JP2013076031A - 接着剥離シート - Google Patents

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敏治 古川
Daichi Ito
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Abstract

【課題】充分な接着力を有しつつ使用後には被着体から容易に剥離し、剥離後に再接着しにくい接着剥離シートを提供する。
【解決手段】熱膨張性マイクロカプセルを含有する接着層を有する接着剥離シートであって、前記熱膨張性マイクロカプセルは、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、前記シェルは、ニトリル系モノマー及びカルボキシル基を有するモノマーを含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体と、熱硬化性樹脂とを含有し、前記熱硬化性樹脂は、カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有し、かつ、ラジカル重合性の二重結合を有しない接着剥離シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、充分な接着力を有しつつ使用後には被着体から容易に剥離し、剥離後に再接着しにくい接着剥離シートに関する。
今日、感圧性接着剤(粘着剤)には、用途によっては、被着体に対して、必要な間だけ接着性を示すがその後は容易に剥がせる易剥離性が要求されることがある。
例えば、ICチップの製造工程において、高純度なシリコン単結晶等から切り出した厚膜ウエハを所定の厚さにまで研磨して薄膜ウエハとする場合に、厚膜ウエハを支持板に接着して補強することにより、効率よく作業を進めることが提案されている。このとき厚膜ウエハと支持板とを接着するための感圧性接着剤としては、研磨工程中には強固に接着する一方で、研磨工程終了後には得られた薄膜ウエハを損傷することなく支持板から容易に剥がせることが求められる。
感圧性接着剤を剥がす方法としては、例えば、物理的な力を加えて引き剥がすことが考えられる。しかしながら、この方法では被着体が脆弱又は軟弱な場合には重大な損傷を与えてしまうことがある。また、感圧性接着剤を溶解できる溶剤を用いて被着体から感圧性接着剤を剥がす方法も考えられる。しかしながら、この方法も被着体が溶剤によって侵されるものである場合には用いることができない。
このように、いったん用いた感圧性接着剤は、接着力が強固であるほど、被着体を損傷することなく剥がすことが困難であるという問題点があった。
特許文献1には、易剥離型の感圧性接着剤として、発泡剤を含有する光硬化型の感圧性接着剤が記載されており、発泡剤として、熱膨張性マイクロカプセルであるマイクロスフェアー(松本油脂社製)が記載されている。また、特許文献2には、シェルポリマーにアゾ化合物を含有させた熱膨張性マイクロカプセルを用いた接着シートが記載されており、加熱処理を施すことにより接着剤から多量のガスが放出され、接着力が低下し、被着体から容易に剥離できることが記載されている。
しかしながら、このような従来の接着剤では、被着体から容易に剥がせたとしても、剥離時に剥離温度で一定時間経過するとせっかく剥離した接着面が再接着してしまうという問題点があった。
特開昭63−30581号公報 特開2010−180415号公報
本発明は、充分な接着力を有しつつ使用後には被着体から容易に剥離し、剥離後に再接着しにくい接着剥離シートを提供することを目的とする。
本発明は、熱膨張性マイクロカプセルを含有する接着層を有する接着剥離シートであって、前記熱膨張性マイクロカプセルは、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、前記シェルは、ニトリル系モノマー及びカルボキシル基を有するモノマーを含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体と、熱硬化性樹脂とを含有し、前記熱硬化性樹脂は、カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有し、かつ、ラジカル重合性の二重結合を有しない接着剥離シートである。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、剥離後の再接着の原因を検討した結果、剥離温度で一定時間経過すると熱膨張性マイクロカプセルが発泡状態を維持できず、破泡してしまうことを見出した。本発明者は、熱膨張性マイクロカプセルを含有する接着層を有する接着剥離シートにおいて、所定の組成を有する熱膨張性マイクロカプセルを用いることにより、充分な接着力と使用後の易剥離性とを両立できるだけではなく、剥離温度における熱膨張性マイクロカプセルの発泡維持時間を引き延ばして剥離後の再接着をも抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の接着剥離シートは、熱膨張性マイクロカプセルを含有する接着層を有する。接着層に熱膨張性マイクロカプセルを添加することにより、接着剥離シートの使用後には、加熱することにより熱膨張性マイクロカプセルを発泡させ、接着層の表面に凹凸を形成させて接着面積を低減させ、被着体から接着剥離シートを容易に剥がすことができる。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、上記シェルがニトリル系モノマー及びカルボキシル基を有するモノマーを含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体と、熱硬化性樹脂とを含有し、上記熱硬化性樹脂がカルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有し、かつ、ラジカル重合性の二重結合を有しない。
