JP2013083385A - ループ型ヒートパイプ及びその製造方法 - Google Patents

ループ型ヒートパイプ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ウィックと、そのウィックを収納する金属ケースとの間の熱抵抗が小さいループ型ヒートパイプ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】まず、多孔質体により形成されたウィック41を金属ケース22内に収納する。次に、ウィック41の一方の面側にウィック41の平均気孔径よりも小さいサイズの微粒子48bを懸濁させた懸濁液46を供給して該懸濁液46をウィック41内に浸透させ、金属ケース42を加熱してウィック41の他方の面側で懸濁液46中の液体成分を蒸発させて、微粒子48bをウィック41の他方の面と金属ケース22との接触部の隙間に堆積させる。これにより、ウィック41と金属ケース42との接触面積が増大し、ウィック41と金属ケース42との間の熱抵抗が低減される。
【選択図】図7

Description

本発明は、ループ型ヒートパイプ及びその製造方法に関する。
ループ型ヒートパイプ(Loop heat pipe)は作動流体の相変化を利用して熱を輸送する装置であり、CPU(Central Processing Unit)又はその他の電子部品の冷却に使用されている。
ループ型ヒートパイプは、蒸発器と、凝縮器と、それらの蒸発器と凝縮器との間を連絡して環状の流路を形成する蒸気管及び液管とを有し、内部には作動流体として水又はアルコール等が封入されている。また、蒸発器内には、多孔質体により形成されたウィックと呼ばれる部材が配置されている。
特開2009−276022号公報 特開平11−294980号公報
ウィックと、そのウィックを収納する金属ケースとの間の熱抵抗が小さいループ型ヒートパイプ及びその製造方法を提供することを目的とする。
開示の技術の一観点によれば、多孔質体により形成されたウィックを金属ケース内に収納し、前記ウィックの一方の面側及び他方の面側にそれぞれ個別に空間を設ける工程と、前記ウィックの前記一方の面側の空間に前記ウィックの平均気孔径よりも小さいサイズの微粒子を懸濁させた懸濁液を供給し該懸濁液を前記ウィック内に浸透させ、前記金属ケースを加熱して前記ウィックの前記他方の面側で前記懸濁液中の液体成分を蒸発させて、前記微粒子を前記ウィックの前記他方の面と前記金属ケースとの接触部の隙間に堆積させる工程と、前記金属ケースに、前記ウィックの前記一方の面側の空間に連絡する液管と、前記ウィックの前記他方の面側の空間に連絡する蒸気管と、前記液管と前記蒸気管との間を連絡する凝縮器とを取り付けて環状の流路を形成し、該流路内に作動流体を封入する工程とを有するループ型ヒートパイプの製造方法が提供される。
開示の技術の他の一観点によれば、蒸発器と、凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との間に接続されて環状の流路を形成する蒸気管及び液管とを有し作動流体が封入されたループ型ヒートパイプにおいて、前記蒸発器は、多孔質体により形成されたウィックと、前記ウィックを収納する金属ケースとを有し、前記ウィックと前記金属ケースとの接触部の隙間に、前記ウィックの平均気孔径よりも小さなサイズの微粒子が堆積しているループ型ヒートパイプが提供される。
上記一観点に係るループ型ヒートパイプの製造方法によれば、ウィックと金属ケースとの接続部の隙間に微粒子を堆積させているので、ウィックと金属ケースとの接触面積が増大し、ウィックと金属ケースとの間の熱抵抗が小さいループ型ヒートパイプを得ることができる。
図1は、ループ型ヒートパイプの一例を表した平面図である。 図2(a),(b)は、同じくそのループ型ヒートパイプの蒸発器の断面図である。 図3(a),(b)は、図1のループ型ヒートパイプの問題点を示す模式図である。 図4は、第1の実施形態に係るループ型ヒートパイプの製造方法を説明する図(その1)である。 図5は、第1の実施形態に係るループ型ヒートパイプの製造方法を説明する図(その2)である。 図6は、第1の実施形態に係るループ型ヒートパイプの製造方法を説明する図(その3)である。 図7は、第1の実施形態に係るループ型ヒートパイプの製造方法を説明する図(その4)である。 図8は、第1の実施形態に係るループ型ヒートパイプの製造方法を説明する図(その5)である。 図9は、第1の実施形態の変形例を示す模式図である。 図10は、第2の実施形態に係るループ型ヒートパイプの蒸発器の断面図である。
