JP2013087048A - 炭化珪素基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の単結晶基板を有する炭化珪素基板であって、かつ単結晶基板間の隙間が十分に充填されているものを提供する。
【解決手段】複数の単結晶基板11a,12a,13aの各々に接合されたベース層30を有する複合基板が形成される。複数の単結晶基板11a,12a,13aは、ベース層30上において互いに離されていることによって、互いに隣り合う複数の単結晶基板11a,12a,13aの各々の端面によって構成された側壁と、ベース層で構成された底面とを有する溝部TRaを形成している。溝部TRaに対向するように、炭化珪素からなる原料部29が配置される。原料部29から昇華させた炭化珪素を底面上において再結晶させることによって、溝部TRaが充填される。
【選択図】図8
【解決手段】複数の単結晶基板11a,12a,13aの各々に接合されたベース層30を有する複合基板が形成される。複数の単結晶基板11a,12a,13aは、ベース層30上において互いに離されていることによって、互いに隣り合う複数の単結晶基板11a,12a,13aの各々の端面によって構成された側壁と、ベース層で構成された底面とを有する溝部TRaを形成している。溝部TRaに対向するように、炭化珪素からなる原料部29が配置される。原料部29から昇華させた炭化珪素を底面上において再結晶させることによって、溝部TRaが充填される。
【選択図】図8
Description
本発明は炭化珪素基板の製造方法に関し、より特定的には、複数の単結晶基板を有する炭化珪素基板の製造方法に関するものである。
米国特許第7314520号明細書(特許文献1)によれば、76mm(3インチ)以上のSiC基板を製造することができるとされている。しかしながら炭化珪素基板の大きさは工業的には100mm(4インチ)程度にとどまっており、このため大型の基板を用いて半導体装置を効率よく製造することができないという問題がある。特に六方晶系の炭化珪素において、{0001}面以外の面の特性が利用される場合、上記の問題が特に深刻となる。このことについて、以下に説明する。
欠陥の少ない炭化珪素基板は、通常、積層欠陥の生じにくい{0001}面成長で得られた炭化珪素インゴットから切り出されることで製造される。このため{0001}面以外の面方位を有する炭化珪素基板は、成長面に対して非平行に切り出されることになる。このため基板の大きさを十分確保することが困難であったり、インゴットの多くの部分が有効に利用できなかったりする。このため、炭化珪素の{0001}面以外の面を利用した半導体装置は、効率よく製造することが特に困難である。
そこで単純に基板を大きくしようとする代わりに、複数の単結晶基板と、その各々に接合されたベース層とを有する炭化珪素基板を用いることが考えられる。ベース層は、結晶欠陥密度が高くても差し支えないことが多く、よって大型のものを比較的容易に準備することができる。そしてベース層に接合される単結晶基板の数を増やすことで、必要に応じて複合基板を大きくすることができる。
上記のような複合構造を有する炭化珪素基板においては、各単結晶基板とベース層との間は接合されているものの、互いに隣り合う炭化珪素基板の間に隙間が形成されやすい。このような隙間を有する基板を用いて半導体装置を製造すると、製造工程中にこの隙間の間に異物が残留しやすい。特にCMP(Chemical Mechanical Polishing)の研磨剤は残留しやすい。そこで、たとえば国際公開第2011/052321号(特許文献2)によれば、隙間を充填する充填部が形成される。
上述した国際公開第2011/052321号に記載の技術を用いた場合、隙間の奥への充填が不完全となることがあった。
そこで、本発明の目的は、複数の単結晶基板を有する炭化珪素基板であってかつその単結晶基板の間の隙間が十分に充填されている炭化珪素基板の製造方法を提供することである。
本発明の炭化珪素基板の製造方法は、次の工程を有する。炭化珪素からなる複数の単結晶基板と、複数の単結晶基板の各々に接合されたベース層とを有する複合基板が形成される。複数の単結晶基板の各々は、ベース層に接合された裏面と、裏面と反対の表面と、裏面および表面をつなぐ端面とを有する。複数の単結晶基板は、ベース層上において互いに離されていることによって、互いに隣り合う複数の単結晶基板の各々の端面によって構成された側壁と、ベース層で構成された底面とを有する溝部を形成している。溝部に対向するように、炭化珪素からなる原料部が配置される。原料部から昇華させた炭化珪素を底面上において再結晶させることによって、溝部が充填される。
この製造方法によれば、単結晶基板間の溝部の充填が、昇華させた炭化珪素を溝部の底面上に再結晶させることによって行われる。これにより単結晶基板間の隙間の底部を十分に充填することができる。よって単結晶基板間の隙間をより十分に低減することができる。
複合基板を形成する工程は、ベース層が複数の単結晶基板の各々に接合される前に、複数の単結晶基板を互いに離して配置する工程を含んでもよい。これにより、ベース層が複数の単結晶基板の各々に接合される前に、昇華した炭化珪素が単結晶基板間の隙間の底面へ達するための経路を確保することができる。
複合基板を形成する工程は、ベース層が複数の単結晶基板の各々に接合された後に、溝部を形成する工程を含んでもよい。これにより、ベース層が複数の単結晶基板の各々に接合された後に、昇華した炭化珪素が単結晶基板間の隙間の底面へ達するための経路を確保することができる。
