JP2012122611A - ボールねじの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異音や作動トルク変動が生じにくく長寿命で安価なボールねじの製造方法を提供する。
【解決手段】円柱状の鋼製素材20を冷間鍛造により加工し、ナット5と略同一形状のブランク21を得た。次に、ブランク21の円柱面状の内周面の一部を冷間鍛造により凹化させて、ボール循環路11をなす凹溝22を形成した。そして、ブランク21の内周面に、切削加工により、凹溝22の端部と接続するようにねじ溝5aを形成した。さらに、凹溝22とねじ溝5aとの境界部分に、ブラシ加工及びブラスト加工の少なくとも一方を施してバリを除去した。最後に、所望の条件で熱処理を施して、ナット5を得た。
【選択図】図7
【解決手段】円柱状の鋼製素材20を冷間鍛造により加工し、ナット5と略同一形状のブランク21を得た。次に、ブランク21の円柱面状の内周面の一部を冷間鍛造により凹化させて、ボール循環路11をなす凹溝22を形成した。そして、ブランク21の内周面に、切削加工により、凹溝22の端部と接続するようにねじ溝5aを形成した。さらに、凹溝22とねじ溝5aとの境界部分に、ブラシ加工及びブラスト加工の少なくとも一方を施してバリを除去した。最後に、所望の条件で熱処理を施して、ナット5を得た。
【選択図】図7
Description
本発明は、ボールねじの製造方法に関する。
ボールねじは、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転走路内に転動自在に装填された複数のボールと、からなる。そして、ボールを介してねじ軸に螺合されているナットとねじ軸とを相対回転運動させると、ボールの転動を介してねじ軸とナットとが軸方向に相対移動するようになっている。
このようなボールねじには、ボール転走路の始点と終点とを連通させて無端状のボール通路を形成するボール循環路が備えられている。すなわち、ボールは、ボール転走路内を移動しつつねじ軸の回りを回ってボール転走路の終点に至ると、ボール循環路の一方の端部から掬い上げられてボール循環路内を通り、ボール循環路の他方の端部からボール転走路の始点に戻される。このように、ボール転走路内を転動するボールがボール循環路により無限に循環されるようになっているので、ねじ軸とナットとは継続的に相対移動することができる。
ボール循環路を用いたボール循環形式としては、チューブ式,コマ式等が一般的である。コマ式ボールねじにおいては、ボール循環路を構成する循環溝が設けられたコマが、ナットに形成されたコマ穴に挿入されて固定されている。このようなコマ式ボールねじのナットは、円筒状の素材に切削によって穴開け加工や内外周面の加工を行うことにより製造されるため、材料歩留まりが悪かった。また、ナットとコマが別部材であるため、ナットとコマの寸法のバラツキにより、その境界部分に、エッジ部を有する段差が生じるおそれがあった(コマ及びコマ穴の周辺部と段差周辺部を拡大して示した図9を参照)。
ナットとコマの境界部分に、エッジ部を有する段差が形成されていると、該境界部分をボールが通過した際に異音や作動トルク変動が生じるおそれがあり、ひいては寿命低下が生じて、そのメンテナンスのためにコストが高騰するという問題点があった。そして、この段差を滑らかにするために、砥石,エンドミル等を用いた機械加工を施すと、コマとコマ穴との間に砥粒,切粉等が残留するおそれがあった。
これらの問題を解決する先行技術としては、例えば特許文献1がある。特許文献1においては、コマをナットに取り付ける前に、ナットのねじ溝におけるコマ穴に隣接する部位に、ショットピーニング加工を施している。また、コマの循環溝にもショットピーニング加工を施している。しかしながら、ショットピーニング加工は高コストであるため、加工コストが嵩んでしまうという問題点があった。
そのため、特許文献2においては、ナットを焼結合金で構成することにより、ボール循環路を構成する戻り溝をナットの内周面に一体的に形成している。すなわち、ナットとボール循環路が別部材ではなく一体的に形成されているため、前述のようなエッジ部を有する段差が形成されることがない。
そのため、特許文献2においては、ナットを焼結合金で構成することにより、ボール循環路を構成する戻り溝をナットの内周面に一体的に形成している。すなわち、ナットとボール循環路が別部材ではなく一体的に形成されているため、前述のようなエッジ部を有する段差が形成されることがない。
