JP2013086593A - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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純三 松野
Toshiki Shimizu
敏喜 清水
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Abstract

【課題】タイヤサイズに合わせてインナーライナーの円周をコントロールすることが容易であり、しかもインナーライナーの接合部における強度を高めてタイヤ成形性を確保し、かつインナーライナーとしての気密性を向上する。
【解決手段】熱可塑性の耐空気透過性フィルム10の両端11,12を重ね合わせ、重ね合わせ部を超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状の耐空気透過性フィルムを作製する。その際、耐空気透過性フィルムの接合部13内に、超音波ウェルダー法により溶着されていない非溶着部14を設け、かつ該非溶着部14が接合部13を周方向Cの一端13Aから他端13Bまで貫通しない非貫通状に設けられるように、超音波ウェルダー法による溶着を行う。得られた円筒状の耐空気透過性フィルム10をインナーライナー8として用いて空気入りタイヤを加硫成形する。
【選択図】図3

Description

本発明は、耐空気透過性フィルムをインナーライナーとして備えた空気入りタイヤ及びその製造方法に関するものである。
空気入りタイヤの内側面には、タイヤの空気圧を一定に保持するために空気透過抑制層としてインナーライナーが設けられている。かかるインナーライナーは、一般に、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴムなどの比較的空気透過性の低いゴムからなるゴム層で構成されているが、タイヤの軽量化を図るべく、インナーライナーを薄くするために、熱可塑性の耐空気透過性フィルムをインナーライナーとして用いることが提案されている。このような熱可塑性フィルムをインナーライナーとして用いる場合、タイヤ内面に沿った円筒状のフィルムをどのようして形成するかが問題となる。
この点に関し、下記特許文献1〜3では、接合部分のない円筒状の熱可塑性フィルムを、インフレーション成形により作製することが開示されている。しかしながら、インフレーション成形では、タイヤサイズに合わせて円周をコントロールすることが難しく、円周を変えるためには押出機のダイを交換する必要があるので、コストが高くなるという問題がある。
一方、下記特許文献4では、熱可塑性フィルムの継ぎ目における重なり部分を、温度80〜250℃の範囲で熱押圧処理して接合することにより円筒状のフィルムを作製することが開示されている。この方法によれば、円筒状フィルムの円周を自由に変化させることができるが、熱押圧処理による溶着は、エネルギー負荷が大きく、また溶着時間が比較的長く、更に外部から熱を加えて溶着させるため、熱で溶けたフィルムがヒーターに付着することで部品の交換頻度が高いという問題がある。
特開平08−258506号公報 特開2005−103760号公報 特開2006−315339号公報 特開2009−190448号公報
本発明者は、上記の点に鑑み、検討していく中で、熱可塑性フィルムを超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状に形成することを考えた。超音波ウェルダー法によれば、円筒状に押出成形するインフレーション成形とは異なり、円周を自由に変化させることができるので、どのタイヤのサイズでも作製が可能である。また、熱押圧処理による溶着とは異なり、超音波ウェルダー法は必要な分だけの熱量(エネルギー)しかかからない。また、熱押圧溶着が外部より熱を加えているのに対し、超音波ウェルダー法は超音波振動させ、発生した振動熱により溶着させる内部加熱にあたるので、溶着時間が大幅に短縮でき、連続して溶着することも可能である。
このように超音波ウェルダー法は優れた利点を有するが、熱可塑性フィルムの両端を重ね合わせ、その重ね合わせ部を全面にわたって溶着しようした場合、接合部の強度が十分に確保できないことが判明した。すなわち、接合部の全面にわたって溶着させる形態では、その全面にわたって超音波振動を均一に付与することが難しく、接合部が弱くなり、タイヤの成形性が損なわれてしまう。その一方で、インナーライナーとしての特性を満足するため、接合部における気密性を確保する必要もある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、超音波ウェルダー法による上記の利点を生かしながら、接合部における強度を高めてタイヤ成形性を確保し、しかもインナーライナーとしての気密性を向上することを目的とする。