以下、実施形態について説明する前に、実施形態の理解を容易にするための予備的事項について説明する。
図1はループ型ヒートパイプの一例を表した平面図、図2(a),(b)は同じくそのループ型ヒートパイプの蒸発器の断面図である。なお、図2(a)は図1のI−I線による断面を表し、図2(b)は図2(a)のII−II線の位置における断面を表している。
図1のように、ループ型ヒートパイプ10は、蒸発器11と、凝縮器12と、蒸発器11と凝縮器12との間を連絡して環状の流路を形成する蒸気管13及び液管14とを有する。凝縮器12には多数の放熱用フィン15が取り付けられており、それらのフィン15間には送風ファン16から冷風が供給される。また、ループ型ヒートパイプ10の内部には作動流体として、水又はアルコール等が封入されている。
図2(a),(b)のように、蒸発器11は、ウィック21と、ウィック21を収納する金属ケース22と、電子部品に接続して金属ケース22に熱を伝達する伝熱ブロック23とを有する。金属ケース22の一方の側には蒸気管13が接続され、他方の側には液管14が接続される。なお、ここでは金属ケース22と伝熱ブロック23とを異なる部品としているが、両者が一体化して作製されていてもよい。
ウィック21と液管14との間には液相の作動流体が一時的に貯留される空間が設けられており、ウィック21と蒸気管13との間にはウィック21の外周部で発生した気相の作動流体(蒸気)を蒸気管13に導く空間が設けられている。金属ケース22及び伝熱ブロック23は、銅等のように熱伝導性が優れた金属により形成されている。
ウィック21は例えば微細な金属粒を焼結させて形成された多孔質体であり、一端側が閉塞された円筒状の形状を有する。このウィック21は、開放端側を液管14に向け、閉塞端側を蒸気管13に向けて配置される。また、ウィック21の外周面には、ウィック21の中心軸と平行な方向に延びて蒸気管13に連絡する複数のグルーブ(蒸気排出溝)21aが設けられている。
このように構成されたループ型ヒートパイプ10において、ウィック21の中心部の空洞には、液管14から液相の作動流体が流入する。この液相の作動流体は、ウィック21内に浸透し、毛細管現象によって中心側から外周部に移動する。そして、ウィック21の外周部に移動した作動流体は、電子部品から伝熱ブロック23及び金属ケース22を介して伝達される熱により蒸発して、気相に変化する。
作動流体が液相から気相に変化するときには、周囲から蒸発熱に相当する熱を吸収する。これにより金属ケース22が冷却され、更に伝熱ブロック23を介して伝熱ブロック23に熱的に接続された電子部品が冷却される。
また、作動流体は、液相から気相に変化すると体積が増大する。このとき、ウィック21内は液相の作動流体で満たされているため、気相となった作動流体はウィック21内を通ることができず、蒸気管13を通って凝縮器12に向かう。
凝縮器12に到達した作動流体は、送風ファン16により冷却されて液相に戻る。そして、液相に戻った作動流体は、蒸発器11から移動してくる気相の作動流体により凝縮器12から押し出され、液管14を通って蒸発器11に移動する。
このようにして、ループ型ヒートパイプ10内の作動流体は、気相と液相とに変化しながら、蒸発器11、蒸発管13、凝縮器12、液管14の順に移動する。そして、作動流体の移動にともなって蒸発器11から凝縮器12に熱が連続的に輸送され、蒸発器11に熱的に接続された電子部品(発熱体)が冷却される。
ところで、電子部品を効率よく冷却するためには蒸発器11内で作動流体を効率よく蒸発させることが重要である。そのためには、ウィック21と金属ケース22との間の熱伝達効率がよいこと、言い換えればウィック21と金属ケース22とが密に接触していることが重要となる。
一般的に、ウィック21は、金属、セラミック又は樹脂等の粒子を焼結させて形成される。しかし、図3(a)に模式的に表したように、ウィック21の表面の粒子が欠落して、ウィック21と金属ケース22との接触部に隙間(図3(a)中に網掛けした部分)が発生することがある。また、ウィック21又は金属ケース23の表面には、加工時に生じたうねりが存在することがある。これにより、図3(b)に模式的に表したようにウィック21と金属ケース22との間にうねりによる隙間が発生することもある。