しかしながら、特許文献2に記載のボールねじのナットは、焼結合金によって構成されているので、密度が低いという問題点があった。また、気孔の発生等によって、ナットの強度がボールねじのナットとして十分ではない場合があった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、異音や作動トルク変動が生じにくく長寿命で安価なボールねじの製造方法を提供することを課題とする。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、異音や作動トルク変動が生じにくく長寿命で安価なボールねじの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の態様は次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係るボールねじの製造方法は、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転走路に転動自在に装填された複数のボールと、前記ボールを前記ボール転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじを製造する方法において、前記ナットの内周面の一部を凹化させて、凹溝からなる前記ボール循環路を形成するボール循環路形成工程と、前記ナットの内周面に、前記ボール循環路の端部と接続するように前記ねじ溝を形成するねじ溝形成工程と、前記ボール循環路と前記ボール転走路との境界部分にブラシ加工及びブラスト加工の少なくとも一方を施してバリを除去するバリ除去工程と、を備えることを特徴とする。
このようなボールねじの製造方法においては、前記ボール循環路形成工程において、前記ナットの内周面の一部を鍛造により凹化させて、凹溝からなる前記ボール循環路を形成してもよい。
このようなボールねじの製造方法においては、前記ボール循環路形成工程において、前記ナットの内周面の一部を鍛造により凹化させて、凹溝からなる前記ボール循環路を形成してもよい。
また、本発明の他の態様に係るボールねじの製造方法は、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転走路に転動自在に装填された複数のボールと、前記ボールを前記ボール転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじを製造する方法において、前記ナットの内周面の一部を凹化させて、凹溝からなる前記ボール循環路を形成するボール循環路形成工程と、前記ナットの内周面に、前記ボール循環路の端部と接続するように前記ねじ溝を形成するねじ溝形成工程と、前記ボール循環路と前記ボール転走路とに浸炭処理を施す熱処理工程と、前記ボール循環路と前記ボール転走路との境界部分にブラシ加工及びブラスト加工の少なくとも一方を施して、前記浸炭処理によって生じた熱処理異常層を除去する熱処理異常層除去工程と、を備えることを特徴とする。
本発明のボールねじの製造方法は、ボール循環路とボール転走路との境界部分に生じるバリを除去するバリ除去工程を備えているので、境界部分をボールが通過する際に異音や作動トルク変動が生じにくく長寿命なボールねじを安価に製造することができる。
本発明に係るボールねじの製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態であるボールねじの断面図(軸方向に沿う平面で切断した断面図)である。
図1に示すように、ボールねじ1は、螺旋状のねじ溝3aを外周面に有するねじ軸3と、ねじ軸3のねじ溝3aに対向する螺旋状のねじ溝5aを内周面に有するナット5と、両ねじ溝3a,5aにより形成される螺旋状のボール転走路7内に転動自在に装填された複数のボール9と、ボール9をボール転走路7の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路11と、を備えている。
図1に示すように、ボールねじ1は、螺旋状のねじ溝3aを外周面に有するねじ軸3と、ねじ軸3のねじ溝3aに対向する螺旋状のねじ溝5aを内周面に有するナット5と、両ねじ溝3a,5aにより形成される螺旋状のボール転走路7内に転動自在に装填された複数のボール9と、ボール9をボール転走路7の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路11と、を備えている。
すなわち、ボール9は、ボール転走路7内を移動しつつねじ軸3の回りを回ってボール転走路7の終点に至り、そこでボール循環路11の一方の端部から掬い上げられてボール循環路11内を通り、ボール循環路11の他方の端部からボール転走路7の始点に戻されるようになっている。