このような熱膨張性マイクロカプセルを用いることにより、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡時にカルボキシル基を有するモノマーのカルボキシル基と熱硬化性樹脂とを反応させ、硬化させて、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性及び耐久性を向上させることができる。これにより、熱膨張性マイクロカプセルの発泡維持時間を引き延ばし、接着剥離シートの剥離後の再接着を抑制することができる。
上記ニトリル系モノマーを用いることにより、熱膨張性マイクロカプセルに高い耐熱性及びガスバリア性を付与することができる。上記ニトリル系モノマーは特に限定されず、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマルニトリル等が挙げられる。これらのなかでは、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが特に好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ニトリル系モノマーの含有量は、全モノマー成分中の好ましい下限が50重量%、好ましい上限が99重量%である。含有量が50重量%未満であると、熱膨張性マイクロカプセルのガスバリア性が低下することがある。含有量が99重量%を超えると、カルボキシル基を有するモノマーの含有量が相対的に低下して、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性又は耐久性が低下することがある。含有量のより好ましい下限は60重量%、より好ましい上限は95重量%である。
上記カルボキシル基を有するモノマーは特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。また、これらの塩又は無水物を用いてもよい。これらのなかでは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましく、より耐熱性及び耐久性に優れた熱膨張性マイクロカプセルを製造できることから、メタクリル酸が特に好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記カルボキシル基を有するモノマーは、耐熱性及び耐久性を均一に向上させるためにはカルボキシル基と熱硬化性樹脂とができるだけ均一に反応することが好ましいことから、カルボキシル基がブロック化されていないことが好ましい。なお、ブロック化とは、例えばブロック化剤との反応等により、反応性官能基の反応性を抑えることを意味する。
上記カルボキシル基を有するモノマーの含有量は、全モノマー成分中の好ましい下限が1重量%、好ましい上限が50重量%である。含有量が1重量%未満であると、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性又は耐久性が低下することがある。含有量が50重量%を超えると、熱膨張性マイクロカプセルのガスバリア性を確保することができず、熱膨張しなくなることがある。含有量のより好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は40重量%である。
上記モノマー組成物は、上記ニトリル系モノマー及び上記カルボキシル基を有するモノマー以外に、これらと共重合することのできる他のモノマー(以下、単に、他のモノマーともいう)を含有してもよい。
上記他のモノマーは特に限定されず、目的とする熱膨張性マイクロカプセルに必要とされる特性に応じて適宜選択することができる。上記他のモノマーとして、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記他のモノマーとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー等も挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記他のモノマーの含有量は特に限定されないが、全モノマー成分中の好ましい上限は40重量%である。含有量が40重量%を超えると、上記ニトリル系モノマー、上記カルボキシル基を有するモノマー等の含有量が相対的に低下して、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性、耐久性、ガスバリア性等が低下することがある。
上記モノマー組成物は、更に、金属カチオン塩を含有してもよい。モノマー組成物に金属カチオン塩を添加することにより、カルボキシル基を有するモノマーのカルボキシル基と金属カチオンとの間にイオン架橋を形成させることができる。これにより、熱膨張性マイクロカプセルは、シェルの架橋効率が上がり、耐熱性が向上する。
