JP3898821B2 - 焦点位置温度補正機構を備えるカメラのレンズ鏡筒 - Google Patents

焦点位置温度補正機構を備えるカメラのレンズ鏡筒 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフォーカスリングを回転操作して焦点合わせを行うカメラのレンズ鏡筒に関し、特に温度変動による焦点位置ずれを補正するための機構を備えるレンズ鏡筒に関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラの焦点合わせを手操作により行うレンズ鏡筒、あるいは自動焦点機能を有するカメラのレンズ鏡筒を手動により操作する場合には、通常ではレンズ鏡筒に設けられている焦点リングを回転操作することによりレンズを光軸方向に移動させて焦点合わせを行っている。従来、このような手動による焦点合わせを行う場合の目安として、被写体までの距離を示す距離目盛りが焦点リングに設けられている。また、一眼レフカメラでは、ピントグラスに結像された被写体像を目視して焦点合わせを行うことができ、より正確な焦点合わせが可能である。しかしながら、この一眼レフカメラにおいても、無限遠距離にある被写体のように、ピントグラス上での被写体像が小さい場合には、焦点があっているのか否かを正確に確認することが困難になる。また、この種のレンズ鏡筒をデジタルカメラに適用したときには、デジタルカメラのモニタ画面上で小さなモニタ像の焦点を確認することは困難である。このため、従来のカメラでは無限遠焦点位置にストッパを設けておき、焦点リングをそれ以上回転操作できない位置を設定し、この位置を無限遠の焦点位置とする構成が提供されている。
【0003】
例えば、図6はその一例を説明するための図であり、レンズ鏡筒の固定的に設けられている図外の固定筒に対して回転操作されてレンズ系の焦点合わせを行う焦点リング101には、その外周面の円周方向に沿ってガイド溝102が形成されており、このガイド溝102内には前記固定筒に固定的に取着されているストッパリング103が内装されている。そして、前記ガイド溝102の円周一部にはストッパピン104が立設される一方、前記ストッパリング103には、前記焦点リング101の回転操作角度に対応する円周部分が切り欠かれ、この切り欠きの両端部がそれぞれ近距離側端部105、無限遠側端部106として構成されている。このため、同図(a)のように、焦点リング101を反時計方向に回転操作した無限遠側ではストッパピン104が無限遠側端部106に当接され、また同図(b)のように焦点リング101を時計方向に回転操作した近距離側では、ストッパピン104が近距離側端部105に当接され、それ以上の焦点リングの回転操作が停止され、無限遠側と近距離側の各焦点位置が規定される。
【0004】
ところで、本発明者の実験によれば、この種のレンズ鏡筒では、環境温度の変動によってレンズ鏡筒を構成する各部材が熱膨張あるいは熱収縮し、あるいはレンズ自体が熱膨張し、これが要因となって焦点位置が変動することが確認されている。図5は本発明者による実測データであり、横軸が環境温度、縦軸がレンズ鏡筒の無限遠焦点位置の移動量A(μm)を示している。同図から判るように、24℃を基準とした場合に、これよりも高温では焦点位置がマイナス側(いわゆる後ピン)に、低温ではプラス側(いわゆる前ピン)にそれぞれ変動している。このため、前記したような無限遠焦点位置にストッパを設けているカメラでは、環境温度の変動に伴って無限遠焦点位置が変動されたときには、その焦点リングのストッパ位置が正規の無限遠焦点位置からずれることになり、正確に焦点合わせされた無限遠の被写体を撮影することが困難になる。特に、高温時にはマイナス側に焦点位置がずれるため、ストッパによってレンズがそれ以上繰り込まれないと、焦点合わせは不可能になってしまう。このため、近年のカメラでは、無限遠焦点位置よりもさらにレンズを繰り込ませることができるように、敢えて無限遠位置にストッパを設けないカメラが提案されており、前記したような焦点位置がマイナス側にずれた場合でも対処可能な構成とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように温度変動に伴う焦点合わせの補償を行うために無限遠位置を規定するストッパを設けていないレンズ鏡筒では、無限遠撮影時における焦点合わせが難しいという問題を解消することにはならず、結果として無限遠撮影時の焦点合わせを困難なものとし、レンズの使い勝手を悪くする要因になっている。