複合基板を形成する工程は、溝部を介して互いに隣り合う複数の単結晶基板の間隔が、溝部の底面から離れるほど大きくなるように行われてもよい。これにより、昇華した炭化珪素が単結晶基板間の溝部の底面へ達するための経路が、途中で閉塞しにくくなる。
溝部を充填する工程の前に、複数の単結晶基板の各々の表面上にマスクが配置されてもよい。これにより複数の単結晶基板の各々の表面上における炭化珪素の再結晶を抑えることができる。
原料部を配置する工程は、複数の単結晶基板の各々の上に配置されたマスク上に原料部を配置することによって行われてもよい。これにより原料部の配置を容易に行うことができる。
マスクは可撓性を有してもよい。これにより単結晶基板とマスクとの間に隙間が生じることを抑制することができる。
マスクは炭素からなってもよい。これによりマスクが高い耐熱性を有する。
以上の説明から明らかなように、本発明の炭化珪素基板の製造方法によれば、単結晶基板間の隙間をより十分に低減することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。また、本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。また角度の記載には、全方位角を360度とする系を用いている。
(実施の形態1)
図1(A)および(B)に示すように、本実施の形態の炭化珪素基板80aは、支持基板30(ベース層)と、支持基板30に各々接合された単結晶基板11a〜19a(単結晶基板群10aとも称する)と、充填部20とを有する。単結晶基板11a〜19aの各々は、炭化珪素から作られており、裏面(図1(B)における下面)と、裏面と反対の表面と、裏面および表面をつなぐ端面とを有する。たとえば、単結晶基板11aは裏面B1と表面F1と端面S1aとを有し、単結晶基板12aは裏面B2と表面F2と端面S2aとを有する。支持基板30は、炭化珪素から作られており、主面P1と、主面P1と反対の主面P2とを有する。
図1(A)および(B)に示すように、本実施の形態の炭化珪素基板80aは、支持基板30(ベース層)と、支持基板30に各々接合された単結晶基板11a〜19a(単結晶基板群10aとも称する)と、充填部20とを有する。単結晶基板11a〜19aの各々は、炭化珪素から作られており、裏面(図1(B)における下面)と、裏面と反対の表面と、裏面および表面をつなぐ端面とを有する。たとえば、単結晶基板11aは裏面B1と表面F1と端面S1aとを有し、単結晶基板12aは裏面B2と表面F2と端面S2aとを有する。支持基板30は、炭化珪素から作られており、主面P1と、主面P1と反対の主面P2とを有する。
支持基板30の主面P1は、単結晶基板11a〜19aの各々の裏面に接合されており、これにより単結晶基板11a〜19aは互いに固定されている。単結晶基板11a〜19aのそれぞれは同一平面上において露出した表面を有し、よって炭化珪素基板80aは単結晶基板11a〜19aの各々に比して大きな表面を有する。これにより、単結晶基板11a〜19aの各々を単独で用いる場合に比して、炭化珪素基板80aを用いる場合の方が、半導体装置をより効率よく製造することができる。
単結晶基板11a〜19aは、支持基板30上において互いに離されていることによって、互いに隣り合う単結晶基板11a〜19aの各々の端面によって構成された側壁と、支持基板30の主面P1とで構成された底面とを有する溝部TRaを形成している。たとえば互いに隣り合う単結晶基板11aおよび12aは、単結晶基板11aおよび11aのそれぞれの端面S1aおよびS2aによって構成された側壁と、支持基板30の主面P1とで構成された底面とを有する溝部TRaを形成している。
充填部20は、溝部TRaの少なくとも一部を充填するように支持基板30の主面P1上に形成されている。充填部は炭化珪素からなる。好ましくは、充填部20は溝部TRaの実質的に全体を充填している。
本実施の形態においては、溝部TRaを介して互いに隣り合う単結晶基板11a〜19aの間隔が、図1(B)に示すように、溝部TRaの底面から離れるほど大きくなっている。そのような構成は、単結晶基板11a〜19aの各々の端面の向きを調整することによって得られる。たとえば、端面S1aと裏面B1とのなす角度DGaが0度超90度未満とされている。溝部TRaを介して端面S1aと対向する端面S2aを有する単結晶基板12も、望ましくは同様の構成とされる。これにより、単結晶基板11aおよび12aの間の溝部TRaの、端面S1aおよびS2aによって形成された側壁は、開口側に向かってテーパ状に拡がっている。好ましくは角度DGaは、単結晶基板11a〜19aの各々の表面の面積が極端に小さくならないようにするために、45度超とされる。
図1(B)を参照して、溝部TRaのアスペクト比を、溝部TRaの最小幅(図中、横方向の最小寸法)に対する溝部TRaの深さ(図中、縦方向の寸法)の比として定義する。このアスペクト比の下限は、好ましくは0.2である。またこのアスペクト比の上限は、好ましくは1であり、より好ましくは0.4である。溝部TRaの最小幅は、たとえば1mm程度である。溝部TRaの深さは、たとえば200以上400μm以下である。