本発明に係る第1の発明は、タイヤ内面にインナーライナーを備えた空気入りタイヤにおいて、前記インナーライナーは、熱可塑性の耐空気透過性フィルムの両端を重ね合わせ、重ね合わせ部を超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状に形成されてなり、前記溶着された前記耐空気透過性フィルムの接合部内に、前記超音波ウェルダー法により溶着されていない非溶着部が設けられ、前記非溶着部は、前記接合部を周方向の一端から他端まで貫通しない非貫通状に設けられたことを特徴とする空気入りタイヤにある。
本発明に係る第2の発明は、タイヤ内面にインナーライナーを備えた空気入りタイヤの製造方法であって、熱可塑性の耐空気透過性フィルムの両端を重ね合わせ、重ね合わせ部を超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状の耐空気透過性フィルムを作製し、その際、前記耐空気透過性フィルムの接合部内に、前記超音波ウェルダー法により溶着されていない非溶着部が設けられ、かつ該非溶着部が前記接合部を周方向の一端から他端まで貫通しない非貫通状に設けられるように、前記超音波ウェルダー法による溶着を行い、次いで、得られた円筒状の耐空気透過性フィルムをインナーライナーとして用いて空気入りタイヤを加硫成形することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法にある。
本発明に係る第3の発明は、タイヤ内面にインナーライナーを備えた空気入りタイヤにおいて、前記インナーライナーは、熱可塑性の耐空気透過性フィルムの両端を重ね合わせ、重ね合わせ部を超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状に形成されてなり、前記溶着された前記耐空気透過性フィルムの接合部を含む部分の周方向での引張強度が接合部でない部分の引張強度の70%以上であり、前記接合部を含む部分の周方向での引張伸びが200%以上であり、かつ前記接合部を含む部分の80℃での空気透過係数の逆数が接合部でない部分の空気透過係数の逆数の70%以上であることを特徴とする空気入りタイヤにある。
上記本発明において、前記接合部は、前記超音波ウェルダー法により溶着された線状の溶着部を備えてなり、前記線状の溶着部により前記非溶着部が非貫通状に設けられてもよい。また、前記線状の溶着部は周方向に対して傾斜して延びたものであってもよい。更に、前記接合部は、線状の溶着部を斜め格子状のパターンで設けることにより形成されたものであってもよい。
上記第1及び第2の発明によれば、超音波ウェルダー法による接合部内に、溶着されていない非溶着部を設けたことにより、接合部における引張強度と引張伸びを高めてタイヤの成形性を確保することができる。一方で、非溶着部を設けると、その部分から空気が漏れることにより気密性が損なわれるおそれがあるが、上記のように非溶着部を、接合部を横断しない非貫通状に形成したので、気密性を確保することができる。そのため、超音波ウェルダー法による本来の利点を生かしながら、タイヤの成形性とインナーライナーとしての気密性を確保することができる。
上記第3の発明によれば、超音波ウェルダー法で溶着した接合部の強度を、接合部でないフィルム本体部分の引張強度の70%以上とし、またその引張伸びを200%以上とし、更に、接合部での空気透過係数の逆数を、接合部でないフィルム本体部分の空気透過係数の逆数の70%以上としたので、タイヤの成形性とインナーライナーとしての気密性を確保することができる。
実施形態に係る空気入りタイヤの断面図である。 実施形態における超音波ウェルダー法による溶着時の側面図である。 (a)は耐空気透過性フィルムの溶着時における拡大断面図であり、(b)は溶着された接合部の断面図である。 実施例1に係る接合部の溶着パターンを示す拡大平面図である。 実施例2に係る接合部の溶着パターンを示す拡大平面図である。 他の実施例に係る接合部の溶着パターンを示す拡大平面図である。 更に他の実施例に係る接合部の溶着パターンを示す拡大平面図である。 比較例2に係る接合部の溶着パターンを示す拡大平面図である。 比較例3に係る接合部の溶着パターンを示す拡大平面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の断面図である。図示するように、空気入りタイヤ1は、リム組みされる左右一対のビード部2,2と、該ビード部2からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部3,3と、該一対のサイドウォール部3,3間に設けられた路面に接地するトレッド部4とから構成される。前記一対のビード部2,2には、それぞれリング状のビードコア5が埋設されている。有機繊維コードを用いたカーカスプライ6が、ビードコア5,5の周りを折り返して係止されるとともに、左右のビード部2,2間に架け渡して設けられている。また、カーカスプライ6のトレッド部4における外周側には、スチールコードやアラミド繊維などの剛直なタイヤコードを用いた2枚の交差ベルトプライからなるベルト7が設けられている。