【0006】
本発明の目的は、無限遠撮影時における焦点合わせを容易に行うことを可能にし、かつ温度変動に伴う焦点位置の移動に追従した正確な焦点合わせを行うことを可能にした焦点位置温度補正機構を備えるレンズ鏡筒を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レンズ鏡筒に回転操作可能に支持されて焦点合わせを行い、その一部に第1のストッパ部材を有する焦点リングと、前記レンズ鏡筒に設けられ、前記焦点リングが回転操作されたときに前記第1のストッパ部材に回転操作方向に当接して前記焦点リングの回転位置を規定する第2のストッパ部材とを備えるレンズ鏡筒において、前記第1のストッパ部材と第2のストッパ部材との前記当接される位置が、環境温度の変化に対応して回転操作方向に変化されるように構成されており、第1のストッパ部材又は第2のストッパ部材のいずれか一方は環境温度の変化に対応してレンズ鏡筒の筒軸方向に移動可能なストッパ片を有し、かつ当該ストッパ片と前記第1のストッパ部材又は第2のストッパ部材のいずれか他方のストッパ部材の当接面はそれぞれレンズ鏡筒の筒軸方向に傾斜されたテーパ面として形成され、前記ストッパ片の筒軸方向の移動に伴ってストッパ片と前記いずれか他方のストッパ部材の各当接面の前記回転操作方向に沿う当接位置が変化される構成であることを特徴とする。
【0008】
本発明のレンズ鏡筒の好ましい形態としては、前記レンズ鏡筒には、前記焦点リングに対して相対回転操作可能でその円周一部において前記ストッパ片に摺接される温度補正リングが設けられ、前記ストッパ片と温度補正リングの各摺接面はそれぞれレンズ鏡筒の筒軸方向に傾斜されたカム面として構成され、前記温度補正リングの回転操作によって前記ストッパ片が前記筒軸方向に移動されるように構成される。また、前記焦点リングには回転操作方向の異なる位置にそれぞれ第1距離側ストッパと第2距離側ストッパが設けられて前記第1のストッパ部材が構成され、前記レンズ鏡筒には前記焦点リングに沿って円周一部が切り欠かれたストッパリングが固定的に設けられて前記第2のストッパ部材が構成され、前記焦点リングの回転操作方向に応じて前記第1距離側ストッパと第2距離側ストッパがそれぞれ前記ストッパリングの前記切り欠きの両端の各端部に対して回転操作方向に当接可能とされている。
【0009】
このように、環境温度の変化に追従して無限遠側ストッパとしての第1距離側ストッパを筒軸方向に移動させ、第2距離側ストッパとの回転操作方向の当接位置を変化させることで、焦点リングの無限遠側回転操作位置を環境温度の変化に追従して変化させることができ、環境温度変化により生じる焦点位置の変動に対応して常に正しい焦点位置に焦点リングの規定位置を設定することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1(a),(b)は本発明を一眼レフカメラのレンズ鏡筒に適用した実施形態の一部の平面図と断面図である。同図(b)のように、レンズ鏡筒は、3群8枚構成のレンズ光学系として構成され、第1群から第3群の各レンズL1,L2,L3はそれぞれレンズ枠11,12,13に取り付けられ、レンズ鏡筒の内筒1に支持されている。ここでは、第1群のレンズ枠11は前記内筒1に固定され、第2群のレンズ枠12と第3のレンズ枠13は前記内筒1に対して光軸方向に移動可能とされ、第2群レンズL2はフォーカス用に、第3群レンズL3はズーム用にそれぞれ構成されている。