なお、ねじ溝3a,5aの断面形状は、円弧状でもよいしゴシックアーク状でもよい。また、ねじ軸3,ナット5,及びボール9の材質は特に限定されるものではなく、一般的な材料を使用可能であり、例えば金属(鋼等),セラミック,樹脂があげられる。例えば、ナット5を焼結合金で構成すると、密度が低いという問題点や、気孔の発生等によってナット5の強度がボールねじのナットとして不十分となるという問題点が生じるおそれがあるが、ナット5を鋼等の金属で構成すれば、ボールねじのナットとして十分な強度を付与できる。
なお、ねじ溝3a,5aの断面形状は、円弧状でもよいしゴシックアーク状でもよい。また、ねじ軸3,ナット5,及びボール9の材質は特に限定されるものではなく、一般的な材料を使用可能であり、例えば金属(鋼等),セラミック,樹脂があげられる。例えば、ナット5を焼結合金で構成すると、密度が低いという問題点や、気孔の発生等によってナット5の強度がボールねじのナットとして不十分となるという問題点が生じるおそれがあるが、ナット5を鋼等の金属で構成すれば、ボールねじのナットとして十分な強度を付与できる。
このようなボールねじ1は、ボール9を介してねじ軸3に螺合されているナット5とねじ軸3とを相対回転運動させると、ボール9の転動を介してねじ軸3とナット5とが軸方向に相対移動するようになっている。そして、ボール転走路7とボール循環路11により無端状のボール通路が形成されており、ボール転走路7内を転動するボール9が無端状のボール通路内を無限に循環するようになっているため、ねじ軸3とナット5とは継続的に相対移動することができる。
ここで、ボール循環路11について、図2,3の断面図(軸方向に直交する平面で切断した断面図)を参照しながら詳細に説明する。ボール循環路11は、ナット5の内周面に一体的に形成されている。詳述すると、ナット5の円柱面状の内周面の一部を塑性加工又は切削加工により凹化させて形成した凹溝22を、ボール循環路11としている。よって、チューブ式,コマ式等のボール循環形式の場合とは異なり、ボール循環路を構成する別部材は取り付けられていない。そして、別部材が用いられていないので、別部材が用いられた場合に境界部分に生じる、エッジ部を有する段差が生じるおそれはない。
図3に示すように、ボール転走路7の終点に転動してきたボール9は、ボール循環路11の一方の端部から掬い上げられてナット5の内部(径方向外方側)に沈み込む。そして、ボール循環路11内を通ってねじ軸3のランド部3b(ねじ溝3aのねじ山)を乗り越えて、ボール循環路11の他方の端部からボール転走路7の始点に戻される。なお、ボール循環路11の断面形状は、円弧状でもよいしゴシックアーク状でもよい。
このような本実施形態のボールねじ1の用途は特に限定されるものではないが、自動車部品,位置決め装置等に好適に使用可能である。例えば、Vベルト式無段変速機のプーリ位置制御や、船外機用シフトアクチュエータの用途に好適に使用可能である。
このような本実施形態のボールねじ1の用途は特に限定されるものではないが、自動車部品,位置決め装置等に好適に使用可能である。例えば、Vベルト式無段変速機のプーリ位置制御や、船外機用シフトアクチュエータの用途に好適に使用可能である。
次に、本実施形態のボールねじ1の製造方法の一例を、図4〜8を参照しながら説明する。まず、円柱状の鋼製素材20を冷間鍛造等の塑性加工により加工し、ナット5と略同一形状(略円筒形状)のブランク21を得た(粗成形工程)。このとき、塑性加工により、ブランク21の外周面にはフランジ13も形成される。
次に、ブランク21の円柱面状の内周面の一部を冷間鍛造等の塑性加工(又は切削加工でもよい)により凹化させて、ボール転走路7の終点と始点を連通するボール循環路11をなす凹溝22を形成した(ボール循環路形成工程)。凹溝22を形成する方法の具体例としては、以下のようなものがあげられる。すなわち、凹溝22に対応する形状の凸部を有する金型(図示せず)をブランク21内に挿入し、ブランク21の内周面に金型の凸部を接触させ、ブランク21の内周面に向かって金型を強く押圧することにより塑性加工して、凹溝22を形成することができる。
次に、ブランク21の円柱面状の内周面の一部を冷間鍛造等の塑性加工(又は切削加工でもよい)により凹化させて、ボール転走路7の終点と始点を連通するボール循環路11をなす凹溝22を形成した(ボール循環路形成工程)。凹溝22を形成する方法の具体例としては、以下のようなものがあげられる。すなわち、凹溝22に対応する形状の凸部を有する金型(図示せず)をブランク21内に挿入し、ブランク21の内周面に金型の凸部を接触させ、ブランク21の内周面に向かって金型を強く押圧することにより塑性加工して、凹溝22を形成することができる。