カーカスプライ6の内側にはタイヤ内面の全体にわたってインナーライナー8が設けられている。本実施形態では、このインナーライナー8として、熱可塑性エラストマーからなる耐空気透過性フィルムが用いられている。インナーライナー8は、図1中の拡大図に示すように、タイヤ内面側のゴム層であるカーカスプライ6の内面に貼り合わされており、より詳細には、カーカスプライ6のコードを被覆するトッピングゴム層の内面に貼り合わされている。
インナーライナー8を構成する耐空気透過性フィルムとしては、特に限定するものではないが、80℃での空気透過係数が5×1013fm/Pa・s以下のものが好ましく用いられる。フィルムの空気透過係数がこれよりも大きいと、ハロゲン化ブチルゴム配合のゴム組成物単独からなる従来の一般的なインナーライナーに対する優位性が小さくなり、軽量化を図ることが難しくなる。該空気透過係数は、より好ましくは4×1013fm/Pa・s以下である。空気透過係数の下限は特に限定されないが、事実上は0.5×1013fm/Pa・s以上である。ここで、空気透過係数は、JIS K7126−1「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」に準じて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて測定される値である。
該耐空気透過性フィルムは、また、ヤング率が30〜300MPaのものが好ましく用いられる。このようなヤング率の低いポリマーを用いることにより、追従性が増して、タイヤ成形時の加工性を良好にすることができる。ここで、ヤング率は、JIS K6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準じて(ダンベル状3号形)、応力−ひずみ曲線を得て、その初期ひずみ領域での曲線に対する接線の傾きから求められる。
該耐空気透過性フィルムは、また、引張伸びが200%以上であるものが好ましく用いられる。このように引張伸びの高いフィルムを用いることにより、タイヤ成形時における加工性を良好にすることができる。引張伸びはより好ましくは300%以上である。引張の上限は特に限定されないが、通常は600%以下である。ここで、引張伸びは、JIS K6251の引張試験に準じて測定される破断時の伸びである(ダンベル状3号形)。
該耐空気透過性フィルムは、また、融点が170℃以上であることが好ましい。融点170℃以上のものを用いることにより、インナーライナーとして用いてタイヤを加硫成形する際の不所望な変形を抑制することができる。融点は190℃以上であることが好ましく、更に好ましくは200℃以上である。融点の上限は特に限定されないが、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは230℃以下である。ここで、融点は、JIS K7121のDSC(示差走査熱量計)法に準拠して測定される値である。
このような耐空気透過性フィルムは、熱可塑性エラストマーを溶融混練し、得られた溶融物を、押出機などを用いてフィルム化することにより得られる。この場合の押出技術は従来一般的な押出技術を用いることができ、すなわち、汎用装置でフィルム化が可能であり、シート状、すなわち帯状のシート状物として押出成形される。
上記熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性の凍結相あるいは結晶相を形成するハードセグメント(硬質セグメント)と、ゴム弾性を示すソフトセグメント(軟質セグメント)とからなるブロック共重合体を用いることができる。例えば、ポリエステルをハードセグメントとするポリエステル系エラストマー、ポリアミドをハードセグメントとするポリアミド系エラストマー、ポリスチレンをハードセグメントとするポリスチレン系エラストマー、ポリエチレンやポリプロピレンをハードセグメントとするポリオレフィン系エラストマー、ハードセグメントにウレタン構造を持つポリウレタン系エラストマー等が挙げられ、これらを1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。好ましくは、融点が高く、耐熱性が他の熱可塑性エラストマーに比べて高いことから、ポリエステル系エラストマー(TPEE)を用いることである。また、このような熱可塑性エラストマーに対して柔軟性を付与するために下記ゴム成分をブレンドしてなる海島構造のものも、上記熱可塑性エラストマーとして用いることができる。
また、上記熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性樹脂とゴム成分をブレンドしてなる海島構造の熱可塑性エラストマーを用いてもよい。該熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポチエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリルなどのポリニトリル系樹脂、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)などのフッ素系樹脂、芳香族ポリイミド(PI)などのイミド系樹脂が挙げられる。また、ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)などのジエン系ゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴムなどのオレフィン系ゴムなどが挙げられる。