また、前記内筒1の外側には外筒2が固定されており、これら内筒1と外筒2の間に焦点リング3と、温度補正リング4がそれぞれ光軸回りに回転可能に支持されている。前記焦点リング3は、同図には示されないヘリコイド機構等によって前記第2群のレンズ枠12に連結されており、前記焦点リング3が回転操作されたときに前記第2群のレンズ枠12を光軸方向に移動させ、焦点合わせを行うことができるように構成されている。なお、前記したヘリコイド構成や、前記焦点リングの構成についてはこれまでのレンズ鏡筒の構造と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。また、前記温度補正リング4は、前記焦点リング3よりもレンズ鏡筒の前端側の位置に隣接して配置されている。
【0011】
図2は前記焦点リング3と温度補正リング4の構成を示す斜視図である。前記焦点リング3は円環状に形成されるとともに、その筒軸方向の一端側の領域部分、ここでは図外のカメラボディに対向される側の部分は若干小径とされた小径部31として形成され、この小径部31が前記外筒2と内筒1との間に挿入されている。前記焦点リング3の前記小径部31の周面には円周方向にガイド溝32が形成されており、このガイド溝32には前記外筒2の内面にビス51により固定されたストッパリング5が内挿されている。また、前記ガイド溝32の周面には、円周方向に所要の間隔をおいた位置の一方に近距離側ストッパピン6が立設され、他方には詳細を後述する無限遠側ストッパ機構7が設けられており、これら近距離側ストッパピン6と無限遠側ストッパ機構7は前記ストッパリング5と協動して前記焦点リング3の回転操作量を規制するように構成される。
【0012】
すなわち、前記ストッパリング5は、前記焦点リング3の回転量に対応する円周領域が切り欠かれており、焦点リング3が近距離側及び無限遠側に向けてそれぞれ回転操作されたときに、焦点リング3に設けられた前記近距離側ストッパピン6と無限遠側ストッパ機構7がそれぞれ前記ストッパリング5の切り欠かれた領域の両端部52,53に当接されることで、前記焦点リング3が回転操作されたときの回転量を規制する。ここで、前記ストッパリング5の両端部52,53のうち、前記近距離側ストッパピン6に当接される近距離側の端部52は、ストッパリング5の周方向に対して垂直な面として、すなわち筒軸に沿う方向の面として構成されているが、前記無限遠側ストッパ機構7に当接される無限遠側の端部53は、その端面がレンズ鏡筒の筒軸方向に対して傾斜されたテーパ状に形成されている。
【0013】
前記無限遠側ストッパ機構7は、前記焦点リング3の円周一部の外面に筒軸方向のストッパ溝33が形成され、このストッパ溝33内において筒軸方向に移動可能なストッパ片71を有している。この実施形態では、前記ストッパ片71には筒軸方向に長穴72が開設されており、この長穴72に挿通されるビス73によりストッパ片71を焦点リング3に支持している。これにより、ストッパ片71は長穴72に沿って筒軸方向に移動可能とされる。また、前記ストッパ片71の一側部には突起74が一体に形成されるとともに、この突起74と前記焦点リング3の一部に取着されたビス75との間に引っ張りスプリング76が掛装されており、この引っ張りスプリング76によって前記ストッパ片71はレンズ鏡筒の前端側に向けて付勢されている。さらに、前記ストッパ片71は、レンズ鏡筒の後端側の端部が前記ストッパリング5の無限遠側端部53のテーパに密接状態で当接されるように、レンズ鏡筒の筒軸方向に対して傾斜されたテーパ状のストッパ面77として形成され、またストッパ片71のレンズ鏡筒の前端側の端部は同様に筒軸方向に傾斜されたテーパ状であるが、前記ストッパ面77とは異なる角度のテーパ状のカム面78として形成されている。
【0014】
