JP2013073045A - レンズ鏡胴 - Google Patents

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Naoki Nishimoto
直樹 西本
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Abstract

【目的】温度変化による結像面位置を補正する。
【構成】レンズ鏡胴本体1の外周面に第1の円筒10が嵌められ,第1の円筒10の外周面に第2の円筒20が嵌められる。レンズ41がワイド位置Cにあるときの位置近傍で第1の円筒10と第2の円筒20とがピン50によって固定される。第1の円筒10は基端側が開放されているが,第2の円筒20は基端側において,凸所25がレンズ鏡胴1の規制溝3に入っており,基端側への伸縮が規制されている。レンズ41がテレ位置にあるときには第1の円筒10と第2の円筒20との伸縮に応じてレンズ41が移動する。レンズ41がワイド位置にあるときには第2の円筒20の伸縮に応じてレンズ41が移動する。レンズ41の位置に応じて,補正方向を変えることができる。
【選択図】図1

Description

この発明は,レンズ鏡胴に関する。
ピントが合わせられた後で,雰囲気温度の変化によりレンズ鏡胴が暖められたり,冷されたりすると,結像面位置がずれることがある。固体電子撮像素子の高画素化により,このような結像面の位置ずれによる画質の劣化が目立つようになってきている。このために,固定レンズ枠とレンズ鏡胴との間に温度補正部材を取り付けるもの,温度変化に対するフォーカス位置の変動を抑えるもの(特許文献1),周囲温度の変化による撮影レンズの結像位置変化を補正するもの(特許文献2),温度変化に伴う結像位置の変動を小さくするもの(特許文献3)などがある。とくに,監視用カメラではマニュアル・フォーカスのものが多く,監視場所に設置後にフォーカス調整できないことが多い。
特開2004-264577号公報 特開2003-262777号公報 特開2003-248171号公報
固定レンズ枠とレンズ鏡胴との間に温度補正部材を取り付けるものでは,スペースが限られ,微量の補正しかできない。また,レンズ群の倒れを決める面に補正部材を取り付ける必要があり,光学性能劣化の原因となる。また,一定の補正方向と一定の補正しかできない。また,温度変化による結像面の位置ずれは,レンズ位置により異なるが,先行文献1から3に記載のものでは,レンズ位置を考慮した補正をしていないので,温度変化による結像面の位置ずれを正確に補正できないことがある。
この発明は,レンズ位置を考慮して温度変化による結像面の位置ずれを補正することを目的とする。
この発明によるレンズ鏡胴は,円筒状のレンズ鏡胴本体,上記レンズ鏡胴本体内部において光軸方向に移動自在な移動レンズ,上記レンズ鏡胴本体の外周面に嵌められ,光軸方向に熱膨張し,かつ上記移動レンズを保持する第1の円筒,および上記第1の円筒の外周面に嵌められ,光軸を中心に回転自在であり,(回転することにより生じる光軸方向への力により,上記第1の円筒による上記移動レンズの保持力に抗して上記移動レンズを光軸方向に移動させ,)かつ光軸方向に熱膨張する第2の円筒を備え,上記第1の円筒の一端部と上記第2の円筒の一端部とが互いに固定され,上記第1の円筒の他端部は開放され,上記第2の円筒の他端部は上記レンズ鏡胴本体に固定され,上記第2の円筒の一端部は開放され,上記第1の円筒の熱膨張率が第2の円筒の熱膨張率よりも大きいことを特徴とする。
この発明によると,第1の円筒の一端部と第2の円筒の一端部とが互いに固定され,第1の円筒の他端部は開放され,第2の円筒の一端部は上記レンズ鏡胴本体に固定されている。また,第1の円筒の熱膨張率は第2の円筒の熱膨張率よりも大きい。第1の円筒と第2の円筒とは,一端部で固定されているが,第1の円筒は,他端部が開放されているので,他端部方向に膨張し,第2の円筒は他端部がレンズ鏡胴本体に固定されているので,一端部方向に膨張する。熱膨張による第1の円筒の伸び方向(または縮み方向)と第2の円筒の伸び方向(または縮み方向)とは逆なので,温度変化による伸び(または縮み)が相殺される。レンズ位置により,第1の円筒または第2の円筒の伸び(または縮み)の影響を受ける割合が変わり,第1の円筒および第2の円筒の長さと熱膨張率とを組み合わせることで,レンズ位置を考慮して温度変化による結像面の位置ずれを補正できる。
上記移動レンズは,たとえば,ズーム・レンズ群であり,上記第1の円筒の一端部と上記第2の円筒の一端部とは,たとえば,ワイド位置近傍において互いに固定されているものである。