上記耐空気透過性フィルムの厚みは、特に限定されず、例えば、0.02〜2.0mmとすることができ、より好ましくは0.05〜1.0mmである。
上記インナーライナー8は、耐空気透過性フィルムの両端を重ね合わせ、重ね合わせ部を超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状に形成される。図2は、超音波ウェルダー法による溶着工程を示す図である。帯状に形成された耐空気透過性フィルム10を円筒状に丸めて、その両端11,12を重ね合わせ、重ね合わせ部を溶着する。該重ね合わせは、図2に示すように、耐空気透過性フィルム10の一端11の表面側に他端12の裏面側が重ねられるように行う。重ね合わせ部の長さはホーン21の幅以上に設定する。そのため、耐空気透過性フィルム10は、円筒化したい円周に対し、ホーン21の幅以上、ホーン21の幅の2倍以下の長さを加えた長さで切断して作製する。
超音波ウェルダー法による溶着は、耐空気透過性フィルム10の上記重ね合わせ部を支持台20上に載置し、超音波加工機のホーン21を該重ね合わせ部に押し当てた状態で、当該ホーン21から重ね合わせ部に超音波振動を付与することにより行われ、これにより、振動摩擦によって重ね合わせ部が溶融し、上記両端11,12の接合がなされる。超音波ウェルダー法による条件は、特に限定されないが、沈み込み量(溶着して減る嵩の量)が重ね合わせた厚みの10〜50%となるように厚みが減少した時に超音波を止める設定で行うことが好ましい。10%を下回ると溶着自体が弱く、接合強度が極端に弱くなり、必要な引張伸びが得られないおそれがある。また、50%を超えると熱がかかりすぎ、接合強度が弱くなると同時に、元のフィルムの厚さよりも薄くなるため、気密性を確保することが難しくなる。好ましくは、沈み込み量が重ね合わせた厚みの25〜45%となるように設定することである。溶着時間は、熱可塑性エラストマー、および沈み込み量により変化するが、通常は2秒以下である。
このようにして溶着される耐空気透過性フィルム10の接合部においては、インナーライナー8としての強度と気密性を確保することが重要である。そのため、本実施形態では、上記ホーン21として特殊な形状のものを用いて特殊な溶着パターンを形成することによりこれらの両立を図っている。すなわち、本実施形態では、図3に示すように、溶着された耐空気透過性フィルム10の接合部13内に、超音波ウェルダー法により溶着されていない非溶着部14を設け、該非溶着部14が接合部13における周方向(インナーライナーの周方向。タイヤ周方向と同じ。)Cの一端13Aから他端13Bまで貫通しない非貫通状となるように形成している。
接合部13は、上記両端11,12の重ね合わせ部のうち超音波ウェルダー法によって接合された部分であり、周方向Cにおいてホーン21の幅に対応した一定の接合幅Lを有し、かつ、インナーライナーの幅方向W(図4参照)における全幅にわたって延びる細長い帯状の領域である。本実施形態では、この接合部13内に、超音波ウェルダー法により溶着された領域としての溶着部15だけでなく、溶着されていない領域としての非溶着部14を設ける。従って、接合部13は溶着部15と非溶着部14とで構成されている。このような溶着パターンはホーン21の形状により形成され、すなわち、図3に示すように、ホーン21による圧着部が溶着部15となり、非圧着部が非溶着部14となる。
また、本実施形態では、該非溶着部14が、接合部13の一端13Aから他端13Bまで連続して伸びないように、すなわち接合部13を周方向Cにおいて横断しないように、非貫通状に形成されている。これは、仮に非溶着部14が周方向Cにて接合部13を貫通した状態に設けられていると、該非溶着部14を通って空気が漏れることにより気密性が損なわれるためである。
上記接合幅Lは、特に限定されないが、2〜30mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜20mmの範囲である。また、溶着部15での厚みT1は、特に限定されないが、耐空気透過性フィルム10の厚みT0に対し、T1/T0=1〜1.8の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.5の範囲である。
