JP2013086379A - インクジェット画像形成方法 - Google Patents

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Shoji Koike
祥司 小池
Taketoshi Okubo
武利 大久保
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郁郎 中澤
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朗 栗山
Atsuhito Yoshizawa
敦仁 吉澤
Kenichi Iida
賢一 飯田
Masahiko Hikuma
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Abstract

【課題】塗工層を有する印刷用紙に、インクのブリードが抑制されるとともに、速乾性が良好であり、且つ、塗工層を有する印刷用紙に耐擦過性及びベタ部の均一性に優れた画像を形成可能なインクジェット画像形成方法を提供すること。
【解決手段】色相の異なる2種のインクを塗工層を有する印刷用紙に付与して画像を形成するインクジェット画像形成方法である。2種のインクの吐出量はインク1滴あたりそれぞれ0.5pL以上、6.0pL以下であり、2種のインクの少なくとも1種のインクが、水、顔料成分、樹脂微粒子、水溶性化合物、及び塩を含有し、水溶性化合物は、親疎水度係数が0.26以上であり、インク粘度が15mPa・s以上、表面張力が34mN/m以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット画像形成方法に関する。
インクジェット記録技術は、専用紙に対するフォト画像の形成や、コピー紙に代表される普通紙に対するオフィスや家庭で利用する画像の形成を中心に発展してきた。最近では、デジタル商業印刷分野への展開も期待され、塗工層を有する一般印刷用紙に直接記録する要求が高まりつつある。しかしながら、塗工層は、白度、平滑度、裏抜け性を考慮した緻密な構造を有しており、他の記録媒体に比べインクの吸水性が低く、色間でのにじみ(ブリード)が発生しやすく、得られた画像のベタ部の均一性が低いという課題がある。また、インクの色材が顔料である場合、顔料は塗工層に十分浸透せず印刷用紙表面に残ってしまうため、インクの速乾性と得られた画像の耐擦過性が不十分であった。
こうした課題に対して、特許文献1には、インク中の固形分と樹脂比率を高め、且つ表面張力を下げる技術が記載されている。
特開2007−230021号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術について本発明者等が検討を行ったところ、特定色間のブリードの抑制、速乾性、画像の耐擦過性、及びベタ部の均一性の全てを同時に満足することができない場合があった。
従って本発明は、インクのブリードを抑制するとともに、速乾性が良好であり、且つ、塗工層を有する印刷用紙に耐擦過性及びベタ部の均一性に優れた画像を形成可能なインクジェット画像形成方法を提供することを目的とする。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は色相の異なる2種のインクを塗工層を有する印刷用紙に付与して画像を形成するインクジェット画像形成方法であって、前記2種のインクの吐出量はインク1滴あたりそれぞれ0.5pL以上、6.0pL以下であり、前記2種のインクの少なくとも1種のインクが、水、顔料成分、樹脂微粒子、塩及び下記式(A)で表される親疎水度係数が0.26以上である水溶性化合物を含み、インク粘度が15mPa・s以上、表面張力が34mN/m以下であることを特徴とするインクジェット画像形成方法である。
Figure 2013086379
本発明によれば、インクのブリードを抑制するとともに、速乾性が良好であり、且つ、塗工層を有する印刷用紙に耐擦過性及びベタ部の均一性に優れた画像を形成可能なインクジェット画像形成方法を提供することができる。
画像形成に用いたインクジェット画像形成装置の一部を示す模式図である。 記録ヘッドの配置状態を示す模式図である。
以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、上記課題を解決するインクジェット画像形成方法について検討した。検討の結果、上記課題においては、まずインク物性が大きく影響することが判明した。浸透していない2種のインクが紙面上で接触した場合、液体同士であるので当然ながら混色しやすい。本発明者らは検討の結果、ブリードの抑制の課題に着目すれば、インクの粘度は15mPa・sに臨界点を有し、それ以上の粘度にすることで物理的な拡散防止効果により課題を解決できることを見出した。ただし、本発明者らの検討の結果、臨界点以上の粘度を有する高粘度化インクは速乾性の点では不利となることがわかったため、34mN/m以下の低表面張力であることも同時に必要となる。