上記金属カチオン塩を形成する金属カチオンは、上記カルボキシル基を有するモノマーのカルボキシル基とイオン架橋を形成することができれば特に限定されず、例えば、Na、K、Li、Zn、Mg、Ca、Ba、Sr、Mn、Al、Ti、Ru、Fe、Ni、Cu、Cs、Sn、Cr、Pb等のイオンが挙げられる。これらのなかでは、2〜3価の金属カチオンであるCa、Zn、Alのイオンが好ましく、Znのイオンが特に好ましい。また、上記金属カチオン塩は、上記金属カチオンの水酸化物であることが好ましい。これらの金属カチオン塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記金属カチオン塩を2種以上併用する場合、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオンからなる塩と、上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属以外の金属カチオンからなる塩とを組み合わせて用いることが好ましい。上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオンは、カルボキシル基を活性化して、カルボキシル基と上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属以外の金属カチオンとの間のイオン架橋の形成を促進することができる。
上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属は特に限定されず、例えば、Na、K、Li、Ca、Ba、Sr等が挙げられる。これらのなかでは、塩基性の強いNa、K等が好ましい。
上記金属カチオン塩の含有量は特に限定されないが、全モノマー成分100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。含有量が0.01重量部未満であると、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性を向上させる効果が充分に得られないことがある。含有量が10重量部を超えると、熱膨張性マイクロカプセルが高発泡倍率で発泡できないことがある。
上記モノマー組成物を重合させるために用いられる重合開始剤は特に限定されず、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が挙げられる。
上記過酸化ジアルキルは特に限定されず、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド等が挙げられる。
上記過酸化ジアシルは特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等が挙げられる。
上記パーオキシエステルは特に限定されず、例えば、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
上記パーオキシジカーボネートは特に限定されず、例えば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
上記アゾ化合物は特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。
上記重合開始剤の含有量は特に限定されないが、全モノマー成分100重量部に対する好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は5重量部である。含有量が0.1重量部未満であると、モノマー組成物の重合反応が充分に進行せず、熱膨張性マイクロカプセルを製造できないことがある。含有量が5重量部を超えると、モノマー組成物の重合反応が急激に開始することにより、凝集が生じやすくなったり、重合が暴走して安全上問題となったりすることがある。
上記モノマー組成物は、更に、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シランカップリング剤、色剤等を含有してもよい。
上述のようなモノマー組成物を重合させてなる重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は10万、好ましい上限は200万である。重量平均分子量が10万未満であると、熱膨張性マイクロカプセルのシェルの強度が低下し、高温において、破裂及び収縮を生じやすく、高発泡倍率で発泡できないことがある。重量平均分子量が200万を超えると、熱膨張性マイクロカプセルのシェルの強度が高くなりすぎ、発泡性能が低下することがある。
上記熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましい。
上記エポキシ樹脂は特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノール樹脂として、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
上記熱硬化性樹脂は、カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有する。カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有することにより、熱硬化性樹脂は、より強固な硬化性を有することができ、これにより、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性及び耐久性を大幅に向上させることができる。
上記カルボキシル基と反応する官能基として、例えば、エポキシ基、フェノール基、メチロール基、アミノ基等が挙げられる。これらのなかでは、エポキシ基が好ましい。1分子中の2個以上のカルボキシル基と反応する官能基は、同種であってもよく、2種以上の官能基であってもよい。
また、上記カルボキシル基と反応する官能基は、耐熱性及び耐久性を均一に向上させるためにはカルボキシル基と熱硬化性樹脂とができるだけ均一に反応することが好ましいことから、ブロック化されていないことが好ましい。
また、上記熱硬化性樹脂は、ラジカル重合性の二重結合を有しない。ラジカル重合性の二重結合を有しないことにより、熱硬化性樹脂は、モノマー組成物を重合させてなる重合体の主鎖とは直接結合しないこととなる。これにより、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡前にはシェルの柔軟性を高く保つことができ、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡時にはじめて、カルボキシル基を有するモノマーのカルボキシル基と熱硬化性樹脂とを反応させ、硬化させることができる。
カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有し、かつ、ラジカル重合性の二重結合を有しない熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、デナコールEX−622)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−622)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−421)、グリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−313)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−411)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(デナコールEX−201)、1,6−ヘキサネジオールジグリシジルエーテル(デナコールEX−212)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−810)等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂の含有量は、モノマー組成物を重合させてなる重合体に対する好ましい下限が0.01重量%、好ましい上限が30重量%である。含有量が0.01重量%未満であると、加熱発泡時に熱硬化特性が現れないことがある。含有量が30重量%を超えると、熱膨張性マイクロカプセルのシェルのガスバリア性が低下し、発泡が阻害されることがある。含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は15重量%である。
また、上記カルボキシル基を有するモノマーの上記熱硬化性樹脂に対する比率(重量)(カルボキシル基を有するモノマーの重量/熱硬化性樹脂の重量)は、0.05以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましい。このような範囲とすることで、熱硬化性樹脂の未反応部分を低減しながら、硬化性を確保することができる。
上記揮発性膨張剤は特に限定されないが、低沸点有機溶剤が好ましく、具体的には、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、イソオクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、石油エーテル等の低分子量炭化水素、CClF、CCl、CClF、CClF−CClF等のクロロフルオロカーボン、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。これらのなかでは、熱膨張性マイクロカプセルが速やかに発泡を開始でき、また、高発泡倍率で発泡できることから、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、石油エーテルが好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いてもよい。
上記揮発性膨張剤の含有量は特に限定されないが、全モノマー成分100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は50重量部である。含有量が10重量部未満であると、熱膨張性マイクロカプセルのシェルが厚くなりすぎ、高温でないと発泡できないことがある。含有量が50重量部を超えると、熱膨張性マイクロカプセルのシェルの強度が低下し、高発泡倍率で発泡できないことがある。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、剥離温度における発泡維持時間が5分以上であることが好ましい。このような発泡維持時間とすることにより、熱膨張性マイクロカプセルの破泡を抑制又は遅延させ、接着剥離シートの剥離後の再接着を抑制することができる。発泡維持時間は8分以上であることがより好ましく、15分以上であることが更に好ましい。また、発泡維持時間の上限は特に限定されず、長いほど好ましいが、通常、30分以下である。
なお、剥離温度とは、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させて接着剥離シートを剥がすときの一定温度を意味する。また、剥離温度における発泡維持時間とは、熱膨張性マイクロカプセルを剥離温度で加熱したとき、熱膨張性マイクロカプセルが最大発泡変位に達した時点から、その後、最大発泡変位の1/2の変位となる時点までの時間を意味する。
発泡維持時間は、例えば、TMA装置(例えば、ティー・エイ・インスツルメント社製:TMAQ400EM型等)を用いて測定することができる。
剥離温度は、熱膨張性マイクロカプセル及び接着層の組成に合わせて適宜決定されるが、150℃以上であることが好ましい。即ち、上記熱膨張性マイクロカプセルは、150℃以上の一定温度における発泡維持時間が5分以上であることが好ましい。剥離温度が150℃未満であると、剥離時に接着層が被着体に残存しやすくなることがある。剥離温度は、180℃以上であることがより好ましい。