図4は、耐空気透過性フィルム10の接合部13における溶着パターンの一例を示した図である。図中、ハッチングを入れた部分が溶着部15であり、溶着部15間において白色で示した部分が非溶着部14である(図5〜9についても同様)。図示するように、この例では、溶着部15は線状であって、インナーライナーの幅方向Wの全体にわたって延びる直線状に形成されており、周方向Cに複数本が所定間隔に並べて設けられている。そのため、かかる直線状の溶着部15の間に複数の非溶着部14が直線状に形成されており、該非溶着部14は溶着部15により周方向Cに分断されているので、溶着部15により非溶着部14は周方向Cにおいて非貫通状に形成されている。
図5は、溶着パターンの他の例を示したものである。この例では、接合部13は、線状の溶着部15を斜め格子状のパターンで設けることにより形成されている。すなわち、周方向Cに対して傾斜して延びる複数の線状の第1溶着部15Aを、インナーライナーの幅方向Wにおいて所定間隔で配設するとともに、該第1溶着部15Aと逆向きに傾斜して延びかつこれに交差する複数の線状の第2溶着部15Bを、インナーライナーの幅方向Wにおいて所定間隔で配設することにより、斜め格子状の溶着パターンを形成している。これにより、接合部13には、格子子(こうしこ)となる溶着部15A,15Bの間に非溶着部14が形成され、該非溶着部14は線状の溶着部15に囲まれることで周方向Cにおいて非貫通状に形成されている。
図6は、溶着パターンの他の例を示したものである。この例では、接合部13は、線状の溶着部15を格子状のパターンで設けることにより形成されている。すなわち、インナーライナーの幅方向Wの全体にわたって直線状に延びる複数の第1溶着部15Aと、これに交差して周方向Cに沿って延びる複数の第2溶着部15Bとにより、格子状の溶着パターンが形成されている。これにより、接合部13には、格子子となる溶着部15A,15Bの間に非溶着部14が形成され、該非溶着部14は線状の溶着部15に囲まれることで周方向Cにおいて非貫通状に形成されている。
図7は、溶着パターンの他の例を示したものである。この例では、接合部13の全体を溶着部15として、その中に円形の非溶着部14を複数列(図では2列)にてかつ互いの位相をずらして設けることにより、溶着部15と非溶着部14が形成されている。また、非溶着部14はその周りが溶着部15で取り囲まれることにより、周方向Cにおいて非貫通状に形成されている。
これらの溶着パターンは、対応するホーン形状を持つホーン21を用いて、上記重ね合わせ部に対してその一方面側から超音波ウェルダーすることにより形成することができるが、表裏両面から超音波ウェルダーすることにより、最終的に得られた溶着パターンが上記形状となるように形成してもよい。なお、溶着パターンは、上記形状に限定されるものではなく、様々なパターンを採用することができる。例えば、直線状の溶着部を亀甲形(六角形が上下左右に並んだ形状)となるように配設したり、直線状の溶着部により五角形と四角形を組み合わせた連続模様にしたり、種々の変更が可能である。
上記のように、超音波ウェルダー法による接合部13内に非溶着部14を設けたことにより、接合部13における引張強度と引張伸びを高めることができる。特に、溶着部15を線状に形成することにより、超音波振動を付与するホーン21の圧着部の形状も線状となって均一な超音波振動を付与しやすくなるので、接合強度を高めることができる。また、溶着部15を周方向Cに対して傾斜させた図5の例であると、周方向Cにおける引張伸びをより高めることが可能となる。一方で、非溶着部14を設けると、その部分から空気が漏れることにより気密性が損なわれるおそれがあるが、上記のように非溶着部14を、接合部13を横断しない非貫通状に形成したので、気密性を確保することができる。
このような接合部13を備えた耐空気透過性フィルム10においては、接合部13を含む部分の周方向Cでの引張強度が接合部13でない部分の引張強度の70%以上であることが好ましい。70%以上であることにより、タイヤ成形工程のインフレーション時における接合部13の破断を防止して、成形性を向上することができる。より好ましくは80%以上である。なお、上限は、特に限定しないが、通常は100%以下である。ここで、引張強度は、JIS K6251の引張試験に準じて測定される引張強さであり、接合部13を含む部分では、ダンベル状3号形の平行部分に接合部13が位置するように試験片を打ち抜いて測定する。そして、接合部13を含まない部位について測定した引張強度に対する保持率を求める。
また、上記耐空気透過性フィルム10においては、接合部13を含む部分の周方向Cでの引張伸びが200%以上であることが好ましい。引張伸びが200%以上であることにより、タイヤ成形工程のインフレーション時における接合部13の破断を防止して、成形性を向上することができる。より好ましくは引張伸びが250%以上である。なお、引張伸びの上限は、特に限定しないが、通常は接合部13を含まない部分の引張伸び以下であり、通常は600%以下である。ここで、引張伸びの測定方法は、上記の通りであるが、接合部13を含む部分では、ダンベル状3号形の平行部分に接合部13が位置するように試験片を打ち抜いて測定する。