なお好ましくは、支持基板30の不純物濃度は、導電性を向上させるために、単結晶基板11a〜19aの各々の不純物濃度よりも高くされる。また支持基板30の結晶性は単結晶基板11a〜19aの各々の結晶性よりも低くてよく、それにより支持基板30はより容易に準備され得る。
また単結晶基板11aなどの炭化珪素の結晶構造は六方晶系であることが好ましく、4H型または6H型であることがより好ましい。より好ましくは表面F1の面方位(hklm)における指数mは負である。また好ましくは、{0001}面に対する単結晶基板11aの表面F1のオフ角は50°以上65°以下である。より好ましくは、表面F1のオフ方位と単結晶基板11aの<1−100>方向とのなす角は5°以下である。さらに好ましくは、単結晶基板11aの<1−100>方向における{03−38}面に対する表面F1のオフ角は−3°以上5°以下である。このような結晶構造が用いられることによって、表面F1に沿ったチャネル移動度を高くすることができる。なお「<1−100>方向における{03−38}面に対する表面F1のオフ角」とは、<1−100>方向および<0001>方向の張る射影面への表面F1の法線の正射影と、{03−38}面の法線とのなす角度であり、その符号は、上記正射影が<1−100>方向に対して平行に近づく場合が正であり、上記正射影が<0001>方向に対して平行に近づく場合が負である。また表面F1の好ましいオフ方位として、上記以外に、単結晶基板11の<11−20>方向とのなす角が5°以下となるようなオフ方位を用いることもできる。また上記においては単結晶基板11aについて説明したが、他の単結晶基板12a〜19aについても同様である。
次に炭化珪素基板80aの製造方法について説明する。
図2(A)および(B)を参照して、単結晶基板11a〜19aが準備される。単結晶基板11a〜19aは、たとえば、六方晶系における{0001}面で成長したSiCインゴットを{03−38}面に沿って切断することによって準備される。この場合、好ましくは、(03−38)面側が裏面(裏面B1、B2など)として用いられ、(0−33−8)面側が表面(表面F1、F2など)として用いられる。本実施の形態においては、最終的に得られる炭化珪素基板80a(図1(A)および(B))において溝部TRaを介して互いに隣り合う単結晶基板11a〜19aの間隔が溝部TRaの底面から離れるほど大きくなるようにすることを目的に、単結晶基板11a〜19aの各々の端面が加工される。たとえば端面S1aは、裏面B1とのなす角度DGaが0度超90度未満となるように加工される。
図2(A)および(B)を参照して、単結晶基板11a〜19aが準備される。単結晶基板11a〜19aは、たとえば、六方晶系における{0001}面で成長したSiCインゴットを{03−38}面に沿って切断することによって準備される。この場合、好ましくは、(03−38)面側が裏面(裏面B1、B2など)として用いられ、(0−33−8)面側が表面(表面F1、F2など)として用いられる。本実施の形態においては、最終的に得られる炭化珪素基板80a(図1(A)および(B))において溝部TRaを介して互いに隣り合う単結晶基板11a〜19aの間隔が溝部TRaの底面から離れるほど大きくなるようにすることを目的に、単結晶基板11a〜19aの各々の端面が加工される。たとえば端面S1aは、裏面B1とのなす角度DGaが0度超90度未満となるように加工される。
また加熱体91が準備される。加熱体91の詳細は後述する。
次に加熱体91上において、単結晶基板11a〜19aが互いに離されて配置される。この配置は、単結晶基板11a〜19aの各表面(表面F1、F2など)が加熱体91に対向し、かつ各裏面(裏面B1、B2など)が露出されるように行われる。たとえば単結晶基板11aおよび12aは、端面S1aおよびS2aが隙間を介して対向するように配置される。
次に加熱体91上において、単結晶基板11a〜19aが互いに離されて配置される。この配置は、単結晶基板11a〜19aの各表面(表面F1、F2など)が加熱体91に対向し、かつ各裏面(裏面B1、B2など)が露出されるように行われる。たとえば単結晶基板11aおよび12aは、端面S1aおよびS2aが隙間を介して対向するように配置される。
図3(A)および(B)を参照して、単結晶基板群10aの上に支持基板30が載置される。次に支持基板30上に加熱体92が載置される。これにより、加熱体91、単結晶基板群10a、支持基板30、および加熱体92がこの順に積み重なった積層体が準備される。
図4を参照して、上述した積層体が加熱装置の断熱容器51内に配置される。この加熱装置にはヒータ50およびヒータ電源150が設けられている。加熱体91および92は、ヒータ50からの放射熱を吸収して得た熱を再放射することによって、支持基板30および単結晶基板群10aを加熱する機能を有する。たとえば、加熱体91、92は、空隙率の小さいグラファイトからなる。
次に断熱容器51内の雰囲気が、大気雰囲気の減圧によって得られた雰囲気、または不活性ガス雰囲気とされる。不活性ガスとしては、たとえば、He、Arなどの希ガス、窒素ガス、または希ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いることができる。また断熱容器51内の圧力は、好ましくは50kPa以下とされ、より好ましくは10kPa以下とされる。