これらの隙間により、伝熱ブロック22とウィック23との間の熱抵抗が大きくなり、ループ型ヒートパイプ10の熱輸送能力が低下する。
以下の実施形態では、ウィックと、そのウィックを収納する金属ケースとの間の熱抵抗が小さいループ型ヒートパイプの製造方法について説明する。
(第1の実施形態)
図4〜図8は、第1の実施形態に係るループ型ヒートパイプの製造方法を説明する図である。
まず、図4のように、ウィック41、金属ケース42及び伝熱ブロック43を個別に形成し、これらのウィック41、金属ケース42及び伝熱ブロック43により、図5に示す蒸発器31を作製する。
ウィック41は、銅、ニッケル又はステンレス等の金属の粒子を焼結させて形成してもよいし、アルミナ等のセラミックの粒子や、ポリプロピレン又はPTFE(polytetrafluoroethylene)等の樹脂の粒子を焼結させて形成してもよい。ウィック41の平均気孔径は例えば1μm〜20μmとし、空隙率は例えば30%〜50%とする。また、ウィック41の形状は一端側が閉塞された円筒状とし、その外周面にはウィック41の中心軸方向に延びるグルーブ41a(蒸気排出溝)を複数設ける。
本実施形態において、ウィック41の内径は10mm、外径は15mm、長さは35mmであり、中心部の空洞の深さは30mmであるとする。また、ウィック41の外周面には5本のグルーブ41aが設けられており、それらのグルーブ41aの幅は1.5mm、深さは1.5mm、長さは22mmであるとする。
金属ケース42は銅のように熱伝導性が良好な金属により形成する。金属ケース42は、内径がウィック41の外径と同一の円筒状に形成された筒部42aと、筒部42aの両端に接合される蓋部42b,42cとを有する。そして、筒部42a内にウィック41を挿入した後、両端に蓋部42b,42cを接合する。
なお、蓋部42b,42cには、それぞれ液管又は蒸気管と連絡する孔を設けておく。また、ウィック41と蓋部42bとの間には液相の作動流体を一時的に貯留する空間を設け、ウィック41と蓋部42cとの間にはウィック41の外周部で発生した気相の作動流体を蒸気管に導く空間を設けておく。
本実施形態において、金属ケース42の外径は17mm、内径は15mm、長さは60mmであるとする。
伝熱ブロック43も、金属ケース42と同様に熱伝導性が良好な金属により形成する。伝熱ブロック43の中央部には孔を設け、この孔内に金属ケース42を挿入する。本実施形態では、伝熱ブロック43は一辺が30mmの直方体形状であるとする。伝熱ブロック43の一つの面が、電子部品と熱的に接続される接続面となる。
このようにして蒸発器31(図5参照)を作製した後、ウィック41と金属ケース42との間の隙間に微粒子を堆積させる微粒子堆積工程を実施する。以下に、微粒子堆積工程について説明する。
まず、図6のように、蒸発器31の周囲に加熱ブロック44を取り付ける。加熱ブロック44は複数の電熱ヒータ45を有し、これらの電熱ヒータ45に給電することにより伝熱ブロック43を所定温度に加熱することができる。
一方、Ag(銀)又はCu(銅)等の金属の微粒子を水又はアルコール等の液体中に懸濁させた懸濁液46を用意する。金属の微粒子に替えて、アルミナ(Al23)等のセラミック等の微粒子を用いてもよく、その他の熱伝導性が良好な材料により形成された微粒子を用いてもよい。
微粒子のサイズ(球形の場合は直径、その他の場合は外接円の直径)はウィック41の平均気孔径よりも小さければよく、ウィック41の平均気孔径の約1/10又はそれ以下とすることが好ましい。例えばウィック41の平均気孔径が1μmの場合、微粒子のサイズは100nm程度とすればよい。懸濁液46中の微粒子の含有量が多すぎると微粒子によりウィック41の気孔が閉塞されることが考えられるため、懸濁液46中の微粒子の含有量は10重量%以下とすることが好ましい。
次に、電熱ヒータ45に通電して伝熱ブロック43を所定温度に加熱する。加熱温度は、例えば懸濁液溶媒の沸点の温度とする。懸濁液に水を使用し、大気圧環境下で加熱する場合、伝熱ブロック43の加熱温度は100℃程度にすればよい。
また、伝熱ブロック43の加熱開始とほぼ同時に、懸濁液46を、図6のようにポンプ47を使用して液管接続側から蒸発器内31に注入する。
図7は、蒸発器31内に注入された懸濁液に含まれる微粒子がウィック41と金属ケース42との接触部の隙間に堆積していく過程を表した模式図である。なお、図7中、符号48aはウィック41を形成する焼結粒子を示し、符号48bは懸濁液中に含まれる微粒子を示している。
