三菱製紙(株)製の金菱(登録商標)〕を用い、前記紙8を、前記接着層7を形成した圧縮性ゴム層5の外周面6に1周巻き付けるとともに重複部分13の幅Wが0.5mmとなるように重複させて固定した。
次いで前記紙8の上に、前記と同じ接着剤を、前記回転体糊引き機を用いて塗布したのち自然乾燥させて、厚み0.03mmの接着層10を形成した。
(表面ゴム層11の形成)
下記表3に示す各成分を配合して、ニーダーを用いて混練した。
Figure 2013091176
表3中の各成分のうちプロセスオイルは可塑剤である。
その他の成分は先に説明したとおりである。
次いでトルエンを加えてさらに混練して表面ゴム層用のゴム糊を調製し、前記ゴム糊を、先に形成した接着層10の上に、前記回転体糊引き機を用いて塗布したのち自然乾燥させた後、木綿で編んだシートを円周方向に巻き締めてラッピングした状態で、加硫缶内で140℃、3kg/cm、90分間の条件で加硫させた。
次いで加硫後の外周面12を、円筒研削機を用いて研磨して厚み0.3mmの表面ゴム層11を形成して印刷ブランケット1を製造した。
前記印刷ブランケット1の、スリーブ2の内周面から表面ゴム層11の外周面12までの全体の厚みは2.2mmであった。また紙8の厚みは、前記のように0.06mmであった。
〈実施例2〜5〉
紙8として、表4に示す厚みおよび坪量を有する幅925mmの上質紙〔いずれも三菱製紙(株)製の金菱(登録商標)〕を用いるとともに、全体の厚みが2.2mmとなるように、研磨後の圧縮性ゴム層5の厚みを表4に示す値としたこと以外は実施例1と同様にして印刷ブランケット1を製造した。
〈実施例6〜9〉
紙8として、表4に示す厚みおよび坪量を有する幅925mmの板紙〔いずれも三菱製紙(株)製のNパールカード(登録商標)〕を用いるとともに、全体の厚みが2.2mmとなるように、研磨後の圧縮性ゴム層5の厚みを表4に示す値としたこと以外は実施例1と同様にして印刷ブランケット1を製造した。
〈比較例1〉
実施例1と同様にして形成した厚み1.425mmの圧縮性ゴム層5の外周面6に、実施例1で調製したのと同じ接着層7、10のもとになる接着剤を塗布したのち自然乾燥させて、厚み0.03mmの接着層7を形成した。
次いで前記接着層7の上に、直径0.3mmの木綿糸を、円筒体成形機を用いて、400gの張力をかけながら、隣り合う木綿糸同士の間隔が0.05mm以下になるようにらせん状に巻き付けて固定して糸巻き層を形成した。
次いで前記糸巻き層の上に、前記と同じ接着剤を、前記回転体糊引き機を用いて塗布したのち自然乾燥させて、厚み0.03mmの接着層10を形成した。
次いで実施例1で調製したのと同じ表面ゴム層11形成用のゴム糊を、前記回転体糊引き機を用いて塗布したのち自然乾燥させた後、木綿で編んだシートを円周方向に巻き締めてラッピングした状態で、加硫缶内で140℃、3kg/cm、90分間の条件で加硫させた。
次いで加硫後の外周面12を、円筒研削機を用いて研磨して厚み0.3mmの表面ゴム層11を形成して印刷ブランケット1を製造した。
前記印刷ブランケット1の、スリーブ2の内周面から表面ゴム層11の外周面12までの全体の厚みは2.2mmであった。
〈ベタ輝度標準偏差測定〉
印刷用紙としては、日本製紙(株)製のコート紙オーロラ(登録商標)Lを用いた。またインキとしては、東洋インキ(株)製のWDレオエックス(登録商標)の墨色を用いた。
実施例、比較例で製造した印刷ブランケットを、ギャップレスオフセット転輪印刷機のブランケット胴軸に装着し、前記インキを用いて、前記印刷用紙に単色(墨色)のテストパターン画像を印刷した後、前記画像の墨ベタ部のベタ輝度標準偏差を、画像処理装置〔(株)ピアス製のLA555〕を用いて求めた。
ベタ輝度標準偏差が小さいほど、印刷ブランケットは、糸目などの下地の凹凸が表面ゴム層に影響しない良好なものであり、画像は、前記糸目などの凹凸による濃度のばらつきが小さく良好であると評価できる。ここでは、ベタ輝度標準偏差が11以下のものを良好、11を超えるものを不良と評価した。
〈幅方向の見当ズレ評価〉
印刷用紙としては、日本製紙(株)製の上質紙npi(登録商標)上質グリーン70を用いた。またインキとしては、東洋インキ(株)製のWDレオエックス(登録商標)の墨、藍、紅、および黄の4色を用いた。
実施例、比較例で製造した印刷ブランケットを4本ずつ用意し、それを多色ギャップレスオフセット転輪印刷機の、前記各色のユニットのブランケット胴軸に装着し、それぞれのユニットに前記4色のインキを用いて、前記印刷用紙に墨→藍→紅→黄の順にテストパターンを重ねて印刷して画像を形成した。