一方、前記焦点リング3と筒軸方向に隣接された前記温度補正リング4は、図には示されない連結機構によって前記焦点リング3に対して所要の回転角度範囲で相対回転可能な状態で前記焦点リング3に支持されている。すなわち、前記焦点リング3が回転操作されたときには前記温度補正リング4は焦点リング3と共に回転されるが、前記した所要の角度範囲では前記焦点リング3に対して相対的に回転操作可能に構成されている。そして、前記温度補正リング4のレンズ鏡筒の後端側、すなわち前記焦点リング3に対向される側の縁部の円周一部には、前記ストッパ片71のカム面78に当接されるように、筒軸方向に対して突出され、かつ円周方向に対して傾斜されたテーパ状をしたカム41が一体に形成されている。
【0015】
なお、前記温度補正リング4の周面の一部、ここではレンズ鏡筒の上面に相当する領域には、図1(a)に示すように、温度目盛り42が記されており、前記したように温度補正リング4を焦点リング3に対して相対移動させる際に、焦点リング3の対応する周面一部に記された温度指標7aに対して、現在の環境温度を目盛り合わせすることが可能とされている。また、同図に示されるように、前記焦点リング3の周面には距離目盛り79が記されており、前記外筒2に設けられた窓2aに臨んで記された指標2bに対して距離を目盛り合わせすることができるように構成されている。
【0016】
以上のように構成されたレンズ鏡筒では、撮影時に焦点リング3を回転操作し、焦点リング3を近距離側、すなわち図2において焦点リングを時計方向に回転操作したときには、焦点リング3の一定の位置に設けられている近距離側ストッパピン6がストッパリング5の近距離側端部52に当接されることにより一定の回転位置において停止され、近距離側での焦点合わせが行われる。一方、焦点リング3を無限遠側、すなわち図2の状態から焦点リングを反時計側に回転操作することにより、図3に示すように、今度は焦点リング3に設けられているストッパ機構7がストッパリング5の無限遠側端部53に当接され、無限遠側での焦点合わせが行われる。このとき、ストッパリング5の無限遠側端部53はテーパ状に形成されており、この無限遠側端部53がテーパ状をしたストッパ片71のストッパ面77に当接されるため、ストッパ片71の筒軸方向の位置変化に伴って前記無限遠側端部53に対するストッパ面77の当接位置が変化され、これに伴ってストッパ機構7による焦点リング3の無限遠側の回転停止位置が変化されることになる。
【0017】
すなわち、この動作を図4を用いて説明する。撮影時には、そのときの環境温度に合わせて、温度補正リング4を焦点リング3に対して相対回動させ、温度補正リング4の温度目盛り42を温度指標7aに位置合わせする。例えば、現在の環境温度が常温に近い25℃場合には、25℃の目盛りを温度指標7aに位置合わせする。これにより、図4(b)のように、無限遠ストッパ機構7のストッパ片71は引っ張りスプリング76のバネ力によって、そのカム面78が温度補正リング4のカム41の頂部に近い部分に当接され、この当接部分におけるカム41の筒軸方向寸法だけストッパ片71はレンズ鏡筒の後端部に向けて移動位置される。これにより、ストッパ片71のストッパ面77が対応する寸法だけ焦点リング3のガイド溝32内に突出される。また、環境温度が上昇された40℃の場合には、図4(c)のように、温度補正リング4を前記状態よりもさらに時計方向(図4の上方)に回転操作する。これにより、温度補正リング4のカム41の極めて頂部に近い部分にストッパ片71のカム面78が当接され、これにより、ストッパ片71のストッパ面77がガイド溝33内に突出される寸法が増大される。一方、環境温度が低下されて極低温の−20℃の場合には、図4(a)のように、温度補正リング4は逆方向の低温側に回転されるため、ストッパ片71のカム面78は温度補正リング4のカム41の底部に近い部分に当接することになり、ストッパ片71のストッパ面77がガイド溝32内に突出される寸法が低減される。