図7(a)は懸濁液46を注入する前のウィック41と金属ケース42との接触部を示している。蒸発器31内に懸濁液46を注入すると、図7(b)のように懸濁液46は毛細管力によりウィック41内に進入し、それにともなって懸濁液46中の微粒子48bもウィック41の内部に進入する。
一方、金属ケース42は加熱ブロック44内に配置された電熱ヒータ45により所定温度に加熱されているので、ウィック41と金属ケース42との接触部で懸濁液46中の液体成分が蒸発する。蒸発により生じた蒸気は、グルーブ41a又はウィック41の外周部の乾燥した部分を通って蒸気管接続側の孔(蓋部42cの孔)から外部に放出され、ウィック41と金属ケース42との間の隙間に微粒子48bが残る。
そして、ウィック41の外周部での液体成分の蒸発にともない、ウィック41の外周部に乾燥した部分が生じると、毛細管力によりウィック41の内側から乾燥した部分に懸濁液46が浸透する。このようにして、懸濁液46の供給と懸濁液46中の液体成分の蒸発とが繰り返されることにより、図7(c)のように、ウィック41と金属ケース42との間の隙間に微粒子48bが堆積していく。
ウィック41と金属ケース42との隙間に微粒子48bを十分に堆積させたら、電熱ヒータ45への給電及び蒸発器31への懸濁液46の供給を停止し、加熱ブロック44を取り外す。そして、水又はアルコールを蒸発器31内に注入して蒸発器31内を洗浄し、ウィック41内に残存する懸濁液46を除去する。図7(d)は、洗浄後のウィック41の状態を示している。
次いで、図8のように、蒸発器31に、蒸気管33、凝縮器32及び液管34となる銅パイプをろう付けして環状の流路を形成し、その流路内に作動流体として水又はアルコール等を封入する。また、凝縮器32となる部分に放熱用フィン35を取り付ける。このようにして、本実施形態に係るループ型ヒートパイプ30が完成する。
上述したように、本実施形態では、ウィック41の内側に懸濁液46を供給しつつ、ウィック41の外周部で懸濁液46中の液体成分を蒸発させる。これにより、ウィック41と金属ケース42との接触部の隙間に微粒子48bが堆積し、ウィック41と金属ケース42との間の接触面積が増加する。その結果、ウィック41と金属ケース42との間の熱抵抗が小さく、熱輸送効率が高いループ型ヒートパイプ30が得られる。
また、ループ型ヒートパイプ30を実際に使用する際に、作動流体はウィック41の中心側から外周側に向かう方向に移動し、逆方向には移動しないため、ウィック41と金属ケース42との間に堆積した微粒子がウィック41の内側に移動することが回避される。このため、上述した効果は長期間にわたって持続する。
なお、本実施形態では蒸発器31の周囲に加熱ブロック44を配置して蒸発器31を加熱しているが、蒸発器31の加熱方法はこれに限定されるものではなく、他の方法で蒸発器31を加熱してもよい。また、本実施形態ではポンプ47により蒸発器31内に懸濁液46を注入しているが、他の方法で蒸発器31内に懸濁液46を注入してもよい。
更に、懸濁液46は毛細管現象によりウィック41内に浸透するため、蒸発器31内に注入された懸濁液46に圧力を印加する必要はない。しかし、懸濁液46のウィック41内への浸透を促進するために、蒸発器31内に注入された懸濁液46に例えば1kPa〜10kPa程度の圧力を印加してもよい。
更にまた、本実施形態ではウィック41の外周面にグルーブ41aを形成しているが、ウィック41の外周面にグルーブ41aを形成する替わりに金属ケース42の内面にグルーブを形成してもよい。
(変形例)
上述した実施形態において、蒸発器31の加熱を続けると、ウィック41自体の温度が上昇し、ウィック41の内部で懸濁液46の液体成分が蒸発することがある。ウィック41の内部で懸濁液46の液体成分が蒸発すると、ウィック41の内部の空隙に微粒子48bが堆積して、ウィック41の外周部への微粒子48bの移動が阻害されてしまう。
そこで、ウィック41の外周部以外の部分での懸濁液46の蒸発を抑制するために、蒸発器31に供給する懸濁液46の温度を低くすることが好ましい。例えば、図9のように、懸濁液46を入れた容器49内に熱交換器52を設け、冷却器51と熱交換器52との間に冷却水を循環させて、蒸発器31に供給する懸濁液46を室温以下に冷却する。これにより、ウィック41の内部での微粒子48bの堆積を抑制することができる。