また、上記耐空気透過性フィルム10においては、接合部13を含む部分の80℃での空気透過係数の逆数が、接合部13でない部分の空気透過係数の逆数の70%以上であることが好ましい。すなわち、空気透過係数の逆数について、接合部13を含む部分が含まない部分に対して70%以上の保持率を有することが好ましい。この保持率は、接合部13においてどの程度気密性が保持されているかの指標となるものであり、値が大きいほど、接合による気密性の低下が小さいことを意味する。従って、該保持率が70%以上であることにより、インナーライナーとしての気密性を確保することができる。より好ましくは90%以上である。なお、該保持率の上限は特に限定さないが、通常は100%以下である。ここで、空気透過係数の測定方法は、上記の通りであるが、接合部13を含む部分では、円形の測定部位の中心(即ち、直径上)に接合部13を位置させて測定する。
上記のようにして形成された円筒状の耐空気透過性フィルム10は、インナーライナー8としてグリーンタイヤに組み込まれ、常法に従い加硫成形することにより、空気入りタイヤ1を製造することができる。より詳細には、円筒状の耐空気透過性フィルムは、グリーンタイヤの成形時に、成形ドラム上に供給され、その上にカーカスプライを貼り付け、更にベルト、トレッドゴム、サイドウォールゴムなどの各部材を貼り重ね、インフレートすることによりグリーンタイヤが作製され、該グリーンタイヤをモールド内で加硫成形することにより、空気入りタイヤが得られる。
以上よりなる本実施形態によれば、耐空気透過性フィルム10を超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状に形成するので、円筒状に押出成形するインフレーション成形とは異なり、円周を自由に変化させることができるので、どのタイヤのサイズでも作製が可能である。また、熱押圧処理による溶着に比べると、短時間で溶着が可能であり、溶着時間の短縮につながる。更に、超音波ウェルダー法による溶着パターンとして上記特定の構成を採用することにより、接合部13の強度と気密性を確保することができるので、超音波ウェルダー法による本来の利点を生かしながら、タイヤの成形性とインナーライナーとしての気密性を確保することができる。
以下に、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
熱可塑性エラストマーとして、ポリエステル系エラストマー(ペルプレンC2000(東洋紡製))50質量部に、柔軟性を付与するニトリルゴム(N230S(JSR製))50質量部、熱可塑性エラストマーとゴムとを相溶させる相溶化剤として、モディパーCL430−G(日油製)5質量部をブレンドしたものを用い、単軸押出機で幅420mm、厚み0.2mmのフィルムに押出成形した。得られた耐空気透過性フィルムは、80℃での空気透過係数が3.77×1013fm/Pa・s、ヤング率が72.1MPa、引張伸びが440%、引張強度が12.9MPa、融点が191℃であった。
上記耐空気透過性フィルムを用いて超音波ウェルダー法により円筒状のフィルムを作製した。詳細には、円周が1120mmである円筒状のフィルムを作製するために、円周+6mm以上12mmm以下の長さでフィルムを切断し、そのフィルムの両端をホーンの幅である6mm以上で重ね合わせ、重ね合わせ部にホーンを圧着し、超音波振動させて溶着した。超音波ウェルダーの装置としては、精電舎電子工業株式会社のΣG−2200S(出力:2000W、周波数:19.15kHz、振幅30μm)を用いた。超音波ウェルダー法の条件は、沈み込み量を重ね合わせ厚みの40%、すなわち0.16mmに設定した。
超音波ウェルダー法による溶着では、ホーンの形状を変更することにより、表1に示す各溶着パターンにて実施例及び比較例の接合部をそれぞれ形成した。詳細には、比較例1では、接合幅L=6mmで長さが耐空気透過性フィルムの全幅にわたる帯状の領域の全面を、平坦なホーン形状を持つホーンで圧着し溶着させた。比較例2では、図8に示すように、周方向Cに延びる線状の溶着部15と非溶着部14とが、インナーライナーの幅方向Wにおいて交互に並んだ溶着パターンとした。比較例3では、図9に示すように、周方向Cに対して傾斜して延びる複数の線状の溶着部15をインナーライナーの幅方向Wにおいて所定間隔で配設した溶着パターンとした。これら図8,9に示す溶着パターンは、いずれも非溶着部14が周方向Cにおいて貫通して設けられている。
一方、実施例1では上述した図4に示す溶着パターンとし、実施例2では上述した図5に示す溶着パターンとした。実施例3では、比較例3で用いたホーンを使用して、重ね合わせ部に対してその両面から超音波ウェルダーを行うことにより、実施例2と同様な斜め格子状の溶着パターンを形成した。
得られた各円筒状のフィルムについて、接合部の強度、伸び及び気密性を評価した。接合部の強度は、接合部を含む部分の周方向での引張強度であり、接合部でない部分(即ち、押出成形した耐空気透過性フィルム自体)の引張強度に対する保持率を求めた。接合部の伸びは、接合部を含む部分の周方向での引張伸びである。接合部の気密性は、接合部を含む部分の80℃での空気透過係数の逆数について、接合部でない部分(即ち、押出成形した耐空気透過性フィルム自体)の空気透過係数の逆数に対する保持率を求めた。各測定方法は上述した通りである。なお、気密性については、接合部で空気が漏れるため空気透過係数の測定ができなかったものは「×」と表示した。
