JP2013089147A - 設備・装置の運用マニュアル動的維持管理方式 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】運用マニュアルの作成時に、その構造を固定的な部分と修正可能な部分に分離し、かつ修正可能な情報をパラメータとして明確化した上で、実運用開始後に、対象設備・装置の提供している効果の計測、使用者の意見のフィードバック、機器職元・運用計画などの情報をもとにしたシミュレーションの内、少なくとも一つ以上の手段を講じて、当該設備・装置の運用マニュアルの可変部のパラメータを調整することにより、当該設備・装置の運用マニュアルを動的に維持して、長期間にわたる設備・装置の運用の負担を軽減する。
【選択図】図2
Description
(1)運用条件(外的条件、内部条件)が変化したにもかかわらず、運用が追随できずに、目的の未達成、効率の低下などの事態を招くことがある。
(2)上記が重なることで運用マニュアルが陳腐化し、マニュアル内容が運用に反映されないことになる (マニュアルから離れた運用が常態化する)可能性がある。
(3)現場の担当者は、運用マニュアルが実態から乖離していることで独自の工夫・運用を行うことがあり、設計仕様に反する運用、製品やサービスの質の低下に繋がる運用、障害や事故に繋がる可能性のある運用、などが行われることがある。
(4)また、3)の担当者による独自の運用に伴って過度の負担がかかり、設備の寿命が短くなったり、想定外のトラブルが発生する可能性がある。
(5)当該設備によって提供される製品あるいはサービスの機能や品質が低下する可能性がある。
(1)運用条件の変化に運用マニュアルの内容が追随するので、運用の担当者に過度の負担を掛けることなしに、設備・装置を的確に運用することができる。これにより、当該設備・装置によって提供される製品・サービスの質の向上ないしは維持を図ることができる。
(2)設備・装置にかかる負担を減らすことができるので、故障の低減、設備・装置の長寿命化が期待でき、TCO(Total Cost of Ownership)を減少させることができる。
(3)当該設備・装置の稼働の最適化・効率向上により、使用エネルギーの削減が可能になり、地球温暖化問題の解決にも貢献できる。
(4)ユーザからの提供される製品・サービスの評価をフィードバックすることにより、求められる品質の製品・サービスの提供を継続できるだけではなく、ユーザ評価をフィードバックすることで過剰品質を避けることができる、提供される製品ないしサービスの機能・品質について機械的な計測だけでは捉えきれない特性も実現できる可能性がある。
(5)運用マニュアルの変更内容とその理由、変更日時などの記録を保存することが可能であり、当該設備・装置の使用目的・プロセスに関する正当性(Validity)の証明が可能となる。提供される製品によっては、設備・装置やプロセスの正当性証明が必要な場合があるが、本発明によれば、このような状況であっても、当該設備・装置に関する計測値、操作記録などと併せて保存することにより、正当性の証明に使用できる。
図2を用いて本実施例の概要を説明する。
(1)「運用マニュアル新規作成時における準備((d)調整項目の明示)」
設備・装置の運用マニュアルを、稼働後の状況に基づいて動的に維持管理するために、当該設備・装置の運用マニュアル作成時に、運用条件が変化した時に調整対象となる項目を特定し、当該内容をマニュアルに明示する。更に、この情報をデータベースに格納しておく。
(2)「運用マニュアル新規作成時における準備((d)パラメータ指定))
運用マニュアルの維持に必要とされる(状況によって変更が加えられる)各種数値(パラメータ)をマニュアルに明示し、更にこの情報をデータベースに格納しておく。この実施例では、作業タイミング17・作業対象18・作業設定値19が、調整対象となっており、それぞれの値(始業時・XXX・M.N℃)がパラメータとなる。
(3)「運転状況の計測・実績把握」
運用開始後の、運用マニュアルの動的維持管理12のために、(e)運用状況の計測・実績把握を行い、運用マニュアルの想定している条件で当該設備・装置の運用がなされているか、あるいは、想定した範囲内で設備・装置が使用されているかをチェックする。このチェックは、各種センシング装置によりセンシングした設備・装置の情報と、運用マニュアル作成時に設定した基準となる情報と、を比較することにより、想定している範囲内かをチェックする。このセンシング結果が偏差を生じている場合には、運用マニュアル8を修正し、運用マニュアル8vを作成するよう指示を出す。
(4)「製品・サービス利用者からのフィードバック」
当該設備によって提供された製品あるいはサービスの利用者13から、満足度などのフィードバック(f)を取り、満足度分布などの一定の統計処理を行った上で、必要に応じて運用マニュアル8vの内容に反映15する。