一方、低表面張力化は、にじみ率の拡大という点で大きな影響を与える。インクジェット専用紙と違い、塗工層を有する印刷用紙は低表面張力インクのにじみ率が大きく2.5〜3.0倍程度となる場合が多い。このにじみ率は、従来のインクジェット記録技術が対象としてきた記録媒体に比してかなり大きな率である。つまり、低表面張力インクを用いた場合、解像度が低下する傾向にある。そのため、デジタル商業印刷で要求されるような十分な解像度を得るには、インクの吐出量がインク1滴あたり0.5pL以上、6.0pL以下であることが必要である。
得られた画像のベタ均一性と耐擦過性は、前記インク物性、即ち、高粘度、低表面張力と、後述する式(A)で表わされる親疎水度係数が0.26以上である水溶性化合物とが相乗的に作用することにより得られる。特に塩は、ベタ均一性大きな影響を与える。塩を含有することにより顔料が塗工層成分との相互作用により凝集し、得られた画像のベタ部での均一な記録が可能となる。耐擦過性を得るには、樹脂微粒子の存在が重要である。微粒子タイプの樹脂でないと十分な耐擦過性を得るために必要な量をインク中に含有させることが難しい。
以上のインク物性、印字プロセス条件、及び構成材料が揃うことにより、インクのブリードが抑制されるとともに、速乾性が良好であり、且つ、塗工層を有する印刷用紙に耐擦過性及びベタ部の均一性に優れた画像を形成可能なインクジェット画像形成方法を提供することできる。本発明は色相の異なる2種のインクの少なくとも、一方のインクが上記条件を満たすことで課題が解決できる。さらに、両方のインクが上記条件を満たすと効果が一層顕著となる。インクの構成材料、印字プロセス、及び塗工層を有する印刷用紙について以下にさらに述べる。
<インク>
(顔料成分)
本発明に用いるインクは、顔料成分(以下、「顔料」とも記す)を含有する。水系インク媒体中に分散できれば、樹脂分散顔料と自己分散顔料のいずれの形態でも使用できる。分散安定化する前の顔料としては、例えば国際公開第2009/014242号に列挙されているような、従来公知の様々な顔料を用いることができる。
自己分散顔料は、基本的には分散剤を必須とせず顔料表面に直接あるいは他の原子団を介した親水性の官能基を導入することにより分散安定化させた顔料である。顔料の表面に親水性官能基を導入する方法としては、例えばカーボンブラックを酸化処理する方法が挙げられる。ここで酸化処理する方法の例としては次亜塩素酸塩、オゾン水、過酸化水素、亜塩素酸塩、硝酸等により処理する方法を挙げることができる。中でも光学濃度を高める点から、次亜塩素酸ナトリウムを使用した表面処理方法で得られる自己分散カーボンブラックが好ましい。他の酸化処理の方法として、例えば特許第3808504号公報、特表2009−515007号公報、又は特表2009−506196号公報に記載されているようなジアゾニウム塩を使用した表面処理方法が挙げられる。こうした表面に親水性の官能基が導入された市販の顔料としては、例えばCW−1、CW−2、CW−3(オリヱント化学工業製);CAB−O−JET200、CAB−O−JET300、CAB−O−JET400(キャボット製)等が挙げられる。
本発明に用いるインクに含有される自己分散顔料の平均粒子径は、30nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがさらに好ましい。また、120nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、90nm以下であることがさらに好ましい。これらの平均粒子径は、インク中での動的光散乱法により求められたものである。具体的な平均粒子径の測定方法としては、レーザ光の散乱を利用した、商品名で「FPAR−1000」(大塚電子製、キュムラント法解析)、「ナノトラックUPA 150EX」(日機装製、50%の積算値の値とする)等を使用する方法が挙げられる。
顔料は、必要に応じて2種類以上を組み合わせて同一インク中に用いることができる。インクの顔料の含有量は、インク全質量に対して0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、2.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、15.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましく、8.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(水)
本発明に用いるインクは、水を必須成分とする。各インクの水の含有量は、各インク全質量に対して、10質量%以上であることが好ましい。また、90質量%以下であることが好ましい。さらに、水に水溶性化合物を併用して、水性媒体とするのが好ましい。この水溶性化合物とは、20質量%濃度の水との混合液で水と相分離せずに混ざり合う、親水性の高い化合物をいう。さらに固液分離や目詰まり防止の点から蒸発する傾向のあるものは好ましくなく、20℃での蒸気圧が0.04mmHg以下の水溶性化合物が好ましい。