また、得られた各円筒状のフィルムを用いて、常法に従い、195/65R15の空気入りラジアルタイヤを実際に成形して、タイヤ成形性を評価した。成形できたものを「○」、何らかの原因で成形できなかったものを「×」と表示した。
結果は表1に示すとおりであった。接合部の全面にわたって溶着した比較例1では、ホーン形状が平坦であり、その全面にわたって超音波振動を均一に付与できなかったため、接合部の引張強度が低く、引張伸びも低いものであった。そのため、タイヤ成形時に接合部が破断し、タイヤ成形性に劣っていた。比較例2,3では、非溶着部14が周方向Cにおいて貫通状に設けられていたため、この部分から空気漏れが生じ、気密性に劣るものであった。また、タイヤ成形時に、該非溶着部14からカーカスプライとの間に空気が侵入することにより耐空気透過性フィルムがカーカスプライから剥がれてしまい、タイヤ成形性に劣っていた。これに対し、実施例1〜3であると、接合部の引張強度及び引張伸びが高く、そのため、タイヤ成形性に優れており、また気密性にも優れていた。
Figure 2013086593
1…空気入りタイヤ 8…インナーライナー 10…耐空気透過性フィルム
13…接合部 14…非溶着部 15…溶着部
C…周方向

Claims (6)

  1. タイヤ内面にインナーライナーを備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記インナーライナーは、熱可塑性の耐空気透過性フィルムの両端を重ね合わせ、重ね合わせ部を超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状に形成されてなり、前記溶着された前記耐空気透過性フィルムの接合部内に、前記超音波ウェルダー法により溶着されていない非溶着部が設けられ、前記非溶着部は、前記接合部を周方向の一端から他端まで貫通しない非貫通状に設けられたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記接合部は、前記超音波ウェルダー法により溶着された線状の溶着部を備えてなり、前記線状の溶着部により前記非溶着部が非貫通状に設けられたことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記線状の溶着部は周方向に対して傾斜して延びていることを特徴とする請求項2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記接合部は、線状の溶着部を斜め格子状のパターンで設けることにより形成されたことを特徴とする請求項3記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤ内面にインナーライナーを備えた空気入りタイヤの製造方法であって、
    熱可塑性の耐空気透過性フィルムの両端を重ね合わせ、重ね合わせ部を超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状の耐空気透過性フィルムを作製し、その際、前記耐空気透過性フィルムの接合部内に、前記超音波ウェルダー法により溶着されていない非溶着部が設けられ、かつ該非溶着部が前記接合部を周方向の一端から他端まで貫通しない非貫通状に設けられるように、前記超音波ウェルダー法による溶着を行い、
    得られた円筒状の耐空気透過性フィルムをインナーライナーとして用いて空気入りタイヤを加硫成形する
    ことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
  6. タイヤ内面にインナーライナーを備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記インナーライナーは、熱可塑性の耐空気透過性フィルムの両端を重ね合わせ、重ね合わせ部を超音波ウェルダー法で溶着することにより円筒状に形成されてなり、前記溶着された前記耐空気透過性フィルムの接合部を含む部分の周方向での引張強度が接合部でない部分の引張強度の70%以上であり、前記接合部を含む部分の周方向での引張伸びが200%以上であり、かつ前記接合部を含む部分の80℃での空気透過係数の逆数が接合部でない部分の空気透過係数の逆数の70%以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。
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JP2015208880A (ja) * 2014-04-24 2015-11-24 横浜ゴム株式会社 空気入りタイヤ及びその製造方法

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