次にヒータ50によって、加熱体91および92のそれぞれを介して、単結晶基板群10aおよび支持基板30が、炭化珪素の昇華反応が生じ得る程度の温度(たとえば1800℃以上2500℃以下の温度)まで加熱される。この加熱は、支持基板30の温度が単結晶基板群10aの温度よりも高くなるような温度差が形成されるように行われる。このような温度差は、断熱容器51内に温度勾配を設けることによって得ることができ、この温度勾配は、たとえば0.1℃/mm以上100℃/mm以下である。このような温度勾配は、たとえば、図4に示すようにヒータ50を加熱体91よりも加熱体92に近い位置に配置することによって容易に得られる。
上記の加熱が開始される段階では、支持基板30は、単結晶基板群10aの上に単に載置されているだけであって、接合されてはいない。このため単結晶基板群10aの裏面と支持基板30との間には、ミクロ的には空隙GQが存在する。空隙GQの平均高さ(図4における縦方向の寸法)は、たとえば数十μmであり、この値は、たとえば表面粗さの調節によって制御可能である。たとえば、単結晶基板群10aの裏面、または支持基板30の主面P1の表面粗さを大きくすることにより、空隙GQの平均高さを大きくすることができる。
上述したように、単結晶基板群10aの温度に比して支持基板30の温度が高くされると、この温度差に起因して、昇華および再結晶による炭化珪素の物質移動が生じる。具体的には、相対的に高温の支持基板30から炭化珪素の昇華ガスが形成され、このガスは相対的に低温の単結晶基板群10aの各々の上で再結晶する。この物質移動の結果、空隙GQは支持基板30中へ多数のボイドとして拡散することで消失する。なおこの物質移動が十分に進行すると、ボイドは支持基板30のP2にまで達することによって消失し得る。
さらに図5(A)および(B)を参照して、上記のように空隙GQが消失し、単結晶基板11a〜19aの各々の裏面(裏面B1、B2など)に支持基板30の主面P1が接合されることで、複合基板70a得られる。単結晶基板11a〜19aは、支持基板30上において互いに離されていることによって、互いに隣り合う単結晶基板11a〜19aの各々の端面によって構成された側壁と、支持基板30で構成された底面とを有する溝部TRaを形成している。たとえば、互いに隣り合う単結晶基板11aおよび12aのそれぞれの端面S1aおよびS2aによって構成された側壁と、支持基板30で構成された底面とを有する溝部TRaを形成している。本実施の形態においては、溝部TRaを介して互いに隣り合う単結晶基板11a〜19aの間隔が、溝部TRaの底面から離れるほど大きくなっている。
図6を参照して、単結晶基板群10aの各基板の表面上にマスク40が配置される。具体的には、予め形成されたマスク40が各基板の表面の上に載置される。好ましくはマスク40は可撓性を有する。好ましくはマスク40は実質的に炭素からなる。マスク40としては、たとえば、実質的に炭素からなる可撓性シートを用いることができる。次に、単結晶基板群10aの各基板上に配置されたマスク40上に、炭化珪素からなる原料部29が配置される。これにより原料部29は、溝部TRaに対向するように配置される。以上により、複合基板70aと、マスク40と、原料部29との積層体が得られる。
図7を参照して、上記積層体(図6)が加熱体91上に載置される。またこの積層体上に加熱体92が載置される。これにより、加熱体91と、複合基板70aと、マスク40と、原料部29と、加熱体92とを有する積層体が準備される。この積層体が断熱容器51内に配置される。
次に断熱容器51内の雰囲気が、大気雰囲気の減圧によって得られた雰囲気、または不活性ガス雰囲気とされる。不活性ガスとしては、たとえば、He、Arなどの希ガス、窒素ガス、または希ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いることができる。また断熱容器51内の圧力は、好ましくは50kPa以下とされ、より好ましくは10kPa以下とされる。
次にヒータ50によって、加熱体91および92を介して上記積層体が加熱される。原料部29は、炭化珪素の昇華反応が生じえる程度の温度(たとえば1800℃以上2500℃以下の温度)まで加熱される。この加熱は、原料部29の温度が支持基板30の温度よりも高くなるように行われる。また好ましくは、単結晶基板群10aの温度が支持基板30の温度よりも高くなるように行われる。このような温度差は、断熱容器51内に温度勾配を設けることによって得ることができ、この温度勾配は、たとえば0.1℃/mm以上100℃/mm以下である。このような温度勾配は、たとえば、図7に示すようにヒータ50を加熱体91よりも加熱体92に近い位置に配置することによって容易に得られる。
図8を参照して、上記加熱により、原料部29から炭化珪素が昇華する。昇華した炭化珪素は、図中矢印で示すように移動し、溝部TRaの底面上において再結晶する。これにより炭化珪素からなり溝部TRaを充填する充填部20が形成される。好ましくは、充填部20は溝部TRaの実質的に全体を充填するように形成される。
図9を参照して、充填部20が形成された複合基板70aが加熱装置から取り出される。次に充填部20のうち溝部TRaからはみ出した部分が、たとえば研磨によって除去される。好ましくはこの研磨により、単結晶基板群10aの各基板の表面の表面粗さが低減される。
以上により、炭化珪素基板(図1(A)および(B))が得られる。