【0018】
このように、環境温度の変動に応じて温度補正リング4を回転操作することにより、焦点リング3のガイド溝32内におけるストッパ片71のストッパ面77の突出量が変化される。したがって、図4(a)〜(c)を比較すると、ストッパ片71のストッパ面77のガイド溝32に対する突出量の変化に対応して、ストッパリング5のテーパ状をした無限遠側端部53との当接位置が回転方向に変化されることになり、結果として焦点リング3の無限遠側の回転停止位置が変化されることになる。したがって、この実施形態のように、ストッパ片71のカム面78及び温度補正リング4のカム41のカム形状を、図5に示した温度変動に伴う焦点位置の変動に対応したカム形状に設計することにより、焦点位置の変動に対応した正しい無限遠の焦点位置において焦点リング3の回転操作を停止させることが可能となる。因みに、この実施形態では、図4から判るように、環境温度が低い場合には、無限遠焦点位置における第2群レンズL2のレンズ停止位置を繰り込み側に移動させ、環境温度が高くなるとレンズを繰り出し側に移動させることになる。
【0019】
したがって、この実施形態のレンズ鏡筒では、カメラの撮影者が撮影時の環境温度、通常では気温に基づいて温度補正リング4の温度目盛り41を温度指標7aに合わせておけば、焦点リング3の無限遠位置が自動的に設定され、この設定された位置で焦点リング3の回転操作が停止されることになり、しかも温度変動に伴うレンズ鏡筒の焦点変動に対応して正確な焦点合わせを行うことが可能となる。したがって、無限遠撮影を行う際には、単に焦点リング3を無限遠側に停止されるまで一杯に回転操作すればよく、特にデジタルカメラのように、モニタ画面での焦点合わせの確認が難しいようなカメラの場合でも、正確に焦点のあった好適な撮影を容易に行うことが可能となる。
【0020】
ここで、前記実施形態では、無限遠側ストッパ機構を焦点リングに搭載した例を示しているが、焦点リングには無限遠ストッパとしてテーバ状の部材を固定的に設けておき、前記と同様な構成をストッパリングの無限遠側端部の部分、すなわちレンズ鏡筒の円周方向の一部に構成してもよい。そして、この無限遠側ストッパ機構を焦点リングとは独立して設けた温度補正リングの回転操作によって動作させ、これにより温度変動に対応してストッパリングの無限遠側端部のテーパ面の位置を変化させることで、焦点リングの無限遠側の回転位置を温度に対応した適正な位置に設定するように構成することも可能である。また、このような構成を採用したときには、例えば、ストッパ片に操作ピンを立設してレンズ鏡筒の外面に突出させ、この操作ピンを手操作することによってストッパ片を直接的に筒軸方向に移動させて停止位置を変化させる構成とすることも可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、レンズ鏡筒に設けられた焦点調節用の焦点リングに設けられた第1のストッパ部材と、前記レンズ鏡筒に設けられて前記焦点リングが回転操作されたときに前記第1のストッパ部材に回転操作方向に当接して前記焦点リングの回転位置を規定する第2のストッパ部材とを備えるレンズ鏡筒において、第1のストッパ部材又は第2のストッパ部材のいずれか一方は環境温度の変化に対応してレンズ鏡筒の筒軸方向に移動可能なストッパ片を有し、かつ当該ストッパ片と前記第1のストッパ部材又は第2のストッパ部材のいずれか他方のストッパ部材の当接面はそれぞれレンズ鏡筒の筒軸方向に傾斜されたテーパ面として形成され、前記ストッパ片の筒軸方向の移動に伴ってストッパ片と前記いずれか他方のストッパ部材の各当接面の回転操作方向に沿う当接位置が変化される構成とされているので、環境温度の変化に追従して焦点リングの回動位置、例えば焦点リングに設けた第1距離側ストッパと第2距離側ストッパとの回転操作方向の当接位置を変化させ、焦点リングの第1距離側焦点位置、例えば、無限遠側焦点位置を環境温度の変化に追従して変化させることができ、環境温度変化により生じる焦点位置の変動に対応して、単に焦点リングを回転操作が停止される位置まで回転操作するだけで常に正しい焦点位置に焦点リングの規定位置を設定することが可能となり、焦点位置合わせの簡易化と焦点位置合わせ精度の向上をそれぞれ同時に達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるレンズ鏡筒の一部の平面図と断面図である。
