JP2013086617A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 キャップトレッドコンパウンドに低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用した場合であっても、優れた操縦安定性を発揮することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 トレッド部1におけるタイヤ赤道線CLの両側にタイヤ周方向に延びる一対の周方向溝11を設け、これら一対の周方向溝11の相互間に第1陸部21を区画し、一対の周方向溝11の外側に陸部21を区画した空気入りタイヤにおいて、正規リムに組み付けられて正規内圧に調整された状態で、陸部21のタイヤ赤道線CLの位置がタイヤ最大外径部となるトレッドプロファイルを構成し、かつ陸部21の両側に配置された各周方向溝11のタイヤ幅方向内側の溝壁をタイヤ幅方向外側の溝壁よりも高くする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、トレッド部に複数本の周方向溝を備えた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、キャップトレッドコンパウンドに低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用した場合であっても、優れた操縦安定性を発揮することを可能にした空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、一般にトレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の周方向溝を設け、これら周方向溝により複数列の陸部を区画した構造を有している(例えば、特許文献1参照)。このような空気入りタイヤでは、複数本の周方向溝により排水性を確保する一方で、複数列の陸部によりグリップ力を発揮するようになっている。
近年、世界的な環境性能への関心の高まりから、乗用車用の空気入りタイヤには転がり抵抗や車外騒音の低減が強く求められている。これら転がり抵抗や車外騒音を低減するには、キャップトレッドコンパウンドに低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用することが有効である。つまり、低発熱性とすることで走行時のエネルギー損失を低減し、低硬度とすることで走行時のトレッド部による打音を低減することができる。
しかしながら、キャップトレッドコンパウンドに低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用した場合、グリップ力やコーナリングパワーが低下し、操縦安定性が悪化するという問題がある。そのため、転がり抵抗や車外騒音を低減すると同時に優れた操縦安定性を維持することは極めて困難である。
特開2000−142030号公報
本発明の目的は、キャップトレッドコンパウンドに低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用した場合であっても、優れた操縦安定性を発揮することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部におけるタイヤ赤道線の両側にタイヤ周方向に延びる一対の周方向溝を設け、これら一対の周方向溝の相互間に第1陸部を区画し、前記一対の周方向溝の外側に第2陸部を区画した空気入りタイヤにおいて、正規リムに組み付けられて正規内圧に調整された状態で、前記第1陸部のタイヤ赤道線の位置がタイヤ最大外径部となるトレッドプロファイルを構成し、かつ前記第1陸部の両側に配置された各周方向溝のタイヤ幅方向内側の溝壁をタイヤ幅方向外側の溝壁よりも高くしたことを特徴とするものである。
本発明では、第1陸部のタイヤ赤道線の位置がタイヤ最大外径部となるトレッドプロファイルを構成し、かつ第1陸部の両側に配置された各周方向溝のタイヤ幅方向内側の溝壁をタイヤ幅方向外側の溝壁よりも高くすることにより、タイヤ赤道線上に位置する第1陸部の両縁部での接地圧を高くするので、トレッド部のグリップ力を高めることができる。そのため、キャップトレッドコンパウンドに低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用した場合であっても、優れた操縦安定性を発揮することができる。特に、操舵に対する応答性が良くなるため緊急回避性を改善することができる。
本発明において、トレッド部を構成するキャップトレッドコンパウンドには、tanδが0.05〜0.18の範囲にあり、硬さが58〜63の範囲にあるゴム組成物を使用することが好ましい。これにより、転がり抵抗や車外騒音を低減することができる。
第1陸部の両側に配置された各周方向溝のタイヤ幅方向内側の溝壁の高さHaとタイヤ幅方向外側の溝壁の高さHbとの差は0.3mm〜1.1mmとすることが好ましい。これにより、転がり抵抗や車外騒音を悪化させることなく操縦安定性の改善効果を十分に得ることができる。
第1陸部はタイヤ周方向に連続的に延在するリブ構造を有することが好ましい。これにより、操縦安定性の改善効果を十分に得ることができる。