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係るループ型ヒートパイプの蒸発器61の断面図である。なお、第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は蒸発器の構造が異なることにあり、その他の構造は基本的に第1の実施形態と同様であるので、ここでは重複する部分の説明を省略する。
図10のように、本実施形態のループ型ヒートパイプの蒸発器61は、直方体形状の金属ケース62と、金属ケース62内に配置された平板状のウィック65とを有する。また、金属ケース62は、その下面側に電子部品が熱的に接続される下部材62aと、下部材62aの上に接合される上部材62bとを有する。下部材62aには、ウィック65の下面側で発生した作動流体の蒸気を蒸気管33に導く複数のグルーブ(蒸気排出溝)64が設けられている。また、上部材62bには、液管34からウィック65の上面側に供給される液相の作動流体を一時的に貯留するための空間が設けられている。
このような平板状のウィック65を有するループ型ヒートパイプにおいて、金属ケース62内にウィック65を収納した後、液管接続側から懸濁液を注入しつつ、下部材62aの下面側をヒータ等により加熱する。これにより、下部材62aとウィック65との接触部で懸濁液中の液体成分が蒸発し、下部材62aとウィック65との接触部の隙間に微粒子が堆積して、下部材62aとウィック65との間の熱抵抗が低減される。
その後、第1の実施形態と同様に、蒸気管61に、蒸気管、凝縮器及び液管となる銅パイプを接続し、作動流体として水又はアルコール等を封入する。また、凝縮器となる部分にフィンを取り付ける。このようにして、本実施形態に係るループ型ヒートパイプが完成する。
本実施形態においても、ウィック65と金属ケース62との接触部の隙間に懸濁液を供給して微粒子を堆積させるので、ウィック65と金属ケース62との間の熱抵抗が小さく、熱輸送効率が高いループ型ヒートパイプが得られる。また、本実施形態では、平板状のウィック51を使用しているので、蒸発器61の厚みを薄くすることができる。このため、電子機器の薄型化が可能であるという利点もある。
なお、第2の実施形態では下部材62aにグルーブ63を形成しているが、下部材62aにグルーブ63を形成する替わりにウィック65の下面側にグルーブを形成してもよい。
以上の諸実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)多孔質体により形成されたウィックを金属ケース内に収納し、前記ウィックの一方の面側及び他方の面側にそれぞれ個別に空間を設ける工程と、
前記ウィックの前記一方の面側の空間に前記ウィックの平均気孔径よりも小さいサイズの微粒子を懸濁させた懸濁液を供給し該懸濁液を前記ウィック内に浸透させ、前記金属ケースを加熱して前記ウィックの前記他方の面側で前記懸濁液中の液体成分を蒸発させて、前記微粒子を前記ウィックの前記他方の面と前記金属ケースとの接触部の隙間に堆積させる工程と、
前記金属ケースに、前記ウィックの前記一方の面側の空間に連絡する液管と、前記ウィックの前記他方の面側の空間に連絡する蒸気管と、前記液管と前記蒸気管との間を連絡する凝縮器とを取り付けて環状の流路を形成し、該流路内に作動流体を封入する工程と
を有することを特徴とするループ型ヒートパイプの製造方法。
(付記2)前記微粒子のサイズが、前記ウィックの平均気孔径の1/10以下であることを特徴とする付記1に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
(付記3)前記微粒子が、金属又はセラミックにより形成されていることを特徴とする付記1又は2に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
(付記4)前記懸濁液中の前記微粒子の含有量が10重量%以下であることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
(付記5)前記ウィックが、一端側が閉塞された円筒状の形状を有し、前記一方の面が前記ウィックの内周面であり、前記他方の面が前記ウィックの外周面であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