本実施の形態によれば、図8に示すように、単結晶基板11a〜19a間の溝部TRaの充填が、昇華させた炭化珪素を溝部TRaの底面上に再結晶させることによって行われる。これにより単結晶基板11a〜19a間の溝部TRaの底部を十分に充填することができる。よって単結晶基板11a〜19a間の隙間である溝部TRaをより十分に低減することができる。
本実施の形態によれば、図8に示すように、単結晶基板11a〜19a間の溝部TRaの充填が、昇華させた炭化珪素を溝部TRaの底面上に再結晶させることによって行われる。これにより単結晶基板11a〜19a間の溝部TRaの底部を十分に充填することができる。よって単結晶基板11a〜19a間の隙間である溝部TRaをより十分に低減することができる。
また支持基板30が単結晶基板11a〜19aの各々に接合される前に、単結晶基板11a〜19aが互いに離して配置される(図2(A)および(B))。これにより、図8に示すように原料部29から炭化珪素が昇華した際に、昇華した炭化珪素が単結晶基板11a〜19a間の隙間の底面へ達するための経路を確実に確保することができる。
また炭化珪素基板80aの形成のために準備される複合基板70a(図5(A)および(B))は、溝部TRaを介して互いに隣り合う単結晶基板11a〜19aの間隔が、溝部TRa底面から離れるほど大きくなるように行われてもよい。これにより、昇華した炭化珪素が溝部TRaの底面へ達するための経路が、途中で閉塞しにくくなる。
また溝部TRaが充填される前に、単結晶基板11a〜10aの各々の表面上にマスク40が配置される。これにより、溝部TRaを充填するために炭化珪素を再結晶させる際に(図8)、単結晶基板11a〜19aの各々の表面上における炭化珪素の再結晶を抑えることができる。よって、溝部TRaからはみ出した充填部20の除去が行われる際に、除去の対象となる炭化珪素の量を少なくすることができる。
また原料部29は、単結晶基板11a〜19aの各々の上に配置されたマスク40上に配置される。これにより原料部29の配置を容易に行うことができる。
またマスク40が可撓性を有する場合、単結晶基板11aから19aの各々とマスク40との間に隙間が生じることを抑制することができる。またマスク40が炭素からなる場合、マスク40は、炭化珪素の昇華に必要な高温にも十分耐えることができる。
また炭化珪素の再結晶によって充填部20が形成される際に、単結晶基板群10aの温度が支持基板30の温度よりも高くされる。これにより、昇華した炭化珪素が溝部TRaの底面に達する前に単結晶基板11a〜19aの端面上に再結晶してしまうことを抑制することができる。これにより、より確実に溝部TRaの底面上に充填部20を形成することができる。
また溝部TRaのアスペクト比が0.2以上の場合、炭化珪素基板80aの表面上において単結晶基板群10aが占める割合を高めることができる。これにより炭化珪素基板80aの表面をより有効に利用することができる。また好ましくはアスペクト比は1以下であり、より好ましくは0.4以下である。これにより溝部TRaがより確実に充填される。
なお本実施の形態においては単結晶基板の裏面および端面の間の角度が、90度未満の角度DGa(図1)とされたが、裏面および端面の間の角度はこれに限定されるものではなく、たとえば90度であってもよい。
(実施の形態2)
図10(A)および(B)に示すように、本実施の形態の炭化珪素基板80bは、単結晶基板11b〜19b(単結晶基板群10bとも称する)を有する。単結晶基板11b〜19bは、支持基板30上において互いに離されていることによって、互いに隣り合う単結晶基板11b〜19bの各々の端面によって構成された側壁と、支持基板30の主面P1とで構成された底面とを有する溝部TRbを形成している。たとえば互いに隣り合う単結晶基板11bおよび12bは、単結晶基板11bおよび11bのそれぞれの端面S1bおよびS2bによって構成された側壁と、支持基板30の主面P1とで構成された底面とを有する溝部TRbを形成している。溝部TRbは溝部TRa(実施の形態1)と同様に充填部20によって充填されている。
図10(A)および(B)に示すように、本実施の形態の炭化珪素基板80bは、単結晶基板11b〜19b(単結晶基板群10bとも称する)を有する。単結晶基板11b〜19bは、支持基板30上において互いに離されていることによって、互いに隣り合う単結晶基板11b〜19bの各々の端面によって構成された側壁と、支持基板30の主面P1とで構成された底面とを有する溝部TRbを形成している。たとえば互いに隣り合う単結晶基板11bおよび12bは、単結晶基板11bおよび11bのそれぞれの端面S1bおよびS2bによって構成された側壁と、支持基板30の主面P1とで構成された底面とを有する溝部TRbを形成している。溝部TRbは溝部TRa(実施の形態1)と同様に充填部20によって充填されている。
溝部TRbを介して互いに隣り合う単結晶基板11b〜19bの間隔は、図10(B)に示すように、溝部TRbの底面からの距離に関わらずほぼ一定である。そのような構成は、単結晶基板11b〜19bの各々の端面の向きを調整することによって得られる。たとえば、端面S1bと裏面B1とのなす角度DGbがほぼ90度とされている。単結晶基板11b〜19bのそれぞれは、その端面(たとえば端面S1b、S2bなど)の向き以外は、単結晶基板11a〜19aとほぼ同様の構成を有する。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
次に炭化珪素基板80bの製造方法について、実施の形態1と異なる部分について特に重点的に説明する。