本発明において、空気入りタイヤの各寸法はタイヤを正規リムに組み付けて正規内圧に調整した状態で測定されるものである。ここで、正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リムである。また、正規内圧とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定める空気圧であり、例えば、JATMAであれば最高空気圧であるが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。 図1の空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。 図1の空気入りタイヤのトレッドプロファイルを示す断面図である。 図3のトレッドプロファイルの変形例を示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを示すものである。図2に示すように、トレッド部1にはタイヤ赤道線CLの両側に位置してタイヤ周方向に延びる2本の周方向溝11と各周方向溝11の外側に位置する2本の周方向溝12とが形成されている。周方向溝11,12の溝幅及び溝深さは特に限定されるものではないが、例えば、溝幅は6.5mm〜7.0mmの範囲に設定され、溝深さは7.5mm〜7.8mmの範囲に設定されている。これにより、一対の周方向溝11,11の相互間に陸部21(第1陸部)が区画され、周方向溝11,12間に陸部22(第2陸部)が区画され、各周方向溝12のタイヤ幅方向外側に陸部23(第3陸部)が区画されている。
タイヤ赤道CL上に位置する陸部21は、タイヤ周方向に連続したリブ構造を有している。陸部21のタイヤ幅方向外側に位置する陸部22の各々には、タイヤ周方向に延びる1本の細溝13と該細溝13からタイヤ幅方向外側に向かって延びる複数本の傾斜溝14とが形成されている。これにより、陸部22は複数のブロック22aと1本の細リブ22bとに細分化されている。陸部22のタイヤ幅方向外側に位置する陸部23の各々には、タイヤ幅方向に延びてショルダー側の周方向溝12に連通する複数本のラグ溝15とタイヤ幅方向に延びてショルダー側の周方向溝12とは非連通となる複数本のラグ溝16とが形成されている。これにより、陸部23は複数のブロック23aに細分化されている。
図3は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドプロファイルを示すものである。なお、図3はトレッド部1のセンター領域のプロファイルを局部的に示すものであり、その理解を容易にするために実際よりも曲率半径の変化を強調するように描写したものである。
上述した空気入りタイヤは、正規リムに組み付けられて正規内圧に調整された状態において、図3に示すように、陸部21のタイヤ赤道線CLの位置がタイヤ最大外径部となるトレッドプロファイルを構成している。つまり、陸部21のタイヤ赤道線CLの位置が最もタイヤ径方向外側に突き出しており、タイヤ外径Dはタイヤ赤道線CLの位置にて測定される。更に、陸部21の両側に配置された各周方向溝11のタイヤ幅方向内側の溝壁11aの高さHaはタイヤ幅方向外側の溝壁11bの高さHbよりも大きくなるように設定されている。周方向溝11の溝壁11a,11bの高さHa,Hbは周方向溝11の溝底の法線方向に沿って測定されるものである。
上述した空気入りタイヤにおいては、陸部21のタイヤ赤道線CLの位置がタイヤ最大外径部となるトレッドプロファイルを構成し、かつ陸部21の両側に配置された各周方向溝11のタイヤ幅方向内側の溝壁11aの高さHaをタイヤ幅方向外側の溝壁11bの高さHbよりも大きくすることにより、タイヤ赤道線CL上に位置する陸部21の両縁部での接地圧を高くするので、トレッド部1のグリップ力を高めることができる。そのため、転がり抵抗や車外騒音を低減するためにトレッド部1を構成するキャップトレッドコンパウンドに低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用した場合であっても、緊急回避性を含む操縦安定性を良好に維持することができる。特に、タイヤ赤道線CL上に位置する陸部21はタイヤ周方向に連続的に延在するリブ構造を有しているので、その陸部21の両縁部での接地圧を高くすることは操縦安定性の改善に大きく寄与する。
上記空気入りタイヤにおいて、図3に示すように、陸部21のタイヤ子午線方向のトレッドラジアスTR1は陸部22のタイヤ子午線方向のトレッドラジアスTR2よりも大きくなっている。より具体的には、陸部21の輪郭がトレッドラジアスTR1に基づいて規定されているのに対して、トレッド部1における陸部21を除く全ての陸部22,23の輪郭はトレッドラジアスTR2に基づいて規定されている。このように陸部21の輪郭を相対的に大きなトレッドラジアスTR1に基づいて規定することにより、陸部21の中央部から両縁部に向かって接地圧を適度に高くし、操縦安定性を効果的に改善することができる。
陸部21の両側に配置された各周方向溝11のタイヤ幅方向内側の溝壁11aの高さHaとタイヤ幅方向外側の溝壁11bの高さHbとの差(Ha−Hb)は、0.3mm〜1.1mm、より好ましくは、0.5mm〜0.9mmの範囲に設定すると良い。これにより、転がり抵抗や車外騒音を悪化させることなく操縦安定性の改善効果を十分に得ることができる。この差(Ha−Hb)が小さ過ぎると操縦安定性の改善効果が低下し、逆に大き過ぎると転がり抵抗や車外騒音を悪化する。
図4は図3のトレッドプロファイルの変形例を示すものである。図4において、トレッドラジアスTR1,TR2及び溝壁高さHa,Hbの関係は図3の場合と同様に設定されているが、トレッド表面の法線方向に対する周方向溝11の両溝壁11a,11bの傾斜角度は互いに異なっており、タイヤ幅方向内側の溝壁11aの傾斜角度がタイヤ幅方向外側の溝壁11bの傾斜角度よりも大きくなっている。このように周方向溝11の両溝壁11a,11bの傾斜角度を互いに異ならせることが可能である。特に、周方向溝11のタイヤ幅方向内側の溝壁11aの傾斜角度をタイヤ幅方向外側の溝壁11bの傾斜角度よりも大きくした場合、タイヤ赤道線CL上に位置する陸部21の剛性が高くなるため操縦安定性を更に改善することができる。