(水溶性化合物)
本発明に用いるインクは、下記式(A)で表わされる親疎水度係数が0.26以上の水溶性化合物を含有する。なお、この親疎水度係数が0.26未満の水溶性化合物を、親疎水度係数が0.26以上の水溶性化合物とともに用いてもよい。紙種によっては、下記式(A)で定義される親疎水度係数が0.26以上0.37未満の水溶性化合物と、0.37以上の水溶性化合物とを併有するインクが好ましい。この場合、親疎水度係数が0.26以上0.37未満の水溶性化合物と、0.37以上の水溶性化合物とを2種類以上を含有することにより、さらに好ましい態様となる。
Figure 2013086379
式中の水分活性値とは、
水分活性値=(水溶液の水蒸気圧)/(純水の水蒸気圧)
で示されるものをいう。水分活性値の測定方法は、様々な方法があり、いずれの方法にも特定されないが、中でもチルドミラー露点測定法は、本発明で使用する材料測定に好適である。本明細書での値は、この測定法による水分活性測定装置(商品名「アクアラブCX−3TE」、DECAGON製)を用いて、各水溶性化合物の20%水溶液を25℃で測定したものである。
ラウールの法則に従えば、希薄溶液の蒸気圧の降下率は溶質のモル分率に等しく、溶媒及び溶質の種類に無関係であるので、水溶液中の水のモル分率と水分活性値は等しくなる。しかし、各種水溶性化合物の水溶液の水分活性値を測定すると、水分活性値は、水のモル分率と一致しないものも多い。
水溶液の水分活性値が水のモル分率より低い場合は、水溶液の水蒸気圧が理論計算値より小さいこととなり、水の蒸発が溶質の存在によって抑制されている。このことから、溶質は水和力の大きい物質であることがわかる。逆に、水溶液の水分活性値が水のモル分率より高い場合は、溶質が水和力の小さい物質と考えられる。
本発明者らは、インクに含有される水溶性化合物の親水性、あるいは疎水性の程度が、分散顔料と水性媒体との固液分離の推進、さらに、各種インク性能に及ぼす影響が大きいことに着眼した。このことから、式(A)に示す親疎水度係数という係数を定義した。水分活性値は、20質量%の一律の濃度で、各種水溶性化合物の水溶液を測定しているが、式(A)に換算することによって、溶質の分子量が異なって水のモル分率が違っても、各種溶質の親水性、あるいは疎水性の程度の相対比較が可能である。また水溶液の水分活性値が1を超えることはないので、親疎水度係数の最大値は1である。水溶性化合物の、式(A)によって得られた親疎水度係数を表1に示す。ただし、本発明に用いるインクに含有される水溶性化合物は、これらにのみ限定されるものではない。
Figure 2013086379
水溶性化合物は、インクに用いられる成分としての適性を有する各種の水溶性化合物の中から、目的とする親疎水度係数を有する水溶性化合物を選択して用いることができる。本発明者らは、親疎水度係数の異なる水溶性化合物がインク中に含まれた場合の、水溶性化合物と各種インク性能との関係を検討した結果、以下の知見を得た。
2色のインク間のブリードの抑制や速乾性は、親疎水度係数が0.26以上の親水的傾向の小さい水溶性化合物を用いると、極めて良好となった。中でも、親水基に置換された炭素の数に比して、親水基に置換されていない炭素の数の方が多いグリコール構造を有する水溶性化合物は、特に好ましいものであった。これらの水溶性化合物は、インクが紙に着弾した後、水、自己分散顔料、及び塗工層の構成材料との親和力が比較的小さく、自己分散顔料との固液分離を強力に推進する役割があるためと考えられる。また、この中でも、式(A)で定義される親疎水度係数が0.26以上0.37未満の水溶性化合物として、トリメチロールプロパンが特に好ましい。また、0.37以上の水溶性化合物としては炭素数4〜7の炭化水素のグリコール構造を有するものが好ましく、中でも、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールが特に好ましい。さらに、親疎水度係数が0.37以上の水溶性化合物を2種類以上用いる際、親疎水度係数の差が、0.1以上であることが好ましい。
本発明に用いるインクに含有される水溶性化合物の合計量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
(塩)
本発明に用いるインクは、塩を含有する。本発明に用いるインクに含有される塩とは、有機酸又は無機酸から構成される水溶性の塩をいう。尚、インク中で塩は解離して、イオンとして存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