図11(A)および(B)を参照して、単結晶基板11〜19が準備される。単結晶基板11〜19のそれぞれは、単結晶基板11b〜19bを包含する形状を有する。また単結晶基板11〜19は、任意の向きの端面を有してよい。なお単結晶基板11〜19のこれ以外の構成については、単結晶基板11b〜19bとほぼ同様である。
次に加熱体91上において単結晶基板11〜19が配置される。この配置は、単結晶基板11〜19の各表面(表面F1、F2など)が加熱体91に対向し、かつ各裏面(裏面B1、B2など)が露出されるように行われる。たとえば単結晶基板11および12は、端面S1およびS2が、隙間を介してまたは隙間を介さずに、対向するように配置される。本実施の形態においては、実施の形態1と異なり、単結晶基板11〜19は必ずしも互いに離されて配置される必要はない。すなわち単結晶基板11〜19が互いに接触していてもよい。
次に、実施の形態1の、図3(A)および(B)の工程、および図4(A)および(B)に示す工程とほぼ同様の工程が行われる。これにより、図12(A)および(B)に示す複合基板70bpが得られる。次に、互いに対向する端面(たとえば端面S1およびS2)の間に溝部が形成されるように、単結晶基板群10に対する加工が行われる。この加工は、たとえば、基板をダイシングする際に用いられる技術によって行うことができる。
図13(A)および(B)を参照して、上述した溝部を形成する加工によって、単結晶基板11b〜19bからなる単結晶基板群10bと、溝部TRbとを有する複合基板70bが形成される。次に実施の形態1の図6〜図8に示す工程とほぼ同様の工程が行われることで、図14に示すように、溝部TRbが充填部20によって充填される。次に充填部20のうち溝部TRbからはみ出した部分が、たとえば研磨によって除去される。以上により、炭化珪素基板(図10(A)および(B))が得られる。
本実施の形態によれば、支持基板30が単結晶基板11〜19の各々に接合された後に(図12)、単結晶基板11〜19を加工することで、溝部TRbをなす単結晶基板11b〜19bが形成される(図13)。溝部TRbによって、昇華させた炭化珪素が単結晶基板11b〜19b間の隙間の底面へ達するための経路を確保することができる。
なお本実施の形態においては単結晶基板の裏面および端面の間の角度が、ほぼ90度の角度DGb(図10)とされたが、角度DGbの代わりに角度DGa(図1(A))が用いられてもよい。これにより、溝部TRbの代わりに、実施の形態1の溝部TRaを設けることができる。このためには、たとえば、溝部TRb(図13(B))を形成する加工に用いるダイシングブレードの形状を調整することによって容易に得られる。
(実施の形態3)
図15に示すように、本実施の形態の炭化珪素基板80cは、実施の形態2の溝部TRbの代わりに溝部TRcを有する。溝部TRcは、溝部TRbと同様に単結晶基板群10bの基板間を延び、さらに支持基板30c(ベース層)内部にまで延びている。よって支持基板30cには、溝部TRcの底部をなす凹部が設けられている。炭化珪素基板80cを得るためには、実施の形態2における溝部TRbを形成する工程(図13(A)および(B))の際に、図16に示すようにさらに深く溝部を形成することで、溝部TRcが形成されればよい。
図15に示すように、本実施の形態の炭化珪素基板80cは、実施の形態2の溝部TRbの代わりに溝部TRcを有する。溝部TRcは、溝部TRbと同様に単結晶基板群10bの基板間を延び、さらに支持基板30c(ベース層)内部にまで延びている。よって支持基板30cには、溝部TRcの底部をなす凹部が設けられている。炭化珪素基板80cを得るためには、実施の形態2における溝部TRbを形成する工程(図13(A)および(B))の際に、図16に示すようにさらに深く溝部を形成することで、溝部TRcが形成されればよい。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
本実施の形態によれば、溝部TRcの加工ばらつきがあっても、溝部TRcがより確実に支持基板30cに達する。よって単結晶基板群10bの基板間をより確実に離すことができる。これにより、基板間をより確実に充填することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、炭化珪素基板80a(図1(A)および(B))を用いて炭化珪素半導体装置を製造する方法について説明する。なお炭化珪素基板80aが有する単結晶基板11a〜19aのうち単結晶基板11aにのみ言及する場合があるが、他の単結晶基板12a〜19aの各々もほぼ同様に扱われる。
本実施の形態においては、炭化珪素基板80a(図1(A)および(B))を用いて炭化珪素半導体装置を製造する方法について説明する。なお炭化珪素基板80aが有する単結晶基板11a〜19aのうち単結晶基板11aにのみ言及する場合があるが、他の単結晶基板12a〜19aの各々もほぼ同様に扱われる。
図17を参照して、本実施の形態の炭化珪素半導体装置100は、縦型DiMOSFET(Double Implanted Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であって、支持基板30、単結晶基板11a、バッファ層121、耐圧保持層122、p領域123、n+領域124、p+領域125、酸化膜126、ソース電極111、上部ソース電極127、ゲート電極110、およびドレイン電極112を有する。炭化珪素半導体装置100の平面形状(図17の上方向から見た形状)は、たとえば、2mm以上の長さの辺からなる長方形または正方形である。