(5)「シミュレーション(g)」
運用にかかわる条件(外部条件、内部条件)の変化に伴う運用計画4の変更を、予め関係する設備・装置の操作内容に反映14させるため、機器諸元3や変更後の運用条件情報をもとにシミュレーション(g)を行い、変更箇所と変更内容を洗い出し、運用マニュアル8vに反映する。
図3(A)、図3(B)を用いて、エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下『省エネ法』と略称する。)に定める「管理標準」の維持方式を説明する。
(1)省エネ法の規制要求項目
省エネ法は、エネルギーの合理的な使用を推進する法律であるが、この中で、一定規模以上のエネルギーを消費する事業者に対して、省エネのために様々な規制を行っている。その中に、エネルギーを使用する設備・装置に対する「管理標準」の設定と、その「管理標準」による設備・装置の運用義務付けがある。「管理標準」は、省エネを目的とした設備・装置の運用マニュアルに相当する。
(2)管理標準の構成項目
国が定める「判断基準」に基づく省エネ活動の推進項目として、管理標準の作成と管理目標の設定が要求されている。「管理標準」は、該当する各設備・装置の(i)管理、(ii)計測・記録、(iii)保守・点検、(iv)新設、の四つのフェーズでの措置を定めるものである。設備の起動停止、設定温度、測定手順などが、業務の手順に従って作業できるよう記載することになっており、設備・装置ごと、あるいは同一目的・同一運用を行う設備・装置群ごとに定めることになっている。(3)本発明実施例の全体構成(初期作成時の準備)
本実施例では、省エネ法対応の「管理標準」の作成支援・維持管理について、大型店舗の空調を例にとって説明する。この空調は、複数台のパッケージエアコンで構成されているものとする。各パッケージエアコンは同一能力とし、それぞれ独立に起動・停止が可能であることを前提とする。
(4)本実施例の全体構成(維持管理)
図3(B)にて、実運用時に当該運用マニュアルを動的に維持する方法について述べる。作成された運用マニュアル8vに従って、大型店舗22のパッケージエアコン29-1,29-2,29-3・・・29-nの運用を行う。当日の運用計画(開店時刻、予想来店顧客数、設定温度など)や外気温30に基づき、パッケージエアコン29-1,29-2,・・・29-nを起動し、目標温度を設定する。この時、店舗内の気温28-1,28-2,28-3・・・28-mを計測し、設定温度との偏差によって、パッケージエアコン29-1,29-2・・・29-nの運転・停止あるいは出力調整を行うこともある。また実際の来店客数31を把握し、パッケージエアコンの台数調整を行うこともある。但し、運用マニュアル8vに基づく運転を行っても、目標温度との偏差をしばしば生ずる場合は、運用マニュアル8vに記載のある、起動時刻25-1、設定温度26-2、外気温の判断時刻27-1などの修正で対応するか、標準来店顧客数26-3、パッケージエアコン運転台数増減の顧客増減人数27-2を調整することが必要となる。このために、(e)運転状況の計測・実績把握を行う。
(e)運転状況の計測・実績把握について、図4(A)を用いて、詳細を個別に説明する。各点の計測温度28-1,28-2,28-3,・・・28-nを計測し、目標としている設定温度との偏差を計算し、これを一定期間(一週間〜一ヶ月)継続する。集った偏差データを元に、その平均値と標準偏差を計算する (機能41)。平均値と標準偏差から、設定されている運転パターンが実態と乖離している状況が数量的に把握できるので、これらのデータに基づきパッケージエアコンの運転パターンの適正化を測る(機能42)。
(f)製品・サービスの利用者からのフィードバックについて、図5(A)を用いて、詳細を個別に説明する。本実施例の場合、製品・サービスの利用者は、来店顧客と店舗で働く従業員である。また、フィードバック情報は空調の快適性である。空調の快適性を利用者がどのように捉えているかを、来店顧客の場合はレジで渡すアンケートで取得し、従業員の場合は基本的には従業員日誌にて取得する。フィードバック情報は同じ基準で記入してもらうために、選択肢(暑い、やや暑い、快適、やや寒い、寒い、湿っている、乾燥している、など)を予め決めておき、その中から選択してもらう形とする。これを、機能51によって数値化し、統計処理52を行う。統計処理は、平均・移動平均を求め、来客数・外部気温・季節・該当時間帯の空調能力との相関度を求める。利用者の感触と空調能力との関連を把握して、起動時刻、参照外気温度、パッケージエアコン運転台数を調整する。これにより、使用エネルギーと利用者快適性のトレードオフ53が可能となり、「管理標準」21の起動時刻25-1への変更54-1、参照外気温26-1への変更54-2、エアコン台数調整来店顧客数27-2への変更54-3をそれぞれ書き込んで、f)製品・サービス利用者からのフィードバックを実現する。この機能は、設備諸元3や運用計画4だけでは決まらない利用者の感触を「管理標準」の変更に反映することができ、快適性の増進と消費エネルギーのバランスを取るためにも役立つ機能である。