有機酸とは、炭素原子から構成される分子構造を有し、その分子内にカルボキシル基、ホスホン酸基、又はスルホン基等の、中性付近のpHにおいて水素イオンが解離する官能基を1個又は複数個有する酸をいう。具体例としては、クエン酸、コハク酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、酒石酸、グルコン酸、タルトロン酸、マレイン酸、マロン酸、又はアジピン酸等のアルキルカルボン酸;安息香酸、フタル酸、又はトリメット酸等のアリールカルボン酸;或いはメタンスルホン酸、又はエタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸が挙げられる。高光学濃度、及びノズルの目詰まり性の点から、蟻酸、酢酸、又はプロピオン酸等の水溶性のアルキルカルボン酸;コハク酸、又は酒石酸等の複数のカルボキシル基を有するアルキルカルボン酸;或いはフタル酸、又はトリメット酸等の複数のカルボキシル基を有するアリールカルボン酸が好ましい。
無機酸とは、塩酸、硝酸、硫酸、炭酸、又はリン酸等の鉱酸をいう。中でも高光学濃度、及びノズルの目詰まり性の点から、硫酸、炭酸、又はリン酸が好ましい。
有機酸、無機酸の対イオンとしては、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウム等が利用できる。アルカリ金属の具体例としては、例えば、Li、Na、K、Rb及びCsなどが挙げられる。
有機アンモニウムの具体例としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム;モノヒドロキシメチル(エチル)アミン、ジヒドロキシメチル(エチル)アミン、トリヒドロキシメチル(エチル)アミンなどが挙げられる。
(樹脂微粒子)
本発明に用いるインクは、樹脂微粒子を含有する。ただし、そのガラス転移温度(Tg)が室温以下の樹脂からなる微粒子についても、樹脂微粒子に含むものとする。本発明に用いるインクは、表面張力が34mN/m以下であり、塗工層を有する印刷用紙表面で濡れやすく、被覆率が大きいものが好ましい。これにより、塗工層を有する印刷用紙表面上でのインク高さを低くできる。この相乗効果により、樹脂微粒子が持つバインダー機能が有効に発揮され、印字物に形成された画像の耐擦過性を著しく向上させることができる。樹脂微粒子はこれに限定されるものではないが、親水性を有するアクリル系樹脂のエマルションであることが好ましい。アクリル系樹脂とは、アクリル酸エステル系樹脂を主体としたものであり、アクリルモノマーをベースにした共重合体をいう。
アクリルモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性アクリル系モノマーが挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。
不飽和スルホン酸モノマーの例としては、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリル酸エステルモノマーの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル類が挙げられる。
メタクリル酸エステルモノマーの例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性アクリル系モノマーの例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
また、アクリルモノマーと共重合可能なモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体類;スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸モノマー類等が挙げられる。
(樹脂微粒子の製造例)
300mLの4つ口フラスコに所定量のモノマーと、溶媒である蒸留水100gを計り取り、攪拌シール、攪拌棒、還流冷却管、セプタムラバー、及び窒素導入管を取り付けて、70℃の恒温槽中にて300rpmで攪拌しながら1時間窒素置換を行う。次いで、蒸留水100gに溶解させておいた重合開始剤をシリンジにてフラスコ内に注入して重合を開始させる。重合状況をゲルパーミッションクロマトグラフィー、及びNMRでモニターし、所望の重合反応物を得る。生成した樹脂微粒子を遠心分離し、蒸留水中に再分散させる工程を繰り返すことで、樹脂微粒子を水分散体の状態で精製する。精製された樹脂微粒子は必要に応じて濃縮するが、濃縮はエバポレーター、限外ろ過等で行う。
重合開始剤としては通常のラジカル重合で使用されるものと同様のものを用いることが可能である。重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウムや2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等が挙げられる。重合開始剤の他に、乳化剤、連鎖移動剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用することができる。特に中和剤としては、アンモニア、無機アルカリの水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が好ましい。
乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムの他、一般にアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤として用いられているもの等が挙げられる。また、重合反応で用いられる連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィドやジイソブチルキサントゲンジスルフィド、ジペンテン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテン等が挙げられる。
本発明に用いるインクに含有される樹脂微粒子は、樹脂微粒子を乾燥粉末としてインクの他の成分と混合してもよい。前述した樹脂微粒子の分散安定性の点から、樹脂微粒子を水性媒体に分散させてエマルション(ポリマーエマルション)の形態とした後、インク組成物の他の成分と混合することが好ましい。
本発明に用いるインクに含有される樹脂微粒子の含有量は、固形分換算で0.1質量%以上10.0質量%以下が好ましい。また、0.5質量%以上がより好ましく、5.0質量%以下がさらに好ましい。樹脂微粒子の含有量が0.1質量%未満となると、印字物に形成された画像の耐擦過性が十分には発揮できない場合がある。一方、10.0質量%を超えると、分散安定性が崩れる場合がある。
(界面活性剤)
本発明に用いる1種のインクは、よりバランスのよい吐出安定性を得るために、界面活性剤を含有することが好ましい。中でもノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。ノニオン性界面活性剤の中でもポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。これらのノニオン性界面活性剤のHLB値(Hydrophile−Lipophile Balance)は、10以上である。こうして併用される界面活性剤の含有量は、インク中に0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。また、5.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤)
また、本発明に用いる1種のインクには、所望の物性値とするために、上記した成分の他に必要に応じて、添加剤として、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、浸透剤等を添加することができる。
(表面張力)
本発明に用いる1種のインクの表面張力は、34mN/m以下である。このインクの表面張力は、33mN/m以下であることがより好ましく、32mN/m以下であることがさらに好ましい。また、20mN/m以上であることが好ましく、22mN/m以上であることがより好ましく、24mN/m以上であることがさらに好ましい。インクの表面張力をこの範囲に制御することで、本発明に用いるインクの効果が発現される。インクの表面張力が34mN/mより高い場合は、塗工層を有する印刷用紙の臨界表面張力より高いためインクが塗工層を有する印刷用紙に着弾しても濡れが遅い場合がある。そのためインクの浸透速度は遅くなり、この段階で、色相の異なるインクが隣接すると、拡散時間が長くなりブリードが発生しやすい傾向にある。上記表面張力は、垂直平板法によって測定された値であり、具体的な測定装置としては、商品名で「CBVP−Z」(協和界面科学製)等を使用することができる。
(インク粘度)
本発明に用いるインクの粘度(インク粘度)は15mPa・s以上である。異なる色相のインクを、塗工層を有する印刷用紙に隣接して記録する場合、塗工層を有する印刷用紙に対するインクの浸透時間が遅く、その分隣接するインクの接触時間が長くなるために、色の境界の部分でにじみ(ブリード)が発生しやすい傾向にある。同様に、インク粘度が15mPa・sより低い場合は、インクの種類にもよるが隣接するインクの拡散速度が速くなり、色の境界の部分でにじみ(ブリード)が発生しやすい傾向にある。
<印字プロセス>
本発明においては、1回に付与するインク滴の吐出量を1滴あたり、0.5pL以上、6.0pL以下とする。さらに、1.0pL以上であることが好ましく、1.5pL以上であることがさらに好ましい。また、5.0pL以下であることが好ましく、4.5pL以下であることがさらに好ましい。0.5pL未満の場合は、特に高速記録において、着弾精度が悪化し、画像が乱れる場合があるので好ましくない。6.0pLを超えると、インクの付与量が増える為、速乾性が低下する傾向にある。また、異なる色相のインクが塗工層を有する印刷用紙上で隣接する場合には、インクの拡散時間が増える為に、ブリードも発生する場合がある。さらに、塗工層を有する印刷用紙上でのインク高さも高くなるために、形成された画像の耐擦過性も低下する傾向にある。