ドレイン電極112は支持基板30上に設けられ、またバッファ層121は単結晶基板11a上に設けられている。この配置により、ゲート電極110によってキャリアの流れが制御される領域は、支持基板30ではなく単結晶基板11aの上に配置されている。
支持基板30、単結晶基板11a、およびバッファ層121は、n型の導電型を有する。バッファ層121におけるn型の導電性不純物の濃度は、たとえば5×1017cm-3である。またバッファ層121の厚さは、たとえば0.5μmである。
耐圧保持層122は、バッファ層121上に形成されており、また導電型がn型のSiCからなる。たとえば、耐圧保持層122の厚さは10μmであり、そのn型の導電性不純物の濃度は5×1015cm-3である。
この耐圧保持層122の表面には、導電型がp型である複数のp領域123が互いに間隔を隔てて形成されている。p領域123の内部において、p領域123の表面層にn+領域124が形成されている。また、このn+領域124に隣接する位置には、p+領域125が形成されている。複数のp領域123の間から露出する耐圧保持層122上には酸化膜126が形成されている。具体的には、酸化膜126は、一方のp領域123におけるn+領域124上から、p領域123、2つのp領域123の間において露出する耐圧保持層122、他方のp領域123および当該他方のp領域123におけるn+領域124上にまで延在するように形成されている。酸化膜126上にはゲート電極110が形成されている。また、n+領域124およびp+領域125上にはソース電極111が形成されている。このソース電極111上には上部ソース電極127が形成されている。
酸化膜126と、半導体層としてのn+領域124、p+領域125、p領域123および耐圧保持層122との界面から10nm以内の領域における窒素原子濃度の最大値は1×1021cm-3以上となっている。これにより、特に酸化膜126下のチャネル領域(酸化膜126に接する部分であって、n+領域124と耐圧保持層122との間のp領域123の部分)の移動度を向上させることができる。
次に炭化珪素半導体装置100の製造方法について説明する。まず基板準備工程(ステップS110:図18)にて、炭化珪素基板80a(図1(A)および(B))が準備される。
図19を参照して、エピタキシャル層形成工程(ステップS120:図18)により、バッファ層121および耐圧保持層122が、以下のように形成される。
単結晶基板群10aの表面上にバッファ層121が形成される。バッファ層121は、導電型がn型のSiCからなり、たとえば厚さ0.5μmのエピタキシャル層である。またバッファ層121における導電型不純物の濃度は、たとえば5×1017cm-3とされる。
次にバッファ層121上に耐圧保持層122が形成される。具体的には、導電型がn型のSiCからなる層が、エピタキシャル成長法によって形成される。耐圧保持層122の厚さは、たとえば10μmとされる。また耐圧保持層122におけるn型の導電性不純物の濃度は、たとえば5×1015cm-3である。
図20を参照して、注入工程(ステップS130:図18)により、p領域123と、n+領域124と、p+領域125とが、以下のように形成される。
まずp型の導電性不純物が耐圧保持層122の一部に選択的に注入されることで、p領域123が形成される。次に、n型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってn+領域124が形成され、またp型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってp+領域125が形成される。なお不純物の選択的な注入は、たとえば酸化膜からなる注入用マスクを用いて行われる。
このような注入工程の後、活性化アニール処理が行われる。たとえば、アルゴン雰囲気中、加熱温度1700℃で30分間のアニールが行われる。
また支持基板30上にドレイン電極112が形成される。
図21を参照して、ゲート絶縁膜形成工程(ステップS140:図18)が行われる。具体的には、耐圧保持層122と、p領域123と、n+領域124と、p+領域125との上を覆うように、酸化膜126が形成される。この形成はドライ酸化(熱酸化)により行われてもよい。ドライ酸化の条件は、たとえば、加熱温度が1200℃であり、また加熱時間が30分である。
図21を参照して、ゲート絶縁膜形成工程(ステップS140:図18)が行われる。具体的には、耐圧保持層122と、p領域123と、n+領域124と、p+領域125との上を覆うように、酸化膜126が形成される。この形成はドライ酸化(熱酸化)により行われてもよい。ドライ酸化の条件は、たとえば、加熱温度が1200℃であり、また加熱時間が30分である。
その後、窒化処理工程(ステップS150)が行われる。具体的には、一酸化窒素(NO)雰囲気中でのアニール処理が行われる。この処理の条件は、たとえば加熱温度が1100℃であり、加熱時間が120分である。この結果、耐圧保持層122、p領域123、n+領域124、およびp+領域125の各々と、酸化膜126との界面近傍に、窒素原子が導入される。