また、式(1)により求めた快適度と空調機能力の相互相関τが、制限値(例えば0.5)以下の場合は、感度を計算せず、調整量を一定として、運用マニュアルに記載する。調整量は下記とする。
・空調機が冷房中または停止中であれば、冷房能力を増加させる方向。
・空調機が暖房中であれば、暖房能力を減少させる方向。
・空調機が冷房中であれば、冷房能力を減少させる方向。
・空調機が暖房中または停止中であれば、暖房能力を増加させる方向。
(7)本発明実施例のシミュレーション機能
(g)シミュレーションについて、図6(A)を用いて詳細を個別に説明する。本機能の役割はいくつか考えられるが、ここでは、実際の運用条件から逸脱する運用が必要になった場合の対応について記載することとする。
空調負荷に対する空調機運転台数は不足するので、修正パターン57-rは、空調機運転時間などの調整によって対応することになる。起動時刻の繰上げ、停止時刻の繰下げにより、運転時間を増やす。但し、空調に対する負荷は、従来と変わらないことと、早朝の運転で得られる空調能力はその時に発生している空調負荷にしか殆ど使用できないことを考慮すると、空調需要が高まる時間帯には空調能力不足で、目標温度を実現できないことになる。
(ii)一定時間帯大幅低減
節電対応などで外部から指定を受けて、ある時間帯について空調機の運転台数(空調能力)を大幅に抑止する運用を行う場合がある。この場合も、修正パターン57-rは、一日を通した空調機能力は、空調需要に対して不足することになるので、起動時刻の繰上げ、停止時刻の繰下げの対応を行い、一日の空調能力の積算値を所定の数値目指して積上げる運用が行われる。
(8)本実施例によれば、一般的な効果に加えて下記の効果が期待できる。
(i)省エネ法で定める「管理標準」の維持管理が、現場の状況変化に対応した形で可能なので、努力義務であるエネルギー消費原単位の毎年1%の改善努力義務が実現できる可能性が高まり、遵法だけではなく地球温暖化防止への貢献もできる。
(ii)空調などの利用者の感触を「管理標準」に反映できるので、快適さと省エネのバランスを取りやすい。さらに、予め利用者の了解を取り付けた上で省エネに重点を置いた設備運用も可能であり、社会的要請などで省エネをさらに強化しなければならない時に速やかに対応ができる。
(iii)「管理標準」の維持管理が、専門家の手を借りずに可能となるので、省エネ管理のコストを低減できる。
(iv)「管理標準」の維持管理のため、設備諸元や運用条件を参照しその情報を活用するので、新たに類似の設備の「管理標準」を設定する際に、既存の「管理標準」の流用が容易に行える。
(v)「管理標準」に記載する、各種の操作変数(本実施例の場合は、パッケージエアコン台数と各機の出力)が、空調結果や省エネ結果にどのように影響するかといった操作感度を把握することができるので、設備新設時に、その目的への適合度がより高い設備を導入することができる。
(vi)外部の要請などコントロールできない要因により、空調がその目的を完全には果たせない場合でも、不足分を定量的に把握し、適切な設備運用を行うことができる。
また、作業時間に関する作業者の意見を運用マニュアルに反映させるため、成型ショップの各作業者から、作業余裕時間を自己申告させ、その平均XXを求めておく。作業余裕時間については一定の制限を設けた上で、インセンティブを与えるなどの施策を行う。
(i)まず成型工程の作業実績値余裕時間算出90を行う。成型工程にて、作業時間の修正開始まで作成された製品の個数をP個とし、これらの製品の成型ショップ作業時間実績(UU0001,UU0002・・・UUP)の平均uuAveを求める。 成型ショップの運用マニュアルに記載の各工程時間を合計し、成型ショップの製品一個の工程時間を求める。この二種類の時間差uuDevを求める。
(ii)ついで、作業者の自己申告余裕時間XXとの調整91を行う。成型工程作業時間短縮幅をSとして、
uuDev ≧XX の場合、 S=XX×0.5
uuDev <XX の場合 S=(uuDev+XX)×0.5
とする。すなわち、自己申告余裕時間XXが計算された偏差uuDev以下であれば、自己申告値の50%を短縮幅とし、XXがuuDevより大きければ両者の平均を取る。