本発明は、得られた画像のベタ部での均一性獲得を課題としており、画像を形成するための基本マトリクス中に、少なくとも1色のインクのデューティーが80%デューティー以上となる画像を形成することが好ましい。デューティーを算出する部分は、最小で50μm×50μmである。80%デューティー以上となる画像とは、デューティーを算出する部分のマトリクス中の格子のうち、80%以上の格子にインクが付与されて形成される画像をいう。格子の大きさは、基本マトリクスの解像度によって決定される。例えば、基本マトリクスの解像度が1200dpi×1200dpiの場合、1つの格子の大きさは、1/1200inch×1/1200inchである。
本発明に用いる基本マトリクスは、記録装置等により自由に設定できる。基本マトリクスの解像度としては、600dpi以上が好ましく、1200dpi以上がより好ましい。また、4800dpiを超えるとインクの打ち込み量が増加することにより画像及び文字品位が低下する場合があるため、4800dpi以下が好ましい。解像度は、この範囲内にあれば、基本マトリクスの縦と横で同一であっても異なっていてもよい。
本発明に用いる基本マトリクスへの1種のインクの総付与量は1.0μL/cm2以下が好ましい。1種のインクの総付与量が、1.0μL/cm2を超える場合には、速乾性が低下する傾向にある。また、異なる色相のインクが塗工層を有する印刷用紙上で隣接する場合には、インクの拡散時間が増える為に、ブリードも発生する場合がある。さらに、塗工層を有する印刷用紙上でのインク高さも高くなるために、形成された画像の耐擦過性も低下する傾向にある。
本発明に用いる基本マトリクスへのインクの総付与量は3.0μL/cm2以下が好ましい。インクの総付与量とは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクを用いる場合では、これら全ての色のインクの付与量の合計をいう。全ての色のインクの総付与量が3.0μL/cm2を超える部分を有する画像を形成する場合は、鮮明な画像が得られない場合がある。また、インクの速乾性が低下し、高速印刷に適さない場合がある。
次に、本発明のインクジェット画像形成方法に用いられるインクジェット画像形成装置について説明する。
好適なインクジェット画像形成装置としては、インクを記録媒体に付与する記録ヘッドを搭載したものが挙げられる。記録ヘッドは、粘度が15mPa・s以上であるとともに、表面張力が34mN/m以下であるインクを吐出させるものであれば特に限定されるものではない。
また、本発明のインクジェット画像形成方法においては、2種のインクを加熱手段により低粘度化して印刷用紙に付与することが好ましい。これにより、高速印字する際のインクの吐出性能(リフィル特性)と速乾性を向上させることができる。
インクジェット画像形成装置のインク吐出方式としては、ポンプ、又は流路内に設けた圧電素子の変形でインクに圧力を加えて吐出させる方式、インクに熱エネルギーを与えて気泡を発生させる方式、インクを帯電させその静電吸引力を利用する方式などが挙げられる。本発明においては、どの方式でも好適に利用することができる。また、インクの吐出タイミングの方式として、常にインクを吐出させ不要なものは記録媒体に着弾する前に回収するコンティニュアス方式と、記録媒体に着弾させたいときのみインクを吐出するオンデマンド方式が挙げられる。本発明においては、どちらの方式でも好適に利用することができる。
<塗工層を有する印刷用紙>
次に、本発明に用いる塗工層を有する印刷用紙について説明する。
本発明に用いる塗工層を有する印刷用紙は、主にオフセット印刷、グラビア印刷等に用いられる印刷用紙である。
塗工層とは、紙の表面の美感や平滑さを高めるために、上質紙又は中質紙の表面及び/若しくは裏面に塗布された塗料の層、あるいは抄紙時に表層に形成された塗料の層をいう。
本発明においては、塗工層を有する印刷用紙を用いる。経済産業省の「工業調査統計」や日本製紙連合会「紙・板紙統計年報」の「紙・板紙の品種分類表」によると、塗工層を有する印刷用紙は「印刷・情報用紙」の中の塗工印刷用紙及び微塗工印刷用紙に分類される。塗工印刷用紙は塗工層が表面に1m2当り両面で15g前後から40g前後の塗料を塗布されたもので、微塗工印刷用紙は1m2当り12g以下の塗料を塗布されたものである。更に塗工印刷用紙は、塗料の塗布量や塗布後の表面処理の方法等で、アート紙、コート紙、軽量コート紙、その他(キャストコート紙、エンボス紙)等に分類される。また表面の光沢感の違いで、グロス系、マット系、ダル系などに分類されることもある。本発明で用いる塗工層を有する印刷用紙とは、これら塗工層を有する印刷用紙すべてが対象である。