【図2】近距離側に焦点合わせを行った状態の焦点リング、温度補正リング、ストッパリングの相対位置関係を示す斜視図である。
【図3】無限遠側に焦点合わせを行った状態の焦点リング、温度補正リング、ストッパリングの相対位置関係を示す斜視図である。
【図4】ストッパ機構の動作を説明するための平面図である。
【図5】環境温度変化に伴う焦点位置ずれの特性を示す図である。
【図6】従来のレンズ鏡筒の一部の斜視図である。
【符号の説明】
1 内筒
2 外筒
3 焦点リング
4 温度補正リング
5 ストッパリング
6 近距離側ストッパピン
7 無限遠側ストッパ機構
32 ガイド溝
41 カム
52,53 端部
71 ストッパ片
77 ストッパ面
78 カム面

Claims (4)

  1. レンズ鏡筒に回転操作可能に支持されて焦点合わせを行い、その一部に第1のストッパ部材を有する焦点リングと、前記レンズ鏡筒に設けられ、前記焦点リングが回転操作されたときに前記第1のストッパ部材に回転操作方向に当接して前記焦点リングの回転位置を規定する第2のストッパ部材とを備えるレンズ鏡筒において、前記第1のストッパ部材と第2のストッパ部材との前記当接される位置が、環境温度の変化に対応して回転操作方向に変化されるように構成された焦点位置温度補正機構を備えるカメラのレンズ鏡筒であって、前記第1のストッパ部材又は第2のストッパ部材のいずれか一方は環境温度の変化に対応して前記レンズ鏡筒の筒軸方向に移動可能なストッパ片を有し、かつ当該ストッパ片と前記第1のストッパ部材又は第2のストッパ部材のいずれか他方のストッパ部材の当接面はそれぞれレンズ鏡筒の筒軸方向に傾斜されたテーパ面として形成され、前記ストッパ片の前記筒軸方向の移動に伴って前記ストッパ片と前記いずれか他方のストッパ部材の各当接面の前記回転操作方向に沿う当接位置が変化される構成であることを特徴とする焦点位置温度補正機構を備えるカメラのレンズ鏡筒。
  2. 前記レンズ鏡筒には、前記焦点リングに対して相対回転操作可能でその円周一部において前記ストッパ片に摺接される温度補正リングが設けられ、前記ストッパ片と温度補正リングの各摺接面はそれぞれレンズ鏡筒の筒軸方向に傾斜されたカム面として構成され、前記温度補正リングの回転操作によって前記ストッパ片が前記筒軸方向に移動されるように構成される請求項1に記載の焦点位置温度補正機構を備えるカメラのレンズ鏡筒。
  3. 前記第1のストッパ部材は、前記焦点リングの回転操作方向の異なる位置にそれぞれ設けられた第1距離側ストッパと第2距離側ストッパで構成され、前記第2のストッパ部材は前記レンズ鏡筒に設けられて前記焦点リングに沿って円周一部が切り欠かれたストッパリングで構成され、前記焦点リングの回転操作方向に応じて前記第1距離側ストッパと第2距離側ストッパがそれぞれ前記ストッパリングの前記切り欠きの両端の各端部に対して回転操作方向に当接可能とされ、かつ前記第1距離側ストッパと第2距離側ストッパの一方の前記ストッパリングの一端部に当接される位置が環境温度の変化に対応して回転操作方向に変化されるように構成されている請求項1又は2に記載の焦点位置温度補正機構を備えるカメラのレンズ鏡筒。
  4. 前記第1距離側ストッパは、無限遠側焦点位置を規定する無限遠側ストッパとして構成される請求項3に記載の焦点位置温度補正機構を備えるカメラのレンズ鏡筒。
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