なおこの一酸化窒素を用いたアニール工程の後、さらに不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガスを用いたアニール処理が行われてもよい。この処理の条件は、たとえば、加熱温度が1100℃であり、加熱時間が60分である。
図22を参照して、電極形成工程(ステップS160:図18)により、ソース電極111およびドレイン電極112が、以下のように形成される。
まず酸化膜126上に、フォトリソグラフィ法を用いて、パターンを有するレジスト膜が形成される。このレジスト膜をエッチング用マスクとして用いて、酸化膜126のうちn+領域124およびp+領域125上に位置する部分がエッチングにより除去される。これにより酸化膜126に開口部が形成される。次に、この開口部においてn+領域124およびp+領域125の各々と接触するように導体膜が形成される。次にレジスト膜を除去することにより、上記導体膜のうちレジスト膜上に位置していた部分の除去(リフトオフ)が行われる。この導体膜は、金属膜であってもよく、たとえばニッケル(Ni)からなる。このリフトオフの結果、ソース電極111が形成される。
なお、ここでアロイ化のための熱処理が行なわれることが好ましい。たとえば、不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガスの雰囲気中、加熱温度950℃で2分の熱処理が行なわれる。
図23を参照して、ソース電極111上に上部ソース電極127が形成される。また、酸化膜126上にゲート電極110が形成される。また、炭化珪素基板80aの裏面上にドレイン電極112が形成される。
次に、ダイシング工程(ステップS170:図18)により、破線DCに示すようにダイシングが行われる。これにより複数の炭化珪素半導体装置100(図17)が切り出される。好ましくは、各炭化珪素半導体装置100は、充填部20が含まれないように切り出される。
なお本実施の形態においては炭化珪素基板80a(実施の形態1)が用いられたが、たとえば炭化珪素基板80b(実施の形態2)または80c(実施の形態3)など、他の炭化珪素基板が用いられてもよい。
また上記の各実施の形態においては、各単結晶基板と支持基板(ベース層)との間の接合が炭化珪素の昇華再結晶法を用いて行われるが、接合方法はこれに限定されるものではなく、接着剤が用いられてもよい。接着剤としては、たとえば、加熱によって炭化珪素となる流動体を用いることができる。このような流動体としては、たとえばポリカルボシランを用いることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,10a,10b 単結晶基板群、11〜19,11a〜19a,11b〜19b 単結晶基板、20 充填部、29 原料部、30,30c 支持基板、40 マスク、50 ヒータ、51 断熱容器、70a,70b,70bp 複合基板、80a,80b,80c 炭化珪素基板、91,92 加熱体、100 炭化珪素半導体装置、B1,B2 裏面、F1,F2 表面、GQ 空隙、P1,P2 主面、S1,S1a,S1b,S2,S2a,S2b 端面、TRa,TRb,TRc 溝部。
Claims (8)
- 炭化珪素からなる複数の単結晶基板と、前記複数の単結晶基板の各々に接合されたベース層とを有する複合基板を形成する工程を備え、前記複数の単結晶基板の各々は、前記ベース層に接合された裏面と、前記裏面と反対の表面と、前記裏面および前記表面をつなぐ端面とを有し、前記複数の単結晶基板は、前記ベース層上において互いに離されていることによって、互いに隣り合う前記複数の単結晶基板の各々の前記端面によって構成された側壁と、前記ベース層で構成された底面とを有する溝部を形成しており、さらに
前記溝部に対向するように、炭化珪素からなる原料部を配置する工程と、
前記原料部から昇華させた炭化珪素を前記底面上において再結晶させることによって、前記溝部を充填する工程とを備える、炭化珪素基板の製造方法。 - 前記複合基板を形成する工程は、前記ベース層が前記複数の単結晶基板の各々に接合される前に、前記複数の単結晶基板を互いに離して配置する工程を含む、請求項1に記載の炭化珪素基板の製造方法。
- 前記複合基板を形成する工程は、前記ベース層が前記複数の単結晶基板の各々に接合された後に、前記溝部を形成する工程を含む、請求項1に記載の炭化珪素基板の製造方法。
- 前記複合基板を形成する工程は、前記溝部を介して互いに隣り合う前記複数の単結晶基板の間隔が、前記底面から離れるほど大きくなるように行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
- 前記溝部を充填する工程の前に、前記複数の単結晶基板の各々の前記表面上にマスクを配置する工程をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
- 前記原料部を配置する工程は、前記複数の単結晶基板の各々の上に配置された前記マスク上に前記原料部を配置することによって行われる、請求項5に記載の炭化珪素基板の製造方法。
- 前記マスクは可撓性を有する、請求項6に記載の炭化珪素基板の製造方法。
- 前記マスクは炭素からなる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
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