塗工層に用いられる塗料は、主に無機材料及びこれらを結着させるバインダ材からなる。
塗工層を有する印刷用紙の表面に塗布される代表的な無機材料はカオリン(白土)と炭酸カルシウムである。
塗工層を有する印刷用紙としては、限定されないが具体的に以下の商品名を有する紙が挙げられる。
アート紙としては、OKウルトラアクアサテン、OK金藤、SA金藤、サテン金藤(以上、王子製紙製);ハイパーピレーヌ、シルバーダイア(以上、日本製紙製);グリーンユトリロ(以上、大王製紙製);パールコート、ニューVマット(以上、三菱製紙製);雷鳥スーパーアート(中越パルプ製);ハイマッキンレー(五條製紙製)等が挙げられる。
コート紙としては、OKトップコート、OKトップコートダル、OKトップコートマット、OKトリニティ、OKカサブランカ(以上、王子製紙製);オーロラコート、シルバーダイア、しらおいマット(以上、日本製紙製);グリーンユトリロ(以上、大王製紙製);パールコート、ニューVマット(以上、三菱製紙製)等が挙げられる。
軽量コート紙としては、OKコートL(以上、王子製紙製);オーロラL、イースターDX、ペガサス(以上、日本製紙製);ユトリロコートL(以上、大王製紙製);パールコートL(以上、三菱製紙製);スーパーエミネ(中越パルプ製);ドリームコート(丸住製紙製)等が挙げられる。
その他(キャストコート紙等)としては、ミラーコートプラチナ、OKクローム(以上、王子製紙製);エスプリコート(以上、日本製紙製);ピカソコート(以上、大王製紙製)等が挙げられる。
微塗工印刷用紙としては、OKエバーライト、OKクリスタル、OKプラナスホワイト(以上、王子製紙製);ピレーヌDX、オーロラS(以上、日本製紙製)等が挙げられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、以下の記載で「部」及び「%」とあるものは、特に断りのない限り質量基準である。また、インクの表面張力は、商品名で「CBVP−Z」(協和界面科学製)で測定した。粘度は、商品名で「RE80型粘度計」(東機産業製)で測定した。
<分散顔料A>
自己分散顔料の水分散体であるCAB−O−JET400(キャボット製)を減圧乾固して水分を除去し、黒色の分散顔料Aを得た。
<分散顔料Bの製造>
比表面積が320m2/gでDBP吸油量が110mL/100gのカーボンブラック10gと重量平均分子量10000のスチレンアクリル酸共重合体(スチレン/アクリル酸=3/1(wt/wt))10gとをTHF200mL中で攪拌しながら分散させた。この溶液中に、0.2N,KOH水溶液を400mL滴下し、徐々にアクリル酸を解離させながら転相させた。次いで、限外ろ過を用いて水で過剰なKOHを除去しながら、濃縮することで、固形分量7.5%の樹脂分散型の分散顔料Bを得た。
<分散顔料C>
自己分散顔料の水分散体であるCAB−O−JET470(キャボット製)を減圧乾固して水分を除去し、黄色の分散顔料Cを得た。
<樹脂微粒子Aの製造>
前述の製造例に従い、樹脂微粒子を製造した。まず、所定のモノマー及び乳化剤として、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸/ドデシル硫酸ナトリウムを3.0/6.0/1.5/0.1(質量比)を用いて重合し、樹脂微粒子を得た。その後、精製・濃縮を行い、固形分量10%の樹脂微粒子Aを得た。
(インクの調製)
次に、本発明の実施例及び比較例に用いるインクの調製について説明する。
まず、表2に従って、インクを構成する全成分(合計で100部)を混合した後、1時間攪拌した。但し、表2において分散体については固形分の量を示している。最後に、孔径2.5μmのフィルターを用いて、ろ過し、インク1〜10を得た。尚、表中、「水」とあるのはイオン交換水である。「アセチレノールEH」とあるのは、ノニオン性界面活性剤(川研ファインケミカル製)である。
Figure 2013086379
(画像形成方法)
図1は、画像形成に用いたインクジェット画像形成装置の一部を示す模式図である。
図1に示すように、画像形成に用いたインクジェット画像形成装置は、6個の記録ヘッド1〜6がドラム10の表面上に配置されている。記録ヘッド1〜6としては、ピエゾ型ヘッド(商品名「IJHA」 マイクロジェット製 単ノズル)を用いた。なお、記録ヘッド1〜6は、図2に示すように、隣接する記録ヘッドの吐出口11同士の間隔を21.2μm(1200dpi)ずつずらして配列されている。塗工層を有する印刷用紙をドラム10に貼り付け、ドラムの回転速度と記録ヘッドの周波数を調節してインクを吐出し、21.2μm(1200dpi)間隔で画像を形成した。
なお、記録ヘッド1〜3にはブラックインクを装填し、記録ヘッド4〜6にはイエローインクを装填した。また、駆動電圧と駆動波形を調整することで、インク吐出量を1滴あたり5pLに設定した。なお、塗工層を有する印刷用紙としては、商品名「OKトップコート」(王子製紙製)を用いた。
(ブリードの抑制)
