JP2013079689A - ボールねじの製造方法及びボールねじ用ナット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボールねじ1の製造に際して、ナット5と略同一形状のブランク21の円柱面状の内周面の一部を鍛造により凹化させて、ボール循環路11をなす凹溝22を形成した。鍛造によって凹溝22を形成したため、ブランク21の内周面と凹溝22の内面とが交差する稜部が断面略円弧状のダレ部15となっている。次に、凹溝22が形成されたブランク21の円柱面状の内周面に、真円精度を高める加工を施した後に、真円精度が高められた内周面を加工基準として用いて、ブランク21の円柱面状の外周面に真円精度を高める加工を施した。
【選択図】図4
Description
ボール循環形式が一体式のボールねじのナットを製造する方法としては、金型等を用いた鍛造によりナットの内周面の一部を凹化させて前記凹溝を形成する方法がある(例えば特許文献1を参照)。
このようなボールねじ用ナットにおいては、仕上げ加工された前記内周面と前記凹溝の内面とが交差する稜部には、前記鍛造により形成された断面略円弧状のダレ部があることが好ましい。
また、本発明のボールねじ用ナットは、内周面及び外周面が仕上げ加工されているので、真円精度が高い。
図1に示すように、ボールねじ1は、螺旋状のねじ溝3aを外周面に有するねじ軸3と、ねじ軸3のねじ溝3aに対向する螺旋状のねじ溝5aを内周面に有するナット5と、両ねじ溝3a,5aにより形成される螺旋状のボール転走路7内に転動自在に装填された複数のボール9と、ボール9をボール転走路7の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路11と、を備えている。
このような本実施形態のボールねじ1の用途は特に限定されるものではないが、自動車部品,位置決め装置等に好適に使用可能である。
次に、ブランク21の円柱面状の内周面の一部を鍛造により凹化させて、ボール転走路7の終点と始点を連通するボール循環路11をなす略S字状の凹溝22を形成した(ボール循環路形成工程)。
例えば、カムドライバ(図示せず)と、凹溝22に対応する形状の凸部を有するカムスライダ(図示せず)と、を有するカム機構の金型を用いて、凹溝22を形成してもよい。詳述すると、ブランク21内にカムドライバとカムスライダを挿入し、そのときカムスライダは、ブランク21とカムドライバとの間に配置するとともに、凸部をブランク21の内周面に向けて配置する。ブランク21内に配されたカムスライダとカムドライバは、ブランク21の略軸方向(ブランク21の軸方向から若干傾斜した方向)に延びる傾斜面で相互に接触しており、両傾斜面が金型のカム機構を構成している。
そこで、ナット5の内周面は機能上は加工は不要であるが、凹溝22が形成されたブランク21の円柱面状の内周面に、真円精度を高める加工を施す(第一仕上げ加工工程)。例えば、ブランク21を外周チャック31に装着して回転させながら、ブランク21の内周面に切削工具33(バイト)で旋削加工を施して、内周面の真円精度を高める。
これに対して、本実施形態では、図5に示すように、ブランク21の円柱面状の内周面と凹溝22の内面とが交差する稜部がダレ部15となっているため、内周面に旋削加工を施した際にバリが発生しにくいので、旋削加工を施した後にバリ取りを行う必要がない。そのため、本実施形態では、内周面に旋削加工を施した後も、ブランク21の円柱面状の内周面と凹溝22の内面とが交差する稜部にダレ部15を残すように旋削加工の取り代を制限して、完成品のナット5においてもダレ部15が残るようにした。
また、真円精度を高める加工は旋削加工に限定されるものではなく、研削加工等の他の加工方法を採用しても差し支えない。
さらに、真円精度が高められた周面(内周面又は外周面)を加工基準として用いて、旋削加工、研削加工等により、ブランク21の軸方向端面の仕上げ加工をさらに施してもよい。
このようにして製造されたボールねじ1は、鍛造によって凹溝22を形成する際にブランク21全体に形状のゆがみなどの変形が生じたとしても、ブランク21の内周面及び外周面の真円精度を高める上記加工により、前記変形が修正されるので、完成品のナット5の真円精度が高い。よって、ナット5全体の質量のバランスが崩れることはなく、ナット5の回転精度が優れているので、該ボールねじ1は高精度が要求される用途にも好適である。
なお、前述の粗成形工程及びボール循環路形成工程を鍛造で行ったので、このボールねじ1の製造方法は、材料歩留まりが高いことに加えて、高精度のボールねじを安価に製造することができる。また、鍛造により製造するため、鋼製素材が有するメタルフロー(鍛流線)がほとんど切断されないので、高強度のナット5が得られる。
3 ねじ軸
3a ねじ溝
5 ナット
5a ねじ溝
7 ボール転走路
9 ボール
11 ボール循環路
15 ダレ部
21 ブランク
22 凹溝
Claims (5)
- 螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転走路に転動自在に装填された複数のボールと、前記ボールを前記ボール転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備え、前記ボール循環路が、前記ナットの内周面の一部を鍛造により凹化させて形成した凹溝で構成されているボールねじを製造する方法であって、
前記ナットと略同一形状のブランクの円柱面状の内周面の一部を鍛造により凹化させて、前記ボール循環路をなす凹溝を形成するボール循環路形成工程と、
前記凹溝が形成された前記ブランクの円柱面状の内周面及び外周面のうち一方の周面を加工して、その周面の真円精度を高める第一仕上げ加工工程と、
真円精度が高められた周面を加工基準として用いて他方の周面を加工して、この他方の周面の真円精度を高める第二仕上げ加工工程と、
を備えることを特徴とするボールねじの製造方法。 - 前記第一仕上げ加工工程又は前記第二仕上げ加工工程において、前記円柱面状の内周面と前記凹溝の内面とが交差する稜部が断面略円弧状のダレ部となっている前記ブランクの内周面に対して、前記ダレ部が残るように前記加工を行うことを特徴とする請求項1に記載のボールねじの製造方法。
- 真円精度が高められた周面を加工基準として用いて、前記ブランクの軸方向端面を仕上げ加工する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボールねじの製造方法。
- 螺旋状のボール転走路と、該ボール転走路の終点から始点へボールを戻し循環させるボール循環路と、を内周面に備えるボールねじ用ナットであって、前記ボール循環路は、前記内周面の一部を鍛造により凹化させて形成した凹溝で構成されており、前記内周面及び外周面は旋削又は研削により仕上げ加工されていることを特徴とするボールねじ用ナット。
- 仕上げ加工された前記内周面と前記凹溝の内面とが交差する稜部には、前記鍛造により形成された断面略円弧状のダレ部があることを特徴とする請求項4に記載のボールねじ用ナット。
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