例えば、カムドライバ(図示せず)と、凹溝22に対応する形状の凸部を有するカムスライダ(図示せず)と、を有するカム機構の金型を用いて、凹溝22を形成してもよい。詳述すると、ブランク21内にカムドライバとカムスライダを挿入し、そのときカムスライダは、ブランク21とカムドライバとの間に配置するとともに、その凸部をブランク21の内周面に向けて配置する。ブランク21内に配されたカムスライダとカムドライバは、ブランク21の略軸方向(ブランク21の軸方向から若干傾斜した方向)に延びる傾斜面で相互に接触しており、両傾斜面が金型のカム機構を構成している。
ここで、カムドライバをブランク21の軸方向に沿って移動させると、両傾斜面で構成されるカム機構(くさびの作用)によりカムスライダがブランク21の径方向外方に移動する。すなわち、カムドライバの傾斜面からカムスライダの傾斜面に力が伝達され、カムドライバの軸方向の力がカムスライダを径方向外方へ動かす力に変換される。その結果、カムスライダの凸部がブランク21の内周面を強く押圧することとなるので、塑性加工によりブランク21の内周面に凹溝22が形成される。
次に、ナット5の内周面に、慣用の切削加工により、ボール循環路11(凹溝22)の端部と接続するようにねじ溝5aを形成した(ねじ溝形成工程)。なお、ボールねじ1に作用する荷重が一方向の荷重である場合は、使用するねじ溝5aのみを設ければいいので、加工時間を削減することができる。このとき、凹溝22(ボール循環路11)の端部は球面状をなしているので、ねじ溝5aとの境界部分の段差にコマ式ボールねじの場合のようなエッジ部は発生せず、滑らかな段差となる(凹溝22の周辺部及び段差周辺部を拡大して示した図6を参照)。
ただし、凹溝22(ボール循環路11)とねじ溝5a(ボール転走路7)との境界部分(図5を参照)に、切削加工により微小なバリが生じるおそれがある。バリが存在すると、前記境界部分をボール9が通過した際に異音や作動トルク変動が生じるおそれがあり、ひいては寿命低下が生じるおそれがある。そこで、バリを除去するために、ブラシ加工(図7を参照)及びブラスト加工(図8を参照)の少なくとも一方を前記境界部分に施した(バリ除去工程)。
前記境界部分にバリが存在しないので、ボール循環路11とボール転走路7が滑らかに接続されている。その結果、前記境界部分をボール9が通過しても、異音や作動トルク変動を生じることがなく、また寿命低下も生じにくい。また、ブラシ加工やブラスト加工を施すと、表面の圧縮残留応力により疲労強度が向上する。さらに、ブラシ加工やブラスト加工は、ショットピーニング加工に比べて低コストであるため、ボールねじ1を安価に製造することができる。さらに、ブラシ加工やブラスト加工によって、前記境界部分にバリが存在せず、しかも、面だらし形状となるため、これらの効果により、ボール9をより円滑に循環させることができる。なお、面だらし形状とは、曲面状の面取り形状である。
さらに、従来のコマ式ボールねじにおいては、ブラシ加工やブラスト加工を施すと、後述する砥粒,メディア,切粉等がコマとコマ穴との間に残留するおそれがあった。しかしながら、本実施形態のボールねじ1においては、ナット5とボール循環路11とが一体になっているので、上記のような砥粒,メディア,切粉等の残留という不都合が生じるおそれはない。
ブラシ加工においては、スチール,ステンレス,ポリアミド樹脂(ナイロン)等からなるブラシを用いることができる。このブラシは、砥粒を備えるブラシでもよい。砥粒の種類は特に限定されるものではないが、アルミナ,炭化ケイ素,ダイヤモンド等が好ましい。また、ブラスト加工は、ブラストノズルからメディアを前記境界部分に吹き付ける処理である。メディアの種類は特に限定されるものではないが、スチール,ガラス,アルミナや、ポリアミド樹脂(ナイロン)等のプラスチックが好ましい。また、メディアを吹き付ける時間は特に限定されるものではないが、2秒以上5秒以下が好ましく、3秒前後がより好ましい。さらに、バリ除去工程を終えた前記境界部分の表面粗さは、1.6μmRa以下であることが好ましい。
最後に、所望の条件で浸炭,浸炭窒化,焼入れ,焼戻し,高周波焼入れ等の熱処理を施して、ナット5が得られた。なお、このような熱処理は、バリ除去工程の前に行ってもよい。熱処理後にブラシ加工やブラスト加工を施すと、表面の圧縮残留応力により疲労強度が向上するという効果が、より高まる。また、熱処理によって生じた粒界酸化層等の熱処理異常層を、バリ除去と同時に除去することができる。さらに、熱処理が浸炭又は浸炭窒化である場合は、ナット5の材質はSCM420であることが好ましく、熱処理が高周波焼入れである場合は、S53C又はSAE4150であることが好ましい。