剥離温度の上限は特に限定されないが、260℃以下であることが好ましい。剥離温度が260℃を超えると、熱膨張性マイクロカプセルの発泡よりも先に、熱分解による劣化が起こり、被着体を着色させたり、分解ガスによって被着体を汚染したりすることがある。剥離温度は、240℃以下であることがより好ましい。
上記熱膨張性マイクロカプセルの最大発泡温度(Tmax)は特に限定されないが、剥離温度±10℃であることが好ましい。このような範囲を外れると、熱膨張性マイクロカプセルの充分な発泡が得られず、被着体から接着剥離シートを容易に剥がせないことがある。
なお、最大発泡温度とは、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルが最大発泡変位に達したときの温度を意味する。
上記熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度(Ts)は特に限定されないが、「剥離温度−50℃」以上の温度であることが好ましい。「剥離温度−50℃」未満の温度で熱膨張性マイクロカプセルが発泡を開始し、接着剥離シートの剥離が開始すると、作業性の観点から好ましくない。発泡開始温度は、「剥離温度−20℃」以上の温度であることがより好ましい。
なお、発泡開始温度とは、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの変位がプラスの値となったときの温度を意味する。
なお、最大発泡温度(Tmax)及び発泡開始温度(Ts)は、例えば、TMA装置(例えばティー・エイ・インスツルメント社製:TMAQ400EM型)を用いて昇温速度5℃/分の条件で測定することができる。
上記熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が10μm、好ましい上限が50μmである。体積平均粒子径が10μm未満であると、熱膨張性マイクロカプセルの発泡変位が低くなり、被着体から接着剥離シートを容易に剥がせないことがある。体積平均粒子径が50μmを超えると、接着層が厚くなりすぎることがある。体積平均粒子径のより好ましい下限は15μm、より好ましい上限は40μmである。
なお、体積平均粒子径は、粒度分布計(例えば、堀場製作所社製「LA−950」)を用いて測定することができる。
上記熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法は特に限定されず、例えば、水性分散媒体に、モノマー組成物と、熱硬化性樹脂と、揮発性膨張剤とを含有する油性物質を懸濁させた後、モノマー組成物を重合させる方法等が挙げられる。
上記水性分散媒体には、分散安定剤を添加してもよい。分散安定剤は、油性物質からなる液滴の表面に付着して、液滴を安定させる働きをする。
上記分散安定剤は特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ等のシリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
上記分散安定剤の添加量は特に限定されず、目的とする熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径に応じて適宜決定することができる。例えば、上記分散安定剤としてコロイダルシリカを用いる場合、上記分散安定剤の添加量は、全モノマー成分100重量部に対する好ましい下限が1重量部、好ましい上限が20重量部である。添加量が1重量部未満であると、分散安定剤としての効果が充分に得られないことがある。添加量が20重量部を超えると、上記分散安定剤が油性物質からなる液滴の表面に付着しなかったり、余分に存在する上記分散安定剤の固体粉末が、凝集又は異常反応の起点となったりすることがある。添加量のより好ましい下限は2重量部、より好ましい上限は10重量部である。
上記水性分散媒体には、必要に応じて、補助安定剤を添加してもよい。
上記補助安定剤は特に限定されず、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、水溶性窒素含有化合物、ポリエチレンオキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
上記水溶性窒素含有化合物は特に限定されず、例えば、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルアクリレート等のポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。また、上記水溶性窒素含有化合物として、例えば、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等も挙げられる。これらのなかでは、ポリビニルピロリドンが好ましい。
上記補助安定剤の添加量は特に限定されず、目的とする熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径に応じて適宜決定することができる。例えば、上記補助安定剤として上記縮合生成物又は上記水溶性窒素含有化合物を用いる場合、上記補助安定剤の添加量は、全モノマー成分100重量部に対する好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が2重量部である。
上記分散安定剤と上記補助安定剤との組み合わせは特に限定されず、例えば、コロイダルシリカと上記縮合生成物との組み合わせ、コロイダルシリカと上記水溶性窒素含有化合物との組み合わせ、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムと上記乳化剤との組み合わせ等が挙げられる。これらのなかでは、コロイダルシリカと上記縮合生成物との組み合わせが好ましく、該縮合生成物として、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、ジエタノールアミンとアジピン酸との縮合生成物、ジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が特に好ましい。