レンズ鏡胴の断面図の一部である。 レンズ鏡胴の分解斜視図である。 円筒の伸び量を示している。 結像面の移動量を示している。 補正をしない場合の結像面のシフト量を示している。 補正後の結像面移動量を示している。
図1は,この発明の実施例を示すもので,レンズ鏡胴の縦断面図の一部を示している。図2は,レンズ鏡胴の分解斜視図である。
レンズ鏡胴には,円筒状のレンズ鏡胴本体1が含まれている。このレンズ鏡胴本体1の周面には,周方向に約120度ずつずれた3箇所の位置に,長手方向に伸びている長孔2が形成されている。また,レンズ鏡胴本体1の基端側の外周面には周方向に規制溝3が形成されている。
第1の円筒10は,レンズ鏡胴本体1の外周面に嵌められている。第1の円筒10には,内周面に螺旋状のカム溝11が形成されている。このカム溝11の幅は,レンズ鏡胴本体1に形成されている長孔2の幅とほぼ同じである。第1の円筒10の基端側の外周面の上部にはネジ穴13が形成されている。
第2の円筒20は,第1の円筒10の外周面に嵌められている。第2の円筒20の先端部には,その他の部分よりも肉厚となっている第1の段部21が形成されている。第2の円筒20の先端面22から第1の段部21の内側に向かって切り欠かれている切欠き部21Aが形成されている。第1の段部21の上部には貫通孔23が形成されている。第2の円筒20の基端部には,内部に突出している第2の段部24が形成されている。さらに,この第2の段部24には,内部に向かって突出している係合凸部25が内周面の周方向にわたって形成されている。
円環状のレンズ枠42の内部にズーム・レンズ群41が固定されている。レンズ枠42の外周面には,周方向に120度ずつずれた位置に外方向に突出した3つのピン43が形成されている。これらの3つのピン43の径は第1の円筒10に形成されているカム溝11の幅とほぼ同じである。
レンズ鏡胴本体1の外周面に第1の円筒10が嵌められ,かつ,第1の円筒10の外周面に第2の円筒20が嵌められる。レンズ枠42のピン43がレンズ鏡胴本体1の内側から長孔2を通って,第1の円筒10に形成されているカム溝11にきつく入り込む。ネジ(ピンでもよい)50が第2の円筒20に形成されている貫通孔23を通って,第1の円筒10に形成されているネジ穴13に入り込む。第1の円筒10と第2の円筒20とは,ネジ50によって固定される。同様に,第1の円筒10と第2の円筒20の先端部の下部において第1の円筒10と第2の円筒とをピンで固定するようにしてもよい。第1の円筒10と第2の円筒20とは先端部においてはネジ50で固定されているが,第1の円筒10と第2の円筒20とは基端部においては固定されていない。第2の円筒20の基端部には上述のように,内側に突出している係合凸部25が形成されている。その係合凸部25が,レンズ鏡胴1に形成されている規制溝3に入り込んでいる。
レンズ鏡胴の先端部には円環状のストッパ60が形成されている。ストッパ60の厚みは,レンズ鏡胴1,第1の円筒10および第2の円筒20の第1の段部21の厚みの総和にほぼ等しい。ストッパ60の基端側の端面61には圧縮バネ62が固定されている。圧縮バネ62は無くともよい。
上述のように,レンズ枠42に形成されているピン43は,レンズ鏡筒3に形成されている長孔2を介して第2の円筒20に形成されているカム溝11に入っており,第2の円筒20は第1の円筒10とネジ50によって先端部が固定されているから,第2の円筒20が光軸を中心に回転することにより,レンズ枠42が光軸方向に移動する。レンズ枠42は,レンズ鏡胴先端側のワイド位置とレンズ鏡胴基端側のテレ位置との間を移動できることとなる。
ネジ50によって第1の円筒10と第2の円筒20とが固定されている位置とワイドのときのレンズ枠42の位置とは等しい。
詳しくは後述するように,第1の円筒10および第2の円筒20は,いずれも温度変化に依存して光軸方向に伸び縮みする。第1の円筒10の熱膨張率は第2の円筒20の熱膨張率よりも大きい。このため,第1の円筒10の方が第2の円筒20よりも温度変化に応じて伸び縮みする量が大きい。上述のように,第1の円筒10と第2の円筒20とはワイドの位置近傍でネジ50によって固定されており,かつ第1の円筒10の基端側は開放されているのに対して,第2の円筒20の基端側は係合凸所25によって光軸方向の伸び縮みが規制されているから,レンズ枠42がワイドの位置にあるときには,温度変化による第2の円筒20の伸び縮みにしたがってレンズ枠42の位置が動く。レンズ枠42が,第1の円筒10が開放されている基端側であるテレの位置にあるときには,温度変化による第1の円筒10の伸び縮みにしたがってレンズ枠42の位置が動く。レンズ枠42の位置に応じて温度変化によるレンズ枠の動き量,動き方向が変わるので,温度変化による結像面位置を,レンズ枠42の位置に応じて補正できる。