紙は、後のユニットになるほど幅方向に広げられた状態で印刷される傾向があり、印刷ブランケットの幅方向の拘束力が弱いほど、後のユニットで印刷した画像と、最初のユニットで印刷した画像との幅方向の画像長さのズレが大きくなる傾向がある。
最初に印刷した墨と最後に印刷した黄の幅方向のズレ量が0に近いほど、印刷ブランケットは幅方向の拘束力が強く、画像は、幅方向の画像長さにずれがなく良好であると評価できる。
そこで、前記画像の墨と黄の幅方向の見当ズレ量を測定し、前記見当ズレ量が160μm以下のものを良好、160μmを超えるものを不良と評価した。なお、見当ズレ量のより好ましい範囲は110μm以下である。
〈ドットゲイン量測定〉
印刷用紙としては日本製紙(株)製の微塗工紙オーロラ(登録商標)Sを用いた。またインキとしては、東洋インキ(株)製のWDレオエックス(登録商標)の墨色を用いた。
実施例、比較例で製造した印刷ブランケットを、ギャップレスオフセット転輪印刷機のブランケット胴軸に装着し、前記インキを用いて、前記印刷用紙に単色(墨色)のテストパターン画像を印刷した後、前記画像の50%網点のドットゲイン量を、分光濃度計〔エックスライト(X−Rite)社製の型番500〕を用いて求めた。
ドットゲイン量が小さいほど、印刷ブランケットは、印刷時の圧力吸収性に優れ、画像は、網点の太りが小さく良好であると評価できる。特にドットゲイン量が28%以下であるとき良好であるが、先に説明したように網点の太りは、原版の網点の大きさを調整することで制御可能であるため、表中のドットゲイン量はあくまでも目安である。
以上の結果を表4に示す。
Figure 2013091176
表4より、糸巻き層に代えて紙8を貼り付けた実施例1〜9の印刷ブランケット1によれば、前記糸巻き層を備えた比較例1の印刷ブランケットに比べてベタ輝度標準偏差が小さく、しかも幅方向の見当ズレが小さい良好な画像を形成できることが判った。
また表4より、前記実施例1〜9の印刷ブランケット1においては、紙8の厚みを大きくするほど、ベタ輝度標準偏差、および幅方向見当ズレを小さくできるものの、ドットゲインが大きくなる傾向があり、このことから紙8の厚みは0.06mm以上、特に0.1mm以上であるのが好ましく、0.60mm以下であるのが好ましいことが判った。
〈実施例10〜13〉
紙8の重複部分13の幅Wを0.2mm(実施例10)、0.8mm(実施例11)、1.0mm(実施例12)、1.5mm(実施例13)としたこと以外は実施例2と同様にして印刷ブランケット1を製造した。
前記各実施例について、先に説明した各試験と、下記のベタ濃度差測定とを実施してその特性を評価した。
〈ベタ濃度差測定〉
前記ベタ輝度標準偏差測定において印刷したテストパターン画像のうち、紙8の重複部分13における墨ベタ部のベタ濃度と、前記重複部分13以外における墨ベタ部のベタ濃度とを、それぞれ前記画像処理装置〔(株)ピアス製のLA555〕を用いて測定して、前記両部間でのベタ濃度差を求めた。
ベタ濃度差が小さいほど、重複部分13の厚みの変化が画像に影響を及ぼしていないと評価できる。中でも、ベタ濃度差が13以下であるとき良好、10以下であるとき特に良好である。
以上の結果を、実施例2の結果と併せて表5に示す。
Figure 2013091176
表5より、紙8の重複部分13の幅Wが大きいほど、当該重複部分13の厚みの変化が画像に影響してベタ濃度差が大きくなり、逆に幅Wが小さいほど、紙8による印刷ブランケット1の周方向の拘束力が不十分になって、印刷方向において見当ズレを生じやすくなる傾向があり、これらのことから前記重複部分13の幅Wは0.2mm以上、特に0.5mm以上であるのが好ましく、1.5mm以下、特に1mm以下であるのが好ましいことが判った。
1 印刷ブランケット
2 スリーブ
3 外周面
4 接着層
5 圧縮性ゴム層
6 外周面
7 接着層
8 紙
9 外周面
10 接着層
11 表面ゴム層
12 外周面
13 重複部分
W 幅

Claims (3)

  1. 筒状のスリーブ、前記スリーブの外周面に形成された多孔質でかつ周方向に継ぎ目のない筒状の圧縮性ゴム層、前記圧縮性ゴム層の外周面の略全面に、接着層を介して1周分だけ巻き付けた状態で貼り合わされた連続した紙、および前記紙の外周面に形成された周方向に継ぎ目のない筒状の表面ゴム層を備えることを特徴とする印刷ブランケット。
  2. 前記紙の厚みは0.6mm以下である請求項1に記載の印刷ブランケット。
  3. 前記紙は、その周方向の両端を、重複部分の周方向の幅が1mm以下となるように互いに重複させた状態で、圧縮性ゴム層の外周面に貼り合わされている請求項1または2に記載の印刷ブランケット。
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