上記水性分散媒体のpHは、使用する分散安定剤及び補助安定剤の種類に応じて適宜決定することができる。例えば、上記分散安定剤としてコロイダルシリカを用いる場合には、必要に応じて塩酸等の酸を加えることにより上記水性分散媒体のpHを3〜4に調整し、酸性条件下でモノマー組成物の重合を行う。また、上記分散安定剤として水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムを用いる場合には、上記水性分散媒体をアルカリ性に調整し、アルカリ性条件下でモノマー組成物の重合を行う。
上記水性分散媒体には、必要に応じて、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加してもよい。水性分散媒体に無機塩を添加することで、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルを製造することができる。上記無機塩の添加量は特に限定されないが、全モノマー成分100重量部に対する好ましい上限が100重量部である。
また、上記水性分散媒体には、必要に応じて、亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等を添加してもよい。
上記水性分散媒体に上記油性物質を懸濁させる方法は特に限定されず、例えば、ホモミキサー(例えば、特殊機化工業社製)等により攪拌する方法、ラインミキサー、エレメント式静止型分散器等の静止型分散装置を通過させる方法等が挙げられる。
なお、上記静止型分散装置には、上記水性分散媒体と上記油性物質とを別々に供給してもよく、予め上記水性分散媒体と上記油性物質とを攪拌混合し、得られた懸濁液を供給してもよい。
また、モノマー組成物と熱硬化性樹脂と揮発性膨張剤とを別々に水性分散媒体に添加して、水性分散媒体中で油性物質を調製してもよいが、通常は、予めモノマー組成物と熱硬化性樹脂と揮発性膨張剤とを混合して油性物質としてから、水性分散媒体に添加する。この場合には、上記水性分散媒体と上記油性物質とを予め別々の容器で調製しておき、更に別の容器で攪拌しながら混合することにより、上記水性分散媒体に上記油性物質を分散させた後、重合反応容器に添加してもよい。
なお、上記重合開始剤は、予め上記油性物質に添加してもよく、上記水性分散媒体と上記油性物質とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
上記モノマー組成物を重合させる方法は特に限定されず、例えば、加熱することにより重合させる方法等が挙げられる。なお、得られた熱膨張性マイクロカプセルの洗浄とろ過とを繰り返し行う工程、脱水する工程、乾燥する工程等を行ってもよい。
上記接着層は、被着体に対して充分な接着力を有していればよく、使用目的に応じて適宜選択されるが、上述のような熱膨張性マイクロカプセルを含有する感圧性接着剤からなることが好ましい。
上記感圧性接着剤は特に限定されず、例えば、ゴム系感圧性接着剤、アクリル系感圧性接着剤、スチレン−共役ジエンブロック共重合体系感圧性接着剤、シリコーン系感圧性接着剤等が挙げられる。また、紫外線硬化型の感圧性接着剤(特開昭56−61468号公報、特開昭61−174857号公報、特開昭63−17981号公報)、融点が約200℃以下等の熱溶融性樹脂を含有してクリープ性を改善した感圧性接着剤、常温では接着力が小さくて加熱により充分な接着力が発現するようにした熱時感圧性接着剤(特公昭56−13040号公報、特公平2−50146号公報、特開昭56−13040号公報)等を用いることもできる。
なお、感圧性接着剤として熱時感圧性接着剤を用いた場合には、その接着剤の接着処理温度よりも高温で発泡する熱膨張性マイクロカプセルが用いられる。
上記感圧性接着剤は、必要に応じて、架橋剤、粘着性付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤等の添加剤を含有してもよい。
上記感圧性接着剤として、具体的には例えば、天然ゴム又は合成ゴムをベースポリマーとするゴム系感圧性接着剤、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系感圧性接着剤等が挙げられる。
上記アクリル系ポリマーとして、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸等のアルキルエステル、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、グリシジル基等の官能基含有基を有する(メタ)アクリル酸等のエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテル等を成分とするアクリル系ポリマー等が挙げられる。
上記感圧性接着剤は、更に、気体発生剤としてアゾ化合物を含有することが好ましい。感圧性接着剤にアゾ化合物を添加することより、例えば、剥離時に接着面に光を照射すると、アゾ化合物から発生した気体が被着体から接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させるため、被着体から接着剥離シートを容易に剥がすことができる。
このとき、アゾ化合物から発生した気体の大部分は、接着剤外へ放出されることが好ましい。アゾ化合物から発生した気体の大部分が接着剤外へ放出されないと、接着剤がアゾ化合物から発生した気体により全体的に発泡してしまい、接着力を低下させる効果を充分に得ることができず、被着体に糊残りを生じさせてしまうことがある。なお、被着体に糊残りを生じさせない程度であれば、アゾ化合物から発生した気体の一部が接着剤中に溶け込んでいたり、気泡として接着剤中に存在していたりしてもよい。