このようにして製造されたナット5と、慣用の方法により製造されたねじ軸3及びボール9とを組み合わせて、ボールねじ1を製造した。
このようにして製造されたナット5と、慣用の方法により製造されたねじ軸3及びボール9とを組み合わせて、ボールねじ1を製造した。
前述の粗成形工程及びボール循環路形成工程を塑性加工で行ったので、このボールねじ1の製造方法は、材料歩留まりが高いことに加えて、高精度のボールねじを安価に製造することができる。また、塑性加工により製造するため、鋼製素材20が有するメタルフロー(鍛流線)がほとんど切断されないので、高強度のナット5が得られる。
塑性加工の種類は特に限定されるものではないが、鍛造が好ましく、特に冷間鍛造が好ましい。熱間鍛造を採用することも可能であるが、冷間鍛造は熱間鍛造に比べて高精度な仕上げが可能であるので、後加工を施さなくても十分に高精度なナット5を得ることができる。よって、ボールねじ1を安価に製造することができる。粗成形工程及びボール循環路形成工程における塑性加工を冷間鍛造とすることが好ましいが、いずれか1つの工程における塑性加工を冷間鍛造としてもよい。
塑性加工の種類は特に限定されるものではないが、鍛造が好ましく、特に冷間鍛造が好ましい。熱間鍛造を採用することも可能であるが、冷間鍛造は熱間鍛造に比べて高精度な仕上げが可能であるので、後加工を施さなくても十分に高精度なナット5を得ることができる。よって、ボールねじ1を安価に製造することができる。粗成形工程及びボール循環路形成工程における塑性加工を冷間鍛造とすることが好ましいが、いずれか1つの工程における塑性加工を冷間鍛造としてもよい。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態のボールねじにおいては、ボール9をボール転走路7の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路11をナット5に形成したナット循環方式のボールねじを例示したが、本発明は、ボール循環路11に相当するものをねじ軸に形成したねじ軸循環方式のボールねじにも適用可能である。
1 ボールねじ
3 ねじ軸
3a ねじ溝
5 ナット
5a ねじ溝
7 ボール転走路
9 ボール
11 ボール循環路
22 凹溝
3 ねじ軸
3a ねじ溝
5 ナット
5a ねじ溝
7 ボール転走路
9 ボール
11 ボール循環路
22 凹溝
Claims (3)
- 螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転走路に転動自在に装填された複数のボールと、前記ボールを前記ボール転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじを製造する方法において、
前記ナットの内周面の一部を凹化させて、凹溝からなる前記ボール循環路を形成するボール循環路形成工程と、
前記ナットの内周面に、前記ボール循環路の端部と接続するように前記ねじ溝を形成するねじ溝形成工程と、
前記ボール循環路と前記ボール転走路との境界部分にブラシ加工及びブラスト加工の少なくとも一方を施してバリを除去するバリ除去工程と、
を備えることを特徴とするボールねじの製造方法。 - 前記ボール循環路形成工程においては、前記ナットの内周面の一部を鍛造により凹化させて、凹溝からなる前記ボール循環路を形成することを特徴とする請求項1に記載のボールねじの製造方法。
- 螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転走路に転動自在に装填された複数のボールと、前記ボールを前記ボール転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじを製造する方法において、
前記ナットの内周面の一部を凹化させて、凹溝からなる前記ボール循環路を形成するボール循環路形成工程と、
前記ナットの内周面に、前記ボール循環路の端部と接続するように前記ねじ溝を形成するねじ溝形成工程と、
前記ボール循環路と前記ボール転走路とに浸炭処理を施す熱処理工程と、
前記ボール循環路と前記ボール転走路との境界部分にブラシ加工及びブラスト加工の少なくとも一方を施して、前記浸炭処理によって生じた熱処理異常層を除去する熱処理異常層除去工程と、
を備えることを特徴とするボールねじの製造方法。
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