(i)成型ショップ全体での短縮時間Sが求められたら、これを以下によって各工程の短縮時間として割り振る。各工程の短縮時間比率表81を、予め用意しておく。短縮時間比率表81は、成型ショップの各工程60-1,60-2,・・・60-nに対し、短縮時間を割り振るための比率(%表示)を定めたものである。工程作業内容によっては、短縮が不可能なものや短縮のための余裕を多く持つものがあり、これらの特性を考慮して予めきめておくものである。例えば、60-4のプレス圧縮は機械の性能で規定される数値であるため、短縮の比率は殆ど0となる。また、材料セット60-2や位置合せは、作業の習熟に伴う時間短縮が多く期待できる工程であり、大きな比率を設定することができる。
(ii)この各工程短縮時間比率表81から得た分配比率を、成型ショップ全体の短縮可能時間に乗じて、各工程の既設定時間aa,bb,cc,・・・・nnから引くことによって、各工程の更新作業時間aa(1),bb(1),cc(1),・・・nn(1)を求めて、成型工程運用マニュアルを更新する。なお、各更新作業時間に付した数値は、何回目の更新かを示す。
(iii)この作業時間更新は、作業習熟度が上がるにつれて、複数回(R回)行われる場合も想定し、各工程短縮時間比率表81は、複数組(R組)用意される。この比率の数値は、4同様、成型ショップを構成する当該工程の特性を勘案して決定される。
(iv)作業者の習熟度に応じて、運用マニュアル記載の作業時間が更新されるので、設備、作業者双方の能力を適正化した生産が長期に渡って可能となるので、生産活動による利益の最大化が期待できる。
(v)作業者の自己申告を反映した作業時間更新が行われるので、作業者のモラルアップが期待できる。
(vi)作業者の自己申告を実績に合わせて校正できるので、過剰な更新をさけることができる。また、作業者が担当する工程の作業時間を客観的に評価し、真の改善に繋がる動機付けにもなりうる。
Claims (10)
- 機器の動作に応じて運用マニュアルを修正する運用マニュアル修正方法であって、
前記運用マニュアルのうち、機器の動作に応じて修正する項目を指定する指定ステップと、
前記機器の動作に関する情報を収集する収集ステップと、
前記収集した情報に基づき、前記項目を修正する修正ステップと、
を備えることを特徴とする運用マニュアル修正方法。 - 請求項1に記載の運用マニュアル修正方法において、
前記指定ステップでは、更に、前記機器の動作に関する目標値を指定し、
前記修正ステップでは、前記目標値に基き前記収集した情報の前記目標値からの偏差を算出し、当該偏差に基づいて前記運用マニュアルを修正する運用マニュアル修正方法。 - 請求項1又は2に記載の運用マニュアル修正方法において、
前記修正ステップは、更に、前記機器のユーザ又は前記機器によりサービスを享受するユーザからの情報を加えて前記項目を修正することを特徴とする運用マニュアル修正方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の運用マニュアル修正方法において、
前記修正ステップでは、前記収集した情報と、前記機器に関する諸元についての情報とに基きシミュレーションを実行することで前記項目を修正することを特徴とする運用マニュアル修正方法。 - 請求項3に記載の運用マニュアル修正方法において、
前記修正ステップでは、前記ユーザからの情報と前記機器の能力との相関度を求め、当該相関度に基いて前記項目を修正することを特徴とする運用マニュアル修正方法。 - 機器の動作に応じて運用マニュアルを修正する運用マニュアル修正装置であって、
前記機器の動作に応じて修正する項目を指定し初期の運用マニュアルを作成する運用マニュアル作成部と、
前記機器の動作に関する情報を収集するインタフェースと、
前記収集した情報に基づき、前記項目を修正する運用マニュアル修正部と、
を備えることを特徴とする運用マニュアル修正装置。 - 請求項6に記載の運用マニュアル修正装置において、
前記運用マニュアル作成部は、更に、前記機器の動作に関する目標値を設定し、
前記運用マニュアル修正部は、前記目標値に基き前記収集した情報の前記目標値からの偏差を算出し、当該偏差に基づいて前記運用マニュアルを修正する運用マニュアル修正装置。 - 請求項6又は7に記載の運用マニュアル修正装置において、
前記運用マニュアル修正部は、更に、前記機器のユーザ又は前記機器によりサービスを享受するユーザからの情報を加えて前記項目を修正することを特徴とする運用マニュアル修正装置。 - 請求項6乃至8のいずれか一項に記載の運用マニュアル修正装置において、
前記収集した情報と、前記機器に関する諸元についての情報とに基きシミュレーション部を更に備え、
前記運用マニュアル修正部は、前記シミュレーション結果に基き前記項目を修正することを特徴とする運用マニュアル修正装置。 - 請求項8に記載の運用マニュアル修正装置において、
前記運用マニュアル修正部は、前記ユーザからの情報と前記機器の能力との相関度を求め、当該相関度に基いて前記項目を修正することを特徴とする運用マニュアル修正装置。
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