上記アゾ化合物として、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミダイン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミダイン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。これらのアゾ化合物は、光、熱等による刺激により窒素ガスを発生する。
上記アゾ化合物は、衝撃が加わっても気体を発生しないので取り扱いが極めて容易である。また、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生することもないため被着体を損傷することもなく、光の照射を中断すれば気体の発生も中断できることから、用途に合わせて接着性を制御することができる。
上記アゾ化合物は、10時間半減期温度が80℃以上であることが好ましい。10時間半減期温度が80℃未満であると、感圧性接着剤をキャストにより成形して乾燥する際に発泡したり、経時的に分解反応を生じて分解残渣がブリードしたり、経時的に気体を発生して貼り合わせた被着体との界面に浮きが生じたりすることがある。10時間半減期温度が80℃以上であるアゾ化合物は、耐熱性に優れていることから、高温での使用及び安定した貯蔵が可能である。
10時間半減期温度が80℃以上であるアゾ化合物として、例えば、下記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物等が挙げられる。下記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物は、耐熱性に優れていることに加え、アクリル系ポリマー等の感圧性接着剤のベースポリマーへの溶解性にも優れ、感圧性接着剤中に粒子として存在しないようにすることができる。
Figure 2013076031
一般式(1)中、R及びRは低級アルキル基を表し、Rは炭素数2以上の飽和アルキル基を表す。なお、RとRとは、同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物として、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]等が挙げられる。これらのなかでは、溶剤への溶解性に特に優れることから、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)及び2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]が好ましい。
上記アゾ化合物は、感圧性接着剤中に粒子として存在しないことが好ましい。感圧性接着剤中にアゾ化合物が粒子として存在すると、気体を発生させる刺激として光を照射したときに、粒子の界面で光が散乱して気体発生効率が低くなったり、感圧性接着剤を塗膜状にしたときの表面平滑性が悪くなったりすることがある。
上記アゾ化合物を粒子として存在しないようにするには、通常、感圧性接着剤中に溶解するアゾ化合物を選択するが、感圧性接着剤中に溶解しないアゾ化合物を選択する場合には、例えば、分散機を用いたり、分散剤を併用したりすることにより感圧性接着剤中にアゾ化合物を微分散させる。感圧性接着剤中にアゾ化合物を微分散させるためには、アゾ化合物は、微小な粒子であることが好ましく、更に、これらの微粒子は、例えば、分散機や混練装置等を用いて必要に応じてより細かい微粒子とすることが好ましい。即ち、電子顕微鏡により感圧性接着剤を観察したときにアゾ化合物を確認することができない状態まで分散させることがより好ましい。
本発明の接着剥離シートは、上述のような接着層を少なくとも片面に有していればよく、両面に有していてもよい。また、上述のような接着層を片面に有し、他方の面に別の組成を有する接着層を有していてもよい。また、本発明の接着剥離シートは、基材を有していてもよいし、有していなくてもよい。
また、本発明の接着剥離シートは、表面の一部分に上記接着層が形成されているものであってもよい。このように部分的に上記接着層が形成された接着剥離シートを用いることにより、被着体のうち特に脆弱で剥離時に損傷しやすい部分は粘着性を持たない面と接するようにし、その他の比較的堅牢な部分でのみ接着を行うことにより、より被着体を損傷することなく接着剥離シートを剥がすことができる。また、任意のパターンで上記接着層を形成すれば、接着剥離シートの接着力を自由に調節することができる。
本発明の接着剥離シートを製造する方法は特に限定されず、例えば、熱膨張性マイクロカプセルを含有する感圧性接着剤を基材上に塗布し、乾燥処理する方法等が挙げられる。
本発明の接着剥離シートの用途として、例えば、包装テープ、化粧テープ、表面保護テープ、マスキングテープ、ダイシングテープ、バックグラインドテープ等が挙げられる。
本発明によれば、充分な接着力を有しつつ使用後には被着体から容易に剥離し、剥離後に再接着しにくい接着剥離シートを提供することができる。
実施例1及び比較例1で得られた熱膨張性マイクロカプセルの発泡挙動を示すデータである。 実施例2及び比較例2で得られた熱膨張性マイクロカプセルの発泡挙動を示すデータである。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)熱膨張性マイクロカプセルの製造