図3から図6を参照して,温度変化による結像面位置の移動量について説明する。
図3は,第1の円筒10および第2の円筒20の伸び量を示している。
第1の円筒10の熱線膨張係数a1は0.000075であり,第2の円筒20の熱線膨張係数a2は0.000025である。
第2の円筒20の伸びの固定位置(凸所25の基端側の面と溝3の基端側の面とが接する位置)を位置A,第1の円筒10と第2の円筒20とがピン50によって固定された位置を両円筒固定位置B,レンズ枠42がワイド位置にあるときの位置をワイド位置C,レンズ枠42がテレ位置にあるときの位置をテレ位置Dとする。所定の基準温度のときの位置Aと位置Bとの基準長さABは,レンズ枠42の位置に関わらず,たとえば,32mmである。レンズ枠42がワイド時の位置Cにあるときには,両円筒固定位置Bとワイド時の位置Cとは一致しているから,位置Bと位置Cとの基準長さBCは0である。レンズ枠32がテレ時の位置Dにあるときには,位置Bと位置Dとの基準長さBDは,たとえば,25.2mmである。
基準温度から摂氏−35度(マイナス35度)に変化した場合,第2の円筒20が縮むから基準長さABは,レンズ枠42の位置に関わらず,31.972mmと短くなる。基準温度から摂氏+35度(プラス35度)変化した場合,第2の円筒20が伸びるから基準長さABは,レンズ枠42の位置に関わらず,32.028mmと長くなる。基準長さBCは温度変化に関わらず0である。基準温度から摂氏−35度に変化した場合,第1の円筒10の縮みの影響で基準長さBDは25.134mmに縮む。基準温度から摂氏+35度に変化した場合,第1の円筒10の伸びの影響で基準長さBDは25.266mmに伸びる。
図4を参照して,結像面の移動量について説明する。
上述のように,レンズ枠42がワイド位置Cに位置決めされている場合において,基準温度から摂氏−35度に変化したときのレンズ枠42の位置変化量は+0.028mm(但し,レンズ枠42が結像面側に移動する場合を正,入射面側に移動する場合を負とする)であり,基準温度から摂氏+35度に変化したときのレンズ枠42の位置変化量は−0.028mmである。これらの位置変化量は図3を参照して上述したように,基準長さから温度変化後の長さを減算することにより得られる。
これに対して,レンズ枠42がテレ位置Dに位置決めされている場合において,基準温度から摂氏−35度に変化したときのレンズ枠42の位置変化量は,第1の円筒10による伸縮と第2の円筒20による伸縮との両方の影響を考慮する。基準温度から摂氏−35度に変化したとき,第1の円筒10は,先端部において第2の円筒20に固定されているから,変化量の符号は負となる。第1の円筒10のBD間の長さの変化量は−0.066mmである。第2の円筒20は,基端部においてレンズ鏡胴本体1に固定されているから,変化量の符号は正となる。第2の円筒20のAB間の長さの変化量は+0.028mmとなる。基準温度から摂氏−35度に変化したときのレンズ枠42の位置変化量は−0.66mm+0.028mm=−0.038mmとなる。同様に,基準温度が摂氏+35度に変化したときのレンズ枠42の位置変化量は+0.038mmとなることは理解できよう。
また,ズーム・レンズ群41(レンズ枠42)が基準距離だけ移動した場合に結像面が移動する倍率(結像面移動量の倍率)は,ズーム・レンズ41がワイド位置Cにあるときには0.219であり,ズーム・レンズ41がテレ位置Dにあるときには-2.645である。
レンズ枠位置変化量に結像面移動量の倍率を乗じると,レンズ枠42の移動による結像面の移動量が算出される。レンズ枠42がワイド位置Cにある場合に基準温度から−35度変化したときの結像面移動量は0.028×0.219=0.006132となる。同様に,レンズがワイド位置Cにある場合に,基準温度から+35度変化したときの結像面移動量は−0.028×0.219=−0.006132となる。レンズ枠42がテレ位置Dにある場合に基準温度から−35度変化したときの結像面移動量は−0.038×(−2.645)=0.10051となる。レンズ枠42がテレ位置Dにある場合に基準温度から+35度変化したときの結像面移動量は0.038×(−2.645)=−0.10051となる。
図5は,この実施例による補正が行われない場合の結像面のシフト量を示している。