(付記6)前記ウィックが板状の形状を有することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
(付記7)前記ウィックの前記一方の面側の空間に供給する懸濁液を、室温以下に冷却することを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
(付記8)前記ウィックの前記一方の面側の空間に供給する懸濁液に、1Pa以上、10kPa以下の圧力を印加することを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
(付記9)蒸発器と、凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との間に接続されて環状の流路を形成する蒸気管及び液管とを有し作動流体が封入されたループ型ヒートパイプにおいて、
前記蒸発器は、多孔質体により形成されたウィックと、前記ウィックを収納する金属ケースとを有し、前記ウィックと前記金属ケースとの接触部の隙間に、前記ウィックの平均気孔径よりも小さなサイズの微粒子が堆積していることを特徴とするループ型ヒートパイプ。
(付記10)前記微粒子のサイズが、前記ウィックの平均気孔径の1/10以下であることを特徴とする付記9に記載のループ型ヒートパイプ。
10…ヒートパイプ、11,31,61…蒸発器、12,32…凝縮器、13,33…蒸気管、14,34…液管、15,35…放熱用フィン、16…送風ファン、21,41,65…ウィック、21a,41a,64…グルーブ(蒸気排出溝)、22,42,62…金属ケース、23,43…伝熱ブロック、42a…筒部、42b,42c…蓋部、44…加熱ブロック、45…電熱ヒータ、46…懸濁液、47…ポンプ、48a…焼結粒子、48b…微粒子、49…容器、51…冷却器、52…熱交換器、62a…下部材、62b…上部材。

Claims (5)

  1. 多孔質体により形成されたウィックを金属ケース内に収納し、前記ウィックの一方の面側及び他方の面側にそれぞれ個別に空間を設ける工程と、
    前記ウィックの前記一方の面側の空間に前記ウィックの平均気孔径よりも小さいサイズの微粒子を懸濁させた懸濁液を供給し該懸濁液を前記ウィック内に浸透させ、前記金属ケースを加熱して前記ウィックの前記他方の面側で前記懸濁液中の液体成分を蒸発させて、前記微粒子を前記ウィックの前記他方の面と前記金属ケースとの接触部の隙間に堆積させる工程と、
    前記金属ケースに、前記ウィックの前記一方の面側の空間に連絡する液管と、前記ウィックの前記他方の面側の空間に連絡する蒸気管と、前記液管と前記蒸気管との間を連絡する凝縮器とを取り付けて環状の流路を形成し、該流路内に作動流体を封入する工程と
    を有することを特徴とするループ型ヒートパイプの製造方法。
  2. 前記微粒子のサイズが、前記ウィックの平均気孔径の1/10以下であることを特徴とする請求項1に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
  3. 前記懸濁液中の前記微粒子の含有量が10重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
  4. 前記ウィックの前記一方の面側の空間に供給する懸濁液を、室温以下に冷却することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
  5. 蒸発器と、凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との間に接続されて環状の流路を形成する蒸気管及び液管とを有し作動流体が封入されたループ型ヒートパイプにおいて、
    前記蒸発器は、多孔質体により形成されたウィックと、前記ウィックを収納する金属ケースとを有し、前記ウィックと前記金属ケースとの接触部の隙間に、前記ウィックの平均気孔径よりも小さなサイズの微粒子が堆積していることを特徴とするループ型ヒートパイプ。
JP2011222610A 2011-10-07 2011-10-07 ループ型ヒートパイプ及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5741361B2 (ja)

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