上記空気入りタイヤにおいて、転がり抵抗や車外騒音の低減を目的として、トレッド部1を構成するキャップトレッドコンパウンドには低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用することが望ましい。例えば、tanδが0.05〜0.18の範囲にあり、硬さが58〜63の範囲にあるゴム組成物を使用すると良い。そのようなゴム組成物は配合するポリマー種の選択及び比率の適正化や、カーボンブラックの配合量を少なくし、その替わりにシリカを配合すること等で適宜調整することができる。
ここで、tanδはJIS K6394に準拠して測定され、即ち、粘弾性スペクトロメータ(東洋精機製作所製)を使用して、温度60℃、周波数20Hz、初期歪10%、動歪±2%の条件で測定されるものである。また、硬さはJIS K6253に準拠して測定され、即ち、デュロメータ(Aタイプ)を使用して測定されるデュロメータ硬さである。
上述のようにキャップトレッドコンパウンドに低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用した場合、転がり抵抗や車外騒音の低減と操縦安定性とを高度に両立することが可能になるが、本発明では必ずしも低発熱性で低硬度のゴム組成物を使用する必要はない。つまり、キャップトレッドコンパウンドに汎用のゴム組成物を使用した場合には、転がり抵抗や車外騒音の低減効果は減少するものの、より優れた操縦安定性を得ることが可能になる。
タイヤサイズが175/65R15であり、図2に示すように、トレッド部にタイヤ周方向に延びる4本の周方向溝を設け、これら周方向溝により5列の陸部を区画した空気入りタイヤにおいて、正規リムに組み付けられて正規内圧に調整された状態で、第1陸部のタイヤ赤道線の位置がタイヤ最大外径部となるトレッドプロファイルを構成し、キャップコンパウンド、第1陸部の両側に配置された各周方向溝のタイヤ幅方向内側の溝壁高さHa及びタイヤ幅方向外側の溝壁高さHb、溝壁高さHaと溝壁高さHbとの差(Ha−Hb)を表1のように設定した従来例1,2及び実施例1〜6のタイヤを作製した。
キャップコンパウンドとしては、汎用のゴム組成物Aと低転がり抵抗のゴム組成物Bを用いた。ゴム組成物Aのtanδは0.22であり、硬さは67である。一方、ゴム組成物Bのtanδは0.12であり、硬さは62である。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、転がり抵抗、操縦安定性、車外騒音を評価し、その結果を表1に併せて示した。
転がり抵抗:
各試験タイヤをリムサイズ15×5Jのホイールに組み付けて空気圧を230kPaとして転がり抵抗測定装置に装着し、速度80km/hでの転がり抵抗を測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
操縦安定性:
各試験タイヤをリムサイズ15×5Jのホイールに組み付けて空気圧を230kPaとして排気量1200ccクラスの試験車両(FF車)に装着し、乾燥路面にて操縦安定性(応答ゲイン)についてテストドライバーによる官能評価を行った。評価結果は、従来例1を3とする5点満点の評価値にて示した。この評価値が大きいほど操縦安定性が優れていることを意味する。
車外騒音:
各試験タイヤをリムサイズ15×5Jのホイールに組み付けて空気圧を230kPaとして排気量1200ccクラスの試験車両(FF車)に装着し、乾燥路面にて速度53km/hで走行した際の車外騒音を測定した。評価結果は、従来例1を基準とし、その基準に対する差にて示した。マイナス値は従来例1に比べて車外騒音が減少したことを意味し、プラス値は従来例1に比べて車外騒音が増加したことを意味する。
Figure 2013086617
表1から明らかなように、実施例1,2のタイヤは、従来例1に比べて転がり抵抗及び車外騒音が低減され、しかも従来例2に比べて操縦安定性が改善されていた。実施例3〜4は、実施例1,2には劣るものの、従来例1,2との対比において相対的に良好な結果が得られていた。
1 トレッド部
11,12 周方向溝
13 細溝
14 傾斜溝
15,16 ラグ溝
21,22,23 陸部
22a,23a ブロック
22b 細リブ
CL タイヤ赤道線

Claims (4)

  1. トレッド部におけるタイヤ赤道線の両側にタイヤ周方向に延びる一対の周方向溝を設け、これら一対の周方向溝の相互間に第1陸部を区画し、前記一対の周方向溝の外側に第2陸部を区画した空気入りタイヤにおいて、正規リムに組み付けられて正規内圧に調整された状態で、前記第1陸部のタイヤ赤道線の位置がタイヤ最大外径部となるトレッドプロファイルを構成し、かつ前記第1陸部の両側に配置された各周方向溝のタイヤ幅方向内側の溝壁をタイヤ幅方向外側の溝壁よりも高くしたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記トレッド部を構成するキャップトレッドコンパウンドに、tanδが0.05〜0.18の範囲にあり、硬さが58〜63の範囲にあるゴム組成物を使用したことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第1陸部の両側に配置された各周方向溝のタイヤ幅方向内側の溝壁の高さHaとタイヤ幅方向外側の溝壁の高さHbとの差を0.3mm〜1.1mmとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第1陸部がタイヤ周方向に連続的に延在するリブ構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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