レンズ枠42がワイド位置Cにある場合に基準温度から−35度変化したときの結像面シフト量は−0.0135mmであり,レンズ枠がワイド位置にある場合に基準温度から+35度変化したときの結像面シフト量は+0.0157mmである。また,レンズ枠42がテレ位置Dにある場合に基準温度から−35度変化したときの結像面シフト量は−0.0967mmであり,レンズ枠42がテレ位置Dにある場合に基準温度から+35度変化したときの結像面シフト量は+0.1064mmである。
図6は,この実施例による補正が行われない場合の結像面のシフト量を考慮して補正後の結像面移動量を示している。
図5を参照して,レンズ枠42がワイド位置Cにある場合に基準温度から−35度変化したときの,補正しないときの結像面シフト量は−0.0135mmであり,図4に示したように,その時のレンズ枠移動による結像面移動量は0.006132mmであるから,この実施例による補正後の結像面移動量は−0.0135mm+0.006132mm=−0.007368mmとなる。同様に,レンズ枠42がワイド位置Cにある場合に基準温度から+35度変化したときの,補正しないときの結像面シフト量は0.0157mmであり,図4に示したように,その時のレンズ枠移動による結像面移動量は−0.006132mmであるから,この実施例による補正後の結像面移動量は0.0157mm−0.006132mm=0.009568mmとなる。
また,レンズ枠42がテレ位置Dにある場合に基準温度から35度変化したときの,補正しないときの結像面シフト量は−0.0967mmであり,図4に示したように,その時のレンズ枠移動による結像面移動量は0.10051mmであるから,この実施例による補正後の結像面移動量は−0.0967mm+0.10051mm=0.00381mmとなる。同様に,レンズ枠42がテレ位置Dにある場合に基準温度から+35度変化したときの,補正しないときの結像面シフト量は0.1064mmであり,図4に示したように,その時のレンズ枠移動による結像面移動量は−0.10051mmであるから,この実施例による補正後の結像面移動量は0.1064mm−0.10051mm=0.00589mmとなる。
ワイド位置CのときのFナンバが1.7,許容錯乱円が0.006mmとすると,焦点深度はプラス・マイナス0.010であり,図6に示したワイド位置Cの移動量は焦点深度内に含まれる。また。テレ位置DのときのFナンバが2.3,許容錯乱円が0.006mmとすると,焦点深度はプラス・マイナス0.014であり,図6に示したテレ位置Dの移動量も焦点深度内に含まれる。したがって,実質的に温度変化による結像面の位置ずれは無くなることとなる。
この実施例では,温度変化が増加する場合でも減少する場合でもズーム・レンズ群41の位置に応じて異なる方向に移動させることができる。図4に示したように,ズーム・レンズ群41の位置がワイド位置にあるときとテレ位置にあるときとで,結像面の移動方向が変わってしまう(符号が変わっている)場合であっても,その方向に応じた補正ができるようになる。
上述の実施例では,ズーム・レンズ群について説明したが,ズーム・レンズ群でなく,光軸方向に移動するフォーカス・レンズ群についても同様に適用できる。
1 レンズ鏡胴本体
10 第1の円筒
20 第2の円筒
41 レンズ

Claims (2)

  1. 円筒状のレンズ鏡胴本体,
    上記レンズ鏡胴本体内部において光軸方向に移動自在な移動レンズ,
    上記レンズ鏡胴本体の外周面に嵌められ,光軸方向に熱膨張し,かつ上記移動レンズを保持する第1の円筒,および
    上記第1の円筒の外周面に嵌められ,光軸を中心に回転自在であり,かつ光軸方向に熱膨張する第2の円筒を備え,
    上記第1の円筒の一端部と上記第2の円筒の一端部とが互いに固定され,
    上記第1の円筒の他端部は開放され,
    上記第2の円筒の他端部は上記レンズ鏡胴本体に固定され,
    上記第2の円筒の一端部は開放され,
    上記第1の円筒の熱膨張率が第2の円筒の熱膨張率よりも大きいものである,
    レンズ鏡胴。
  2. 上記移動レンズはズーム・レンズ群であり,
    上記第1の円筒の一端部と上記第2の円筒の一端部とは,ワイド位置近傍において互いに固定されている,
    請求項1に記載のレンズ鏡胴。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102016105476B4 (de) 2015-04-01 2024-01-25 Sensors Unlimited, Inc. Linsensystem und verfahren zur passiven athermalisierung

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