ブラックインクとイエローインクの境界部の様子を、下記の評価基準にてルーペによる目視で評価した。
a:ブリードが認められない。
b:ブリードが僅かに認められる。
c:ブリードが認められる。
d:ブリードが多く認められる。
(速乾性)
印字後30秒後に、ブラックインク印字部にシルボン紙を押し付け、転写する度合いを下記の評価基準にてルーペによる目視で評価した。
a:転写は認められない。
b:転写が僅かに認められる。
c:転写が認められる。
d:転写が多く認められる。
(耐擦過性)
印字後5時間後に、ブラックインク印字部を、荷重200gのシルボン紙で擦り、下記の評価基準にて目視で評価した。
a:印字物に滲みや白地部分の汚れが認められず、シルボン紙も汚れていない。
b:印字物に白地部分の汚れが認められないが、シルボン紙がやや汚れている。
c:印字物に白地部分の汚れが僅かに認められる。
d:印字物に白地部分の汚れが多く認められる。
(ベタ均一性)
ブラックインク印字部を、下記の評価基準にて顕微鏡による目視で評価した。
a:ベタムラがまったく見られず、良好な画像が形成された。
b:ベタムラがわずかに見られるが、良好な画像が形成された。
c:ベタムラが多少気になり、実用上支障のある場合があった。
d:ベタムラが発生し、画質の低い画像が形成された。
以上の評価結果を表3に示す。
Figure 2013086379
表3に示すとおり、実施例1〜4の画像形成方法は、インクのブリードの抑制、及び速乾性、並びに得られた画像の耐擦過性、及びベタ均一性のいずれも良好であり、特に実施例3及び4の画像形成方法は、インクのブリードの抑制については更に良好であった。
これに対して、第1のインクに粘度の低いインク3を使用した比較例1のインクジェット画像形成方法は、インクのブリードの抑制、及び得られた画像のベタ均一性が良好ではなかった。第1のインクに表面張力の高いインク4を使用した比較例2のインクジェット画像形成方法は、インクの速乾性、並びに得られた画像の耐擦過性、及びベタ均一性が良好ではなかった。第1のインクに粘度が低く、表面張力の高いインク5を使用した比較例3のインクジェット画像形成方法は、インクのブリードの抑制、及び速乾性、並びに得られた画像の耐擦過性、及びベタ均一性の全てにおいて良好ではなかった。第1のインクに塩を添加していないインク6を使用した比較例4のインクジェット画像形成方法は、インクの速乾性、及び得られた画像のベタ均一性が良好でなかった。第1のインクに親疎水度係数が0.26未満の水性媒体のみを使用したインク7を使用した比較例5のインクジェット画像形成方法は、得られた画像の耐擦過性、及びベタ均一性が良好ではなかった。第1のインクに樹脂微粒子を添加しなかったインク8を使用した比較例6のインクジェット画像形成は、インクの速乾性、並びに得られた画像の耐擦過性、及びベタ均一性が良好ではなかった。
以上の結果より、本発明のインクジェット画像形成方法によれば、インクのブリードが抑制されるとともに、速乾性が良好であり、且つ、塗工層を有する印刷用紙に耐擦過性及びベタ部の均一性に優れた画像を形成可能であることが分かる。また、ヘッドを加熱手段により昇温させると、インク物性のうち、特に粘度のみが大きく変化する(低粘度化する)。ただし、本発明で用いる所定の物性のインクであれば、インクの速乾性のみがさらに改善されるので、より好ましい態様である。
1〜6:記録ヘッド
10:ドラム
11:吐出口

Claims (4)

  1. 色相の異なる2種のインクを塗工層を有する印刷用紙に付与して画像を形成するインクジェット画像形成方法であって、
    前記2種のインクの吐出量はインク1滴あたりそれぞれ0.5pL以上、6.0pL以下であり、
    前記2種のインクの少なくとも1種のインクが、水、顔料成分、樹脂微粒子、塩及び下記式(A)で表される親疎水度係数が0.26以上である水溶性化合物を含み、インク粘度が15mPa・s以上、表面張力が34mN/m以下であることを特徴とするインクジェット画像形成方法。
    Figure 2013086379
  2. 前記2種のインクがいずれも、水、顔料成分、樹脂微粒子、水溶性化合物、及び塩を含有し、前記水溶性化合物は、前記式(A)で表される親疎水度係数が0.26以上であり、インク粘度が15mPa・s以上、表面張力が34mN/m以下である請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  3. 前記画像を形成するための基本マトリクスの解像度が600dpi以上、4800dpi以下である請求項1又は2に記載のインクジェット画像形成方法。
  4. 加熱手段により前記2種のインクを低粘度化して、前記印刷用紙に付与する請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
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