重合反応容器に、水320重量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製20重量%)50重量部と、補助安定剤としてポリビニルピロリドン(BASF社製)0.8重量部と、1N塩酸1.8重量部とを投入し、水性分散媒体を調製した。次いで、表1に示した配合比のモノマーと、熱硬化性樹脂としてJER−828US(三菱化学社製、ラジカル重合性二重結合の数:0、カルボキシル基と反応する官能基の数:2)と、重合開始剤と、揮発性膨張剤とからなる油性物質を水性分散媒体に添加し、懸濁させて、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器内へ仕込み、加圧(0.5MPa)しながら60℃で6時間、80℃で5時間反応させることにより、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥することにより、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
(2)接着剥離シートの製造
アクリル酸ブチル100重量部、アクリル酸2重量部、アクリロニトリル5重量部からなる共重合体(重量平均分子量約80万)100重量部、ポリイソシアネート系架橋剤10重量部、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート80重量部を混合し、ここへ、得られた熱膨張性マイクロカプセル60重量部と、増感剤としてα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2重量部とを混合して感圧性接着剤を調製した。得られた感圧性接着剤を、易接着処理した厚さ100μmのポリエステルフィルムの面上に乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、70℃で5分間乾燥処理して接着剥離シートを得た。
(実施例2)
熱膨張性マイクロカプセルを製造する際に表1に示すように組成を変更したこと以外は実施例1と同様にして、接着剥離シートを得た。なお、熱硬化性樹脂としてはJER−811(三菱化学社製)を用いた。
(比較例1)
熱膨張性マイクロカプセルを製造する際に熱硬化性樹脂を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、接着剥離シートを得た。
(比較例2)
熱膨張性マイクロカプセルを製造する際に熱硬化性樹脂を用いなかったこと以外は実施例2と同様にして、接着剥離シートを得た。
<熱膨張性マイクロカプセルの発泡挙動の測定>
TMA装置(ティー・エイ・インスツルメント社製:TMAQ400EM型)を用いて、実施例1及び比較例1で得られた熱膨張性マイクロカプセルは190℃で、実施例2及び比較例2で得られた熱膨張性マイクロカプセルは200℃で加熱し、最大発泡変位及び各温度(190℃又は200℃)における発泡維持時間を求めた。なお、このときの熱膨張性マイクロカプセルの発泡挙動を図1及び2に示した。
<熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径の測定>
堀場製作所社製:LA−950を用いて、熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径を測定した。
<評価>
接着剥離シートを厚さ300μmのシリコンウエハに貼り付け、紫外線を照射した後、実施例1及び比較例1で得られた接着剥離シートが貼り付けられたシリコンウエハは190℃、実施例2及び比較例2で得られた接着剥離シートが貼り付けられたシリコンウエハは200℃の加熱オーブンに入れ、接着剥離シートを発泡させたところ、接着剥離シートはシリコンウエハから浮き上がり自ら剥離した。このような状態のシリコンウエハを5分後、8分後、15分後に加熱オーブンから取り出し、常温で30分間放置後に接着状態を確認した。
比較例1及び比較例2で得られた接着剥離シートは、全ての条件(5分後、8分後、15分後)においてシリコンウエハに密着していた。一方、実施例1で得られた接着剥離シートは、全ての条件においてシリコンウエハから容易に剥がせる状態であった。実施例2で得られた接着剥離シートは、加熱5分後の条件においてはシリコンウエハから容易に剥がせる状態であり、加熱8分後の条件においては一部シリコンウエハに密着していたがシリコンウエハから剥がすことがきでき、加熱15分後の条件においてはシリコンウエハに密着していた。
Figure 2013076031
本発明によれば、充分な接着力を有しつつ使用後には被着体から容易に剥離し、剥離後に再接着しにくい接着剥離シートを提供することができる。

Claims (3)

  1. 熱膨張性マイクロカプセルを含有する接着層を有する接着剥離シートであって、
    前記熱膨張性マイクロカプセルは、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、
    前記シェルは、ニトリル系モノマー及びカルボキシル基を有するモノマーを含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体と、熱硬化性樹脂とを含有し、
    前記熱硬化性樹脂は、カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有し、かつ、ラジカル重合性の二重結合を有しない
    ことを特徴とする接着剥離シート。
  2. 熱膨張性マイクロカプセルは、剥離温度における発泡維持時間が5分以上であることを特徴とする請求項1記載の接着剥離シート。
  3. 熱膨張性マイクロカプセルは、150℃以上の一定温度における発泡維持時間が5分以上であることを特徴とする請求項2記載の接着剥離シート。
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